設備点検管理システムの発注・外注では、点検記録の電子化に加えて、設備台帳から異常、修繕、報告、法定点検までの責任範囲を整理してから、方式と委託先を選びます。
SaaSか個別開発かで迷いやすいため、発注形態から見積比較まで順に、用途ごとの共通点と分かれ目を示します。
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設備点検管理システムの発注で最初に決める範囲

発注で最初に決めるのは、製品名や開発言語ではなく、どの点検業務を、どこまでの範囲で一つの履歴にまとめるかです。
設備点検管理システムは、設備台帳から点検計画、現場入力までを共通の設備IDで結ぶ仕組みです。点検の結果を、後の対応や費用、報告まで途切れなく追うには、次の記録も同じ設備IDの下に置きます。
- 写真と異常
- 修繕と部品
- 費用と承認
- 報告書
紙のチェック欄を画面に置き換えるだけでは、点検後の対応を追えないため、発注の効果も限られます。
発注目的と対象業務の一文定義
発注前には、「紙をなくす」ではなく、「複数拠点の点検実施状況を管理者が当日確認し、異常発見から修繕完了までを設備単位で追跡する」のように、目的を一文で書いておきます。
- 資産と周期:設備と点検計画の単位の決め方
- 異常対応:指摘の担当者、期限、承認の設計
- 責任範囲:法定点検と社内点検の役割分担
建物・不動産管理では、物件、棟、階、設備の関係に加え、協力会社とオーナーへの報告が中心になります。一方、工場・プラントでは、ライン、機器、保全計画、部品に加え、停止時間やMTBF(平均故障間隔)、MTTR(平均修復時間)が中心です。
建設・設備工事では、現場や工種、写真、引き渡し後の保守台帳、協力会社の権限を押さえる必要があります。用途ごとに対象を切り分けるときは、建築基準法第12条の定期報告に関わる建築設備と、日常の保守点検や工場設備の保全を、同じ要件として扱わないことが大切です。
国土交通省によれば、定期報告制度では、建築物や給排水設備、換気設備などについて、所有者・管理者に点検と報告の義務があります。対象には、排煙設備、非常用照明装置、防火設備、昇降機も含まれます。
根拠として、国土交通省「建築基準法に基づく定期報告制度について」、2026年確認を参照しています。
システムは記録や期限管理を支えられても、法令上の資格者による調査・検査そのものは代替しません。
現状の困りごとと導入後のKPI
現状把握では、紙からExcelへの転記や点検周期の属人管理、設備履歴の検索の難しさといった困りごとを、具体的な事例で集めます。写真の保存場所の分散、協力会社からの報告遅れ、異常の対応漏れも、同じように拾います。さらに、過去数か月の点検件数と未実施件数、異常件数を、現状の数字として確認しておきます。
報告書作成時間、修繕完了までの日数、設備停止時間も、数字で押さえておきます。現状の数字があると、委託先の提案を同じ基準で比べやすくなります。KPIは、点検実施率、異常の一次対応時間、修繕完了までの時間から選びます。
報告書作成時間、設備停止時間、MTTR(平均修復時間)、記録入力率も候補になります。「導入後に効率化する」という表現のままでは受入れ判定に使えないため、例えば「日次点検の実施状況を当日中に一覧化する」「報告書の転記時間を現状から半分程度にする」のように、測定方法と対象範囲を決めます。削減率は事前に断定せず、PoCで実測してから目標を更新するほうが安全です。
SaaS・パッケージ・ローコード・スクラッチの選び方

発注形態は、標準機能で業務をまかなえるかどうかを中心に選びます。そのうえで、独自の点検基準や既存システムとの連携を確かめ、現場の通信環境と将来の拠点展開も判断材料にします。
最も安い方式を探すよりも、導入初期の費用と運用変更の負担を、追加開発の自由度やベンダーへの依存度と合わせて比べることが大切です。
標準業務を早く始めたい企業のSaaS・パッケージ
一般的な点検・保全業務を早く始めたい場合は、SaaSが適しています。SaaSでは、設備台帳や点検スケジュール、チェックシート、写真、異常通知を扱え、承認や履歴検索にも対応しています。たとえば、バルカーのMONiPLATは、公式サイトでTBM(時間基準保全)を20設備まで無料で始められると案内しています。
MONiPLATは、定期点検から状態基準保全へ広げる選択肢も示されています。根拠として、株式会社バルカー「MONiPLAT」、2026年8月確認を参照しています。無料枠があっても、設備数やユーザー数、写真容量の条件を確かめるほか、帳票や初期登録、API、サポートの条件も確認します。
パッケージは、SaaSより自社の設備保全業務に近い機能や、オンプレミス・閉域網などの選択肢を求める場合に候補になります。ただし、パッケージ名だけで決めず、設備マスタの階層や点検周期、基準値を実データで確かめます。異常から修繕への引き継ぎや承認、帳票、既存台帳の移行も、あわせて確かめます。
帳票や承認だけ独自の場合に有効なローコード・設定変更
現場の入力画面、承認経路、通知条件だけを自社向けに変えたい場合は、ローコード製品やSaaSの設定変更で対応できる可能性があります。既存のExcel帳票をそのまま画面にせず、設備ID、点検項目、基準値、判定、写真を分けて持たせます。異常や対応期限、承認者も別々に持たせると、後から分析や帳票変更がしやすくなります。
委託先には、設定で変更できる範囲と、追加開発になる範囲を示してもらいます。たとえば、点検項目の追加は設定、既存ERPの保全費用を自動取得する処理はAPI開発、設備センサーの異常値を受けて作業依頼を起票する処理は連携開発というように、作業の境界を見積書に分けます。この境界が曖昧なままだと、契約後に「標準外」と判明し、追加費用が発生します。
固有連携や独自基準を重視する場合のスクラッチ・ハイブリッド
スクラッチ開発を検討するのは、法定報告を含む独自の帳票や、複数拠点・協力会社の複雑な権限が必要な場合です。また、BMS・SCADA・PLC・ERPとの深い連携や、独自の保全計画、設備カルテが競争力に直結する場合にも検討します。工場の制御系と接続する場合は、センサーからクラウドへ送る経路と制御系へ書き戻す経路を分けて考え、人の承認や緊急停止を含む安全設計をRFPに明記します。
すべてを個別開発する必要はなく、点検入力と通知はSaaS、既存の設備台帳と費用情報は基幹システム、会社固有の報告書とワークフローは周辺開発とする構成も選べます。SaaSは標準アップデートを維持しやすい一方で、連携障害時の責任分界とデータの正本を決めておく必要があります。
RFP・要件整理に盛り込む項目

RFPは、開発会社に機能を丸投げするための資料ではなく、同じ前提で提案と見積を出してもらうための比較条件として使います。
設備数やユーザー数に加えて、点検の種類、設備階層、入力場所を明記します。既存台帳、法定報告の有無、連携、移行、運用体制も書きます。未確定の項目は、「提案を求める事項」と「今回の対象外」に分けます。
業務フローとデータ項目の具体化
業務要件には、点検計画の作成、担当者への割り当て、QRコードやバーコードによる設備の呼び出し、数値入力、写真添付、異常報告までを書きます。そのあとに続く、選択式判定、再点検、修繕依頼、完了確認、上長承認、顧客向け報告書の流れも加えます。日次・月次・年次などの周期、期限超過の通知、休日の扱い、複数担当者や協力会社の報告も含めます。
データ要件では、設備ID、設置場所、型式、メーカー、導入日、重要度を整理します。そのうえで、保証期限や関連図面、点検項目、基準値、判定、写真を持たせます。異常と修繕では、優先度、対応期限、作業者、部品、費用を残し、承認履歴も整理します。
設備IDが台帳、点検、異常、修繕で共通していないと、同じ設備の履歴を追えません。移行元のExcelの列名とサンプル行を添えておくと、委託先が移行の工数を見積もりやすくなります。
現場条件と非機能要件の記載
現場条件は、端末と環境、操作条件の二つに分けて書いておきます。入力する人が実際に使う環境に合わせて書くほど、委託先は画面や入力方法を現場に合わせて提案できます。
- 端末と環境:スマートフォンやタブレットの機種、屋内外の別、粉じんや水濡れ、手袋の有無
- 操作条件:画面の明るさ、カメラ、QRコードの読み取り、電波の弱い場所、オフライン入力と後同期の要否
入力項目を増やすほど情報は増えますが、現場で入力されなければ記録の欠落につながるため、必須項目を絞り、写真やコメントは異常時に重点化するなど、作業時間とのバランスを取ります。
非機能要件には、次の項目を含めます。
- 基本の要件:可用性、バックアップ、復旧目標、監査ログ、保存期間、権限
- 認証と通信の安全:MFA・SSO、暗号化、API認証
- 運用:脆弱性対応、障害通知、データ返却
拠点、協力会社、役割ごとに閲覧範囲を分け、誰がいつ点検結果を修正・承認したかを追えるようにします。
公共案件や機密性の高い運用では、ISMAPクラウドサービスリストを調達時の確認材料にできます。ただし、掲載の有無だけで自社の要件が満たされるとは限りません。
提案条件と受入れ条件の提示
RFPでは、委託先から提案してほしい内容も指定します。SaaS・パッケージ・個別開発の推奨理由を、同じ様式で回答してもらいます。
提案では、機能の範囲から進め方、担当の組み方まで示してもらいます。
- 標準機能と追加開発の境界:標準で足りる範囲と、個別に作る範囲
- 導入スケジュール:稼働までの段取りと期間
- 体制:委託先の担当者と役割分担
移行方法や教育、保守、将来のAPI連携、想定リスクも、回答に含めてもらいます。
回答期限や質問受付、デモや現場ヒアリングの条件を決めておくと、価格だけで比べる状況を避けられます。受入れ条件は、「画面が完成した」より、業務シナリオに沿って書きます。
たとえば、「対象設備を登録できる」「計画周期に応じて点検タスクが生成される」「通信断から復旧した後に重複なく同期できる」のように書きます。「異常から修繕依頼を起票できる」「指定帳票を出力できる」「権限外の設備を閲覧できない」も、同じ形で並べます。正常系だけでなく、未実施、再点検、写真容量超過、連携失敗、承認差戻しもテスト条件に含めます。
契約形態と委託先の選定

委託先は、設備点検の画面を作れるかだけでなく、点検業務と保全・修繕の流れを理解し、現場で使われる要件に落とし込めるかで選びます。
候補会社には、類似業種や設備の実績、現場ヒアリングの進め方を確認します。あわせて、プロジェクト責任者、再委託の有無、保守体制、障害時の連絡経路も聞いておきます。
請負・準委任・保守の工程ごとの使い分け
成果物と検収条件が固まっている開発には、請負契約が適しています。一方、現場調査や要件定義、PoC、仕様変更を前提にしたアジャイル開発は、作業時間と体制を対象にする準委任契約が実態に合う場合があります。要件定義を準委任、開発を請負、稼働後を保守契約に分ける方式も検討できます。
契約書では、成果物、検収基準、納期、仕様変更の手続き、追加作業の単価を確認します。そのほか、知的財産権や再委託、秘密情報、個人情報・設備データの扱いも確かめます。障害対応時間やバックアップ、復旧、契約終了時のデータ返却も、あわせて決めておきます。
現場の点検が止まったときの代替運用や、連携エラーを誰が再処理するかまで決めておくと、稼働後の責任分界が明確になります。
実績・体制・現場定着支援の確認
実績は、「設備管理の導入実績あり」という説明だけで済ませず、設備数や拠点数、利用者、入力端末を聞きます。移行件数、連携先、導入期間、導入後の運用体制も、あわせて確認します。発注者と同じ業種の事例がなくても、現場帳票や保全、協力会社管理、写真付きの報告など、必要な業務要素が近ければ比較の対象になります。
導入事例を聞くときは、成功した点に加えて、途中で見直した要件や定着施策も確認します。提案担当者、開発責任者、導入支援担当者、保守窓口が誰かを示してもらい、契約後に担当が変わる条件も確かめます。現場向けの操作研修やマニュアル、管理者教育、問い合わせ対応、利用率の確認、帳票の追加変更が含まれるかも、見極めの材料になります。
2025年2月に正式提供されたカミナシ 設備保全は、設備台帳や異常報告、保全記録をまとめて扱う製品で、ベータ版の利用企業では記録数が従来の4倍になったと公表されています。根拠として、株式会社カミナシ「カミナシ 設備保全正式提供開始」、2025年を参照しています。この数値は個社の事例で、自社の効果を保証するものではありませんが、入力の定着をどう測るかを考える材料にはなります。
デモと現場シナリオによる候補の絞り込み
デモには、委託先が用意したきれいなサンプルではなく、自社の設備台帳と点検票を使ってもらいます。QRコードで設備を呼び出し、測定値と写真を登録して異常を起票し、責任者の承認から修繕履歴と報告書の確認までを、一連のシナリオとして実演してもらいます。さらに、通信を切った状態や再点検、期限超過、協力会社のログイン、権限外の設備の閲覧も試します。
入力のしやすさや運用負荷は、画面の見た目よりも、実際の操作で確かめる必要があります。現場担当者に実際の端末を渡し、1件の点検を何タップで終えられるかを見ます。写真の添付やコメント入力に時間がかからないか、異常発見時に次の作業が迷わず分かるかも確認します。
管理者には、未実施や異常の優先度、修繕の滞留、設備停止の傾向を、何分で把握できるかを確かめてもらいます。
設備点検管理システムの費用相場と見積比較のポイント

費用は、設備数や拠点数、ユーザー数によって変わります。そのほか、点検票の数や写真容量も費用に影響します。
費用に響くのは、現場での使い方と、既存データや帳票の扱いです。
- オフライン対応:通信が途切れる現場での入力と同期
- 既存台帳の移行:移行元のデータを新しいシステムへ移す作業
- 法定帳票:法定様式に沿った帳票の出力
外部連携やセンサー、権限、教育・保守の費用も、見積に加わります。
設備点検専用の公的な統計はないため、以下のレンジは、リサーチノートに整理した一般的な業務システム相場と、2026年時点で確認できる類似SaaSの公開料金を分けて示す目安です。
方式別の費用レンジ
費用の示し方は方式によって違うため、SaaSと開発の目安を分けて並べます。
- 標準SaaS:初期費用0万〜30万円程度、月額数万円〜24万円程度から始められるサービスがあります。
- MENTENA:初期費用20万円と、10IDまで月額10万円・16万円・24万円のプランが公式料金ページに掲載されています。
- MONiPLAT:20設備まで無料の枠を案内していますが、設備数やTBM・CBMの利用範囲で料金が変わります。
- PoC・小規模パイロット・本番パイロット:PoC・小規模パイロットは50万〜300万円程度、本番パイロットは300万〜1,500万円程度です(推定レンジ)。
- スクラッチ開発・全社展開:スクラッチ開発は300万〜2,000万円程度、全社展開は1,500万〜5,000万円程度です(推定レンジ)。
推定レンジは、設備点検管理システムだけを対象にした統計ではありません。設備数や連携、移行、帳票、テストなどの要件規模から整理した、一般的な業務システム開発の目安です。そのため、具体的な予算は断定せず、同じ要件で複数社から見積を取ります。全社展開の金額は、ERP・IoT・BIまで含む場合の目安です。
MENTENAの初期データ登録の支援や追加オンボーディングは別見積・別料金です。根拠として、八千代ソリューションズ株式会社「MENTENA料金プラン」、2026年8月確認を参照しています。
初期費用・月額費用・追加費用の内訳
見積書は、要件定義や画面・帳票設定、開発の項目ごとに分けてもらいます。連携やインフラ、テストの費用も、別々の項目として示してもらいます。
さらに、データクレンジングや初期登録、教育、稼働立会い、保守も別々に示してもらいます。SaaSなら、月額利用料のほかに、追加IDや追加拠点、データ容量、帳票、SSO、APIの費用を確認します。
加えて、オンボーディングや初期データ登録、サポートの費用も見ておきます。スクラッチなら、設計・開発費だけでなく、年間の運用費も比べます。その年間費用には、クラウド費や監視、脆弱性対応に加えて、更新や窓口の作業も含まれます。
- バックアップ:データを守るための保存と復旧にかかる費用
- OSやミドルウェアの更新:基盤ソフトを新しく保つ作業にかかる費用
- 保守窓口:問い合わせや障害への対応を受ける窓口の費用
費用を安く見せるために、要件定義や移行、受入れテスト、教育が「別途」とされている場合があります。別途項目は、発注後に必ず発生するのか、数量や単価が決まっているのか、依頼しなかった場合に業務が成り立つのかを確認します。初年度の総額と2年目以降の年間運用費を分けたうえで、3年程度のTCO(総保有コスト)で比べると、初期費用だけで判断する事態を避けられます。
同じ業務シナリオによる見積比較
見積比較表の行には、設備台帳から点検計画、現場入力までの流れを並べます。現場入力より後の業務や運用も、各社の対応を同じ行で比べられるよう、次の行を足します。
- 写真、異常、修繕の流れ
- 承認、報告書、権限
- オフラインの対応
- 移行、API、テスト
- 教育、保守
列には、各社の対応方法や標準・設定・追加開発の区分、費用、納期を入れます。前提条件や対象外、懸念事項も、列として書き添えます。「対応可能」と書かれていても、標準機能なのか個別開発なのか、既存機器が必要なのかまで確認します。
極端に安い見積には、対象範囲が狭い、移行や教育が含まれない、テスト工数が少ない、保守が別契約、連携が手作業といった事情がある可能性があります。反対に、高額な見積でも、将来拡張や手厚い定着支援が必要な企業には合理的な場合があります。そのため、各社に同じ設備サンプルと点検シナリオを渡し、金額の差がどの前提から生じたかを説明してもらうことが、適正な比較につながります。
発注後の開発・テスト・導入定着

発注後は、現場観察と要件確定から始め、画面・データ設計へ進みます。そのあとは、次の順に進めます。
- 開発・設定
- 連携
続けて、テストやデータ移行、教育を行い、パイロットを経て本番展開へ移ります。
全社一斉に切り替えるより、1拠点・1設備群・1帳票から始め、点検実施率や入力時間を確認してから範囲を広げるほうが、業務停止のリスクを抑えられます。
実際の点検シナリオによる受入れテスト
テストでは、設備を登録して点検計画を作り、担当者が現場で入力するところから再現します。基準値外の結果から異常を起票し、修繕担当へ渡して、完了確認と承認、報告書の出力まで通します。通信断や電池切れ、写真の添付失敗、同一設備への同時入力も確認します。
さらに、期限超過や差戻し、協力会社の権限、API連携の遅延も試します。データ移行では、設備コードや設置場所、設備種別、点検周期を整理します。過去履歴や写真、保証期限、修繕履歴も含めて、移行前後の件数を照合します。
古いExcelの重複設備や表記揺れをそのまま移すと、点検漏れや二重登録が起きます。そこで、すべての履歴を初回から移すのではなく、現役設備と重要な履歴を優先し、旧データを参照できる形で保管する方法も選択肢になります。
教育と運用ルールの契約への組み込み
教育は、管理者、点検担当者、修繕担当者、協力会社、承認者ごとに分けて行います。操作手順の説明にとどめず、実際の設備を使って、点検や異常報告、差戻し、修繕完了、帳票出力まで演習します。
マニュアルには、ログインできない場合や通信できない場合、設備が未登録の場合、異常を緊急連絡する場合などの例外対応も載せます。稼働後は、月次で点検実施率、未実施件数、異常の滞留、修繕完了日数、報告書の作成時間、設備停止時間を見ます。
利用されていない機能を増やすより、入力項目が多すぎないか、設備マスタが更新されているか、責任者が承認しているか、通知が多すぎないかを確認します。保守契約には、法令や帳票様式の変更、端末OSの更新、脆弱性対応、利用者追加、月次の改善相談を含めるかを明記します。
設備点検管理システムの発注・外注でよくある質問

設備点検管理システムの発注では、費用や導入期間、法定点検、オフライン対応、SaaSと個別開発の違いについて、よく問われます。発注前に判断しやすいよう、各質問への答えを先に示します。
設備点検管理システムの発注費用はいくらですか?
標準SaaSには、初期費用0万〜30万円程度、月額数万円〜24万円程度から始められるサービスがあります。PoCは50万〜300万円程度、スクラッチ開発は300万〜2,000万円程度が、一般的な業務システムの推定レンジです。
ただし、金額は設備数や拠点数、移行の範囲によって大きく変わります。そのほかに、見積の中身を左右するのは、報告や取得、接続に関わる要件です。
- 帳票:法定帳票を含めた出力の要件
- センサー:設備からのデータ取得の要否
- 外部連携:既存システムとのデータのやり取り
- 法定報告:定期報告の様式と提出に関わる要件
設備点検専用の公的な統計はないため、RFPを同じ条件で複数社に渡し、見積を取ることが必要です。
システムを導入すれば法定点検や報告まで自動化できますか?
システムは、点検周期や担当者、期限、結果、写真の管理を支援できます。報告書の作成や提出状況の管理も支えられます。ただし、資格者による検査や法的な報告責任を代替するものではありません。
建築基準法第12条の定期報告では、対象設備や特定行政庁ごとの運用、報告様式と期限を確認します。2025年7月1日施行の告示改正のような変更にも追随できるよう、版管理を設計しておきます。根拠として、国土交通省「定期報告制度に関する令和7年告示改正」、2025年を参照しています。
消防法や電気事業法、労働安全衛生法も、設備の種類に応じて別途確認します。
現場の電波が弱くても設備点検管理システムを使えますか?
オフライン入力と復旧後の同期に対応できる製品や構成であれば、利用できる可能性があります。ただし、すべてのSaaSが同じ方式に対応しているとは限りません。
RFPには、通信断の想定時間や登録できる項目、写真の保存を明記します。同期の重複防止、競合データの扱い、同期失敗時の再送、端末紛失時のデータ消去も書き、実機で確認します。
地下機械室やプラント内などでは、Wi-Fiや携帯回線の改善を含めて検討します。
SaaSと個別開発はどちらを選べばよいですか?
標準的な点検や台帳、異常通知、写真、承認を早く始めたいなら、SaaSを優先します。一方で、独自帳票や複雑な権限、既存設備・基幹との深い連携、特殊な保全ロジックが欠かせない場合は、個別開発やハイブリッドを検討します。
判断に迷うときは、1拠点のPoCで標準機能を試し、追加開発が本当に必要な業務を絞り込みます。方式を先に決めるより、業務シナリオと受入れ条件から比べるほうが安全です。
まとめ|設備点検管理システムの業務範囲と見積条件のそろえ方

設備点検管理システムを発注・外注するときは、まず、建物の法定検査や施設・工場の保全、建設・設備工事の点検記録を切り分けます。そのうえで、設備台帳から点検、異常、修繕、報告までの範囲を定めます。
発注形態は、標準SaaS、パッケージ、ローコード、スクラッチ、ハイブリッドを、現場条件と連携要件で比べます。
RFPで具体化する業務・データ・現場条件・受入れ
RFPには、設備数や拠点数、利用者、点検周期、設備IDを記載します。写真、異常・修繕、法定帳票も、そこに含めます。加えて、移行元や連携、通信の条件も記載します。
- 既存台帳:移行元となる台帳の有無と内容
- 外部連携:既存システムとのデータのやり取り
- オフライン:通信が途切れる現場での入力と同期
さらに、権限、監査ログ、移行、教育、保守も書いておきます。候補会社には、同じ設備サンプルと現場シナリオを渡し、標準・設定・追加開発の違い、対象外、納期、リスクを説明してもらいます。
金額だけでなく定着と運用責任まで含めた比較
費用は、公開料金のあるSaaS、PoC、本番パイロット、スクラッチ、全社展開を分けて考えます。そのうえで、初期費用だけでなく、移行や教育、保守まで含めた総額で比べます。追加ID、帳票、連携、センサーなどの費用も、この総額に含めて考えます。
契約では、請負・準委任・保守を工程に合わせ、検収、仕様変更、障害対応、データ返却、再委託を確認します。現場が使い続けられるか、点検実施率や異常対応時間を測れるかまで含めて委託先を選ぶと、発注後の手戻りが減ります。
最初から全社の完成形を確定させるのではなく、重要設備や1拠点のPoCで入力と業務効果を検証し、実績をもとに横展開する方法も有効です。自社の業務に合わせて発注したい場合は、目的や対象設備、現場条件、既存データを整理してから相談すると、比較しやすい提案を受けられます。連携や予算、希望時期も伝えておくとよいでしょう。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
