データカタログ開発の発注は、業務課題と対象範囲を整理し、PoCで検証してから段階的に広げていく流れで進めます。この進め方にすると、運用に定着しやすくなります。
流れは、要件整理、RFP、PoC、本番展開の順です。全体像は、データカタログ開発の完全ガイドもご覧ください。
▼全体ガイドの記事
・データカタログ開発の完全ガイド
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データカタログの発注・外注の定義
データカタログは、データを集約せず、場所や意味、所有者、更新日時、品質、利用関係などのメタデータを検索・管理する仕組みです。発注では、製品設定のほか、接続やリネージュ、用語集、権限、運用設計と利用定着のどこまでを委託するかを決めます。
台帳だけでなく、信頼できるデータへ利用者が到達する業務基盤として捉えます。大規模な例として、AWSのBMW Group公式事例では、車両などから1日10TBを処理し、AWS Glue Data Catalogでスキーマを管理しています。
さらに、同じ事例では500人超が使うデータポータルで資産を探索しています(出典:AWS「BMW Group Uses AWS-Based Data Lake to Unlock the Power of Data」、2026年確認)。ただし、大規模事例をそのまま目指すのではなく、自社の利用者数と対象業務に合わせて段階化することが出発点です。
発注範囲の「ツール」と「運用」の分け方
ツールの導入と業務側の継続運用は、性質の違う作業です。委託範囲を決めるには、両方を並べて把握しておくことが欠かせません。
- 技術導入:DB、クラウドストレージ、DWH、BI、ETLとの接続やメタデータの自動収集。
- 技術設定:差分更新、検索インデックス、SSO、アクセス制御、リネージュ連携。
- 継続運用:用語承認、オーナー任命、品質是正、問い合わせ対応、利用状況確認。
- 組織変更:退職や異動に伴う情報更新と運用作業の引き継ぎ。
「導入してください」とだけ依頼すると、画面構築や初回スキャンだけが納品範囲になりがちです。そのため、RFPでは、作業を初期構築から保守まで分け、社内で担う作業も明記します。
発注形態の選び方:クラウド標準、SaaS・パッケージ、OSS、スクラッチ
四つの方式は、既存環境や運用できる体制に合わせて比べます。クラウド標準には、AWS Glue Data CatalogやMicrosoft Purviewがあります。Google Cloud Knowledge CatalogやDatabricks Unity Catalogも該当します。
方式ごとに、向いている企業と発注後に残る作業が異なります。
- クラウド標準:既存クラウド接続や短期導入を重視する企業向き。
- エンタープライズ製品:CollibraやInformaticaなど。マルチクラウド、用語、ワークフロー、品質の横断管理向き。
- OSS:OpenMetadataやDataHubなど。ライセンス費を抑えやすい一方、更新、障害、コネクタ保守が必要。
- スクラッチ:特殊なデータモデルや閉域要件など、既製品で満たせない事情がある場合に検討。
また、どの方式でも、解約時にメタデータと設定をエクスポートできるかを発注前に確認します。
データカタログ開発を外注する前の要件整理

機能一覧より先に、誰がどのデータを何のために探すのかを明らかにします。たとえば、目的が検索時間の短縮か、監査か、個人情報の所在の把握かによって、必要な機能は変わります。
目的とKPIの決め方
目的は「見える化」で止めず、測定できる業務成果に置き換えます。KPIには、検索後の利用申請や再利用も含めます。検索だけを見ると見落としやすい課題を、こうした指標で防ぎやすくなります。
KPIは、問い合わせ、所有者、再利用、品質対応の場面ごとに置きます。
- 問い合わせ:売上定義に関する質問への対応時間を50%短縮。
- 所有者:未設定のデータ資産を0件にする。
- 再利用:分析用データを使い回す件数を増やす。
- 品質対応:違反発見から担当者が是正するまでの日数を短縮。
最初は、顧客、財務、人事など価値とリスクが大きい一つのドメインに絞ります。全社一括では、用語差や重複資産が表面化しやすいためです。
対象、利用者、困る検索場面を一枚にまとめます。現行の台帳やExcel、参照する帳票もあわせて書くと、提案の条件が揃います。
データ資産と接続範囲の洗い出し
見積もりの前提を揃えるには、接続環境、データの規模、利用条件を整理しておきます。
- 接続環境:対象システム名と環境、利用するBIやETL、オンプレミスからの接続条件。
- データの規模:データベースやテーブル数の概数と更新頻度。不明なら小・中・大で示します。
- 利用条件:保有部署と個人情報の有無。
作業量と従量課金は、テーブル数だけでなく、カラム数やスキャン頻度でも変わります。パーティションやリネージュの対象範囲も、見積もりに影響します。
メタデータの表示と実データへのアクセスは、分けて考えます。カラム名や説明、サンプル値、タグには、機密情報が含まれる可能性があるためです。
権限は、役割ごとに表示・編集・アクセス申請の範囲を決めます。役割は、閲覧者からオーナー、スチュワード、承認者、管理者までが対象です。
MUSTとWANTの分け方、セキュリティ条件の明文化
初期に必須の条件と、PoC後に追加する機能を分けておくと、合意形成の時間を十分に取れます。
- MUST:接続、検索、用語集、オーナー管理、SSO、監査ログ、分類、データ返却。
- WANT:AIによる自然言語検索、カラム単位のリネージュ、高度なプロファイリング、データマーケットプレイス。
セキュリティ条件では、保管場所、国外リージョン、再委託を定めます。暗号化やマスキングのほか、脆弱性対応とログ保存も明記します。障害時の通知や、終了時の消去とエクスポートも条件に含めます。
委託先へ安全管理措置を指示し、取扱状況を把握・評価するという考え方が示されています(出典: 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」、2025〜2026年)。また、法務や情報システム、データ管理の部門を早い段階から巻き込みます。
データカタログ開発の発注・外注の進め方

要件整理、RFP、PoC、本番展開の順に、段階を分けて進めます。提案資料だけで完成度を判断せず、実スキャンで欠損やリネージュの精度を確かめることが大切です。
1. 発注形態と社内外の役割
製品ライセンスを自社で契約して導入支援だけを頼むか、製品選定から任せるか、開発会社に一括で請け負わせるかを決めます。SIer、認定パートナー、ガバナンス支援会社は得意領域が異なるため、販売会社と業務設計会社を分けて頼む選択肢もあります。
社内には、意思決定者、データ責任者、セキュリティ担当を置きます。スチュワードやシステム管理者も、社内の役割として欠かせません。用語と公開範囲の最終判断は自社に残るため、承認者と役割を発注書や計画書に明記します。
2. 同じ条件で比べるためのRFP
候補先を同じ前提で比べるため、RFPには背景と目的、対象と利用者を記します。機能やセキュリティ条件に加えて、納品物と日程、保守も書き込みます。
- 費用内訳:初期導入、製品・クラウド、コネクタ、移行、教育、保守、運用代行。
- 導入実績:定着支援、接続実績、リネージュ精度、個人情報分類。
- 体制と条件:担当体制、再委託、対象データ量、利用者数、期間、顧客側の運用。
事例を見るときは、会社名や導入社数に加えて、顧客側が担った作業も確認します。そうすると、事例を自社でも再現できるかを評価しやすくなります。
3. 接続・検索・運用のPoC評価
PoCは、3〜10ソースと主要用語50〜200個に絞ります。代表利用者と重要な権限パターンも、対象に含めます。現場で確認する項目を先に定めれば、接続だけの評価で終わるのを避けられます。
- 検索:「顧客」から候補データを探し、所有者が表示されるか。
- 運用:更新失敗の通知やアクセス申請が適切に届くか。
- 調査:リネージュを障害調査に使えるか。
測るのは、検索時間や目的データへの到達率、誤選択率です。用語承認の時間と月間の更新工数も測ります。さらに、導入後の担当者が実際に画面を使い、週次で用語や所有者を更新できるかも試します。
技術担当者だけで評価すると、現場の担当者が使いにくい仕組みのまま本番化されるおそれがあります。
4. 本番化と段階展開の契約への落とし込み
PoC後は、MUSTとWANTを見直して本番範囲を確定します。PoCで効果を示したドメインから広げ、接続や権限設計の負荷も見積もりに反映します。
- 収集と設定:資産収集率、所有者設定率、用語登録数、権限テスト。
- 引き継ぎ:障害通知、操作マニュアル、教育、移管完了。
稼働後の最初の90日については、問い合わせ窓口とクロール頻度を決めておきます。あわせて、スキーマ変更時の確認や、品質違反を何営業日以内に是正するかも決めます。委託した作業は手順書と教育に置き換え、自社で運用できることを完了条件にします。
データカタログ開発の契約形態の選び方
要件が変わりやすい調査・設計と、納品物を決められる設定・開発は、分けて考えます。準委任、請負、SaaS契約は、工程ごとに組み合わせられます。
調査・要件整理・運用設計と準委任の相性
準委任は、専門知識や作業時間を提供してもらう形です。現状調査や要件整理、製品比較のほか、定義ワークショップやPoCの伴走も任せやすい形です。
要件が動く段階では、月次の範囲や担当、報告を明記します。稼働上限と追加作業の承認も、あわせて決めておきます。
準委任であっても、提出物への責任は残ります。データ資産の洗い出しと要件一覧を合意し、PoC評価や運用フローも提出物として扱います。さらに、社内判断が遅れた場合や、データが未提供の場合の扱いも決めておきます。
設定・開発の納品範囲と請負契約
請負は、合意した内容どおりに完成させる場合に使います。対象は、コネクタやSSOとロール、検索画面、用語集の初期登録です。指定範囲のリネージュや操作マニュアルも、含まれます。
受け入れ条件は、「導入済み」のような曖昧な表現を避けます。収集率や更新・権限のテスト、エラー再実行、利用者の確認で判断できるようにします。
用語や公開範囲は変わりやすいため、全工程を請負で固定すると、変更契約が増えます。要件定義は準委任、本番設定は請負、問い合わせは保守に分けると、費用を追いやすくなります。
SaaS・ライセンス・保守と解約条件
利用料は、ユーザー数や管理資産数、処理量で変わります。さらに、保存容量やAPI回数、スキャン頻度でも変わります。そのため、接続先のクラウドやネットワーク、ログ、サポート、保守を含む総額を確認し、資産数は三段階で試算します。
契約では、メタデータの所有権や、設定と用語集の持ち出しを確かめます。API、バックアップ、終了時の返却・消去の扱いも確かめます。また、再委託や障害時のSLA、国外処理場所も確認します。
特に、解約時に用語やタグを取り出せないと、ベンダーロックインが大きくなります。
データカタログ開発の費用相場とコストの内訳

費用は、製品価格に加えて、ソース数や資産数、リネージュの範囲で変わります。また、個人情報分類やIAM・BI連携、用語整理、部門数、運用期間も、費用を左右します。
ここで示す金額は、公開されている一律価格ではありません。2025〜2026年の公開従量課金と、類似する基盤・ガバナンス作業から置いた、相見積もり前提の概算です。
PoC・小規模導入の費用目安(300万〜800万円程度)
PoCは、対象規模、検証項目、費用の根拠を揃えて見積もります。
- 3〜10ソース、主要用語50〜200個が対象規模の目安です。
- 検索、RBAC、簡易リネージュ、利用者テストを行います。
- 初期費用は300万〜800万円程度、期間は1〜3か月が目安です。
- この金額は公式の相場ではなく、要件整理、接続、設定、テスト、教育の作業量から推定したものです。
標準機能を使い、画面を作り込まなければ、費用を抑えやすくなります。テーマは、検索時間の短縮や定義の統一、所有者の把握、権限申請の中から一つ選びます。PoC後の本番追加費用は分けて見積もり、作成したものを次の工程で再利用できるかも見積書で確認します。
部門導入・本番化の費用目安(800万〜2,000万円程度)
部門導入の概算と費用を左右する条件は、次のとおり確認します。
- 規模と費用:10〜30ソースで800万〜2,000万円程度、3〜6か月。
- 上振れ条件:古い接続先、オンプレミス制約、複数部門の用語合意。
- 運用移行:研修、問い合わせ窓口、品質管理、月次報告、権限の見直し。
- 見積確認:教育や移行が別料金になっていないか確認。
導入範囲には、個人情報分類や品質、承認に加え、ログやIAM・BI・ETL連携も含めます。初期構築と運用移行を分けて見積もると、費用の内訳を把握できます。
全社・マルチクラウドの費用想定(2,000万〜5,000万円以上)
全社展開とスクラッチ開発では、対象範囲に応じて費用が大きく異なります。
- 全社費用:50以上のソースなどを含み2,000万〜5,000万円以上、6〜12か月も想定。
- 初回範囲:全社展開でも一つのドメイン、数十ソース以内から始める。
- スクラッチ費用:初期費用は1,500万〜5,000万円以上と推定。
全社展開費は、標準価格ではなく作業量から推定します。作業量には、複数クラウドや列単位のリネージュ、細粒度権限が含まれます。さらに、監査や移行、定着の作業も加わります。
スクラッチには、画面や接続、差分収集が必要です。加えて、スキーマ変更への対応や検索、リネージュも必要になります。権限や監査、API、保守も欠かせません。
製品拡張やOSSと同じ要件で比べ、独自の画面を作る理由がなければ既製品を優先します。そうすると、総保有コストを抑えられます。
クラウド利用料と運用人件費を含めたTCO
年間TCOを算出する際は、製品ごとの課金の仕組み、周辺費用、社内の運用工数まで順に確認します。
- AWS Glue Data Catalogはメタデータオブジェクトが100万件まで無料で、超過分は10万オブジェクトあたり月額1米ドルです。
- AWSのクローラーや統計生成はDPU時間課金です。
- Google Cloud Knowledge Catalogは処理、保存、API利用で課金されます。
- Microsoft Purviewのデータガバナンスは従量課金です。
- 年間TCOには製品・クラウド、初期接続費、保守、更新、コネクタ追加、ログ・バックアップ、教育、社内スチュワード工数を含めます。
AWS公式料金表では、クローラーや統計処理の例として1DPU時間あたり0.44米ドルが示されています(出典:AWS「AWS Glue Pricing」、2026年確認)。スキャン頻度や周辺サービスの費用も、あわせて見積もります。
Google Cloud Knowledge Catalogの標準処理は1DCU時間0.060米ドルから、プレミアム処理は0.089米ドルからです(出典:Google Cloud「Knowledge Catalog pricing」、2026年確認)。
Microsoft Purviewでは、2025年1月6日に従量課金モデルが適用開始となりました。課金の項目は2つで、管理対象資産数とデータガバナンス処理単位です(出典:Microsoft Learn「Billing in Microsoft Purview Data Governance」、2025〜2026年)。
価格は地域や機能で変わるため、公開単価を円換算して総額と断定しないようにします。運用人件費は請求書に出にくいものの、用語や所有者の更新が滞れば価値が下がります。そのため、月間の運用工数と、検索・調査時間の削減を比べます。
データカタログの見積もりを比較する際のポイント
合計額だけを見ると、対象範囲の差を見落とします。比べる際は、同じRFPと前提条件で見積もってもらい、WBSと単価を確認します。前提条件には、ソース数や利用者数、受入条件を含めます。
「一式」と書かれた項目では、含まれる作業や除外、前提を確認します。追加が発生したときの単価も見ておきます。
WBSによる作業範囲と前提条件の比較
作業の抜けを見つけるには、各社の工程と納品物を同じ粒度で並べます。
- 準備:現状調査、要件定義、製品選定支援。
- 構築:接続設計、コネクタ、スキャン、用語、分類、品質、リネージュ、IAM。
- 定着:テスト、教育、移行、保守。
各項目には、対象ソース数や担当、工数を記載します。納品物と受入条件も書き込みます。安価な見積と高額な見積の差分も、横並びで確認します。
たとえば、A社は接続設定を込みにし、B社は別料金としている場合、合計だけでは比べられません。B社には、テストや運用設計が多く含まれている可能性もあります。比較表には、機能の有無に加えて、数量や品質、引き継ぎ、保守範囲を記録します。
追加ソース・アセット・利用者の単価
本番化後に増えやすい費目と、数量超過時の条件を見積もりに含めます。
- 対象追加:ソース、コネクタ、資産、利用者。
- 処理追加:スキャン頻度、品質検査、プロファイリング、データプロダクト。
- 契約条件:最低期間、年度途中の変更、サポート時間、超過単価。
従量課金は、小規模時と全社展開時の月額を分けて示してもらいます。AWSはオブジェクトとクローラー、Google CloudはDCUと保存、APIを、Microsoft Purviewは管理資産と処理単位を明記します。円換算の為替や税、周辺のクラウドサービスを含めるかどうかも、条件を揃えておきます。
見えにくい移行・教育・保守費
移行品質と運用の引き継ぎを比べるため、見積もりでは登録や教育の内容を具体化します。
- 台帳移行:用語統合、所有者確認、公開範囲、現場確認。
- 教育:利用者の検索、オーナー更新、スチュワード承認、管理者の権限と監査。
- 保守:更新追随、障害、コネクタ変更、利用分析、権限の見直し。
「初期データ登録一式」とだけ書かれた見積もりでは、前提があいまいになります。登録件数や確認回数、責任分担を明記しておきます。
教育は、操作説明を一度行うだけでは足りません。保守でどの作業を担うかも、あわせて確認します。
価格以外の選定基準の点数化
価格だけで決まらないよう、技術や運用の適合性を評価表にまとめます。
- 提案評価:価格、技術適合、実績、業務理解、セキュリティ。
- 実行体制:管理、運用支援、契約条件、実作業者。
- デモ:自社用語検索、権限別表示、更新失敗からの復旧。
技術適合とセキュリティの配点は、高めにします。そのうえで、実際に作業するPMや業務調整の担当者を確認します。モデリングやクラウド、セキュリティの担当者も含めます。
提案担当と作業担当が異なる場合には、体制変更の承認条件を決めておきます。価格が近いときは、回答の具体性やリスクの提示、顧客側作業の透明性を比べます。
データカタログの外注で失敗しやすいポイント
失敗の原因は、機能不足だけではありません。目的があいまいなまま範囲を広げることや、承認者がいないこと、権限設計の後回しは、利用されない原因になります。稼働後に担当者がいない状態も、利用を妨げる要因です。
ツール選定の先行による目的と運用の後回し
製品を入れても、データの意味や責任者は自動では決まりません。用語や所有者の決まりがなければ、情報は古くなっていきます。品質基準や公開範囲、更新期限も、あらかじめ決めておく必要があります。
ツール先行の判断を避けるため、RFPとPoCに運用面の条件を加えます。
- RFP:機能だけでなく、業務ワークショップ、承認フロー、KPI、引き継ぎを提案させます。
- PoC:利用部門の検索とオーナー更新を、受入条件に含めます。
全社一括開始による合意形成と費用の膨張
全社を一括で始めると、用語の差や重複資産、古い台帳、権限の差が一度に表面化します。接続先が増えるほど、設定やテストに加えて、確認や問い合わせの量も増えます。そのため、合意形成の難航と費用の膨張を防ぐには、対象範囲と見積もりを段階に分けます。
- 対象範囲:価値とリスクが大きい一つのドメインで成功条件を確かめ、次へ展開します。
- 全社見積もり:初期、拡張、定着の段階に分け、段階ごとに中止条件を決めます。
PoCで検索時間が改善しない場合は、追加機能を積む前に方針を見直します。
カタログの表示情報と実データの混同
テーブル名やカラム名から顧客の属性が推測されることがあり、サンプル値に個人情報が含まれる場合もあります。メタデータにも、機密性があります。
閲覧権限やサンプル表示、分類タグ、実データの申請は、別々に設計します。確認には、テストデータやマスキングを使います。
本番データを委託先へ渡す場合は、取り扱いの条件を契約と作業手順に記します。
- 対象と目的:渡す項目と使う理由。
- 保管と期間:保管場所と作業期間を定める。
- 再委託と終了:二次委託の扱い、返却・消去の方法。
委託先の安全管理措置を確認し、監査や報告を受ける方法も決めます。
稼働後の更新担当とKPIの不在による利用の低下
初回スキャンで終わりではありません。システムや組織は変わり続け、担当者や品質、用語も変わっていきます。
稼働後も使われ続けるよう、更新と確認の体制を決めておきます。
- 更新ルール:オーナーとスチュワードの更新期限、通知、未対応時のエスカレーション。
- 月次確認:未設定の所有者、最終更新日、検索から利用までの状況。
- 移管範囲:運用代行を使う場合の、半年後や一年後に自社へ移す範囲。
月次報告には、利用率や問い合わせ時間、再利用の状況を含めます。品質の解決日数や運用工数も加えると、投資の根拠を示せます。
よくある質問(FAQ)
費用や発注時期、製品選定、運用体制について、委託先との打ち合わせで確認したい質問に答えます。
データカタログの発注費用は最低いくら必要ですか?
一律の公式相場はありません。3〜10ソースのPoC・小規模導入は、初期300万〜800万円程度が概算の出発点です。
金額は作業量からの推定で、製品料やクラウドの従量課金、税、追加開発、運用人件費を含むかどうかで変わります。初期費用と年間TCOは、分けて見積もります。
製品選定から委託先に任せても問題ありませんか?
依頼はできます。ただし、既存クラウドやデータ量、利用者、セキュリティに加えて、運用人材や将来のマルチクラウド方針は、自社で整理します。
販売会社に加えて、中立的な支援会社や、運用まで支援できるSIerにも相談します。製品の選定理由や代替案、解約時の返却条件は、提案書に記載してもらいます。
データカタログのPoCでは何を確認すればよいですか?
代表的な3〜10ソースをつないだうえで、利用部門が試します。確認するのは、用語検索や所有者、権限、更新失敗の通知です。品質やリネージュ、アクセス申請も対象になります。
検索時間や目的データへの到達率、用語の登録・承認工数、月間の運用負荷を測り、本番化を判断します。判断の基準は、画面の見栄えや機能数ではなく、自社データと利用者で再現できるかです。
データカタログの運用も外部へ委託できますか?
委託は可能です。クロール設定や障害対応、用語登録の事務局を含められます。品質ルールや月次報告、権限の見直しも、委託範囲に含められます。
用語の意味や公開範囲、オーナー任命、品質問題の優先順位は、自社が最終判断します。外部委託は、運用をなくす手段ではなく、役割を分ける方法です。
まとめ
発注前には、課題と対象ドメイン、利用者、資産を整理します。MUSTとWANT、権限、運用責任も決めておきます。方式を比べたうえで、要件・PoCは準委任、明確な設定は請負、製品と運用は別契約にすると、費用と責任を管理できます。
発注前に揃えるべき三つの情報
RFPの前提を揃えるため、まず、改善したい業務とKPIを整理します。ソース数や資産数、個人情報、接続条件を書き出し、オーナーやスチュワード、管理者の役割も決めておきます。同じ条件で見積もりを比べやすくなります。
最初の一歩:小さなPoCのRFP作成
小規模なPoCで対象範囲と費用を定め、候補先へ同じ条件で依頼します。
- 対象は、3〜10ソースと一つの業務ドメイン。
- 検証項目は、検索、用語、所有者、権限、更新、リネージュ。
- 費用の目安は300万〜800万円程度で、対象と作業量に応じて見積もります。
候補先には、初期費用や従量課金、保守、教育を含めて提示してもらいます。返却や再委託、国外処理も、同じように示してもらいます。実際に使ってみて価値を確かめてから段階的に広げると、不要なコストを抑えられます。
データカタログは、データを探して意味を揃え、責任を持って再利用する業務基盤です。技術、業務ルール、運用体制を一体で設計します。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
