乗務員管理システム開発の完全ガイド

乗務員管理システムは、人員配置に関わる情報を一つにまとめて扱う業務システムです。業界によって勤務制約や運行の単位が違うため、制約・必要な機能・既存システムとの連携範囲を先に整理し、現場で使える範囲から段階的に導入します。

▼関連記事一覧
・乗務員管理システム開発の進め方
・乗務員管理システム開発でおすすめの開発会社6選と選び方
・乗務員管理システム開発の見積相場・費用
・乗務員管理システム開発の発注・外注・委託方法

乗務員管理システムの概要

乗務員管理システムは、資格・勤務・休暇・乗務実績・安全確認をまとめて管理し、法令と社内規程を満たす人員配置を支える業務システムです。

勤怠のほか、便・路線・車両・列車への割当、資格と休息の確認、給与・運行管理との連携も扱います。

一元管理するシステムの管理対象と機能の範囲

管理対象は、乗務員の基本情報、運行との紐付け、割当の確認、変更履歴に分けて整理できます。

  • 乗務員台帳:所属、勤務条件、免許・技能・機種資格、教育・審査、休暇、勤務予定・実績を一つの台帳で扱います。
  • 運行・健康情報:健康確認の記録を、便・路線・車両・列車などの運行情報と結び付けて持ちます。
  • 割当時の検知:登録の段階で、資格切れ、休息不足、同じ時間帯の二重勤務を見つけます。
  • 再割当:急な欠勤や臨時便の際、資格、拘束時間、休暇、連続勤務を見て代わりの候補者を選びます。
  • 履歴:判断の根拠と変更の経緯を残せる点が、紙や表計算ソフトとの大きな違いです。

専用システムが必要な理由

乗務員の勤務条件は複雑です。そのため、勤務制約と割当ルールを専用システムでまとめて扱います。

  • 勤務制約:日勤・夜勤・隔勤・宿泊勤務のほか、乗務・運転時間、休息期間、連続勤務を扱います。
  • 割当条件:資格、車両、便の定員を、割当の判断で同時に見ます。
  • ルールの扱い:警告、登録不可、承認必須のどれで止めるかと、監査ログを残す範囲を決めておきます。

営業所ごとに勤務パターンが違うと、表計算ソフトの修正を特定の担当者に頼りがちです。

バス・タクシー・トラックの運転者には、拘束時間や休息期間を定めた改善基準告示が適用されます。改正基準は2024年4月1日から適用されており、時間外労働の上限や業態別の拘束・休息期間も確認しておく必要があります(出典:厚生労働省「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」、2024年)。

乗務員管理システムの種類と業界別の違い

航空、バス、タクシー・トラック、鉄道の管理対象を並べた4つのパネル図。
運行単位に合わせて管理項目が分かれます。

製品を選ぶ前に、自社の業務がどのカテゴリに当たるかを整理しておきます。航空のフライト割当とバスの交番表では制約が違うため、共通部分と業界固有の部分を分けて考えます。

クラウド・パッケージ・スクラッチの違い

選定では、標準業務で足りる範囲と、独自の要件がどこまであるかを見比べます。

  • クラウド型:標準業務が多く、早く始めたい場合に候補になります。
  • パッケージ型:複雑な交番、独自帳票、運行管理との連携に、設定変更で対応します。
  • スクラッチ開発:独自規則、複数法人の統合、複雑な最適化が競争力に直結する場合の選択肢です。

クラウドは、台帳やシフト、休暇申請、基本勤怠を短期間で使い始めやすいものです。また、法改正対応やバックアップを事業者に任せられる可能性もあります。

スクラッチは自由度が高い反面、要件定義、法令改定、障害対応、担当者の引き継ぎまで自社で管理する責任が増えます。

まず既製品で業務の80%を満たせるかを確かめ、そのうえで残る20%が独自開発すべき差分かを見極めます。

航空・バス・タクシー・トラック・鉄道ごとの違い

業界によって勤務や運行の単位が違うため、管理対象は業種別に分けて整理します。

  • 航空:フライト、機種資格、訓練・審査、乗務時間、宿泊・旅費の管理と、客室・運航部門との調整
  • 航空の変更対応:便変更や欠航の際、資格を満たす代替要員を検索します。
  • バス:路線・貸切便、営業所、車両、交番表、点呼、運転日報の結び付き
  • タクシー・トラック:日勤・隔日勤務、車両稼働、乗務実績、休息、運行計画を扱います。加えて、荷主・配送先、拘束・運転記録、デジタコ連携とも結び付けます。
  • 鉄道:循環勤務、駅係員との勤務パターン、乗務区間、資格・教育履歴の考慮

AI交番とルール管理の使い分け

最適化は多くの条件から勤務案を作り、確定前に人が確認する流れで使います。

  • 勤務案の作成:AI・数理最適化が、資格、休暇希望、連続勤務、車両、便、コストなど多数の条件を扱い、案を出します。
  • 人による確認:警告・登録不可などのルールで違反を止めたうえで、管理者が違反を見つけて修正し、割当の理由を説明できる画面を用意します。

公開事例では、AIが交番案を算出するまでが約10分、人の確認や微調整を含めた確定までが最短1.5時間でした。一方で、従来の確定作業は8〜10時間です(出典:乗務員向け勤怠管理とAI交番の公開導入事例、2025年)。

これは個社の条件に左右されるため、効果を約束する数字ではありません。そのため、自社では交番作成時間、手修正件数、法令エラーを導入前後で測ります。

ポイント

方式で迷ったときは、既製品で業務のどこまでを満たせるかを先に見て、残る差分が独自開発に見合うかで決めます。業界固有の制約は、共通機能と分けて検討します。

乗務員管理システムの主な機能

日常業務、法令・安全、分析・最適化を積み重ねた3層図。
日々の運用から将来の最適化まで段階的に広がります。

機能は、日常業務、法令・安全、将来の分析・最適化の三つに分けて優先順位を付けます。そのうえで、入力した情報が台帳、勤務表、実績、給与、監査記録へどう流れるかも確かめます。

乗務員台帳と資格・教育を管理する機能

資格の期限切れを防ぐには、台帳や資格情報の登録から更新管理までを一続きに設計する必要があります。

  • 乗務員情報:氏名、所属、営業所、雇用区分、勤務条件、緊急連絡先、健康確認、面談記録の登録
  • 資格・教育履歴:免許、技能・機種・路線・車両資格、期限、訓練、審査、研修を一画面で見られるようにします。
  • 資格の更新:期限通知、資格切れの割当防止、更新承認、教育担当者への通知、変更履歴を扱う機能です。

資格の種類が増えたときに備え、担当者が設定画面から追加できる構造にしておくことも、長期運用では有効です。

乗務計画・勤怠・点呼をつなぐ機能

乗務計画に反映する変更には、休暇希望、欠勤、交代、臨時便、ダイヤ変更があります。登録の前に、次の条件を検査します。

  • 割当の整合性:同じ時間帯の重複や資格の不足がないかを確かめます。
  • 勤務時間:休息不足、拘束時間の超過、連続勤務が生じていないかを見ます。
  • 違反時の処理:重大度に応じて、警告、登録不可、責任者承認を使い分けます。

勤怠と乗務実績の面では、出退勤、拘束、運転・乗務時間を集計します。残業、休息、宿泊や隔勤も集計対象に含めます。

点呼、アルコール検査、健康状態の確認を連携させれば、安全と労務で同じ内容を二度入力する手間を減らせます。あわせて、運転日報、ヒヤリハット、事故・インシデント記録も同じ流れに含めます。

本人向けポータルと外部連携の機能

本人が使う確認・申請の機能と、社内外システムとの連携条件は、合わせて決めておきます。

  • 本人向けポータル:スマートフォンやタブレットから、勤務予定、休暇申請、変更、通知、研修を見られます。
  • 現場での利用:端末を持たない人、通信圏外、端末紛失への備えを用意し、確認と申請は短い操作で済むようにします。
  • 外部連携:運行・運航、車両、給与、人事、会計、ID、地図、通知、デジタコ、点呼機器、BIなどと接続します。
  • 連携運用:API・CSV・バッチから方式を選んだうえで、マスタの正本、再送、重複防止、未連携一覧、手動切替の扱いを決めます。

乗務員管理システム開発・導入の進め方

要件定義、MVP、テスト・教育・段階展開の順に進む導入フロー。
小さな範囲で試してから展開を進めます。

まず、情報の作成者、承認条件、給与・運行へ渡す結果を明らかにします。Excelの画面をそのままWeb化することからは始めません。そのうえで、全営業所・全機能を一度に対象にせず、1営業所のパイロットを経てから段階的に展開します。

要件定義での業務と制約条件の整理

要件定義では、対象範囲、例外業務、制約の扱いを現場と確かめながら整理します。

  • 対象範囲:業態、職種、拠点・人数、勤務パターン、既存システムを決めます。航空・陸上輸送の別や、客室・整備・駅係員を含むかどうかも確定させます。
  • 例外業務:欠勤、臨時便、ダイヤや休暇の変更、資格失効、通信断、事故時の対応について、現場から聞き取ります。
  • 制約の扱い:警告・登録拒否・責任者承認に分けたうえで、安全・法令条件、資格による割当の可否、尊重すべき休暇希望などを決めます。

MVPと設計・開発の範囲

MVPで扱う日常機能を定めたうえで、後続の開発と情報保護の範囲を設計します。

  • MVPの対象:乗務員台帳、勤務表、勤怠実績、資格期限、本人の予定確認を優先的に含めます。
  • 第2段階の候補:AI最適化、詳細BI、全拠点統合は、効果測定の後に回す方法もあります。MVPで現場の仮説を早く検証できます。
  • システム設計:画面、データモデル、権限、監査ログ、API・CSV、バックアップ、障害時の手動運用を決めます。
  • 情報管理:健康・資格情報の閲覧範囲を、本人、営業所管理者、人事、安全担当などで分けます。

個人情報保護委員会が示す安全管理の考え方を確認したうえで、委託先・再委託先の監督、保存期間、削除手順を要件に入れます。

テスト・教育・段階展開による定着

例外を含むテストから始め、教育、旧運用との比較、効果測定へと順に進めます。

  1. 通常勤務のほか、欠勤時の再割当、臨時便、車両変更、資格失効、休息不足、日またぎ勤務を一通りテストします。
  2. 同時更新、通信断、連携先の停止、誤った資格登録、過去データの訂正を試します。そのうえで、再計算後も変更前の監査ログが残っているかを確かめます。
  3. 管理者向けの設定・承認と、乗務員向けの予定確認・申請とで、教育の内容を分けます。
  4. 旧運用を一定期間残し、勤務表の差異と、交番確定時間・手修正・法令エラー・資格期限の見落とし・問い合わせ・残業の偏り・伝達時間を測ります。

▶ 詳細はこちら:乗務員管理システム開発の進め方

ポイント

迷ったときは、全拠点に一度に広げず、まず1営業所で試して結果を見てから範囲を決めます。試験の結果は、交番確定時間や手修正件数など、導入前と比べられる数字で残します。

乗務員管理システムの費用相場と見積もりの内訳

専用システムの公開統計は多くありません。そのため、2026年時点の目安は、一般的な業務システム、輸送業向けサービスの公開料金、類似案件の工数から整理しています。

価格は、乗務員・営業所数、法令ルール、連携によって変わります。そのほか、移行、24時間運用、モバイル端末の有無によっても変わります。初期費用だけでなく、3年間の総保有コストで比べます。

導入パターン別の費用目安

方式や対象の規模によって、初期費用、月額費用、導入期間は異なります。

  • 既製SaaS:初期10万〜100万円、月額2万〜20万円程度です。
  • カスタマイズ付きパッケージ:初期100万〜500万円、月額・保守5万〜30万円、期間2〜6か月が目安です。
  • 1営業所のMVP開発:スクラッチ開発で300万〜800万円です。
  • 複数拠点の中規模開発:運行・点呼・給与連携を含み、800万〜2,000万円程度と推定されます。
  • 基幹刷新:複数法人、複雑な最適化、24時間運用を含むと1,500万〜5,000万円以上になる場合があります。

公開料金表には、75名・1拠点の場合で初期設定11万円、月額5万7,750円という例があります(出典:輸送業向けクラウドサービスの公開料金表、2025年)。これは特定製品全体の平均ではなく、標準機能の参考値です。

見積書で確認する費用項目

作業と運用の区分を分けたうえで、後から追加費用が出やすい箇所も見積書で確かめます。

  • 要件・設計:要件定義、業務設計、画面・権限設計を、それぞれ別の項目にします。
  • 開発:アプリ開発と、交番・最適化ロジックを別々に見積もります。
  • 導入:API・CSV連携、移行、テスト、教育、プロジェクト管理を項目として挙げます。
  • 運用:クラウド、端末、保守を含めます。

「一式」とまとめた見積もりでは、連携、帳票変更、法令改定、追加の移行費が後から膨らむおそれがあります。

人月単価の公開目安は、プログラマが月40万〜60万円、システムエンジニアが月60万〜100万円です。プロジェクトマネージャーや上流担当は月80万〜130万円程度です。

ただし、金額は役割、地域、専門性、契約形態によって変わります。そのため、単価だけで比べず、法令や運行業務を理解する担当者が何人月入るかも確かめます。

3年TCOで比較する方法

3年TCOでは、初期費用から運用費、導入効果、安全面まで含めて比較します。

  • 3年間の費用:初期開発費と36か月分の利用料・クラウド・保守に、端末、通信、教育、移行、法令改定、追加改修、障害対応を加えます。
  • 料金変動:月額が安くても、API連携や人数追加の従量課金によって、総額が逆転する可能性があります。
  • 費用対効果:交番作成時間、管理者の残業、資格期限の見落とし、電話連絡、給与計算の修正を金額または時間で見積もります。
  • 安全・法令遵守:売上の増加だけで測らず、事故・行政対応・監査で必要な記録を残せる価値も含めます。

▶ 詳細はこちら:乗務員管理システム開発の見積相場・費用

ポイント

費用は初期価格だけでなく、3年間の総保有コストで比べます。見積書は、導入と運用の費用が項目ごとに分かれているかを見て、後から出やすい追加費用を先に洗い出します。

乗務員管理システムの開発会社・サービスの選び方

知名度や画面の見た目だけで選ぶのではなく、航空・道路・鉄道のどの業界に詳しいかを確かめます。

台帳・勤怠・交番・点呼・最適化のうち、どれが得意か、連携方法はどうかを比べます。評価の軸は、導入企業の数の多さではなく、自社の制約を理解し、導入後も設定や運用を支えられるかです。

業界・業務の実績

実績が自社とどれだけ似ているかを確かめ、デモは自社のKPIに照らして評価します。

  • 類似実績:「交通業界」での実績があるかどうかに加えて、業態、乗務員数、拠点数、勤務パターン、既存連携の経験を見ます。
  • 効果の前提:公開事例のAI交番案は約10分、人の確認込みで最短1.5時間でした。採用条件と運用体制も確かめ、自社KPIに置き換えます。
  • デモの確認:資格不足、欠勤者の差し替え、臨時便、ルール変更、AI・自動割付の修正、修正理由・承認履歴を試します。

連携・セキュリティ・保守体制の評価

連携条件と情報管理策は、提案書や契約書で確かめます。

  • 連携条件:連携先ごとの項目、更新頻度、再送、障害時の責任分担を、運行・運航、給与、人事、点呼、デジタコ、ID管理などについて確認します。
  • セキュリティ対策:多要素認証、最小権限、暗号化、監査ログ、脆弱性対応、バックアップ・復旧訓練、再委託先管理を、提案書と契約書の両方で見ます。

API仕様が変わったときの対応者も決めておきます。既存システムを残す場合は、マスタの正本とデータの所有権を契約書に記しておきます。

IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2025」は、組織向けの脅威として、ランサム攻撃、委託先を狙う攻撃、脆弱性を突く攻撃、内部不正を挙げています(出典:IPA「情報セキュリティ10大脅威 2025」、2025年)。

導入後の保守と法令改定への対応

変更対応の範囲、引き継ぎ、継続改善の仕組みは、導入の前に決めておきます。

  • 変更とサポート:変更時に、自社で行う設定と開発会社への依頼範囲を分けておきます。
  • 引き継ぎ:ソースコード、設定、データ定義、API・テスト仕様、運用手順書の引き渡し条件を決めます。属人化を減らすため、変更履歴と権限も管理します。
  • 継続改善:月ごとの問い合わせを集計し、手修正が多い勤務パターンや通知の遅れを直していきます。

保守の対象は、勤務パターン、組織、資格です。法令や機器、端末、連携先も対象に含まれます。あわせて、受付時間、復旧目標、法令改定時の調査・改修、追加開発の単価を確認します。

▶ 詳細はこちら:乗務員管理システム開発でおすすめの開発会社6選と選び方

ポイント

開発会社は、自社と近い業態や勤務パターンでの実績があるかを軸に絞り込み、導入後の設定と保守まで任せられるかで判断します。

乗務員管理システムの発注・外注・委託での確認事項

発注の前には、業務の前提をRFPにまとめておきます。RFPには、対象の業態、人数・拠点、勤務パターン、資格・法令を記載します。加えて、連携、端末、可用性、移行、保守、検収基準も書き込みます。

RFPに書くべき項目

RFPでは、業務と運用の条件を明らかにします。

  • 対象と業務:乗務員・拠点、日次と月次のフロー、勤務パターンを書きます。
  • 法令と安全:社内規程、資格・教育、臨時変更、点呼・安全記録を、記載の対象に含めます。
  • システム運用:連携、移行件数、権限、保存期間、監査ログ、稼働時間、バックアップを記します。
  • 障害対応:手動運用を含め、障害時にどう動くかの手順を示します。

未確定の事項は「提案で確認したい事項」として分け、候補者の知見も比較します。

契約では、データ所有権、コードと設定の引き渡し、再委託、秘密保持、SLAを確かめます。加えて、障害連絡、検収、追加改修の単価、終了時の返却・消去も確認します。

クラウドの場合は、保存地域、バックアップ、アカウント管理、ログの保管期間、サービス終了時の移行方法も対象になります。

提案の比較と検収条件

同じ業務条件で提案を比べ、検収基準は業務の結果とパイロットで確かめます。

  • 保守性:勤務制約を変えるとき、設定だけで済むか改修が要るかを見ます。
  • デモ:同じ勤務パターンで、連携の再送、通信断からの復旧、資格失効の拒否を試します。
  • 割付と拡張:AI案の修正と説明、営業所追加の設定を確かめます。
  • 見積もり:各社に同じ前提、移行件数、連携範囲を示します。

検収は業務の結果で定めます。たとえば、資格不足の割当が拒否されること、休息不足時に承認が求められること、給与連携の時間が一致することを確認します。

検収条件には、通信断の後に未送信データが再送されること、ログで変更者と時刻を追えることも含めます。パイロットに合格してから、全社展開に進みます。

▶ 詳細はこちら:乗務員管理システム開発の発注・外注・委託方法

乗務員管理システム導入でよくある失敗と対策

失敗は性能だけでなく、業務整理や運用設計の不足からも起きます。例外処理、データ品質、法令解釈、導入後の教育が足りないと、稼働後の手戻りにつながります。

現場での不使用とExcelへの逆戻り

入力の手間が多い、スマートフォンで見づらい、通知が遅れる、例外時に操作できない、といった状態があると、乗務員は電話や紙に戻ってしまいます。

現場担当者と乗務員に実際の端末で操作してもらい、画面をどの程度使うかを確かめます。入力は一度で済むようにし、既存データも再利用します。通信できない場合に備えて、代替手順も用意しておきます。

法令チェックや連携の機能不全

法令ルールと連携データは、項目、適用時期、例外処理を明確にして設計します。規程の文章のままでは条件漏れや誤判定が起きやすいため、次の四つの面で整理します。

  • ルールの実装:規程の文章を、休息、拘束、運転・乗務時間、連続勤務、資格、承認のデータ項目とテストに分けます。
  • 適用時期:変更日と適用範囲を管理し、過去の実績に旧ルールを使うのか、未来の勤務だけ新ルールにするのかを決めます。
  • 連携データ:社員番号、営業所コード、勤務種別、時刻の定義を確かめるほか、コード変換表とデータ品質も点検対象です。
  • 例外対応:失敗したデータを担当者が一覧から修正できるようにします。全自動よりも、人が例外を確認するほうが安全な場合もあります。

ポイント

導入後の手戻りは、例外処理と法令ルールの設計が後回しになったときに起きがちです。本番の前に、例外を含むテストと実端末での操作を確かめておくことが近道です。

よくある質問

導入の判断は、業界や拠点数に加えて、法令、資格、既存連携、現場の使い方で左右されます。

乗務員管理システムはSaaSとスクラッチ開発のどちらがよいですか?

標準的な台帳・シフト・申請を早く導入するならSaaS、独自規則や複雑な連携が競争力に直結するならスクラッチが向きます。

既製品で満たせる要件を確かめたうえで、独自の部分だけを設定変更や追加開発で補う方法もあります。

乗務員管理システムの開発費用はいくらですか?

標準クラウドは、初期10万〜100万円、月額2万〜20万円程度です。カスタマイズや連携を含めると、初期費は100万〜500万円以上になります。

複数拠点のスクラッチは800万〜2,000万円程度で、大規模な基幹刷新は1,500万〜5,000万円以上になる場合があります。

要件、移行、連携、保守を分けて見積もり、3年TCOで比べます。

対応は可能です。ただし、契約と設計で責任の範囲を明確にしておく必要があります。法令や社内規程は、設定値として管理します。

適用開始日、対象業態、過去データの扱い、テストとリリースの手順を決めておきます。

バス・タクシー・トラックでは、2024年4月適用の改善基準告示を前提に、最新の行政資料と社内規程を確かめます。

小さく導入するなら何から始めますか?

1営業所を対象にして、台帳、勤務表、資格期限、休暇申請、本人の予定確認を優先すると、始めやすくなります。

欠勤、臨時便、資格失効、通信断を試したうえで、交番確定時間、手修正、法令エラー、問い合わせ件数を導入前後で比べます。

結果を見たうえで、他営業所、AI最適化、追加の連携へ広げていきます。

健康情報や資格情報をクラウドで管理しても安全ですか?

安全性はクラウドか自社運用かだけでは決まりません。多要素認証、最小権限、通信と保存時の暗号化、監査ログ、バックアップを確認します。

脆弱性への対応、委託先の監督、保存期間と削除手順を定めたうえで、健康情報は必要な担当者だけに見せます。

端末紛失や不正利用を想定した停止手順と復旧訓練も必要です。

まとめ

乗務員管理システムは、台帳や勤怠に加えて、資格、休息、拘束時間、便・路線・車両を一つの判断につなげます。さらに、点呼、安全記録、給与・運行連携も同じ流れに含めます。

航空、バス、タクシー、トラック、鉄道では制約が異なるため、業界固有の要件と共通機能を分けて整理します。

導入方式を決める3つの問い

既製品で業務の8割を満たせるか、独自制約・最適化が競争力に直結するか、運行・点呼・給与と連携できるかを判断します。

その答えを踏まえると、標準機能が多ければSaaS、差分を埋めたいならパッケージのカスタマイズ、独自制約と統合が重要ならスクラッチを検討します。

1営業所での効果測定

現行業務を洗い出し、制約と連携を要件に落とし込んで、1営業所で試します。交番確定時間、手修正件数、法令エラー、資格期限の見落とし、残業の偏り、問い合わせ件数を測ります。

現場の声を取り入れながら、段階的に展開します。費用は初期価格だけでなく、移行、端末、保守、法令改定、追加改修を含む3年TCOで比べます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。