土木工事業向け安全書類管理システムの発注では、安全書類を電子化するだけでなく、協力会社の情報回収から不備の差し戻し、施工体制台帳の作成、資格期限の確認までを一つの業務として設計することが重要です。
本記事では、既製クラウドを導入するか、施工管理サービスを拡張するか、個別開発を委託するかの判断軸を整理します。RFPや要件のまとめ方、契約形態、費用相場、委託先と見積書の比較方法、1現場から全社へ展開する進め方まで、発注前に確認したい実務を順番に解説します。
▼全体ガイドの記事
・土木工事業向け安全書類管理システム開発の完全ガイド
土木工事業向け安全書類管理システムの発注とは何ですか?

土木工事業向け安全書類管理システムの発注とは、施工体制と作業員情報を基礎データとして、安全書類の作成・提出・確認・承認・保管・更新を継続できる仕組みを外部のサービス会社や開発会社へ依頼することです。単純なファイル共有の導入では、書類の不備、期限切れ、二重入力、差し戻し履歴の分散が残りやすいため、業務フロー全体を対象にする必要があります。
管理対象はグリーンファイルだけではありません
対象書類には、施工体制台帳、施工体系図、再下請負通知書、作業員名簿、資格証、健康診断記録、社会保険の加入状況、建設業許可、持込機械届、車両届、新規入場者教育、KY活動、作業計画書などが含まれます。道路、河川、上下水道、造成などの工種によって発注者指定様式や確認項目が変わるため、一般的な建築向けテンプレートをそのまま採用しないことが大切です。
まず書類を「法令で必要なもの」「発注者や元請から指定されるもの」「自社の安全管理で追加するもの」に分けます。国土交通省は施工体制台帳、施工体系図、再下請負通知書、作業員名簿などの作成例を公開しており、令和6年8月1日には作成例が更新されています(出典:国土交通省「施工体制台帳、施工体系図等」)。システムの帳票要件は、この公的な様式と各発注者の運用を照合して決める必要があります。
発注先にはシステム機能と現場定着の両方を求めます
安全書類は元請だけで完結せず、一次下請、二次下請、一人親方、現場代理人、安全担当など複数の立場が関わります。そのため、入力画面が高機能でも、協力会社が招待を受けて登録しやすく、スマートフォンで証憑を撮影し、差し戻し箇所を理解できなければ回収率は上がりません。発注時は開発力だけでなく、説明会、移行支援、問い合わせ対応、代行登録、利用状況の分析まで含めて比較します。
既製サービスの中には、協力会社の登録データから施工体制台帳を作成し、資格や健康診断の期限を警告するものがあります。たとえば建設サイト・シリーズは、2026年6月末時点の自社集計として契約企業数13万社以上、登録作業員数288万人以上、登録企業数94万社以上を掲載しています(出典:株式会社MCデータプラス「グリーンサイト」)。このような導入規模は安心材料になりますが、自社の土木工種、発注者帳票、既存システムとの接続まで合うとは限らないため、個別の適合性確認が必要です。
発注形態はどのように選べばよいですか?

発注形態は、標準業務に合わせられる範囲、独自帳票の多さ、連携要件、利用現場数、将来の全社展開を基準に選びます。1〜数現場で早く始めたい企業と、複数事業部のデータを統合したい企業では適切な答えが異なります。最初からスクラッチ開発に決めず、標準機能で解決できない差分を具体化してから判断することが安全です。
既製の安全書類専用SaaSを発注するケース
既製SaaSは、書類の作成、提出、受領、保管、期限チェックなどが標準化されている場合に向いています。初期設定と研修を含めて短期間で始めやすく、法改正や帳票更新をサービス側に任せられる点も利点です。1〜3現場で検証し、協力会社の参加率や不備率を確認してから拡大する導入が現実的です。
一方で、元請独自の帳票が多い場合、複雑な承認経路や基幹システム連携がある場合は、標準機能だけでは運用を変更する必要が出ます。Greenfile.workは2026年2月12日時点で登録企業数30万社突破を公表し、協力会社は無料で利用できる点を訴求しています(出典:Greenfile.work公式発表)。ただし、協力会社の費用負担、保存データの出力形式、サポート範囲はサービスごとに異なるため、見積時に確認します。
施工管理プラットフォームを拡張するケース
写真、図面、工程、電子納品、入退場、安全書類を同じ基盤で扱いたい場合は、施工管理プラットフォーム型が候補になります。安全書類だけを別製品にして二重入力する必要を抑えられ、現場の利用窓口を一つにしやすいからです。ANDPADは料金を初期費用、月額費用、オプション費用の3つで構成し、具体的な金額は利用状況に応じた個別提案としています(出典:ANDPAD「料金について」)。
ただし、施工管理全体を導入すると、安全書類だけを解決したい企業には機能過多や運用負担が生じる場合があります。写真や工程の利用部門まで巻き込む場合は、導入責任者、権限設計、操作教育、既存ツールとの役割分担を先に決めます。安全書類の範囲だけで比較せず、全体の業務改善効果と導入負荷を合わせて評価することが大切です。
個別開発やスクラッチ開発を委託するケース
独自様式、工種別の判定、複雑な承認、既存の施工管理・勤怠・会計・基幹システムとの連携が競争力に直結する場合は、個別開発を検討します。会社、現場、作業員、資格、健康診断、車両、機械などのマスターを共通化し、帳票を自動生成する仕組みまで合わせて設計できます。自社の業務に合わせられる反面、帳票改訂、セキュリティ、障害対応、協力会社のアカウント管理を継続的に担う覚悟が必要です。
個別開発を選ぶ場合でも、最初から全機能を作るのではなく、1現場、数社の協力会社、主要帳票、期限アラート、差し戻し、PDF出力に絞ったMVPを設定します。PoCの予算はリサーチノートで整理した検討用推定では50〜300万円、期間は1〜3か月程度です。これは市場の一律価格ではなく、対象範囲や既存資産によって変わる参考レンジです。
RFPと要件整理では何を決めますか?

RFPは、会社が欲しい機能を並べる資料ではなく、現場の課題、対象範囲、制約、成果指標、納品条件を候補企業が同じ前提で見積もるための資料です。安全書類の名称だけでは工数を算出できないため、現行の回収方法、協力会社数、現場数、帳票数、承認者、保管期間、繁忙期の期限まで具体化します。
現行業務を書類ではなく流れで棚卸しします
棚卸しでは、協力会社へ依頼する日、提出期限、受領方法、不備を発見するタイミング、差し戻しの連絡手段、承認者、最終保管場所を一枚の流れにします。Excelで会社情報を管理し、メール添付で資格証を受け取り、紙で押印し、別の共有フォルダに保存している場合は、工程ごとの担当者と所要時間を記録します。現状の月間件数や差し戻し回数が分かると、導入後の改善を測りやすくなります。
書類の棚卸しでは、入力項目の重複にも注目します。同じ会社名や作業員名を複数の帳票へ転記しているなら、会社・作業員・資格・健康診断・保険・車両をマスター化し、帳票へ再利用する要件に変換できます。現場ごとに表記が異なる場合は、統合キー、重複データの扱い、退職者や契約終了会社の無効化方法もRFPへ記載します。
機能要件は現場の操作単位まで落とし込みます
最低限の機能要件は、現場・元請・一次下請・二次下請の階層管理、会社・作業員・資格・期限のマスター、書類の自動生成、スマートフォンからの撮影とアップロード、未提出・不備・期限切れの一覧、コメント付き差し戻し、電子承認、PDF・CSV出力です。公共土木では発注者指定様式や電子納品要領を確認し、道路工事と河川工事などで異なる確認項目を持てるかも記載します。
通信が不安定な現場では、写真や証憑の一時保存、再送、通信復旧後の同期が重要です。スマートフォンの画面で入力項目を減らせるか、撮影画像の向きや容量を扱えるか、オフライン中に何ができて何ができないかを受入条件にします。OCRは入力補助として便利ですが、資格の有効性や法令適合をAIだけで判定しないことも明記します。
セキュリティと非機能要件を後回しにしません
安全書類には氏名、顔写真、資格、健康診断、保険加入状況などの個人情報が含まれます。会社単位・現場単位・役割単位の権限、多要素認証、通信と保存データの暗号化、操作・承認・ダウンロードの監査ログ、バックアップ、復旧テスト、脆弱性対応のSLAを要件に入れます。ISO認証の有無だけで判断せず、誰が何を見られ、いつ無効化され、どの期間ログを残すかを確認します。
クラウドサービスを使う場合は、データ保管地域、再委託先、障害時の連絡、解約時のデータ返却形式と消去証明、バックアップからの復元可否も契約前に確認します。工事完了後も保存が必要な書類をサービス内に残すのか、自社ストレージへ出力するのかで費用と運用が変わります。RFPにこの条件がないと、初期見積が安くても解約時や監査時に追加費用が発生しやすくなります。
契約形態と発注プロセスはどう設計しますか?

契約形態は、標準SaaSの利用契約、初期設定や導入支援の準委任契約、成果物を定めた請負契約、またはこれらを組み合わせる形が一般的です。何を成果物として検収するのか、仕様変更をどの契約で扱うのか、運用支援をいつまで含めるのかを分けて記載すると、発注後の認識違いを抑えられます。
準委任と請負の違いを成果物と責任で分けます
要件整理、現場ヒアリング、プロトタイプ検証、導入伴走のように、作業の遂行や専門家の支援を求める範囲は準委任契約に向きます。画面、データベース、帳票、API、テスト結果など、完成させる成果物と検収基準を明確にできる範囲は請負契約に向きます。契約名だけでなく、要件変更、遅延、瑕疵対応、再委託、知的財産権、個人情報の取扱いを条項で確認します。
安全書類システムは、発注者の様式変更や現場運用の発見により要件が変わりやすい領域です。全工程を固定価格の請負にすると、変更のたびに追加見積が発生しやすく、逆にすべてを準委任にすると最終費用と完成条件が見えにくくなります。要件定義とPoCは準委任、本開発は合意した範囲の請負、保守と追加改修は月額または準委任という分け方が比較しやすいです。
発注から契約までを段階に分けます
最初に社内の責任者と現場代表を決め、現状棚卸しを行います。次にRFPを作成して候補企業へ説明し、質問受付、提案書と見積書の提出、デモ、現場担当者による操作確認、セキュリティ審査、契約条件の交渉へ進みます。価格だけでなく、協力会社を含めた業務シナリオを同じデータで実演してもらうことが重要です。
契約前には、代表的な現場1件のデータを使い、会社登録から作業員登録、資格証の提出、差し戻し、再提出、承認、施工体制台帳出力までを通しで確認します。候補企業がデモ用に用意したきれいなデータではなく、実際のExcel、PDF、写真、期限切れデータを匿名化して使うと、移行や不備検知の課題が見えます。
契約書とSLAで運用開始後の責任を決めます
運用開始後の責任分界も、RFPと契約書で決めます。たとえば、法改正に伴う標準帳票の更新はサービス会社が行い、元請独自帳票の変更は別途見積とする場合があります。障害の重要度別の復旧目標、問い合わせの受付時間、メンテナンス通知、データのバックアップ頻度、サポート対象外の作業を記載すると、現場が困ったときの判断が早くなります。
個別開発では、ソースコードや設計書の帰属、第三者ライブラリの利用条件、API仕様書、管理者アカウント、テストデータの扱いを確認します。完成後に委託先を変更する可能性があるなら、データベースの項目定義と出力形式を納品物に含めます。特定の会社にしか保守できない状態を避けることが、長期の外注費と事業継続性を守ります。
費用相場はいくらで、何にお金がかかりますか?

土木工事業向け安全書類管理システムの費用は、現場数、協力会社数、帳票カスタマイズ、データ移行、既存システム連携、導入研修、保守範囲で大きく変わります。公開料金がある製品でも、初期設定、現場単位の利用料、オプション、支援費が分かれるため、総額を同じ条件にそろえて比較します。以下はリサーチノートと公開サービスの料金体系、類似する建設DX案件から整理した2025〜2026年時点の検討用推定です。
既製クラウド導入の費用レンジ
既製クラウドを小規模に導入する場合は、初期費用0〜100万円、月額3〜15万円程度が検討用の目安です。数現場に協力会社を招待し、標準帳票で始めるケースを想定したレンジです。中堅企業向けに複数現場、データ移行、導入研修を含める場合は、初期50〜300万円、月額15〜50万円程度が一つの比較軸になります。
実際の料金は製品ごとに異なり、公開ページが金額を掲載していないこともあります。たとえばANDPADは初期費用、月額費用、オプション費用の構成を示していますが、詳細は問い合わせ方式です。一方、Buildee労務安全は1現場から利用でき、ユーザーID発行に対する課金がないと案内しています(出典:株式会社リバスタ「Buildee労務安全」)。この違いを踏まえ、見積依頼では現場数、利用期間、元請と協力会社の費用負担を明示します。
個別開発の費用レンジと期間
安全書類に絞ったスクラッチMVPは300〜800万円、期間3〜6か月程度、本格的なスクラッチ開発は800〜2,000万円、期間6〜12か月程度が検討用のレンジです。複数事業部の権限、CCUSや施工管理・勤怠・基幹システムとの連携、全社データ基盤まで含める場合は、1,500〜5,000万円、12〜24か月程度となる可能性があります。いずれも市場価格を保証するものではなく、要件の範囲をそろえるための仮置きです。
開発費を比較するときは、画面数だけでなく、帳票の種類、権限の組み合わせ、通知条件、データ移行件数、APIの相手先、テスト環境、現場での通信対策を確認します。初期開発費の年15〜25%を保守・クラウド・セキュリティ運用費として仮置きする方法もありますが、利用者数、稼働時間、SLA、改修量によって変わります。AIを使った開発による短縮効果も、法定帳票や現場試験、他社連携の確認工数を含めて控えめに見積もります。
見積に含めるべき隠れたコスト
見落としやすいのは、Excelや紙からのデータ移行、帳票の初期設定、協力会社向けの説明会、現場への端末支援、問い合わせ対応、アカウントの棚卸し、利用停止後のデータ出力です。協力会社側の費用や、インターネット環境を用意できない会社への代行登録を誰が担うかも、運用費に影響します。Buildeeでは上位会社による代行登録を案内しているため、同じ支援が見積に含まれるかを候補企業へ尋ねます。
ROIは削減時間だけで計算せず、未提出件数、不備率、差し戻しから再提出までの時間、期限切れ件数、現場担当者の月間作業時間、協力会社の登録完了率を測ります。国土交通省のインフラDX大賞受賞取組概要では、Greenfile.workの活用により紙・Excel運用と比較して安全書類業務を73.8%削減した事例が紹介されています(出典:国土交通省「インフラDX大賞受賞取組概要」)。これは特定の導入事例の値であり、自社で同じ効果が出ると断定せず、PoCで検証します。
委託先の選定と見積比較では何を見ますか?

委託先は、建設業の書類業務を理解し、土木工事の現場条件を確認しながら、要件・開発・導入支援をつなげられる会社を選びます。安全書類専用型、施工管理プラットフォーム型、承認・連携を拡張する型では得意領域が異なるため、単純な導入社数ランキングでは判断できません。候補を3〜5社程度に絞り、同じRFPと同じ業務シナリオで提案を受けると比較しやすいです。
実績は社名ではなく業務シナリオで確認します
実績確認では、土木工事の工種、元請と協力会社の関係、施工体制台帳の出力、資格期限のチェック、CCUSやAPIの連携、現場の通信環境を質問します。導入社数だけでなく、導入前の課題、対象現場数、移行期間、協力会社の参加方法、定着後の改善指標を聞くことが大切です。事例の業務削減率がベンダー独自調査なら、その調査対象、比較条件、測定期間も確認します。
近年は、PCとスマートフォンの両方から社内外の関係者が承認し、コメント付きで差し戻せる機能も増えています。KANNAは2025年3月31日に、社内だけでなく協力会社など他社関係者との帳票・資料の承認に対応する承認フローを提供開始しました(出典:株式会社アルダグラム「KANNA承認フロー」)。このような最新機能も、土木現場で電波が弱い場合の挙動や、元請独自の承認順序に合うかを実データで確認します。
見積書は合計額ではなく内訳をそろえます
見積書は、要件定義、画面設計、データ設計、帳票開発、権限・認証、API連携、テスト、移行、研修、運用保守に分けてもらいます。SaaSなら初期費用、現場単位の月額、アカウント、オプション、サポート、帳票追加、解約時の出力費用を分けます。個別開発なら人月だけでなく、各工程の成果物、担当体制、想定稼働、予備費、変更管理のルールまで比較します。
安い見積が出た場合は、対象外の機能や、ユーザー受入テスト、データ移行、マニュアル、現場立会い、セキュリティ審査が抜けていないかを確認します。高い見積は、標準機能と重複する個別開発や、過剰なカスタマイズが含まれていないかを確認します。各社に「必須」「できれば」「将来」の優先度を付けて再見積を依頼すると、価格差の理由が見えます。
協力会社支援とセキュリティを選定評価に入れます
安全書類の導入成否は、元請担当者の操作性だけでなく、協力会社が期限内に登録できるかで決まります。招待メールの再送、スマートフォンでの入力、無料または低負担の参加方法、代行登録、複数言語、電話やチャットのサポート、説明会の有無を比較します。協力会社に一度登録してもらった会社・作業員情報を別現場で再利用できるかも、回収工数に直結します。
セキュリティでは、MFA、権限の粒度、監査ログ、バックアップ、障害復旧、データ所在地、再委託、解約時の返却・消去を確認します。公共工事や発注者の監査に備えるなら、誰がいつ承認したか、差し戻し前後のファイルを追跡できるか、現場で必要な書類を表示・出力できるかも評価項目です。セキュリティ資料を提出できる会社と、質問に具体的な証跡で回答できる会社を優先します。
発注後の開発・導入はどの順序で進めますか?

発注後は、要件定義、設計・設定、データ移行、テスト、協力会社を含む試行、本番展開、改善の順に進めます。開発会社に任せきりにせず、元請の現場担当者、安全担当、情報システム担当、協力会社の代表をレビューに参加させます。特に差し戻しと再提出、期限アラート、出力帳票は、実際の繁忙期を想定した確認が必要です。
1現場PoCで回収率と不備率を測ります
最初のPoCは、入力が得意な協力会社だけを選ばず、ITに不慣れな会社、一人親方、通信環境が異なる会社を含めます。対象は主要帳票と数社の協力会社に絞り、会社情報の登録、作業員情報の再利用、資格証の提出、差し戻し、承認、PDF出力を一つの現場で通します。利用者がどこで迷ったか、電話サポートが何件発生したかを記録します。
PoCの評価指標には、提出期限内の回収率、1社あたりの登録時間、不備率、差し戻しから再提出までの時間、期限切れの検知件数、紙やメール添付の残件数を設定します。システムを使った人数だけで成功と判断せず、書類業務が現場の安全確認に使える時間を増やしたかで判断します。目標未達の場合は、画面改修だけでなく、帳票の統廃合や協力会社への説明方法も見直します。
データ移行と説明会を本番前に終わらせます
既存のExcelや紙からデータを移行する際は、会社名、作業員名、資格番号、資格期限、健康診断日、保険加入状況を整理し、重複と古いデータを除きます。移行前に項目の対応表とエラーの扱いを合意し、テスト移行後に現場担当者がサンプルを確認します。個人情報を含むため、受け渡し方法、アクセス権、保管期間、削除方法も記録します。
協力会社向け説明会では、登録方法の説明だけでなく、なぜ期限管理が必要なのか、差し戻しの理由をどこで見るのか、問い合わせ先はどこかを伝えます。説明会に参加できない会社には短い動画や画面付き手順書を用意し、代行登録の条件も案内します。本番開始後の最初の1か月は、未提出会社を責めるのではなく、操作上のつまずきと制度上の確認事項を切り分けて支援します。
月次レビューで全社展開の条件を確認します
本番後は、月次で現場別の提出状況、不備の種類、差し戻しの滞留、期限切れ、問い合わせ、協力会社の利用状況を確認します。特定の現場だけが高い成果を出している場合は、管理者のフォロー方法や帳票設定に差がないかを調べます。現場で増えた独自Excelをすぐにシステムへ追加せず、同じ項目を既存帳票で表現できないかを検討します。
全社展開の判断は、利用者数ではなく、必須書類の回収率、期限切れの見逃し、担当者の作業時間、協力会社の継続利用率、問い合わせ件数が安定したかで行います。CCUSや入退場、電子納品へ広げる場合は、追加するデータ項目と責任部署を決めて段階的に進めます。標準SaaSを軸にしながら不足する連携だけを開発する方式は、費用とリスクを抑えやすい選択肢です。
土木工事業向け安全書類管理システムのよくある質問

安全書類システムの発注では、費用だけでなく、紙の扱い、協力会社の負担、個人情報、CCUS連携、解約時のデータまで質問されます。ここでは発注前に特に多い疑問へ、判断の前提を分けて回答します。
安全書類を電子化すれば紙は完全に不要ですか?
完全に不要になるとは限りません。法令、発注者の要領、契約、元請独自ルールによって、電子データの保存や現場での表示・出力に求められる条件が変わるため、対象工事ごとに確認します。国土交通省の作成例や土木工事電子書類スリム化ガイドを確認し、必要な原本、閲覧方法、提出形式をRFPに反映することが安全です。
協力会社のアカウント費用は誰が負担しますか?
サービスの料金設計によって異なるため、元請が全額負担するのか、協力会社にも利用料が発生するのかを契約前に確認します。協力会社無料を掲げるサービスもありますが、追加機能、複数現場、代行登録、サポートは別条件の場合があります。費用負担が参加率に影響するため、元請側の導入費だけでなく、協力会社が実際に負担する金額と作業時間も比較します。
CCUSや施工管理システムと連携できますか?
連携できるかどうかは、候補サービスの標準機能、API、CSV、連携対象のデータ項目と契約プランによって決まります。グリーンサイトでは、条件を満たすサービスを利用することで、現場情報、施工体制情報、技能者情報、入場記録をCCUSへ連携できると案内しています(出典:建設サイト・シリーズ「CCUSデータ連携サービス」)。連携前に、どちらを正とするか、更新方向、エラー時の再送、承認者を決めます。
サービスを解約したときデータを取り出せますか?
取り出せる形式、対象データ、画像や添付ファイルの扱い、作業費、期限はサービスごとに異なります。契約前に、会社・作業員・資格・承認履歴・帳票・監査ログをどの形式で出力できるか、出力後に自社で検索・閲覧できるか、解約後いつまで依頼できるかを確認します。データ返却と消去証明を契約条件に入れておくと、将来の乗り換えや監査に備えられます。
まとめ

土木工事業向け安全書類管理システムを発注するときは、紙を画面に置き換える発想ではなく、協力会社の情報回収、書類の不備確認、差し戻し、承認、施工体制台帳、期限管理、保管と出力を一つの業務フローとして整理します。法定書類、発注者指定、元請独自ルールを分け、現場数や協力会社数を前提にRFPを作ることで、候補企業から比較可能な提案を得やすくなります。
発注形態は現場の課題と将来像で決めます
1〜数現場で標準帳票から始めるなら安全書類専用SaaS、写真・工程・電子納品まで統合するなら施工管理プラットフォーム、独自様式や基幹連携が差別化要件なら個別開発が候補です。どの方式でも、最初は1現場PoCで回収率、不備率、差し戻し時間、期限切れ件数、担当者の作業時間を測り、効果が確認できた範囲から展開します。
見積比較では定着と解約後まで確認します
見積書は初期費用や開発費だけでなく、データ移行、帳票設定、API連携、研修、協力会社支援、保守、セキュリティ、障害対応、解約時のデータ返却まで含めて比較します。実際の現場データを匿名化してデモで検証し、契約形態と責任分界を明確にしたうえで、現場に定着する委託先を選ぶことが、安全書類の電子化を継続的な業務改善につなげる近道です。
▼全体ガイドの記事
・土木工事業向け安全書類管理システム開発の完全ガイド
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
