Electronのシステム開発費は、簡易な業務ツールなら100万〜300万円、既存Webシステムのデスクトップ化なら300万〜800万円、外部連携やオフライン対応を含む業務クライアントなら800万〜2,000万円程度が一つの目安です。
ただし、これはElectronの利用料ではなく、画面開発、API連携、認証、端末配布、セキュリティ、テスト、保守までを含めたシステム開発費の目安です。この記事では、2026年時点で確認できる一般的な業務システム相場とElectron公式情報をもとに、費用の内訳、価格が上がる要因、見積もりの比較方法、コストを抑える進め方を詳しく解説します。
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・Electronのシステム開発の完全ガイド
Electronのシステム開発費はどのくらいですか?

Electronのシステム開発費は、作る画面数だけでなく、どの業務をどの端末で、どの外部システムとつなぎ、どの品質で運用するかによって決まります。ブラウザ画面を1つのアプリにまとめるだけなら比較的短期間で進められますが、店舗や倉庫で使う業務システムになると、通信断からの復旧や機器連携まで設計する必要があります。
規模別の費用相場と開発期間
技術検証や簡易MVPは100万〜300万円、期間は1〜2か月程度が目安です。対象OSを1つに絞り、主要画面を数画面に限定し、データをローカルに保存する構成であれば、この価格帯に収まりやすくなります。既存WebシステムをElectronで包み、ログイン、通知、ファイル出力、基本的な配布までを行う社内業務ツールは、300万〜800万円、2〜4か月程度が一つの目安です。
受注・在庫・商品管理などをEC、POS、CRM、WMSと連携するクライアントは、800万〜2,000万円、4〜8か月程度を想定します。オフライン同期、バーコードやプリンター、複数拠点、監査ログまで含める店舗・倉庫向けシステムでは、1,500万〜3,500万円、6〜12か月程度まで広がる可能性があります。全社基幹連携やデータ移行、24時間運用、冗長化まで含める場合は、3,000万円〜1億円以上、12〜18か月以上になることもあります。
相場を見るときに注意したい前提
イー・ジーシステム株式会社が2026年6月に公開したシステム開発費の整理では、中小企業向け業務系システムは小規模100万〜300万円、中規模300万〜800万円、大規模800万円〜数千万円とされています(出典:イー・ジーシステム株式会社「システム開発の費用相場と見積書の読み方」、2026年)。このレンジはElectron専用の価格表ではありませんが、業務機能と外部連携を持つElectronシステムの初期予算を考える土台になります。
また、システム開発の費用は人月単価、必要工数、サーバーやライセンスなどの付帯費用で決まるという整理もあります。したがって、「Electronだから安い」「Electronだから高い」と決めつけるのではなく、Web資産を再利用できる範囲と、デスクトップ固有の追加実装を分けて見積もることが大切です。
Electronのシステム開発費の内訳は何ですか?

見積書では、Electronの画面実装だけでなく、要件定義からリリース後の運用までを工程別に確認します。特に業務システムでは、画面よりもデータ連携、権限、同期、障害時の復旧に工数がかかる場合があります。費用を判断するときは、総額の大小よりも、どの作業が含まれ、何が別料金になっているかを読み取ることが重要です。
要件定義・業務設計・UI設計の費用
要件定義では、誰が、どの端末で、どの業務を行い、どのデータを更新するかを整理します。店舗スタッフが受注を登録するのか、倉庫担当者が在庫を引き当てるのか、管理者が商品情報を一括更新するのかで、必要な権限と画面は変わります。業務フロー、画面一覧、権限表、外部システム一覧まで作る場合、初期費用全体の10〜15%程度を要件定義・企画に配分して見積もる方法があります。
UI設計では、単にWeb画面を表示するだけでなく、常駐、通知、ファイル選択、印刷、ショートカットなどデスクトップ操作を考慮します。キーボード中心で処理するコールセンター、タッチ操作を行う店舗、スキャナーを使う倉庫では最適な画面が異なります。現場観察や試作を含めるほど費用は上がりますが、納品後の手戻りを減らせます。
画面実装・API連携・ローカル機能の費用
Electronアプリは、Main Process、Renderer Process、Preload、IPC、バックエンドAPIなど複数の層で構成されます。ReactやVueの既存画面をRendererに再利用できる場合は効率化できますが、ファイルやOS機能へ安全にアクセスするPreload、通信経路を検証するIPC、認証トークンの保存などは新たに設計する必要があります。既存Webの移植でも、完全なコピーにはならない点に注意が必要です。
費用が大きく動くのは、POS、EC、CRM、WMS、基幹システムなどとの連携です。APIが整備され、商品コードや在庫数の定義が統一されていれば進めやすくなります。一方で、CSVしか使えない、システムごとに顧客IDが違う、更新順序に制約があるといった場合は、変換処理、エラー再送、重複防止、データ移行まで必要になります。連携先1つごとに、認証方式、データ項目、更新頻度、エラー時の責任範囲を見積書へ記載してもらいます。
構成を分離して費用を管理した事例として、2025年6月公開のCodecannonの事例では、デスクトップソフトを操作するAIアシスタントをElectronのフロントエンド、Laravelの認証・API、Pythonの画像認識・AIサービスに分け、数か月で出荷したと説明されています(出典:Codecannon「Building Manuela AI using Codecannon」、2025年)。Electron側にすべての処理を詰め込まず、端末固有のUI、業務API、重い処理を分ける考え方は、開発費と保守範囲を整理するうえで参考になります。
テスト・配布・セキュリティの費用
ElectronではWindows、macOS、Linuxへ共通コードを展開できますが、同じ動作がそのまま保証されるわけではありません。印刷、ファイルパス、通知、権限、フォント、Apple Silicon、Windowsのインストーラーなどを実機で確認します。OSを1つから3つへ増やすと、ビルド設定だけでなく、操作差分、署名、アップデート、障害対応のテスト範囲も増えます。
Electron公式は、配布するアプリにはコード署名を推奨しており、macOSでは署名後にnotarizationを行う流れを説明しています(出典:Electron公式「Code Signing」、2026年確認)。自動更新も、更新サーバーやクラウドストレージへの成果物配置、バージョン別の配布、失敗時の再試行、ロールバックを考える必要があります。これらを「リリース作業一式」とだけ書くと比較できないため、対象OSごとの工程と保守範囲を分けてもらいます。
Electronのシステム費用が変動する要因は何ですか?

同じElectronを採用しても、社内の数人が使うツールと、全国の店舗が毎日使う端末では必要な品質が異なります。費用の差を説明するには、技術名ではなく、利用者数、データ量、障害許容度、端末環境、運用体制に分解することが有効です。
対応OS・端末・周辺機器
Windowsだけでよいのか、macOSやLinuxも必要なのかで、ビルドと検証の費用が変わります。特にmacOSはApple SiliconとIntelの違い、アプリ署名、notarization、権限ダイアログを確認する必要があります。Linuxは配布形式やディストリビューションの差もあり、対象範囲を曖昧にしたまま「Linux対応」と書くと追加作業が発生しやすくなります。
プリンター、バーコードリーダー、カメラ、カードリーダー、USB機器を使う場合は、接続方式とドライバー、機種差、印刷失敗時の再処理まで確認します。1機種だけの動作確認か、複数メーカーを対象にするかでも費用は変わります。周辺機器は実機を早い段階で借りて検証し、対応機種を見積書に固定することが有効です。
オフライン、同期、監査ログ
通信が切れても受注や棚卸しを続けたい場合、ローカルDBへの一時保存、再接続後の再送、重複登録の防止、同期競合の解決が必要です。単純なキャッシュで済むのか、在庫引当のように一貫性が求められるのかで設計難易度は大きく違います。オフライン許容時間、端末の交換時に残すデータ、同期できない場合の現場操作を先に決めます。
誰がいつ何を変更したかを追跡する監査ログも、業務や個人情報を扱う場合には重要です。ログを端末だけに置くのか、サーバーへ送るのか、削除や訂正を許可するのかを決めないと、後から作り直すことになります。金融、医療、自治体など高い説明責任が必要な領域では、アクセス制御、暗号化、ログ保全、脆弱性診断の予算を初期見積もりに含めます。
セキュリティ更新と保守体制
ElectronはChromiumとNode.jsを含むため、アプリを出荷して終わりにはできません。Electron公式のリリース方針では、最新3つの安定メジャーバージョンがサポート対象で、メジャーリリースは8週間ごとのペースとされています(出典:Electron公式「Electron Releases」、2026年確認)。サポート対象を維持するため、依存パッケージの更新、回帰テスト、脆弱性対応、古いOSの切り捨て方針を契約に含めます。
保守費用は、障害対応だけでなく、Electron本体の更新、OS変更への追随、証明書の更新、配布基盤、問い合わせ対応を含めると、案件構成からの推定で月20万〜150万円程度まで幅があります。利用端末が少ない社内ツールと、複数拠点で停止が許されない店舗システムでは、必要な監視時間やSLAが異なります。初期費用だけでなく、3年間の総保有コストで比較することが安全です。
Electronのシステムで見積もりを取る際のポイントは何ですか?

見積もりを依頼するときは、「Electronで業務アプリを作りたい」とだけ伝えるのではなく、利用者、業務、データ、端末、運用条件を一枚にまとめます。仕様が完全に決まっていなくても、未確定項目を明示すれば、各社が同じ前提で比較しやすくなります。
見積もり前に整理する項目
最低限、対象業務、利用者の役割、画面数の概算、同時利用者数、データ量、対応OS、利用端末、外部連携先、認証方式、オフラインの要否、周辺機器、希望時期、保守期間を整理します。ECやオムニチャネルの業務であれば、受注、在庫、商品、顧客、配送のどこをElectron側で扱い、どこを既存システムに残すかも明確にします。
費用を抑えたい場合も、単に予算だけを伝えるのではなく、初回リリースで必須の業務と、後から追加できる業務を分けます。例えば、最初はWindowsの在庫照会とCSV出力に限定し、macOS対応、複雑なオフライン同期、自動発注を第2段階にする方法があります。MVPの範囲を先に固定すると、見積もりの比較と納期の判断がしやすくなります。
総額ではなく工程別に比較する
2026年の相場情報では、職種別の人月単価として、プロジェクトマネージャー90万〜150万円、上級SE90万〜160万円、中級SE65万〜90万円、プログラマー50万〜80万円という目安が示されています(出典:ノーコード総合研究所「システム開発 費用の相場」、2026年確認)。単価の高低だけで判断せず、誰が何人月担当するのか、設計・実装・テストの工数が妥当かを確認します。
見積書は、要件定義、基本設計、UI設計、Electron基盤、画面実装、API連携、ローカルDB、認証・権限、周辺機器、テスト、配布・署名、ドキュメント、保守に分けてもらいます。「開発一式」だけでは、テストやリリースが薄いのか、単にまとめているのか分かりません。イー・ジーシステム株式会社も、工程別の人月と根拠が見える見積もりが望ましいと説明しています。
開発会社に確認する技術と契約
開発会社には、Main、Renderer、Preload、IPCを分離した実装経験があるか、nodeIntegrationを無効にし、contextIsolationやsandboxを適切に使えるかを確認します。さらに、コード署名、macOS notarization、自動更新、段階配布、ロールバック、NPM依存関係の脆弱性対応を質問します。Electronの経験年数だけでは、業務データを安全に扱えるか判断できないためです。
契約では、納品物、ソースコードの権利、テスト環境、対応OSの範囲、保証期間、障害の定義、Electron更新の扱い、証明書やクラウドの契約名義を確認します。保守を別契約にする場合は、月額、対応時間、一次回答、復旧目標、軽微改修の範囲を明記します。初期見積もりが安くても、署名や保守が別料金なら総額は大きく変わります。
Electronのシステム開発費を抑えるポイントは何ですか?

コスト最適化は、単価を下げることではなく、必要な品質を保ったまま作らない機能と後回しにする機能を決めることです。Electronは既存のWeb人材やUI資産を活用しやすい一方、OS配布や更新の責任は残ります。初期費用だけを削ると、リリース後の改修や障害対応でかえって高くなるため、段階的な投資が向いています。
既存Web資産と標準機能を再利用する
既存のReact、Vue、TypeScript、API、認証基盤を使える場合は、画面や業務ロジックの一部を再利用できます。ただし、認証情報を端末へどう保存するか、権限の異なる処理をどのIPCから呼べるかは再設計します。流用できるものと作り直すものを棚卸ししてから見積もると、再利用を過大評価する失敗を防げます。
また、商品・顧客・受注・在庫のマスタを新しく作らず、既存の正しいデータをAPIで参照する方式も有効です。Electron側に重複した業務ロジックを持たせると、Webや他の端末との不整合が増えます。標準機能やSaaSをバックエンドに置き、Electronは店舗操作や周辺機器など本当に必要な部分に限定すると、独自開発の範囲を抑えられます。
1OS・1拠点から段階的にリリースする
最初からWindows、macOS、Linuxのすべてを対象にせず、利用者が最も多いOSと1つの業務に絞ってMVPを作ります。例えば、1店舗の受注登録、在庫照会、CSV出力、基本ログインまでを先に検証し、現場で使えることを確認してから他OSや自動化を追加します。海外のElectron開発会社がMVPを4〜8週間、フルアプリを3〜6か月の目安として掲載する例もありますが、これは限定された要件でのベンダー提示例であり、国内業務システムの納期を保証する数字ではありません。
段階導入では、最初のMVPにもログイン、主要API、エラー表示、操作ログ、更新方法を含めます。後で作り直しやすい基盤を先に確保するためです。反対に、使われるか分からない高度な分析やAI機能を先に作ると、データ定義が固まらず、再開発の費用が発生しやすくなります。
3年間の総保有コストで判断する
初期開発費が800万円と1,000万円の見積もりを比較するとき、安い方を選ぶだけでは不十分です。片方に自動更新、署名、監視、脆弱性対応、問い合わせ窓口が含まれ、もう片方では別料金なら、3年間の支払額と社内負担は逆転する可能性があります。クラウド、ログ保存、証明書、実機、保守契約、追加改修の単価を並べて判断します。
保守を社内で担う場合は、担当者の工数も費用に含めます。Electron公式のサポート対象が更新される以上、古いバージョンを使い続ける方針にもセキュリティ上の判断が必要です。開発会社へ任せる範囲と内製する範囲を早めに決め、更新のたびに見積もりを取り直す運用を避けます。
Electronのシステム開発費に関するよくある質問

Electronの費用を検討するときは、フレームワークの採用可否だけでなく、業務システムとしての運用条件を確認する必要があります。ここでは、見積もり前によく寄せられる質問に回答します。
ElectronならWebシステムより安く開発できますか?
必ず安くなるわけではありません。ReactやVueなどの既存資産を再利用し、Windowsだけで配布するなら初期費用を抑えやすくなりますが、複数OS、署名、自動更新、オフライン同期、周辺機器を加えるとデスクトップ固有の費用が発生します。ブラウザで解決できる業務をElectron化すると、かえって総費用が増える場合もあります。
開発後のランニングコストはいくらですか?
案件の利用端末数、稼働時間、保守範囲、クラウド構成によって異なります。案件構成からの推定では、保守・運用を月20万〜150万円程度で見込む場合がありますが、障害対応だけか、Electron更新、監視、問い合わせ、改修まで含むかで大きく変わります。クラウド料金や証明書などの実費も分けて確認してください。
Electronの開発期間はどれくらいですか?
技術検証や簡易MVPなら1〜2か月、既存Webのデスクトップ化なら2〜4か月、外部連携やオフラインを含む業務クライアントなら4〜8か月が目安です。要件定義、データ移行、実機テスト、社内承認、配布準備が加わると長くなります。開発会社が提示するMVPの期間は要件を限定した例として読み、自社の画面数や連携先を反映して再見積もりしてもらいます。
見積もりを依頼する会社は何を基準に選べばよいですか?
Electronの実績に加えて、業務設計、API連携、認証・権限、オフライン同期、周辺機器、コード署名、自動更新、リリース後の保守まで説明できる会社を選びます。過去のアプリ画面だけでなく、障害時のログ、更新失敗時の復旧、脆弱性対応の体制も質問します。見積書が工程別で、前提条件と対象外項目が明確な会社ほど比較しやすくなります。
まとめ:Electronのシステムは内訳と運用費まで見積もることが大切です

Electronのシステム開発費は、簡易MVPで100万〜300万円、既存Webのデスクトップ化で300万〜800万円、外部連携やオフライン対応を含む業務クライアントで800万〜2,000万円程度が目安です。対応OS、画面数、API連携、データ移行、周辺機器、認証、同期、テスト、署名、自動更新、保守の条件によって、同じElectronでも価格は大きく変わります。
予算計画で最初に決めること
最初に、ブラウザでは解決できない現場課題を明確にし、初回リリースの業務と将来追加する機能を分けます。そのうえで、1OS・1拠点・1業務のMVPから始め、実際の操作とデータ連携を検証します。要件定義を省くのではなく、優先順位を決めてから開発範囲を絞ることが、費用と品質を両立する近道です。
見積もり比較で確認すること
複数社へ相談するときは、工程別の工数、対象OS、連携先、テスト範囲、署名・更新、保守のSLA、対象外項目を同じ条件で比較します。初期費用だけでなく、クラウドや証明書などの実費と、3年間の保守・更新費を合わせて判断してください。Electronの技術力と業務システムの運用力を両方確認できれば、安さだけを理由に発注して後から費用が膨らむリスクを抑えられます。
▼全体ガイドの記事
・Electronのシステム開発の完全ガイド
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
