CRM開発の費用は、50万円程度から数千万円まで幅があり、導入方式・機能規模・運用形態によって変わります。
発注前に費用帯を知らないと、過剰な支払いや、安すぎるベンダーによる品質問題を招くおそれがあります。初期費用だけでなく、保守やライセンスなどの運用費も含めて比べましょう。
▼全体ガイドの記事
・CRM開発の完全ガイド
・業務システム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「業務システム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
・スクラッチシステム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「スクラッチシステム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
CRM開発の費用相場

CRMの費用相場は、導入方式によって大きく違います。主な方式は、スクラッチ(自社)開発、パッケージカスタマイズ、SaaS型クラウドCRMの3つです。方式を選ぶ際は、自社の業務プロセスや必要な機能、予算規模を照らし合わせることが欠かせません。
スクラッチ開発の費用目安
スクラッチ開発は、既存のパッケージを使わず、自社の要件に合わせてCRMをゼロから作る方式です。自社の業務プロセスや業務フローに完全に合ったシステムを構築できる一方、開発工数が大きくなるため、費用は高めになります。
作る機能の範囲によって費用は大きく変わり、範囲ごとの費用帯は次の4つに分かれます。
- 小規模CRM:顧客情報の登録・管理・検索を備えた構成で、50万〜150万円が目安です。
- 標準的なCRM:商談・案件追跡・メール連携を含む構成で、150万〜500万円が相場です。
- 高機能CRM:SFA・MA連携や分析まで含めると、500万〜1,500万円が目安です。
- エンタープライズCRM:複雑な業務フローを扱う場合は、1,500万円〜数千万円になることがあります。
小規模CRMは、Excelや紙台帳の代わりとして、スタートアップや個人事業者、特定部門での利用に向いています。中小企業の営業部門では、一般的に標準的なCRMが使われます。
高機能CRMは、大企業向けや業界特化型の業務にも対応します。
スクラッチ開発の費用は、人月単位で見積もることが多く、1人月あたり50万〜150万円程度の単価に全体の工数を掛けて算出します。プロジェクトマネージャーからプログラマー、テスターまでの複数の役割が関わるため、同じ機能規模でも発注先によって金額は変わります。
パッケージ・SaaS型CRMの費用比較
パッケージ型・SaaS型CRMは、既製品のソフトウェアを導入する方式です。スクラッチ開発に比べて初期費用は大きく抑えられますが、月額のライセンス費用や利用料が継続してかかります。そのため、長期的なランニングコストも含めて判断する必要があります。
主要ツールは、料金体系と利用人数をそろえて見ると、違いを比べやすくなります。
- Salesforce:Essentialsは3,000円/ユーザー/月、Professionalは15,000円、Enterpriseは36,000円程度です。
- HubSpot:無料版から始められ、Starterは2,400円/月(2ユーザー分を含む)です。
- Microsoft Dynamics 365:Sales Professionalは7,070円、Enterpriseは9,730円/ユーザー/月程度です。
- kintone:ライトコースは780円/ユーザー/月から利用できます。Sansanも国産CRMの選択肢です。
Salesforceは、世界シェアでトップクラスのツールです。50名で利用する場合、月額は75万〜180万円規模になります。さらに、初期導入の支援費用として、50万〜300万円程度が別途かかるケースもあります。
HubSpotでは、上位の料金帯で月額96,000円程度から384,000円以上になる例もあります。
オンプレミス型パッケージCRMは、初期費用としてソフトウェアのライセンス費用が50万〜200万円程度かかります。
オンプレミス型は、月額のランニングコストを低く抑えやすく、自社サーバーに導入するため厳しいセキュリティポリシーにも対応しやすい方式です。ただし、長期利用(5年以上)では、SaaS型と総コストが逆転するケースもあります。
CRM開発のコスト内訳

CRM開発の費用全体を把握するには、各工程でどのような費用が発生するかを押さえることが大切です。
一般的なCRM開発は、「要件定義・設計」「開発・実装」「データ移行・テスト・導入」の3フェーズに分かれ、フェーズごとに固有のコストがかかります。そのため、フェーズごとの費用感を事前につかんでおくと、ベンダーから届いた見積もりを適切に評価できるようになります。
要件定義・設計・開発費用
要件定義・設計・開発を分けて見ると、見積もりのどこに費用がかかっているかを追いやすくなります。要件定義では、ビジネスプロセスや業務フロー、必要な機能を整理し、開発仕様として文書にまとめます。
各工程の費用は、作業範囲と機能規模によって次のとおり変わります。
- 要件定義:20万〜50万円が一般的で、内容が複雑な場合は100万円以上になることがあります。
- 基本・詳細設計:画面・データベース・API設計を含めて、30万〜100万円程度が目安です。
- 開発・実装:機能規模によって、100万〜1,000万円以上と幅があります。
要件定義は、CRM開発の成否を左右する工程です。内容が曖昧なまま進むと、後工程で仕様変更が頻発し、工数が膨らむため、事前の準備が欠かせません。
そのうえで、設計では、要件をもとにインフラ構成まで含めてシステムの作りを具体化します。機能数や画面数が多いほど設計工数が増え、UX設計を含める場合は、UI/UXデザイナーの工数が別途加わります。
開発・実装フェーズは、CRM開発費用の中で最も大きな割合を占めます。プログラミング、単体テスト、コードレビューがこのフェーズに含まれます。
機能ごとの目安は、顧客情報のCRUD(登録・閲覧・更新・削除)が30万〜80万円、商談管理・パイプライン管理が50万〜150万円です。メール・カレンダー連携が40万〜100万円、分析・レポートが60万〜200万円、外部システムとの連携(SFA・ERP・ECなど)が50万〜300万円程度です。こうした機能を組み合わせることで、全体の開発費用が決まります。
データ移行・テスト・導入費用
開発後の費用は、既存データの状態、テストの範囲、利用者の準備によって変わります。そのため、導入時に必要な作業を先に洗い出しておきます。
データ移行から稼働までの費用帯は、作業内容と必要な準備に分けて確認します。
- データ移行:数万件程度なら20万〜80万円、数十万件超なら100万〜300万円以上です。
- テスト:開発費用の15〜25%が目安で、300万円なら45万〜75万円程度です。
- 導入・稼働:サーバー設定や教育を含めて、10万〜50万円程度が目安です。
データ移行は、既存システムや帳票、Excelなどに蓄積された顧客データを、新しいCRMへ移す作業です。件数だけでなく、品質やフォーマットの違いも工数に影響します。重複の削除や表記揺れの修正、欠損値の補完を行う場合は、追加の工数が必要です。
テストには、結合テストとシステムテストがあります。加えて、受入テスト(UAT)やパフォーマンステストも行います。
テストを省略したり手薄にしたりすると、本番後に重大なバグが起きるリスクが高まります。そのため、テストには適切な費用を配分しておく必要があります。
導入・稼働には、環境構築や操作マニュアルの作成も含まれます。社員数が多い企業では、研修やトレーニングに別途費用がかかります。さらに、導入直後はヘルプデスクや問い合わせ対応も必要になります。
CRM運用のランニングコスト
CRMは、導入時の初期費用だけでなく、稼働後に続くランニングコストも見ておく必要があります。
特にスクラッチ開発型のCRMでは、業界の目安として、年間で開発費用の10〜20%程度の保守費用がかかるとされています。
一方、SaaS型やパッケージ型では、月額ライセンス料が継続的に発生します。そのため、導入方式を選ぶ際は、長期的なTCO(総所有コスト)を把握しておくことが欠かせません。
保守・サポート費用
スクラッチ開発したCRMを安定して使い続けるには、障害やセキュリティへの対応に加えて、業務の変化に合わせた改修費も見込んでおく必要があります。そのうえで、保守契約の範囲と追加改修の扱いを分けて確認します。
保守契約と追加改修は、次の費用と条件を見て選びます。
- 年間保守:開発費用の10〜20%が目安で、300万円なら年30万〜60万円(月額2.5万〜5万円)程度です。
- 契約形態:フルサポート型は包括的、スポット対応型は都度支払いです。
- 追加改修:1件10万〜100万円、年2〜3件なら年50万〜200万円程度です。
スクラッチ開発したCRMの保守費用は、一般的に年間保守契約の形で発注します。保守契約には、バグ修正、緊急対応、セキュリティパッチ適用が含まれます。そのほか、サーバー監視や定期メンテナンスも対象になります。
フルサポート型は月額固定で、支援を幅広く受けられます。一方、スポット対応型は月々の費用を抑えやすいものの、障害時の対応が遅れるリスクがあります。
重要な業務を支えるCRMなら、SLA(サービスレベル合意)を明確にしたフルサポート型が向いています。機能追加や改修は保守とは別に発生するため、法制度の改正やビジネス環境の変化も見込んで、予算を立てておきます。
ライセンス・クラウド利用料
SaaS型CRMのランニングコストは、月額ライセンス料が中心で、ユーザー数に比例して増えます。また、スクラッチ開発では、システムを動かすクラウド基盤の費用も分けて考えると、見通しが立てやすくなります。
契約前には、利用人数だけでなく、次の継続費用も確認しておきます。
- SaaSライセンス:1ユーザーあたり月3,000円〜15,000円程度が目安です。
- クラウドインフラ:小規模なら月1万〜5万円、大規模なら月10万〜50万円以上です。
- その他の費用:ドメイン・SSL、ライセンス、セキュリティ診断などが発生します。
50名で利用する場合、SaaS型CRMの月額は15万〜75万円、年間では180万〜900万円規模になります。
スクラッチ開発で使うクラウド基盤には、AWS、Google Cloud、Azureなどの候補があります。小規模なCRMでも基盤の費用は発生します。ただし、大量の顧客データや高い可用性(冗長化・バックアップ体制)が必要な場合は、費用が上がります。
ライセンス以外にも、フレームワークやライブラリは年数万〜数十万円、セキュリティ診断は年20万〜100万円程度が目安です。
クラウド型CRMを自社開発する場合、中小企業のランニングコストは月5万〜30万円程度が一般的な目安です。
CRM開発費用を抑えるポイント

CRM開発の費用を適正な範囲に抑えるには、開発前の計画段階での判断が特に重要です。予算を膨らませすぎず、必要な品質も確保するための方法は、次の4つです。
機能の優先順位付けとMVP開発
費用を抑えるには、最初は全機能をそろえず、必要性を確かめながら開発範囲を広げる考え方が有効です。
初期開発の範囲は、MVP、段階的な拡張、MoSCoW分析の考え方を使い分けて決めます。
- MVP:実用最小限のCRMを、100万〜300万円程度で先に出す形です。
- 段階的な拡張:利用状況のフィードバックを得て、必要な機能から追加する進め方です。
- MoSCoW分析:Must have・Should have・Could have・Won’t haveに分け、初期範囲を絞る手法です。
MVP(Minimum Viable Product:実用最小限のプロダクト)は、利用者が実際に価値を感じる最小限の機能だけを備えた初期バージョンです。
全機能を一度に開発すると、開発期間が長くなるほど要件変更のリスクが増え、コストも膨らむ傾向があります。一方、MVP開発なら、実際の業務で本当に必要な機能を把握してから追加できるため、不要な機能への投資を防げます。
この分類では、今すぐ必要な機能、あると便利な機能、将来対応でよい機能を区別します。たとえば、初期範囲をMust haveに絞って30〜40%削減できれば、費用も同程度の削減が期待できます。
複数社比較と適切なベンダー選定
見積もりを比べるときは、価格だけでなく、同じ要件をどの体制と範囲で実現するのかをそろえて確認します。
発注先を選ぶ際は、見積もりと実績、支援体制を一緒に評価します。
- 複数社比較:同じ要件定義書やRFPで、最低3社から見積もりを取る形です。
- 選定基準:実績・業界知識・体制・サポート・対話の丁寧さが判断材料です。
- 見積もりの粒度:工程・工数・役割・単価が明示され、WBSと整合しているかが要点です。
同じ要件でも、ベンダーの規模や得意分野、人材構成によって、見積金額が2〜3倍違うこともあります。そのため、複数社の見積もりを比べると、市場相場をつかみやすくなります。
価格が低すぎる場合は、要件理解の不足や開発経験の浅さ、下請けへの丸投げなどに注意が必要です。見積もりでは、各フェーズの費用内訳と想定工数が明確かどうかを見ます。加えて、担当エンジニアの役割と単価も確認します。不明な項目は発注前に説明を求めることで、追加費用の発生を防げます。
詳細な見積もりを提示できないベンダーは、後から追加費用が発生しやすい傾向があります。一方で、WBS(作業分解構造)に基づく詳細見積もりを出せるベンダーであれば、プロジェクト管理能力も判断できます。
クラウドCRMの活用
初期費用を抑える方法のひとつに、既存のクラウドCRM(SaaS型)を活用する選択肢があります。
スクラッチ開発で300万〜500万円かかるシステムの代わりに、低コストのSaaS型CRMを導入する手もあります。ただし、必要な機能が足りるかどうかは、事前に確かめておく必要があります。
- SaaSの活用:HubSpotの無料プランなどを使えば、初期投資を数万円〜数十万円に抑えられます。
- 段階的アプローチ:SaaSから始め、必要なら後で自社開発へ広げる進め方です。
- ローコード活用:kintoneやSalesforceを使い、工数を抑えつつ固有の要件に対応する形です。
- 補助金:IT導入補助金などで、費用の一部が補助される場合があります。
CRMの活用経験が浅く、必要な機能もはっきりしない場合は、まずSaaS型で運用するとよいでしょう。そのうえで、実務で不足する機能や自社固有の要件が見えてから、スクラッチ開発へ移ると、最初から全機能を作る失敗のリスクを下げられます。
kintoneの設定・カスタマイズは、30万〜150万円程度で済む場合があります。社内のIT担当者が対応できるなら、プラットフォームの費用だけで運用することも現実的です。
IT導入補助金やDX推進補助金などの公的補助金は、SaaS型CRMの導入費用や、ITコンサルタントへの要件定義費用が対象になることがあります。補助率は、最大で50〜75%程度のケースもあります。
制度ごとに申請要件や申請期間、対象費用が異なるため、導入前に専門家や中小企業診断士へ相談することをお勧めします。
ライセンス・ユーザー数課金の読み方
契約額を見積もるときは、表示されたユーザー単価だけでなく、利用量と更新条件まで確認しておきます。
料金が変わる要因は導入方式によって異なるため、利用量や契約更新、インフラ負荷に分けて見ていきます。
- SaaS型CRM:シート数・ストレージ・API呼び出し回数が料金の変数になります。
- 契約更新:更新時の改定率も見積もりに含め、将来の費用を見込んでおく点です。
- スクラッチ開発:同時接続数やレポート集計の負荷が、インフラ費用に影響する要因です。
スクラッチ開発では、ピーク時の利用の仕方をあらかじめ定めておくと、後からサーバーを増強する費用を抑えられます。
まとめ
ここまで、CRM開発の費用相場を、コスト内訳やランニングコスト、費用を抑える方法の順に見てきました。
費用相場は、機能の複雑さと規模で大きく変わります。小規模CRMは50万〜150万円、標準的なCRMは150万〜500万円が目安です。高機能CRMは500万〜1,500万円、エンタープライズ規模は1,500万円以上が目安です。
SaaS型CRMは、月額3,000円〜15,000円/ユーザーから導入でき、初期費用を大幅に抑えられます。
コスト内訳では、要件定義が20万〜50万円、設計が30万〜100万円、開発・実装が100万〜1,000万円以上です。データ移行は20万〜300万円、テストは開発費用の15〜25%が主要な費用項目です。導入・稼働は10万〜50万円で、こちらも主要な費用項目です。
稼働後のランニングコストは、保守費用が開発費用の10〜20%(年間)、クラウドインフラ費用が月額1万〜50万円程度です。さらに、機能追加や改修の費用は年間50万〜200万円程度で、これらも見込んでおく必要があります。
費用を抑えるには、MVP開発による段階的なリリースや機能の優先順位付けが効きます。加えて、複数社の見積もりを比べることや、クラウドCRMや補助金を活用することも有効です。
CRM開発は、営業効率や顧客満足度、売上向上に直結する経営投資です。費用を適正に保ちながら、自社のビジネス成長を支えるCRMシステムの構築と導入を検討してください。
▼全体ガイドの記事
・CRM開発の完全ガイド
▼RFP作成前に読みたい無料ホワイトペーパー
・業務システム開発の完全ガイドブック
・スクラッチシステム開発の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
