ECリニューアルの事例/成功事例について

ECリニューアルは、古いUI/UXと購入導線を刷新して、CVRや売上を伸ばす経営施策です。

成功事例に共通するのは、リニューアルの目的をCVRや売上、顧客体験の改善に置いている点です。企画の参考として、各事例の取り組みを順に見ていきましょう。全体像はECリニューアルの完全ガイドもご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・ECリニューアルの完全ガイド

ECリニューアルで成果が出る事例の共通点

離脱箇所の把握から公開後の検証まで、4段階のEC改善サイクルを示す図。
計測の結果が次の打ち手へ戻る形です。

ECリニューアルの成功事例を分析すると、成果を上げた企業には共通点が見えてきます。各社は、デザインの見た目より、CVRや売上、顧客体験の改善を目的にしています。

見た目だけを変えても売上につながりにくく、動線の変更で既存顧客が離脱するリスクもあります。こうした失敗を避けるため、成果事例ではUI/UXの課題を数値で捉え、購入導線を作り直しています。

CVR・売上を起点にした課題の定義

購入導線のどこを改めるべきかを判断するには、現状把握から公開後の計測まで一貫して見ることが欠かせません。

  • 離脱箇所の把握:解析やヒートマップで、離脱ページと購入完了前の離脱率を洗い出す
  • 改善要因の評価:表示速度、フォーム項目数、商品検索のしやすさをデータで比べる
  • KPIの設定:CVRを何%改善するか、カゴ落ち率を何ポイント下げるかという目標値
  • 公開後の検証:A/Bテストで、ボタンの文言や配置、商品ページを調整する

Googleの調査では、表示速度が1秒から3秒に遅くなると、直帰率が32%増加します。そのため、経営層や担当者の「なんとなく古い」という主観だけで、デザインの方向を決めるのは避けたいところです。

離脱の多いページや、カゴ落ちが集中する決済ステップを、数値で特定します。そのうえで、その箇所を重点的に作り直します。

データで改善点を絞れば、限られた予算を効果の高い箇所に振り向けられ、投資対効果も高まります。

公開後もKPIを継続して計測し、データを見ながら改善を続けます。リニューアルは、A/Bテストを重ねて効果を伸ばしていく継続的なプロセスです。

スマホUXの徹底改善

スマホで購入を完了しやすくするには、操作と購入手続き、商品の伝え方を合わせて見直す必要があります。

  • 操作性:片手で押せる大きさのボタンと、固定購入ボタンを用意する
  • 購入手続き:郵便番号での住所補完やゲスト購入を設け、カード以外の決済にも対応して入力フォームを簡単にする
  • 商品情報:複数角度の画像、着用イメージ、動画レビューの充実

アクセス全体の60〜70%以上がスマートフォン経由というECサイトも一般的です。そのため、PC向けの設計を引きずらず、画面上の情報で、実店舗で商品を手に取れない不安を補うことが大切です。

こうした改善は、スマホ利用者の離脱を防ぐ効果があります。とくに、スマホファーストの改修は投資対効果が見えやすい取り組みです。さらに、成功事例は画面上の見せ方も工夫し、購入判断を支える情報設計まで作り直しています。

ポイント

リニューアルの目的が、見た目よりもCVRや売上の改善に置かれているかが判断の目安になります。目的が定まったら、離脱箇所とKPIを数値で押さえてから手を入れるとよいでしょう。

BtoC ECリニューアルの成功事例

EC売上比率17%から27%への変化と、売上構成・商品訴求・購入体験の3項目を示す図。
事業のオンライン主導化を複数の施策で支えています。

消費者向けのBtoC ECでは、デザインや購入体験を刷新して、売上比率や商圏を広げた事例が多く見られます。

システムの作り直しや新サイトの立ち上げで成果を上げた代表例を紹介します。いずれも、売上というビジネス指標の改善につながった事例です。

EC売上比率を17%から27%に引き上げた事例

ABCファンライフは、システムをリプレースして新サイトを立ち上げました。使いやすいECを構築したことで、テレビ通販中心だった事業をオンライン主導へ移しました。

  • 売上構成:EC売上比率を17%から27%へ引き上げた
  • 商品訴求:魅力を伝える商品ページを作り込んだ
  • 購入体験:リピート導線や決済、会員登録を改善した

この事例は、事業の成長をどこで生むかを切り替えたものです。自社の売上構成をどう変えるかを先に定めておくと、投資判断の説得力が高まります。

商圏を全国へ拡大したECモール立ち上げ事例

京阪百貨店はECモール「よろずを継ぐもの」を立ち上げ、関西圏に限られていた商圏を全国へ広げました。購入比率は、関西圏で25%、東京で20%となりました。

  • ブランド体験:店舗の信頼とブランド力をECで表現する
  • ページ設計:商品の見せ方とストーリー性への投資
  • 商圏拡大:百貨店ならではの目利きやセレクトを訴求する

店舗に来ていた常連客だけでなく、商品を知らなかった遠方の顧客にも届けることが、全国展開の課題です。

地域の事業者が全国を目指すときにも参考になる事例です。自社の強みをオンラインで表現し直せば、価格競争を避けながら新たな顧客を獲得できます。

ポイント

売上構成や商圏をどこまで広げたいかを先に決められているかが、BtoCの改善の方向を見極める目安です。見せ方と購入体験を一緒に見直せるかも、確認したい点になります。

BtoB・OMO戦略によるECリニューアル事例

ECリニューアルの効果は、消費者向けのBtoCだけでなく、BtoB-ECやOMO(Online Merges with Offline)でも現れています。

新たな顧客層の獲得や、実店舗とオンラインの体験統合につながった事例を取り上げます。

BtoB-EC立ち上げで2年で会員10万人を突破した事例

機械工具などを扱う山善は、BtoB向けEC「山善ビズコム」を立ち上げ、2年で会員10万人を突破しました。

電話やFAX、営業担当者を介していた受発注を、オンラインで完結する使いやすいECに刷新し、新たな顧客層を取り込みました。

  • 発注:必要な商品を見つけやすく、24時間注文できる
  • 再注文:注文履歴から簡単に再発注できる
  • 業務対応:見積もりや承認フローに対応する

BtoB-ECでは、BtoCと違って業務効率と発注のしやすさが購入体験の中心です。担当者がストレスなく注文できる設計が、リピート利用と会員拡大を後押しします。

使いやすいECへ移ることで、顧客企業と自社の双方に効率化の利点が生まれます。さらに、UIの使いやすさは取引の継続率にも関わります。

BtoB取引は、定着すると継続して発生します。そのため、初回の発注体験が長期的な取引額を左右します。発注しやすさへの投資が会員数に表れたのが、この事例の特徴です。

実店舗とECを融合させたOMO型リニューアル事例

実店舗を持つ事業者では、オンラインと店舗の顧客体験を統合するOMO戦略が成果を生んでいます。

アパレル事業者のラウンドアバウトは、店舗ごとにInstagramを運用しています。どちらで買っても一貫したサービスを提供できるよう、顧客データも共有しています。

  • 会員情報:ポイントを実店舗とECで統合する
  • 在庫表示:店舗在庫をオンラインで見られるようにする
  • 集客:SNSと連動して顧客との接点を増やす

ECを実店舗の延長として設計し、顧客がチャネルを意識せずに買い物できる体験を目指します。リピート率や顧客生涯価値を高めたい企業にとって、OMOは選択肢の一つになります。

ポイント

担当者の発注のしやすさと業務への対応が、取引の継続につながるかが判断の目安になります。BtoCの考え方を当てはめるだけでなく、取引が続く仕組みとして考えるとよいでしょう。

事例から学ぶリニューアル成功のポイント

ECリニューアルのパートナー選定で確認する支援範囲・領域連携・課題理解の図。
3つの観点を揃えると支援体制を見比べやすくなります。

ここまでの成功事例から、自社のECリニューアルに活かせる共通点を整理します。

成果を上げた企業は、「誰の、どの体験を、どう変えるか」を明確にしています。デザイン刷新を手段と位置づけ、売上・CVR・顧客体験の改善を目指す点が、失敗例との違いです。

顧客ターゲットの拡張

既存顧客の利便性だけでなく、新しい顧客層に届く設計も、投資対効果を高めます。事例では、山善が新たな顧客層を取り込み、京阪百貨店が商圏を広げています。

  • 顧客の特定:今のサイトで取りこぼしている顧客を洗い出す
  • 対象の明確化:スマホユーザーや地方の顧客を候補に入れる
  • 方向性の設定:オフラインだけで接点があった層も含めて検討する

拡張したい対象を明確にすると、リニューアルの方向性とKPIが定めやすくなります。

戦略から伴走できるパートナーの選び方

ECリニューアルは、複数の領域にまたがります。目的設定から公開後まで一貫して支援できる体制があれば、手戻りを抑えて成果を安定させられます。

  • 支援範囲:要件定義、デザイン、開発、公開後の改善のうち、どこまでを担うか
  • 領域連携:会社ごとに別々に発注すると生じる、認識のずれを避ける
  • 課題理解:事業課題と施策の優先順位の共有

デザイン会社、システム会社、マーケティング会社は、担当する領域がそれぞれ異なります。そのため、事業理解から一緒に進めてくれるパートナーを選ぶことが大切です。

riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援しています。IT事業会社として社内DXを推進した経験を活かし、ビジネス成果とシステム定着の両方を支えています。

ECリニューアルでも、売上やCVRから逆算した企画と設計・開発を支えます。着手点に迷う場合は、課題の整理から相談できます。

ポイント

パートナーは、要件定義から公開後の改善まで、どこまでを担うかで比べるのが目安です。顧客ターゲットをどこまで広げるかと合わせて決めると、判断の軸がはっきりします。

まとめ

ABCファンライフはEC売上比率を17%から27%へ伸ばし、京阪百貨店は全国へ商圏を広げました。山善ビズコムは2年で会員10万人を突破し、ラウンドアバウトはOMOに取り組みました。

成果を出すには、CVRの課題をデータで特定し、スマホUXを改善して、新たな顧客層へ届けることが欠かせません。

まず、誰の体験をどう変え、どの指標を改善するかを明確にします。そのうえで、戦略から開発、公開後の改善まで伴走するパートナーと進め、現状サイトの課題整理から始めてください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。