土木工事業向け測量データ管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

土木工事業向け測量データ管理システムの開発費は、試行用のPoCなら50万〜300万円、小規模なMVPなら300万〜800万円、測量機器・点群・出来形・電子納品まで含む標準的な業務システムなら800万〜2,000万円が予算検討の目安です。複数拠点や基幹システム連携まで行う場合は2,000万〜5,000万円超になることもありますが、機能範囲、データ容量、連携対象、セキュリティ要件によって大きく変動します。

測量データ管理の費用を考えるときは、アプリの開発費だけでなく、TS・GNSS・UAV・レーザースキャナーからのデータ取り込み、現場でのオフライン利用、点群処理、設計値との比較、成果品の電子納品、教育や保守まで含めて判断することが大切です。この記事では、公開されているクラウド・ライセンス料金と導入事例を確認しながら、個別開発の費用内訳、価格帯、開発期間、見積もりの変動要因、費用を抑える方法を2026年時点の情報として解説します。

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・土木工事業向け測量データ管理システム開発の完全ガイド

土木工事業向け測量データ管理システムの全体像

土木工事の測量データを管理するシステムのイメージ

土木工事業向け測量データ管理システムは、測量したファイルを保存するだけの場所ではありません。工事、現場、工区、測量作業、測点、基準点、使用機器、担当者、設計データ、成果品を関連付け、観測から出来形管理・電子納品までの履歴を追跡できる業務基盤です。費用の差は、どこまでの業務を一つの仕組みに含めるかで生まれます。

管理対象は測量ファイルだけではありません

対象になるデータは、TSやGNSSで取得した座標、レベルの観測値、UAV写真測量、レーザースキャナーやLiDARの点群、SIMA・CSV・DXF・DWG・LandXML・J-LandXML・GeoTIFFなどです。これらを工事番号や測点ID、座標系、標高、観測日時、機器、担当者とひも付けることで、後から「どのデータを根拠にこの出来形を判定したのか」を説明できます。写真、図面、協議履歴、承認記録まで位置と時系列で結び付けると、事務所への確認電話やメール添付による版違いも減らせます。

反対に、単純なファイル共有だけを構築しても、座標系の入力漏れ、設計値との比較、帳票作成、電子納品用フォルダの生成などは別作業として残ります。見積もりでは「保管するデータ」と「自動化する業務」を分けて書き出すことが、不要な機能追加と予算超過を防ぎます。

パッケージ導入と個別開発では費用の考え方が異なります

既製の測量・施工管理ソフトやクラウドを組み合わせる場合は、ライセンス、現場数、ストレージ、3D利用、端末、初期設定、教育の費用を積み上げます。標準機能に業務を合わせられる企業は、短期間かつ比較的少ない初期費用で始めやすい方法です。ただし、独自帳票、特殊な工種、社内の工事台帳や原価システムとの細かな連携は、追加設定や連携開発が必要になる可能性があります。

自社専用のシステムを開発する場合は、要件定義、画面・データ設計、現場アプリ、API、データベース、点群表示、権限、承認、テスト、移行、教育、保守を見積もります。測量計算や点群処理をすべて自作するのではなく、実績のある製品やSDK、標準ファイル形式を利用し、固有業務だけを個別開発するハイブリッド方式が現実的です。

土木工事業向け測量データ管理システムの費用相場はいくらですか?

測量データ管理システムの費用を検討する担当者

結論として、個別開発の費用は50万〜300万円のPoC、300万〜800万円の小規模MVP、800万〜2,000万円の標準的な業務システム、2,000万〜5,000万円超の複数拠点・基幹連携型という4段階で考えると予算を置きやすくなります。これは対象キーワード専用の公的な価格統計ではなく、リサーチノートで整理した一般的な業務システム開発相場、建設業のデータ連携工数、測量・3D処理の複雑性をもとにした概算です。実際の発注額は、要件定義後の見積もりで確定します。

PoC・MVPは50万〜800万円が目安です

50万〜300万円のPoCは、1つの現場または1工区を対象に、手元のSIMA・CSV・点群などを取り込み、簡易ビューアや検索、現場入力を試す段階です。検証期間は1〜3か月程度、現場ユーザーを含む効果測定まで行うなら3〜6か月程度を見込みます。測量後の転記時間、図面化時間、成果品作成時間、データ検索時間などを計測し、本開発に進む条件を決めます。

300万〜800万円のMVPでは、工事・測点管理、ユーザー権限、現場からの入力、CSVやSIMAの取り込み、基本的な帳票、承認、バックアップなどを組み合わせます。点群の高度な分類や複雑な出来形計算を後回しにすれば、3〜6か月程度で利用開始できる可能性があります。PoCで検証したデータ形式と業務フローをそのままMVPの要件に移せるかが、追加費用を抑えるポイントです。

標準的な業務システムは800万〜2,000万円が目安です

800万〜2,000万円の範囲では、GNSS・TS・現場タブレットとの連携、点群や3次元設計データの表示、設計値と出来形の比較、写真・図面・協議履歴のひも付け、帳票や電子納品用データの出力までを含める構成が考えられます。開発期間は6〜12か月程度が目安です。計算結果の正しさだけでなく、座標系、標高、基準点、観測条件、使用機器、測定者を保存し、承認者が確認できる仕組みまで必要になるため、一般的なファイル管理アプリより工数が増えます。

複数の現場を同時に扱う場合は、会社・工事・工区・協力会社ごとの権限を分け、大容量の点群を安定して表示しなければなりません。オフライン同期、競合解消、操作履歴、監査ログ、世代バックアップ、復旧テストも加わると、費用は2,000万円に近づきやすくなります。金額だけでなく、同時利用者数、同時稼働現場数、1現場あたりのデータ容量を見積書に明記して比較します。

公開料金は個別開発費と分けて確認します

既製サービスの公開価格を見ると、福井コンピュータのCIMPHONY Plusは、Standardが税抜年額43,200円〜144,000円で20GB〜100GB、Professionalが税抜年額259,200円〜1,296,000円で30GB〜300GBです。Professionalには月契約のLightもあり、税抜月額21,600円、30GB、3D利用1現場という料金が掲載されています(出典: 福井コンピュータ「CIMPHONY Plus 料金プラン」、2026年8月確認)。点群、3次元設計データ、3Dモデルまで扱うかどうかでプランが変わるため、容量だけで選ばないことが重要です。

また、KENTEMの快測ナビは、公開されている現行料金で1ライセンスあたり年額税抜42,000円のStd版、90,000円のAdv版、120,000円のAdv Plus版です(出典: 株式会社建設システム「快測ナビ プラン」、2026年8月確認)。ただし、これらはソフトウェア利用料の例であり、測量機器、タブレット、通信費、初期設定、データ移行、教育、保守、別製品との連携費は別途発生する可能性があります。既製品の年間費用とスクラッチ開発費を同じ「システム費」として比べないようにします。

費用・コストの内訳は何ですか?

システム開発費の内訳を確認する場面

見積書の総額だけを見ると、なぜ高いのか、どこを削れるのかが分かりません。土木工事業向け測量データ管理システムでは、業務理解を伴う要件定義、現場と事務所をつなぐ設計、測量データの連携、品質検証、利用定着までを分けて確認します。初期開発費と運用開始後の費用を分けることも大切です。

要件定義・業務設計の費用です

要件定義では、誰が、どの現場で、どの機器を使い、どのファイルを取り込み、どの承認を経て、どの成果品をいつ出力するかを整理します。現場監督、測量担当、事務所、発注者との協議担当、情報システム担当からヒアリングし、現状のメール添付、USB、Excel、紙の野帳、共有フォルダの流れを可視化します。ここを省くと、開発後に「現場では電波が届かない」「この帳票は発注者ごとに違う」「古い座標系の成果を再出力したい」と分かり、追加開発が発生します。

特に確認したいのは、SIMA・CSV・DXF・DWG・LandXML・J-LandXML・GeoTIFF・点群のどれを扱うか、座標系や単位をどこで検証するか、測点IDをどの業務でも共通化できるかです。要件定義の成果物として、業務フロー、データ項目一覧、連携一覧、権限表、帳票サンプル、非機能要件、PoCの合格基準まで残すと、複数社の見積もりを同じ条件で比べられます。

画面・連携・データ処理の開発費です

開発費の中心になるのは、工事・現場・工区・測点・成果品の管理画面、現場タブレットの入力画面、検索・地図・3Dビューア、設計と出来形の差分表示、帳票、承認、権限、監査ログなどです。現場では片手操作、明るい屋外、手袋、狭い通信帯域、オフライン入力を考える必要があります。事務所では大量データの検索、比較、帳票出力を優先するため、同じ画面をそのまま共用できない場合があります。

機器連携では、測量機メーカーや型式ごとの通信方式、GNSSの補正情報、APIの公開範囲、データ出力形式を確認します。APIがない場合は標準ファイルを介した連携に切り替えるなど、発注前に実機と自社データで検証します。点群をブラウザで扱う場合は、アップロード、タイル化、表示、断面抽出、距離・面積・土量計算、アクセス権限までが費用対象になりやすく、単なるファイルアップロードとは工数が異なります。

データ移行・テスト・教育の費用です

過去の工事成果を移行する場合は、ファイルの収集、重複や欠損の確認、命名規則の統一、座標系・単位の確認、旧帳票との対応付け、移行後のサンプル検査が必要です。点群はデータ容量が大きいため、全件を一度に移行するのではなく、現役工事と参照頻度の高い成果から優先する方法が適しています。古い成果を無条件に変換すると、原本性や再現性を損なう可能性があるため、原本を保持し、変換履歴も記録します。

テストでは、通常の入力だけでなく、通信断、同じ測点の重複登録、異なる座標系、誤った単位、旧版の電子納品要領、大容量点群、権限のないユーザーの閲覧を確認します。公開後の教育では、操作説明会だけで終わらせず、現場で使う自社データを用いた演習と問い合わせ窓口を用意します。導入後の定着までを見積もりに含める方が、使われないシステムへの投資を防ぎやすくなります。

費用が変動する要因は何ですか?

測量データの連携条件を検討するイメージ

同じ「測量データ管理システム」でも、測点と成果品を管理するシステムと、リアルタイムの3D点群処理・出来形判定・基幹連携まで行うシステムでは費用が大きく異なります。見積もりを依頼するときは、機能名だけでなく、データ量、利用者、現場数、精度、応答時間、運用体制を条件として伝えます。

データ形式・点群処理の複雑性で変わります

CSVやSIMAを取り込んで一覧表示するだけなら、比較的少ない工数で構築できます。一方、LandXMLやJ-LandXMLを解析し、線形、縦断、横断、サーフェス、座標系、単位を検証して3次元表示する場合は、データ仕様への対応と検証が増えます。点群を分類し、TINを生成し、設計データとの差分や土量を計算する場合も、データ量と処理時間に応じた設計が必要です。

国土交通省のBIM/CIM関連ページでは、LandXML1.2に準じた3次元設計データ交換標準のJ-LandXML Ver.1.7、オンライン電子納品実施要領、電子納品要領などが案内されています(出典: 国土交通省「BIM/CIM関連基準要領等」、2026年8月確認)。システムの費用には、こうした基準への対応、版の保持、妥当性チェック、旧版成果の再出力をどこまで含めるかも影響します。

機器・既存システムとの連携数で変わります

TS、GNSS、UAV、レーザースキャナー、現場タブレット、測量CAD、点群処理ソフト、写真管理、施工管理、原価、BIM/CIM、情報共有システムをすべてつなぐと、接続方式とエラー処理の数が増えます。機器のメーカーや型式によって利用できる通信方式が異なるため、「GNSS連携」と一括りにせず、対象機種、通信方式、取得する項目、通信断時の扱いを一覧にします。

既存システムとの連携では、APIの有無、認証方式、データの所有者、更新頻度、障害時の責任分界を確認します。APIが公開されていないシステムから画面操作でデータを取得する方法は、規約や保守性のリスクがあります。連携を後から追加する可能性があるなら、初期段階で共通ID、標準ファイル、APIの境界を設計しておくと、将来の改修費を抑えやすくなります。

利用規模・セキュリティ・電子納品対応で変わります

利用者数、同時利用者数、稼働現場数、会社や協力会社の数、保存年数、点群の容量が増えるほど、クラウドのストレージ、ネットワーク、検索、バックアップ、監視の費用が増えます。現場が山間部や地下など通信の不安定な場所にある場合は、オフライン入力と同期の仕組みが必要です。複数ユーザーが同じ測点を更新した場合の競合ルールまで決めると、開発工数は増えますが、データの上書き事故を防げます。

会社・工事・協力会社単位の権限、MFA、通信・保存時の暗号化、端末紛失時の無効化、管理者操作を含む監査ログ、世代バックアップ、復旧テスト、脆弱性対応、再委託先の管理を要求すると、その分の設計・運用費が必要です。公共工事の電子納品では、契約時期や発注者の特記仕様書によって適用要領が異なる場合があるため、要領の版を工事単位で保持し、納品前に妥当性を検査できる構成にします。

開発期間はどれくらいですか?費用と期間の関係

システム開発のスケジュールを検討する場面

開発期間は、機能数だけでなく、現場ヒアリングの回数、実機検証、データ移行、発注者向けの成果品確認、教育の回数で変動します。短期間で公開することだけを目標にすると、現場で使えない入力画面や、納品前に手作業へ戻る運用が残るため、検証と定着を含めた計画を立てます。

PoCは1〜3か月、検証を含めると3〜6か月です

PoCでは、対象現場を一つに絞り、自社の実データで観測から成果品作成までの一部を再現します。最初にデータ形式と現場の通信条件を確認し、次に入力・同期・検索・簡易計算を試し、最後に従来作業との時間とエラーを比較します。合格基準として、測量後の転記件数、再測回数、図面化時間、帳票作成時間、同期成功率を決めておくと、本開発へ進む判断がしやすくなります。

MVPは3〜6か月、標準開発は6〜12か月です

MVPは、工事・測点管理、権限、現場入力、標準形式の取り込み、基本帳票、承認など、最も効果を確認しやすい機能に絞ると3〜6か月程度が目安です。標準的な業務システムでは、GNSS・TS連携、点群・3Dデータ、出来形比較、写真・図面連携、電子納品、テスト、教育を含めて6〜12か月程度を見込みます。電子納品の検証は、開発の最後に一度だけ行わず、要件定義時からサンプル成果で繰り返します。

複数拠点・基幹連携型は12〜24か月も見込みます

複数会社、複数拠点、協力会社の権限、既存の工事台帳・原価・写真管理・BIM/CIMとのAPI連携、大容量点群、承認ワークフロー、監査ログ、長期保管を一体化する場合は、12〜24か月程度の計画になることがあります。部署ごとに異なる帳票や測量ルールを共通化する必要があるため、開発期間の多くが合意形成に使われる場合もあります。

この規模では、全機能を一度に作るより、最初の3〜6か月で共通データモデルと現場の主要フローを稼働させ、次の段階で連携や高度な3D機能を追加する段階導入が適しています。期間を区切って予算と成果物を管理すれば、途中で要件が変わったときも、全体を作り直すリスクを減らせます。

コストを最適化するポイントは何ですか?

システムの費用対効果を検討する場面

費用を抑えることは、機能を無理に削って安くすることではありません。効果が大きい業務へ投資し、既製品や標準形式を使えるところは使い、将来の拡張に必要な境界だけを先に設計することです。安価に作っても現場で使われず、Excelやメールに戻れば、開発費だけでなく二重運用の人件費も発生します。

パッケージと個別開発を組み合わせます

測量計算、点群処理、機器連携、電子納品など、すでに実績のある領域はパッケージやクラウドを活用し、自社固有の工事台帳、承認、検索、原価連携だけを個別開発する方法があります。福井コンピュータのCIMPHONY Plusは、3次元点群や3次元モデルを地図上で共有し、計測、断面抽出、差分土量の確認などを行えるサービスとして公開されています(出典: 福井コンピュータ「CIMPHONY Plus」、2026年8月確認)。標準機能でどこまで業務が置き換わるかをデモで確認し、足りない部分だけを開発対象にします。

ただし、複数製品を組み合わせると、契約窓口、ID管理、データ所有権、障害対応の責任分界が複雑になります。価格だけで決めず、SIMA・点群・LandXMLなど自社の実データを用いて、取り込み、表示、編集、出力、削除、バックアップ、解約時のデータ返却まで確認します。

最初の対象現場と必須機能を絞ります

最初から全工種、全拠点、全機器、全帳票を対象にすると、要件調整とテストの組み合わせが増えます。まずは、測量後の転記、図面化、土量集計、出来形帳票など、時間がかかりやすく効果を測定しやすい業務を一つ選びます。対象現場も、通信条件とユーザーが把握しやすい1工区から始めると、現場の声を反映しながら改善できます。

MVPに含める機能は、工事・現場・測点の管理、標準形式の取り込み、現場入力、検索、権限、承認、基本帳票、バックアップなどに絞り、AIによる異常値候補、複雑な土量予測、全機器の自動接続などは次段階に分けます。段階ごとに利用開始条件と費用上限を決めると、追加要望を無制限に抱え込まずに済みます。

標準形式・データ品質・再利用性を先に整えます

開発前に測点ID、工事番号、工区名、機器名、座標系、単位、観測日時、担当者、成果品の版を整理すると、後のデータ連携費を抑えやすくなります。ファイル名だけで意味を表す運用から、システム内の項目として管理する運用へ移すことで、検索や承認の自動化がしやすくなります。標準形式で入出力できる設計にしておけば、特定ベンダーに依存しすぎず、将来の製品変更にも対応しやすくなります。

データ移行は全件一括ではなく、代表的な工事、異なる座標系、複数の機器、容量の大きい点群を含むサンプルで先に検証します。品質の悪いデータをそのまま取り込むと、後から検索や計算の不具合として現れます。原本、変換後データ、変換日時、変換ツール、確認者を残しておけば、費用を抑えながら再現性と説明責任を確保できます。

見積もりを取る際のポイントと注意点

開発会社から見積もりの説明を受ける場面

複数社へ見積もりを依頼する前に、自社の業務とデータを整理します。会社ごとに前提条件が異なると、安い・高いの比較ができません。費用だけでなく、対象業務、対応機器、データ形式、非機能要件、納品物、保守範囲、追加変更の単価、データ返却条件を同じ書式で確認します。

RFPには実データ・対象機器・成果品を記載します

RFPや要件メモには、現場数、利用者数、同時接続数、保存年数、月間の写真・点群容量、現在利用している測量機器のメーカーと型式、ファイル形式、既存システム、通信環境、オフライン要件を記載します。画面の要望だけではなく、現場で一日の作業がどのように流れるかを「観測、同期、図化、設計比較、承認、出来形、納品」の順で示すと、業務システムに強い会社ほど具体的な提案を出しやすくなります。

自社のSIMA、CSV、点群、LandXML、過去の電子納品成果、帳票サンプルを、機密情報に配慮して提示します。サンプルを使ったデモでは、取り込みエラーの表示、座標系・単位の確認、測点検索、設計との差分表示、成果品出力、権限設定、通信断からの復旧を実際に確認します。提案書に「対応可能」と書かれているだけでなく、どの形式をどの条件で扱えるかを確認することが大切です。

開発会社と製品ベンダーの役割を分けて比べます

測量・土木向けの既製製品は、公共工事の帳票、ICT施工、測量機器、点群、3次元データ共有などの業務知識を持つ場合があります。KENTEMの導入事例では、GNSSと快測ナビ、SiTECH 3Dなどを組み合わせ、現場計測が120分から45分、書類作成が300分から60分、合計作業時間が420分から105分になり、約75%削減した検証結果が公開されています(出典: 株式会社建設システム「GNSS×快測ナビで実現した作業時間75%削減」)。これは井上建設株式会社の個別検証であり、自社で同じ削減率が保証されるものではありませんが、測量だけでなく成果品作成まで測る重要性を示しています。

一方、独自の工事台帳、原価、協力会社管理、社内承認、複数製品の統合を重視するなら、業務システムの受託開発会社を加えて比較します。製品ベンダーには標準機能の範囲、機器対応、価格改定、データの持ち出しを確認し、受託開発会社には測量データの実績、品質検証の体制、保守、追加開発、障害時の責任分界を確認します。両者を同じ「開発費」だけで比較すると、導入後の運用負担を見落とします。

5年程度の総保有コストで判断します

比較対象は初期開発費だけではありません。クラウドの利用料、ストレージの追加費用、測量機やタブレットの購入・更新、通信費、保守、監視、バックアップ、電子納品要領の改定対応、ユーザー教育、データ移行、問い合わせ対応を含めた5年程度の総保有コストで比べます。既製サービスは初期費用を抑えやすい一方、利用現場数や容量が増えたときの年間費用が上がる可能性があります。スクラッチ開発は初期投資が大きくても、業務適合やデータ所有の自由度を得られる場合があります。

見積書では、初期費用、月額・年額費用、オプション、機器費、移行費、教育費、保守費、税区分、契約期間、解約時のデータ返却、追加変更の扱いを分けます。将来の機能追加を「要相談」で終わらせず、想定する変更の単価や見積もり方法を確認しておくと、導入後の予算管理がしやすくなります。

土木工事業向け測量データ管理システムのよくある質問

測量データ管理システムについて相談する場面

ここでは、費用と導入判断に関して特に質問されやすい内容をまとめます。価格だけで決めず、自社の現場、データ、成果品、運用体制に当てはめて確認します。

測量データ管理システムの開発費は最低いくらからですか?

既存のクラウドやパッケージを使い、対象現場を限定するなら、ライセンス・初期設定・教育を含めて数十万円から始められる場合があります。個別開発のPoCは50万〜300万円が概算の目安です。ただし、機器連携、点群処理、電子納品、基幹連携を同時に求めると、数百万円から数千万円規模になるため、最初に検証範囲を絞ります。

パッケージ導入とスクラッチ開発はどちらが安いですか?

短期導入と標準業務への適合を優先するなら、パッケージやクラウドの方が初期費用を抑えやすい傾向があります。独自帳票、既存の工事台帳や原価との連携、複数会社の承認などが重要なら、個別開発やハイブリッドの方が長期的な二重入力を減らせる場合があります。5年程度の総保有コストと、現場で実際に削減できる作業時間を並べて判断します。

公共工事の電子納品やJ-LandXMLに対応できますか?

対応は可能ですが、対象となる要領の版、発注者の特記仕様書、データ形式、必要な検査方法を要件定義で確認する必要があります。国土交通省はJ-LandXML Ver.1.7やオンライン電子納品実施要領などを公開しているため、システムには要領の版を保持し、座標系・単位・測点IDの整合性を検査できる機能を設けます。最終的な納品可否は、契約ごとの発注者要件と専門家の確認で判断します。

費用対効果はどのように計算すればよいですか?

測量時間だけでなく、転記、再測、図面化、土量計算、帳票作成、データ検索、承認、問い合わせにかかる時間を現状と導入後で比べます。KENTEMの公開事例のように、現場計測と書類作成を分けて測ると、どの機能が効果に結び付いたかを把握しやすくなります。ただし、公開事例の削減率は個別現場の結果なので、自社のPoCで実データを使って検証します。

まとめ

土木工事業向け測量データ管理システム導入のまとめ

土木工事業向け測量データ管理システムの個別開発費は、PoCが50万〜300万円、MVPが300万〜800万円、標準的な業務システムが800万〜2,000万円、複数拠点・基幹連携型が2,000万〜5,000万円超というレンジを予算の出発点にできます。いずれも確定価格ではなく、データ形式、機器連携、点群・3D機能、利用規模、電子納品、セキュリティ、移行・教育によって変わる概算です。

まずは自社データを使った小さな検証から始めます

最初に、SIMA・CSV・点群・LandXMLなどの実データ、測量機器の型式、現場の通信条件、現在の帳票、電子納品の要領を棚卸しします。そのうえで1工区のPoCを行い、転記件数、測量後の図面化時間、帳票作成時間、同期成功率、エラー率を測定します。効果が確認できた機能をMVPへ広げれば、過剰な3D機能や連携を先に作るリスクを抑えられます。

見積もりは初期費用ではなく総保有コストで比べます

既製品の公開料金、個別開発費、機器・通信費、クラウド、保守、教育、データ移行、要領改定対応を分けて確認し、5年程度の総保有コストで比較します。最安の提案を選ぶのではなく、現場ユーザーが継続利用でき、測量から成果品までのデータを説明可能な形で残せることを重視します。要件定義と実データ検証を丁寧に行えば、土木工事の品質と生産性に結び付く投資にしやすくなります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。