化学製造業向けSDS管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

化学製造業向けSDS管理システムの費用は、初期50万円から独自開発の5,000万円以上まで幅があります。その中でどこに入るかは、SDS件数、管理機能、連携範囲によって決まります。

全体像は、化学製造業向けSDS管理システム開発の完全ガイドにまとめています。

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・化学製造業向けSDS管理システム開発の完全ガイド

化学製造業向けSDS管理システムの概要

化学物質情報の業務基盤を中心に、組成・法令・改訂・配布を結んだ図。
情報をひも付ける範囲が、単なるファイル保管との違いです。

化学製造業向けSDS管理システムは、原料・中間体・最終製品の化学物質情報を一元管理する業務基盤です。

PDFや紙のSDSを保存する文書管理システムとは、役割が異なります。

費用は、組成・法令・改訂・配布・リスクアセスメントを一つのデータモデルでどこまで扱うかによって、大きく変わります。

発注側は、開発会社とその範囲を最初に決めておく必要があります。

SDSの保管と化学物質データ管理の違い

文書保管と化学物質情報基盤では、管理するデータも、法令改正時の検索方法も異なります。

  • 文書検索:PDF検索は少数拠点で役立ちますが、同じ原料でも製品ごとに含有率やCAS番号が異なる点は見分けられません。
  • データのひも付け:成分名、CAS番号、含有率、GHS分類といった化学物質の情報を、法令、拠点、使用量、SDS版、承認者と結び付けて扱います。
  • 法令改正時の検索:原料の組成を中間体と最終製品へ展開し、対象となる製品と拠点を逆引きできます。

たとえば、法令改正のときにファイル名だけで検索すると、対象物質を含む製品を漏れなく特定できません。このため、データ構造の違いが、安価な文書管理と化学物質情報基盤の費用差につながります。

費用に影響する主な機能

導入する機能の範囲によって、設計やマスタ整備の費用が変わります。基本機能と追加機能の違いを、まず押さえておきます。

  • 基本管理:SDSの登録、全文・項目検索、版管理、承認、配布履歴までを扱う範囲です。
  • 化学物質管理:基本管理に、物質マスタ、組成の多段階管理、GHS分類、法令チェックを加えた構成です。
  • 海外・現場対応:輸出する企業なら、英語・中国語などの多言語出力、国別GHS、REACHなどの海外規制、輸送情報、数量管理が候補になります。

法令チェックの対象には、化管法、労働安全衛生法、毒物及び劇物取締法、化審法などがあります。ラベルやSDS作成の支援も追加できます。

リスクアセスメントや保護具、教育記録、在庫・使用量、PRTR集計までつなぐと、EHSや製造データ基盤に近い構成になります。

化学製造業向けSDS管理システムの費用相場

化学製造業向けSDS管理システムの費用は、導入方式によって大きく異なります。標準クラウドの場合、初期85万〜300万円、月額10万〜30万円程度が一つの比較の基準になります。

組成管理や法令マスタ、既存システムとの連携、多拠点展開を含めると、初期費用は300万〜3,000万円程度となり、個別の見積もりになりやすいです。

公開料金から見るクラウド型の具体例

公開料金の例として、株式会社アイアンドディーのDr.EHS Chemicalを見ると、初期導入費用は85万円、利用料は月額16万2,500円です(出典: 株式会社アイアンドディー「Dr.EHS Chemical」料金・FAQ、2026年8月確認)。

  • 利用条件:税別で管理者は20名まで、閲覧ユーザーは無制限という条件です。
  • 導入期間:初期設定を経て運用を始めるまで、通常は約4〜6か月かかります。
  • 初年度費用:初期費用85万円に、月額12か月分を合わせると約280万円になります。

この金額は、標準の利用料と初期設定費用の例です。大量のSDSのデータクレンジング、AI-OCR後の専門確認、ERPやAPI連携、追加ユーザー、個別帳票、現場教育は含まれていません。

見積もりを取る際は、公開価格と追加作業を同じ表に並べて比べます。

導入方式別の実務推定レンジ

SDS管理システムだけの平均価格を示す公的な統計は、確認できません。以下の金額は市場平均ではなく、公開料金と製造業システム開発の一般的な工数をもとにした、2025〜2026年時点の実務推定です。

SDS件数や拠点数が少ないほど、金額は下限に近づきます。一方で、組成・法令・連携・多言語の条件が増えると、上限を超える可能性があります。

  • 小規模SaaS・パッケージ:1拠点で検索・版管理・権限管理が中心なら、初期50万〜150万円、月額5万〜20万円、導入1〜3か月が目安です。
  • 標準クラウド:数百〜数千件のSDS移行、教育、法令チェックを含めると、初期85万〜300万円、月額10万〜30万円、3〜6か月を想定します。
  • 組成・連携対応:配合管理、成分展開、承認、法令判定、APIやCSV連携まで含むと、初期300万〜1,000万円、3〜8か月ほどです。
  • 多拠点・海外対応:複数工場や海外対応を含む場合で、1,000万〜3,000万円、6〜12か月かかることがあります。
  • 独自開発:特殊な配合や製造番号、輸出判定、顧客ポータル、承認を中核機能にすると、2,000万〜5,000万円以上、9〜18か月以上になる可能性があります。

これらは確定した価格ではなく、要件定義の後に変動する概算です。とくに、データ移行と法令対応を含むかどうかで、同じ機能名でも総額が変わります。多拠点・海外対応の金額は、SDSが数千〜数万件あり、ERP・PLM・WMS連携や多言語出力を含む場合を想定しています。

ポイント

方式別の金額は確定価格ではないため、比べるときは初期費用と月額、導入期間を同じ条件にそろえます。データ移行や法令対応を含むかどうかで、同じ方式でも総額は大きく変わります。

SDS管理システムの費用の内訳

初期費用の工数配分を4枚のカードで示し、要件定義10〜12%、設計・環境構築22〜24%、実装48〜50%、テスト15〜17%を並べた図。
実装以外の工程にも工数を割り当てる構成です。

提案の金額が高いのか安いのか、その理由を比べるには、初期費用と運用費用を項目別に分けて見ることが必要です。

  • 初期費用:要件定義、設定・設計、開発・連携、データ移行、テスト・教育の工程で生じます。
  • 運用費用:ライセンス、法令・マスタ更新、保守、インフラ、追加ユーザーにかかります。

初期費用に含まれる人件費と工数

初期費用の工数は、要件定義・設計・実装・テストに分けて見積もられます。

  • 業務要件:登録の単位、最新版の判定、旧版の保存期間、承認者、配布先、再判定、工場ごとの権限を決めておきます。
  • データ要件:化学物質マスタのCAS番号と含有率、原料・中間体・製品の配合階層を押さえます。
  • 工数配分:要件定義10〜12%、設計・環境構築22〜24%、実装48〜50%、テスト15〜17%が目安です。

この比率は、個別案件の平均を保証するものではなく、概算計画の目安です。要件が曖昧なままだと、画面やデータ構造の作り直しが重なり、費用が膨らみます。

SDSの場合は、移行データや法令改正後の再判定をテストに含めます。旧版の表示や承認証跡も、テストの対象になります。

実装に予算を寄せすぎると、本番直前になってテスト費用が足りなくなりやすいです。

初期費用以外のランニングコスト

運用費は、利用料、ライセンス条件、保守、法令・規格更新の費用ごとに分けて見ます。

  • 利用料:月額か年額が中心で、SDS件数、管理者・閲覧者数、拠点数、ストレージ、API、追加機能で変わります。上限の条件も見ておきます。
  • ライセンス:Dr.EHS Chemicalでは管理者20名までで、閲覧者は無制限です。追加分は別オプションになります。
  • 保守:問い合わせ対応、障害復旧、バックアップ、脆弱性対応、法令・GHSデータ更新、JIS改訂への対応が発生します。
  • 保守費:カスタム部分では、初期開発費の年15〜25%を見込む場合がありますが、全契約共通ではありません。
  • 更新費:法令マスタ更新や再計算が月額に含まれるのか、対象外なら1回いくらかかるのかを確かめます。

たとえば、JIS Z 7252とJIS Z 7253は2025年12月25日に改正されました。

NITE-Gmiccsも、2026年3月30日に改正JIS対応版へ更新されています(出典: NITE-Gmiccs更新履歴、2026年)。

経済産業省の令和7年度報告書では、危険性または有害性がある155物質について、ラベル表示・SDS交付の義務が2027年4月1日に施行予定と整理されています(出典: 経済産業省「令和7年度化管法SDS制度関連調査報告書」、2026年公開)。

そのため、対象製品の洗い出しや再判定、改訂履歴を残す運用が必要になります。法令更新を誰がどの頻度で行うかも、見積もりに含めます。

ポイント

総額だけで比べず、初期費用と運用費用に分けて見るのが判断の目安です。運用費用は利用料や保守、法令・JIS更新の費用まで含め、3年分の総保有コストで比べます。

SDS管理システムの価格を左右する要因

「SDS管理」と言っても、PDFの検索だけを扱うのか、組成・法令・出荷まで含むのかで、必要な仕組みは大きく異なります。そのため、機能の数ではなく、データ量、拠点、法規制、連携、運用責任の条件をそろえて比べます。

SDS件数・拠点数・利用者数

SDS件数と化学物質マスタの量は、費用に特に影響しやすい要因です。

  • 移行量:100件前後の新規登録と、旧版を含む数千件の移行とでは、作業量が異なります。
  • 拠点数:拠点ごとに、品目や保管場所、承認者、権限、ネットワーク、教育の設計が増えます。
  • 導入事例:AJSの積水化学工業の事例では、約750種類の材料を登録しています。

大量に移行する場合は、保存容量のほかに、重複の除去や製品名の統一、CAS番号の確認、改訂日と承認者の補完も必要になります。AI-OCR後にも、専門の担当者が確認する工数がかかります。

本社と工場の両方で情報を更新する場合は、組織の階層と権限の設計費も見込んでおきます。

AJSの事例では、将来のグループ展開と保守性を考えて、データセンターの仮想サーバーへ導入しています(出典: AJS「積水化学工業株式会社様導入事例」、2026年8月確認)。

組成管理・法令判定・多言語対応

費用は、ファイル検索、組成・法令判定、海外展開のどこまでを扱うかによって変わります。

  • 組成判定:配合率からGHS分類を求めたり、規制物質を逆引きしたりするには、物質マスタと計算ロジックが要ります。
  • 法改正対応:再判定には、成分履歴と分類根拠を保存し、専門担当者が確認・承認する流れが必要です。
  • 海外展開:国別GHSや多言語のSDS・ラベル、REACH、各国インベントリ、輸送規則、数量管理が加わります。

原料SDSを保管するだけなら、ファイル管理と検索が中心になります。一方で、組成や法令の再判定まで行う場合は、更新履歴と分類根拠を保持し、専門担当者が承認するHuman-in-the-loopも要件に含めます。

NECネクサソリューションズのExESSは、各国GHS分類・法規制チェック、多言語SDS・ラベル要素作成、化審法・REACHの数量管理を扱います。欧州・米国を中心に1,000社以上への導入実績を示しています(出典: NECネクサソリューションズ「ExESS」、2026年8月確認)。

この規模の対応になると、国内向けのSDS検索に比べて費用が高くなると考えられます。

ERP・PLM連携とセキュリティ要件

連携の本数やセキュリティの要求水準が上がると、開発・テストや監査対応の費用も増えます。

  • ERP・生産管理:製品や原料のコード、ロット、在庫、販売先、出荷国などを連携させます。
  • PLM:設計や配合の変更をきっかけに、SDSを再作成・再承認する仕組みを設計します。
  • セキュリティ:通信、認証、権限、ログ、バックアップ、復旧、データ返却、外部AI・OCRの扱いを確かめます。

ERP連携では、項目のマッピング、APIかCSVか、エラー処理と再送、正として扱うマスタを決めます。

PLM連携では、設計や配合の変更に応じた処理を定義します。

認証では、シングルサインオンや多要素認証の要否を、拠点や部門ごとの権限と合わせて決めます。

運用面では、操作ログや復旧目標、データ返却のほか、委託先の再委託の扱いも見ておきます。

外部AIへの学習利用の有無も確かめておきます。

要求の水準が高いほど、監査資料や脆弱性診断、冗長化の費用が加わります。

ポイント

価格は機能数よりも、データ量や拠点、法規制、連携、運用責任の条件で比べるのが目安です。条件をそろえてから見積もりを並べると、提案の差が読み取りやすくなります。

SDS管理システム開発の進め方

要件定義・企画、設計・設定・開発、データ移行・テスト・リリースの3段階をカードで示した図。
小さな範囲で確かめてから次の段階へ進めます。

費用を抑え、失敗を避けるには、最初から全社一斉の完成形を作らないことです。まず台帳と業務フローを整理し、1拠点または1製品群で最小構成を検証します。

発注側は、現場での検索性と本社の監査性を確かめ、対象を広げます。

要件定義・企画フェーズ

要件定義では、まず現状の情報と業務を把握し、そのあとで必須要件と将来要件を分けます。

  1. 現状を整理する:件数や形式、旧版、製品・原料・中間体のコード、工場数、利用者数、法令、輸出国、承認者、配布方法、問い合わせ件数を確かめます。
  2. 情報の状態を調べる:Excel、紙、個人フォルダ、共有サーバーを一覧にして、重複や欠損、旧版の混在がないかを見ます。
  3. MVPを決める:最新版の検索、版管理、承認、配布証跡、最低限の物質マスタを対象に始めます。

組成からの逆引きや海外法規制は、次の段階に回す方法もあります。対象を絞ると、データの品質や現場での利用を早く検証でき、後戻りの費用も抑えられます。

設計・設定・開発フェーズ

設計と開発では、標準機能を使う範囲と、独自に作る機能を分けます。

  • 標準機能:SaaSやパッケージの業務に合わせるFit to Standardを基本にします。
  • データ項目:検索・判定に使うデータと、PDFの保存領域を分けて整理します。
  • 独自開発:共通基盤を先に設計し、OCR結果の承認までを一連の流れにします。

画面や承認経路を決める前に、製品コードとCAS番号、含有率を確定させます。そのうえで、SDSの管理に使う情報は、法令、版、承認状態、配布履歴の4つに分けて整理します。

  • 法令:対象とする法令の範囲
  • 版:SDSの版の管理方法
  • 承認状態:承認の進み具合と承認者
  • 配布履歴:どの部署に配ったかの記録

PDFと構造化データを分けておくと、将来の再計算や連携に対応しやすくなります。

スクラッチで開発する場合は、化学物質マスタや版管理、イベントログ、検索API、権限、バックアップを共通基盤にします。

AI-OCRは入力を補助する役割にとどめ、成分名やCAS番号、含有率、分類根拠は担当者が確認します。自動化の割合だけを追うと、誤った登録が法令判定やSDS作成に広がるため、確認画面と差し戻し履歴も開発の範囲に含めます。

データ移行・テスト・リリースフェーズ

移行とテストでは、代表的なデータと例外的な状況を確かめ、その運用指標を次の拠点展開に生かします。

  1. サンプル移行:原料や混合物、旧版、欠損ファイル、同名の別製品を選んで試します。
  2. データ確認:PDFとの一致や最新版の表示、CAS番号からの逆引き、承認前情報が非公開かどうかを見ます。
  3. 例外テスト:法令や配合、SDSの変更、承認者の不在、連携データの欠損といった場面を想定します。
  4. 運用評価:参照率、改訂のリードタイム、影響範囲を特定する時間、問い合わせへの回答時間、配布証跡の取得率を測ります。

リリース後は、最新版SDSの参照率、登録と改訂のリードタイム、法改正時に影響範囲を特定する時間を、KPIとして追います。

ポイント

最初から全社の完成形を目指さず、1拠点または1製品群の最小構成で検証してから対象を広げるのが、費用を抑える目安です。範囲を絞るほど、後戻りの費用も小さくできます。

見積もりを取る際のポイントとコストを抑える方法

複数社から見積もりを取るときは、同じRFPを渡さなければ比べられません。そのため、SDS件数や工場数に加えて、対象法令、旧版の扱い、構造化する項目、移行の対象、連携先、更新の責任を明示します。

安い提案が必ずしも悪いわけではありません。ただし、対象外の作業が多い可能性もあるため、前提条件と除外項目を、まず確かめておきましょう。

RFPに書くべき項目

RFPでは、対象範囲をそろえて提案を比べられるよう、各項目を具体的に書きます。

  • 管理対象:SDS件数、年間の新規・改訂件数、対象拠点、利用者の役割。
  • 化学物質情報:配合の階層、CAS番号と含有率、国内外の対象法令。
  • 運用要件:SDS・ラベルの言語、承認フロー、旧版の保存期間、配布履歴、検索条件を示します。

この情報をそろえておけば、PDF保管型と化学物質基盤型の提案を同じ条件で比べられます。

連携先は、ERP、PLM、在庫・WMSを中心に選びます。加えて、販売・購買、生産管理、文書管理、薬品管理との連携も候補になります。

  • 販売・購買:受注や発注に関わる情報
  • 生産管理:製造指示と製造実績
  • 文書管理:SDSなどの文書の保管先
  • 薬品管理:薬品の在庫や保管の状況

そのうえで、連携の方向、更新の頻度、正となるマスタ、APIの有無、CSVで代替できるかどうかを記載します。

セキュリティは、認証、権限、操作ログを開発会社に質問するところから始め、データの保管や返却の条件まで広げて確かめます。

  • 保管場所:データを置く場所と管理の範囲
  • バックアップ・復旧:取得と保管の方法、障害時に戻すまでの目標
  • 脆弱性対応:脆弱性が見つかったときの対応
  • 外部AI・OCR:外部への送信の有無と扱い
  • データ返却:契約終了時のデータの返却方法

費用を抑える優先順位の付け方

費用を抑えるには、対象範囲、標準機能、移行範囲、支援ツールの使い方を順に整理します。

  • 対象を絞る:法令リスクや問い合わせが多い1拠点、または1製品群から始めます。
  • 段階導入:最新版の検索、版管理、承認、配布証跡を先に入れます。
  • 標準機能を使う:独自の画面を減らして、初期開発費と保守費を抑えられます。
  • 移行範囲を決める:現行版を検索・承認の対象にし、旧版は原本や参照履歴として残す方法もあります。
  • 支援ツールを使う:NITE-Gmiccsは、分類やラベル・SDS作成の検証に使えます。

組成の逆引きやRA、海外法規制、ERP連携は、効果とデータの品質を見たうえで追加します。

旧版の扱いは、保存の義務や監査の要件に抵触しないかを、専門部門で確認します。

NITE-Gmiccsは、全社の承認や権限、配布証跡、基幹連携を提供する商用システムではありません。そのため、検証に使う機能と、商用システムに任せる本番運用の機能を切り分けて検討します。責任の範囲をこのように分けておくと、必要な投資と重複投資を整理できます。

開発会社・ベンダーの比較方法

ベンダーは価格に加えて、化学物質業務への対応範囲と導入後の支援体制で比べます。

  • 実績と責任:化学物質データや法令、JIS改訂への対応の実績があるかを確かめます。
  • 導入支援:データ移行や工場での教育、障害時の連絡体制を聞いておきます。
  • 業務適合:ファイル管理、組成・法令、EHSのうち、どの範囲が得意かを見ます。

国内1拠点の台帳整備なら、クラウド型の標準導入が適しやすく、組成管理ではAJSのA∞FIT-CHEMSの事例が比較の材料になります。

この事例では、約750種の材料登録と製品組成の一元管理が示されています。

多言語・海外法規制が中心であれば、国別GHSやREACHの数量管理を説明できるExESSなどを候補にします。

公開料金がない場合は、構成要素ごとの概算と3年総額を、開発会社に示してもらいます。

ポイント

見積もりは同じRFPを渡して比べ、安い提案は前提条件と除外項目を確かめてから判断するのが目安です。安い提案には対象外の作業が多い可能性があるため、金額だけで比べないようにします。

化学製造業向けSDS管理システムのよくある質問

費用相場や導入判断でよく寄せられる質問に、SDS件数、拠点数、対象法令、連携先、移行範囲を合わせて考えながら答えます。

SDS管理システムは月額いくらから利用できますか?

小規模なSaaSやパッケージは、月額5万〜20万円程度が実務上の比べるときの幅になります。公開例のDr.EHS Chemicalは、月額16万2,500円で、初期費用は別途85万円です。

費用は、SDS件数や利用者、追加機能、導入支援によって変わります。月額だけでなく、初期・移行・法令更新・保守を含めた3年総額で確かめます。

スクラッチ開発とパッケージ導入はどちらが安いですか?

検索や版管理、承認などの標準機能を使えるパッケージやクラウドは、一般に初期費用と導入期間を抑えやすいです。

独自の配合や製造のトレーサビリティ、海外判定、顧客ポータルが競争力に直結する場合は、スクラッチ開発も選択肢に入ります。

標準機能で足りる台帳を独自開発すると、法令やJIS改訂への追随、保守費が高くなりやすくなります。そのため、独自開発は差別化の機能に限定します。

SDS管理システムは何か月で導入できますか?

小規模な検索・版管理なら1〜3か月、標準クラウドに移行・教育・法令チェックを加えた場合は3〜6か月が目安です。

組成管理や複数工場、ERP・PLM連携、多言語・海外法規制を含む場合は6〜12か月程度です。独自開発では、9〜18か月以上になる可能性があります。

Dr.EHS Chemicalも、初期設定から運用開始まで通常4〜6か月と案内しています。

既存のExcelやPDFはすべて移行する必要がありますか?

移行の粒度は、ファイルの種類や用途によって分けて考えられます。現行版を検索・承認・配布の対象にし、旧版は監査や履歴の確認に使う原本として保管する方法もあります。

旧版の保存期間、法令や品質監査の証跡、製品と成分のひも付けを確かめないまま、削除や破棄を進めてはいけません。

まとめ

費用相場を読むときの要点

実務上の推定レンジは、方式や対象業務によって異なり、確定した価格ではありません。

  • 小規模:初期50万〜150万円、月額5万〜20万円程度。
  • 標準クラウド:初期85万〜300万円程度。
  • 組成・法令・連携:300万〜1,000万円程度。
  • 多拠点導入:1,000万〜3,000万円程度。
  • 独自開発:2,000万〜5,000万円以上。

費用は、SDS件数、拠点数、配合階層によって変わります。法令の範囲や移行の量、外部システムとの接続も、金額を動かす要因になります。

  • 国内外の法令:対象となる法令の範囲
  • 移行:既存のSDSやデータを移す量と範囲
  • API連携:外部システムとの接続方法
  • セキュリティ:通信や認証、権限などの要件
  • 運用支援:導入後の支援の範囲

公開料金を基準にするなら、初期費用と月額、3年総額に分けて、標準機能と追加開発の境界を確かめます。そのうえで、移行、法令やJIS更新、保守の費用が公開料金に含まれるかも確かめます。

  • 移行:データ移行にかかる費用
  • 法令やJIS更新:規格改訂に伴う更新の費用
  • 保守:導入後の保守にかかる費用

最初に行うべきコスト最適化

まずは1拠点・1製品群で、最新版SDSの検索、版管理、承認、配布証跡、必要な化学物質マスタをMVPとして検証します。

現場での検索性と本社のガバナンスを確かめ、データの品質とKPIがそろってから対象を広げます。組成の逆引きや法令の再判定、RA、海外対応、基幹連携は段階的に加えていくと、過剰な投資や手戻りを抑えやすくなります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。