校正管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

校正管理システムの開発は、要件整理、方式選定、設計開発、テスト、段階稼働、定着の順に進めると、校正の証跡と測定の信頼性を保ちやすくなります。対象範囲、6つの開発フェーズ、費用相場と見積もりの要点を、順に取り上げます。

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校正管理システム開発の全体像

校正管理システムを中心に、機器台帳、校正期限、校正記録、証跡資料を結んだ図解。
期限から証跡までを機器単位でたどれる構成です。

校正管理システムは、計測器を個体単位で管理する業務システムです。対象は、ノギスやマイクロメータ、トルクレンチなどの計測器です。温度計や圧力計、電気計測器、検査設備も含みます。

機器の台帳や校正期限、証明書などを、一つのシステムにまとめます。測定値や許容差、設置場所、使用者、修理履歴も、機器ごとに扱います。そのため、必要なときに、どの機器を、いつ、どの条件で確認したかを検索できます。

校正管理システムの定義

このシステムは、計測器の校正周期と実施記録を管理するものです。ここでいう校正は、文章の誤字を確かめる校正とは違い、計測器の指示値と標準器の値の関係を特定の条件で確認する作業です。

NITEの「試験所における測定のトレーサビリティに関する方針」でも、計器や測定システムの値と、標準による対応値の関係を確定する作業として、校正が説明されています。

管理する情報は、次の4つに分けて整理できます。

  • 機器台帳:管理番号、機器名、メーカー、型式、シリアル番号、測定範囲、分解能、設置場所、管理部署、使用者、状態
  • 校正期限:最終校正日、校正周期、次回校正日
  • 校正記録:実施日、作業者、標準器、方法、測定値、不確かさ、許容差、合否、調整や修理の有無
  • 証跡資料:証明書PDF、判定ラベル、トレーサビリティ体系図を、機器に紐付けて監査や問い合わせに備える

証跡管理まで含む対象範囲

システム化では、期限通知に加えて、記録の完全性と検索性を高めます。ただし、少数台なら、最終校正日と次回期限をExcelで管理できる場合もあります。

台数や拠点が増えると、証明書が担当者のメールボックスに分散します。

機器の移動先が分からず、期限切れの機器を誰が止めるのか曖昧になることもあります。さらに、期限切れ機器の停止責任や、修理後の再校正履歴も曖昧になりがちです。

このため、期限管理だけでは追えない異常時の対応も、導入要件に含めます。対象は次の3つです。

  • OOT対応:許容範囲外なら機器を止め、過去の製品、ロット、検査結果、出荷先を調べる可能性がある
  • 影響追跡:校正記録と製品・ロット・工程の実績を結ぶ範囲を決める
  • 規格対応:ISO 9001、IATF 16949、ISO/IEC 17025への適合には、導入に加えて、品質マニュアルや顧客要求に沿った運用設計が必要

ポイント

校正管理システムの範囲は、機器台帳や校正期限、証跡の管理に、異常時の影響追跡まで含めるかで判断します。少数台ならExcelで足りる場合もあるため、期限管理だけで足りるかを最初に見極めます。

校正管理システム開発の進め方

要件整理から提供方式の選定、設計、テスト、代表工場や1部門での稼働へ進む5つのパネル。
対象範囲を整えてから現場で試す順序が見渡せます。

全工場の計測器を一度に登録すると、台帳の不備や例外運用が膨らみます。そのため、要件整理から定着までを6段階に分けて進めます。

各段階で、作るものと判断基準を決めておけば、品質保証や現場、情報システム、経営層などの関係部門と、開発会社が共通認識を持てます。

フェーズ1:要件整理と現場の事実の把握

校正業務を、通常の手順と例外対応に分けて、担当者ごとに整理します。

  • 通常業務:購入・登録、使用・貸出、校正依頼、受付・実施、結果確認、承認、使用可否の表示、証明書保存、修理・廃棄
  • 例外対応:期限切れ、紛失、修理後、測定値の逸脱、証明書の差し替え
  • 関係者:ラベル貼付、機器持ち出し、外部校正依頼、結果承認を担う人

要件を整理する際は、品質保証部門の手順書だけでなく、実際の担当者にもヒアリングします。

要件整理の結果として、現状業務フロー、台帳項目、証明書の保管場所を残します。さらに、権限表、連携対象、課題一覧、KPIもまとめます。

KPIは、期限内校正率や期限超過件数、証明書の検索時間、所在不明件数などです。また、OOT判明から影響範囲確定までの時間も測ります。

導入前の現状値を記録し、機能要件を稼働初日、第2段階、将来検討に分けます。

対象機器の台数と拠点も絞ります。使用頻度や重要度に応じた校正周期の例外登録を確認し、社内校正と外部委託を区別します。

承認前の結果を使用可にしない運用ができるかも確かめます。期限超過時に自動で使用停止へ切り替わるかも、要件に含めます。

要件が曖昧なまま製品を選ぶと、デモでは使えても、実運用に手作業が残りがちです。

フェーズ2:パッケージ・クラウド・開発会社の選定

提供方式は、自社の要件に合うものを選びます。比較の対象は、次の5つです。

  • SaaS:台帳、期限通知、証明書保管を早く始めたい場合の候補
  • パッケージ:標準機能に、自社の手順に合わせた設定を加える方式
  • ローコード:画面や処理を組み合わせて構築する方式
  • スクラッチ:独自の承認や既存QMS・ERP連携が重要な場合の選択肢
  • ハイブリッド:標準機能と個別開発を組み合わせる方式

自社校正の手順、独自承認、既存QMS・ERP連携を品質保証の要として重視するなら、設定の追加や個別開発を検討します。

候補会社には、正常な登録だけでなく例外を含むデモを依頼します。実際の業務を再現するシナリオとして、次の4つの場面を用意します。

  • 機器管理:QRコード呼び出しと過去の使用履歴検索
  • 期限対応:期限30日前の通知と校正不合格の登録
  • 変更対応:修理後の再校正と証明書の差し替え
  • 運用障害:権限外編集の拒否と通信断からの復旧

候補の比較では、匿名化した台帳サンプルを使えば、入力項目や検索性を具体的に評価できます。

工場ネットワークへクラウドを接続する場合は、保存場所、暗号化、多要素認証を確認します。さらに、権限と操作ログ、バックアップ、障害時の復旧、解約時のデータ返却も確かめます。

業務や保護対象、ゾーンを整理する流れは、経済産業省の「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」が示しています。

評価はシステム単体にとどめず、工場全体のIT・OT境界と委託先まで広げます。

フェーズ3:データ・画面・連携の設計と開発

計測器の状態と、その変更条件を設計します。状態は、次の3段階に分けます。

  • 通常状態:登録、使用可、校正予定
  • 作業状態:校正中、承認待ち、修理中
  • 停止状態:使用停止、廃棄

状態を変更できる人と条件を決めておきます。校正周期を変えた場合は、変更の理由、承認者、適用日を履歴に残します。

次回校正日は、最終校正日から計算する設計が必要です。さらに、上書きせず変更前後の値を記録しておくと、監査や事故調査で経緯を説明できます。

台帳画面には、検索や絞り込み、期限一覧を置きます。所在や証明書、履歴も一つの画面で見られるようにします。スマートフォンやタブレットでQRコードを読み、所在や貸出先を更新できるようにもします。

RFIDを使えば必ず効率化するとは限りません。PoCでは、金属や電波環境、読み取り距離を確かめ、タグの耐久性やラベル交換も見ます。QRやバーコードで足りるなら、RFIDへの過剰な投資は避けます。

連携では、QMS、ERP、生産管理、設備保全のデータについて、正本を決めます。購買や外部校正会社のデータも、正本をどこに置くか決めておきます。

要件には、APIのエラー時の再送、CSVの重複取込、証明書の容量を含めます。通信が途切れたときの一時保存、復旧後の同期、ログの保持期間も定めておきます。

初期開発は、台帳と期限通知を中心に、証明書や承認、監査ログまでに絞ります。高度な測定値分析やOOTのロット影響調査は、データを整えてから広げます。

フェーズ4:機能・連携・現場の3段階によるテスト

テストは、単体、システム、連携、受入の各段階で行います。期限直前と超過、校正不合格、調整後の再校正、証明書の差し替えを試します。機器の廃棄や担当者の異動も、テストに含めます。

  • 単体テスト:開発会社による機能単位の確認
  • システムテスト:証明書や通知を含めた確認
  • 連携テスト:QMSやERPとのデータ連携の確認
  • 受入テスト:品質保証と現場による、実務での確認

合否の条件は、開発前に文章にしておきます。そのうえで、承認前の結果を使用可にしないことと、期限超過を一覧で判別できることを確かめます。

さらに、通知先と履歴、証明書の差し替え前後、権限外の編集の拒否を確かめます。機器番号から校正履歴と所在を検索できることも、条件に含まれます。

OOTの場合は、使用停止、関係者への通知、影響調査の起票、再校正結果の登録までを、一連の流れとして試します。

Excelからの移行では、データの件数に加えて品質も確かめます。管理番号の重複や型式の表記揺れを調べ、校正周期の空欄、日付形式、廃棄済みの機器、証明書ファイル名と機器番号の不一致を洗い出します。

移行後は、全件の件数を照合し、代表機器の台帳や証明書、履歴をサンプルで確認します。移行できなかったデータは、一覧にして残します。

通信断やサーバー障害に備えて、紙での運用と復旧手順も、切替前に訓練しておきます。

フェーズ5:代表工場や1部門からの段階稼働

全拠点を一斉に切り替えるより、代表工場や1部門でのパイロット稼働のほうが安全です。例外を検証できる現場を選ぶ際は、次の3つの観点で見ます。

  • 校正形態:外部校正と社内校正
  • 機器業務:複数機器種別、修理、貸出
  • 監査対応:証明書の検索を含む現場

現場リーダーにも加わってもらい、期限内校正率や証明書の検索時間、所在不明件数を、導入前後で比べます。

切替前には、台帳と証明書、校正履歴を用意します。加えて、ユーザーや権限、通知先の設定、拠点や場所、QRラベルも準備しておきます。

稼働初日には、品質保証、情報システム、現場責任者、開発会社の連絡先を共有します。問い合わせがあれば、時刻と事象、暫定対応、恒久対応を記録します。

旧Excelを参照専用にする時期と、紙の暫定運用を終える時期を決めておきます。そうすれば、二重管理が長引くのを防げます。

稼働を延期する条件に、承認前の使用可表示、証明書の未紐付け、通知の不達を含めます。

バックアップから復元できない場合や、重要データが二重に登録される場合は、予定日を優先せず、対象範囲を縮小します。このように、品質記録の欠損を避けながら段階的に稼働させると、導入期間と損失を抑えやすくなります。

フェーズ6:入力負荷と改善サイクルによる定着管理

定着しない原因を現場の意識だけに求めず、運用上の障壁がないかを確かめます。

  • 入力環境:項目が多い、端末が遠い
  • 管理体制:ラベルが剥がれる、マスタ責任者が不在
  • 支援体制:通知過多、異常時の問い合わせ先が不明

操作研修は一度で終わらせず、継続して行います。そのうえで、班長やキーユーザーを一次サポート役として育てます。さらに、よくある質問は、手順書や短い動画に反映します。

導入後30日、60日、90日の時点で、次の3つの観点から運用状況を確認します。

  • 校正状況:期限内校正率、期限超過件数
  • 記録状況:証明書検索時間、校正記録入力率
  • 追跡状況:所在不明件数、OOT影響調査時間

数値が改善しないときは、機能を足す前に、入力項目を減らせないかを確かめます。また、通知先が適切か、機器の責任部署が明確か、現場ネットワークが安定しているかを見直します。

効果が確認できた運用は標準化してから、別拠点へ展開します。

将来、測定値のドリフト分析、校正周期の見直し、予防保全、AIによる異常検知へ広げる場合も、正しい台帳と履歴が前提になります。そのため、品目コードや機器番号をそろえ、変更履歴と測定条件を残しておくと、機器ごとの傾向を比べられます。

利用率だけでなく、品質判断に使えるデータが増えたかも評価します。

ポイント

6つのフェーズは、要件整理から定着まで順に進めるのが目安です。全工場の計測器を一度に登録せず、代表工場や1部門で段階的に稼働させられるかを、計画の基準にします。

校正管理システム開発の費用相場とコストの内訳

TCOに含める費用を、利用費、運用費、移行・終了費の3層で示した図解。
契約開始から終了時のデータ返却まで費目を並べています。

費用は、台数だけでなく、拠点数と利用者数によって変わります。証明書の容量や、QR・RFIDの利用、既存QMS・ERPとの連携も、費用を左右します。さらに、データ移行や承認、監査ログの範囲も、費用に影響します。

公開価格のある小規模サービスと、個別見積もりになるパッケージやスクラッチは、同じ条件では比べられません。そのため、以下の金額は、2026年時点の情報と類似業務システムを基にした目安として扱います。

発注の段階では、自社の要件で改めて見積もりを取ります。

公開価格から見える小規模クラウドの目安

公開価格の例として、SOKADAとMiXの料金を見ることができます。

  • SOKADA:計測機器5台まで無料、月額2,900円からのプラン
  • MiX:4,000円/ID/月、追加IDは1,000円/ID/月。登録台数が500台を超えると追加料金

SOKADAは、スマートフォン登録、期限通知、校正記録、証明書の画像・PDF保存を案内しています。少数台で試行導入する際の、費用の下限の参考になります。

契約条件、端末、データ移行、社内ルールへの適合、サポート範囲は、個別に確認する必要があります(出典:SOKADA公式サイト、2026年8月確認)。

日本品質保証機構のMiXは、現在新規申込みを停止中だと、公式ページに記載されています。

料金や機能は参考になりますが、提供状況を確かめたうえで、代替サービスと同じ条件で比べます(出典:日本品質保証機構「計測器管理」、2026年8月確認)。

パッケージ・個別開発の費用と期間の推定レンジ

校正管理専用のシステムは価格を公開していない製品が多く、以下の金額は直接の定価ではありません。類似する生産・製造向けシステムの相場を基にした推定です。

  • SaaS:そのまま使う場合、初期0万〜20万円程度、月額2,900〜4,000円/ID程度から
  • パッケージ:50万〜300万円程度、期間1〜4か月程度
  • 単一工場の小規模開発:300万〜1,000万円程度、期間3〜6か月程度
  • 複数拠点の開発:1,000万〜5,000万円程度、期間6〜12か月程度
  • 全社規模:5,000万円〜1億円以上となる可能性

推定では、台帳、証明書、ワークフロー、移行、連携の範囲を加味しています。複数拠点の場合は、QMS・ERP連携や承認、OOT影響調査、モバイル対応も費用を左右します。

全社規模の推定は、数万台、複数工場、閉域網、冗長構成、グローバル運用を含む場合の金額です。要件と既存資産によって、金額は大きく変わります。

見積もりは、要件定義、設計、設定・開発の作業ごとに金額を分けて確認します。データ整理、証明書PDF整理、連携の費用も、別々に確かめます。端末・ラベル、テスト、教育、稼働支援、保守も、それぞれ金額を見ます。一式の金額だけでは、どこに費用がかかるかが分かりにくいためです。

校正委託費や標準器の購入・維持費は、開発費とは別枠です。ラベルプリンターやタブレット、ネットワーク更新費も、別枠で見込みます。

保守運用は、一般的に初期費用の年15〜25%程度を目安に置くことがあります。保守費は、対応時間や監視、バックアップ、セキュリティ更新の範囲によって変わります。

初期費用ではなく3〜5年のTCO比較

比較期間を3〜5年にそろえ、初期費用から契約終了時のデータ返却までを含めて、TCOで比べます。

  • 利用費:初期費用、月額・年額、利用者追加、証明書容量
  • 運用費:端末更新、ラベル交換、教育、保守、障害対応
  • 移行・終了費:追加開発、データ移行、契約終了時の返却

安価なSaaSでも、拠点や管理者が増えると課金が変わる場合があります。また、スクラッチでは、担当者の退職や開発会社の体制変更によって、保守や引継ぎの費用が増える可能性があります。

効果は、入力時間だけでなく、証明書検索や監査準備、所在確認にかかる時間も測ります。さらに、期限超過防止、OOT影響調査、顧客回答の時間も、測定の対象にします。

導入前後の値を比べ、投資によって減った業務リスクと工数を説明できるように準備しておきます。

ポイント

費用は、3〜5年のTCOで比べるのが目安です。公開価格の数字と個別見積もりの金額は同じ条件で比べられないため、自社の要件で再見積もりを取ったうえで判断します。

校正管理システムの見積もりを取る際のポイント

見積もりの精度は、発注側が前提条件をそろえることで高まります。業務シナリオとデータ件数は、候補会社すべてに同じ条件で渡します。

画面数だけでなく、校正判断、証明書、権限、通知の業務を明文化します。連携や移行、監査、障害時の業務も、明文化の対象です。そのうえで、初期費用と運用開始までの作業を比べます。

RFPに載せる機器・証明書・例外処理の条件

RFPには、台数や拠点、利用者を書きます。管理者や機器種別、社内校正と外部委託の割合も示します。

証明書の形式と保存年数、周期の例外を明記します。許容差や判定基準、標準器、不確かさも示します。さらに、QR・バーコードを使う場所も、書いておきます。

一括登録を頼む場合は、ファイル数や容量、命名規則を示し、機器番号との紐付け方法まで伝えます。

正常系よりも例外シナリオを重視します。各ケースで、入力者や承認者、通知先を決めます。使用の可否、履歴、帳票、次の担当者についても、決めておきます。

例外は、次の3つに分けて挙げます。

  • 機器異常:期限切れ、校正不合格、修理後の再校正
  • 運用変更:拠点移動、証明書差し替え、担当者退職
  • 影響調査:OOTから過去の測定対象を調査

同じ前提でのベンダー比較

ベンダーは、価格順ではなく、自社の条件に合うかどうかで比べます。比べる観点は、次の5つです。

  • 規模:台数と拠点
  • 校正運用:内製と外注の範囲
  • 監査:要求の厳格さ
  • 既存環境:QMS・ERP連携
  • クラウド:利用上の制約

校正製品の実績や、製造現場でのタブレット・QR導入の経験を確認します。さらに、証明書や測定値、不確かさの扱い、監査ログの保持期間も比べます。

見積書では、標準機能と追加開発を分けて書いてもらいます。要件定義から保守まで、各作業の金額を個別に示してもらいます。

追加開発の単価や仕様変更、不具合修正の扱いを、契約条件にします。利用料の改定、データ返却、サポート時間、復旧目標も、契約条件に含めます。

導入事例では、台数や拠点、利用期間、移行範囲、導入後のKPIを聞き、自社との類似性を見ます。

マスタ整備と運用責任の見積もりへの組み込み

導入でつまずきやすいのは、機能の不足よりも、台帳の不備や責任分担の曖昧さです。そのため、運用責任は役割ごとに決めておきます。

  • 機器管理:新規登録と廃棄反映
  • 校正管理:周期承認と証明書登録
  • 現場管理:期限超過機器の回収

移行をベンダーに頼む場合でも、元データの正しさを確認する社内の責任者が必要です。

クラウドを使う場合は、工場内の通信制約や端末の持ち込みルールを確かめます。必要に応じて、閉域、オンプレミス、ハイブリッドも検討します。

経済産業省は2025年4月、中小製造事業者向けに工場セキュリティの資料を公表しました。同省は、工場の規模にかかわらず、サプライチェーンを含む対策が必要だとしています。

見積もりには、アカウント管理やログ監視、バックアップを含めます。加えて、復旧訓練と委託先の確認も対象にします。

ポイント

見積もりの精度は、業務シナリオやデータ件数、例外の扱いを候補会社に同じ条件で渡せるかで決まります。価格の安さだけで比べず、保守や追加開発の条件まで含めて比べるのが目安です。

校正管理システム開発でよくある質問

校正方法や判定基準、承認のほか、証明書、使用停止、影響調査まで、業務として定義したうえでシステムに反映します。導入前によくある質問を、以下にまとめます。

校正管理システムはExcelから移行できますか?

Excelのデータは、そのまま取り込まず、台帳を整えてから移行します。

  • 台帳整備:管理番号の重複、日付・メーカー名の表記揺れ、周期の空欄、廃棄機器の確認
  • 証明書:紐付け漏れを調べ、移行対象と参照保存だけにするデータを分ける
  • 移行後の照合:全件の件数と、代表機器の台帳・証明書・履歴のサンプル確認
  • 未移行項目:移行できなかった項目の一覧化

システムを導入すればISO規格に適合できますか?

ISO 9001、IATF 16949、ISO/IEC 17025への適合や認証取得は、導入だけで保証されるものではありません。

システムが支援するのは、記録、通知、承認、検索、ログです。一方で、校正方法や標準器の妥当性、測定の不確かさ、担当者の力量は、別に整える必要があります。

判定基準や異常時の対応を含めて、品質マニュアルと顧客の要求を確かめます。そのうえで、必要な証跡を要件に落とし込みます。

QRコードとRFIDはどちらを選べばよいですか?

選ぶ際は、読み取り距離、機器の材質、電波環境、ラベルの耐久性、読み取り件数、端末の操作性を見ます。

1台ずつ呼び出すならQRコードやバーコードが導入しやすいです。一方で、複数台をまとめて認識する場合は、RFIDが候補になります。

金属や液体が多い現場では、読み取り精度が変わります。そのため、実機とラベルで小規模なPoCを行ってから決めます。

校正不合格やOOTが発生したときは何を管理しますか?

機器は使用停止にし、結果の承認や関係者への通知、修理・調整・再校正の内容を記録します。そのうえで、過去の使用実績を調べ、影響範囲を判定します。

製品番号やロット番号と機器の使用履歴を結ぶと、影響の対象を絞る時間を短縮できます。また、処置と再発防止の内容も、記録にまとめます。

製品の実績と連携できていない場合は、影響調査の起票番号や対象工程を校正記録に保存し、後から追跡できるようにします。

ポイント

FAQの答えは、校正方法や判定基準などの業務ルールを先に決めているかで変わります。ISO規格への適合は、システムの導入だけでは保証されない点も押さえておきます。

まとめ

期限通知から始める場合でも、最終的には、台帳や校正結果、証明書、所在を一連の業務として設計します。承認や監査ログ、OOT時の影響調査も、同じ流れに組み込みます。

全機能を一度に作ることは避け、対象機器とKPIを絞ります。現場で使えるMVP(Minimum Viable Product)を、一工場や一部門で検証します。

開発前に確認する最終チェックリスト

開発前に確認する項目は、次の4つに分けて整理します。

  • 対象・運用:機器、拠点、利用者、校正周期と例外
  • 記録・統制:証明書保存年数、測定値、不確かさ、権限、承認
  • 連携・移行:期限切れやOOTの扱い、QR・RFID、QMS・ERP、Excel、バックアップ、データ返却
  • 見積もり:要件定義から保守まで、作業ごとの金額と内訳

公開価格の金額と、個別開発の推定金額は、分けて比べます。見積もりでは、作業別の金額と、その根拠も確かめます。

現状台帳と1つの業務シナリオの整理

導入候補を比べる前に、現状の記録と困りごと、評価の条件を順に整えます。

  1. Excelや紙台帳、証明書の保管場所を洗い出し、期限超過と所在不明の件数を把握します。
  2. 現場で最も困っている業務を、シナリオとして一つ選びます。
  3. 複数の候補に同じデータと例外条件を渡し、費用や期間、標準機能のほか、追加開発、移行、保守、セキュリティも比べます。

業務と証跡を先に整理しておけば、品質改善につながる仕組みを、段階的に育てられます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。