経営ダッシュボード開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

経営ダッシュボード開発は、要件整理から定着まで6つのフェーズで進みます。KPIの定義とデータ整備を先に固め、段階的に導入することで、意思決定を速める仕組みになります。

全体像については、経営ダッシュボード開発の完全ガイドもご覧ください。

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・経営ダッシュボード開発の完全ガイド

経営ダッシュボード開発の全体像

経営ダッシュボードは、会計、販売管理、営業の情報を集約する仕組みです。さらに、CRM、人事、勤怠、在庫などの情報も集約の対象になります。経営者や事業責任者は、共通のKPIを見て次の行動を決められます。

経営ダッシュボードの定義

経営ダッシュボードは、指標の定義をそろえ、異常を見つけた人が担当者や現場に確認できる基盤です。経営会議の数字を並べるだけのレポートとは、この点が違います。

  • 対象指標:売上、粗利、営業利益、受注、案件パイプライン、キャッシュ、在庫、稼働率、人員、生産性など
  • 共通ルール:「何を」「いつの時点で」「どの計算式で」見るかの取り決め

売上は受注日基準か計上日基準か、返品や子会社間取引をどう扱うかで値が変わります。だからこそ、計算式や除外条件を先に決めておく必要があります。決めないままだと、Excelと同じ食い違いが残ります。

KPI辞書には、指標の定義と出所、責任部署を記録します。更新頻度や目標値、異常時の対応者も書き込みます。

画面以外にも、データ収集や連携、計算が設計の対象です。さらに、権限管理や通知、運用改善も含まれます。

システム構成の選び方

構成は、業務システムからAPIやETL・ELTでデータを取り込み、DWHまたはデータマートに蓄積する形が一般的です。その後、共通のKPI計算モデルを経て、BIツールに表示します。

会計SaaSと販売管理SaaSだけをつなぐ小規模な導入なら、BIツールへの直接連携でも始められます。一方で、拠点や部門が増え、過去データや複数の基幹システムを横断する場合は、DWHと共通指標が拡張や監査に役立ちます。

  • BIパッケージ:Power BIやTableauなど
  • 標準レポート:ERPや会計サービスに付属する機能
  • データ基盤・独自UI:ローコードとBI、クラウドDWH、スクラッチ開発などを組み合わせた構成

Microsoft 365を活用する企業はPower BIを、グラフなどの見せ方やデータを自由に探る力を重視する企業はTableauを候補に比べられます。

製品名だけで決めず、接続先と権限、監査ログ、データ所在地を確かめます。運用を担う人材や、乗り換えと内製化の条件も合わせて見ておきます。

ポイント

迷ったときは、指標の計算式と除外条件を社内で一つに決められるかを基準に、製品や構成を選びます。データの流れが決まらないうちは、製品の比較を急がない方が安全です。

経営ダッシュボード開発の進め方|6つのフェーズ

経営ダッシュボードのテストで確認する機能と連携、数値突合、権限、更新と保護を4枚のパネルで示した図。
数値と利用条件を分けて確かめる構成です。

開発は、要件整理と選定を経て設計開発に進み、テストを終えてから稼働、定着へと移ります。

工程は前後することもあります。ただし、各フェーズの終わりに判断基準と残す資料を決めておけば、要件が際限なく膨らむのを防げます。

最初から全社の数字を載せず、まず経営会議で使うMVPを作ります。そのうえで、利用結果を次の開発に反映していく進め方が現実的です。

1. 要件整理|意思決定の定義

目的は、具体的な経営アクションに置き換えます。「経営状況を見える化する」のままでは判断につながらないため、現状と目標を整理し、判断する人と判断後の行動を決めておきます。

  • 資料作成:月次締め後20日かかる会議資料を5日以内に作る目標
  • 赤字検知:赤字案件を、月末ではなく受注後の早い段階で見つけること
  • 粗利確認:拠点別の粗利差異を、会議前に確認できる状態

経営層から現場、経理まで関係者にヒアリングし、意思決定の頻度と粒度を確かめます。立場によって必要な情報も違い、経営層は全社の着地見込、事業責任者は部門別の要因、現場は担当案件や在庫などを必要とします。

「誰が何を見て、何分以内に何を判断するか」を書けない指標は、初期MVPから外す判断も必要です。また、KPIは100個以上から始めるより、経営判断への影響が大きい10〜30個程度に絞るほうが検証を進めやすいです。

要件では、対象会議、KPIの計算式と責任者、更新頻度と許容遅延を押さえます。目標未達時の連絡先もあわせて決め、MUSTとWANTを分けて整理しておきます。

2. 選定|要件に基づくBI製品と開発会社の比較

製品は、画面の見た目だけでなく、KPI辞書とデータ源一覧に照らして比べます。試用環境には実データに近い匿名化データを入れ、数値の一致と操作のわかりやすさを確かめます。

  • 接続と更新:会計、販売管理、CRM、SFA、Excel、勤怠などへの接続方法と更新失敗時の通知
  • データ管理:過去データの保持、監査ログ、データのエクスポート可否
  • 権限:閲覧者と作成者の権限設定

開発会社には、BI設定だけでなく、KPI定義やデータクレンジング、連携と権限の設計まで支援できるかを聞きます。加えて、利用定着の支援範囲も確かめます。見積もり担当と責任者が異なる場合は、責任者の経験と稼働予定も見ておきます。

類似事例では、製品名に加えて、接続システム数や利用者数、期間、稼働後の改善内容を確かめます。

比較の中心は、接続性と標準機能、拡張性、権限と監査です。そのほか、業務理解や保守料金、納品物とデータ所有権、他社移行の条件も比べます。

Power BIやTableauを選んでも、データ定義が曖昧なら成果は出ません。一方で、既存環境と標準機能が合い、短期間でMVPを作れる場合は、独自開発を減らして投資を抑えられます。

3. 設計・開発|数字の流れと画面の作り方

設計では、データの流れ、画面構成、受入条件を一緒に決めます。

  • データ設計:取込元と整備方法の決定
  • 画面設計:経営判断の流れに沿った配置
  • 受入条件:KPIごとに判定できる基準
  • 追加機能:予測やAIを、実績データが安定した後に検討すること

データフローでは、正とするシステムと取込時期を決めます。さらに、欠損や重複の扱いと、組織変更の補正方法も定めておきます。流れを先に決めておけば、画面の数字が更新されない事態を避けられます。

画面は、全社サマリーから事業部別へと見せます。そのうえで、要因分析から案件や顧客へ掘り下げられるようにします。

画面の上部には、売上、粗利、営業利益を置きます。キャッシュと、実績・予算・見込・前年同期との差も置きます。

部門や拠点、商品、顧客、案件のどこからでも原因を深掘りできる導線も用意します。受入条件には、前月会計との一致と更新日時を入れます。さらに、自部門のみの閲覧や未達時の通知も設定します。

これらは、第三者が判定できる条件にします。なお、What-ifシミュレーションやAIによる説明機能も、実績値の定義と品質が安定してから、MVPの後段に回します。

4. テスト|数字・権限・更新の確認

画面表示に加えて、数値、権限、更新の各条件を、実データに近い形で確かめます。

  • 機能と連携:各処理が想定どおりに動くこと
  • 数値突合:元帳、DWH、画面の集計の比較
  • 権限:役割ごとに見える範囲
  • 更新と保護:通知、再実行、機密情報の扱い

単体テストでは計算式や変換を、連携テストでは取込から集計までを確かめます。総合テストでは、経営会議に近いシナリオで全体を再現します。

通常時は、売上の締め処理や月またぎ、返品を試します。例外時は、組織変更や未入力、重複を試すほか、API停止も確かめます。突合では、対象期間と条件をそろえておきます。

元システムとの突合はKPIごとに行い、差異があれば原因と許容範囲を記録します。完全に一致しない場合は、丸めや計上時期、除外ルールといった理由をKPI辞書に残します。説明できないまま稼働すると、Excelへ戻るおそれがあります。

権限テストでは、役割ごとのアカウントを使います。経営層から外部委託先まで、各アカウントで見える会社、部署、案件の範囲が適切かを確かめます。

更新テストでは、成功と遅延の通知、失敗時の再実行、担当者への連絡を試します。機密情報には匿名化とMFAを適用し、最小権限と暗号化も設けます。また、監査ログやバックアップ、再委託先の管理も確認対象です。

5. 稼働|経営会議への組み込みと問い合わせ先

稼働直後は、旧資料とダッシュボードを一定期間並べ、差異を確かめます。二重運用が長引くと定着しにくいため、切り替え条件を先に決めておきます。

  • 数値と権限:主要KPIの突合と承認の完了
  • 連絡経路:更新失敗時の連絡先の決定
  • 会議利用:経営会議で一度以上使ったこと

利用者には、操作方法だけでなく、数字を見た後に誰が何をするかも説明します。たとえば、粗利率が基準を下回った場合は、事業部長が案件を確認し、営業責任者と原価担当が翌営業日までに対応案を登録する例があります。

ダッシュボードを開くこと自体を目的にせず、会議の議題、承認、アクション管理につなげると、利用率を高められます。

データ修正の責任者とKPI変更の承認者、ユーザー追加の申請者を決めます。問い合わせ窓口や復旧目標、月次レビューの参加者も定めておきます。

API仕様や法制度が変わると、集計に影響が出ます。そのため、保守範囲と通知方法を契約で確かめ、問い合わせをKPI定義や会議の進め方の見直しに生かします。

6. 定着|使われない画面の削減と改善

定着は、ログイン数ではなく意思決定の改善で評価します。利用状況を見ながら、画面と運用を見直します。

  • 成果測定:導入前後の会議や対応の変化の比較
  • 月次レビュー:使われない表示や遅延、未対応の見直し
  • 改善判断:不要な指標の削減と担当の明確化
  • AI利用:根拠と確認者の明示による判断の支援

見る指標は、資料作成や会議での確認にかかる時間、差異調査の件数です。さらに、異常検知から対応までの時間と、予実差を説明できる割合も見ます。導入前を基準に、1か月後、3か月後、半年後で比べます。

月次では、見られていないグラフや説明しにくい指標を確かめます。加えて、遅い更新や、アラート後に行動されなかった例も確認します。

画面を増やすより、定義を分かりやすくする方が効果を生む場合もあります。

部門からの要望は、全社KPIとの整合性と保守の負荷を見て追加します。

成功の目安は、手作業で数字を集めなくても会議前に信頼できるデータが更新され、異常時の対応が決まっている状態です。

利用者が増えるほど、権限やKPI変更を統制する必要が高まります。

AI予測や自然言語分析では、予測の根拠と参照データ、誤りの確認者を明記します。人の判断に代わるのではなく、判断を速める用途から始めるのが基本です。

ポイント

迷ったときは、各フェーズの判断基準と残す資料がそろっているかで、次のフェーズへ進むかを判断します。MVPの範囲を広げるのは、利用結果を見てからです。

経営ダッシュボードの費用相場とコストの内訳

小規模、部門横断、全社統合の3区分について、初期費用の推定レンジを横棒で比較した図。
統合する範囲が広い区分ほど、費用レンジも上がります。

費用は、既存データを画面で見られるようにするか、複数システムを統合して品質まで整えるかで変わります。

ここで示すのは、本リサーチノートで確認した基幹刷新の相場とBI導入の条件から組み立てた推定レンジです。これは一律の公開価格ではなく、自社の見積額を決める数字でもありません。提案がどの規模に近いかを判断する目安として使います。

規模別の初期費用の目安

初期費用と期間は、導入するシステム数や対象範囲に応じて変わります。

  • 小規模:300万〜800万円程度、2〜3か月
  • 部門横断:800万〜2,000万円程度、3〜6か月
  • 全社統合:2,000万〜5,000万円以上、6〜12か月以上

小規模は、会計や販売管理など1〜2システム、KPI10〜30個、経営層向け画面1〜3枚を想定します。手作業の確認を一部残し、会議で使えるかを検証する構成なら、下限に近づきます。

部門横断は3〜5システムが対象で、DWHまたはデータマートと部門別の権限を含みます。さらに、複数画面と更新監視も入ります。全社・複数拠点のERPやグループ会社を統合し、移行や予測、シミュレーションまで行うと、上位規模になります。

これらは、ダッシュボード固有の公表価格ではありません。類似する基幹刷新やBI導入からの推定です。

指定Q&Aの基幹刷新相場は、限定領域で数百万円〜1,500万円、複数領域で1,500万〜4,000万円、複雑な統合で4,000万円超です。

既存データを使うダッシュボードは下限に寄ります。一方で、業務変更やデータクレンジング、移行まで含めると、基幹刷新に近づきます。権限が複雑な場合も、基幹刷新に近づく要因になります。

開発費の内訳

開発費は、準備工程、データ基盤と画面の構築、ライセンスなどに分けて見積もります。

  • 要件と設計:要件整理、データ調査、KPI定義、設計
  • 構築と運用準備:連携、クレンジング、DWH、画面、権限、テスト、教育、運用設計
  • 製品・契約費:BIライセンス、エンジニア単価、契約方式

工数配分の一例は、要件定義が約10%、設計が10〜20%、実装が40〜60%、テストが10〜20%です。ただし、画面が少なくても、古いExcelや複数システムの統合が重いと、連携と品質改善に費用が寄ります。

リサーチノートでは、エンジニア単価は月額80万〜120万円程度です。役割や専門性、契約形態、期間で変わります。

請負契約は仕様変更のリスクを含み、準委任契約より1.3〜1.5倍程度高い傾向があるとの整理もあります。そのため、変更の管理方法と納品物の定義を確かめます。

Microsoft公式価格ページでは、Power BI Proが1ユーザー月額2,098円相当の年払い、税別とされています(出典:Microsoft「Power BIの価格」、2026年8月確認)。

Tableau公式価格ページではStandardの最低価格が1ユーザー月額1,800円の年間契約です。また、導入ごとに少なくとも1つのCreatorライセンスが必要です(出典:Tableau「データ担当者向けの価格設定」、2026年8月確認)。

ライセンスは開発費と分けて考えます。上位エディションや容量のほか、導入支援や教育費、クラウド基盤費も加わります。そのため、表示価格だけで総額を判断するのは避けます。

ランニングコストと補助金

稼働後の費用と補助金の条件を分けて整理し、自己負担を見積もります。

  • 運用費:ライセンス、基盤、保守、更新、教育など
  • 補助対象:対象経費、登録ツール、支援事業者の要件
  • 申請判断:採否に左右されない総額と投資効果

稼働後は、BIライセンス、クラウドDWHやストレージ、連携基盤、監視の費用がかかります。さらに、バックアップや問い合わせ対応、KPIの追加にも費用がかかります。API変更やセキュリティ更新、利用者教育にも対応が必要です。

保守費は、初期費用の5〜15%程度とする整理もあります。契約前には、月額か年額か、作業時間や障害対応の範囲、KPI追加や軽微な変更の扱いを確かめます。

2026年の通常枠は、1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下です。補助率は原則2分の1以内です(出典:中小企業基盤整備機構「デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠」、2026年8月確認)。

対象になり得るのは、ソフトウェアやクラウド利用料、導入コンサルティング、研修、保守などです。登録ITツール、支援事業者、公募要領の条件を確かめます。

採択を前提に要件を膨らませず、不採択でも成り立つ総額と段階導入案を作ります。交付決定の期間や契約時期、実績報告期限、対象外の作業を見ておきます。

そのうえで、自己負担額とキャッシュフローを見積もり、会議時間の短縮や異常検知の早期化で投資を回収できるかを判断します。

ポイント

費用を比べるときは、推定レンジに自社の連携システム数やデータ品質、権限の複雑さを当てはめ、どの規模に近いかを見ます。ライセンスと保守は、開発費と分けて総額で見ます。

見積もりを取る際のポイントとチェックリスト

RFPや依頼書にまとめる背景と業務要件、データ要件、安全管理、納品物の4領域を示す図。
4領域をそろえると、各社へ同じ条件を伝えやすくなります。

金額だけで比べると、安い提案が本当に安いかを見誤るおそれがあります。そのため、同じ条件で比べられるよう、各社に同じ資料を渡します。

資料には、KPI一覧やデータ源、利用者と権限、更新頻度を示します。あわせて、画面数や対象期間、目標日程、保守要件も添えます。

情報が不足している場合は、開発費を断定させず、調査・要件定義の見積もりと本開発の概算レンジを分けて示してもらいます。

RFPや依頼書の記載項目

依頼書は、各社が同じ前提で見積もれるように、要件を一つにまとめる資料です。

  • 背景と業務要件:現状の数値、初期・将来KPI、必要画面
  • データ要件:システム、接続、品質、移行対象
  • 安全管理:権限、保護策、委託先、AIへの入力範囲
  • 納品物:設計、テスト、操作、運用の各資料

現状は、月次資料の作成日数や集計担当者、数値不一致の頻度を数字で示します。判断が遅れた場面も、具体的に書きます。

閲覧者と更新の希望も書き、モバイル閲覧やExcel出力、アラート条件の要否も記します。

データ要件には、システム名と担当部署、接続方法を書きます。保存期間や更新頻度、主キーも併記します。

欠損・重複の状況と、過去データの移行範囲も記します。

セキュリティ要件には、会社・部門・個人単位の制御を含めます。加えて、MFAや暗号化、監査ログ、バックアップも記します。

データ所在地や委託先・再委託先の管理、AIサービスに入れてよい情報も決めておきます。

納品物として求めるのは、KPI辞書やデータフロー図、画面一覧です。テスト仕様書や操作マニュアル、運用手順書も含めます。

2026年のIPA「情報セキュリティ10大脅威」では、組織向けの脅威が挙げられています(出典:IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」、2026年)。

例には、ランサム攻撃や委託先を狙う攻撃、AI利用のリスクがあります。ほかにも、脆弱性の悪用や機密情報を狙う攻撃があります。

経営ダッシュボードは、売上や利益、人員、案件など機密性の高い情報を集めます。だからこそ、セキュリティを後付けにせず、見積もり条件に含めます。

開発会社の比較ポイント

最低2〜3社に同じ資料を渡し、費用、対応力、自社業務との適合性を分けて比べます。

  • 見積もり:金額の内訳と作業範囲の比較
  • 実行体制:担当者の経験と問題への対処方法
  • 継続性:内製化や他社移行の条件
  • 業務適合:担当チームがKPIと業務を理解しているか

見積もりは、初期費用やライセンス、クラウド利用料を分けて受け取ります。移行費や教育費、保守費も別々に示してもらいます。

要件定義の工数とデータ整備の範囲を確かめます。あわせて、受入テストの責任者と、自社での変更可否も確認します。

KPI定義や例外処理が提案に含まれていないと、追加費用が生じやすくなります。そのため、類似案件の経験を聞きます。

接続数と期間、担当者、データ品質が悪い場合の進め方について尋ねます。差異の解消や目標の復旧時間、権限設計の経験も確かめます。

内製化の支援、他社へ移る際のデータや設定の引き渡し、事例の成果指標と稼働後の利用状況も聞きます。ただし、事例と自社では規模や業務が異なることもあるため、その点も考慮します。

発注先は、BI販売代理店、システム開発会社、データ基盤に強いSIer、業務コンサルティング会社などです。たとえば、業務整理を自社で進め、標準機能を早く設定するなら、BIに強い会社が候補になります。

複数の基幹システムや複雑な権限、移行を含むなら、統合と運用設計を支援するSIerや開発会社が候補です。グループ会社や業務変更が絡む場合も、この条件に当てはまるかを見ます。知名度よりも、担当チームの理解で判断します。

よくあるリスクの抑え方

失敗を防ぐには、社内の体制から契約条件まで、事前に整えておくことが大切です。

  • 社内体制:意思決定者とデータ責任者の設置、範囲の合意
  • 運用準備:更新監視と再実行、手順書の整備
  • 契約と鮮度:権利や保守条件、必要な更新間隔の取り決め

失敗例には、業務整理の丸投げや要望の詰め込みがあります。ほかにも、現場の例外運用の無視や数値確認の不足、稼働後の責任者不在が挙げられます。

MUSTとWANTを分け、MVPの受入条件と追加開発の判断基準を合意します。さらに、連携遅延やAPI変更に備えて、更新状況、失敗通知、再実行手順を用意します。

KPI辞書やデータ項目の対応表は、文書にしておきます。アカウント管理や障害対応、バックアップ復旧も文書に残します。

契約では、仕様変更とデータ・ソースの所有権を確かめます。再委託や解約時の返却、保守応答時間も確認します。

「リアルタイム」という要望は、業務上の必要性に置き換えて考えます。たとえば、月次会議なら日次更新で足りる場合があり、受注残や在庫の異常検知では数時間ごとの更新が必要になることもあります。

更新頻度を上げると、連携や監視、クラウド容量、障害対応の費用が増えます。そのため、判断に必要なデータの鮮度と費用のバランスを見積もります。

ポイント

見積もりは、同じ条件の資料を各社に渡し、金額の内訳と対応範囲をそろえて比べます。情報が足りない段階では、本開発の金額を断定させず、概算レンジとして受け取ります。

よくある質問(FAQ)

費用やツールのほか、導入時期やExcelとの関係について答えます。データ品質やセキュリティについても回答します。

経営ダッシュボードの開発期間はどのくらいですか?

小規模MVPは2〜3か月、部門横断の標準導入は3〜6か月、全社統合や予測を含む場合は6〜12か月以上が推定目安です。

期間は画面数より、接続システム数やデータ品質に左右されます。権限の複雑さや過去データの移行、社内レビューの速さも影響します。そこで、要件整理で現行データを洗い出し、初期範囲を絞ると、早く使い始められます。

Excelを完全にやめる必要はありますか?

導入直後にExcelを禁止する必要はありません。主要KPIをダッシュボードへ移し、補足分析や一時的なシミュレーションでは併用できます。

公式数値の正本が複数あると、現場は混乱します。そのため、どの指標をダッシュボードの値とするかを決め、Excelから再入力する場合の承認者と保存先も定めておきます。

Power BIだけで経営ダッシュボードを作れますか?

小規模でデータが整っていれば、Power BIだけでレポートやダッシュボードを作れる可能性があります。

複数システムのデータを集める場合は、連携やクレンジング、共通KPIモデルが必要になります。権限や更新監視も必要です。Power BIを選んだからといって開発の全工程が不要になるわけではないため、作業を分けて見積もります。

個人情報や機密情報を経営ダッシュボードに表示してもよいですか?

表示はできますが、必要性と権限を最小限に絞って設計します。氏名や個人の評価情報は全社に公開せず、経営層や所属長、本人など役割ごとに表示の粒度を分けます。

行・列レベルの制御や、MFA、暗号化を要件に入れます。監査ログやバックアップ、委託先の監督も要件に含めます。個人情報を扱う場合は、個人情報保護法の安全管理措置と委託先監督に沿って、利用目的や保存期間、削除方法を確かめます。

まとめ|経営ダッシュボードは段階導入が成功の近道

成否は、グラフの美しさや知名度より、経営課題と判断の定義で決まります。そのうえで、製品の接続性や権限、運用体制を比べ、KPI辞書とデータフローを整え、数値と権限をテストします。

費用は小規模導入で300万〜800万円程度、部門横断で800万〜2,000万円程度、全社統合で2,000万〜5,000万円以上の推定レンジです。

これは一律の公開相場ではなく、費用は連携システム数やデータ品質、KPI数で変わります。権限や移行、予測機能、保守範囲によっても違いが出ます。

相見積もりでは、開発費とライセンス、クラウド、保守を分けて比べます。KPI辞書からデータフロー、テスト、運用手順まで含む提案かを確かめます。

経営会議で使い始め、利用状況や判断の変化を確かめながら定着を進めます。

最初から全社分を完成させるのではなく、経営KPIを10〜30個、主要画面を1〜3枚に絞ったMVPを作ります。

3か月程度の会議運用で効果を検証する進め方が現実的です。

数字を見た後の担当者と行動まで設計すれば、報告資料にとどまらず、変化を早く捉えて動ける経営基盤になります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。