記事制作管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

記事制作管理システムの発注・外注では、CMSを導入するだけでなく、企画から公開後の効果測定までの業務フローと承認ルールを整理してから、SaaS、パッケージ、スクラッチ開発を選ぶことが成功の近道です。

Excelやスプレッドシート、メール、チャット、共有フォルダに記事情報が分散していると、最新版の原稿や確認待ちの担当者が分からなくなり、公開漏れや差し戻しが起こりやすくなります。この記事では、記事制作管理システムを発注する前の要件整理から、RFPの作り方、契約形態、2026年時点の費用相場、委託先と見積書の比較方法まで、実務で使える順番に解説します。

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記事制作管理システムの発注・外注で決める全体像

記事制作管理システムの発注範囲を整理するイメージ

発注前に決めるべきことは、システムの機能一覧だけではありません。どの工程を自社に残し、どの工程を委託先に任せ、導入後に誰が運用するかまで決めておくことで、必要な開発範囲と見積もりの比較軸が明確になります。

最初に制作工程のどこまでを管理するか決めます

記事制作管理システムは、企画、キーワード、公開予定日の登録から、取材・執筆、編集、校正、監修、法務確認、入稿、公開、効果測定までを記事単位で追跡する業務システムです。発注時には、単に「記事を登録できるようにしたい」と書くのではなく、「企画登録から公開までの進捗を一画面で把握したい」「法務確認が完了するまで公開できないようにしたい」のように、解決したい業務上の状態を言語化します。

最低限の台帳だけを作るのか、本文・画像・出典・構成案まで一元管理するのか、公開先をWordPress一つに限定するのか、アプリやメールなど複数媒体へ配信するのかで、必要な設計は大きく変わります。月間記事数、関係者数、承認段階、公開媒体数、外部ライター数を最初に記録しておくと、委託先からの質問にも回答しやすくなります。

CMSやタスク管理ツールとの違いを整理します

一般的なCMSは、公開する本文や画像を登録してWebページへ配信する仕組みです。一方、タスク管理ツールは、担当者や期限、作業ステータスを管理することが得意です。記事制作管理システムは、その間にある制作業務をつなぎ、原稿の版、コメント、差し戻し理由、承認者、公開先までを記事の記録として残します。

既存のWordPressやSaaSを使い続けながら、制作進行だけを別システムで管理する方法もあります。反対に、外部ライターの入稿画面、監修者の期限付き権限、複数媒体へのAPI配信、公開後の検索順位やコンバージョン計測まで必要なら、CMSと進行管理を連携させる設計が候補になります。既存ツールを残すか置き換えるかは、機能数ではなく、重複入力と確認待ちをどこまで減らせるかで判断します。

発注形態はどれが適していますか?

発注形態を比較するイメージ

発注形態は、短期間で標準機能を使いたいならSaaS、独自の制作ルールを残しつつ開発負担を抑えたいならパッケージやヘッドレスCMSのカスタマイズ、業務そのものが競争力で大きな独自性が必要ならスクラッチ開発が基本的な選択肢です。正解は企業規模だけで決まらず、公開先、データ移行、承認の複雑さ、将来の変更頻度で変わります。

SaaS・既存CMSは早期導入と標準化に向いています

既存CMSやSaaSは、サーバー構築や基本的なアップデートを自社で抱えずに始められる点が魅力です。標準のワークフロー、ステージング、多要素認証、バックアップなどが提供されていれば、要件を製品の機能に合わせて短期間で運用へ移せます。記事の入力方法や承認段階を大きく変えられない場合でも、まず散在している情報を一つに集める施策として有効です。

公開料金の例として、MovableType.netは2026年4月以降の料金表で、エントリーが月額3,850円、ビジネスが月額7,700円、エンタープライズが月額16,500円です。ビジネス以上ではワークフローやステージング、バックアップなどが使えますが、サイト設計、テンプレート調整、移行、追加開発の費用は別に見積もる必要があります。料金表の月額だけで、記事制作管理システム全体の費用と判断しないことが重要です(出典: シックス・アパート株式会社「MovableType.net 料金プラン・購入」、2026年確認)。

ヘッドレスCMSは複数媒体とAPI連携を重視する場合に向いています

Webサイトだけでなく、アプリ、メール、SNS、社内ポータルなどへ同じ記事を配信するなら、管理画面と公開画面を分離するヘッドレスCMSが候補になります。記事データをAPIで取得するため、媒体ごとに表示を変えやすく、コンテンツの再利用にも向いています。ただし、フロントエンド、検索、プレビュー、キャッシュ、認証を別途設計するため、標準CMSより発注時の確認項目が増えます。

Kurocoの公式料金ページでは、初期費用なしの従量課金で、100万PV/月のメディアサイトの利用料金例を月額3.3万円としています。また、ISMAP対応クラウドのみで構築するパッケージプランは年額462万円からで、構築費用は別途です。これは利用料の公開例であり、自社のトラフィック、APIリクエスト、転送量、サポート範囲を入れた個別見積もりとは分けて比較します(出典: 株式会社ディバータ「Kuroco 利用料金」、2026年確認)。

スクラッチ開発は独自業務をシステムの中心にする場合に選びます

独自の編集権限、複雑な法務承認、記事の権利情報、顧客ごとの公開条件、複数媒体への配信、基幹システムとの連携などが競争力に直結するなら、スクラッチ開発を検討します。ただし、最初からすべてを作ると、要件の見落としや運用変更による手戻りが増えます。記事台帳、担当割当、締切、本文、コメント、承認、公開予約、権限、操作履歴をMVPとして先に作り、分析やAI支援を後から追加する進め方が安全です。

スクラッチか既存製品かで迷う場合は、両方の候補に同じ業務シナリオを提示します。「外部ライターが原稿を提出し、編集者が差し戻し、監修者と法務担当が順番に承認し、公開担当だけが予約公開する」というシナリオを実際に操作してもらうと、機能表だけでは見えない使いやすさと不足機能を比較できます。

記事制作管理システム開発の発注はどの順番で進めますか?

記事制作管理システム開発の進め方を整理するイメージ

発注プロジェクトは、現状把握、要件整理、方式選定、RFP配布、提案比較、契約、設計・開発、移行・テスト、教育・稼働の順番で進めます。委託先へ丸投げするのではなく、自社が業務上の判断を持ち、開発会社が技術と実装を担う役割分担にすると、完成後の定着まで見通しやすくなります。

現状の制作フローと滞留箇所を可視化します

最初に、企画登録から公開後の分析までを一枚の業務フローにします。各工程について、担当者、入力する情報、完了条件、次に渡す相手、差し戻しの条件、許容日数、現在使っているツールを書き出します。たとえば「法務確認中」と表示されていても、法務担当が未着手なのか、質問への回答待ちなのかで必要な通知と画面は異なります。

現場ヒアリングでは、編集長だけでなく、ライター、編集者、校正者、監修者、法務、公開担当、分析担当から話を聞きます。外部ユーザーがいる場合は、社内アカウントと同じ権限を与えるのか、記事単位の期限付き権限にするのかを確認します。Excelへ戻る原因は機能不足よりも、現場の手順とシステムの手順が一致していないことが多いためです。

MVPの範囲と成功指標を決めます

要件をすべて実現しようとせず、最初の稼働で必ず使う機能を絞ります。記事台帳、担当者と期限、ステータス、本文と画像、コメント、版管理、承認、公開予約、権限、操作ログは、制作進行の土台になりやすい機能です。反対に、AIによる自動構成、複雑なレコメンド、媒体別の高度な効果分析は、運用ルールが固まってから追加しても遅くありません。

成功指標は、導入したかどうかではなく、公開までの日数、確認待ち件数、差し戻し回数、公開漏れ件数、外注費、1記事あたりの入力時間などで設定します。たとえば「公開予定日を過ぎた記事をゼロにする」「最新版を探す時間を短縮する」「法務確認の履歴を100パーセント残す」のように、導入前の数値と導入後の目標を並べておくと、追加開発の優先順位も判断しやすくなります。

設計・開発・移行・テストを分けて管理します

設計では、画面だけでなく記事データの項目、ステータス遷移、承認条件、権限、通知、外部連携を決めます。編集者は本文を編集できても公開できない、法務担当は承認とコメントだけできる、外部ライターは担当記事だけ閲覧できる、といった境界を具体的に定義します。ステータスを自由入力にすると集計できなくなるため、「企画」「執筆中」「編集待ち」「監修待ち」「法務確認待ち」「公開準備」「公開済み」などの選択肢と遷移条件を用意します。

移行では、旧記事の本文だけでなく、URL、公開日、著者、カテゴリ、画像、canonical、リダイレクト、出典、権利情報まで対象にします。開発会社へ「データ移行一式」とだけ伝えると、対象件数や整形ルールが曖昧になります。記事数、画像点数、旧システムの形式、移行後の検品方法をRFPに記載し、サンプル移行を提案に含めてもらいます。

テストは、画面が開くかだけでは不十分です。外部ライターが提出し、編集者が差し戻し、監修者が承認し、法務未承認のまま公開できないことを確認する業務シナリオテストを行います。大量アクセス時の表示、バックアップからの復元、権限外データの閲覧防止、通知の重複、旧URLからの転送も検証し、受け入れ条件として契約書や発注書に残します。

RFP・要件整理には何を記載しますか?

RFPと要件を整理するイメージ

RFPは、開発会社に機能を当ててもらうための一覧表ではなく、背景、目的、対象業務、制約、期待成果、提案してほしい範囲をそろえる文書です。要件が曖昧なまま相見積もりを取ると、A社は移行込み、B社は移行なし、C社は保守込みという状態になり、金額だけでは比較できません。

背景・業務課題・対象範囲を最初に書きます

RFPの冒頭には、現在の体制と課題を記載します。たとえば、月間記事数、編集者・ライター・監修者・法務担当の人数、外注先の数、媒体数、現在のCMS、Excelやチャットとの併用状況、公開漏れや確認待ちが起こる頻度を書きます。課題は「使いやすいシステムがほしい」ではなく、「担当記事の期限と確認者を毎朝確認するために複数ファイルを開いている」のように具体化します。

対象範囲は、必須、できれば実現したい、将来検討の3段階に分けます。必須機能には記事台帳、担当割当、期限、コメント、版管理、承認、権限、公開予約、ログを置き、将来検討にはAI校正、SEO分析、SNS配信、レコメンドなどを置く方法が現実的です。対象外にする業務も書いておくと、提案後に「そこまで含むと思っていた」という認識違いを防げます。

機能要件と非機能要件を分けて記載します

機能要件は、何ができるかを示します。記事ごとの企画・キーワード登録、担当者割当、カンバンとカレンダー、本文・画像・出典の入稿、コメントと差分、複数段階の承認、外部ユーザーの招待、CMSやAPIとの連携、公開後のPV・検索順位・CVの記録などを、利用者と操作の流れで書きます。要件ごとに優先度、利用者、完了条件を付けると、提案内容を比べやすくなります。

非機能要件は、性能、可用性、セキュリティ、バックアップ、障害対応、保守、データ返却などです。管理画面のMFAやSSO、IP制限、最小権限、操作ログ、TLS、WAF、暗号化バックアップ、復元テスト、脆弱性パッチ、障害時の連絡時間、許容停止時間、データ保存地域を確認します。業務システムでは、見た目の機能よりも、停止したときに誰が何時間で復旧するかが運用費とリスクを左右します。

連携・移行・納品物を明記します

既存のWordPress、Google Drive、スプレッドシート、SlackやTeams、GA4、Search Console、会計や顧客管理など、連携対象を具体的に記載します。連携先のAPIが読み取りだけなのか、公開や更新まで行うのか、失敗時に再送できるのか、認証情報をどこで管理するのかも必要です。「連携対応」とだけ書かれた見積書では、実装範囲を判定できません。

納品物は、ソースコード、設計書、データモデル、テスト結果、操作マニュアル、管理者向け手順、移行スクリプト、インフラ設定、アカウント一覧、バックアップと復元手順まで分けて指定します。契約終了後にデータをエクスポートできる形式、画像や原稿の権利の帰属、オープンソースや外部サービスのライセンス、追加開発の単価もRFPの確認項目に含めます。

契約形態と費用相場はどのように比較しますか?

契約形態と開発費を比較するイメージ

記事制作管理システムの全国統一相場は公開されていません。そのため、公開されているSaaS料金、類似する業務システムの開発データ、実際の要件と工数を分けて考えます。以下の金額はリサーチノートと公開情報をもとにした検討用の推定レンジであり、要件、データ量、品質基準、委託先の体制によって変わります。

請負・準委任・保守契約の役割を分けます

請負契約は、合意した成果物の完成を目的にする契約です。画面、機能、移行件数、テスト条件、納品物、検収条件を確定しやすい一方、要件変更が発生すると追加費用や納期変更の扱いが問題になります。要件が十分に固まった実装フェーズや、範囲の明確な移行作業に向いています。

準委任契約は、専門家が一定期間の業務を遂行することを目的にします。現状調査、要件定義、プロトタイプ、アジャイル開発、運用改善のように、作業を進めながら仕様を固める局面に向いています。完成責任や稼働時間、意思決定の範囲、成果物の扱いを曖昧にしないことが必要です。稼働後は、月次の保守契約に切り替え、問い合わせ、障害対応、脆弱性対応、軽微な改修の範囲を分けて定義します。

方式別の初期費用と期間を推定レンジで見ます

SaaSや既存CMSをそのまま使う場合は、初期費用0万円から100万円程度、期間は数日から1か月程度が一つの目安です。権限設計、テンプレート調整、研修、初期データ登録を含めると、初期50万円から300万円程度になるケースもあります。これは公開料金に設定・移行・支援費用を加えた推定であり、製品料金だけを示すものではありません。

パッケージやヘッドレスCMSをカスタマイズする場合は、300万円から1,000万円程度、2か月から6か月程度が検討レンジです。記事データの移行、独自の承認経路、外部ライター画面、検索や分析連携を加えると上振れします。小規模スクラッチで企画・記事・担当・承認・公開のMVPを作る場合は、300万円から800万円程度、3か月から6か月程度が目安です。

複数媒体、外部協力者、複数段階承認、API、分析、SSOまで含む中規模の独自システムは、800万円から2,500万円程度、6か月から12か月程度が推定レンジです。大規模メディアの基盤刷新では2,500万円から5,000万円超、12か月以上になる可能性があります。広島ホームテレビのCMS更改・クラウド移行事例では、CMS分離、AWS、WAF、CDN、データベース、バックアップなどを含む初期プロジェクト期間が約13か月と紹介されています(出典: 株式会社テレビ朝日メディアプレックス「公式サイトへのCMSplex導入」)。

初期費用ではなく5年間のTCOで比べます

見積もりを比べるときは、開発費だけでなく、SaaS利用料、クラウド、ストレージ、CDN、AI API、監視、保守、セキュリティ診断、バックアップ、研修、データ移行、社内運用の人件費を足します。5年間のTCOを試算し、初期費用が安い案でも月額利用料と追加改修が積み上がらないか確認します。

人月単価も参考になります。リサーチノートが参照するJUAS「ソフトウェア・メトリクス調査2025」では、スクラッチ開発の全体加重平均単価が96万円/人月、パッケージ利用開発とSaaS利用開発は144万円/人月と整理されています。単純に3人月から8人月を当てはめると約288万円から768万円ですが、PM、UI/UX、インフラ、移行、テスト、管理費を含むかで変わるため、単価だけで発注先を決めてはいけません(出典: 一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「ソフトウェア・メトリクス調査2025」)。

委託先選定と見積比較のポイントは何ですか?

委託先と見積書を比較するイメージ

委託先は、会社名や知名度だけでなく、記事制作の業務理解、要件定義から保守までの担当体制、既存データ移行、セキュリティ、外部ユーザー管理、公開後の改善力で評価します。製品ベンダー、個別開発会社、導入パートナーでは得意領域と契約相手が異なるため、提案書に提供形態を明記してもらいます。

実績は件数より業務シナリオと担当者を確認します

「メディアの実績があります」という説明だけでは、自社に適合するか判断できません。記事の企画から公開までを一元化した事例なのか、公開用CMSだけの導入なのか、外部ライターや法務担当を含むワークフローがあるのかを確認します。事例紹介では、導入前の課題、対象人数、記事数、期間、移行範囲、導入後の変化を質問し、可能なら実際の操作画面を見せてもらいます。

提案時の窓口だけでなく、要件定義、設計、開発、移行、保守を誰が担当するかも重要です。担当者が途中で変わる場合の引き継ぎ方法、再委託の有無、障害時の連絡先、月次報告、契約終了時のデータ返却を確認します。候補会社には同じ業務シナリオを渡し、回答の具体性と質問の質も評価材料にします。

見積書は工程・成果物・前提条件をそろえて比較します

見積書は、要件定義、UI/UX、データ設計、実装、連携、インフラ、テスト、移行、教育、リリース、保守に分けてもらいます。各項目に工数、単価、成果物、担当、期間、前提条件、対象外を記載してもらい、値引き後の総額だけで比較しないようにします。特に、移行対象件数、画像の整形、既存URLの維持、テストデータの作成、公開後の修正回数が抜けやすい項目です。

提案価格が大きく違う場合は、安い会社にすぐ決めるのではなく、機能の有無、作業範囲、品質基準、再委託費、ライセンス、クラウド費、保守時間を並べます。要件定義を有償の短期フェーズに分け、成果物として業務フロー、画面一覧、データ項目、概算見積、MVP案を受け取ってから本開発を契約する方法もあります。

運用・保守・契約終了時のリスクを確認します

稼働後に誰がマスタを更新し、権限を変更し、記事データをバックアップし、障害を一次切り分けするかを決めます。保守費用に含まれる問い合わせ時間、対応可能な曜日、障害の優先度、復旧目標、軽微な改修の定義を契約書やSLAに書きます。SaaSでは仕様変更、料金改定、サービス終了、データエクスポートの方法も確認します。

発注先が開発したコードや管理画面に依存しすぎると、将来の乗り換えや内製化が難しくなります。データを標準的な形式で取り出せるか、ソースコードと設定情報の権利は誰に帰属するか、第三者への保守引き継ぎが可能か、追加開発の見積方式は何かを確認します。価格の安さではなく、5年後に選択肢が残るかという視点で比較します。

AI活用・セキュリティ・権利管理はどう発注要件に入れますか?

AI活用とセキュリティ要件を確認するイメージ

2026年の発注では、AIを使えるかだけでなく、どの工程で何を入力し、どの出力を誰が確認し、履歴をどの期間保存するかを要件にします。AIは構成案、要約、校正、メタディスクリプションの下書きなどに限定し、事実確認、出典確認、著作権確認、人による最終承認を必須にする設計が現実的です。

AIは下書き支援として使い、人の承認をワークフローに残します

AI機能を入れるなら、入力データの種類、利用するモデル、学習利用の有無、保存期間、削除方法、出力のログ、利用者の権限、禁止用途をRFPに書きます。未公開原稿、取材対象者の連絡先、会員情報、顧客情報を一般向けサービスへ入力しないルールを設け、匿名化や法人向け設定、閉域環境の要否を委託先と確認します。

個人情報保護委員会は、生成AIサービスの提供者が入力情報を機械学習に利用する場合、個人データを提供者へ提供したことになる場合があると注意喚起しています。したがって、サービスの利用規約と学習利用の扱いを確認し、個人情報を入力する場合の法的整理を行います(出典: 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」、2023年)。

権限・監査ログ・著作権情報を記事単位で残します

外部ライターは担当記事だけ閲覧・編集でき、公開権限は与えないなど、役割と対象範囲を分けます。編集者が変更した箇所、承認者、承認日時、差し戻し理由、使用した出典、画像の許諾、AI利用の有無を記事の履歴に残すと、公開後の説明責任を果たしやすくなります。MFA、SSO、IP制限、監査ログ、暗号化バックアップ、復元演習、脆弱性対応、委託先の事故報告も要件に含めます。

文化庁は、AIと著作権について、生成AIの開発者、サービス事業者、クリエイターなどの関係者が適切にコミュニケーションを取ることが重要だと整理しています。記事制作管理システムでは、出典URL、引用範囲、画像の利用許諾、ライターとの契約条件、AI出力の確認者を記録できる項目を設け、権利確認を担当者の記憶に依存させないことが大切です(出典: 文化庁「AIと著作権について」、2024年以降の資料)。

また、経済産業省は2026年3月31日にAI事業者ガイドライン第1.2版を公開し、AIの利用目的、リスク管理、説明責任、監視・是正などを扱っています。AI機能を含む委託では、AIの出力をそのまま公開しないこと、誤りや権利侵害が分かったときの停止・修正手順、問い合わせ窓口、ログの保存範囲を契約と運用手順へ落とし込みます(出典: 経済産業省「AI事業者ガイドライン 第1.2版」、2026年)。

よくある質問(FAQ)

記事制作管理システムのよくある質問を確認するイメージ

記事制作管理システムの発注では、開発費、期間、既存CMSとの違い、AIや外注先の扱いについて質問が多くなります。ここでは、発注前に社内で回答をそろえておきたい疑問へ直接答えます。

記事制作管理システムの開発費用はいくらですか?

SaaSや既存CMSの設定なら初期0万円から300万円程度、カスタマイズなら300万円から1,000万円程度、小規模スクラッチなら300万円から800万円程度が検討用の推定レンジです。独自の承認、複数媒体、外部ユーザー、API、移行、SSOなどを含むと上振れするため、RFPで範囲をそろえ、初期費用だけでなく5年間のTCOで比較します。

既存のWordPressやCMSを使い続けるべきですか?

公開機能が足りないのか、制作進行と承認が管理できないのかを分けて判断します。既存CMSの公開機能を活かし、記事台帳・担当・承認・差し戻しだけを連携する方法もあります。複数媒体への配信や独自権限が重要ならヘッドレスCMSや個別開発を候補にし、業務シナリオを実際に試してから決定します。

記事制作会社や外部ライターの管理も委託できますか?

委託できますが、記事制作の委託とシステム開発の委託は契約と責任範囲を分けて考えます。外部ライターには担当記事だけの期限付き権限を与え、編集者・監修者・法務・公開担当の承認を経なければ公開できない設計にします。原稿の著作権、画像の利用許諾、秘密保持、AI利用の可否、納品後の修正責任も契約書とシステムの記録に残します。

発注してから稼働までどれくらいかかりますか?

既存CMSの設定なら数日から1か月程度、パッケージやヘッドレスCMSのカスタマイズなら2か月から6か月程度、小規模スクラッチなら3か月から6か月程度が推定目安です。大規模なデータ移行、複数媒体、基盤刷新、セキュリティ要件を含む場合は12か月以上になることもあります。期間を短くするには、MVPの範囲、意思決定者、移行対象、検収条件を早く確定させることが重要です。

まとめ

記事制作管理システム発注の要点をまとめるイメージ

記事制作管理システムの発注・外注で大切なのは、最初に製品や開発会社を決めることではありません。企画、執筆、編集、監修、法務確認、入稿、公開、効果測定のどこで手戻りが起きているかを可視化し、必要な承認、権限、データ、公開先、運用体制を整理することです。

発注前は業務とRFPを整理します

発注前には、月間記事数、関係者数、承認段階、外部ユーザー数、公開媒体数、既存CMS、移行件数、必要な連携、セキュリティ条件、導入後の運用者を整理します。RFPでは、機能要件と非機能要件、対象外、納品物、検収条件、契約終了時のデータ返却を明記し、候補会社から同じ条件で提案を受けます。

見積・契約・保守まで含めて委託先を選びます

費用は、公開料金と受託開発の推定レンジを分け、要件定義、実装、移行、テスト、教育、保守、SaaSやクラウドの利用料を含む5年間のTCOで比較します。請負と準委任の違い、追加変更の扱い、障害対応、AI入力データの扱い、著作権やデータ返却を契約で確認すると、導入後の想定外を減らせます。記事制作の現場を理解し、運用改善まで伴走できる委託先を選ぶことが、システムを使い続けるための条件です。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。