データカタログ開発の見積相場や費用/コスト/値段について

データカタログ開発の費用は、対象範囲、データソース数、ガバナンスと運用をどこまで整えるかで変わります。推定額は、PoCで300万円、全社導入で5,000万円以上です。

費用相場と内訳、料金体系、見積もりの比べ方を、順に見ていきます。全体像は、データカタログ開発の完全ガイドもご覧ください。

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・データカタログ開発の完全ガイド

データカタログ開発の費用を決める要因

費用は、登録対象の広さ、自動収集や検索の機能、ガバナンスの運用設計、既存システムとの連携で決まります。データカタログは、データの所在や意味、所有者、更新状況といったメタデータを管理する仕組みです。管理する範囲が広がるほど作業も増えるため、費用もそれに応じて上がります。

データカタログとデータウェアハウスの違い

データカタログは、データベースやデータレイク、DWH、BI、ETL、SaaSなどに分散するデータ資産を検索できる目録です。一方、データを別の場所へ集めるデータウェアハウスとは、役割が異なります。

データカタログでは、テーブル名やカラム名に加えて、「売上」の定義や更新頻度、担当部署を関連付けます。さらに、利用目的や個人情報の有無、元データからレポートまでの流れも結び付けます。

画面の開発だけでなく、コネクタや検索インデックス、用語集にも費用がかかります。さらに、リネージュや権限管理、監査ログにも費用が発生します。

費用の3層(ライセンス、開発、運用)

見積もりは、次の費用区分ごとに範囲をそろえて見ていきます。

  • 製品利用:ライセンス料や、クラウドの従量課金
  • 導入開発:要件定義と連携開発
  • 継続運用:社内の用語更新と品質確認

コネクタの追加や権限設計、運用担当者の工数は、後から膨らみやすい部分です。初期費用の見積もりだけでは見えにくいため、既存クラウドのマネージド機能を使い、対象ドメインを絞れば、スクラッチ開発なしで価値を検証できます。

ポイント

費用を比べるときは、登録対象の広さと、自動収集・検索・ガバナンスをどこまで作り込むかを、同じ前提でそろえて見ます。製品料金と導入開発費を分けておくと、金額の差の理由を追いやすくなります。

データカタログ開発の費用相場と開発期間

データカタログ開発の3つの対象規模と、それぞれの推定費用帯を示す横棒図。
導入範囲が広がるにつれて、推定費用帯も上がります。

ここに示すのは、2025〜2026年に公開されたクラウド料金と、国内のデータ基盤・データガバナンス案件に近い作業量から置いた推定です。データカタログ共通の公定相場ではありません。

見積もりでは、対象データや利用者、連携先を示したうえで、セキュリティ要件も伝えます。また、開発期間は、社内で用語や責任者を決められるかによっても変わります。

PoC・小規模導入の目安は300万〜800万円、1〜3か月

PoCでは全社の資産を登録せず、顧客、売上、商品などの業務領域から、価値や問い合わせが大きい1つに絞ります。

  • 対象範囲:データソースは3〜10個程度、主要用語は50〜200個です。
  • 検証内容:検索、所有者表示、基本的なロール設定、簡易リネージュ
  • 目安:推定費用は300万〜800万円程度、期間は1〜3か月

接続先の認証方式が複雑だったり、サンプルデータの持ち出しに審査が必要だったりすると、期間が延びることがあります。

部門導入・本番化の目安は800万〜2,000万円、3〜6か月

本番化では、10〜30個程度のソースを定期的にスキャンします。そのうえで、個人情報や機密情報の分類とデータ品質ルールを整え、承認フローや利用ログも整備します。SSOや既存IAMとの連携も対象に入ります。

BIやETLの利用関係をリネージュに反映し、検索利用者向けの説明や運用手順も作ります。こうした作業が重なるため、費用は800万〜2,000万円程度になるケースがあります。期間は3〜6か月が一つの目安です。

データオーナーやスチュワードの合意が遅れると、その間は開発会社の作業も止まります。

全社・マルチクラウドの目安は2,000万〜5,000万円以上、6〜12か月

全社規模では、対象範囲と導入作業を広げた前提で、費用の目安を見ます。

  • 対象規模:50以上のソース、複数クラウド、オンプレミス
  • 機能範囲:カラム単位のリネージュ、細粒度権限、データプロダクト
  • 導入作業:既存メタデータの移行、監査対応、全社教育
  • 費用目安:2,000万〜5,000万円以上

期間は6〜12か月ですが、段階的に展開すると1年以上になることもあります。独自のデータモデルや閉域網の要件からスクラッチ開発を選ぶ場合は、コネクタや差分収集を含め、保守まで続く実装が必要になります。

スクラッチ開発の場合の費用は、1,500万〜5,000万円以上と推定しています。既製品の拡張と並べて比べるとよいでしょう。

ポイント

金額の目安は、PoC、部門導入・本番化、全社展開の段階ごとに分けて見ます。目安より大きく離れた見積もりは、対象ソース数や連携条件が広がっていないかを先に確かめます。

データカタログ開発の費用内訳

データカタログ開発の費用を、企画、接続と収集、用語や品質などの整備、移行と教育の4層に分けた図。
見積もりの項目を分けると、作業範囲を照合しやすくなります。

「カタログ構築一式」とだけ書かれた見積もりでは金額を比べられないため、要件定義とデータ接続を含めた作業ごとの費用を見ていきます。技術費用の中心はデータ接続で、そのほかの費用は次のような作業に分かれます。

  • メタデータ整備:業務用語と所有者の登録
  • 権限・品質:品質ルールと権限設計
  • 移行・教育:既存の用語や辞書の移行、教育費
  • 保守:運用費と、メタデータの更新

業務用語や所有者を決める社内作業は、開発費に含めるか、別途の運用費にするかで扱いが変わります。見積もりの前に、この点も押さえておくとよいでしょう。

企画・要件定義での対象範囲とKPIの決め方

企画では、誰のどの作業を短くするのかを先に明確にします。たとえば、売上の定義を確認する問い合わせ時間を50%短縮する、といった目標を置けます。

所有者未設定の重要アセットをゼロにする目標や、分析用データの再利用件数を月ごとに測る目標も、KPIの候補になります。

データ資産の棚卸しや利用者インタビューには、まとまった工数がかかります。さらに、対象ドメインの選定や、MUSTとWANTの切り分け、セキュリティ要件の確認にも時間が要ります。

技術費用の中心はコネクタとメタデータ収集

データベースやクラウドストレージからメタデータを集めるには、標準コネクタの設定と認証が必要です。集める対象は、テーブルやカラムの情報、更新日時、利用状況などです。

標準機能にない製品や古い基幹システムとつなぐ場合は、API連携や独自コネクタの開発が必要になります。

見積もりには、初回の全件収集に加えて差分更新も含めます。差分更新では、スキーマ変更や削除を検知します。さらに、失敗時の通知と再実行、接続先の権限設計も必要です。

用語集・品質・権限・リネージュの深さと工数

「顧客」「契約」「売上」などの業務用語を登録し、現場の言葉と物理テーブルやカラムを結び付けるには、業務部門との合意が欠かせません。

品質ルールでは、NULL率や重複、鮮度を評価します。個人情報・機密情報の分類とオーナー承認を実装すると、検索画面だけの場合より工数が増えます。さらに、利用申請や監査ログまで加えると、負担は一段と大きくなります。

ETLからBIやAIモデルまでのリネージュも、テーブル単位かカラム単位かで費用が変わります。

移行・教育・リリース後支援の初期費用

Excelや個別DBの用語、所有者情報、既存データ辞書を移行する場合は、重複や表記ゆれを整理しておく必要があります。

受け入れテストのほか、教育費も見込みます。教育では、利用者向けの検索方法、オーナー向けの更新方法、管理者向けの障害対応を扱います。

導入後に定着しないと、カタログは古くなってしまいます。そのため、リリース後の伴走支援や月次レビューも、初年度予算に含めて検討します。

ポイント

見積もりを比べるときは、作業ごとの費用が同じ範囲で書かれているかが判断の分かれ目です。範囲がそろわないまま金額だけを並べると、判断を誤りやすくなります。

データカタログのランニングコストと料金体系

ランニングコストには、製品ライセンスのほか、メタデータの保存と、スキャンやプロファイリングなどの処理が含まれます。品質評価、リネージュ生成、検索も対象です。加えて、接続先のクラウド利用料や保守運用の人件費も必要になります。

クラウド料金は、リージョンや機能、利用量によって変わります。そのため、本記事の金額をそのまま予算にせず、対象アセット数や実行頻度を入力して試算してください。

AWS Glue Data Catalogの料金とメタデータ数・処理量

AWS中心の環境なら、AWS Glue Data Catalogの料金を確認しておくとよいでしょう。公式料金ページでは、メタデータオブジェクト100万件まで、アクセス100万件までが無料とされています。

100万件を超えるメタデータは、10万件あたり月額1米ドルです。一方、統計生成やApache Icebergテーブルの最適化には、1DPU時間あたり0.44米ドルという料金例があります(出典: AWS Glue Pricing)。

クローラーやETL、S3などは別に課金されます。データ品質処理も別課金です。そのため、カタログ単体の単価だけで判断しないことが大切です。

Google Cloud Knowledge Catalogの料金とDCU時間・保存量

Google Cloudでは、旧Data Catalogではなく、2026年時点のKnowledge Catalogを前提に料金と移行状況を確認します。

公式料金ページでは、標準処理とプレミアム処理をDCU時間で計測しています。

  • 処理料金:プレミアム処理の開始価格は0.089米ドル/DCU時間です。
  • 保存料金:メタデータ保存は0.002739726米ドル/GiB時間です(出典: Google Cloud Knowledge Catalog Pricing)。
  • 自動収集:Google Cloudサービスの技術メタデータは、無料の場合があります。

データ品質やプロファイリングの実行費用は、別途確認します。リネージュや関連サービスの実行費用も、別枠で見積もります。

Microsoft Purviewの料金と管理対象アセット・処理単位

Microsoft Purview Unified Catalogは、固定月額で単純に比べにくい料金体系です。公式ドキュメントによれば、2025年1月6日から従量課金が適用されています。

課金は、1日あたりのユニークな管理対象アセット数と、データ品質などに使うデータガバナンス処理単位に基づきます(出典: Microsoft Purview Data Governance Billing)。

費用は、テーブルやビューを業務概念にどう紐づけるか、品質ルールを何件、どの頻度で実行するかで変わります。そのうえで、アセット数と処理スケジュールを見積もりの条件に書いておきます。

運用費とメタデータの更新

登録後も、用語の追加や廃止、所有者の変更が続きます。加えて、スキーマ変更や品質違反への対応、アクセス申請の承認が必要になります。利用状況の分析も、継続して行います。

月次の運用会議やデータスチュワードの作業を、社内で担うか導入会社に委託するかで、年間の費用は変わります。

全社導入では、検索利用率や問い合わせ時間、再利用件数を定期的に測ります。所有者設定率も併せて追い、使われない登録作業を減らします。

ポイント

ランニングコストは、クラウド料金の指標と対象アセット数、実行頻度から考えます。単価だけで予算を決めず、毎月の実行条件から試算すると、想定外の増加を減らせます。

データカタログの費用が変動する要因

データカタログ開発費を中心に、接続先、権限や監査、リネージュやAI対応、更新頻度や利用者の範囲が周囲に並ぶ図。
登録アセット数以外の要件も、見積もりの前提に関わります。

同じ製品でも企業によって費用は変わり、金額を左右する要因は登録アセット数のほかにもあります。

接続方式や更新頻度、情報の機微性、利用者の範囲を確認すると、見積もりの前提がそろいます。業務ワークフローや既存の品質、用語集の状態も見ておくと、精度を高められます。

データソース数とコネクタの標準対応範囲

つなぐソースの種類と数で、工数が変わります。OracleやSQL Serverなどのデータベースや、S3やCloud Storageなどのストレージが対象です。DWHやBI、ETL、SaaSも含まれます。

標準コネクタがあっても、閉域ネットワークやサービスアカウントの制約があると、接続設計とセキュリティ審査が必要になります。

接続数に加えて、各ソースのテーブル数や更新頻度をRFPに記載してください。過去のスキーマ変更履歴やAPI制限も書いておくと、見積もりがぶれにくくなります。

個人情報・権限・監査の要件

実データをカタログへコピーしなくても、カラム名や説明文に個人情報や機密情報が含まれることがあります。サンプル値やタグも、確認の対象です。そのため、メタデータの閲覧権限と実データの利用権限は、分けて考えてください。

  • アクセス管理:RBACやABAC、マスキング、暗号化、監査ログの有無
  • 運用・委託条件:保持期限、国外リージョン、再委託先の扱い

安全管理措置は、組織的・人的・物理的・技術的な観点で整理します(出典: 個人情報保護委員会・個人情報保護法ガイドライン(通則編))。

個人情報を扱う企業では、法務やコンプライアンスの確認にかかる工数も見込んでおきます。

リネージュ、データプロダクト、AI対応の範囲

リネージュをテーブル単位で追うか、カラム単位まで追うかで、開発と処理の費用が変わります。

データプロダクトや自然言語検索、AIエージェントへ渡すコンテキストまで含めると、メタデータモデルと権限設計が複雑になります。データプロダクトは、品質・定義・利用条件を束ねたものを指します。

2026年時点では、データカタログは一覧から、信頼できるデータを分析やAIへ渡す基盤へと広がっています。そのため、将来の機能はすべて初期開発に含めず、段階的な追加条件として見積もるのが現実的です。

ポイント

見積もりでは、接続先の数や情報の機微性、リネージュの深さを並べて見ます。要件が一つ増えるごとに工数も増えるため、前提の違いが金額差の理由になります。

費用を抑えながら進めるデータカタログ開発の手順

費用を抑えるには、全社を一括で作り込まず、価値を測りやすい小さな対象から始めます。ツールを選ぶこと自体を目的にせず、まずはノートやスプレッドシートで管理しているデータの問題を整理します。

PoCで得た検索時間や再利用数を基準にして、本番化する機能と見送る機能を決めます。

最初の1〜2週間での対象ドメインとKPIの設定

人事や顧客、財務、販売などの領域のうち、問い合わせが多く、業務責任者を置ける領域を一つ選びます。そのうえで、データソースや利用者、頻出用語を整理します。現在の検索や確認にかかる時間も、あわせて把握します。

「定義確認にかかる平均時間」「所有者が分かるアセットの割合」「月間の再利用件数」などを計測対象に入れておくと、PoCを続けるかどうかの判断材料になります。

3〜6週間での自動収集と業務用語の検証

選んだソースを接続し、テーブルやカラムのメタデータを期待どおり取得できるかを確かめます。自動収集した技術情報に業務用語と所有者を加えます。さらに、利用目的と品質基準も含め、現場が検索できる状態にします。

サンプル値を表示する場合は、個人情報が露出しないよう、マスキングや権限を先に検証します。失敗時の通知や差分更新も試します。

7〜12週間での運用と展開判断

利用部門には、検索や問い合わせ、アクセス申請に加え、用語更新も実際に担当してもらいます。検索結果の分かりやすさと運用の負荷も、同時に確かめます。

所有者不明のデータを誰が判断するか、品質違反を何営業日以内に是正するかも決めておきます。

退職や組織変更に備えて、引き継ぎ担当も定めておきます。90日程度で効果を測ったら、接続先を増やすか、品質やリネージュを深めるか、別のドメインへ広げるかを、優先順位をつけて判断します。

データカタログ開発のコスト最適化ポイント

コスト最適化は、単価の安い製品を探す作業に限られません。使われない機能や、更新されないメタデータを大量に作らないことが、初期費用とランニング費用の両方を抑えます。

将来の全社展開を見据えながら、初期の契約と開発の範囲を段階的に絞ることが大切です。

MUST機能とWANT機能の切り分けと対象の絞り込み

初期のMUST機能は、対象ソースの自動収集と検索、用語集に絞ります。所有者表示や基本権限、更新失敗の通知も、そこに含めます。

カラム単位の完全なリネージュや複雑な承認ワークフローは、PoCで価値を確かめてから追加します。データマーケットプレイスやAI向けの高度な自然言語検索も、PoCで確かめた後に検討します。

「初期対象外」を要件定義書に明記しておくと、追加要望による予算超過を防ぎやすくなります。

既存クラウドと標準コネクタの活用

導入方式は、利用中の基盤や必要なガバナンスに合わせて、候補を比べます。

  • 既存クラウド:AWS、Microsoft、Google、Databricksなど、利用中のサービスが候補になります
  • 再設計の抑制:認証やIAM、ログ、ネットワークの再設計を減らせることがあります
  • エンタープライズSaaS:マルチクラウドや業務部門のガバナンスを重視する場合の候補です
  • オープンソース:ライセンス費を抑えられ、運用人材を確保できる場合はOpenMetadataやDataHubも候補です
  • TCOで比較:OSSは更新や脆弱性対応、コネクタ保守を自社で担うため、総所有コストで比べます

業務の重要度に応じたスキャン頻度と品質処理の設定

スキャンは、データごとに頻度を分けて考えます。日次で更新される重要なテーブルは頻繁に確認し、変更の少ない履歴データは週次や月次にするなど、鮮度の要件に合わせます。

品質ルールは、経営指標や個人情報に関係する重要データから始めます。全カラムに一律で当てはめるより、対象を絞ったほうが進めやすいです。

AWSのDPU、GoogleのDCU、Purviewの処理単位は、条件によって増えることがあります。そこで、実行履歴と費用を月次で見直します。

データカタログの見積もりを取る際のポイント

相見積もりでは、金額の安さより前に、前提条件がそろっているかを確認します。製品ベンダーや導入支援会社、既存クラウドのパートナーでは、担当範囲が異なるためです。

同じRFPを渡したうえで、初期費用とクラウド利用料、追加開発、保守運用に分けて比べます。

見積もり前のデータソースと利用条件の一覧化

RFPには、接続先の名称と種類、テーブルやファイルのおおよその数を記載します。さらに、更新頻度と利用者数、対象部署も書いておきます。用語数や品質ルール数も、あわせて伝えます。

リネージュの粒度や個人情報の有無は、必ず伝えます。SSOや閉域網の条件も示します。既存のExcel辞書や用語集を移行する場合は、ファイル数と更新責任者も記載します。

不明な項目は「未確定」と明記し、調査費や前提条件として、見積もりから分けてもらいます。

製品と導入支援の役割の比較

製品ベンダーのライセンス見積もりと、SIerやコンサルティング会社の要件定義、設定、開発の見積もりは別物です。そのため、標準機能で足りる範囲と、追加設定や独自開発が必要な範囲を分けて確認します。

コネクタの追加費用とサポート窓口、バージョンアップ対応を確かめます。障害時の責任分界も、見ておきます。国内サポートの時間帯や日本語ドキュメントの有無は、社内運用の人件費にも影響します。

契約終了時のデータ返却とロックイン

長期利用を想定するなら、契約終了時にどの形式で出力できるかを確かめます。対象は、用語集や所有者、タグです。さらに、リネージュや監査ログ、設定情報も含みます。

契約書や仕様書には、APIや一括出力の方法を明記してください。メタデータの所有権や再委託先、国外リージョンの扱いも書いておきます。保存期間や削除証明、SLAも、書面で確認します。

導入時の安さだけで選んだ場合、将来の製品変更やクラウド移行で、追加費用が発生することがあります。

公式事例から見るデータカタログの価値と費用の考え方

公開事例の金額をそのまま再現することはできませんが、投資する機能を考える材料にはなります。技術メタデータの収集に加えて、利用者が意味を理解し、安全に再利用できる状態も大切です。

BMW Group事例:大規模データと人が読めるカタログの整備

AWSの公式事例では、BMW GroupがAWS Glueなどを使い、車両や顧客のテレメトリデータを1日10TB規模で処理する構成が紹介されています。対象となるのは、120万台の車両から届くデータです。

BMW Groupは、技術メタデータをAWS Glue Data Catalogに集めました。さらに、人が読めるデータカタログも構築し、組織全体でデータを探しやすくしました(出典: AWS・BMW Group事例)。

この事例からは、データ量だけでなく、提供者と利用者の役割や検索ポータル、セキュリティまで含めて予算を立てる必要があると分かります。

事例の数字と自社の再現条件

大企業の事例には、大規模なデータ基盤や人材、既存のクラウド運用体制があります。そのため、同じ製品を導入しても、同じ期間や費用になるとは限りません。

自社で再現するには、始めるソース数や用語の更新担当を、事例の条件から置き換えて考えます。必要なリネージュの深さや検索利用者数も、同じ手順で見直します。なお、事例からは導入効果の向きを確かめ、費用は自社の作業量で見積もります。

よくある質問(FAQ)

データカタログの費用や発注を検討する際に、よく寄せられる質問に答えます。金額は一つに決めず、対象範囲と変動要因を合わせて考えます。

データカタログのPoCにはいくらかかりますか?

対象はソース3〜10個程度、主要用語50〜200個です。機能は、検索、所有者表示、基本権限、簡易リネージュの4つを確かめる想定です。その場合の推定費用は300万〜800万円程度、期間は1〜3か月です。

独自コネクタや閉域接続を含めると、費用は上振れします。機微情報の審査や大規模な既存辞書の移行が加わる場合も、費用を押し上げます。そのため、PoCの対象外となる条件も、見積もりに明記します。

データカタログはスクラッチ開発と既製品のどちらが安いですか?

一般に、既製品やクラウド機能の拡張は、初期開発と保守の範囲を抑えやすいとされています。検索やコネクタといった機能が、あらかじめ備わっている点が理由です。

特殊なデータモデルや独自ワークフロー、厳格な閉域要件がある場合は、スクラッチも候補になります。その費用は1,500万〜5,000万円以上と推定しており、差分収集やアップデートの継続費用も含めて比べます。

導入後のランニングコストは何を見ればよいですか?

ライセンスやクラウド従量課金のほか、スキャンや品質評価、プロファイリングの処理費を確認します。リネージュ生成やストレージの費用も見ておきます。接続先の処理費と保守運用の人件費も、忘れずに加えます。

用語更新や所有者確認、アクセス申請の担当者を決め、月間の作業時間を見積もります。障害対応と教育の担当者も、あわせて決めておきます。初年度は定着支援を含めて見積もり、2年目以降は内製化するか委託を続けるかを分けて比べます。

Google Cloudの旧Data Catalogを使っている場合はどうすればよいですか?

Google Cloudの公式リリースノートでは、Data Catalogは2026年1月30日に終了予定と案内されています。2026年6月からは、段階的な停止も始まっています。

まずKnowledge Catalogへの移行計画を確認します。APIやTerraform、権限の互換性を調べ、保存メタデータや連携ジョブも確かめます。そのうえで、移行調査とテストの費用は別枠で見積もります(出典: Google Cloud Data Catalog release notes)。

既存環境をそのまま前提にした見積もりは、避けたほうが安全です。

まとめ

推定費用は、PoC・小規模導入で300万〜800万円、部門導入・本番化で800万〜2,000万円です。全社・マルチクラウドでは、2,000万〜5,000万円以上になります。

クラウドの公開料金は、製品ごとに異なる指標で決まります。AWS Glueはメタデータ数、Google Cloud Knowledge CatalogはDCU時間や保存量が基準です。

Microsoft Purviewは、管理対象アセット数や処理単位などで決まります。

適正な予算を組むには、製品料金と導入開発費を分けたうえで、接続数や用語数などの条件に落とし込みます。権限や品質、リネージュも条件に含めます。そのうえで、移行や教育、運用の人件費も見込みます。

全社一括で作り込まず、対象ドメインとKPIを定めたPoCで効果を確かめます。標準コネクタと既存クラウドを活用し、段階的に広げていく進め方が現実的です。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。