BtoB通販・ECサイトの機能は、取引先が使うフロント機能と、自社の運営担当が使うバックオフィス機能に分かれます。なかでも、得意先別価格や掛売り、承認フローなど企業間取引に合う機能を選ぶことが重要です。
全体像をまだ把握していない方は、まずBtoB通販・EC構築の完全ガイドから読むのがおすすめです。記事の最後には、機能選定で迷わないための「必須機能チェックリスト」も用意しました。
Webサービス開発の種類・工程・費用・会社選定までの全体像については、無料ホワイトペーパー「Webサービス開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
BtoB通販/ECサイトの機能全体像

BtoB通販・ECサイトの機能を考えるときは、まず全体を見渡すことから始めます。個別の機能を先に積み上げると、本当に必要な機能が抜けたり、逆に作り込みすぎてコストが膨らんだりするためです。
BtoB ECの機能は、大きく「フロント機能(取引先が使う画面)」と「バックオフィス機能(自社の運営担当が使う仕組み)」に分かれます。さらに、BtoCと共通する機能とBtoB固有の機能にも整理できます。
フロント機能とバックオフィス機能の全体マップ
BtoB ECの機能は、役割ごとに次の4つに分けて考えられます。なかでも取引条件機能は、得意先別価格や掛売りを扱うため、BtoB ECの中核になります。
- フロント機能:商品検索・注文・再注文
- 取引条件機能:得意先別価格・掛売り・与信・承認
- バックオフィス機能:受注・在庫・請求・会員管理
- 外部連携機能:ERP・在庫・WMSとの連携
発注側として押さえたいのは、フロントの使いやすさだけで判断しないことです。取引先が毎日使う発注画面の操作性ももちろん大切です。一方で、自社の運営担当が受注をさばき、請求を締め、在庫を合わせるバックオフィスが回らなければ、結局は人手の作業が残ります。
BtoB ECは、「取引先の利便性」と「自社の業務効率化」の両方がそろって初めて効果を発揮します。機能設計は、この前提を出発点にします。
BtoCにないBtoB固有機能
BtoB ECがBtoC通販と大きく違うのは、取引先ごとに条件が変わる点です。BtoCでは誰が買っても同じ価格・同じ決済です。一方、BtoBでは得意先Aには定価の8掛け、得意先Bには7掛けといった具合に、価格そのものが取引先ごとに変わります。
さらに、BtoBの支払いは「月末締め翌月末払い」の掛売りが一般的で、そのため与信枠の管理も必要になります。特に「価格の出し分け」と「掛売り・与信」は、BtoB固有機能の代表格です。こうした固有機能は、当然ながら開発コストにも響きます。
得意先別価格や掛売りなどのBtoB固有機能をひととおり備えると、同規模のBtoCサイトと比べて30〜100%の費用増になるのが一般的です。「ECサイトなんてどれも同じだろう」とBtoCの相場感で見積もると、想定外のコスト差に驚くことになります。ただし、この上乗せは商習慣をシステムに乗せるための必要な投資で、削ると現場が使わないシステムになりかねません。
取引条件にかかわる必須機能

BtoB通販・ECサイトの必須機能のなかでも、最初に固めるべきなのが「取引条件にかかわる機能」です。これは、商品をいくらで、どの支払い条件で売るかを決める部分です。
ここが自社の商習慣に合っていないと、そもそも取引先がECで発注してくれません。具体的には、「得意先別価格・掛率設定」と「掛売り・与信管理・請求締め」の2つが柱になります。
得意先別価格・掛率設定機能
得意先別価格・掛率設定機能は、BtoB ECでもっとも重要な必須機能といえます。ログインした取引先ごとに、その取引先専用の価格を自動で表示する仕組みです。たとえば、得意先Aがログインすれば定価の80%、得意先Bがログインすれば75%といった価格が、商品一覧やカートに最初から反映されます。
取引先は、自分にとっての本当の仕入れ値を見て発注できます。そのため、価格を電話やメールで問い合わせる手間がなくなります。設定の方式には、取引先グループごとに一律の掛率を当てる「掛率方式」と、商品×取引先ごとに個別単価を持たせる「個別単価方式」の2つがあります。
多くの企業は両者を組み合わせ、基本は掛率で運用しつつ、戦略商品や大口取引先だけ個別単価で上書きします。発注側が要件定義で確認したいのは、価格ルールが何パターンあるか、数量に応じた値引きが必要か、期間限定の特価をどう扱うかです。ここが曖昧なまま標準機能だけで進めると、後から「うちの値付けが表現できない」という事態に陥りかねません。
掛売り・与信管理・請求締め機能
BtoBの決済は、その場でクレジットカード決済をするBtoCと違い、「掛売り(後払い)」が主流です。取引先は注文のたびに払わず、一定期間の取引を「月末締め・翌月末払い」のようにまとめて精算します。そのため、BtoB ECには、「いくらまで掛けで売ってよいか」を管理する与信管理と、締め日ごとに請求をまとめる請求締め機能が欠かせません。
与信管理機能では、取引先ごとに与信枠(掛けで売れる上限額)を設定し、未回収の売掛金が枠を超えそうな場合に注文をブロックしたりアラートを出したりします。請求締め機能では、取引先ごとに異なる締め日(月末締め、20日締めなど)に合わせて、請求書を自動で作成します。発注側が見落としやすいのは、この「締めパターンの多様さ」です。
取引先によって締め日も支払いサイトも違うとき、それを標準機能で吸収できるか、作り込みが要るかで、費用が大きく変わります。掛売り・与信・請求締めは、BtoB固有機能のなかでも特に商習慣への依存が強い分野です。このため、riplaのようなフルスクラッチ受託が選ばれやすい面もあります。
受発注を効率化する機能

取引条件の機能が「正しく売る」ための土台だとすれば、受発注を効率化する機能は「楽に、速く売買する」ための仕組みです。BtoBの受発注は、同じ取引先が同じ商品を繰り返し発注する「定期反復型」が多いため、ここを効率化できるかどうかが、EC化による業務削減効果を大きく左右します。
代表的なのは「承認フロー(稟議)」「再注文」「見積依頼」です。さらに、大企業との取引で求められるのが「PunchOut連携」です。
承認フロー(稟議)機能
承認フロー機能は、BtoB特有の「組織で発注する」という性質に対応するための機能です。BtoCでは個人が自分の判断で買いますが、BtoBでは、担当者がカートに入れた注文を上長が承認して初めて確定するケースが少なくありません。金額別の多段階承認も一般的で、たとえば一定額以上は部長承認、さらに高額なら役員承認になります。
これをECサイト上で再現するのが、承認フロー(稟議)機能です。承認フローをECに組み込む価値は、取引先の社内統制を保ちながら、紙やメールでの稟議をなくせる点にあります。発注担当者が注文を作成すると承認者に通知が届き、承認者は画面上で承認や差し戻しを行えます。
承認履歴も残るため、「誰がいつ何を承認したか」を後から追えます。発注側(売り手)の視点では、取引先のこうした統制ニーズに応えられるかが、大企業を顧客に取り込めるかの分かれ目になります。要件定義では、承認の段数や金額のしきい値、代理承認の要否を、取引先の実態に合わせて確かめておく必要があります。
再注文・見積依頼・PunchOut連携機能
再注文機能は、地味ながらBtoB ECで最も使われる機能の一つで、BtoBでは「先月と同じものをまた頼む」という反復発注が大半を占めます。そのため、過去の注文履歴やお気に入りリストからワンクリックで同じ内容を再発注できる仕組みは、取引先の発注作業を劇的に短縮します。さらに、よく頼む品目をテンプレート化する「定型発注」やCSVの一括発注も、大量品目を扱う取引先には喜ばれます。
見積依頼機能は、価格が固定されない案件や特注品・大口取引で活躍します。取引先がカートの内容を見積依頼に回し、売り手が金額を調整して回答、合意すれば注文に変換する一連の流れを、EC上で完結できます。PunchOut連携は、取引先が自社の購買システムから離れずにECカタログを呼び出して商品を選び、その内容を購買システムに戻して発注する仕組みです。
また、大企業との取引では、この購買システム連携の有無が取引の前提条件になることもあります。自動化機能の効果は数字にも表れ、たとえば受注処理1件あたり20分の削減を月1,000件の注文に適用すると、年間で約4,000時間の業務削減が見込めます。こうして見ると、自動見積・再注文・承認フローへの投資が、大きなリターンを生むことが分かります。
バックオフィス・外部連携機能
フロントの機能がいくら充実していても、裏側で動くバックオフィスと外部システムの連携が弱いと、結局は手作業が残って効率化の効果が半減します。BtoB ECは規模が広がるほど、ERP(基幹システム)・在庫・物流(WMS)とのデータ連携が重要になります。加えて、取引先や運営担当の権限を細かく管理する会員・権限管理機能も欠かせません。
ERP・在庫・WMSとのリアルタイム連携
BtoB ECが扱う在庫は、ECサイトだけで完結せず、店頭や他チャネル、複数の倉庫と共有されていることがほとんどです。そのため、ECの在庫表示が実在庫とずれると、「在庫があると表示されたのに実は欠品していた」という売り越しが起き、取引先の信頼を一気に損ないます。その対策が、ERP・在庫・WMS(倉庫管理システム)とのリアルタイム連携です。
規模が拡大したときにこの連携を備えておけば、売り越しや欠品を未然に防げます。連携は双方向で、ERP側の商品マスタ・価格・在庫をECに流し、ECで発生した受注データをERPや会計に戻します。WMSとは、出荷指示と出荷実績をやり取りします。
連携の作り込みは費用を左右し、ERP連携を伴う大規模なBtoB ECは2,000万円以上が一つの目安、中規模は800〜2,000万円、小規模なら300〜800万円が相場です。発注側としては、段階的な設計が初期投資を抑える鍵になります。たとえば、最初からフル連携を狙う進め方と、CSV連携で手動同期してからAPIでリアルタイム化する進め方があります。
会員管理・権限管理・分析機能
BtoBの「会員」は個人ではなく「企業(取引先)」で、その中には複数の発注担当者がいるのが普通です。そのため、会員管理機能には、企業単位の管理と、その配下にある担当者ごとのアカウント管理という二階層の構造が求められます。さらに、担当者ごとに「発注できる人」「承認する人」「閲覧だけの人」といった役割を分ける権限管理も欠かせません。
部署単位で発注できる商品や予算を絞るといった統制ニーズにも、この機能で応えます。また、分析機能は、取引先別・商品別の売上推移や発注頻度を一覧にし、休眠取引先も見つけ出します。BtoBでは取引先数が限られる分、一社あたりの取引額が大きくなります。
このため、「主要取引先の発注が減っていないか」を早く察知できる分析機能は、営業活動に直結します。発注側として注意したいのは、バックオフィス機能を「とりあえず全部ほしい」と要望すると、一気に費用が膨らむ点です。まずは会員・権限管理という運用に必須の機能を固め、そのうえで分析を標準のレポートで足りるか、専用のBIツールに任せるかを切り分けると、コストを抑えられます。
まとめ
BtoB通販・ECサイトに必要な機能は、突き詰めると「BtoCにない固有機能を、いかに自社の商習慣に合わせるか」に行き着きます。得意先別価格や掛売り、承認フローなどのBtoB固有機能をひととおり備えると、同規模のBtoCサイトより30〜100%の費用増になります。だからこそ、自社に必須の機能を見極めることが、投資を無駄なく使うことにつながります。
機能選定は、段階的に進めるのが王道です。たとえば、BtoB専用カートなら初期8万円・月額9,800円〜という低コストで標準のBtoB機能を使い始められます。規模が広がるにつれて、ERP連携を伴う大規模構築(2,000万円以上が目安)へ育てていけます。
受注処理1件あたり20分の削減が月1,000件で、年間約4,000時間の削減になる点を念頭に、自動見積・再注文・承認フローへの投資対効果を見極めてください。
riplaは、フルスクラッチ受託と国内開発を組み合わせ、商習慣に合わせた機能の作り込みを一貫して支援しています。全体像を確かめるには、完全ガイドも役立ちます。
開発を検討する方は、次の無料ホワイトペーパーもご覧ください。
Webサービス開発の完全ガイドブックをご覧ください。
【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブックもご覧ください。
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
