経費精算システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

経費精算システムの費用は、方式、機能の複雑さ、連携範囲によって、月額3万円〜2,500万円以上まで変わります。

方式別の費用相場と規模別の費用目安を示したうえで、見積もりの進め方と費用を抑える方法を取り上げます。全体像は、経費精算システム開発の完全ガイドでも確認できます。

▼全体ガイドの記事
・経費精算システム開発の完全ガイド

経費精算システム開発の費用相場とコスト構造

経費精算システムの開発費用は、構築方式と機能の複雑さで変わります。管理する経費の種類と件数も、見積もりの前提になります。

クラウド型かオンプレミス型かの選択も、費用に影響します。加えて、OCR機能や会計システム連携は、費用の増減に関わります。インボイス対応や既存データ移行も、費用に響く要素です。

開発会社の規模も費用を左右します。そのため、まず全体の構造を押さえておく必要があります。

開発費用の全体感

構築方式を比べると、初期費用と継続費用の違いが見えてきます。

  • SaaS導入:既存製品を利用する方式。
  • パッケージカスタマイズ:既製品を自社向けに調整する方式。
  • スクラッチ開発:必要な機能を個別に構築する方式。

SaaS型の既存製品を導入する場合、月額の目安は3万〜50万円程度です。月額費用は、ユーザー数と機能に応じて変わります。また、SaaS型の初期設定費用は、0〜100万円程度が目安です。

パッケージのカスタマイズ導入は、初期費用が200万〜1,500万円程度です。さらに、年間保守費用も発生します。

スクラッチ開発の小規模システムは、200万〜500万円が目安です。小規模システムは、シンプルな経費申請、簡易承認、基本的な会計連携を備えます。

スクラッチ開発の中規模システムは、500万〜2,500万円が目安です。全社横断の利用に加えて、OCRや複雑な承認、会計API連携を含みます。インボイス対応を含む場合もあります。

スクラッチ開発の大規模システムは、2,500万円以上が目安です。グループ会社、多通貨、ERP連携を対象にします。そのため、複数の外部システムと連携する場合もあります。

初期開発費用とは別に、年間の保守・運用費用がかかります。その目安は、初期費用の10〜20%程度です。さらに、クラウドインフラ費用とOCRエンジンのAPIライセンス料も、継続してかかります。

費用の内訳と比率

スクラッチ開発では、工程ごとに費用の比率が異なります。

  • 要件定義・業務分析:業務と法令要件を整理する工程。
  • 設計:システムの構造と連携方法を定める工程。
  • 開発・実装:機能をシステムへ組み込む工程。
  • テスト・品質管理:動作と法令対応を確認する工程。
  • 環境構築・定着支援:利用環境を整え、導入を支援する工程。

要件定義・業務分析は全体の15〜20%を占めます。この工程では、現状業務のヒアリングや経費種別の洗い出し、承認フローの整理を行います。法令要件の整理、To-Be設計、要件定義書の作成も、ここに含まれます。

設計は全体の10〜20%で、基本設計と詳細設計を行います。ワークフローとDBの設計に加えて、APIと仕訳ロジックの設計も、設計費用に含まれます。

開発・実装は全体の40〜50%を占め、最も大きな費用項目です。承認ワークフローエンジンやOCRを実装するほか、会計連携とインボイス判定も手がけます。さらに、電子帳簿保存法対応やスマートフォンアプリも、この工程に含まれます。

テスト・品質管理は全体の10〜15%です。計算ロジックと仕訳生成の確認に加えて、結合やユーザー受け入れテストを実施します。ユーザー受け入れテストはUATとも呼ばれ、インボイス制度への準拠も確認します。

インフラ・環境構築は全体の5〜10%で、利用環境を整えます。クラウド環境や暗号化、バックアップの設定に加え、OCRエンジン連携も行います。

リリース・定着支援は全体の5〜10%で、利用開始を支えます。データ移行、マニュアル作成、操作トレーニングを行うほか、ヘルプデスクの立ち上げも、この費用に含まれます。

SaaS型経費精算ツールの費用相場

SaaS型は、標準機能を使うため、低コストかつ短期間で導入しやすい方式です。

  • ユーザー数課金:利用人数に応じて月額費用が変わる。
  • 機能拡張:外貨精算や高精度OCRは追加費用になりやすい。
  • 法改正対応:ベンダー側の対応で保守負担を抑えやすい。

既存製品には、楽楽精算、マネーフォワードクラウド経費、Concur等があります。ユーザー数課金型は、1ユーザーあたり月額300円〜1,500円程度です。たとえば100名規模の企業では、月額3万〜15万円程度が目安になります。

標準機能には、経費申請と承認ワークフロー、領収書管理、会計連携が含まれます。一方で、外貨精算、グループ会社管理、高精度OCRは、追加費用になる場合があります。初期設定費用として、10万〜100万円程度が別途かかることもあります。

SaaS型では、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応をベンダーが行います。そのため、長期的な保守コストを抑えられるメリットがあります。ただし、固有の承認フローや基幹システムとの深い連携には、制約が生じます。

ポイント

費用の目安を見るときは、まず構築方式(SaaS導入、パッケージカスタマイズ、スクラッチ開発)を決め、そのうえで初期費用と年間の保守・運用費用を分けて比べます。

機能・規模別の費用目安

小規模・中規模・大規模の経費精算システムを、それぞれの開発費用帯と並べた図。
規模が上がるにつれて費用帯も段階的に広がります。

開発費用は、必要な機能の数と複雑さで変わります。対象範囲とユーザー数も、費用を左右する要素です。

規模ごとに、費用目安と代表的な構成例を見ていきます。

小規模システム(200万〜500万円)

小規模システムは、特定の部門と、シンプルな経費申請や簡易承認ワークフローを対象にします。

  • 対象:4人〜数十名規模の部門利用。
  • 基本機能:申請、承認、領収書管理、会計連携。
  • 期間:開発期間は3〜5ヶ月が目安。

経費申請フォームは、交通費・宿泊費・購入費等の区分別入力に対応します。領収書ファイルのアップロードと、2〜3段階の承認ワークフローも備えます。

会計連携はCSVエクスポートで行い、基本的な法令対応も備えます。電子帳簿保存法の基本対応には、ファイル保存と検索機能が含まれます。

OCRは、外部SaaSのGoogle Vision API等を活用することで、コストを抑えられます。なお、スマートフォン撮影だけに対応し、OCRを手動入力とする場合もあります。また、ノーコードツールのkintone等を使えば、さらに低コストで構築できる場合もあります。

中規模システム(500万〜2,500万円)

中規模システムは、複数部門の経費を全社横断でまとめて管理します。

  • 対象:数十名〜数百名規模の全社利用。
  • 連携:会計API連携とインボイス対応を含む。
  • 期間:開発期間は6〜12ヶ月が目安。

スマートフォンアプリ(iOS/Android)と、高精度AI-OCRによる領収書の自動読み取りを備えます。インボイス番号を検出して、適格事業者との照合も行います。

承認ルートは、金額帯、経費種別、部門による多段階承認に対応します。代理承認やバルク承認にも対応し、複雑な承認ワークフローを構築します。freee、弥生、SAP等の会計システムとは、APIで仕訳を自動連携します。

電子帳簿保存法への完全対応には、タイムスタンプと検索機能が含まれます。この規模では、法令要件にも対応する構成になります。経費分析ダッシュボードを含む構成もあります。

大規模システム(2,500万円以上)

大規模システムは、グループ会社への対応や多拠点での利用を前提とする企業を対象にします。

  • 対象:多拠点、多言語、高度なセキュリティ要件。
  • 基盤:ERP、SSO、交通系ICとの連携。
  • 期間:開発期間は12ヶ月以上が目安。

金融や医療など、高度なセキュリティ要件を持つ企業も対象になります。グループ会社間の経費精算を統合し、海外出張費の外貨精算にも対応します。多通貨対応では、為替レートの自動取得も行います。

日英などの多言語UIと、SAP・Oracle等のERPとの双方向API連携を行います。複数の外部システムとの連携も、この規模の要件です。高可用性や冗長化設計も含まれます。

グループ全体への展開や大規模なデータ移行では、総期間が2年を超えることもあります。人事システムや旅費システムとの連携が必要な場合は、コストがさらに増加します。

ポイント

規模の目安は、対象が部門か全社か、会計システムや人事システムとの連携が必要かで判断します。連携の範囲が広がるほど、大規模の費用帯に近づきます。

費用を左右する主な要因

承認ワークフロー、会計システム連携、OCR、スマートフォンアプリが開発費用に関わる領域として示された図。
見積もりでは機能領域ごとの要件を分けて整理できます。

主な要因を押さえておくと、予算計画の精度を高められます。要因ごとに費用への影響を見て、優先度を整理しておきます。

承認ワークフローの複雑さ

承認ワークフローの複雑さは、開発費用に大きく影響します。

  • 分岐ロジック:金額や部門で承認ルートが変わる。
  • 例外処理:代理承認や差し戻しに対応する。
  • 組織連携:人事システムの組織マスタと連携する。

分岐が複雑になると、工数が2〜5倍になることがあります。並行承認を加えると、工数はさらに増えます。タイムアウト処理も、設計を複雑にする要素です。

再申請フローも、直線的なワークフローより開発工数を増やします。複数の事業部や海外拠点で承認ルールが異なる場合は、さらに複雑になります。

開発を機に承認フローを整理して標準化すると、コスト削減と業務効率化につなげられます。そのうえで、人事システムの組織マスタと連携し、承認権限を自動で更新する設計も検討します。

会計システム連携・OCR機能の実装コスト

会計連携とOCRは、開発コストへの影響が大きい機能です。

  • 会計連携:API仕様や認証方式で工数が変わる。
  • インボイス照合:番号照合の実装に追加費用がかかる。
  • OCR:精度や手書き対応で工数と費用が増える。

freeeや弥生など、会計システムごとにAPI仕様が違います。OracleやSAP、勘定奉行も、仕様はそれぞれ異なります。認証方式と利用可能なデータ項目の違いによって、連携工数が変わります。

APIが整備されたfreeeやマネーフォワードは、比較的工数が少なく済みます。一方で、レガシーなERPでは、カスタムインターフェース開発が必要になる場合があります。

インボイス制度対応では、適格請求書発行事業者番号の照合機能を実装します。その照合で国税庁データベースのAPIを使う場合は、追加コストがかかります。

クラウドOCRを使うと、Google Cloud VisionやAWS Textractのような従量課金の利用料が、継続的なランニングコストになります。高精度AI-OCRや手書き領収書への対応、インボイス番号の自動抽出も、費用を増やします。

スマートフォンアプリ対応のコスト

スマートフォンアプリは、対応方式によって開発コストが変わります。

  • Webアプリ:既存のWeb開発を活用しやすい。
  • ネイティブアプリ:iOSとAndroidを個別に開発する。
  • クロスプラットフォーム:1つのコードベースで両方に対応する。

レスポンシブ対応を使えば、スマートフォンでもWeb画面の表示を合わせられます。一方で、カメラやプッシュ通知、オフライン対応には制限があります。

iOSはSwift、AndroidはKotlinで個別に開発するため、工数が増えます。同じ機能でも、2つのプラットフォーム分の開発が必要になります。

FlutterやReact Nativeを使えば、iOSとAndroidの両方に1つのコードで対応できます。そのため、ネイティブアプリ2本分よりコストを抑えられます。

領収書の撮影からOCR、申請入力までをアプリで提供すると、ユーザーの定着率が大きく上がります。投資対効果(ROI)を考えて、アプリ方式と投資水準を決めます。

ポイント

見積もりの差が出やすいのは、承認ワークフロー、会計連携とOCR、スマートフォンアプリの3つです。それぞれの要件をどこまで含めるかを先に決めておくと、予算の見通しが立ちやすくなります。

見積もり依頼の進め方

適正な費用感をつかむには、複数の開発会社から見積もりを取ります。依頼前に自社の前提を整理しておくと、各社の見積もりを同じ条件で比べられます。

見積もり前に準備すべき情報

開発会社に伝える自社の条件は、次の8項目にまとめます。

  1. 開発の背景と目的
  2. 月次の申請件数と経費種別
  3. 必要な主要機能
  4. ユーザー数と対象部門
  5. 既存システムとの連携要件
  6. 法令対応要件
  7. 希望スケジュール
  8. 予算感

経費の内訳では、交通費・宿泊費・接待費等の比率まで伝えておきます。

現在の申請方法が紙、Excel、既存システムのどれかも、伝えておきます。主要機能では、OCR機能の要否、承認ワークフロー、会計システム連携の要件を分けて示します。スマートフォンアプリ対応の要否も、併せて整理します。

ユーザー数と対象部門は、全社か特定部門かを区別して示します。既存システムでは、会計システムの名称とAPI対応状況を伝え、人事システムとの組織マスタ連携の要否も確認します。

インボイス制度や電子帳簿保存法など、法令対応の概要をまとめます。開発開始時期とリリース目標時期は、希望スケジュールとして示します。さらに、大まかな上限でも予算感を示すと、見積もりの精度が高まります。

ベンダー選定時の費用比較ポイント

複数社の見積もりは、合計金額だけでなく作業範囲をそろえて比べます。

  1. 要件定義・業務分析の有無
  2. インボイス制度対応の範囲
  3. 電子帳簿保存法対応の範囲
  4. 会計システムAPI連携の有無
  5. OCRの実装と継続費用
  6. アプリの開発方式
  7. テスト工程とUAT支援
  8. 初期サポートと保守費用

インボイス制度対応では、適格事業者番号の照合と仕入税額控除の判定まで含まれるかを見ます。電子帳簿保存法対応では、タイムスタンプと検索機能が含まれるかを比べます。

OCRについては、エンジンの選定、実装、テストが含まれているかを確かめます。さらに、OCRの継続的なランニングコストの説明も確認が必要です。

スマートフォンアプリでは、開発プラットフォームと対応方針を確認します。テスト工程では、仕訳テストの有無にも注目します。リリース後の初期サポートと保守費用も、内訳まで比べます。

最安値の見積もりでも、インボイス対応や会計連携が除かれていないかには注意が必要です。

ポイント

依頼前に自社の前提をそろえ、比較では合計金額よりも先に作業範囲が同じかを見ます。作業範囲が違う見積もりは、金額だけで比べると判断を誤りやすくなります。

費用を抑えるためのアプローチ

フェーズ1でコア機能を整え、ユーザーのフィードバックを踏まえてフェーズ2で追加機能を広げる流れ図。
利用後の状況を次の機能追加に反映する構成です。

必要な機能を確保しながら、開発費用を抑える方法を2つ紹介します。法令対応を省略すると法的リスクが生じるため、削減してよい範囲を見極めます。

SaaS型と独自開発の組み合わせ(ハイブリッドアプローチ)

標準機能はSaaS型で補い、固有の部分だけを開発すると、初期費用を抑えられます。

  • SaaSで標準化:申請と承認を既製品でまかなう。
  • 固有部分を開発:連携や仕訳ロジックをカスタムする。
  • 長期比較:5年・10年の総費用で判断する。

標準的な申請と承認には、楽楽精算やマネーフォワードクラウド経費を使います。開発するのは、固有のワークフロー、既存ERP連携、独自の仕訳ロジックの部分です。

この方法なら、初期開発コストと法改正対応コストを大きく減らせます。SaaS型は法令対応をベンダーが継続して提供するため、保守コストも抑えられます。

SaaS型は初期費用を抑えやすい反面、月額費用が長く続くため、長期での費用の積み上がりを見ておく必要があります。

従業員数が少ない中小企業では、SaaS型の費用対効果が高くなる場合があります。たとえば、SaaS型の月額費用が独自開発の年間保守費用を下回るケースもあります。

フェーズ分割による段階的な開発

段階的な開発は、初期投資を抑えながら必要な機能を追加する方法です。

  • フェーズ1:業務開始に必要なコア機能を開発する。
  • フェーズ2:利用状況を見て追加機能を拡張する。
  • 拡張性:後工程の変更コストを抑える設計にする。

フェーズ1では、申請と基本的な承認ワークフロー、領収書管理、基本会計連携を開発します。加えて、インボイス対応と電子帳簿保存法対応も、フェーズ1に含めます。

実際に使いながら必要な機能を見極め、フェーズ2で高精度OCRなどを追加します。そのため、使われない機能への投資を防げ、ユーザーのフィードバックで優先順位も決められます。モバイルアプリや高度な分析機能も、フェーズ2で拡張する対象です。

フェーズ1の設計の段階から、将来の機能拡張を考えておく必要があります。特に、承認ワークフローエンジンと会計連携基盤は、拡張性を持たせて設計します。変更コストが高くつく基盤を先に整えておくと、将来の開発費用を抑えやすくなります。

経費精算システムの費用相場や見積もりについては、riplaまでお気軽にご相談ください。現状の課題と要件をヒアリングしたうえで、最適なアプローチと費用感をご提案します。初回相談は無料です。

ポイント

SaaS型で標準機能をまかない固有の部分だけ開発するか、段階的に開発するかは、自社の業務範囲と長期の費用で比べて決めます。法令対応は、削減の対象に含めないことが前提です。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。