見積積算システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

見積積算システムの費用は、小規模なクラウドなら初期費用0〜30万円が一つの目安で、全社展開では1,500万〜5,000万円程度を想定するケースもあります。費用を左右するのは、発注する方式、工種数・利用者数・帳票数、既存システムとの連携の3つです。

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見積積算システムを発注する前に知っておきたい全体像

見積積算システムから見積書、実行予算、発注、原価へつながる業務データの階層図
見積範囲と受注後の連携範囲を発注前に整理

見積積算システムは、案件情報の数量や単価、歩掛を組み合わせて、見積書や内訳書、実行予算を作る業務システムです。労務費や材料費、経費、利益率も組み合わせて計算します。帳票の見栄えと並べて、見積の根拠を受注後の予算・発注・原価と同じデータで追えるかを確かめることが、発注時の要になります。

見積ソフトと見積積算システムの違い

見積ソフトは、明細を入力して見積書を作り、印刷やPDF出力を効率化することが中心です。一方、見積積算システムは、工事種別・工種・科目・細目・単価内訳の階層を持ち、数量・単価・歩掛・複合単価を計算します。過去案件やマスタも再利用できます。さらに、承認履歴や版管理から、実行予算・発注・請求・入金まで連携できる製品もあります。

公共土木では、標準歩掛が労務・材料・機械などの標準的な所要量を定めています。その歩掛は、予定価格を算出する基礎になります。

国土交通省は令和8年度も、土木工事・業務の積算基準を改定しています(出典: 国土交通省「令和8年度 国土交通省土木工事・業務の積算基準等の改定」、2026年)。公共案件を発注する場合は、単価や歩掛の更新方法、地域差、経費、法定福利費、最低制限価格などの扱いを要件に含める必要があります。

Excel運用で問題が起きやすい理由

Excelは小規模な見積には便利です。ただし、担当者ごとにファイルが分かれると、単価表や計算式のどれが最新版か分からなくなりやすいのが課題です。

セルの上書きや転記、端数調整、税率の設定ミスが起きても、誰がいつ変更したかを追えない場合があります。さらに、担当者が退職すると、過去見積の考え方まで失われます。そのため、同じ案件でも人によって見積金額が変わることもあります。

システム化では、単価や歩掛を同じ場所で管理し、複製した過去案件を新しい版として保存できます。受注後に実行予算や発注へ引き継げれば、見積時の粗利と実績原価の差も確認できます。導入の目的は、Excelを新しい画面に置き換えることではなく、見積根拠を標準化して利益管理へつなげることです。

外注する業務の範囲

発注前に、業務の範囲を「見積書の作成だけ」「積算から見積・承認まで」「見積から実行予算・発注・請求まで」の三つに分けて考えます。少人数の専門工事会社では、まず工種マスタと見積帳票を整え、受注後の予算管理は後から追加するのが現実的です。一方、複数拠点を持つ会社やゼネコンでは、見積データを発注・原価・会計へつなぐ全体設計が必要になります。

見積積算システムの発注形態の選び方

パッケージ、クラウド、スクラッチ開発を3つのパネルで整理した発注形態の比較図
業務適合性と連携範囲を基準に方式を選ぶ

発注形態は大きく三つに分けられます。標準機能を使うパッケージ、インターネット経由で利用するクラウド、業務に合わせて作るスクラッチ開発です。

方式は、会社の規模に加えて、独自の工種体系や帳票、既存の基幹システム、現場の通信環境、制度変更への対応力で決まります。

パッケージ導入が向いている会社

パッケージには、見積の階層明細や単価登録、帳票出力があらかじめ用意されています。このため、短期間で始めやすい選択肢です。建築みつも郎17のように本体価格8万円(税別)を公開している製品もあり、単体の見積業務を標準化したい場合は、導入効果を検証しやすいです(出典: コベック株式会社「建築みつも郎17」公式カタログ、2026年確認)。

ただし、この金額は製品本体の価格です。データ移行や教育、複数拠点の設定、連携開発までを含む導入総額ではありません。自社独自の帳票や複雑な歩掛、会計連携が多い場合は、標準機能でできることと、追加開発が必要なことを分けて確かめます。

業務を製品の標準に寄せられる会社では、費用と期間を抑えられます。一方で、無理に合わせると現場が使わなくなります。そのため、デモで実際の案件を入力して判断します。

拠点や協力会社と共有するクラウド型

クラウド型は、営業所や現場から同じ案件データにアクセスしやすく、バックアップやアップデートも委託先に任せやすい方式です。セイQは、初期費用0円・月額0円のフリープランを用意しています。Standardは月額2,980円で、建設見積や請求書、歩掛マスタ、無制限階層などを利用できると案内しています(出典: 建設見積クラウド「セイQ」公式料金ページ、2026年確認)。

この価格は標準サービスの利用料です。全社展開や個別連携の開発費は、別に考えます。クラウドを発注する際は、通信障害時の運用とデータの保存場所を確認します。

あわせて、利用者・協力会社ごとの権限、バックアップ、障害時の復旧目標、解約時のデータ返却も確かめます。工事単価や利益情報は機密性が高いため、RFPにはセキュリティの範囲も書きます。SSOや多要素認証、操作ログ、出力ログ、脆弱性対応、インシデント通知が対象です。

独自の積算体系や連携を重視するスクラッチ開発

スクラッチ開発では、独自の工種階層や複雑な複合単価、特殊な承認経路を、自社の業務に合わせて設計できます。既存のERP・会計・原価システムとの連携も、同じ考え方で組めます。

見積から実行予算、発注、請求までのデータモデルをそろえられます。そのため、二重入力や部門間で情報が途切れる状況を、大きく減らせる可能性があります。

ただし、成否を左右するのは要件定義とマスタの品質です。仕様を決めないまま開発を始めると、帳票の追加や例外処理、単価更新、権限変更が後から膨らみます。判断は、初期開発費に保守や制度改定、OSやブラウザ対応、障害対応、担当者交代時の引き継ぎを加えた総保有コストで行います。

方式に迷う場合の小規模PoC

方式を一つに決めきれない場合は、1工種・1拠点・代表的な数件の案件に絞ったPoCを委託します。このとき、PoCの成果と本開発への移行条件を契約に書いておくと、検証費用が無駄になりにくいです。

導入前後で、見積作成時間、明細の再利用率、転記回数を測ります。計算ミスや承認にかかる日数、見積粗利と実績粗利の差も測ります。こうした数字をそろえれば、画面の印象ではなく業務効果で比べられます。

ポイント

発注形態は、業務を標準機能に合わせられるか、拠点や協力会社との共有を重視するか、独自の積算体系や連携が必要かで決めます。迷う場合は小規模PoCで比べます。

見積積算システムを発注・外注する進め方

見積業務、RFP、デモとPoC、マスタ移行と教育を確認する4段階のチェックリスト図
同じ案件と条件で候補先を比較

発注・外注の失敗は、発注側が業務の前提と優先順位を伝え切れないことから起こります。開発会社の技術力だけでなく、この点も失敗に関わります。

まず現状を洗い出し、次に要件を業務フローとサンプル帳票で示します。そのうえで、同じ条件の提案を比べます。この順番なら、価格だけに引っ張られずに判断できます。

見積業務とマスタの洗い出し

最初の一週間から数週間は、見積担当者や営業、工事部門にヒアリングします。購買や経理にも話を聞き、案件受付から見積提出、承認、受注を経て、実行予算、発注、請求へ至る流れを図にします。

過去見積、単価表、歩掛表を集めます。協力会社の見積や帳票、承認メール、Excelの計算式も集めます。そのうえで、重複・欠損・更新者不明のデータを把握します。導入後に業務改善の効果を説明できるよう、この段階で次の指標を測っておきます。

  • 作業量:見積の平均作成時間、提出までの日数、月間件数
  • 手戻り:転記回数、計算ミス、承認差し戻し
  • 受注と利益:受注率、見積粗利と実績粗利の差

RFPに書く業務要件とサンプル

RFPには、まず業務の規模を書きます。対象業種と工事種別、利用者数、拠点数、年間の見積件数がそれに当たります。そのうえで、対応する工種階層、単価の有効期間、地域差、法定福利費、税率、掛け率、端数調整といった計算条件を書きます。

版管理や承認権限、Excel入出力、PDF帳票、API、オフラインでの利用可否も、RFPに含めます。「使いやすい画面」のような抽象的な表現では提案を比べにくいため、現行帳票と代表案件の明細を渡し、同じ入力条件で提案してもらいます。

機能要件に加えて、非機能要件もRFPに含めます。認証と権限では、SSOや多要素認証、拠点・部門・協力会社単位のアクセス制御を、通信と保存時の暗号化、バックアップ、復旧時間とあわせて確認します。操作・承認・出力ログや、個人情報と単価情報の取り扱い、AI機能が入力データを学習に使うかどうかまで確認します。

デモとPoCで同じ案件を使った操作性の比較

候補先には、実際の過去案件を匿名化して渡します。案件登録や明細の階層化、数量と単価の入力を実演してもらいます。さらに、複合単価や利益率の調整、承認、帳票出力、実行予算への引き継ぎまで見せてもらいます。

提案側の説明に加えて、自社の見積担当者に実際に操作してもらいます。入力で迷う点や検索のしやすさ、修正履歴、Excelとの行き来を確認します。

AIやOCRを提案された場合は、抽出された数量・明細・類似単価の根拠を表示できるかを見ます。条件は、AIの候補を発注金額に使う前に人が最終承認できる設計であることです。参照案件や単価の更新日、承認者、変更履歴が残るかも確かめます。

マスタ移行と教育の計画

見積積算システムでは、画面の準備より、単価や歩掛、工種、協力会社、帳票の整備に時間がかかることがあります。過去見積をすべて移行するのか、直近数年の代表案件だけにするのかは、自社で決めます。古い単価を無効にする日付の設定も、開発会社任せにしません。

本番稼働の前に、部門ごとの操作研修を行います。対象は、見積担当者や営業、工事担当、購買、経理です。そのうえで、マスタ更新と承認の責任者を決めます。

1拠点・1工種のパイロットで運用を確認します。問い合わせ内容や入力ミスを直してから対象範囲を広げると、現場の反発と手戻りを抑えられます。

ポイント

業務の洗い出しから教育まで同じ順番で進め、候補先を同じ条件で比べます。価格だけで選ぶと、現場に合わない提案を見落とすおそれがあります。

契約形態と発注側・委託先の責任範囲

見積積算システムの外注では、契約の形によって、納めるもの、責任の範囲、変更時の費用が変わります。

要件が固まっていない段階と、仕様や受入条件が決まった開発段階は、フェーズごとに契約を分けて考えます。そうすると、責任範囲がはっきりして、後からの認識違いも減らせます。

要件整理や伴走支援に向く準委任契約

準委任契約は、専門家の知見や作業の進め方に対して報酬を支払う形態です。業務分析や要件定義、プロジェクト支援、運用改善が対象になります。

見積業務の現状が複雑で、何を作るべきかを発注側だけでは決めきれない場合に適しています。ヒアリングやRFP作成を支援してもらう用途です。また、要件定義を準委任で行い、開発以降を請負や段階的な契約にする方法もあります。

準委任では、完成したシステムを納めること自体が成果物にならない場合があります。そのため、月ごとの作業内容や会議体、成果物を明確にします。稼働時間や報告方法、未消化作業の扱いも決めておきます。

請負契約の前提となる仕様と受入条件

請負契約は、合意した仕様に基づいてシステムを完成させ、引き渡すことを目的にする契約です。画面や帳票、計算ルール、連携方式の条件が具体的であるほど、完成したかどうかを判定しやすくなります。性能や権限、移行データ、テスト環境、受入テストも、具体的に決めておきます。

見積積算システムでは、現場の例外処理や帳票の追加が起きやすいため、変更管理の方法が欠かせません。追加要望は、変更票で承認します。変更票には、目的、影響範囲、納期、費用、受入条件を記します。

口頭の依頼を正式な仕様にしない運用も、あわせて決めます。瑕疵対応の期間や保証範囲、知的財産権、第三者製品のライセンスも、契約書と仕様書で確認します。

データ・保守・終了条件の契約項目

業務データの所有者とバックアップの保持期間を確認します。データ返却の形式、解約時の削除証明、管理者アカウントも決めておきます。ソースコードや設計書の扱いも確かめます。

クラウドサービスなら、サービス停止時の通知や障害対応の窓口、復旧目標、料金改定の通知期間も必要です。さらに、自社の情報セキュリティ基準や取引先との守秘義務を、再委託先にまで適用できるかも確認します。

ポイント

要件整理は準委任、仕様と受入条件が固まった開発は請負を選び、フェーズごとに契約を分けます。変更は変更票で承認し、口頭の依頼を正式な仕様にしないことが目安です。

見積積算システムの費用相場と見積内訳

見積積算システムの費用は、標準製品の本体価格と、導入支援・データ移行・カスタマイズ・連携・保守に分けて確認します。

個別の開発費を横断して比べられる公的統計はありません。そのため、次に示すレンジは、公開価格と一般的な業務システムの相場を組み合わせた目安です。費用は工種数や利用者数、帳票数で変わり、既存システムとの連携やBIM・OCR・AIの有無でも変動します。

方式別の初期費用・利用料の目安

小規模クラウドは、初期0〜30万円、月額3,000円〜10万円程度が一つの目安です。業界特化クラウドは、初期50万〜300万円、月額10万〜100万円程度です。パッケージには、ライセンス8万円程度から年額10万〜30万円程度の製品があり、設定や教育を含めると50万〜300万円程度になる場合があります。

いずれも、利用者数や帳票、サポート、データ移行の範囲で変わります。そのため、公開されている本体価格や月額だけで全社導入費を考えないようにします。パッケージにカスタマイズや会計・原価連携を加える場合は、300万〜1,000万円程度が目安です。

独自の積算体系や複雑な承認・連携を含むスクラッチ開発では、300万〜2,000万円程度です。複数部門・拠点をまたいで、BIM、ERP、会計、EDIまで統合する全社展開では、1,500万〜5,000万円程度を想定するケースがあります。期間は1〜2年、横展開を含めると最長3年程度です。

見積書で分けて確認する費用の項目

見積書では、要件定義、画面と帳票の設計、データベース設計、開発を分けて確認します。外部連携、テスト、データ移行、教育、プロジェクト管理、保守も、項目ごとに分けて見ます。そのうえで、数量や工数、単価に加えて、前提条件と対象外も明記してもらいます。

単価マスタの整理や過去見積のクレンジング、現行Excelの分析、帳票の印刷調整は、開発費の中に含まれないこともあります。また、クラウドの料金は、初期費用、月額費用、オプション費用の三層で提示されることがあります。

たとえば、ANDPADも公式料金ページでこの三つの構成を案内しています。詳細は、利用状況に応じた問い合わせ方式です(出典: 株式会社アンドパッド「料金について」、2026年確認)。協力会社のアカウントやAPI、帳票追加、ストレージ、サポート時間などが別料金かどうかは、月額の比較表に含めます。

初期費用ではなく3年TCOでの比較

比較時は、初期費用に36か月分の利用料を加えます。保守や単価更新、追加帳票、API利用も加えます。さらに、教育や端末更新、社内運用の人件費も入れて、3年の総保有コストを算出します。

一方で、見積作成時間の短縮、提出リードタイムの短縮、転記ミスの削減、受注率や粗利の改善を金額に置き換えると、費用対効果を説明しやすくなります。導入期間と費用の目安は、小さなPoCなら0〜3か月、50万〜300万円程度です。1工種・1拠点のパイロットなら4〜12か月、300万〜1,500万円程度を見ておきます。

データ移行や現場教育が遅れると、本番稼働だけが先に進んでしまいます。そのため、契約前に移行対象の件数や品質確認の担当、教育回数、稼働判定の条件を明示します。

ポイント

費用は、移行・教育・保守・連携まで含めた3年TCOで比べます。公開価格や月額は全社導入費と同じではないため、内訳と対象外の明記を前提に判断します。

委託先の選定と見積比較で確認すべきポイント

委託先は、価格や知名度、AI機能の多さといった見た目の条件より、業務に合うかどうかで選びます。

建築、土木、電気設備・管工事、リフォームでは、必要な工種体系や単価の考え方が違います。そのため、同じ業種・規模の導入実績や、現場を理解する担当者、移行・教育・保守を含む体制を確かめます。

業務の近さで見る導入実績

導入事例は、「建設会社への導入実績がある」という情報だけで判断せず、工事種別や利用人数、拠点数を確かめます。見積から実行予算・発注・請求までの範囲、移行したデータ量、導入後の効果も確認します。見積と実行予算、原価管理を連携した事例では、二重入力が減り、見積段階の粗利を受注後も追いやすくなります。

積算会社や建設会社、設備会社、ビルメンテナンス会社では、業務の中身が違います。そのため、同じ工種を扱った担当者に、単価更新と例外処理の方法を聞きます。

さらに、受発注の電子化では、建設業振興基金の2025年度事業報告書が一つの参考になります。報告書にはCI-NETの利用企業数が20,690社と記載されており、見積・契約・出来高・請求を電子データでつなぐ選択肢を検討する材料になります(出典: 一般財団法人建設業振興基金「2025年度事業報告書」、2026年確認)。

候補先に渡す同じRFPとサンプル案件

3社以上に依頼する場合は、同じRFPとサンプル案件、同じ納期で提案を受けます。比較表では、要件ごとの対応可否と、標準機能か追加開発かを並べます。前提条件や対応方法、費用、納期も加えます。

さらに、保守費、データ移行、教育、SLAも入れます。「対応可能」という回答では比べにくいため、標準、設定、カスタマイズ、対象外のどれに当たるかを記載してもらいます。また、営業担当の説明と、実際に開発・導入を担当するメンバーの経験が一致しているかも確認します。

プロジェクトマネージャーや業務設計者、開発者の役割と稼働予定を提示してもらいます。テスト担当とサポート担当についても示してもらい、担当変更時の引き継ぎ方法を確認します。

価格以外の評価軸と採点方法

選定委員会では、価格のほかに、業務適合性や操作性、マスタ更新、データ移行を評価します。さらに、連携やセキュリティ、導入体制、保守、将来拡張も評価の対象にします。たとえば、業務適合性と操作性を高く、価格を中程度、AI機能を低めに配点したとします。

その場合、現場で使い続けられる提案を選びやすくなります。配点は、自社の優先順位に合わせて事前に決めます。「最安」の提案では、含まれていない作業がないかを確かめます。

帳票の追加、単価マスタの整備、既存Excelの変換が別途なら、3年TCOに加算します。テストデータの作成、協力会社の説明会、稼働後の問い合わせ、制度改定対応についても、同じように確認します。安い初期見積が、追加変更のたびに高くなるケースを避けるには、対象外と変更単価を契約前に明らかにしておきます。

ポイント

委託先は、同じ業種・規模の導入実績と担当者の経験を確かめたうえで、同じRFPへの提案を価格以外の評価軸で採点して決めます。

発注後に起きやすい失敗と対策

システムが完成しても、単価が更新されない状態や、入力ルールが人によって違う状態が続くと、効果は出ません。協力会社が使わない場合や、承認がメールに戻る場合も、効果は出にくいものです。

発注の時点で、運用責任者と効果測定の方法を決めておきます。そのうえで、開発会社と自社の作業を分けておきます。

マスタが古いままになるリスクと更新責任者

単価と歩掛は、一度登録すれば終わりではありません。材料費や労務費、地域単価、協力会社の価格、制度や税率は変わるため、更新頻度や承認者、有効開始日、旧単価の扱いを決めておきます。

公共工事向けでは、国土交通省などの基準改定を確認します。一方で、民間工事向けでは、市場価格や自社の実績原価を見直します。

現場が使わないリスクと段階導入・研修

見積担当者が長年使ってきたExcelを一気に禁止すると、入力の負担や不安から別の管理が生まれます。そのため、現場の代表者を設計メンバーに加えます。そのうえで、既存帳票を残す範囲と標準化する範囲、移行期間の二重運用を決めます。

まず1拠点・1工種で試し、操作ログや問い合わせを見て、画面とマニュアルを直してから広げます。

単価や利益情報の漏えいリスクと権限・ログ

見積積算システムには、取引先や工事価格、原価に加えて、利益率や個人情報も集まります。そのため、職種や拠点、協力会社ごとに閲覧・編集・出力の権限を分けます。退職や異動の際は、速やかにアカウントを停止します。

ログインや明細の変更、承認、帳票出力、データ削除を記録します。定期的に、権限とログを点検します。機密情報は無制限に入力せず、匿名化や項目制限を行います。

外部AIやOCRを使う場合は、図面や見積データが学習に使われるかを確認します。保存期間や第三者提供、国外移転、削除方法も確かめます。特に、金額の確定や発注は、必ず社内承認を通す設計にします。

見積積算システムの発注・外注でよくある質問

発注前によく出る、費用や期間、外注範囲、AIに関する質問に答えます。

自社の工種や既存システムによって条件は変わります。そのため、ここに示すレンジをそのまま契約金額とはせず、RFPと代表案件をもとに個別見積を取ります。

見積積算システムの開発費は300万円から考えればよいですか?

300万円前後は、小規模なカスタマイズや限定範囲の業務システムを検討する際の、一つの目安です。

パッケージや小規模クラウドは、これより低い初期費用で始められる場合があります。一方で、独自の積算体系や帳票、既存システム連携、全社展開を含めると、300万〜2,000万円程度になります。大規模な統合では、1,500万〜5,000万円程度のレンジもあります。

必要な工種や利用者、移行、連携に分けて、見積を取ることが大切です。

発注してから稼働まで何か月かかりますか?

標準機能中心のパッケージやクラウドは、設定や教育を含めて1〜4か月程度が目安です。小規模PoCは、0〜3か月程度です。

パッケージのカスタマイズは3〜9か月、スクラッチ開発は6〜18か月程度です。既存システムや複数拠点を統合する場合は1〜2年、横展開を含めると最長3年程度を見込むことがあります。

計画には、マスタ移行と受入テストの期間も含めます。

要件定義からすべて開発会社に外注できますか?

外注はできます。ただし、業務の優先順位や単価の扱い、承認者、守るべき帳票を発注側が決めておかないと、完成後に使われないシステムになりやすいです。

業務整理やRFP作成は専門会社に支援してもらい、判断は、見積担当者や工事部門、購買、経理を含む社内チームが行う体制にします。開発会社には、現状分析、要件定義、設計、開発のどこまでを任せるかを明記します。テスト、教育、保守の範囲も示します。

AIやOCRを搭載したシステムを選べば見積は自動化できますか?

AIやOCRは、図面やPDFからの明細候補の抽出、過去案件に基づく類似単価の提示、数量や利益率の異常検知に役立ちます。ただし、見積金額を無条件に自動で確定するものではありません。

抽出結果の根拠や参照データ、信頼度を確認できることが必要です。修正履歴や承認者も残り、人が最終判断する業務フローに組み込みます。まずは限定した工種で精度を測り、効果が確認できた機能から広げます。

まとめ

発注前の業務範囲と比較条件

見積だけを外注するのか、積算から原価・発注までをつなぐのかを決めます。代表案件と現行帳票を使って候補先を比べ、初期費用だけでなく、移行・教育・保守を含めた3年TCOで判断します。

導入後の更新・教育・効果測定

見積積算システムの発注・外注では、積算から請求までのどこまでを対象にするかを先に決めます。そのうえで、パッケージ、クラウド、スクラッチを、機能や現場の使いやすさ、連携、セキュリティ、保守、3年TCOの観点で比べます。

RFPには、現行の帳票と代表案件、工種・単価・歩掛を書きます。そのうえで、利用者、連携、権限、移行、教育、受入条件も記載し、複数社に同じ条件で見積を依頼します。

費用は、本体価格だけでなく、要件定義やカスタマイズ、データ移行、教育、保守、制度対応まで含めたレンジで確認します。PoCや段階導入で、自社に合う方式を見極めます。

担当者の経験を仕組みに移し、単価更新や承認、ログ、教育、効果測定を続けられる体制まで設計することが、発注の成否を分けます。見積を速く作ることも目的の一つですが、最終的な価値は、見積根拠を標準化し、受注後の利益予測と実績原価へつなげる点にあります。導入後は次のように進めます。

  1. 運用の担当:単価マスタの更新者や承認者、利用ルール、問い合わせ窓口を決める
  2. 段階導入:1拠点・1工種のパイロットで始め、段階的に広げる
  3. 効果の確認:見積作成時間、提出リードタイム、転記ミス、利用率、見積粗利と実績粗利の差を継続的に確認する

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。