飲料製造業向け配合管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

飲料製造業向け配合管理システムの開発は6段階で進みます。まず要件を整理し、次に導入する方式を選定します。そのうえで設計・開発、テスト、稼働、定着へと進みます。

実データで選び、段階的に導入すると、処方から製造・品質・追跡までをつなげられます。全体像は、飲料製造業向け配合管理システム開発の完全ガイドもご覧ください。

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・飲料製造業向け配合管理システム開発の完全ガイド

飲料製造業向け配合管理システムの全体像

処方マスターを中心に、原料、投入量、投入順、製造条件を示す図。
配合の条件をひとまとまりで確認できます。

配合管理システムは、製品ごとの原料、投入量、投入順、製造条件を処方マスターとして管理します。試作から製造、品質確認、出荷後の追跡までを一つにつなぐ仕組みです。

一般的なレシピ台帳と違い、シロップや中間液を含む多段階BOMを扱います。仕込み量に応じた所要量計算や歩留まりに加え、単位変換と版管理も含みます。

処方管理と生産管理をつなぐ仕組み

飲料では、最終製品の前に中間品を作ることがあります。水処理、糖液、シロップ、香料液、調合液などが該当します。そのため、配合の計算は段階をまたいで行う必要があります。

  • 配合計算:比重、濃度、温度、歩留まり、投入順を考慮します。
  • 版と承認:処方の版を管理し、承認済みの版だけを製造指示へ渡します。

たとえば、500Lのシロップを1,500Lの調合液へ希釈する場合を考えます。容器容量と充填ロスを考慮して製造量を決めるときは、原料の重量と液体の体積を単純に掛け合わせる方法では、計算が合いません。

管理対象は原料マスターだけにとどまらず、製品、中間品、包材、規格値へと広がります。規格値には、Brix、pH、酸度、炭酸量を含みます。表示にかかわるものとして、アレルゲン、添加物、栄養成分も関連付けます。

これらを原料ロット、製造ライン、担当者、承認履歴と結びつけておくと、原料変更の影響が及ぶ製品、表示、購買、在庫、品質検査を辿れます。

優先すべき管理領域

導入時に優先順位を決める管理領域は、次の5つです。

  • 処方・配合マスターと版管理・承認:製品と配合の情報、処方の改訂履歴、承認の状況
  • 製造指示・所要量計算:指示内容と必要量の算出
  • 原価・在庫連携:原価と在庫の受け渡し
  • 品質・表示・規格管理:品質データ、表示内容、規格値
  • ロットトレース:原料と製品の対応をたどる

現場入力をタブレットやバーコードで行うときは、秤やPLCとの接続を検討します。MES、LIMS、SCADAとの連携も視野に入れます。通信が途切れた場合の再送方法は、あらかじめ決めておきます。

導入の目的は、レシピを検索しやすくすることに留まりません。変更を安全に通し、作業の転記を減らし、異常時に事実を短時間で確認できる状態をつくることです。

NTTデータグループが公開したキリンビールのRTD向け処方管理の事例では、処方開発情報を一元管理することで、年間約2,000時間の業務時間削減を目指すとされています(出典: NTTデータグループ「キリンビールRTDの商品開発力強化に向け、処方管理システムを導入」、2024年)。削減効果は、対象業務や導入範囲によって変わります。そのため、自社の変更確認時間や転記件数は、導入前に計測しておきます。

ポイント

原料変更の影響先を導入前に洗い出せるかどうかで、管理対象の範囲を決めると判断しやすくなります。処方、中間品、表示、ロットのつながりを見ると、比較の漏れを減らせます。

飲料製造業向け配合管理システム開発の進め方

要件を標準、独自、将来検討の3層に分けた図。
要件の置き場所を分けると、初期範囲を整理しやすくなります。

開発は、機能一覧から作り始めるより、処方変更を起点に製造・出荷・回収までの業務を時系列で追うほうが進めやすいです。

全体は、要件整理、選定、設計開発、テスト、稼働、定着の6フェーズに分かれます。各フェーズで作るものと判断の基準を、順に示します。

1. 要件整理:処方変更から出荷までの流れ

研究開発、品質保証、工場の担当者を集めます。購買、在庫、営業、情報システムの担当者も加え、現状の業務を一つの流れに整理します。

各工程では、判断した担当者と根拠を記録します。確定データと、次の担当へ渡す情報も残します。

  1. 製品の新規登録
  2. 試作
  3. 処方承認
  4. 原料の手配
  5. 仕込み
  6. 調合
  7. 殺菌
  8. 充填
  9. 検査
  10. 出荷
  11. 問い合わせ対応

要件は標準、独自、将来検討の3層に分けます。標準要件には、ロットや賞味期限、版数などの基本項目を含めます。承認、表示、HACCP記録も、この層に入ります。

一方、独自要件には、濃度計算、OEM/PBごとの承認ルール、ライン固有の投入条件を置きます。AIによる処方候補や需要予測は、承認済みデータだけを使う将来要件として切り分けます。そうすると、初期開発の範囲を広げずに済みます。

作るものは、業務フローと現行システム一覧です。データ項目表と権限一覧、連携一覧も作ります。代表シナリオと優先度表も用意します。

Excelの表は、中身を確かめてから要件書に写します。同じ商品名の表記揺れや、kgとLの違いを洗い出します。

発注単位と配合単位の違い、廃番品の扱いも確かめます。ここが曖昧なままだと、後工程で画面や連携を作り直すことになります。

2. 選定:パッケージ、クラウド、スクラッチの比較

候補は、標準パッケージ、食品・製造業向けクラウド、既存基幹システムの拡張、スクラッチ開発です。同じ業務シナリオで比べます。

デモでは、代表SKUを登録し、処方を改訂して承認版から製造指示を出す流れを見ます。使用した原料ロットから製品ロットを検索できるかも、あわせて確かめます。

候補を絞る際は、次の実績や体制について質問します。

  • 導入実績:飲料・食品分野での経験の有無
  • 処方機能:配合管理の対応範囲
  • データ移行:原料・包材マスターを、どのように移すか
  • システム連携:ERP、MES、LIMS、秤との連携実績
  • 導入体制:品質保証部門を含む支援体制の内容

パッケージは、食品のロットや期限、多階層マスターを早く使える可能性があります。一方で、独自の工程に無理に合わせると、現場がExcelへ戻ることがあります。

クラウドは、バックアップやパッチ適用の負担を抑えやすいものの、確認すべき点もあります。処方情報の保管場所とテナント分離を確かめます。さらに、APIやオフライン入力、障害時に現場が作業を続けられるかも見ます。

スクラッチは、特殊な調合や複数工場の運用に合わせやすいです。ただし、法改正、脆弱性対応、担当者の退職後の保守まで、自社が責任を持つことになります。

DAIKO XTECHのBlendjin公式情報では、中間品や共通材料を含む多段階配合、kg・缶・本・Lなどの単位変換、ロットトレースが説明されています(出典: DAIKO XTECH「Blendjin」、2026年確認)。

機能の動きは、画面の見た目だけでなく、自社の運用に近い実データのサンプルで確かめます。

3. 設計・開発:版管理と連携の先行設計

設計では、処方版と製造実績を履歴で結びます。原料を変えたとき、表示やアレルゲン、栄養成分、原価にどう影響するかも辿れるようにします。

  • 履歴管理:処方を上書きせず、変更前後を追える状態を保ちます。
  • 連携設計:送受信先と、障害時の処理の決め方
  • 権限設計:役割ごとの画面と操作権限の区分

品目の情報は、製品、中間品、原料、包材ごとに分けます。処方版や工程は、別のマスターにします。品質規格、ロット、設備、作業者も、それぞれ独立させます。

処方を上書きすると、過去にどの版で製造したかが分からなくなります。そのため、発効日、失効日、承認者を記録します。変更理由と変更前後の差分も、あわせて残します。

販売・生産計画から製造予定を受け、購買・在庫から原料単価とロットを受け取ります。現場からは投入実績と検査結果を受け取り、完成品の情報をWMSや販売管理へ渡す構成が一般的です。

連携の方式は、API、CSV、データベース連携から選びます。再送、二重登録防止、一時保存の扱いに加え、マスターの正本も決めます。

研究開発者が処方を編集する画面と、現場作業者が承認済みの指示を確認する画面は分けます。処方の編集権限と製造実行の権限を、同じ人に広く与えないよう注意します。

研究開発、品質保証、工場、購買、管理者の各担当に、最小権限を設定します。開発中は、全SKUではなく、主要な10〜30SKUと代表的な原料・中間品で動く最小構成を作ります。計算や承認の問題も、そのほうが早く見つかります。

4. テスト:業務シナリオによる計算・承認・追跡の検証

テストは画面の表示だけでなく、計算、連携、承認、追跡の動きを確かめます。異常時の動作も対象です。

  • 計算:単位換算、濃縮・希釈、歩留まり、端数、賞味期限、版の発効日
  • 連携:ERP、在庫、MES、LIMS、秤、バーコードとの受け渡し
  • 受入業務:新商品の承認、原料ロットの切り替え、Brix・pHの規格外記録
  • 承認と追跡:承認前の製造、製品から原料、原料から出荷先までの検索
  • 異常時:通信断、秤の重複、在庫不足、未承認表示、アカウント停止

承認前の版が製造画面に出ず、承認後の変更が差分として残ることを確認します。また、回収の対象を条件で絞り込めることも、合格条件に入れます。

テスト結果には、担当者名や実施日時、入力値、期待値を記録します。実績、判定、残課題も書き残します。口頭の「問題ありません」だけで済ませないよう注意します。

5. 稼働:データ移行と現場の切り替え

稼働前の最大の作業は、画面開発よりもマスター整備と移行です。そのうえで、段階導入の対象と切り替え方も決めます。

  • 移行データ:製品、原料、包材、中間品、単位、規格、表示、取引先、ロット、在庫
  • データ整理:重複、廃番、表記揺れ、欠損値の洗い出し
  • 移行範囲:履歴期間、変換方法、責任者、承認、リハーサル回数の決定
  • 段階導入:最初は1工場または1ライン、代表SKU、限られた利用者で始める
  • 切り替え:正本にする日、窓口、紙運用、復旧後の再入力の準備

過去データは、すべて移すか、現行品と参照が必要な期間だけ移すかを決めます。そのうえで、対象、変換ルール、責任者、承認方法を文書にまとめます。

並行稼働を設ける場合は、二重入力が長引くと現場の負担が増えます。そこで、どの業務をいつ新システムの正本にするかを、日付で決めておきます。

食品表示や品質記録は、システムが自動で法令適合を保証するわけではありません。そのため、品質保証部門と規制担当が最終承認し、システムの判定だけで出荷可否を決めない設計にします。

消費者庁は、食品添加物の安全性評価、成分規格、使用基準を示しています(出典: 消費者庁「食品添加物」、2026年確認)。そこで、表示・添加物・アレルゲンの根拠を、処方から辿れる状態にします。

6. 定着:KPIと改善会議で使われ続ける状態づくり

稼働後は、ログイン数だけでなく、導入目的に直結するKPIを測ります。

  • 承認:処方変更の確定までにかかる時間
  • 転記・計算:手で写し直した件数と、原料計算の差し戻し件数
  • 追跡:ロットを辿るのに要した時間
  • 原価:標準と実績の差異
  • 品質記録:未入力件数

導入前の基準値と、30日後、60日後、90日後の値を比べると、改善が要る箇所を見つけられます。

定着を妨げる原因は、操作の難しさだけに限りません。現場の言葉とマスターの項目名が一致しないことや、例外処理が紙に残ることも、運用上の摩擦になります。承認者の不在や、変更依頼の窓口が分からないことも、原因になります。

工場ごとにスーパーユーザーを置きます。処方、品質、生産の代表者が、月1回程度の改善会議で課題の優先順位を決めます。

クラウドや設備連携を使う場合は、セキュリティ運用も定着の一部として定期的に確認します。経済産業省の中小規模製造事業者向け解説書は、工場の資産把握や担当者の役割、ネットワークやサプライチェーンを含む対策を、具体的に示しています(出典: 経済産業省「工場セキュリティの重要性と始め方」、2025年)。

処方の閲覧権限や退職者のアカウント、バックアップを、定期点検の項目に入れます。復旧訓練とインシデントの連絡先も、導入時だけで終わらせず、定期的に確かめます。

ポイント

各フェーズで判断に迷ったら、その結果が製造、品質、追跡のどこにつながるかで決めると、要件の優先順位を付けやすくなります。

飲料製造業向け配合管理システムの費用相場とコストの内訳

初期費用を要件定義・業務設計、ライセンスまたは利用料、画面・ワークフロー開発、処方計算に分けた図。
見積書では各項目の作業範囲を照らし合わせます。

飲料の配合管理だけを切り出した公開見積は少なく、費用は拠点数、SKU数、処方版数で大きく変わります。さらに、設備連携や表示・品質機能、データ移行、利用者数によっても変わります。

そのため、ここで示すのは、2026年時点で公開されている食品業界向けシステムの価格情報と、配合管理の開発範囲を組み合わせた目安です。確定金額ではなく、相見積もりの予算枠を決めるためのレンジとして使います。

導入パターン別の費用目安

公開価格は少ないため、導入パターンごとの目安を示します。費用は、拠点数や連携範囲によって変わります。

  • 小規模クラウド:初期0〜200万円、月額1万〜50万円程度
  • 食品工場向け公開サービス:初期0円、月額9,800円や14,800円から
  • 配合管理のPoC・1拠点:300万〜800万円程度
  • 食品特化クラウド・パッケージ:初期200万〜1,000万円、月額10万〜50万円
  • 個別開発・複数工場:中規模800万〜2,000万円、統合型3,000万〜1.5億円以上

公開サービスには、飲料特有の処方承認や多段階配合、設備連携が含まれないこともあります。PoCまたは1拠点の小規模導入では、処方マスター、版管理、所要量計算を含めて300万〜800万円程度を想定します。ロット追跡やERPとのCSV/API連携も、同じ範囲で考えます。

食品特化クラウドやパッケージでは、カスタマイズと周辺連携を含めると、1,000万〜8,000万円程度の構成もあります。食品向けERPを複数部門・複数拠点で導入する場合は、3,000万〜1.5億円以上のレンジも想定されます。

この食品向けERPの金額は、株式会社クオンツが公開する食品業界向けの刷新目安に基づくもので、飲料専用の確定価格ではありません(出典: 株式会社クオンツ「食品業界の基幹システム刷新」、2026年)。一般的な製造業のスクラッチ開発では、小規模300万〜1,000万円、中規模1,000万〜5,000万円、大規模5,000万〜1億円以上が目安です。

スクラッチ開発の金額は、対象範囲や工数、独自調合によって変わります。設備制御や複数工場の統合でも変動します。

初期開発費の変動要因:要件・連携・移行

初期費用は、要件定義・業務設計、ライセンスまたは利用料、画面・ワークフロー開発、処方計算に分けて確かめます。

  • 要件・開発:要件定義、業務設計、画面、ワークフロー、処方計算
  • 連携・移行:ERP・MES・LIMS・設備連携、データ移行
  • 導入支援:テスト、教育、プロジェクト管理

マスターの品質が成否を左右するため、品目整理やデータクレンジングを「お客様作業」として省かず、必要な支援時間を見積もりに計上します。

ランニングコストには、月額利用料と保守・サポートのほか、クラウド基盤やバックアップ、監視が含まれます。端末やバーコード、秤の保守、APIの変更対応も、継続して発生する費用です。

個別開発では、初期開発費の年15〜25%を保守運用費として見込む考え方があります。あわせて、利用者・工場・品目の追加や法改正対応、帳票変更の単価も、契約前に確認します。複数の見積もりは、5年間の総保有コストで比べます。

検討から定着までの期間

開発期間の目安は、導入規模によって異なります。

  1. 小規模クラウド利用:数週間〜3か月
  2. PoCまたは1工場の配合管理:3〜6か月
  3. 中規模の食品パッケージや個別開発:6〜18か月
  4. 複数工場のERP・MES連携:14〜24か月

検討、RFP、選定に3〜6か月かかる場合もあります。社内の意思決定の期間も、開発期間に含めて考えます。

株式会社クオンツは、刷新の検討から成果獲得までを15〜27か月程度と、現実的なスケジュールとして説明しています(出典: 株式会社クオンツ「販売管理・在庫管理システム刷新の完全ガイド」、2026年)。

短納期を優先する場合は、処方登録と承認、所要量計算を核にしたMVPから始めます。製造指示とロット追跡もMVPに含め、表示、原価、設備連携は段階的に加えます。ただし、後から追加しにくいデータモデルや権限設計は、初期に決めます。

安価な見積もりでは、要件定義や移行リハーサル、結合・総合テストが含まれているかを確かめます。教育や稼働後サポートも、あわせて確認します。

ポイント

費用は、初期費用とランニングコストを分けて、5年間の総保有コストで比べると、見積もりの差を判断しやすくなります。公開価格の目安は確定額ではないため、相見積もりの予算枠を決める材料として使うのが適切です。

飲料製造業向け配合管理システムの見積もりを取る際のポイント

見積もりの差は、対象範囲の違いから生まれます。そのため、RFPには対象工場やライン、SKU、利用者を明記します。原料、既存システム、品質項目も、あわせて書きます。

連携方式や移行対象、受入条件、保守水準も示します。候補各社には同じ条件を渡し、価格と含まれる作業の差を比べます。

RFPに入れる5領域:処方・連携・移行・運用

RFPでは、次の5つの領域ごとに、必要な条件を具体的に書きます。

  • 処方:製品・中間品の階層、投入順、仕込み量、濃度、歩留まり、単位変換、版数、発効日、変更理由、承認者
  • 表示・品質:Brix、pH、酸度、炭酸量、微生物検査、添加物、アレルゲン、栄養成分、規格外時の処置
  • 原価:原料単価、包材費、廃棄、標準と実績の比べ方
  • 連携:販売・生産計画、購買、在庫、WMS、MES、LIMS、秤、PLC、ラベル発行との送受信データと時期
  • 移行・運用:対象マスター件数、履歴期間、整備担当、移行リハーサル回数、問い合わせ窓口、復旧目標、バックアップ、権限の見直し、法改正・帳票変更への対応

PoCでは、代表SKUを10〜30品程度、主要原料や中間品とともに登録します。受入条件は、処方登録から承認、製造指示、実績登録、原価確認、ロット追跡までを、一つのシナリオで完了することです。

この品数は、導入規模に応じて調整する目安です。画面デモよりも、実業務に近いデータで比べると、各社の差を確かめられます。

同一シナリオによる複数社の比較と実績の再現性

相見積もりは3社程度を目安に、各社へ同じ比較項目を示します。

  • 費用:初期費用、月額、追加開発
  • 導入:機能、期間、データ移行
  • 支援:教育、保守の範囲
  • 実績の条件:工場規模、SKU数、ライン構成、OEM比率、既存システム
  • 効果検証:導入前の基準値との比較

大手飲料メーカーの事例があっても、自社で同じ効果が出るとは限りません。そのため、公開事例の削減効果を断定せず、導入前の基準値をベンダーと共有します。

担当営業だけでなく、要件定義者やプロジェクトマネージャーが契約後も関わるかを確認します。現場導入担当と保守担当についても、同じ視点で見ます。引き継ぎによる品質低下を避けるためにも、この確認が要ります。

処方機能の範囲や、カスタマイズ後の更新による影響を確認します。権限、保管場所、API仕様、オフライン時の継続方法も、あわせて見ます。

安すぎる見積もりで抜けやすい工程

初期費用だけが極端に安い場合は、工程や運用が別料金になっていないかを確かめます。

  • 導入作業:要件定義、データ整備、連携、テスト
  • 稼働後の支援:教育、保守の範囲
  • 契約条件:追加開発の単価と変更管理の手順を、契約書や見積条件に残すこと

品目マスターの整理や移行リハーサルを省くと、稼働直後に現場が紙やExcelへ戻るおそれがあります。

「クラウドなので安全」という説明を受けたときは、確認の対象を分けて考えます。処方・原料単価・品質データの機密性、製造指示の改ざん防止、工場停止時の可用性は、それぞれ別に確かめます。

MFAや最小権限、操作ログ、暗号化の対策を確認します。バックアップや復旧訓練、脆弱性対応、インシデント連絡については、どこまでを誰が受け持つかを確かめます。

工場ネットワークと業務ネットワークの分離や、設備との接続点も評価します。委託先の再委託先まで含めて見ます。

AIで処方候補を作る機能が提案された場合は、AIの提案と確定処方を分けて扱います。外部学習への利用を禁止できるかを確かめます。

入力データの保管場所や根拠の表示、承認者のレビュー、変更ログも対象です。誤った提案が出たときに、どこまでを誰が負うかも確認します。

AIは判断を補う使い方から始めると、食品安全と機密保持を両立させやすくなります。承認済みのデータを使った候補提示や検索支援が、その出発点になります。

ポイント

同じ条件で各社の見積もりを比べ、安い見積もりは含まれていない工程を確かめてから判断するのが目安です。価格の差が対象範囲のどこから生まれるかを説明できれば、比較の土台がそろっています。

よくある質問(FAQ)

導入前の質問は、費用や期間だけでなく、Excel、既存ERP、食品安全、クラウドの機密性にも及びます。これらを含めて判断すると、自社に合わない製品を選ばずに済みます。

Excelの配合表から移行できますか?

移行はできますが、ファイルをそのまま取り込めば終わるとは限りません。製品名や原料名の重複、kg・L・本などの単位の表記揺れを整理します。廃番品、版数、承認状態、表示情報の欠損も確認し、移行対象と履歴の範囲を決めます。

代表SKUで移行リハーサルを行い、現場と品質保証が新旧の処方を照合してから本移行します。

既存のERPやMESと連携できますか?

連携できますが、最初にデータの正本と連携タイミングを決める必要があります。連携先は、販売・生産計画、購買、在庫、WMSです。MES、LIMS、秤、ラベル発行との間でも、データを受け渡します。

そのうえで、品目、原料ロット、製造指示、投入実績、検査結果を、どちら向きに渡すかを整理します。

API、CSV、データベース連携の方式に加えて、送信失敗や重複、通信断、復旧後の再送まで、受入テストに含めます。

配合管理システムを入れればHACCPに対応できますか?

システム導入だけでHACCPや食品表示への適合が自動的に保証されるわけではありません。そのため、要件には重要管理点の温度や工程の記録、衛生管理を含めます。

異常時の是正措置や監査用の出力、原料ロットから製品ロットまでの追跡も、要件に入れます。品質保証部門による運用の承認も必要です。

農林水産省が食品トレーサビリティの資料で示す考え方に沿い、入荷元と出荷先を検索できるよう記録を設計します(出典: 農林水産省「トレーサビリティ関係」、2026年確認)。

処方情報をクラウドで管理しても安全ですか?

安全性は、クラウドかオンプレミスかだけでは決まりません。処方の閲覧・編集・承認の権限や、MFA、操作ログ、暗号化を確かめます。

加えて、バックアップと復旧目標、データの保管場所、委託先の脆弱性対応、工場ネットワークとの接続点も確認します。特に、承認前の処方を製造へ出せない制御と、退職者や異動者のアカウントを速やかに停止する運用を、デモと契約条件の両方で確認します。

ポイント

導入の可否は、費用や期間に加えて、Excelからの移行、既存システムとの連携、食品安全、クラウドの機密性を確かめてから決めると、判断を誤りにくくなります。

まとめ

飲料製造業向けの配合管理システムは、処方表の電子化にとどまりません。

中間品を含む多段階配合や濃度・単位の換算、版管理と承認を、製造指示に結びつけます。品質・表示、原価、ロットトレースも同じ業務フローに含め、一つの流れとして設計します。

6フェーズによる段階的な進め方

進め方は、要件整理、選定、設計開発、テスト、稼働、定着の6フェーズです。業務とデータの流れを整理し、版管理や連携を設計して、計算・承認・追跡を検証します。

移行と切り替えを管理し、稼働後はKPIをもとに改善します。全工場へ広げる前に、代表SKUと1ラインのPoCで効果と課題を確かめると、投資判断の精度を高められます。

業務成果で比べる見積もりの観点

見積もりでは、費用と運用条件を同じ基準で比べます。

  • 費用範囲:初期費用に加え、移行、連携、教育、保守、社内工数の範囲
  • 処方変更:製造、表示、品質、原価、ロット追跡への影響
  • ベンダー:導入実績と権限設計
  • 安全性:セキュリティ対策と障害時の継続手順

飲料の処方は、競争力の源泉であり、品質と食品安全を支える大切なデータです。自社の現場で守るべき処方と標準化できる業務を整理したうえで、無理なく使い続けられる配合管理システムを選びましょう。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。