ECサイトのリニューアルは、単にデザインを新しくするだけの作業ではありません。古くなったUI/UXを刷新し、購入までの動線を作り直すことで、コンバージョン率(CVR)や売上を大きく引き上げる経営施策です。「売上が頭打ちになってきた」「スマートフォンで見ると使いづらく、離脱が多い」「競合サイトと比べてデザインが古く見える」といったお悩みから、ECリニューアルを検討される企業が増えています。しかし、どのような企業がどのようにリニューアルし、どれだけの成果を上げたのか、具体的な成功事例を知りたいという声を多くいただきます。
本記事では、ECサイトのリニューアルによってCVRや売上を改善した成功事例を、施策の中身とともに具体的に解説します。BtoC・BtoBそれぞれの事例から、UI/UX改善・OMO戦略・スマホ最適化といった切り口で「何を変えると成果が出るのか」を読み解いていきます。リニューアルの全体像から費用感、進め方までを体系的に把握したい方は、あわせてECリニューアルの完全ガイドもご覧ください。自社のリニューアル企画を具体化するヒントとして、ぜひ最後までお役立てください。
▼全体ガイドの記事
・ECリニューアルの完全ガイド
ECリニューアルで成果が出る事例の共通点

ECリニューアルの成功事例を分析すると、成果を上げた企業にはいくつかの共通点が見えてきます。それは「デザインを新しくすること」自体を目的にせず、CVRや売上、顧客体験といった明確な経営指標の改善を目的に据えている点です。見た目の刷新だけで終わったリニューアルは、一時的に印象は良くなっても売上にはつながりにくく、むしろ動線が変わって既存顧客が離脱するリスクすらあります。成果が出る事例は、UI/UXの課題を数値で把握したうえで、購入までの導線を作り直しているのが特徴です。
CVR・売上を起点に課題を定義している
成功事例に共通するのは、リニューアルの前にアクセス解析やヒートマップを使い、「どのページで離脱が多いのか」「カート投入から購入完了までの離脱率はどれくらいか」を定量的に把握している点です。たとえばGoogleの調査では、ページの表示速度が1秒から3秒に遅くなるだけで直帰率が32%増加することが示されています。表示速度やフォームの入力項目数、商品検索のしやすさといった一つひとつの要素がCVRに直結するため、感覚ではなくデータに基づいて改善箇所を特定することが重要です。
失敗するリニューアルでありがちなのは、経営層や担当者の「なんとなく古い」という主観だけを起点に、デザインの方向性を決めてしまうことです。これに対し、成果を上げた企業は、離脱の多い具体的なページや、カゴ落ちが集中している決済ステップを数値で突き止めたうえで、そこを重点的に作り直しています。改善の対象が明確であれば、限られた予算をもっとも効果の高い箇所に集中投下でき、投資対効果が大きく高まります。
成果を上げた企業は、リニューアル後に「CVRを何%改善する」「カゴ落ち率を何ポイント下げる」といった具体的なKPIを設定し、公開後も継続的に計測と改善を繰り返しています。リニューアルは公開して終わりではなく、データを見ながら磨き込んでいくプロセスだという認識が、成果を分ける大きな分岐点になっています。公開後にA/Bテストを重ね、ボタンの文言や配置、商品ページの構成を少しずつ最適化し続けることで、リニューアルの効果はさらに伸びていきます。
スマホUXの徹底改善に踏み込んでいる
現在のECサイトでは、アクセス全体の60〜70%以上がスマートフォン経由になっているのが一般的です。それにもかかわらず、PC向けの設計を引きずったまま運用しているECサイトは少なくありません。成果が出たリニューアル事例の多くは、スマホでの片手操作を前提に、ボタンの大きさ・商品画像の見せ方・購入ボタンの固定表示・入力フォームの簡略化といったモバイルUXに徹底的に踏み込んでいます。
たとえば、住所入力の郵便番号からの自動補完、クレジットカード以外の多様な決済手段の追加、ゲスト購入の導入といった改善は、いずれもスマホユーザーの離脱を防ぐ効果が高い施策です。スマホファーストでの作り直しは、もっとも投資対効果が見えやすいリニューアルの王道といえます。
さらに、成功事例ではスマホでの「見せ方」にも工夫が凝らされています。小さな画面でも商品の魅力が伝わるよう、複数の角度から撮影した商品画像、サイズ感が分かる着用イメージ、動画によるレビューといったコンテンツを充実させています。実店舗で手に取れない不安を、スマホ画面上の情報量で補うことが、購入の後押しにつながります。デザインの刷新とは、単に色や配置を変えることではなく、こうした購入判断を支える情報設計まで含めて作り直すことだと理解しておくとよいでしょう。
BtoC ECリニューアルの成功事例

消費者向けのBtoC ECでは、リニューアルによってデザインや購入体験を刷新し、売上比率や商圏を大きく拡大した事例が多数あります。ここでは、システムの作り直しと新サイト立ち上げによって明確な成果を上げた代表的な事例を紹介します。いずれも、見た目の刷新だけでなく、売上というビジネス指標の改善に直結している点が共通しています。
EC売上比率を17%から27%に引き上げた事例
テレビ通販を主力とするABCファンライフの事例は、ECリニューアルによる売上構成の転換を象徴するものです。同社はシステムのリプレースと新サイトの立ち上げを行い、EC売上比率を17%から27%へと大きく引き上げました。テレビ通販という従来チャネルに依存していた事業構造を、使いやすいECサイトの構築によってオンライン主導へとシフトさせた点が成果のポイントです。
この事例が示すのは、リニューアルが単なる延命措置ではなく、事業の成長エンジンを切り替える戦略的な投資になり得るということです。商品の魅力を伝える商品ページの作り込み、リピート購入を促す導線設計、決済や会員登録のスムーズ化といった購入体験の改善が、EC売上比率という経営指標の改善として結実しています。リニューアルを検討する際は、こうした「売上構成をどう変えたいか」という視点を持つことが、投資判断の説得力を高めます。
商圏を全国へ拡大したECモール立ち上げ事例
京阪百貨店は、ECモール「よろずを継ぐもの」を立ち上げることで、これまで関西圏に限られていた商圏を全国へと拡大した事例です。リニューアル後、関西圏で25%、東京で20%といった購入比率を実現し、地理的な制約を超えて新たな顧客層を獲得しました。百貨店という実店舗の信頼とブランド力を、ECサイトの体験設計に落とし込むことで成果につなげています。
この事例のポイントは、既存の店舗ブランドが持つ強みをオンラインでも活かせるように、商品の魅力的な見せ方やストーリー性のあるページ設計に投資した点にあります。単に商品を並べるだけのECではなく、ブランド体験を再現するサイト設計が、新たな商圏での支持を獲得する原動力となりました。地域に根ざした事業者がECリニューアルで全国展開を狙う際の、参考になる成功パターンといえます。
地域の事業者がECで全国展開を目指す場合、これまで店舗に足を運んでいた常連客だけでなく、その商品の存在を知らなかった遠方の顧客にどう届けるかが課題になります。京阪百貨店の事例は、百貨店ならではの目利きやセレクトという付加価値を、ECサイトのコンセプトやページ構成に落とし込むことで、価格競争に巻き込まれずに新たな顧客を獲得できることを示しています。リニューアルを単なるシステム更新ではなく、自社の強みを再定義してオンラインで表現し直す機会と捉えることが、成果を生む発想の転換といえます。
BtoB・OMO戦略によるECリニューアル事例

ECリニューアルの効果は、消費者向けのBtoCだけにとどまりません。企業間取引のBtoB-ECや、実店舗とオンラインを融合させるOMO(Online Merges with Offline)戦略においても、リニューアルが大きな成果を生んでいます。ここでは、顧客ターゲットの拡張と顧客体験の統合によって売上を伸ばした事例を紹介します。
BtoB-EC立ち上げで2年で会員10万人を突破した事例
機械工具などを扱う山善は、BtoB向けECサイト「山善ビズコム」を立ち上げ、わずか2年で会員10万人を突破しました。BtoBの取引は従来、電話やFAX、営業担当者を介した受発注が中心でしたが、これをオンラインで完結できる使いやすいECへと刷新したことで、新たな顧客層を一気に取り込んだ事例です。発注のしやすさ、再注文の簡便さ、見積もり機能といったBtoB特有のニーズに応えるUI設計が成果につながっています。
BtoB-ECのリニューアルでは、BtoCとは異なり「業務効率」と「発注のしやすさ」が購入体験の中心になります。担当者がストレスなく必要な商品を見つけ、過去の注文履歴から再発注でき、承認フローにも対応できるといった機能設計が、リピート利用と会員数の拡大を後押しします。BtoBだからこそ、UIの使いやすさが取引継続率に直結するという点を示す好例です。
山善ビズコムの成功が示すのは、これまで営業担当者の人手に頼っていた受発注業務を、使いやすいECに置き換えることで、顧客企業と自社の双方に効率化のメリットが生まれるということです。顧客は24時間いつでも発注でき、自社は受注処理の工数を削減できます。BtoBの取引は一度定着すると継続的に発生するため、最初の発注体験をいかにスムーズにするかが、長期的な取引額の拡大を左右します。BtoB-ECのリニューアルを検討する企業にとって、発注のしやすさへの投資が会員数という形で成果に表れた、示唆に富む事例といえます。
実店舗とECを融合させたOMO型リニューアル事例
実店舗を持つ事業者のECリニューアルでは、オンラインとオフラインの顧客体験を統合するOMO戦略が成果を生んでいます。たとえばアパレル事業者のラウンドアバウトでは、実店舗とECのポイントを統合し、店舗ごとにInstagramを運用して顧客との接点を増やす取り組みを行っています。ECサイトと実店舗が顧客データを共有することで、どちらのチャネルで購入しても一貫したサービスを受けられる体験を実現しています。
OMO型のリニューアルでは、ポイントや会員情報の統合、店舗在庫のオンライン表示、SNSと連動した集客といった施策が中心になります。ECサイトを「実店舗の延長」として位置づけ、顧客がチャネルを意識せずに買い物を楽しめる体験を作ることが、リピート率と顧客生涯価値の向上につながります。実店舗を持つ強みを活かしたいと考える企業にとって、OMOを軸にしたリニューアルは有力な選択肢です。
事例から学ぶリニューアル成功のポイント

これまで紹介した成功事例から、自社のECリニューアルに活かせる共通のポイントを整理します。成果を上げた企業は、いずれも「誰の、どの体験を、どう変えるのか」を明確にしたうえでリニューアルに取り組んでいます。デザインの刷新を手段として捉え、最終的なゴールを売上・CVR・顧客体験の改善に置いている点が、失敗するリニューアルとの決定的な違いです。
顧客ターゲットの拡張を狙う
成功事例に共通するもう一つの視点が、リニューアルを通じた顧客ターゲットの拡張です。山善はBtoB-ECで新たな取引先を獲得し、京阪百貨店は関西圏から全国へと商圏を広げました。既存顧客の利便性を高めるだけでなく、これまでアプローチできなかった新しい顧客層に届く設計を盛り込むことで、リニューアルの投資対効果は大きく高まります。
自社のリニューアルを企画する際は、「今のサイトでは取りこぼしている顧客は誰か」を考えることが有効です。スマホユーザー、地方の顧客、これまでオフラインでしか接点のなかった層など、拡張余地のあるターゲットを明確にすることで、リニューアルの方向性とKPIが定まりやすくなります。
戦略から伴走できるパートナーを選ぶ
成功事例の裏側には、リニューアルの目的設定から要件定義、デザイン、開発、公開後の改善までを一貫して支援できるパートナーの存在があります。ECリニューアルは、デザイン会社・システム会社・マーケティング会社など複数の領域にまたがるため、それぞれを個別に発注すると認識のズレや手戻りが起きやすくなります。事業の課題理解から施策の優先順位づけまで伴走できる体制があると、リニューアルの成果は安定します。
riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。ECリニューアルにおいても、売上・CVRというゴールから逆算した企画と、それを実現する設計・開発を一貫して支援できる体制を整えています。自社のリニューアルで何から着手すべきか迷われている場合は、課題の整理から相談いただけます。
まとめ

本記事では、ECサイトのリニューアルによってCVRや売上を改善した成功事例を、施策の中身とともに解説しました。ABCファンライフのEC売上比率17%から27%への向上、京阪百貨店の全国への商圏拡大、山善ビズコムの2年で会員10万人突破、ラウンドアバウトのOMO型リニューアルといった事例は、いずれもデザインの刷新を手段に、売上・顧客体験という経営指標の改善を実現しています。成果が出る事例の共通点は、データに基づいてCVRの課題を特定し、スマホUXを徹底改善し、顧客ターゲットを拡張している点にありました。
自社のECリニューアルを成功させるためには、見た目を新しくすること自体を目的にせず、「誰の、どの体験を、どう変えて、どの指標を改善するのか」を明確にすることが第一歩です。そのうえで、戦略から開発・公開後の改善まで一貫して伴走できるパートナーと進めることで、紹介したような成果につながりやすくなります。ECリニューアルをご検討の際は、まず現状サイトの課題整理から着手し、信頼できるパートナーへの相談から始めてみてください。
株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
