土木工事業向け安全書類管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

土木工事業向け安全書類管理システムの発注は、業務の棚卸し、要件と費用の整理、候補選定、1現場での検証の順に進めると、現場に定着しやすくなります。

発注形態から導入手順まで、各段階で決めることを順に示します。全体像は土木工事業向け安全書類管理システム開発の完全ガイドもご覧ください。

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・土木工事業向け安全書類管理システム開発の完全ガイド

土木工事業向け安全書類管理システムの発注の意味

安全書類の要件整理を、法令書類・発注者指定書類・自社管理書類の3区分で示す図。
書類の根拠を分けると、帳票要件を整理しやすくなります。

発注とは、施工体制と作業員情報をもとに、安全書類の作成から更新までを続ける仕組みを外部に依頼することです。ファイル共有だけでは、不備や期限切れ、二重入力、差し戻し履歴の分散が残ります。そのため、業務フロー全体を発注の対象にします。

グリーンファイル以外も含む管理対象

対象書類には、施工体制台帳、施工体系図、再下請負通知書、作業員名簿、資格証、健康診断記録があります。さらに、社会保険の加入状況、建設業許可、持込機械届も対象です。このほか、車両届、新規入場者教育、KY活動、作業計画書も対象に含めます。

要件整理では、必要書類の根拠を次の3区分に分けて考えます。

  • 法令書類:法令で必要な書類
  • 発注者指定書類:発注者が指定する様式
  • 自社管理書類:自社の安全管理で追加する書類

道路、河川、上下水道、造成などの工種によって、様式や確認項目は変わります。そのため、建築向けのテンプレートをそのまま使わないようにします。

国土交通省は、施工体制台帳、施工体系図、再下請負通知書、作業員名簿などの作成例を公開しています。作成例は令和6年8月1日に更新されました(出典:国土交通省「施工体制台帳、施工体系図等」)。そのうえで、システムの帳票要件は、公的様式と発注者ごとの運用を照合して決めます。

発注先に求める機能と現場定着

安全書類には、元請、一次下請、二次下請、一人親方、現場代理人、安全担当などが関わります。そのため、協力会社の書類回収率と定着は、発注先が操作性と導入後の支えをどこまで備えるかで変わります。

  • 協力会社の操作性:登録、証憑撮影、差し戻し確認がしやすい
  • 導入後の支援:説明会、移行、問い合わせ、代行登録に対応する
  • 利用状況の把握:使われ方を分析し、改善につなげる

スマートフォンで証憑を撮影でき、差し戻し箇所を理解できるかどうかが、協力会社の書類回収率に関わります。また、既製サービスには、協力会社のデータから施工体制台帳を作り、資格や健康診断の期限を警告するものがあります。

建設サイト・シリーズは2026年6月末時点で、契約企業数13万社以上、登録作業員数288万人以上、登録企業数94万社以上と公表しています(出典:株式会社MCデータプラス「グリーンサイト」)。導入の規模は安心材料になります。ただし、自社の土木工種、発注者帳票、既存システムとの連携への適合性は、個別に確かめます。

発注形態の選び方

発注形態は、標準業務に合わせられる範囲、独自帳票、連携要件、現場数、全社展開の構想で選びます。たとえば、1〜数現場ですぐ始める企業と、複数事業部のデータを統合する企業では、適した方法が異なります。まず、スクラッチ開発に決める前に、標準機能で解決できない差分を具体化しておきます。

既製の安全書類専用SaaSを発注するケース

既製SaaSを選ぶかどうかは、標準機能との適合性と運用条件を確かめて決めます。

  • 標準業務に合う:作成、提出、受領、保管、期限確認が標準化されている
  • 短期導入を目指す:初期設定や研修を含めて早く始められる
  • 独自帳票:数が多いと、標準機能だけでは運用の変更が必要になる

法改正や帳票の更新を、サービス側に任せられる点も利点です。一方で、複雑な承認経路や基幹システム連携がある場合は、標準機能の範囲に収まらないことがあります。

まずは1〜3現場で、協力会社の参加率や不備率を確かめ、そのうえで拡大します。Greenfile.workは、2026年2月12日時点で登録企業数30万社の突破を公表し、協力会社の無料利用を訴求しています(出典:Greenfile.work公式発表)。

協力会社の費用負担、データ出力形式、サポート範囲はサービスごとに異なります。そのため、見積の段階で確認します。

施工管理プラットフォームを拡張するケース

安全書類を、写真や図面、工程などと同じ基盤で扱いたい場合に、施工管理プラットフォーム型が候補になります。

  • 業務をまとめる:写真、図面、工程、電子納品、入退場も扱う
  • 二重入力を抑える:安全書類を別製品にせず、窓口をまとめる
  • 導入範囲を見極める:安全書類だけなら機能過多や負担に注意する

ANDPADは、初期費用、月額費用、オプション費用で料金を構成しています。具体的な額は、利用状況に応じて個別に提案しています(出典:ANDPAD「料金について」)。

全体導入では、責任者、権限、操作教育、既存ツールとの役割を先に決めておきます。加えて、業務改善の効果と導入の負荷を合わせて評価します。

個別開発やスクラッチ開発を委託するケース

独自要件が競争力に直結する場合は、個別開発を検討します。あわせて、必要な要件と、開発後に担う運用を整理します。

  • 独自要件:独自様式、工種別の判定、複雑な承認への対応
  • システム連携:施工管理、勤怠、会計、基幹との接続
  • マスター共通化:会社、現場、人、資格、健康診断、車両、機械の共通管理
  • 運用を継続する:帳票改訂、セキュリティ、障害、アカウントの管理

共通マスターを使えば、帳票を自動で生成できます。自社業務に合わせやすい一方で、開発後も運用を続ける必要があります。

まず、1現場、数社、主要帳票を対象にしたMVPを設定します。機能は、期限アラート、差し戻し、PDF出力だけです。

PoCの予算は、検討用の推定で50〜300万円、期間は1〜3か月程度です。この金額と期間は、対象範囲や既存資産によって変わる参考のレンジで、一律の市場価格ではありません。

ポイント

発注形態は、標準機能で足りる業務と、独自帳票や基幹連携が必要な部分を分けて考えると決めやすくなります。初めは数現場で拡大の判断材料をそろえる進め方が、迷いを減らします。

RFPと要件整理の決め方

安全書類を中央に置き、アクセス管理・保護と記録・継続性で囲んだセキュリティ要件図。
権限管理、記録、復旧への備えが要件を支えます。

RFPは、機能の一覧にとどまらず、課題と対象範囲、制約、成果指標、納品条件を示し、各社が同じ前提で見積もれるようにする資料です。

安全書類の名称だけでは、工数を算出できません。そのため、現行の回収方法や協力会社数、現場数、帳票数を明らかにします。承認者、保管期間、繁忙期の期限も、あわせて押さえます。

現行業務の流れによる棚卸し

現行業務は、書類ごとではなく、依頼から保管までの流れで棚卸しします。

  • 依頼と提出:依頼日、提出期限、受領方法の記録
  • 確認と承認:不備を見つけた時点、差し戻しの手段、承認者
  • 保管と作業:保管場所、工程ごとの担当者と所要時間

Excel、メール添付、紙の押印、共有フォルダを使う工程も対象です。現在の月間の件数と差し戻しの回数は、導入後に改善の効果を測るときの比較に使えます。

同じ会社名や作業員名を転記する場合は、会社、作業員、資格、健康診断、保険、車両をマスター化し、帳票で再利用します。また、現場ごとに表記が違う場合は、統合キー、重複データ、退職者や契約終了会社の無効化方法も、RFPに記載します。

現場の操作単位に落とし込んだ機能要件

機能要件は、現場の操作単位で定めます。管理、提出、承認の三つの操作ごとに、現場で必要になる機能を並べます。

  • 管理と生成:階層管理、会社・作業員・資格・期限のマスター、書類自動生成
  • 提出と確認:撮影・アップロード、未提出・不備・期限切れ一覧、差し戻し
  • 承認と出力:電子承認、PDF・CSV出力

公共土木では、発注者指定の様式や電子納品要領を確認します。道路工事と河川工事などで異なる確認項目を持てることも、要件にします。

通信が不安定な現場では、写真や証憑の一時保存、再送、復旧後の同期が欠かせません。そのため、画面の入力項目、画像の向きや容量、オフライン時の機能を受入条件にします。

OCRは入力を補助する手段として扱います。資格の有効性や法令への適合は、AIだけで判定しないことを、要件に明記します。

セキュリティと非機能要件の扱い

安全書類には、氏名や顔写真、資格、健康診断、保険加入状況などの個人情報が含まれます。そのため、要件に含める対策を整理します。

  • アクセス管理:会社・現場・役割ごとの権限、多要素認証
  • 保護と記録:暗号化、操作・承認・ダウンロードの監査ログ
  • 継続性:バックアップ、復旧テスト、脆弱性対応のSLA

ISO認証があるかどうかに加えて、閲覧権限、アカウント無効化の時期、ログ保存期間を確認します。

クラウドを利用する場合は、データの保管地域、再委託先、障害時の連絡、解約時の返却形式と消去証明、バックアップからの復元可否を、契約前に確認します。

工事完了後の書類を、サービス内に残すか自社ストレージへ出力するかで、費用と運用が変わります。RFPに条件が書かれていないと、解約時や監査時に追加費用が生じやすくなります。

ポイント

RFPは、現行業務の流れと対象範囲、機能の操作単位、セキュリティ条件を一つの前提にそろえて書きます。条件が曖昧なままでは、見積を同じ条件で比べられません。

契約形態と発注プロセスの設計

契約には、標準SaaSの利用、導入支援の準委任、成果物を定める請負、またはこれらの組み合わせがあります。検収の対象、仕様変更の扱い、運用支援の期間を分けておくと、発注後の認識違いを抑えられます。

準委任と請負の違い

契約は、求める作業と成果物に応じて選び、責任の範囲を条項で確認します。

  • 準委任:要件整理、現場ヒアリング、試作検証、導入伴走
  • 請負:画面、DB、帳票、API、テスト結果などの成果物
  • 契約条項:変更、遅延、瑕疵、再委託、知財、個人情報の確認

安全書類は、発注者の様式変更や、現場運用で見つかる事項によって要件が変わりやすい領域です。そのため、全工程を固定価格の請負にすると、変更のたびに追加の見積が生じやすくなります。

一方で、すべてを準委任にすると、最終費用と完成条件が見えにくくなります。そこで、要件定義とPoCは準委任、本開発は合意範囲の請負、保守と追加改修は月額または準委任に分けると比べられます。

発注から契約までの段階

発注は次の順に進め、価格と現場での使いやすさを同じ条件で比べます。

  1. 社内責任者と現場代表を決め、現状を棚卸しする
  2. RFPを作成し、候補企業へ説明して質問を受け付ける
  3. 提案書と見積書を受け取り、デモと操作確認を行う
  4. セキュリティ審査と契約条件の交渉を進める

価格だけでなく、協力会社を含む業務シナリオを、同じデータで実演してもらいます。契約前には、代表的な現場1件のデータを使い、会社と作業員の登録から、資格証の提出、差し戻し、再提出、承認、台帳出力までを確かめます。デモ用に整ったデータではなく、実際のExcel、PDF、写真、期限切れのデータを匿名化して使うと、移行や不備検知の課題が見えてきます。

契約書とSLAで定める運用開始後の責任

運用開始後に、どこまでを誰が受け持つかは、RFPと契約書で決めておきます。そのうえで、確認事項として、帳票の更新の分担とサービス水準を条項に整理します。

  • 更新の分担:標準帳票はサービス会社、独自帳票は別見積などと定める
  • サービス水準:重要度別の復旧目標、受付時間、通知、バックアップ、対象外作業

責任と費用の条件を書いておくと、現場が困ったときに判断が早くなります。

個別開発では、ソースコードや設計書の帰属、第三者ライブラリの条件、API仕様書、管理者アカウント、テストデータを確認します。委託先を変える可能性がある場合は、DBの項目定義と出力形式も納品物に含めます。

特定の企業しか保守できない状態を避けておくと、長期の外注費と事業継続性を守れます。

費用相場と費用の内訳

個別開発の安全書類MVP、本格開発、全社基盤まで含む場合の費用レンジを横棒で比較する図。
対象範囲が広がるほど、検討用レンジの上限も大きくなります。

費用は、現場数や協力会社数、帳票のカスタマイズによって変わります。さらに、データ移行、システム連携、研修、保守の範囲も費用に影響します。

見積では、初期設定、現場利用料、オプション、支援費を含めて、同じ条件で総額を比べます。

次の数値は、リサーチノート、公開されている料金体系、類似する建設DX案件をもとにした、2025〜2026年時点の検討用の推定です。

既製クラウド導入の費用レンジ

標準帳票で始める小規模導入と、移行や研修を含む中堅企業向けでは、費用の幅が異なります。

  • 小規模:初期0〜100万円、月額3〜15万円程度
  • 中堅企業向け:初期50〜300万円、月額15〜50万円程度

小規模の目安は、数現場に協力会社を招待し、標準帳票で始める想定です。一方、中堅企業向けは、複数現場やデータ移行、導入研修を含めて比べる軸になります。

製品によって実際の料金は異なり、公開ページに金額が載っていない場合もあります。ANDPADは、初期、月額、オプションの構成を示していますが、詳細は問い合わせ方式です。

Buildee労務安全は、1現場から使え、ユーザーIDの発行に課金しないと案内しています(出典:株式会社リバスタ「Buildee労務安全」)。見積では、現場数、期間、元請と協力会社の負担を示します。

個別開発の費用レンジと期間

個別開発の費用と期間は、機能の範囲によって異なります。次の数値は、検討用のレンジです。

  • 安全書類MVP:300〜800万円、3〜6か月程度
  • 本格開発:800〜2,000万円、6〜12か月程度
  • 全社基盤まで含む:1,500〜5,000万円、12〜24か月程度
  • 保守運用費:初期開発費の年15〜25%を保守・クラウド・セキュリティ費として仮置き

全社基盤の想定には、複数事業部の権限、CCUSや施工管理・勤怠・基幹連携が含まれます。

各レンジは市場価格を保証するものではなく、要件の範囲をそろえるための仮置きです。開発費は画面数だけでなく、帳票、権限、通知条件によっても変わります。さらに、移行件数やAPI接続先、テスト環境、通信対策も開発費を動かします。

保守費は、利用者数、稼働時間、SLA、改修量によって変動します。また、AI開発の短縮効果も、法定帳票、現場試験、他社連携の確認工数を含めて、控えめに見積もります。

見積に含めるべき隠れたコスト

初期見積に含まれる範囲を確認し、導入後にかかる費用も見落とさないようにします。

  • 導入準備:紙・Excelの移行、帳票設定、説明会、端末支援
  • 日常運用:問い合わせ、アカウント棚卸し、協力会社の利用料や代行登録
  • 利用終了:停止後のデータ出力

Buildeeは、上位会社による代行登録を案内しています。同じ支援が見積に含まれるかを、確かめておきます。

ROIは、削減時間だけでなく、未提出件数、不備率、差し戻しから再提出までの時間、期限切れ、担当者の月間作業時間、協力会社の登録完了率で測ります。たとえば、国土交通省のインフラDX大賞受賞取組概要は、Greenfile.workで紙・Excel運用より安全書類業務を73.8%削減した事例を紹介しています(出典:国土交通省「インフラDX大賞受賞取組概要」)。

事例の削減率は特定の取組の値で、自社の効果はPoCで検証します。

ポイント

費用は、初期費用と月額費用だけでなく、導入準備、日常運用、利用終了までを同じ範囲で比べて判断します。金額の幅は対象範囲と既存資産で大きく変わるため、参考レンジとして扱います。

委託先の選定と見積比較の観点

委託先は、建設業の書類業務を理解し、土木現場の条件を確かめたうえで、要件、開発、導入支援をつなげられる会社を選びます。候補を3〜5社に絞り、同じRFPと業務シナリオで提案を受けると、比べられます。

安全書類専用、施工管理プラットフォーム、承認・連携の拡張型では、得意な領域が異なります。そのため、導入社数のランキングだけでは判断できません。

業務シナリオによる実績の確認

実績は、自社の業務に近いシナリオで確認します。候補企業には、次の点を質問します。

  • 現場との適合:工種、元請と協力会社の関係、通信環境
  • 機能と連携:台帳出力、資格期限確認、CCUSやAPI連携
  • 導入と定着:課題、現場数、移行期間、参加方法、改善指標

近年は、PCやスマートフォンから社内外の関係者が承認でき、コメント付きで差し戻せる機能も増えています。たとえば、KANNAは2025年3月31日、他社関係者との帳票・資料承認に対応する承認フローの提供を開始しました(出典:株式会社アルダグラム「KANNA承認フロー」)。

業務削減率が独自調査による場合は、対象、比較条件、測定期間を確かめます。電波が弱い土木現場での挙動や、独自の承認順序への適合は、実データで確認します。

見積書の内訳のそろえ方

見積書は、合計額ではなく内訳をそろえ、条件を同じにして比較します。

  • 共通工程:要件定義、画面・データ設計、帳票、権限・認証、API、テスト、移行、研修、保守
  • SaaS費用:初期、現場月額、アカウント、オプション、サポート、帳票追加、解約時出力
  • 開発費用:人月、成果物、体制、稼働、予備費、変更管理

安い見積では、機能、受入テスト、移行、マニュアル、現場立会い、セキュリティ審査の抜けを確認します。一方、高い見積では、標準機能と重なる開発や過剰なカスタマイズを確認します。

「必須」「できれば」「将来」の優先度を付けて再見積を依頼すると、価格差の理由が見えます。

協力会社支援とセキュリティの選定評価

導入の成否は、元請担当者の操作性だけでなく、協力会社が期限内に登録できるかで決まります。そのため、選定時には支援体制と情報管理を確認します。

  • 協力会社支援:招待再送、スマホ入力、無料・低負担、多言語、代行登録、電話・チャット、説明会
  • 情報の再利用:会社・作業員情報を別現場で使えるか確認する
  • セキュリティ:MFA、権限、監査ログ、バックアップ、復旧、データ所在地、再委託、解約時の返却・消去
  • 監査と証跡:承認者・時刻、差し戻し前後のファイル、現場表示・出力を追跡し、資料や具体的証跡で回答できるか

ポイント

委託先は、業務シナリオでの実績、協力会社の登録を支える支援、セキュリティと解約条件を合わせて比べます。社名や導入社数だけで選ぶと、自社の現場に合うかどうかが見えにくくなります。

発注後の開発と導入の順序

導入は、要件定義、設計・設定、データ移行、テスト、協力会社を含む試行、本番展開、改善の順に進みます。

開発会社に任せきりにせず、現場担当者、安全担当、情報システム担当、協力会社の代表もレビューに加わります。差し戻しと再提出、期限アラート、出力帳票は、繁忙期を想定して確認します。

1現場PoCでの回収率と不備率

PoCには、入力が得意な会社だけでなく、ITに不慣れな会社、一人親方、通信環境の異なる会社も含めます。

  1. 一現場で試す:主要帳票と数社に絞り、会社登録、作業員情報再利用、資格証提出、差し戻し、承認、PDF出力を通す
  2. 利用状況を記録する:迷った箇所、電話サポート件数、期限内回収率、1社あたり登録時間、不備率、再提出時間、期限切れ検知、紙・メールの残件
  3. 効果を判断する:利用人数だけでなく安全確認に使える時間で評価し、未達なら画面、帳票、説明方法を見直す

データ移行と説明会の本番前の準備

本番を円滑に始めるため、データ移行の確認と協力会社への事前案内を整えます。

  • データを整理する:会社名、作業員名、資格番号・期限、健康診断日、保険加入状況を確認し、重複や古いデータを除く
  • 移行を確認する:項目対応表とエラー処理を合意し、テスト移行後に現場担当者が確認する
  • 個人情報を管理する:受け渡し方法、アクセス権、保管期間、削除方法の記録
  • 説明と代替手段を用意する:登録方法と期限管理の理由、差し戻しの確認場所、問い合わせ先を伝え、参加できない会社には動画や手順書、代行登録を案内
  • 本番後に支援する:最初の1か月は未提出会社を責めず、操作のつまずきと制度上の確認事項を分けて対応する

月次レビューによる全社展開の条件

月次レビューでは、現場ごとの運用状況を確認し、展開の判断材料をそろえます。

  • 現場の状況:提出、不備、差し戻し滞留、期限切れ、問い合わせ
  • 利用の定着:協力会社の利用状況と継続率

成果に差がある場合は、管理者の支援方法や帳票の設定を調べます。独自のExcelをすぐに追加する前に、既存帳票で表現できないかを検討します。

全社展開は、利用者数ではなく、必須書類の回収率、期限切れの見逃し、作業時間、協力会社の継続率、問い合わせ件数で判断します。CCUSや入退場、電子納品へ広げる際は、データ項目と責任部署を決めます。

標準SaaSを軸に、不足する連携だけを開発すると、費用とリスクを抑えやすくなります。

ポイント

導入は、1現場のPoCで回収率と不備率を測ってから、本番展開へ進むと判断しやすくなります。協力会社の参加率や差し戻しの時間が目標に届かない場合は、画面、帳票、説明方法を見直す判断材料になります。

土木工事業向け安全書類管理システムのよくある質問

発注の際には、費用、紙、協力会社の負担、個人情報、CCUS連携、解約時のデータが論点になります。発注前によく出る疑問を、順に取り上げます。

安全書類を電子化すれば紙は完全に不要ですか?

完全に不要になるとは限りません。法令、発注者の要領、契約、元請のルールによって、電子保存や現場での表示・出力の条件が変わるため、工事ごとに確認します。

国土交通省の作成例や土木工事電子書類スリム化ガイドを確認し、必要な原本、閲覧方法、提出形式をRFPに反映します。

協力会社のアカウント費用は誰が負担しますか?

料金設計によって異なるため、元請が全額負担するか、協力会社にも利用料がかかるかを、契約前に確認します。無料のサービスでも、追加機能、複数現場、代行登録、サポートは別条件の場合があります。

費用負担は参加率に影響するため、元請の導入費だけでなく、協力会社の実負担額と作業時間も比べます。

CCUSや施工管理システムと連携できますか?

連携の可否は、標準機能、API、CSV、対象データ、契約プランで決まります。

グリーンサイトは、条件を満たすサービスを使えば、現場、施工体制、技能者の情報と入場記録をCCUSへ連携できると案内しています(出典:建設サイト・シリーズ「CCUSデータ連携サービス」)。

連携する前に、正とするシステム、更新の方向、エラー時の再送、承認者を決めておきます。

サービスを解約したときデータを取り出せますか?

出力形式、対象データ、添付ファイル、作業費、期限はサービスごとに異なります。そのため、会社、作業員、資格、承認履歴、帳票、監査ログの形式を、契約前に確認します。

出力後に自社で検索・閲覧できるか、解約後いつまで依頼できるかも確かめます。返却と消去証明を契約条件に入れておくと、乗り換えや監査に備えられます。

まとめ

発注の際は、紙を画面に置き換えるだけでなく、業務全体を一つの流れとして整理します。情報の回収から保管と出力までの流れには、不備確認、差し戻し、承認、台帳、期限管理が含まれます。

法定書類、発注者指定、元請独自のルールを分けたうえで、現場数や協力会社数を前提にRFPを作ると、比べられる提案を得やすくなります。

現場の課題と将来像による発注形態の決定

標準帳票で数現場から始めるなら専用SaaS、写真・工程・電子納品も統合するなら施工管理基盤、独自様式や基幹連携が必須なら個別開発が候補です。

方式にかかわらず、1現場PoCで回収率、不備率、差し戻し時間、期限切れ、作業時間を測り、効果を確かめてから展開します。

定着から解約後までを含む見積比較

見積では、初期費用や開発費に加えて、移行、帳票設定、API、研修を比べます。さらに、協力会社支援、保守、セキュリティ、障害対応、解約時の返却まで確認します。

匿名化した現場データでデモを検証し、契約形態と責任分界を明確にします。現場に定着する委託先を選ぶことが、電子化を継続的な業務改善につなげます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。