Couchbaseのシステム開発の完全ガイド

Couchbaseのシステム開発は、JSONの柔軟なデータ、必要な機能、運用方式を組み合わせて設計すると、顧客接点やリアルタイム業務を支える基盤になります。

代表的な運用の形は3つあり、どれを選ぶかは業務の要件と運用体制で決まります。

▼関連記事一覧
・Couchbaseのシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・Couchbaseのシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・Couchbaseのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・Couchbaseのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

Couchbaseのシステムの全体像

Couchbaseは、項目の増減があるJSONドキュメントを単位に業務データを管理するデータベースです。

キー指定の高速な読み書きに加えて、SQLに近いSQL++で検索や集計もできます。

アプリ開発とデータ活用を同じ基盤で考えられる点が特徴です。

JSONドキュメントを業務データに使う仕組み

顧客プロフィール、商品カタログ、セッション、コンテンツ、IoTイベントは、属性が異なる場合があります。このように属性がばらつくデータを行と列に細かく分けるほど、変更時の影響範囲は広がります。

  • 関連情報をまとめる:画面やAPIが使う形に近い状態で保存できます。
  • 読み取りを減らす:顧客の基本情報、会員ランク、利用チャネル別設定を一つにまとめられます。
  • スキーマを合意する:必須項目、バージョン、更新者、保持期間の最低限のルールを、先に決めておく必要があります。

JSONは自由に登録できるからこそ、開発の初めにデータのルールを決めておく必要があります。ルールがないと、データ形式がばらばらになり、検索や移行が難しくなります。

サービス分離と段階的なスケール

Couchbaseは、処理の種類に応じてサービスを組み合わせ、Multi-Dimensional Scalingでサービスごとに個別に拡張できます。

  • Data Service:Key-Valueの読み書きを担います。
  • Query・Index Service:SQL++による検索とインデックスの処理を受け持ちます。
  • Search・Analytics Service:全文・地理・ベクトル検索や長時間の集計に使われます。
  • Eventing Service:データ変更を起点に処理します。XDCRは別データセンターへ複製します。バックアップの計画も欠かせません。

クエリが増えたときはQuery Service、検索の負荷が増えたときはSearch Serviceを拡張できます。

バックアップも含めて、負荷に応じた構成を検討します。

会員情報の読み書きや商品検索を分けておくと、レコメンド集計や外部通知を後から足しても、基盤全体を増強せずに済みます。

サービスを分けるほど、監視と設計で確認する項目は増えます。そのため、初期からすべてを有効にせず、必要なサービスから始める判断が求められます。

ポイント

データの形式ルールを先に決め、必要なサービスだけを組み合わせて始めると、後の設計変更を抑えられます。主系のデータベースもこの段階で決めておくと、判断の手戻りが減ります。

Couchbaseの概要

Couchbaseは、柔軟なJSONデータモデル、高速なキー・バリューアクセス、SQL++検索を一体化したNoSQLデータベースです。

複数のサービスを組み合わせれば、キャッシュに限らず、顧客接点やリアルタイム業務を支えるデータ基盤として使えます。

RDB、Redis、MongoDBとの使い分け

データの構造や必要な機能に合わせて、データベースごとの役割を見極めます。

  • RDB:多表JOIN、厳密な会計仕訳、強い整合性を優先する業務に適する場合があります。
  • Redis:短時間のキャッシュや一時的な状態管理に向いています。
  • MongoDB:ドキュメント指向DBとして比較対象になります。
  • Couchbase:顧客接点やリアルタイム業務などで活用できます。

製品の役割は、検索や分析、イベント処理の観点で評価します。モバイル同期と運用体制も含めて見ます。

活用先としては、顧客ポータルや商品・コンテンツ配信が挙げられます。

リアルタイムの在庫や価格、パーソナライズにも使えます。

通信・金融・小売の顧客接点や、現場端末のオフライン業務も候補になります。

アクセスが集中する領域や属性変更の多い領域から切り出せば、効果を確かめられます。

採用を急がない方がよいケース

業務の条件によっては、Couchbaseの単独採用を急がず、業務要件を確かめ直す必要があります。

  • データ管理が未整理:業務ルールやデータ責任者が定まらないと、自由度が混乱を広げるおそれがあります。
  • 厳密な一括処理が必要:複数明細にまたがる集計と、単一トランザクションの保証が必要な業務です。

整合性に注意が必要な業務では、RDBを主系に残し、検索・キャッシュ・顧客接点にCouchbaseを使う方法があります。また、対象の業務だけを段階的に移す方法もあります。

採用を判断するときは、ピーク時の読み書き量と許容遅延、データの関係性を確かめます。さらに、障害時の業務継続と運用能力も見ておきます。

Couchbaseのシステムの種類

Capella、Couchbase Server、モバイル・エッジの3つの構成を特徴とともに並べた図解。
運用を任せる形から端末同期まで、選択肢の幅を見渡せます。

Couchbaseの選択肢は、運用場所と利用する機能の組み合わせで考えます。代表的な構成は次の3つです。

  • Capella:運用作業をサービス側に任せるフルマネージド型です。
  • Couchbase Server:自社クラウド、オンプレミス、Kubernetesのいずれでも動かせます。
  • モバイル・エッジ:Couchbase LiteとSync Gatewayを組み合わせて使う構成です。

Capellaで始めるマネージド型

CapellaはDBaaSです。

データベース専門の運用担当者が少なく、短期間で検証を始めたい場合に向いています。

  • 運用作業:クラスタ作成、パッチ適用、バックアップを、サービス側に任せられます。
  • 料金:ノード数、vCPU、RAM、ストレージ、リージョンなどで変わります。
  • 接続と保管:遅延、プライベート接続、リージョン、データの保管場所を見ておく必要があります。
  • セキュリティ:認証、暗号化、監査ログ、鍵管理を、要件の一部として決めておきます。

サポートやバックアップ、データ転送も料金に影響します。そのため、月額を判断するときは、ノード料金以外の費用も合わせて見ます。

個人情報や規制対象のデータを扱う場合は、自社の権限設計と委託先の管理もあわせて決めておきます。

Serverを自社クラウド・オンプレミスで運用する方式

運用環境を細かく制御したい場合は、自社環境のCouchbase Serverが候補になります。

  • 制御できる範囲:ネットワーク、データ配置、監視、更新手順を調整できます。
  • 適する要件:認証・バックアップ基盤との統合、データ主権や接続制約への対応が求められる場合です。
  • 運用負担:障害、証明書、容量、インデックス、復元、夜間対応を担います。

障害対応などの担当範囲と対応時間は、自社または委託先の運用担当者が決めます。

Kubernetesを使っても、コンテナ化するだけでは運用は楽になりません。そのため、自動復旧や設定変更の承認者、正とする状態を決め、Infrastructure as Codeや手順に落とし込みます。

モバイル・エッジのオフラインファースト構成

現場端末が常にオンラインとは限らない業務では、オフライン構成が候補になります。

  • 構成:Couchbase Liteを端末に置き、Sync Gatewayでサーバーと同期します。
  • 対象業務:倉庫、店舗、訪問業務、設備点検などが候補です。
  • 競合・安全性:複数端末の変更競合、端末の失効、ローカル暗号化を設計に含めます。

通信が途切れても作業を続けられ、回線が復旧すると変更を同期できます。同期の対象も絞り込みます。

同期時に採用する変更、通知先、取り消しの記録方法まで決めておくことが欠かせません。

ポイント

運用の場所と使う機能の組み合わせで、形を選びます。運用担当者が少ないならCapella、自社で細かく制御したいならServerが候補です。

Couchbaseのシステム開発の進め方

要件定義、データモデル設計とPoC、実装・移行・運用設計の順に進む開発工程図。
初期の業務整理から移行と運用まで、検討の順序がつながります。

開発は、製品を選ぶ前に業務とデータを洗い出すところから始めます。データモデルとアクセスパターンは、性能や保守性に直結します。

画面の一覧に加えて、読み書きの頻度とピーク時の負荷を確かめます。

検索条件や保持期間、障害時の動作も、初期の段階で確認しておきます。

▶ 詳細はこちら:Couchbaseのシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

要件定義と対象業務の切り出し

現行のRDBやキャッシュ、ファイルを一覧にして、Couchbaseが担う役割を分けます。外部API、マスタ、履歴も同じ表に加えます。

  • 主系データ:Couchbaseを主要な保存先とするデータです。
  • 検索・配信用データ:検索や配信に使うデータです。
  • 再生成できるデータ:キャッシュとして扱えるデータです。

全社の基幹データを一度に移すより、会員ポータルや商品検索など効果を測りやすい業務から始めるほうが、リスクを抑えられます。

非機能要件は数値で定めます。同時接続数、P95・P99の応答時間、停止許容時間を確認します。RTO、RPO、データ増加量も数値で押さえます。

障害時の縮退方法と、個人情報の扱いや監査証跡も、要件定義で決めておきます。保管地域や委託先の権限も、同じ段階で決めます。

データモデル設計とPoC

常に一緒に表示され、同じ単位で更新される情報は、一つのドキュメントにまとめやすい設計です。

件数が際限なく増える明細や、複数の業務が共通で参照するマスタは、別に分けることを検討します。そのうえで、TTLやインデックス、削除の扱いを設計します。履歴とバージョンの扱いも決めておきます。

PoCでは、本番に近いJSONのサイズやインデックス、クエリを用意し、同時接続数も本番に近づけて試します。

合否の判断は、平均レイテンシだけでなくP99も含めて行います。

  • 性能:P99、リージョン間遅延、検索結果の鮮度が測定の対象です。
  • 障害対応:フェイルオーバーと、バックアップからの復元を実際に試します。
  • データ処理:再試行時に重複や競合が出ないかを確かめます。

PoCの記録には、採用の理由に加えて、不採用とする条件や本番移行時の課題も残しておきます。

実装・移行・リリース・運用設計

実装から運用までを一連の流れとして設計し、アプリとデータベースのどちらが何を担うかをそろえます。

  1. API、SDK、SQL++、インデックス、認証、監視を、一体のものとして管理する。
  2. 通常の動作に加えて、ノード障害、検索遅延、同期競合、バックアップ復元を試す。
  3. 移行時は、バックフィル、変更連携、照合、段階切替、ロールバックを設計する。
  4. 発注者の担当者、データ責任者、移行期限、確認方法を決める。

DBだけを納品対象にすると、再試行やタイムアウトの処理が抜けやすくなります。接続プールや障害時のエラー処理も、見落とされやすい項目です。

表記の揺れや欠損データの修正は、開発会社だけでは完結しない場合があります。

移行を最後の作業として追い込まれないよう、発注者側の関係者と計画を早めに決めておきます。

ポイント

要件定義の段階でデータの役割とアクセス頻度を洗い出しておくと、設計と移行の手戻りを減らせます。効果を測りやすい業務から始めるかどうかも、この段階で判断します。

設計・性能・セキュリティで失敗しないポイント

性能は製品名だけで決まらず、ドキュメントの粒度やアクセス、インデックスで変わります。さらに、サービスの配置やネットワーク、接続方法によっても変わります。

設計書と負荷試験の結果は、開発会社や運用担当者が説明できる状態にしておくことが重要です。

JSONデータモデルとインデックスのルール

ドキュメントやインデックスは、画面やAPIが読み取る単位と更新の頻度を基準に設計します。

  • まとめ方:更新頻度の違う情報を一つにまとめると、競合や書き込み量が増えてしまいます。
  • 分割:細かく分けすぎると、一つの画面に必要な情報を集めるのに複数回の読み取りが要ります。
  • データ規則:チームが増えても品質を保てるよう、キー命名、テナント分離、必須項目、列挙値、日時形式、削除方式を決めておきます。
  • インデックス:検索条件と並び順を確かめ、負荷や容量も踏まえて必要な分だけ作ります。

分割や索引を決めるときは、画面やAPIの読み取り要件と、クエリプランを突き合わせます。

SQL++はRDBの知識を活かしやすい言語です。一方で、JSONの配列やネストの扱いは、NULLや欠損項目とあわせて個別に検証する必要があります。

可用性・バックアップ・災害復旧

高可用性は、複製があるかどうかだけで判断せず、復旧目標に沿って設計と試験を行います。

  • 冗長化:ノード障害時の切り替え、複数ゾーン、別リージョンへのXDCRを決めます。
  • バックアップ:保持期間、論理復元、世代管理、復元後の照合を、どう行うか設計します。
  • 復旧目標:RTOは復旧にかかる時間、RPOは許容できるデータ損失量です。

誤って更新や削除をした内容も複製されるため、複製があるだけでは安全とは限りません。

RTO30分・RPO5分の構成では、復旧手順を30分以内に実際に実行できるかを試験します。

試験結果も手順書もない高可用性構成は、費用をかけても安心感にとどまるため、注意が必要です。

セキュリティとAI検索の最新動向

CapellaのTrust Centerには監査・認証情報が公開されています(出典: Couchbase Capella Trust Center、2026年)。

  • 公開情報:SOC 2 Type II、ISO/IEC 27001・27017・27018、PCI DSS 4.0などです。
  • 利用者側の管理:RBAC、最小権限、TLS、暗号化、鍵、監査ログを、自社の規程に合わせて設定します。
  • Server 8.0:2025年10月提供版で、2種のベクトルインデックスが追加されました。
  • AI検索の準備:データの品質や権限、更新頻度、評価指標を、事前に整えます。

認証の機能があっても、利用者側の責任がなくなるわけではありません。個人情報のマスキングや、委託先アカウントの洗い出しも必要です。

Couchbase Server 8.0は2025年10月に提供されました(出典: Couchbase Server 8.0 What’s New、2025年)。

Hyperscale Vector IndexとComposite Vector Indexにより、AI検索やRAGのベクトルデータを運用データと同じ基盤で扱えます。このため、AI検索やRAGの活用の選択肢も広がりました。

元データやマスタが不正確なら、回答の品質は安定しません。そのため、権限フィルター、更新頻度、評価指標も導入前に整えておきます。

Couchbaseのシステム開発の費用相場

小規模PoC、既存システムへの組み込み、大規模な本番対応の費用範囲を横棒で比較した図。
対象範囲が広がるにつれて、想定する予算帯も上がります。

費用は、DBの利用料だけでなく、要件定義やモデル設計、アプリ開発を合わせて考えます。さらに、データ移行や負荷試験、監視、保守の費用も含めて合計します。

公式の料金は、クラスタを利用するための条件であって、業務システム一式の開発費ではありません。

▶ 詳細はこちら:Couchbaseのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

Capellaの公開料金と月額試算

2026年に確認できる公式料金では、Freeは1ノード・8GBです(出典: Couchbase公式料金表、2026年)。

  • 開始価格:Basicは毎時0.15ドル、Developer Proは0.35ドル、Enterpriseは0.49ドルからです。
  • 3ノード・4vCPU・16GB・80GB:各プラン毎時0.98、1.23、1.72ドルです。
  • 同構成の月額:30日を720時間・1ドル150円換算で約10.6万円、13.3万円、18.6万円です。
  • 3ノード・8vCPU・32GB・160GB:各プラン毎時2.33、2.92、4.08ドルです。
  • 同構成の月額:同じ換算条件で約25.2万円、31.5万円、44.1万円です。

開始価格と試算額は、最小構成の目安です。リージョンやノードのサイズによって変わります。

月額には、為替や実稼働時間を含めていません。バックアップやデータ転送、アプリ用の計算資源も、別に見積もる必要があります。

開発・移行・保守の費用相場

開発・移行の費用と期間は、規模と対象範囲によって変わります。

  • 小規模PoC:300万〜800万円、1〜3か月。想定するのは、モデル数個、API、クラスタ、試験、移行サンプルです。
  • 既存システムへの組み込み:800万〜2,000万円、3〜6か月が目安です。
  • 大規模な本番対応:2,000万〜1億円以上、6〜18か月になることがあります。

無料枠を使う場合も、設計や実装、専門人材の費用は発生します。組み込みでは、認証、API、SQL++の対応が必要です。検索や既存連携も関わり、テストと監視も含まれます。

大規模な費用の目安は、本番移行と高可用性を含む場合のものです。さらに、複数リージョンや24時間運用、データクレンジングも含めた数字です。

一律の価格ではありません。一般的な工程と、Couchbase固有の設計・移行作業をもとに算出した予算案です。

見落としやすいランニングコスト

継続費は、サービス利用料だけでなく、周辺の運用費用も含めて見積もります。

  • 基盤費:CapellaまたはServer、クラウド、ストレージ、バックアップ、転送にかかる費用です。
  • 運用費:監視やログ、サポート、障害対応、更新、運用教育の費用です。
  • 年間保守:初期開発費の15〜20%程度を仮置きする方法があります。
  • 見積項目:単価、工数、前提、対象外作業を分けて明記してもらいます。

Capellaは時間課金ですが、停止後もストレージやバックアップの料金が残る場合があります。

製品サポートとアプリ保守、監視に重複がないか確認します。移行後の追加改修の範囲も、あわせて確かめます。

ライセンスやクラウド、開発の費用を分けて見積もると、各社の比較がしやすくなります。移行や試験、保守の費用も、別々に示してもらいます。

ポイント

費用は、DBの利用料だけでなく、開発・移行・試験・保守を合わせて見積もります。同じ範囲で比べなければ、金額の差は判断材料になりません。

Couchbaseの開発会社・ベンダーの選び方

発注先は、対象業務に必要な役割を担えるかどうかで選びます。

製品アーキテクチャの技術支援と国内の要件定義・開発は、同じ会社がどちらも得意とは限りません。移行や性能評価、24時間運用についても、同じ会社が得意とは限りません。

製品ベンダーの支援と、アプリ開発会社が担う範囲は、分けて確認します。

成果物による技術力の確認

導入実績の件数だけでは判断しにくいため、設計と試験の成果物を確認します。

  • 設計:データモデル図、インデックス設計、SQL++の例が見どころです。
  • 性能:負荷試験の条件と、P95・P99の測定結果を見せてもらいます。
  • 運用・移行:切り替えや復元の手順と、データ照合の方法を見ます。

守秘義務で実物を見られない場合でも、匿名のサンプルや説明資料で設計の考え方は確かめられます。

移行の経験については、移行後のデータの整合性をどう確認したかも尋ねます。

モバイルで使う場合は、オフライン同期と競合解決の方法も確かめます。

AI検索では、ベクトル検索の評価や権限フィルター、更新処理まで提案できるかを見ます。

見積・体制・契約範囲の比較

見積もりは、工程と対象範囲を分けて比べます。一式の金額だけでは、中身を比べられません。

  • 工程:要件定義、設計、実装、試験、移行、教育、保守に分けて示してもらいます。
  • 前提:固定価格の場合は、前提条件と変更の管理方法を確かめます。
  • 対象外:移行、負荷試験、監視、文書が含まれるかどうか。

見積もりが安くても、移行や試験が対象外なら、後から費用が加わることがあります。

プロジェクト責任者と設計担当の氏名、稼働率を確認します。

アプリや移行、運用の担当者についても、同じ項目を示してもらいます。

納品物には、ソースやモデル、インデックス定義を含めます。SQL++やInfrastructure as Code、試験結果も対象にします。

復元手順や監視設定、引き継ぎ資料も対象に含めます。

契約が終わったあとに別の運用会社へ移せるよう、アカウントや設定の所有権を事前に決めておきます。

発注前に聞くべき質問

候補の会社には、設計、性能、障害時の扱いを業務要件と結び付けて質問します。

  • データ配置:主系、検索、キャッシュのうち、どこに置くかを聞きます。
  • 設計と性能:境界や想定ピーク、P99、インデックス監視について尋ねます。
  • 復旧と移行:RTO・RPO、二重書き、切り戻し方法の扱いを聞きます。

製品機能の説明だけでなく、要件や試験方法に触れた回答かどうかを見ます。

CapellaとServerの選定理由や、運用時間、障害連絡の方法を確認します。

専門担当の体制と再委託についても、あわせて確かめます。

保守終了時の引き継ぎや、見積対象外の作業についても聞きます。そのうえで、同じ要件書で複数社を比べ、設計や試験、移行の責任、運用の持続性を評価します。

▶ 詳細はこちら:Couchbaseのシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方

▶ 詳細はこちら:Couchbaseのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

ポイント

まず役割を担えるかで候補を絞り、そのあと見積もりを工程ごとに比べるのが進め方です。設計や試験の成果物を見れば、技術力の裏付けも確かめられます。

よくある質問(FAQ)

導入時は、製品機能に加えて既存データや費用を確かめます。運用とセキュリティも、導入前に押さえておく項目です。

CouchbaseはRDBを完全に置き換えられますか?

置き換えの可否は、整合性やJOIN、トランザクションによって変わります。集計や運用体制も、判断の材料になります。

顧客接点や検索から段階的に導入し、キャッシュやモバイル同期にも広げる方法があります。

RDBを主系として併用する方法も合理的です。

CapellaとServerはどちらを選ぶべきですか?

運用人材を抑えて短期間で始めたい場合は、Capellaが候補になります。

ネットワークやデータ配置、既存基盤を細かく制御したい場合は、Serverが候補です。

Serverを選ぶ場合は、障害対応や更新を担う体制が必要です。判断では、月額料金に加えて運用工数と復旧責任を合計して比べます。セキュリティ審査も、同じ比較に含めます。

小規模なCouchbaseのシステムはいくらで作れますか?

検証や小規模PoCは300万〜800万円程度、既存システムへの組み込みは800万〜2,000万円程度が目安です。

金額は、Capellaの利用料や開発、移行を含むかで変わります。試験、監視、保守を含むかでも変わります。そのため、同じ範囲で見積もりを比べます。

CouchbaseでAI検索やRAGを実装できますか?

ベクトルインデックスと検索機能を使い、RAGやレコメンドを検討できます。Couchbase Server 8.0では複数のベクトルインデックスが提供されています。

実装前に、埋め込みモデルや検索精度、更新の遅延をPoCで測定します。権限フィルターや推論費用も、同じ試験で確かめます。

まとめ

Couchbaseは、JSONの柔軟性やキー・バリューアクセス、SQL++による検索を核にした基盤です。分析やイベント処理、XDCR、モバイル同期も組み合わせられます。

顧客接点や商品・コンテンツの領域のほか、リアルタイム業務やオフライン現場にも強みがあります。ただし、複雑な会計処理などを無条件に置き換える製品ではありません。

導入判断で確認する項目

対象業務、データ量、ピーク時の読み書きを決めます。P99やRTO・RPO、移行停止時間も、導入前に定めておきます。個人情報、保管地域、バックアップの扱いも、あわせて整理します。

CapellaとServerのどちらで、どこまでを運用するかも明確にします。見積もりは、初期開発と移行、利用料を分けます。クラウドや監視・保守の費用も、別の項目にします。

PoCでは、本番に近いデータと障害シナリオを使い、採用条件と中止条件を決めます。

次に行うべきこと

導入の判断は、現状の把握から提案の比較まで、段階を踏んで進めます。

  1. 現行データとアクセスパターンを洗い出し、Couchbaseの役割を一枚にまとめる。
  2. 複数社へ相談し、モデル、性能試験、移行、運用、成果物の提案を比べる。
  3. 機能の一覧だけで比べず、自社業務を続けられる設計かどうかで選び、導入後の手戻りを抑える。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。