通話録音システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

通話録音システムの発注・外注は、録音機能だけを買うのではなく、通話をいつ、何の目的で、誰が、どの期間利用するかを決めたうえで、PBXやCRMとの連携まで含めて委託先を選ぶことが成功の条件です。

本記事では、クラウドサービス・パッケージ・オンプレミス・フルスクラッチの選び方、RFPと要件整理の進め方、契約形態、費用相場、見積書の比較方法、導入後のテストと保守まで、通話録音システムを外注するときに必要な判断を順に解説します。録音した音声をクレーム対応や応対品質の改善、教育、VOC分析に活かしたい企業の担当者にも役立つ内容です。

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・通話録音システム開発の完全ガイド

通話録音システムを発注・外注する前に決めること

通話録音システムの発注計画を整理するイメージ

通話録音システムは、電話の音声を保存するだけの設備ではありません。日時、発着信番号、担当者、通話時間、顧客IDなどのメタデータと録音ファイルを結び付け、必要な会話を検索・再生し、権限に応じて共有する業務基盤です。発注前に目的と対象範囲を言語化しないまま製品名や会社名を探すと、不要なAI機能を契約したり、必要な転送通話だけ録音できなかったりする可能性があります。

録音の目的と利用者を一つの文にする

最初に「クレームや契約内容の確認」「オペレーターの教育」「応対品質の評価」「後処理時間の短縮」「顧客の声の分析」のどれを優先するか決めます。目的が証跡保存なら録音、検索、権限、保存期限、監査ログが中心です。品質改善なら評価シート、タグ、文字起こし、NGワード検知が必要になり、VOC分析まで行うならCRM連携、要約、分類、ダッシュボードまで範囲が広がります。

利用者も、オペレーター、スーパーバイザー、品質管理担当、監査担当、システム管理者に分けて考えます。たとえばオペレーターは自分の通話だけ、SVは担当キューの通話だけ、監査担当は削除できない形で全件を閲覧できるようにするなど、役割ごとの権限を先に決めると、見積もりに必要な管理機能が明確になります。

録音する通話と保存条件を決める

全通話を録音するのか、特定の番号・キュー・担当者だけにするのかを決めます。発信と着信、保留、転送、三者通話、IVRからの接続、営業時間外、在宅オペレーターのソフトフォンまでを対象に含めるかも重要です。録音の開始地点をPBX側に置くか、クラウドCTI側に置くかで、転送後の録音範囲や障害時の欠損リスクが変わります。

保存期間は、業務上必要な期間と法務・契約上の要請を確認して設定します。保存期間を1年から3年に延ばすだけでも、録音容量、バックアップ、検索インデックス、データ削除の運用費が増えます。容量を「席数」だけで考えず、1日あたりの通話分数、平均通話時間、録音形式、繁忙期の増加率、音声認識を処理する分数までRFPに記載します。

発注形態はクラウド・パッケージ・開発のどれを選ぶべきですか?

クラウド型と開発型の発注形態を比較するイメージ

発注形態の結論は、通話録音が目的の中心で、既存の電話環境を大きく変えたくないなら標準サービスを優先し、CRMや基幹業務との連携差分が大きいならSI・連携開発を組み合わせることです。独自の通話制御や厳格なデータ管理が必要な場合だけ、フルスクラッチを検討します。最初から全面的な自社専用開発に進むと、録音機能以外の基盤まで作ることになり、費用と納期が膨らみやすくなります。

クラウド・SaaSを選ぶケース

クラウド型は、サーバーを自社で調達せず、短期間で録音・検索・権限管理を始めたい企業に向いています。拠点や在宅勤務者が増減しても席数を調整しやすく、バックアップやソフトウェア更新を自社だけで担わなくてよい点が利点です。まず10席前後の実通話で試し、録音漏れ、音声品質、検索時間、CRMへの紐付け、権限別の再生可否を確認してから本契約に進むと安全です。

一方で、月額の内訳を確認しないと、録音容量、通話料、音声認識、外部ストレージへの配送、サポートが別請求になることがあります。サービス停止時の業務継続、データの保存場所、再委託先、契約終了時の返却形式と削除証明も、契約前に質問します。

パッケージ導入とSI・連携開発を選ぶケース

既存PBXやCTIは残しながら、録音を顧客履歴に表示したい場合は、パッケージやクラウドCTIにSI・連携開発を加える形が現実的です。標準機能で録音、再生、保存期限、権限を持ち、個別開発でCRMの顧客IDとの紐付け、SSO、API、監査ログ、帳票を実装します。標準機能と追加機能の境界が明確になるため、費用と責任分界を説明しやすくなります。

パッケージを選ぶときは、機能数よりも、転送・保留・三者通話の録音範囲、既存PBXの接続方式、CRM連携の実績、データのエクスポート方法を確認します。NTT西日本のコンタクトセンター向け情報でも、オンプレミス型からクラウド型までの音声プラットフォーム、録音の検索・再生、音声認識や要約などが別の機能領域として整理されています。録音単体とコンタクトセンター基盤を混同せず、自社に必要な範囲だけを委託することが重要です。

フルスクラッチ開発を選ぶケース

フルスクラッチが適するのは、独自のPBX制御、複数の基幹システムとの深い統合、特殊な監査要件、長期保存のデータレジデンシー、独自の音声分析など、標準サービスでは解決できない要件がある場合です。独自画面を作ること自体は理由になりません。録音サーバー、検索基盤、ストレージ、認証、権限、バックアップ、障害復旧まで自社仕様で維持する責任が生じるためです。

この形態を発注するなら、ソースコードだけでなく、構成図、API仕様、データ項目定義、テスト仕様書、移行手順、運用手順、障害時の復旧手順を納品物に含めます。開発会社が変わっても保守できる状態を契約で確保すると、将来のベンダーロックインを抑えられます。

RFPと要件整理はどこまで準備してから発注しますか?

RFPと通話シナリオを整理するイメージ

RFPは「録音システムを作ってください」という依頼書ではなく、解決したい業務課題、対象範囲、前提条件、非機能要件、納品物、提案してほしい選択肢をそろえる資料です。要件を完璧に確定する必要はありませんが、複数社が同じ条件で提案できる粒度までそろえると、見積もりの差が機能差なのか、前提条件の違いなのかを比較できます。

業務要件は「誰が何に使うか」で書く

業務要件には、利用者、対象通話、利用目的、検索条件、共有範囲、保存期間、削除の扱いを記載します。「通話を録音する」だけでは不十分です。たとえば、SVが顧客IDと担当者名で30秒以内に該当通話を見つけ、評価コメントを登録し、監査担当が操作履歴を確認する、といった利用場面まで書くと、検索性能や画面、権限の見積もりが具体化します。

現場の紙やExcelを残したまま録音だけ導入すると、録音ファイルと応対履歴の二重管理が起きます。発注者側で、現在の受付から後処理、エスカレーション、品質評価までを図にし、廃止する作業と残す作業を明示します。NotebookLMのリサーチでも、現場の表記揺れや移行データを発注者が整理せず、ベンダー任せにすることが失敗要因として挙げられています。

通話シナリオと連携項目を洗い出す

RFPには、着信、発信、保留、転送、三者通話、録音停止、再開、IVR、留守番電話、折り返し、回線障害をシナリオとして並べます。各シナリオで「どの区間を録音するか」「どのメタデータを持つか」「CRMのどのレコードに紐付けるか」「障害時に再送できるか」を確認します。通話を第三者へ転送したあとに担当者が退出する構成では、どこまで録音・マスキングされるかが製品ごとに異なるため、デモでは実通話で検証します。

連携項目は、顧客ID、電話番号、問い合わせ番号、担当者ID、キュー、通話開始・終了時刻、録音URL、文字起こし、評価結果などに分けます。CRMに録音ファイルを直接保存するのか、録音は別ストレージに置いて安全なリンクだけ持つのかも決めます。Google Cloudの公式ドキュメントでは、録音をCRMレコードから再生する構成や、機密情報の入力時に録音を一時停止する機能が説明されています。連携方式とセキュリティを一体でRFPに書くことが大切です(出典: Google Cloud Documentation「通話録音の設定」、2026年8月確認)。

セキュリティと非機能要件を数値化する

録音データは、顧客を識別できる通話内容を含む場合があります。個人情報保護委員会は、通話内容から特定の個人を識別できる場合は個人情報に該当し、利用目的の通知または公表が必要になる一方、個人情報保護法上、録音している旨を必ず相手方へ伝える義務まではないと整理しています(出典: 個人情報保護委員会「顧客との電話の通話内容は個人情報に該当しますか」、2022年更新)。ただし、業界規制、契約、社内ポリシー、海外拠点のルールによって案内や同意が必要になるため、法務・情報セキュリティ担当と確認します。

RFPには、保存時・通信時の暗号化、SSOや多要素認証、役割別権限、ダウンロード制御、操作ログ、バックアップ、削除期限、削除証明、データセンターの所在地、再委託先、障害通知時間を記載します。カード番号や本人確認情報を扱うなら、録音の一時停止、音声のマスキング、文字起こし側のマスキングを別々に確認します。可用性、復旧目標時間、検索応答時間なども「なるべく速く」ではなく、業務で許容できる数値に置き換えます。

通話録音システムの契約形態はどう選びますか?

契約形態と成果物を確認するイメージ

契約形態は、要件の確定度と、成果物をどこまで固定できるかで選びます。標準サービスの初期設定は範囲が明確になりやすい一方、既存環境との連携や移行には不確定要素があります。すべてを一つの固定価格契約に押し込むより、要件定義、試験導入、開発・連携、運用支援を段階に分けるほうが、追加費用の発生条件を管理しやすくなります。

請負契約は成果物と検収条件を明確にする

請負契約は、受託者が合意した成果物を完成させ、発注者が検収する形です。録音検索画面、権限管理、API、移行ツール、設計書など、何を納品するかを一覧にします。検収条件には、正常系だけでなく、保留から転送した場合、録音停止から再開した場合、通信断が起きた場合、同じ顧客IDに複数通話が紐付く場合も含めます。

「録音できること」だけを検収条件にすると、実際の業務で必要な検索や権限、移行が未完成でも納品扱いになる可能性があります。受入テストの担当者、試験データ、合格基準、不具合修正の期限、仕様変更時の見積方法を契約書や個別契約書に落とし込みます。

準委任契約は要件定義や伴走支援に使う

準委任契約は、専門家が一定の業務を遂行することに対して報酬を支払う形で、要件定義、PoC、プロジェクト管理、運用改善など、成果物を事前に固定しにくい工程に向いています。既存PBXの仕様が不明、録音範囲を現場で検証したい、CRM連携の方式を決めたいという段階で、いきなり本開発の請負契約を結ぶと、双方の想定差が費用増につながります。

準委任では、作業時間だけでなく、会議体、担当者、成果物の粒度、報告頻度、課題管理、契約終了時の引き継ぎを確認します。要件定義書、通話シナリオ一覧、RFP改訂版、PoC結果、残課題一覧を成果物として合意しておくと、次の開発工程へスムーズに移れます。

段階発注と知的財産・データ返却を確認する

おすすめは、(1)要件定義・現状調査、(2)小規模PoC、(3)本開発・連携、(4)移行・教育、(5)保守の順で段階発注する方法です。各段階の終了条件と次段階へ進む判断を決めると、録音漏れや音声品質、現場の使い勝手が確認できないまま大規模投資をするリスクを下げられます。

契約では、録音ファイル、文字起こし、顧客ID、評価データの所有権と利用範囲を確認します。契約終了時のデータエクスポート形式、費用、削除期限、バックアップからの消去、ログの保管期間も重要です。開発成果物の著作権、第三者サービスのライセンス、OSSの利用条件、再委託の範囲を曖昧にしないことが、将来の移管を守ります。

通話録音システムの費用相場と見積もりの内訳

通話録音システムの費用と見積もりを確認するイメージ

通話録音システムの費用は、録音機能だけなら小さく見えても、PBX・CRM連携、保存期間、AI処理、セキュリティ、移行、運用支援を含めると大きく変わります。公開価格からわかるクラウド利用料と、個別開発の推定相場を分けて考え、見積書には前提条件と含まれない費用を必ず書いてもらいます。

公開料金からクラウド型の目安をつかむ

Cloco株式会社の料金一覧では、全通話録音が初期5,000円(税込5,500円)、録音容量が月額500円/1GB(税込550円)と掲載されています。これは録音オプションの一例であり、電話番号、SIP端末、席数、通話料、CRM連携、初期設定などが別に必要になる可能性があります。録音オプションの価格だけで導入総額を判断しないことが重要です(出典: Cloco株式会社「料金一覧」、2026年8月確認)。

NTTドコモビジネスのクラウドCTI料金表では、初期開通工事費用20万円、20席未満のテナント開設費用10万円、20席以上では15万円など、初期構築の単位が分かれています。また、通話録音ファイル配送サービスは100席ごとに月額3万円(税込3万3,000円)、音声認識は基本利用料月額1万2,000円、テキスト化は1,000分ごとに2,500円とされています。録音を長期間保持して分析まで行うと、席数だけでなく保存と処理分数が費用の軸になります(出典: NTTドコモビジネス株式会社「クラウドCTIサービス料金表」、2026年1月版)。

個別開発の予算レンジを段階別に考える

通話録音システム単体のスクラッチ開発価格は、公開された同一条件の事例が少ないため、以下はリサーチノート、公開料金、一般的なSI工程から算出した予算計画上のレンジです。確定金額ではなく、席数、拠点数、通話分数、既存PBX・CRM、保持年数、AI処理量、セキュリティ要件で上下する推定値として利用します。

小規模のクラウド設定や標準機能中心なら、初期費用10万〜50万円程度、月額1万〜15万円程度に、通話料と容量費用が加わるケースを想定します。既存PBX・CRM連携、SSO、録音検索、簡易移行を含むと、初期100万〜500万円程度、期間2〜6か月が目安です。数十〜数百席のCTI・品質管理基盤なら初期500万〜2,000万円程度、複数拠点・冗長化・監査・AIまで含むと2,000万〜5,000万円超、独自基幹統合のフルスクラッチでは5,000万円から数億円規模になる可能性があります。これらは一般的な開発相場からの推定であり、通話録音だけの確定相場ではありません(出典: NotebookLMリサーチノート「カスタマーサポート・コンタクトセンター」、2026年)。

初期費用以外のランニングコストも見積もる

見積もりでは、要件定義、基本設計、詳細設計、開発、テスト、移行、教育、保守を分けて確認します。リサーチノートでは、要件定義10〜15%、基本設計15〜20%、詳細設計10〜15%、開発・単体テスト30〜40%、結合・総合・性能テスト15〜20%、移行・教育5〜10%という配分が目安として整理されています(出典: NotebookLMリサーチノート「カスタマーサポート・コンタクトセンター」、2026年)。録音の転送・保留・障害時挙動を検証するため、テストの比率が大きくなりやすい点に注意します。

運用費には、クラウド利用料、録音容量、バックアップ、ネットワーク、通話料、文字起こし・要約の処理分数、監視、問い合わせ対応、バージョンアップ、障害対応が含まれます。個別開発では、初期費用の10〜20%程度を年間保守の予算として置くことがありますが、契約内容やサービス構成により変動します。見積書の「保守一式」だけで比較せず、月何時間の対応、受付時間、障害の優先度、追加改修の単価を確認します。

委託先の選定と見積比較で見るべきポイント

通話録音システムの委託先と見積書を比較するイメージ

委託先は、機能が多い会社ではなく、自社の通話経路と業務を理解し、導入後まで責任を持てる会社を選びます。通信事業者、SaaSベンダー、AIプラットフォーム、SIerでは得意領域が違います。製品を提供する会社と、複数製品を組み合わせて業務に合わせる会社の違いを把握し、必要なら両者を含めた体制で比較します。

電話・CTI・CRM・個人情報への理解を確認する

提案会社には、自社と似た席数・拠点数・電話環境の実績を確認します。実績を聞くときは、導入社名だけでなく、録音対象、PBXの種類、CRM連携、保存期間、移行件数、障害時の設計、導入後の利用状況まで質問します。公開事例の効果数字だけでなく、どの業務を廃止し、誰が何秒で通話を検索できるようになったのかを確認すると、比較が具体的になります。

AIを提案された場合は、文字起こしの精度だけで判断しません。方言、固有名詞、商品名、複数話者、雑音、保留音を含む実データで検証し、誤認識時の修正方法、学習への利用範囲、録音と文字起こしの削除タイミングを確認します。AIが増えても、顧客IDやFAQ、評価基準が整っていなければ、分析結果を業務改善へつなげにくいためです。

見積書は同じ前提にそろえて比較する

複数社へ見積もりを依頼するときは、同じRFP、同じ席数、同じ通話分数、同じ保存期間、同じ連携範囲を渡します。比較表には、要件定義、ライセンス、PBX接続、録音保存、検索画面、CRM連携、権限・監査ログ、AI、移行、テスト、教育、保守、通話料、クラウド費用をそれぞれ記載します。金額の合計だけを比べると、安い提案が重要な工程を除外していることに気づけません。

見積もり差が出た項目は、「含む・含まない」「数量」「単価」「作業時間」「前提」「追加時の単価」を質問します。特に、録音容量の増加、音声認識の処理分数、コールフローの追加、既存録音の移行、APIの仕様変更、現地作業、休日対応は、後から追加費用になりやすい項目です。提案会社には、標準機能で対応する部分と個別開発する部分を色分けしてもらうと、将来の保守費まで見通せます。

PoCと保守の出口まで確認する

最終候補には、実際の電話番号やテスト環境を使ったPoCを依頼します。確認するのは、録音開始のタイミング、保留・転送時の範囲、検索にかかる時間、同時通話数、音声品質、マスキング、CRM表示、権限、操作ログ、障害復旧です。オペレーターとSVに触ってもらい、検索や評価登録が今の業務より簡単か、入力が増えていないかを確認します。

保守契約では、一次受付の時間、障害の優先度、復旧目標、録音欠損時の調査、セキュリティパッチ、バージョンアップ、バックアップ復元テスト、問い合わせ件数の上限を確認します。契約終了時に別会社へ引き継ぐ場合の費用や、データ返却の形式も選定段階で聞きます。安い初期見積もりより、3年から5年利用したときの総保有コストと運用負担を比較することが大切です。

発注後の導入・移行・運用を失敗させない進め方

通話録音システムを段階導入するイメージ

発注先が決まった後も、導入の成否は発注者側の準備に左右されます。現場責任者、情報システム、法務・個人情報、品質管理、電話回線の担当者をプロジェクトに入れ、意思決定者と承認期限を決めます。技術だけでなく、録音を聞く業務、評価の基準、削除申請、問い合わせの流れを運用として定義します。

既存録音とマスターデータの移行計画を作る

既存録音を移行する場合は、ファイル形式、録音日時、電話番号、担当者、顧客ID、保存期限、アクセス権を棚卸しします。重複、破損、表記揺れ、不要な古いデータをそのまま移すと、移行費用と検索精度が悪化します。発注者が残すデータの基準と廃棄方針を決め、受託者は変換・検証・移行ログを提示する役割分担にします。

一度に全拠点を切り替えるのではなく、1キューまたは少人数の拠点で並行稼働し、録音漏れ、CRM紐付け、検索、音声品質、権限を確認します。移行前後で件数を照合し、ランダムに録音を再生し、削除期限が正しく設定されることまで検証します。

受入テストと現場定着を別工程にしない

受入テストでは、正常に録音できるかだけでなく、録音が不要な区間を止められるか、権限のない人が再生・ダウンロードできないか、削除期限を超えたデータが消えるか、障害から復旧できるかを確認します。音声認識や要約を使う場合は、誤認識を修正して評価に使えるか、顧客へ誤った要約を共有しないかも確認します。

教育では操作方法だけでなく、録音の目的、顧客への案内、機密情報の扱い、再生権限、削除申請、誤操作時の報告方法を伝えます。導入後は、録音率、検索利用率、評価完了率、後処理時間、問い合わせ件数を月次で確認し、使われない機能を減らしながら改善します。現場を無視した多機能化を避け、最初は目的に直結する最小構成から始めることが定着につながります。

よくある質問

通話録音システムのよくある質問を確認するイメージ

最後に、発注・外注を検討する企業から寄せられやすい質問をまとめます。費用や法務の判断は自社の席数、通話内容、既存契約、業界規制で変わるため、回答をそのまま契約条件にせず、RFPと提案会社への確認事項に置き換えてください。

通話録音システムはクラウドとスクラッチ開発のどちらがよいですか?

標準的な録音、検索、権限管理を早く導入したいならクラウド型が向いており、独自の通話制御や複雑な基幹連携が必要ならSI・個別開発を組み合わせます。最初からスクラッチに決めず、標準サービスで満たせない要件を洗い出し、PoCで録音範囲と連携可否を確認してから判断することをおすすめします。

通話録音システムの発注費用はいくらかかりますか?

標準的なクラウド設定なら初期10万〜50万円程度、既存PBX・CRM連携なら初期100万〜500万円程度が一つの目安ですが、公開料金と個別開発の推定相場は分けて考えます。中規模の品質管理・AI活用や複数拠点対応では500万〜2,000万円、より大規模な基盤統合では2,000万円超になる可能性があります。席数、通話分数、保存期間、移行、保守、通話料を含めた3年から5年の総額で見積もりを比較します。

通話録音を相手に必ず知らせる必要はありますか?

通話内容から個人を識別できる場合は個人情報に該当し、利用目的の通知または公表が必要になります。個人情報保護委員会は、個人情報保護法上、録音している旨を必ず伝える義務まではないと説明していますが、業界のルール、契約、社内方針、海外の規制で案内や同意が必要になる場合があります。法務担当と録音案内、利用目的、保存期限、委託先管理を確認してから運用します。

通話録音システムの委託先は何社に見積もりを依頼すべきですか?

要件をそろえたうえで、2〜4社程度に依頼すると、価格だけでなく提案内容や責任分界も比較しやすくなります。多すぎる会社へ曖昧な相談をすると、提案を受けるだけで社内の評価負担が増えます。電話・CTI・CRM連携の実績、実通話でのPoC、移行支援、障害時の録音欠損対策、設計書やデータ返却、保守の出口を同じ質問票で確認してください。

まとめ

通話録音システムの発注を成功させるまとめのイメージ

通話録音システムを発注・外注するときは、録音機能の比較から始めず、目的、対象通話、利用者、保存期間、権限、既存PBX・CRMとの連携、機密情報のマスキングを先に決めます。標準サービスで足りる部分と個別開発が必要な部分を分け、RFPで同じ条件を複数社へ渡すと、見積もりと提案の差を判断しやすくなります。

発注判断では初期費用より業務適合性を見る

費用は、クラウドの初期・月額、録音容量、通話料、AI処理分数、連携開発、移行、教育、保守を分けて考えます。公開料金は目安であり、個別開発のレンジは要件からの推定です。安さだけで決めず、録音漏れを防ぐ通話シナリオテスト、検索性、権限、削除、障害復旧、契約終了時のデータ返却まで含めて評価します。

最初はRFPと小規模PoCから始める

最初の一歩は、録音の目的と対象通話を1枚にまとめ、現行の電話経路とCRM連携を図にし、2〜4社へ同じRFPを送ることです。候補会社には実通話を使ったPoCを依頼し、録音、検索、権限、マスキング、CRM表示、移行、保守を確認します。現場が使い続けられる最小構成から始め、効果を測りながら文字起こしや要約、VOC分析を追加する進め方が、通話録音システムを業務に定着させる近道です。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。