見積原価管理システムの発注・外注は、単に見積書を作る機能を購入するのではなく、材料費・加工費・労務費・外注費・間接費を積み上げ、受注後の実績原価までつなげる仕組みを選ぶことが重要です。発注形態、RFPの作り方、契約、費用相場、委託先の比較を順番に整理すると、自社に合わない高額な開発や、導入後に使われないシステムを避けやすくなります。
この記事では、見積原価管理システムを外部へ開発依頼・委託するときの進め方を、製造業の個別受注・少量多品種の業務を想定して解説します。パッケージ、クラウド、半完成品のカスタマイズ、フルスクラッチの違いから、費用の見方、比較見積のチェック項目、契約後のテストと運用まで、発注担当者がそのまま使える判断軸をまとめています。
▼全体ガイドの記事
・見積原価管理システム開発の完全ガイド
見積原価管理システムとは?発注前に知るべき全体像

見積原価管理システムは、製品や案件の構成、工程、単価、標準工数などを根拠に原価を自動計算し、販売価格と粗利を判断する業務システムです。発注時に見るべきなのは、見積画面の見栄えだけではありません。見積時点の前提を保存し、受注後の購買・生産・会計データと比較できるかが、投資効果を左右します。
見積原価と実績原価を同じ流れで管理する仕組みです
Excelで材料費と加工費を計算し、受注後は生産管理や会計システムへ別の担当者が入力している場合、見積の前提と実績の差異を追跡しにくくなります。システムでは、案件番号や見積版を軸に、BOM、工程、数量、材料単価、外注単価、作業時間、歩留まり、配賦ルールをひも付けます。その結果、なぜ粗利が変わったのかを、単価差異、数量差異、工数差異、設計変更、外注費の増加などに分けて確認できます。
発注時は「見積を自動化したい」という要望だけでなく、「受注後に何を引き継ぎ、どの実績を戻して改善するか」まで伝える必要があります。たとえば、見積で算出した工程作業時間を生産管理へ渡し、実績工数と比較する運用を要件に含めると、次回見積の精度向上まで見据えた開発になります。
最低限の機能と業態別に変わる機能があります
最低限必要になるのは、案件・見積版の管理、承認ワークフロー、原価明細と粗利の出力、材料・工程・単価マスター、権限管理、操作履歴です。個別受注なら案件ごとのBOMと仕様変更、少量多品種なら類似案件の検索と標準工数、量産なら標準原価と実際原価の差異分析、プロセス製造なら配合や歩留まりの管理が重視されます。
JFEシステムズのJ-CCOREsは、BOMやレシピをもとに見積原価と損益を算出し、見積原価だけを単独導入する選択肢も示しています。一方、アイ・シー・エスの公開事例では、EBOM・MBOMと部品原価を連携して見積原価表やBOM差分表を出力しています。どちらも、発注前に「自社が必要とする範囲は見積だけか、設計・生産・実績まで含むのか」を切り分ける際の参考になります(出典: JFEシステムズ J-CCOREs製品情報、アイ・シー・エス 見積積算システム導入事例)。
発注形態はどれを選ぶ?パッケージ・クラウド・スクラッチの違い

発注形態の結論は、標準機能に業務を合わせられる範囲が広いほどクラウドやパッケージが有利で、独自の計算式や深い連携が競争力に直結するほどカスタマイズやスクラッチが有力になるということです。ただし、最初から全機能を開発する必要はありません。見積・承認・粗利確認を先行し、実績原価や高度な分析を段階追加する方法が失敗を抑えやすくなります。
クラウド・SaaSは早期導入と運用負担の軽減に向いています
クラウドやSaaSは、サーバー調達、バックアップ、アップデートを自社で抱えにくく、複数拠点やテレワークから使いやすい形態です。見積・承認・帳票・CSV連携を早く始めたい企業や、業務を標準機能に寄せられる企業に適しています。比較するときは月額料金だけでなく、初期設定、ユーザー追加、API利用、データ出力、サポート、障害時の復旧目標、データの保管場所を確認します。
製造現場とつなぐ場合は、クラウド上の原価情報と工場ネットワークの境界も要件に含めます。経済産業省は2025年4月、中小規模の製造事業者向けに、工場セキュリティの重要性と始め方を示す解説書を公表しています。見積原価システムの外注先には、最小権限、認証、操作ログ、バックアップ、復旧訓練、委託先との責任分界を説明してもらうことが必要です(出典: 経済産業省「工場セキュリティの重要性と始め方」)。
パッケージ・半完成品のカスタマイズは費用と適合性のバランスを取りやすくなります
パッケージや半完成品は、案件、品目、工程、見積、承認などの共通機能を利用し、独自の計算式や帳票だけを追加する発注形態です。ゼロから設計するより短期間になりやすい一方、標準機能にない例外を増やしすぎると、実質的に個別開発と同じ負担になります。候補製品のデモでは、正常な新規見積だけでなく、BOM変更、単価改定、端数処理、外注工程、見積の差し戻しを実演してもらいます。
たとえばマキナフローは、受注生産型製造業向けの「半完成品+カスタマイズ」を掲げ、本体価格300万円にカスタマイズ約100万円を加えた総額約400万円を目安として公開しています。これは市場平均ではなく同社の価格例ですが、買い切り型でも将来のPHPバージョンアップ費用が発生する点を含め、初期費用と保守費用を分けて比較する重要性が分かります(出典: マキナフロー 受注生産型製造業の業務管理システム)。
スクラッチ開発は独自ロジックと連携要件を整理してから選びます
スクラッチ開発は、特殊工程、独自の価格決定ロジック、CAD・BOM・設備データとの深い連携など、既存製品に合わせることで業務上の優位性を失う場合に適しています。発注時は機能一覧よりも、業務ルールをどのデータに保存し、誰が変更し、どの承認を経て計算結果を確定するかを設計します。ソースコード、データベース、API仕様、テストコードの所有権と引き渡し条件も契約前に明記します。
2025〜2026年は、原価計算の中核データを安定させ、ワークフロー、AI-OCR、分析、図面類似検索などをAPIでつなぐ構成も現実的です。AIによる自動見積を先に導入するのではなく、単価履歴、BOMコード、過去実績、誤見積時の承認ルールを整えてから、担当者の判断を補助する用途に限定すると、説明できるシステムになりやすいです。
RFP・要件整理は何を書けばよい?発注前の準備方法

RFPは、開発会社に要望を伝えて同じ条件で提案・見積を比較するための資料です。完璧な仕様書を作る必要はありませんが、対象範囲、現状の課題、計算ルール、連携先、利用者、制約、納期、予算の考え方を同じ粒度で記載します。特に見積原価は会社ごとの経験則が入りやすいため、サンプルデータと計算結果を添付すると、提案内容の差を見分けやすくなります。
現状業務と発注後の業務フローを一枚にまとめます
まず、問い合わせから見積提出、承認、受注、設計変更、生産指示、購買、完了、実績原価の確定までを時系列にします。各工程で「誰が」「何を入力し」「何を判断し」「どのシステムへ渡すか」を記載し、Excel、メール、紙、既存システムの境界を明らかにします。現場では当たり前になっている手作業ほどRFPから漏れやすいため、営業、設計、購買、工場、経理の担当者にヒアリングします。
業務フローには例外も入れます。たとえば、材料単価が未登録のとき、外注工程だけ納期が異なるとき、BOMの版が変わったとき、見積を差し戻すとき、赤字案件を役員承認に回すときです。正常系だけで作ったRFPは、開発後に追加要望が膨らみやすく、比較見積の前提も崩れます。
計算式・マスター・版管理を要件として明文化します
原価の計算式は、材料費、加工費、労務費、外注費、製造間接費の単純な合計とは限りません。標準工数、設備レート、歩留まり、段取り時間、ロット、配賦基準、端数処理、通貨、税区分など、結果に影響する条件を項目化します。式をプログラムに埋め込むのではなく、変更頻度の高い係数や単価はマスターとして管理し、変更者、承認者、適用開始日、旧値を記録できるかを確認します。
千代田情報システムの製造業事例では、見積計算で使う数式や係数をマスター化し、見積時の工程作業時間や部品表情報を生産管理へ渡す構成が紹介されています。このように、発注先へ「係数を後から変更したい」と伝えるだけでは足りません。どの権限で、いつから、どの見積版に適用するかまでRFPに書くと、提案の実現性を確認できます(出典: 千代田情報システム 製造業の導入事例)。
連携範囲とKPIを先に決めておくと発注内容がぶれません
連携要件では、販売管理、生産管理、購買、在庫、会計、CAD、BOM、勤怠や工数のどれとつなぐかを列挙します。連携方法もAPI、CSV、ファイル転送、手入力のいずれかを決め、連携頻度、エラー時の再送、重複防止、責任部署を記載します。製造業では、本体の画面が動いても生産指示や購買へ正しく渡らなければ業務が止まるため、結合テストの範囲を独立した要件にします。
KPIは「デジタル化する」ではなく、見積作成時間、見積と実績の差異率、粗利を確認するまでの時間、赤字受注率、単価改定が反映されるまでの日数などで設定します。たとえば、見積作成時間を現状から何割短縮するのか、実績原価との差異をどの粒度で月次確認するのかを決めます。KPIがあると、最初のMVPで対象製品や1拠点に絞る判断もしやすくなります。
契約形態の選び方|請負・準委任・ラボ型の違い

契約形態は、成果物と仕様をどこまで確定できるか、開発中に要件が変わる可能性がどの程度あるかで選びます。請負契約は完成した成果物に対する責任を置きやすく、要件が固まった画面・帳票・連携機能に向いています。準委任契約は作業の遂行を委託する形で、要件整理やプロトタイプ、継続的な改善に向いています。契約名だけで判断せず、検収、変更、知的財産、障害対応を条項で確認します。
請負契約は成果物・検収条件・変更手続きを細かく定義します
請負で発注する場合は、画面一覧だけでなく、計算結果の正解データ、帳票のレイアウト、権限、ログ、外部連携、性能、バックアップ、納品物を検収条件に含めます。特に見積原価では、同じ入力から同じ結果が出ること、単価の適用日や端数処理が仕様どおりであることをテストデータで確認します。要件追加が発生したときの見積方法、納期変更、優先順位の決め方も、変更管理の手順として決めておきます。
検収を「納品されたら完了」とすると、連携エラーや現場での操作性が後から問題になります。要件定義、基本設計、結合テスト、総合テスト、移行リハーサル、受入テストの各段階に確認条件を置き、未解決の不具合を一覧化します。RFPの時点で検収の考え方を示すと、開発会社の品質管理体制も比較できます。
準委任契約は要件整理や段階開発に向いています
計算式や業務フローがまだ固まっていない場合は、要件定義やPoCを準委任で依頼し、合意した範囲から請負の開発契約へ移る方法があります。現場ヒアリング、サンプルデータの再現、プロトタイプ、Fit to Standardの判定を先に行うため、最初から大きな固定価格を置くリスクを下げられます。ただし、準委任では作業時間と成果の責任範囲が曖昧になりやすいため、月ごとの成果物、会議体、報告内容、稼働上限を明記します。
発注側にも、判断できる業務責任者とデータ提供担当者が必要です。開発会社だけに業務整理を任せると、現場の例外や社内の承認ルールが抜け、後の追加開発につながります。準委任の期間中に、用語集、業務フロー、計算式一覧、画面モック、テストデータ、未決事項を成果物として残すことが、次工程の契約を安定させます。
契約書にはデータ・保守・再委託の責任分界を入れます
見積原価には材料単価、仕入先、顧客別価格、利益率、設計情報など機密性の高いデータが含まれます。契約では、データの利用目的、保管場所、アクセス権、返却・消去、秘密保持、漏えい時の連絡、委託先の再委託、脆弱性対応を確認します。クラウドなら、障害時の復旧目標、バックアップ世代、サービス終了時のデータ出力形式も重要です。
保守契約は、問い合わせ対応だけでなく、OSやミドルウェアの更新、法制度変更、セキュリティパッチ、外部APIの仕様変更、マスター追加、障害調査をどこまで含むかを分けて書きます。納品後に開発会社が変わる可能性も考え、ソースコードや設計書を発注者が利用できる条件、引き継ぎ費用、保守の応答時間を比較します。
見積原価管理システムの費用相場と見積書の見方

見積原価管理システムの公的な一律相場はありません。費用は、拠点数、ユーザー数、BOMの規模、計算式の複雑さ、連携数、データ移行、カスタマイズ、教育、保守で大きく変わります。以下は、リサーチノートで確認した類似する生産・原価管理システムの公開価格と開発費の目安をもとにした2025〜2026年時点のレンジであり、個別案件の確定金額ではありません。
規模別の開発費は300万円台から1億円超まで幅があります
見積・原価積算、承認、帳票、CSV連携を1拠点で始める小規模案件は、300万〜1,000万円が目安です。既存パッケージや半完成品を使い、計算ロジックを限定できれば、400万〜800万円程度を狙える場合があります。複数工場、BOM・工程連携、実績原価、配賦、ERP・生産管理連携を含む中規模案件は、1,000万〜5,000万円が目安です。
全社基幹、海外・多拠点、大量BOM、複雑な配賦、購買・在庫・会計との統合を含む大規模案件は、5,000万〜1億円以上になることがあります。フルスクラッチや大規模アドオンでは1億円を超える可能性もありますが、要件と拠点を分割すれば初期投資を抑えられます。上記は規模別の推定レンジであり、同じ区分でもデータ移行や連携品質によって上下します。
初期費用は要件定義・連携・移行・教育に分けて確認します
見積書では、要件定義、基本設計、画面・帳票開発、計算エンジン、マスター登録、APIやCSV連携、データ移行、テスト、教育、プロジェクト管理を分けて記載してもらいます。特に「連携一式」「移行一式」「テスト一式」のような項目は、対象システム、件数、回数、責任範囲が不明になりやすいです。工程ごとの成果物と前提条件を質問し、会社間で同じ比較単位にそろえます。
クラウドの利用料は、初期設定・導入支援が無料〜数十万円、支援込みで20万〜60万円程度、利用料が1ユーザーあたり月数百円〜数千円という一般的な業務SaaSのレンジが参考になります。ただし、製造業向けの見積計算、BOM、個別連携、専用環境は別途見積になりやすいです。月額の安さだけでなく、5年間のユーザー増加、連携、保守、データ出力を含めた総額で比較します。
5年総額と保守費用を含めて採算を判断します
買い切り型でも保守はなくなりません。初期開発費の年間15〜25%を保守運用費の目安として置き、問い合わせ、障害対応、脆弱性対応、バックアップ、法改正やOS更新、マスター追加をどこまで含むか確認します。人月単価を比較する場合は、PM 90万〜150万円、SE 65万〜110万円、PG 50万〜90万円程度という参考レンジがありますが、単価だけでなく担当者の製造業経験と体制を評価します。
開発期間は、小規模で3〜6か月、中規模で6〜12か月、大規模で12か月〜2年以上が目安です。これは要件定義から稼働までの一般的な見通しで、データの品質や意思決定の速さによって変わります。5年総額には、初期費用、クラウド利用料、保守、追加ユーザー、帳票追加、API利用、教育、バージョンアップ、移行や再構築を入れ、安い初期見積が本当に安いかを確認します。
委託先選定と見積比較のポイント|安さだけで決めない方法

委託先は、提案金額の合計だけでなく、見積原価の業務知識、連携設計、品質管理、保守体制、発注側との役割分担を同じ評価表で比較します。製造業の導入事例があっても、自社と同じ個別受注なのか、量産なのか、BOMの管理方法が近いのかで適合性は変わります。実績の社名だけでなく、課題、担当範囲、導入後の効果、現在の保守体制を確認します。
製造業の見積・原価・生産連携を一気通貫で話せるか確認します
初回提案では、開発会社に自社のサンプル案件を使って原価計算を再現してもらいます。材料単価、標準工数、外注工程、歩留まり、間接費、利益率を入力し、どのデータがどの順番で計算されるか説明してもらいます。計算結果だけでなく、単価の根拠、見積版の保存、差し戻し、承認、BOM変更後の再計算まで確認すると、業務理解の深さが見えます。
JFEシステムズのJ-CCOREsでは、見積原価から損益までの算出と履歴管理、BOMやレシピを使った積み上げを製品機能として示しています。また、日立システムズは2026年3月にFutureStageの原価管理機能ページを公開し、実績データと柔軟な配賦条件で製品・拠点・費目別に原価を可視化する方向性を示しています。製品や会社を選ぶ際は、機能の名称ではなく、自社の見積から実績までの流れに当てはめて比較します(出典: JFEシステムズ J-CCOREs製品情報、日立システムズ FutureStage原価管理機能のお知らせ)。
比較見積は同じ前提・同じ成果物・同じ保守範囲でそろえます
複数社へRFPを渡すときは、対象拠点、ユーザー数、連携先、移行件数、開発期間、テスト範囲をそろえます。提案側に自由な改善案を求める場合は、必須要件、できれば欲しい要件、将来検討の要件を分け、各社の追加提案を別枠で表示してもらいます。見積金額が低い会社でも、要件を除外しているだけかもしれないため、除外項目と前提条件を必ず確認します。
評価表では、機能適合性、製造業実績、連携方法、費用、5年総額、納期、プロジェクト体制、保守、セキュリティ、データ移行、発注者側の作業を分けます。価格を一項目にまとめるのではなく、初期費用と運用費を分離し、品質・スピード・将来変更のしやすさを含めて総合評価します。経営層には投資額だけでなく、赤字受注の防止、粗利判断の短縮、見積精度の改善という業務効果を示します。
デモと契約前調査で「導入後に使えるか」を見極めます
製品デモでは、整ったサンプルではなく、自社の過去案件を匿名化して使います。BOMの部品変更、材料単価の改定、見積の複数版、外注費の更新、端数処理、承認差し戻し、権限不足、連携エラーを順番に操作してもらいます。エラーを人が修正するのか、再計算できるのか、履歴が残るのかを確認すると、現場の手戻りを予測できます。
契約前には、可能であれば導入企業へのヒアリング、プロジェクト責任者との面談、開発体制と再委託先の確認を行います。提案書の担当者が本番開発にも参加するか、障害時に誰が判断するか、納品後の問い合わせ窓口はどこかを質問します。セキュリティでは、認証、権限、ログ、脆弱性対応、バックアップ、復旧目標とテスト実績を確認します。
発注後の開発・導入を失敗させない進め方

発注後は、要件定義、設計・開発、テスト・移行、稼働後の改善を分けて進めます。全社一斉稼働を前提にせず、まず対象製品、1拠点、見積・承認などの範囲を限定したMVPやPoCで、計算の再現性と現場の操作性を確認します。そこで得た課題を次のフェーズへ反映すると、費用と納期の見通しを保ちながら範囲を広げられます。
要件定義ではサンプルデータと正解値を合意します
要件定義では、過去の見積と受注後の実績を数十〜数百件のサンプルに整理し、現行Excelの計算結果とシステムの計算結果を照合します。すべての過去データを最初から移行する必要はありませんが、代表的な製品、例外的な外注、単価改定、設計変更を含めます。正解値と許容差を業務側と開発側で合意しておくと、テストで「仕様か不具合か」を判断しやすくなります。
データ移行では、品目コード、単位、仕入先、工程、単価の有効日、顧客、過去の見積版、実績原価の期間を整理します。重複コードや未登録単価を放置すると、システムが稼働しても見積結果が信用されません。移行前のクレンジング担当、確認件数、差し戻し方法、移行リハーサルの回数を発注内容に入れます。
結合テスト・受入テスト・教育を現場の業務で行います
単体テストで計算式が動いても、実際の業務は完成しません。BOMから見積を作り、承認し、生産管理や購買へ連携し、実績工数や仕入を取り込み、差異を分析する一連のシナリオを結合テストします。連携先が停止したとき、同じファイルを二重取込したとき、権限のない人が単価を変更しようとしたときの動作も確認します。
受入テストは、情報システム部門だけでなく、営業、設計、購買、工場、経理が参加します。操作マニュアルを読むだけの教育ではなく、実際の案件を登録し、見積を差し戻し、版を比較し、受注へ進める演習にします。稼働初期は問い合わせを一つの窓口に集め、よくある質問、未登録マスター、運用変更を記録して改善に回します。
稼働後はKPIとマスター運用で見積精度を育てます
稼働後に単価や工程のマスターを誰も更新しないと、数か月で見積結果が現実から離れます。材料単価の更新頻度、外注単価の改定、標準工数の見直し、配賦ルールの変更、赤字案件のレビュー責任者を運用ルールにします。月次や四半期で、見積と実績の差異を確認し、原因をマスター、設計、購買、製造、営業のどこに戻すかを決めます。
AIや分析機能を追加する場合も、先に基礎KPIを確認します。見積作成時間が短くなったか、粗利の確認が早くなったか、赤字受注が減ったか、単価改定が反映されたかを確認し、効果が見えるテーマから拡張します。機能を増やすこと自体を目的にせず、採算判断の精度とスピードを継続的に改善することが、外注開発の成果になります。
よくある質問(FAQ)

最後に、見積原価管理システムを発注・外注するときに多い質問へ回答します。費用だけでなく、自社の業務範囲、既存システムとの連携、契約と保守まで含めて判断することが大切です。
見積原価管理システムの開発費用はいくらですか?
小規模な見積・原価積算と承認で300万〜1,000万円、中規模のBOM・工程・実績原価・基幹連携で1,000万〜5,000万円、大規模な全社統合で5,000万〜1億円以上が目安です。ただし、これは2025〜2026年時点の類似業務システムの相場から整理したレンジで、連携数、拠点数、データ移行、カスタマイズで変わります。初期費用だけでなく、5年総額と保守費用を比較してください。
パッケージとスクラッチ開発はどちらを選ぶべきですか?
標準化できる業務が多く、早く導入したいならパッケージやクラウドが向いています。独自の計算式や特殊工程、CAD・BOMとの深い連携が競争力に直結するなら、半完成品のカスタマイズやスクラッチを検討します。迷う場合は、見積・承認をMVPで検証し、標準機能に合わせられない要件だけを追加開発する方法が現実的です。
RFPがない状態でも開発会社へ相談できますか?
相談できますが、現状の業務フロー、見積サンプル、計算式、利用者、連携先、困っていることを最低限まとめると、提案の精度が上がります。要件が固まっていない場合は、いきなり本開発を発注せず、ヒアリング、現行分析、サンプルデータの再現、概算見積を含む要件定義フェーズを依頼します。準委任で整理した後に、確定した範囲を請負で開発する進め方も選べます。
工場のデータをクラウドや外部会社へ渡しても安全ですか?
安全性は、クラウドかオンプレミスかだけで決まりません。認証、権限、操作ログ、暗号化、バックアップ、復旧テスト、脆弱性対応、再委託、データ返却、工場ネットワークとの接続方式を契約と運用の両面で確認します。経済産業省の工場セキュリティ解説書を参照し、自社のIT・OT境界と委託先の責任分界を整理したうえで、提案会社に具体策を求めてください。
まとめ

発注前は要件・費用・契約の3点を最終確認します
見積原価管理システムの発注・外注を成功させるポイントは、見積書作成の効率化だけでなく、見積原価と実績原価をつなぎ、採算判断を改善する業務要件を先に定義することです。パッケージ、クラウド、半完成品、スクラッチの順に優劣を決めるのではなく、自社の独自ロジック、連携範囲、導入スピード、5年総額、保守体制を同じ基準で比較します。
導入後はKPIと保守体制で成果を確認します
発注前は業務フロー、計算式、マスター、例外処理、連携、KPIをRFPへ整理し、発注後はサンプルデータの再現、結合テスト、移行リハーサル、現場教育まで計画します。費用は小規模300万〜1,000万円、中規模1,000万〜5,000万円、大規模5,000万〜1億円以上という幅で捉え、公開価格はあくまで参考例として扱います。複数社の提案を同じ前提で比較し、契約・データ・セキュリティ・保守の責任分界まで確認できれば、導入後に使われ続けるシステムへ近づけます。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
