業務システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

業務システム開発は、目的と要件を固めたうえで、設計・開発、検証、運用へと進む流れです。

  • 業務の課題と利用者を整理して、必要な機能を決める
  • 要件と費用を、スケジュールや品質条件とあわせて比べられる形にする
  • 工程ごとに検証し、運用・保守と改善まで計画する

業務システムは進め方次第で成否が大きく分かれ、手順を飛ばすと仕様変更や手戻りが増えて、予算超過や納期遅延につながることも少なくありません。

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業務システム開発の全体像

業務システム開発の企画・要件定義からリリース・運用までの5フェーズを矢印で示した図。
各工程で目的と完成物を確認しながら進みます。

業務システム開発とは、企業の日常業務を効率化・自動化するためのソフトウェアを設計・構築するプロセスです。販売管理や人事・給与管理、会計システムなど、企業の業務フローを支えるあらゆるシステムが対象になります。

近年はクラウド技術の普及により開発の選択肢も広がっており、スクラッチ開発のほかに、ローコード開発やSaaSのカスタマイズなど、さまざまなアプローチが取られるようになっています。

業務システムの種類と特徴

業務システムには、大きく分けてスクラッチ開発とパッケージ導入の2種類があります。スクラッチ開発は企業固有の業務フローに完全に対応できる反面、開発コストと期間が大きくなります。

一方、パッケージソフトのカスタマイズは初期コストを抑えられますが、自社業務への適合度に限界がある場合もあります。また、近年注目されているローコード・ノーコード開発は、エンジニアでなくても開発できる柔軟性があり、中小企業を中心に採用事例が増えています。

2023年のIDC Japanの調査によると、国内企業のローコード開発ツール市場は前年比30%以上の成長を見せており、今後も拡大が見込まれています。自社の業務規模・予算・要求する柔軟性に応じて最適な手法を選ぶことが、プロジェクト成功の第一歩です。

開発プロセスの全体フロー

業務システム開発は一般的に、「企画・要件定義」「設計」「開発・実装」「テスト」「リリース・運用」の5つのフェーズで進みます。このフローは、ウォーターフォール型と呼ばれる伝統的な手法です。一方で、近年はアジャイル型や両者を組み合わせたハイブリッド型も増えています。

どの流れを採用するにしても、各フェーズで目的と完成させるものを明確にし、関係者どうしで合意を取り付けることが欠かせません。特に中小規模の企業では、開発会社との認識のずれがトラブルの主因となることが多いため、各フェーズでの確認と承認の進め方を丁寧に設計しておく必要があります。

要件定義・企画フェーズの進め方

要件定義フェーズは、業務システム開発の中でも最も重要な段階と言っても過言ではありません。この段階で「何を作るか」を明確にしておかないと、後工程で大きな手戻りが発生します。

実際に、国内のシステム開発プロジェクトの失敗原因の約60%は要件定義の不備に起因するという調査結果もあります。だからこそ、時間をかけてでも徹底的に要件を洗い出すことが、プロジェクト全体の品質とコストを左右します。

現状業務の分析と課題抽出

要件定義の第一歩は、現状の業務フローを徹底的に分析することです。現場の担当者にヒアリングして、日々どのような作業を行っているか、どこに非効率やボトルネックがあるかを把握します。この際、業務フロー図やプロセスマップを作成しておくと、関係者間で認識を共有しやすくなります。

たとえば、受注処理に1件あたり平均30分かかっているとすれば、月間500件の受注がある企業では月250時間を費やしていることになります。このような具体的な数値を把握しておくと、システム化による効果を定量的に示せます。また、現場の担当者だけでなく、管理職や経営層の視点からも課題を洗い出すと、より包括的な要件定義が可能になります。

要件定義書の作成と合意形成

課題が明確になったら、解決すべき問題と実現したい機能を要件定義書に落とし込みます。要件定義書には、機能要件(システムが実現すべき機能)と非機能要件(性能、セキュリティ、可用性など)の両方を記載します。

機能要件では、「誰が」「何を」「どのように」操作できるかを具体的に書きます。非機能要件では、「1秒以内に画面を表示する」「99.9%の稼働率を確保する」のように、数値の目標を置くことが大切です。

作成した要件定義書は、関係する全部署の担当者と、発注先の開発会社との間で合意を取ります。そのうえで、双方がサインしてから次のフェーズに進めば、後のトラブルを防げます。

ポイント

要件定義は、現場の業務と要件定義書の内容が発注側と開発会社の双方で一致しているかを、次の工程に進む前の判断の目安にしてください。

設計・開発フェーズの進め方

ウォーターフォール型とアジャイル型を左右に置き、進め方、変更への対応、管理上の特徴を対比した図。
要件の固まり具合や変更の見込みが、手法選びの軸になります。

設計フェーズでは、要件定義書をもとに、システムの具体的な構造を組み立てていきます。設計は「基本設計(外部設計)」と「詳細設計(内部設計)」に分かれます。基本設計では画面設計やデータベース設計の大枠を決め、詳細設計では処理ロジックやプログラム構造を細かく定義します。

設計書の品質は開発の品質にそのまま直結するため、この段階に時間と手間をかけることが欠かせません。

基本設計のポイント

基本設計では、ユーザーが実際に操作する画面の設計(UI/UX設計)が特に重要です。画面遷移図やワイヤーフレームを作り、ユーザーが直感的に操作できるかを検証します。さらに、ユーザー部門の担当者にプロトタイプをレビューしてもらうと、要件の誤解や不足を早期に発見できます。

データベース設計では、どのようなデータを、どのような形式で管理するかを定義します。将来の拡張性も考慮した設計が求められます。

また、既存システムとの連携が必要な場合は、インターフェース設計も基本設計に含まれます。CSV連携やAPI連携など、データの入出力方法を明確にしておくことが不可欠です。

開発手法の選択とプロジェクト管理

開発フェーズでは、ウォーターフォール型かアジャイル型かを選ぶことが大切です。ウォーターフォール型は、全要件を事前に固めてから開発を進めるため、仕様変更への対応は難しい反面、進捗管理がしやすいという特徴があります。

アジャイル型は、2〜4週間のスプリントと呼ばれる短い開発サイクルを繰り返しながら、機能を追加していく方式です。要件変更への柔軟性は高い一方で、全体のコントロールが難しくなる場面もあります。

近年の国内企業の調査では、業務システム開発でアジャイル手法を採用する企業が増加傾向にあります。とくに機能範囲が明確でない段階から開発を始める場合は、アジャイルが有効です。どの手法を選ぶ場合も、週次や隔週での進捗報告と課題共有の場を設けると、プロジェクトの方向性がずれるのを防げます。

ポイント

設計の段階で、画面や処理の内容をユーザー部門の担当者が実際に確かめられているかを、後の手戻りを減らせるかどうかの目安にしてください。

テスト・リリースフェーズの進め方

単体テスト、結合テスト、システムテスト、ユーザー受入テスト(UAT)を4段階で並べた図。
確認対象が機能単位から実際の業務想定へと広がります。

テストフェーズは、開発したシステムが設計どおりに動作するかを検証する重要な工程です。テストは4段階あり、個々の機能の動作を確かめる単体テストや、複数の機能を組み合わせて確かめる結合テストが含まれます。ほかに、システム全体の動作を確かめるシステムテストや、ユーザー受入テスト(UAT)もあります。

特にUATは、ユーザー部門が実際の業務を想定して行うテストです。本番稼働後のトラブルを防ぐために欠かせません。

効果的なテスト計画の立て方

テスト計画では、まずテスト対象の機能を一覧にし、機能ごとにテストシナリオとテストケースを作成します。テストケースは、正常系(通常の操作)だけでなく、異常系(エラー入力や境界値)も含めて設計することが大切です。

たとえば、数量入力欄に負の値や文字列を入力したときに、システムが適切なエラーメッセージを表示するかどうかも確認が必要です。テスト期間は開発規模にもよりますが、全体工期の20〜30%程度を確保するのが一般的です。

テスト結果は、JiraやRedmineなどのチケット管理ツールで追跡し、発見されたバグの修正状況が分かるようにします。そのうえで、リリース判定の判断材料とします。

スムーズなリリースと移行計画

リリース時には、移行計画がとても重要になります。既存システムから新システムへのデータ移行は、データの整合性を確かめながら慎重に進める必要があります。

移行方式には、一括移行(ビッグバン移行)と段階的移行(フェーズ移行)があり、業務への影響リスクを踏まえて選びます。大規模な業務システムでは、週末や連休を利用した一括移行が採られることも多いですが、その場合は、切り戻し計画(問題発生時に旧システムに戻す手順)も事前に準備しておく必要があります。

本番稼働直後は問題が起きやすいため、開発会社の保守担当者が常駐するか、オンコールで対応できる体制を整えておくことが大切です。

ポイント

テストでは、正常な操作だけでなく異常な入力も確かめているか、ユーザー部門が実際の業務を想定して検証できているかを、リリース判断の材料にしてください。

費用相場とコスト管理のポイント

業務システム開発の費用は、規模や複雑さによって大きく異なります。目安として、中小規模のシステムで300万〜1,000万円、中規模のシステムで1,000万〜5,000万円、大規模なシステムでは5,000万円以上になることも珍しくありません。

費用を適切にコントロールするには、開発スコープ(開発範囲)を明確にすることが欠かせません。そのうえで、優先度の低い機能は第二フェーズ以降に回すという判断も必要です。

費用の内訳と見積もりの取り方

業務システム開発の費用は、主に4つに分けて考えられます。人件費(工数×単価)、インフラ費用(サーバー・クラウド)、ライセンス費用(ミドルウェアや開発ツール)のほかに、保守・運用費用があります。

人件費は、システムエンジニア(SE)のスキルや経験によって月額60万〜150万円程度と幅があります。プロジェクトマネージャー(PM)は、さらに高単価になります。

見積もりは、複数の開発会社から取ることが大切です。同じ要件でも会社によって見積額に2〜3倍の差が生じることもあります。そのため、見積もりの比較では、金額だけでなく工数の内訳、使用する技術スタック、保守体制も含めて総合的に評価します。

初期費用以外のランニングコスト

業務システムの総所有コスト(TCO)を考えるときは、初期開発費用だけでなくランニングコストも見ておく必要があります。クラウドサービスを利用した場合は、月額5万〜50万円程度のインフラ費用が継続してかかります。

保守・運用費用は、通常、初期開発費用の15〜20%程度を年間コストとして見込んでおくのが一般的です。また、法令改正や業務変更に伴うシステム改修費用も、予算に組み込んでおくことが欠かせません。

たとえば、消費税の税率改定や人事制度の変更のたびに、システムの改修が必要になります。ランニングコストを含めた5年間の総コストで比べると、より現実的な判断ができます。

ポイント

費用は、初期の開発費だけでなく保守・運用費や改修費も含めた5年間の総コストで比べ、その結果を判断の目安にしてください。

開発会社・ベンダー選定の進め方

業務システム開発の成否は、開発会社・ベンダーの選定に大きく左右されます。選定では、技術力はもちろんのこと、業務理解力、コミュニケーション能力、プロジェクト管理力も大切な基準になります。また、開発会社によって得意な業界や技術スタックが異なるため、自社の業務領域での実績がある会社を選ぶことが成功への近道です。

RFPの作成と提案依頼のコツ

開発会社への提案依頼書(RFP:Request for Proposal)の作成は、適切なベンダー選定のために欠かせません。RFPには、プロジェクトの背景と目的、スケジュールと予算上限を明記します。さらに、開発対象の概要と主要機能、技術要件と制約、選定基準も盛り込みます。

RFPが明確であるほど、開発会社からの提案の精度が上がり、見積もりの比較もしやすくなります。提案依頼は3〜5社程度に絞り込み、各社のプレゼンテーションを聞いたうえで選ぶことをお勧めします。プレゼンには技術担当者も同席してもらい、技術的な質問への回答の質も評価すると良いでしょう。

契約時の注意点とリスク管理

開発会社が決まったら、契約内容を慎重に確認することが欠かせません。業務システム開発の契約には、「請負契約」と「準委任契約」の2種類があります。請負契約は成果物の完成を約束するため、開発会社の責任範囲が明確になる一方で、仕様変更への対応が難しくなります。

準委任契約は、エンジニアの稼働時間に対して費用を支払う方式です。柔軟な開発が可能ですが、コストが膨らむリスクもあります。

契約書には、知的財産権の帰属先、瑕疵担保責任の範囲、機密保持義務を明記してもらうことが大切です。契約解除の条件についても、契約書に盛り込んでおく必要があります。特に、ソースコードの著作権が発注者側に帰属するかどうかは、将来の開発会社の変更を視野に入れると重要な確認事項です。

ポイント

開発会社は、金額だけで決めず、自社の業務領域での実績を含めて比べ、依頼先を決める目安にしてください。

運用・保守フェーズの進め方

業務システム開発の最終的なゴールは、リリース後も安定して稼働し続けるための運用・保守体制を整えることです。本番稼働後は、予期しないバグや性能の問題が起きることもあります。

このような問題に迅速に対処するため、SLA(サービスレベル合意)を開発会社と結び、障害発生時の対応時間や復旧目標時間を明確にしておくことが大切です。

システム監視と障害対応体制の整備

業務システムを安定して動かし続けるには、システム監視が不可欠です。サーバーのCPU使用率やメモリ使用率などを継続的に監視し、異常を検知したときには自動アラートが届く仕組みを整えます。さらに、クラウド環境を使う場合は、AWS CloudWatchやAzure Monitorなどの監視ツールを活用すると、コストを抑えながら高度な監視体制を実現できます。

障害が起きたときの対応フローも、事前に定義しておくことが重要です。「誰が最初に連絡を受けるか」「どのような判断でエスカレーションするか」「ユーザーへの告知をいつ、どのように行うか」を決めておくと、障害時の混乱を最小限に抑えられます。

継続的な改善サイクルの回し方

業務システムは、業務の変化や法令改正に合わせて、構築後も継続的に改善していく必要があります。ユーザーからの改善要望を収集・管理する仕組みを作り、優先度をつけて計画的に対応していくことが欠かせません。

改善要望の管理には、JiraやBacklogなどのプロジェクト管理ツールが有効です。要望の受付から対応完了までの状況をユーザーが確認できるようにすると、透明性が高まり、ユーザーの満足度も向上します。

また、年に1〜2回程度の定期的なシステム評価を実施し、現状の業務フローとの乖離がないかを確かめます。そうすることで、システムが業務の効率化に貢献し続けられる状態を保てます。

まとめ

業務システム開発を成功させるには、要件定義から運用まで、各フェーズを丁寧に進めることが不可欠です。特に要件定義への投資は、後工程での手戻りを防ぐ観点から、とても重要です。

また、信頼できる開発会社を選ぶことと、適切な契約内容を確かめておくこと、リリース後も継続的に改善できる体制を整えることが、長期的な業務システムの価値向上につながります。

本記事で解説した手順やポイントを参考に、ぜひ自社の業務システム開発に役立ててください。不明な点や具体的な相談があれば、専門家への相談も積極的に活用することをお勧めします。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。