CO2排出量管理システムの開発会社は、データ連携、対象とするScope、導入後の運用支援の3点を比べて選ぶと、制度対応と削減活動を進めやすくなります。機能一覧からは分かりにくい運用面も、この3点で比べられます。取り上げる6社は、特徴、価格の見方、発注前の確認点の順に見ていきます。
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CO2排出量管理システムのパートナー選びが重要な理由

CO2排出量管理システムは、電力・ガス・燃料・物流・購買などの活動量から排出量を算定する業務基盤です。だからこそ、データや係数、承認者を説明できる状態が求められます。また、製品と開発会社を別々に選ばず、導入後の運用まで見据えて比べることが大切です。
適切なパートナー選定が成否を分ける理由
開発会社を比べるときは、集計を続けられるかと、Scope 3のデータ品質を見ます。
- データ連携:請求書の形式と会計コードとの紐付け
- Scope 3:一次データか、支出額や原単位による推計か
- 運用設計:現場の入力負担と経営層の分析要件の両立
環境省の算定・報告・公表制度では、特定排出者に排出量の算定と報告が求められます。たとえば、エネルギー起源CO2では、全事業所の使用量が原油換算1,500kl以上などの基準があり、報告期限も設けられています(出典: 環境省「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度」、2026年)。
法定報告の対象外でも、取引先や金融機関からデータを求められる場合があります。そのため、将来の開示要求も設計に含めておきます。
発注前に確認すべきポイント
発注前には、算定の前提とデータの流れが自社の要件に合っているかを、候補ごとに見ておきます。
- 算定範囲:対象Scope、組織境界、拠点、集計単位
- データ管理:更新頻度、排出係数の出典と版管理
- 取込方法:CSV、Excel、請求書画像、API、スマートメーター
- 承認と履歴:承認者、過年度の再計算の履歴
機能一覧の確認に加えて、自社のサンプルデータを使ったデモも依頼します。導入後の工数を具体的に見積もる手がかりになります。
2026年度からGX推進法にもとづく排出量取引制度が始まり、制度の対象者には、直接排出量などの算定、届出、移行計画の提出が求められます(出典: 経済産業省「GX推進法に基づく排出量取引制度」、2026年)。
対象かどうかを判定する段階でも、データの整備が必要です。そこで、短期の制度対応と中長期のScope 3・製品カーボンフットプリント対応を分け、ロードマップを作ります。
株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援
riplaはコンサルティングから開発まで一貫して支援します。IT事業会社として社内DXを推進した経験を活かし、業務成果とシステムの定着を支えます。
営業、顧客、生産、販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があります。そのうえで、企業ごとの業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制です。
特徴と強み
導入時は、環境部門だけでなく経理、購買、情報システム、各拠点の責任者も巻き込む必要があります。そのため、riplaは業務フローを整理し、入力画面や承認フローに落とし込む段階から伴走できます。
既製SaaSを使う場合も、不足する連携は周辺システムで補えます。データ連携を設計すると、Excelへの二重入力を減らせます。
得意領域・実績
基幹システムの知見を活かして、CO2データを業務データにつなげたい企業に向いています。購買明細からScope 3のカテゴリ別データを作る要件も対象になります。
製造量と排出量から原単位を算出する要件や、拠点別の目標と削減施策を管理する要件にも対応します。
データ品質と将来の拡張性を踏まえ、特定の製品を一律には勧めません。SaaS、パッケージ、個別開発を組み合わせたい企業も相談の対象になります。
株式会社NTTデータ|大企業・金融機関のScope 3高度化での強み
大手IT企業のNTTデータは、GHG排出量の可視化基盤「C-Turtle」と、金融機関・投融資先向けの「C-Turtle FE」を展開しています。
たとえば、金融機関が取引先の排出量やファイナンスド・エミッションを把握するなど、大規模なデータ連携を検討する企業が候補になります。
特徴と強み
C-Turtle FEは、金融機関向けの国際算定基準であるPCAFスタンダードに準拠しています。そのうえで、投融資先のファイナンスド・エミッションの可視化と削減を支援します。
一般企業のScope 1・2の計算にとどまらず、金融機関と顧客企業の間のデータ収集、評価、報告を意識したサービスです。また、既存の金融データや顧客基盤との連携は、SI体制も含めて相談できます。
得意領域・実績
NTTデータは2025年4月、コンコルディア・フィナンシャルグループへのC-Turtle FE提供開始を発表しました。
発表時点でC-Turtle/C-Turtle FEを導入した預金取扱金融機関は20社を超え、地域銀行の利用率は30%を超えています(出典: NTTデータ「コンコルディア・フィナンシャルグループにC-Turtle FEを導入」、2025年)。
- 得意領域:金融・保険・投資先管理など、複数社を横断する要件
- 規模の適合:中小企業の少拠点でのScope 1・2には、体制が大きすぎる可能性
- 見積確認:ライセンス、連携、支援、帳票、保守の内訳と、標準機能の範囲
株式会社ゼロボード|制度対応とサプライチェーン管理の重視
ゼロボードの「Zeroboard」は、Scope 1・2・3の算定と可視化を支援するGHG排出量算定クラウドです。グループ企業やサプライヤーからデータを集め、環境項目も一元管理できます。
AIST-IDEAデータベースを標準で搭載しています。
排出係数や算定根拠を意識して運用したい企業に向いています。
特徴と強み
グループ企業間の入力依頼やサプライヤーからのデータ収集を含め、バリューチェーン全体を段階的に管理したい企業が候補になります。
誰がどのデータを提出したかも管理でき、制度対応や開示に活用できます。
要件定義では、対象とするScope 3カテゴリを決めます。あわせて、一次データと推計データをどう区別するかも確かめます。
得意領域・実績
公式サイトには、グループ企業を含む利用社数15,000社と、システム利用実績のある海外90か国が掲載されています。利用社数は2025年10月時点、海外の国数は2024年10月時点です(出典: 株式会社ゼロボード「Zeroboard」公式サービスサイト)。
2025年更新の資料(出典: 中国経済産業局「やってみよう!中小企業のカーボンニュートラル」、2025年)では、Zeroboardの聞き取り価格は1拠点あたり月額8,000円からと整理されています。
- 導入実績:大企業のグループ管理や海外拠点の運用の参考になる
- 費用:Scope 3、サプライヤー収集、導入支援、拠点数で変わる
- 見積内訳:初期設定費、データ整備費、伴走費を分けて見る
アスエネ株式会社|見える化から削減・開示までの伴走
アスエネ株式会社は、CO2排出量の見える化、削減、報告を支援するクラウドサービス「アスエネ」を提供しています。Scope 1・2・3の算定に加えて、環境データも扱います。
扱える対象データは、エネルギー、廃棄物、水、製品CFP・LCAなどです。
算定後の分析や削減計画までつなげたい企業に向いています。
特徴と強み
請求書などのファイルを取り込めば、排出量を自動で算定できます。加えて、ホットスポット分析や、削減目標・貢献量の管理にも対応します。
排出量の多い拠点やカテゴリを特定し、再エネ切り替えや省エネ投資につなげたい企業が候補になります。
その際は、算定代行と自社運用をどこで分けるか、データレビューや開示支援があるかを確かめます。
得意領域・実績
公式導入事例では、ツルハホールディングスが2,600店舗のCO2排出量を1人で算定した事例を紹介しています。また、公式サイトは、2026年7月調査時点で累計導入社数22,000社以上と案内しています。
中国経済産業局の資料では、聞き取り価格は初期費用なし、月額利用料は個別見積とされています(出典: アスエネ公式サイト、中国経済産業局資料、2026年・2025年)。
- 多拠点運用:入力方法をそろえたうえで、確認の工数が減るかを自社の帳票で試す
- 見積条件:拠点数に加え、Scope 3、LCA、コンサルティングの範囲を指定
Booost株式会社|段階導入と海外拠点の可視化への対応
Booost株式会社の「booost GX」は、Scope 1・2・3の算定、拠点別の集計、本部での集約を支援します。開示や削減に向けたマルチレポーティングにも対応しています。
研究ノートでは旧社名のbooost technologies株式会社として整理されています。一方で、現在の公式サービスサイトは、Booost株式会社のサービスとして案内しています。
企業名や契約主体は、問い合わせの時点の最新情報で確かめます。
特徴と強み
会社や拠点ごとに異なるデータを集め、算定結果の分析から開示や削減につなげる業務を想定しています。
小さな拠点から始めて、対象の会社やScopeを広げる段階導入も検討できます。
海外拠点を含む場合は、単位、通貨、排出係数、入力言語の扱いをデモで確かめます。将来の統合に対応できるかどうかも、あわせて判断します。
得意領域・実績
2025年の資料(出典: 中国経済産業局「やってみよう!中小企業のカーボンニュートラル」、2025年)では、中小企業向けプランが1拠点あたり数千円からと整理されています。
- 利用開始:Scope 1・2を小さく始めたい企業にとって検討しやすい
- 追加費用:入力代行、Scope 3、削減目標、レポート、運用の伴走
- 価格条件:対象範囲や支援内容によって変わるため、見積で確かめる
イオンの「AEON Green System」の開発では、booost GXの機能が活用されています。
全社のCO2排出量やバリューチェーン排出量の可視化も、あわせて発表されています。
業務システムとして拡張する場合は、標準サービスと個別開発のどちらを受け持つかを、開発会社と相談します。そうすると、過剰なスクラッチ開発を避けやすくなります。
富士通Japan株式会社|環境・ESGデータを大企業基盤で一元管理
富士通Japanの「FUJITSU Sustainability Solution Eco Track」は、SaaS型のクラウドサービスです。環境、SDGs、ESGのデータをインターネット経由で管理し、全体の集計や報告書作成を支援します。
CO2だけでなく、サステナビリティ情報全体を管理したい企業や、大規模IT基盤と接続したい企業に向いています。
特徴と強み
Eco Trackでは、データ収集項目や換算係数を設定して、環境情報を組織横断で集計できます。
ESG開示、人事、コンプライアンス、環境法令の管理部門も同じ基盤を使うなら、項目の追加と権限管理が欠かせません。
導入時は、CO2データの粒度、Scope 3の範囲、API連携、SSO、承認履歴の仕様を、事前に決めておく必要があります。
得意領域・実績
富士通は、みずほフィナンシャルグループへのEco Track導入について、2023年1月に合意したと発表しています。複数の会社の情報を集計して報告する運用では、参考になる事例です。
富士通は、サプライチェーンの製品カーボンフットプリントのデータ連携にも取り組んでいます。
製品別や取引先別の環境情報へ広げたい企業にとって、確認できる材料になります。
中国経済産業局の2025年資料によると、基本運用サービスは月額65,000円からで、導入支援サービスは個別見積です。
- 導入範囲:対象拠点、データ項目、導入教育、保守内容の明記
- 費用比較:公開価格と個別見積の範囲
SaaSと個別開発の選び方

対象拠点が少なく、標準的なScope 1・2から始める企業には、SaaSが向いています。一方で、既存システムとの深い連携や独自の製品CFPが必要な場合は、別の方式も検討します。
海外子会社やサプライヤーの複雑な業務を一体で扱う場合は、パッケージ+SIや個別開発が候補になります。方式は、要件との適合で選びます。
最初に全機能をそろえるより、3〜6か月分の実データで算定方法と入力工数を検証し、必要な連携だけを順に追加するほうが安全です。
実績と経験の確認方法
導入社数だけでなく、自社に近い業種、拠点数、Scope、データ連携の有無を見ます。業種が変われば、確認すべき業務データも異なります。
- 製造業:生産量と原単位の扱い
- 店舗型企業:請求書と店舗マスタの連携
- 金融機関:投融資先からのデータ収集
守秘義務で社名を出せない場合でも、対象規模や導入期間、どの課題を何時間削減したかを匿名で聞けば比べられます。
技術力と専門性の評価
技術評価では、排出係数マスタの更新を誰が担うか、ロケーション基準とマーケット基準の扱い、Scope 3の15カテゴリを見ます。推計から一次データへ移る方法も、見ておきます。
請求書画像のOCR、CSVの一括取込、ERP・会計・購買・生産管理とのAPI連携を、自社データで試します。単位の変換と欠損値の検知も、同じ場で見ておきます。
入力者と承認者、元ファイル、計算式、係数の版、修正履歴を保存できるかも見ます。第三者保証や監査を見据えるなら、この記録は欠かせません。
プロジェクト管理体制の確認
プロジェクト管理では、作業範囲、担当者、見積の内訳のそれぞれについて、どこまでを誰が受け持つかを項目ごとに決めます。
- 作業範囲:要件定義、データ整備、画面・帳票、連携、テスト、教育、運用保守
- 担当体制:ベンダーの業務設計・技術責任者と自社の意思決定者
- 見積内訳:ライセンス、初期設定、移行、API、導入支援、年間保守、変更時の追加費用
Scope 1・2、数拠点、CSV取込、基本ダッシュボードという構成なら、初期費用は300万〜800万円、期間は2〜4か月程度が予算の仮説です。
複数法人、Scope 3、承認ワークフロー、API連携を含む場合は、初期800万〜2,000万円、4〜8か月程度が目安です。
海外、製品CFP、サプライヤーポータル、第三者保証向けの証跡を含む場合は、初期2,000万〜5,000万円以上、8〜18か月程度が予算の仮説です。
これらは、類似の業務システムと公開SaaS価格から推定したものです。CO2管理に固有の一律の相場ではありません。
よくある質問
法定報告、Scope 3、費用の考え方を分けて見ると、自社に必要な機能と相談先が整理しやすくなります。
CO2排出量管理システムはすべての企業に必要ですか?
必要かどうかは企業によって異なります。法定報告の対象企業に加えて、Scope 3や製品別排出量を求められる企業、多拠点の集計を効率化したい企業にも導入の効果があります。
拠点が少ない場合は、Excelで算定方法を固めてから、SaaSへ移行する方法もあります。ただし、証跡・権限・版管理が必要なら、早めにシステム化を検討します。
Scope 3まで最初から対応するべきですか?
まずはScope 1・2と重要なScope 3を対象にし、活動量、排出係数、データ品質、責任者を定めます。15カテゴリすべてを最初からそろえなくても進められます。
推計値を使う範囲は明示しておき、取引先から一次データを得られるカテゴリから精度を上げていきます。あわせて、推計値を一次データに置き換えた履歴も残しておきます。
CO2排出量管理システムの費用はいくらですか?
SaaSの公開価格や聞き取り例では、導入範囲によって費用が変わります。
- 標準的なSaaS:入口の目安は初期費用0〜90万円、月額5,000円〜10万円程度
- 複数拠点等:Scope 3・承認・API・伴走支援を含む場合、月額10万〜50万円程度になることがあります
- グループ等:海外・サプライヤーまで含む場合、月額50万〜200万円以上の可能性
導入設定、データ移行、教育、保守の有無によっても、総額は変わります。
同じ要件書を使って2〜3社に見積を依頼すれば、条件をそろえて比べられます。
まとめ
開発会社は、機能数や価格に加えて、データ収集、計算根拠の記録、削減施策の運用まで支えられるかで選びます。
riplaは業務要件の整理から開発、定着まで、NTTデータは大企業・金融機関のデータ連携に強みがあります。
ゼロボードは制度とサプライチェーンへの対応、アスエネは見える化から削減・開示までを支えます。Booostは段階導入、富士通Japanは環境・ESG情報の一元管理に対応します。
この記事の要点
比べるときは、対象Scope、一次データと推計データの区別、排出係数の更新を、同じ質問票で確かめます。API・CSV・OCR連携と承認・監査の証跡も、あわせて見ます。さらに、セキュリティと解約時のデータ返却も確かめます。
2週間程度のサンプルデータを使えば、入力から承認、再計算、レポート出力まで一通り試せます。カタログからは見えにくい運用の負担も、この段階で把握できます。
次に行うべきアクション
候補の企業に相談する前に、自社の要件と進め方を整理しておきます。
- 拠点・法人・対象Scope・データ項目を一覧にし、Excelや請求書をサンプルとして2〜3社に提示します。
- 2026年度の制度対応を急ぐだけでなく、将来のScope 3、製品CFP、サプライヤー連携へ広げられるかも確かめます。
- 社内の運用体制を確かめたうえで、業務システム開発の経験を持つ会社に、SaaS・連携・個別開発の提案を依頼します。
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▼RFP作成前に読みたい無料ホワイトペーパー
・業務システム開発の完全ガイドブック
・スクラッチシステム開発の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
