eラーニングシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、教育・研修のオンライン化が急速に進みました。リモートワークの普及と相まって、企業の社員研修、資格・スキル教育、学校・専門学校の授業配信、官公庁の職員研修など、あらゆる場面でeラーニングの活用が定着しています。市場規模は国内外で拡大を続けており、自社独自のeラーニングシステム(LMS)を構築することで、既製品では実現できない学習体験の提供、受講データの詳細分析、ブランディングの強化が可能になります。

しかし、「eラーニングシステムをどのように開発すればよいのか」「どの工程で何を決めるべきなのか」について体系的に理解している担当者は多くありません。本記事では、eラーニングシステム開発の全体像・機能・開発工程・重要ポイントを網羅的に解説します。初めてシステム開発を検討している方から、既存システムのリプレースを考えている方まで、幅広くご参考いただける内容です。

本テーマに関する全体ガイドは、以下の記事をご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・eラーニングシステム開発の完全ガイド

eラーニングシステムの全体像と種類

eラーニングシステムの全体像と種類

eラーニングシステムとは、インターネットを通じて学習コンテンツを配信し、受講者の学習進捗・テスト結果・修了状況を管理するシステムの総称です。企業研修での活用(コンプライアンス教育・新人研修・スキルアップ研修)、教育機関でのオンライン授業配信、資格取得支援プラットフォームなど、用途は多岐にわたります。システムの規模も、数十名の社内利用から数万名の受講者を抱える大規模プラットフォームまでさまざまです。

eラーニングシステムの代表的な機能

eラーニングシステムに搭載される主要機能は以下の通りです。コース管理機能では、動画・PDF・スライド・テキストなどのコンテンツをカリキュラム順に配置し、受講者が順序通りに学習できるよう制御します。受講者管理機能では、ユーザーアカウントの作成・部署・グループへの割り当て・受講権限の設定を行います。進捗追跡機能では、各コースの受講率・視聴時間・最終受講日をリアルタイムに記録・表示します。テスト・アセスメント機能では、選択式・記述式・穴埋め式など多様な問題形式に対応し、合格ラインを設定して自動採点することができます。修了証明書発行機能では、コース修了者に対してPDF形式の修了証を自動発行します。さらに、SCORM(Sharable Content Object Reference Model)やxAPIへの対応により、外部で作成したコンテンツをシステムにインポートしてその学習データを記録することも可能です。

LMS・LXP・CMSの違い

LMS(Learning Management System)は学習管理システムの総称で、コース配信・受講管理・進捗追跡・テスト・レポートといった機能を中心に構成されます。企業研修や教育機関での正式なカリキュラム管理に多く使われます。LXP(Learning Experience Platform)はLMSを進化させた概念で、AIレコメンデーションによる個人最適化学習、SNSライクなソーシャル学習機能、学習者自身がコンテンツを投稿・共有できる双方向性が特徴です。CMS(Content Management System)はWebサイトのコンテンツ管理が主目的で、eラーニングとの直接の親和性は低いですが、WordPressにeラーニングプラグインを組み合わせて簡易的な学習サイトを構築するケースもあります。開発の目的と運用体制に合わせて、どの形態を採用するか最初に明確化することが重要です。

eラーニングシステム開発の工程と流れ

eラーニングシステム開発の工程と流れ

eラーニングシステムの開発は、要件定義・基本設計・詳細設計・開発・テスト・コンテンツ移行・リリース・運用保守という工程で進むのが一般的です。コンテンツ制作(動画撮影・編集・スライド作成)がシステム開発と並行して進む点が、他のシステム開発と大きく異なります。開発期間の目安は、小規模なシステムで3〜5ヶ月、中〜大規模では6〜12ヶ月以上が標準的です。

要件定義フェーズが成否を決める

要件定義では、まず「誰に・何を・どのように学ばせるのか」という学習目標を明確化することから始めます。対象受講者の属性(社員・学生・一般ユーザー)、想定受講者数、利用するデバイス(PC・スマートフォン・タブレット)、コンテンツの形式(動画・PDF・インタラクティブコンテンツ)、テストの必要性、管理者ダッシュボードで見たいデータを整理します。SCORM/xAPI対応が必要かどうか、外部の人事システム・SSOとの連携有無も要件定義段階で明確にしておく必要があります。要件定義の品質が開発全体の方向性を決めるため、現場の教育担当者・IT担当者・経営層の三者が合意した要件書を作成することを強くお勧めします。

設計・開発フェーズのポイント

設計フェーズでは、学習者が直感的に操作できるUI/UXデザインが特に重要です。コース一覧画面・受講画面・テスト画面・マイページ(受講履歴・修了証確認)の導線を丁寧に設計し、プロトタイプを用いた早期のユーザー検証を実施することが推奨されます。動画プレイヤーの実装では、再生速度変更・字幕表示・章ごとのシーク・視聴位置の保存機能が受講者体験を大きく向上させます。クイズ・インタラクションでは、問題の分岐ロジック(正解した場合は次のステップへ、不正解の場合は復習コンテンツへ誘導)を開発段階で細かく実装します。SCORMランタイム通信の実装は技術的な難易度が高いため、経験のある開発者をアサインすることが重要です。

テスト・コンテンツ移行・本番稼働

テストフェーズでは、ブラウザ・デバイス・OSの組み合わせを網羅したクロスブラウザ・クロスデバイステストが必須です。動画再生の途切れ・テスト採点の誤り・進捗データの記録ミスは受講者の信頼を大きく損なうため、UAT(ユーザー受け入れテスト)では実際の学習シナリオに沿った検証を徹底します。コンテンツ移行では、既存のPPTやPDF、旧システムの動画ファイルを新システムの形式に変換・アップロードします。SCORMパッケージの変換作業や動画のエンコード処理は工数がかかるため、移行スケジュールを早めに計画しましょう。本番稼働後は受講者へのログイン案内・操作マニュアルの配布・ヘルプデスクの設置で円滑なスタートを切ることが重要です。

eラーニングシステム開発の重要ポイント

eラーニングシステム開発の重要ポイント

eラーニングシステムの開発で成否を分ける重要ポイントは、技術面だけでなく運用・体験設計にも及びます。いくら機能が豊富でも、受講者が使いにくいシステムでは学習効果が上がりません。以下で特に注意すべき観点を解説します。

マルチデバイス対応とアクセシビリティ

eラーニングはスキマ時間の学習に活用されることが多く、スマートフォン・タブレット・PCのいずれからでも快適に受講できるレスポンシブデザインが必須です。動画コンテンツはモバイル回線での視聴を考慮し、画質を自動調整するアダプティブビットレートストリーミング(HLS/DASH)の採用を検討しましょう。アクセシビリティの観点では、字幕・音声読み上げ対応・色覚バリアフリーなカラー設計が、障害を持つ受講者や多様な学習環境への配慮として重要です。特に官公庁や教育機関では、JIS X 8341-3(Webアクセシビリティ規格)への準拠が求められるケースがあります。

スケーラビリティと同時接続数対応

企業の全社研修や試験など、受講者が特定の時間帯に集中するケースでは、同時接続数への対応が重要な設計上の課題となります。動画ストリーミングは特にサーバー負荷が高くなるため、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)の活用によるコンテンツ配信の分散、オートスケーリング対応のクラウドインフラ構成が有効です。負荷テスト(想定ピーク時の同時接続数を模擬したテスト)を本番稼働前に必ず実施し、ボトルネックを事前に特定・解消しておくことがシステムの安定稼働につながります。将来的な受講者数の増加(数百名→数千名→数万名)に対しても、追加コストを最小化しながらスケールアウトできるアーキテクチャ設計が求められます。

開発手法の選び方

eラーニングシステムの開発手法選び方

eラーニングシステムの開発手法は大きく「スクラッチ開発」「パッケージ(Moodle等)のカスタマイズ」「SaaS型eラーニングの活用」の3つに分類されます。それぞれにメリット・デメリットがあり、自社の予算・スケジュール・独自要件の複雑さによって最適な選択肢が異なります。

スクラッチ開発 vs パッケージ(Moodle等)活用

スクラッチ開発は自社独自のUI・機能・ビジネスロジックを完全に実装できるため、競合サービスとの差別化や特殊な業務フローへの対応に優れます。ただし開発期間・費用ともに大きくなる傾向があり、費用は300万〜数千万円、期間は6ヶ月〜1年以上が目安です。一方、MoodleはオープンソースのLMSとして世界で最も広く使われており、SCORM対応・多言語・豊富なプラグインが標準で利用できます。Moodleをベースにしたカスタマイズ開発は、スクラッチと比べて開発コストを30〜50%削減できるケースが多く、教育機関や中規模企業に特に向いています。ただし、Moodleの内部構造に精通した開発者が必要であり、大幅なUI刷新や特殊な機能追加には限界がある点に注意が必要です。

SaaS型eラーニングとの比較

SaaS型eラーニング(Udemy Business・TalentLMS・LearnWorlds・SuccessFactors Learning等)は、月額・年額のサブスクリプション料金を支払うことで即座に利用開始できるため、初期開発費用がゼロです。導入スピードが最も速く(数日〜数週間)、システム管理の手間もかかりません。ただし、自社ブランドでの提供に制限がある場合や、独自の採点ロジック・人事システムとの深い連携が難しいケースがあります。受講者数や使用コンテンツ数によっては月額費用が高額になることもあります。「まずは低コストで試したい」「標準機能で十分」という場合はSaaSを選択し、規模拡大や独自要件の増加に合わせてスクラッチ開発やMoodle活用に移行するというアプローチも有効です。

eラーニングシステムの開発は、学習目標の明確化から始まり、適切な開発手法の選定、丁寧な要件定義・設計・テストを経て初めて成功します。コンテンツ制作とシステム開発を並行して進めるプロジェクト管理の複雑さもあるため、eラーニングシステムの開発実績が豊富な開発会社と連携することが、プロジェクトを成功に導く最も確実な方法です。開発の進め方について不明な点があれば、早い段階でプロの開発会社に相談することをお勧めします。

eラーニングシステム開発プロジェクトの進め方

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株式会社riplaでは、IT事業会社出身のプロフェッショナルが「Impact-Driven型支援」を通じて、プロダクトやシステムの納品・提供を目的とせず、お客様と同じ目線で、事業成果の達成をゴールとして、高品質なDX/開発支援をいたします。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。IT事業会社出身のプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、「Impact-Driven型支援」を掲げ、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の実現に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。