Claris FileMakerのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

Claris FileMakerのシステムを発注・外注するときは、作りたい画面を先に細かく決めるより、現場の業務とデータを整理し、CloudかServerか、内製と委託の分担、契約と保守の範囲を段階的に決めることが成功への近道です。

「FileMakerなら短期間・低コストで作れる」と聞いても、実際の発注では、RFPや要件整理、データ移行、権限設計、契約形態、費用相場、委託先の比較まで確認する必要があります。この記事では、Claris FileMakerのシステム開発を外注する企業の担当者に向けて、発注前の準備から見積比較、契約、リリース後の運用までを順番に解説します。

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・Claris FileMakerのシステム開発の完全ガイド

Claris FileMakerのシステムを発注する全体像

Claris FileMakerのシステム発注の全体像

Claris FileMakerは、顧客・会社・担当者・案件・活動履歴などのデータを関連付け、入力画面や一覧、帳票、承認フローを業務に合わせて構築できるローコード開発プラットフォームです。既製CRMを導入して業務を合わせる方法と、Webシステムをフルスクラッチで開発する方法の中間に位置し、業務の変化に合わせて改修しやすい点が特徴です。

まず発注形態を三つに分けて考えます

発注形態は、第一にClarisパートナーへ要件定義から開発・保守まで一括で委託する方法、第二に自社で業務整理や簡単な改修を担い、難しい設計・連携・移行だけを外注する方法、第三にテンプレートやパッケージを導入して必要な部分だけカスタマイズする方法に分けられます。現場に開発担当者がいない場合は一括委託が進めやすく、将来の内製化を目指す場合は、ソースファイルや設計書の引き継ぎを前提に共同開発を選ぶと、ベンダーロックインを抑えやすくなります。

発注時に大切なのは、会社名や製品名だけで形態を決めないことです。顧客管理だけならパッケージを使える場合がありますが、見積・受注、保守契約、在庫、現場写真、会計連携まで含めると、個別のデータ構造と権限設計が必要になります。現在の業務のうち標準化できる部分と、自社独自の競争力に関わる部分を分け、独自性が成果に直結する箇所へ開発費を配分します。

CloudとServerは責任分界で選びます

遠隔地や外出先から使う人数が多く、サーバーの更新・監視・バックアップを自社で持ちたくない場合は、FileMaker Cloudが候補になります。Clarisの公式情報では、日本向けのFileMaker CloudはAWSの東京リージョンに構築され、データベースと通信の暗号化、多要素認証、Clarisによる24時間365日の運用監視が案内されています(出典:Claris「Claris FileMaker Cloud 2026 まもなくリリース」、2026年)。ただし、ストレージ、API転送量、App数、接続できるクライアントのバージョンは契約前に確認します。

閉域網や既存の社内サーバーを使いたい場合、特定のOS・ネットワーク・ローカル環境で運用したい場合は、FileMaker Serverが候補になります。一方で、OS更新、SSL証明書、監視、バックアップ、障害時の復旧は自社または運用委託先の責任になります。FileMaker Server 2026では、20分ごとの増分バックアップを行うRemote Backupや、予備サーバーと同期するStandby Serverが案内されていますが、追加サービスの費用と復旧目標を提案書で確認することが大切です(出典:Claris「Claris FileMaker 2026、本日提供開始」、2026年)。

発注前に要件を整理する方法

Claris FileMakerの要件整理

発注前の要件整理では、機能一覧をいきなり作るのではなく、「誰が、いつ、どの情報を使い、何を判断するのか」を業務の流れに沿って明らかにします。営業担当、管理者、経理、現場責任者など利用者ごとに困っていることが違うため、代表的な一日の業務を観察し、入力・検索・承認・報告の順番を確認します。

現状業務と導入目的を一枚にまとめます

最初に、Excel、Access、紙、メール、既存の販売管理など、顧客情報や案件情報がどこに保存されているかを書き出します。顧客名の表記揺れ、同じ会社の重複、退職者が担当者として残っている状態、案件の失注理由が記録されない状態も確認します。次に「案件更新の遅れを何日以内に把握したい」「訪問報告の作成時間を何分短縮したい」「顧客情報の重複をどの程度減らしたい」のように、導入効果を測れる指標へ変換します。

目的が「情報を一元化する」だけでは、不要な項目や画面が増えやすくなります。最初のリリースでは、顧客・案件・活動履歴など利用頻度が高い最小範囲に絞り、入力率、案件更新の遅延、報告書作成時間などで効果を測ります。Claris FileMakerは後から拡張しやすいからこそ、初回発注で全業務を詰め込まず、二期開発の候補として切り分けることが重要です。

データ構造と権限を先に決めます

顧客管理では、会社と担当者、案件と活動履歴をどのように関連付けるかが土台になります。会社単位で担当者が複数いるのか、案件単位で商品や見積を複数登録するのか、同じ顧客を複数部署で共有するのかを決めないまま画面を作ると、後からデータを作り直す可能性があります。RFPには、主要なテーブルの候補、必須項目、重複判定のルール、過去データの保持期間を記載します。

権限も発注前に整理します。営業担当は自分の案件だけ、上長は部署の案件、管理者は全社データを見られるようにするのか、退職者のアカウントをどう停止するのか、CSV出力やAPI連携を誰に許可するのかを決めます。個人情報を扱う場合は、テスト環境へ本番データをそのままコピーしない運用や、管理者権限の棚卸し、操作ログ、バックアップの保管期間も要件に含めます。

端末と外部連携の前提を明記します

利用端末は、FileMaker Proを使うパソコン、FileMaker Goを使うiPhone・iPad、WebDirectを使うブラウザのどれかを業務ごとに分けます。現場で写真、PDF、署名を登録する場合は、通信が不安定な場所での入力、カメラやファイルの扱い、画面の文字サイズまで試作で確認します。端末の種類を増やすほどテスト対象も増えるため、「誰がどの端末で何をするか」をRFPで固定することが大切です。

会計、販売管理、メール、問い合わせフォーム、MA、BIなどと連携する場合は、連携方向、実行頻度、エラー時の再送、重複防止、APIの認証方式、障害時の責任分界を記載します。FileMaker Data API、OData、ODBC/JDBC、cURL、JSON、Claris Connectなど選択肢はありますが、連携先の仕様変更やAPI利用量もランニングコストになります。連携を「できるか」だけではなく、「止まったときに誰が気づき、どう復旧するか」まで発注条件にします。

Claris FileMakerのシステム発注・外注の進め方

Claris FileMakerのシステム開発の進め方

発注は、相談、現状確認、RFP提示、提案・見積比較、要件定義、試作、開発、受入テスト、移行、教育、運用開始という流れで進めます。すべてを一社に丸投げするのではなく、発注者側にも業務判断者と意思決定者を置き、各工程の成果物と承認者を決めておくと、認識のずれを早く発見できます。

RFPには業務・範囲・成果物を入れます

RFPは、発注の背景、解決したい課題、対象部門、利用人数、利用端末、対象業務、必要な画面・帳票、データ移行、外部連携、権限、運用体制、希望時期、予算の考え方を一つにまとめた資料です。機能名だけを列挙するのではなく、「営業が訪問後にiPadで活動履歴を登録し、上長が翌朝までに案件の遅れを確認する」のように、利用者と業務結果まで書くと提案の比較がしやすくなります。

RFPには、納品物も明記します。FileMakerのAppファイルだけでなく、データベース定義、画面・スクリプトの設計書、権限一覧、テスト仕様書と結果、移行手順、バックアップと復旧手順、管理者向けマニュアル、利用者向け操作資料、ソースや設定情報の受け渡し方法まで対象にします。成果物が「完成したシステム」だけだと、担当会社を変更するときや、社内で軽微な修正をするときに再現できなくなります。

試作と受入条件を先に決めます

要件に不確実な部分が多い場合は、いきなり本開発を発注せず、顧客検索、案件登録、活動履歴の入力、一覧表示という最小業務を対象に、画面モックや短期間のPoCを依頼します。営業担当者が実際に触り、入力項目が多すぎないか、検索結果が判断に使えるか、スマホで操作できるかを確かめます。PoCの成果物を本開発へ引き継ぐ条件と、PoCだけで終了する条件も契約前に確認します。

受入条件は、「使えるようにする」ではなく測定できる表現にします。たとえば、必須項目が未入力なら保存できないこと、権限のない部署の案件が検索結果に表示されないこと、指定したCSVを所定の件数で取り込めること、帳票の計算結果が既存帳票と一致すること、障害時に定めた時間内で連絡があることをテスト項目にします。発注者側の受入担当者とテストデータを早い段階で決めると、納期直前の追加要望を減らせます。

データ移行と教育を開発と別工程で管理します

既存のExcelやAccessを移行する場合、ファイルを受け渡すだけでは完了しません。項目名の対応表を作り、会社名・住所・電話番号の表記をそろえ、重複を統合し、不要な古いデータを除外します。移行前件数、エラー件数、移行後件数、サンプル照合の方法を決め、移行リハーサルを行います。移行元のバックアップを保管し、切り戻し手順を用意することも発注条件に含めます。

システムが完成しても、入力する人が使わなければ効果は出ません。役割別の操作研修、マニュアル、問い合わせ窓口、初月の伴走支援、現場からの改善要望の受付方法を見積に含めます。特に、既存のExcelを完全に禁止するのではなく、どの情報をFileMakerの正本とするかを決め、移行期間中の二重入力をいつ終えるかを合意します。

契約形態は請負と準委任を使い分けます

Claris FileMakerのシステム開発契約

Claris FileMakerの発注では、要件と完成条件が固まった開発工程は請負契約、要件整理や伴走支援、継続的な改善は準委任契約とするなど、工程の性質に応じて契約を分ける方法があります。契約名だけで判断せず、作業範囲、成果物、検収、責任分界、変更手続、知的財産、データ返却、保守の条件を本文と個別仕様書で確認します。

請負契約と準委任契約の違いを確認します

請負契約は、合意した成果物を完成させ、検収を受けることを中心に設計します。画面、帳票、機能、移行データ、テスト結果などの完成条件が明確な場合に向いています。ただし、発注後に「ついでにこの帳票も追加したい」と要件が増えると、追加費用や納期変更が発生しやすくなります。変更要求の受付、影響見積、承認、仕様書更新の手順を契約に入れます。

準委任契約は、専門家の作業や助言を一定期間受ける形に向いています。現状分析、プロトタイプの検討、内製チームの支援、リリース後の改善など、途中で優先順位が変わる業務に適しています。作業時間や担当者の責任だけを定めて成果を曖昧にするのではなく、月ごとの作業計画、成果報告、課題一覧、レビュー日、終了条件を決めます。

保守・知的財産・終了条件を契約に入れます

保守契約では、問い合わせの受付時間、障害の重要度、初動と復旧の目標、軽微な改修の範囲、バージョンアップ対応、バックアップ確認、料金、対象外作業を明記します。「月額保守」とだけ書かれている場合は、何時間の作業を含むのか、未使用時間を繰り越せるのか、夜間対応や訪問対応はいくらかを確認します。ライセンス、ホスティング、開発会社の保守を別々に並べ、合計のTCOで判断します。

契約終了時には、FileMakerのAppファイル、データ、アカウント情報、設計書、スクリプトや連携設定、バックアップ、ログをどの形式で返却するかを決めます。委託先が再委託する場合の事前承認、個人データの利用範囲、削除証明、秘密保持、退職者や担当変更時のアクセス停止も重要です。個人情報保護委員会のガイドラインは、委託先の選定、契約締結、取扱状況の把握を含む必要かつ適切な監督を求めています(出典:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」、令和7年3月24日施行版)。

Claris FileMakerのシステム開発費用・相場

Claris FileMakerの開発費用相場

Claris FileMakerの受託開発費に公的な一律相場はありません。以下の金額は、リサーチノートで整理した営業・CRM一般の相場と、ローコードによる短期開発の特性から算出した発注前の目安であり、正式な予算を断定するものではありません。実際の費用は、利用人数、画面数、データ移行の状態、連携数、権限、テスト、教育、保守、可用性によって変わるため、同じRFPで複数社から見積を取ります。

開発費は規模と複雑さで三段階に分けます

小規模では、顧客・案件・活動履歴の登録、検索、一覧、簡単な帳票を5〜10ユーザー程度で使う想定です。既存テンプレートや標準機能を活用し、データ移行と外部連携が軽い場合、開発費は50万〜300万円、期間は1〜3か月が発注検討の目安になります。これは個別見積の代わりではなく、RFPを作る際に「何を含めると小規模を超えるか」を考えるためのレンジです。

中規模では、案件管理に加えて見積・受注、部署別の権限、承認、スマホ入力、CSV移行、会計や販売管理との連携を含みます。要件定義、データクレンジング、受入テスト、教育まで含めると、開発費は300万〜1,000万円、期間は3〜6か月程度が目安になります。複数拠点、数百ユーザー、基幹連携、監査ログ、AIやRAG、24時間運用まで求める大規模案件では、1,000万〜3,000万円超、6〜12か月以上となる可能性があります。

上記の開発費は、FileMakerのライセンス、クラウドやサーバー、データ整備、社内の作業時間を含む総額ではありません。一般的な業務システムの費用配分を叩き台にするなら、要件定義10〜15%、設計15〜35%、開発30〜40%、テスト15〜20%、移行・教育5〜10%程度に分けて確認します。実際の工数配分は案件ごとに異なるため、各社へ同じ項目で内訳を求めます。

ライセンスと運用費を開発費から分けます

Clarisの料金ページでは、FileMaker CloudのStarterは5〜10ユーザー向けで、ユーザーごとの年間ストレージは2GB、Maxは5〜99ユーザー向けで年間ストレージは1ユーザー6GBと案内されています(出典:Claris「クラウドで展開するためのClarisプラットフォームライセンス」、2026年8月確認)。リサーチノートで確認した販売情報では、Starterが税別月額2,200円、Maxが税別月額4,500円の年払い換算として掲載されていました。5ユーザーならライセンスだけで年額13.2万円、10ユーザーなら年額26.4万円という計算になりますが、価格やキャンペーン、契約条件は見積時点の公式情報で再確認します。

FileMaker Serverを自社または外部クラウドで運用する場合は、ユーザーライセンスに加えて、サーバーOSや仮想マシン、SSL証明書、監視、バックアップ、障害対応の費用が発生します。参考として、ジェネコムの2025年4月時点のFileMaker Serverクラウド基本メニューは月額36,000〜66,000円(税込39,600〜72,600円)と掲載されていますが、これは同社サービスの例であり、一般的な相場や2026年の全社共通価格ではありません(出典:株式会社ジェネコム「クラウド」、2025年4月時点)。

このほか、年間保守・改修費は初期開発費の10〜20%程度を仮置きし、バックアップ、監視、バージョンアップ、ライセンス更新、APIやAIサービスの利用料を加えます。営業システムでは、ユーザー数が増えるとライセンス費だけでなく、データ容量、API転送量、教育、問い合わせも増えます。初年度、2年目、3年目のTCOを並べると、初期費用だけが安い提案に偏りにくくなります。

見積比較と委託先選定のポイント

Claris FileMakerの委託先と見積比較

見積比較では、合計金額の安さだけでなく、同じ範囲を見積もっているかをそろえることが最初の条件です。A社はデータ移行を含み、B社は移行を別途、C社は保守を月額に含めているという状態では、数字を並べても比較できません。提案依頼時に、要件定義、設計、開発、連携、移行、テスト、教育、保守、ライセンス、インフラを分けた見積書を求めます。

実績よりも自社と似た課題の解決力を見ます

Clarisパートナーは、受託開発、コンサルティング、ホスティング、内製化支援、リセール、トレーニングなど得意分野が異なります。公式のパートナー検索で認定や対応領域を確認したうえで、営業CRM、顧客マスタ移行、iPad入力、CloudまたはServer運用、外部API連携など、自社の課題に近い事例を質問します。Claris Japan Excellence Award 2025では、ライセンス販売、教育、業界別App、内製化に関わる企業がそれぞれ紹介されており、受賞歴も一つの確認材料になります(出典:Claris「Claris Japan Excellence Award 2025 受賞者発表」、2025年11月)。

提案会社には、担当者のClaris認定資格、実際に開発するメンバー、要件定義を担う人、保守窓口、再委託の有無を確認します。営業担当が大きな実績を示していても、開発担当が別会社であれば、設計・品質・問い合わせの責任分界が変わる可能性があります。提案の場には、できれば自社の業務責任者も参加し、画面の見栄えではなく、データと運用を理解しているかを見ます。

見積書は前提・除外・変更費まで読みます

見積書では、画面数や帳票数だけでなく、レコード件数、移行対象、連携の本数、ユーザー数、拠点数、テスト環境、研修回数、納品物、修正回数の前提を確認します。「別途相談」「必要に応じて対応」という記載が多い場合は、後から追加費用になりやすい項目を一覧にして、上限や算定方法を聞きます。工数単価、作業時間、固定費のどれで計算しているかも比較します。

評価表を作るなら、業務理解と提案の適合度を30点、要件・品質・テストを20点、費用とTCOを20点、移行・教育・定着支援を15点、Cloud/Serverとセキュリティを10点、契約終了時の引き継ぎを5点とするなど、自社の優先順位を配点に反映します。点数の配分は一例ですが、安価な提案を自動的に選ばず、重要なリスクを比較できるようになります。

セキュリティとAIの扱いを提案段階で確認します

個人情報や営業機密を扱う場合は、「クラウドだから安全」「FileMakerだから安全」という説明だけで決めません。保存リージョン、暗号化、認証、多要素認証、管理者権限、通信制限、操作ログ、バックアップ、復元テスト、脆弱性対応、再委託、データ削除の証跡を確認します。個人情報保護委員会は、委託先の安全管理措置を確認し、契約に取扱状況を把握できる内容を盛り込み、必要に応じて監査することが望ましいとしています。

FileMaker 2025以降のAI機能や、要約・文書検索・自然言語検索・回帰予測などを使う場合は、AIへ送信するデータの種類、匿名化やマスキング、保存期間、学習への利用有無、国外での処理、管理者と利用者の権限を確認します。AIを後から追加することはできますが、顧客マスタの品質や権限が整っていなければ、誤った要約や漏えいリスクを増やす可能性があります。まず正確なデータ構造とアクセス制御を整え、限定データで検証してから本番利用へ進めます。

発注後の運用と内製化まで設計します

Claris FileMakerの運用と内製化

外注のゴールは納品ではなく、現場が継続利用し、改善できる状態を作ることです。リリース後は、入力率、案件更新の遅延、検索時間、帳票作成時間、問い合わせ件数、エラー件数を毎月確認し、改善の優先順位を決めます。業務の変化をすべて無償改修に含めるのではなく、保守の範囲、追加開発の見積、緊急対応の扱いを運用ルールにします。

運用責任者と改善の流れを決めます

社内には、システム管理者、業務ごとのキーユーザー、承認者、セキュリティ担当を置きます。アカウントの追加・削除、権限変更、バックアップ確認、障害連絡、要望の受付、リリース承認を誰が行うかを一覧にします。外部の開発会社へ依頼する場合も、業務上の優先順位を決める責任は発注者側に残ります。

内製化を目指すなら、最初からすべてを社内で開発する必要はありません。データ定義や画面の軽微な修正、マスタ更新、簡単な帳票は社内で担い、権限設計、複雑な連携、移行、性能・セキュリティ検証は外部パートナーに依頼する分担が現実的です。委託先に操作研修やレビューを依頼し、設計書と変更履歴を社内に残すことで、段階的に依存度を下げられます。

失敗しやすい発注を避ける確認項目

失敗しやすいのは、現場を見ずに社長や担当者一人の要望だけで発注すること、画面の数を増やすことを目的にすること、データ移行を後回しにすること、保守とバックアップを契約に含めないこと、安い見積だけを選ぶことです。特にFileMakerは柔軟に作れる分、設計者によってデータ構造、命名、スクリプト、権限の品質に差が出ます。提案段階で設計の考え方とテスト方法を説明してもらいます。

契約前には、次の質問に答えられる状態にします。誰が業務要件を承認するのか、初回リリースの範囲はどこまでか、移行元データの品質を誰が直すのか、CloudとServerの運用責任はどこにあるのか、障害時の復旧目標は何か、Appや設計書を受け取れるのか、委託先を変更するときに何を返却・削除するのか、AIを使うときにどのデータが外部へ出るのか、という質問です。これらが見積と契約に反映されていれば、発注後の追加費用と認識差を抑えやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Claris FileMakerの発注に関するよくある質問

ここでは、Claris FileMakerのシステムを発注・外注するときに、特に質問されやすい内容へ直接回答します。自社の業務やデータの状態によって最適な進め方は変わるため、回答をRFPの確認項目として利用します。

Claris FileMakerのシステム開発はどのくらいの期間がかかりますか?

顧客・案件・活動履歴を中心にした小規模開発なら、要件整理からリリースまで1〜3か月程度が目安です。見積・受注、権限、データ移行、外部連携、教育を含む中規模では3〜6か月程度、複数拠点や大規模連携を含む場合は6〜12か月以上となる可能性があります。期間は機能数だけでなく、発注者側の意思決定やデータ整備の速度にも左右されます。

FileMaker CloudとFileMaker Serverはどちらを選べばよいですか?

サーバーの更新や監視を自社で持たず、遠隔利用と最新機能を重視するならFileMaker Cloudが候補です。閉域網、既存インフラ、独自の運用統制、特定のバックアップ方針を重視するならFileMaker Serverが候補になります。どちらが安いかだけでなく、ライセンス、インフラ、運用担当者、障害対応、バックアップ、復旧まで含むTCOと責任分界で決めます。

Claris FileMakerの開発を内製化せず外注しても問題ありませんか?

外注しても問題ありませんが、業務の優先順位と受入判断まで委託先へ丸投げしないことが重要です。設計書、権限一覧、テスト結果、移行手順、Appファイルなどの成果物を受け取り、社内の管理者とキーユーザーが運用を理解できる状態にします。将来の内製化を考える場合は、軽微な改修やマスタ更新から社内で担えるよう、研修とレビューを契約に含めます。

RFPが作れない状態でもClaris FileMakerの会社へ相談できますか?

相談できます。業務フロー、現在使っているExcelや帳票、利用者、困っていること、希望時期を共有すれば、要件整理や現状分析から支援する会社を探せます。ただし、相談前に「必ず解決したい課題」と「初回は対象外にする業務」を社内で仮置きしておくと、提案の比較がしやすくなります。RFP作成自体を準委任で依頼し、その後の開発を別契約にする方法もあります。

まとめ

Claris FileMakerのシステム発注のまとめ

Claris FileMakerのシステムを発注・外注するときは、最初に現状業務と導入目的を整理し、パッケージ、カスタム開発、共同開発、一括委託のどれが自社に合うかを決めます。次に、CloudとServerの責任分界、顧客・案件・活動履歴のデータ構造、権限、端末、外部連携、移行範囲をRFPへ落とし込みます。

開発費は小規模50万〜300万円、中規模300万〜1,000万円、大規模1,000万〜3,000万円超という推定レンジを出発点にできますが、これは案件固有の正式見積ではありません。ライセンス、インフラ、保守、教育、バックアップ、AIやAPIの利用料を分離し、同じ条件で複数社を比較します。価格だけでなく、似た業務の実績、データ移行、セキュリティ、成果物、契約終了時の引き継ぎまで確認します。

発注後は、受入条件と運用指標をもとに小さくリリースし、入力率や作業時間などの結果を見ながら改善します。現場の業務を理解したキーユーザーを社内に置き、外部パートナーとは設計書・Appファイル・運用手順を共有しながら、必要な部分だけを継続的に委託する体制を整えると、Claris FileMakerの柔軟性を長く活かせます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。