農業向け圃場管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

農業向け圃場管理システムの費用は、無料から3,000万円以上まで幅があり、導入方式、圃場数、連携範囲で決まります。

既製サービスの利用料から、農機やセンサー、AIまでを含む構成まで段階があります。全体像は、農業向け圃場管理システム開発の完全ガイドもご覧ください。

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・農業向け圃場管理システム開発の完全ガイド

農業向け圃場管理システムの費用を決める全体像

小規模PoCから高度な統合まで、圃場管理システムの4段階と推定開発費用帯を並べた図。
費用帯が一部重なるため、機能範囲と合わせた比較が必要です。

圃場管理システムは、場所や面積の台帳を土台に、作付けや作業、生育の記録をつなぐ仕組みです。さらに、資材の記録から収益までを圃場単位で結びます。

紙の地図やホワイトボード、Excelに分かれた情報をまとめると、「どの圃場で、いつ、誰が、何をしたか」を検索できます。担当者の記憶にあった情報も、同じ場所にまとめられます。

費用は、システム名や画面数ではなく、どの業務をどこまでデジタル化するかで決まります。そのため、見積もりの前に業務の範囲を先に決めておく必要があります。

標準SaaSは利用料を抑えて検証を始めやすい点

標準SaaSやパッケージには、圃場マップや作業日誌など、共通の業務機能があらかじめ用意されています。作付けや収穫記録も、その一部です。

自社業務を標準機能に合わせるほど、初期開発費や導入期間は抑えやすくなります。また、法改正や機能更新、障害対応を提供者に任せられる点も利点です。

ただし、圃場データ登録やExcel整理、利用者設定は、別費用になる場合があります。現場教育や帳票の追加は、費用が別になることがあります。農機やセンサーとの連携にも、別の費用がかかる場合があります。

業務に合わせやすい個別開発の初期費用

自社の栽培業務や独自のデータ活用を要件に取り込みたい場合は、個別開発が選択肢になります。

  • 業務への適合:露地、施設園芸、果樹、畜産の違いと、拠点ごとの権限を取り込む
  • 独自要件:独自帳票や出荷先ごとのデータ形式に対応
  • データ活用:栽培ノウハウを記録し、農機・会計連携や将来の分析・収益管理に生かす

標準SaaSより費用と期間が増えるのは、要件定義や地図データの整備が要るためです。さらに、オフライン同期や連携先との調整、現場試験も欠かせません。

段階別の予算レンジ

圃場管理だけを切り出した受託開発の公開見積は多くありません。そのため、ここに示す金額は、リサーチノートの類似する農業・業務システム相場と、公開製品の機能範囲から出した推定です。

特定の開発会社の確定価格ではないため、対象範囲をそろえたうえで、見積もりを比べる出発点として使ってください。

  • 小規模PoC:50万〜300万円程度:1拠点・1作物・数圃場で、スマホ記録やセンサー1種類などを試す
  • 基本MVP:300万〜700万円程度:台帳、地図、作業日誌、写真、基本集計をそろえ、少数で運用
  • 複数拠点向け:700万〜2,000万円程度:複数作物・拠点、権限、資材、収穫・出荷、帳票、既存業務連携
  • 高度な統合:1,500万〜3,000万円以上:IoT、農機、衛星画像、WAGRI、外部API、データウェアハウス、AI、設備制御

PoCでは、入力時間と記録率、通信、データ活用を確かめます。また、基本MVPの金額は、小規模な圃場・作業記録システムの相場整理とも整合します。

データ移行や外部連携が加わると、基本MVPの上限を超える可能性があります。さらに、拠点ごとに運用ルールが違えば、調整とテストが増えます。

高度な統合では、センサーや通信機器に加えて、現地設置・実証・保守をどこまで含めるかで、金額が大きく変わります。

ポイント

金額の幅だけで決めず、標準SaaSで足りる業務と、独自に作る必要がある業務を分けて考えると判断しやすくなります。

公開料金から見る圃場管理システムの利用料

既製サービスの料金は、個別開発費の相場とは分けて考える必要があります。公開料金は、ソフトを利用する権利の価格だからです。

ただし、自社圃場の登録や現場定着、既存システムとの接続費用は含まれないことがあります。それでも、標準機能で足りる範囲を知るための比較材料にはなります。

KSASの無料プランと月額2,200円の有料プラン

株式会社クボタの営農支援システムKSASでは、公式会員規約で、圃場登録枚数100枚以下の無料プランが案内されています。

有料プランは圃場登録枚数に制限がなく、税込月額2,200円です。また、サービス開始月と開始日翌月から12か月が無料期間になる案内もあります。

圃場台帳や作業日誌を小さく試すには、分かりやすい料金体系です。ただし、農機、衛星リモートセンシング、APIの条件は個別に確認します。端末とデータ登録支援の条件も、別に確かめる必要があります。

アグリノートの無料プランと年額11,000〜33,000円の有料プラン

ウォーターセル株式会社のアグリノートは、無料プランで100圃場・20記録まで利用できます。有料プランは年契約になっています。

  • Sプラン:1組織・1年間で税込11,000円
  • Mプラン:1組織・1年間で税込22,000円
  • Lプラン:1組織・1年間で税込33,000円

月額に換算すると約917円〜2,750円です。作業、生育、収穫、出荷の記録を合計して数えます。土壌診断や立て看板も、記録数として数えられます。

外部連携やオプションは、別の利用規約になっています。そのため、料金表だけで導入総額を判断しないようにします。

利用料とは別に見積もる導入支援費

利用料とは別に、データ整備や現場への導入支援費がかかります。見積もりでは、次の項目を確認します。

  • データ整備:圃場境界、所有・借入情報、面積、作付け、担当者、作業履歴を整理する
  • 移行・支援費:リサーチノートの推定では10万〜100万円程度で、圃場数や移行内容により変わります
  • 衛星・農機データ:基本料金に、利用料や連携費が加わる場合があります

たとえば、Excelの表記ゆれや写真・帳票の移行、現場説明会の回数によって、工数が変わります。各費用は、利用料と分けて見積書に書いてもらいます。

KSASの衛星リモートセンシング機能では、公式案内により、2026年1月から衛星チケットを年間1haあたり880円に改定するとされています。

面積課金の場合、対象面積が増えると5年総額に影響します。そのため、圃場数だけでなく面積でも試算します。

農業向け圃場管理システムの費用内訳

見積書は「システム開発一式」にまとめず、初期費用を作業単位に分けてもらいます。項目が分かれていれば、削る機能と残す準備作業を判断しやすくなります。さらに、圃場管理では、地理情報と現場業務を扱える状態にするための費用も欠かせません。

要件定義・業務整理・データ設計の費用

最初に、圃場台帳や作付け計画、作業日誌の対象範囲を決めます。そのうえで、生育記録や資材・農薬、収穫を含めるかを決めます。出荷や売上・原価まで扱うかも、この段階で決めます。

特に、露地、ハウス、果樹では記録項目や作業サイクルが違います。同じ農場でも、作物ごとに必要な入力画面が変わります。

圃場、作物、品種のIDを、どう関連付けるかも決めます。作業や資材、収穫ロットとの関係も含め、出荷先まで対象にします。この関連付けは、後の集計やトレーサビリティに関わります。

地図・モバイル入力・オフライン対応による実装範囲の広がり

地図やモバイル入力、通信環境によって、実装範囲は変わります。そのため、現場で使う機能と条件を、先に確かめておきます。

地図を使うと、一覧画面より実装が広がります。さらに、圃場の分割・統合があると、設計やテストも複雑になります。

  • 地図表示:圃場ポリゴンに面積、作付け、作業状態、担当者を重ねる
  • 地図データ:位置情報、航空写真、縮尺、圃場の分割・統合を扱う
  • 現場入力:写真、音声や簡易入力、視認性、手袋での操作を考慮する

山間部やハウス、圃場の奥では、通信が不安定になることがあります。そこで、オフラインで記録し、通信が戻ってから同期する方式も選べます。

オフライン同期では、競合や送信失敗、端末紛失への対応が必要です。加えて、時刻のずれや二重登録も扱う必要があります。そのため、スマートフォン対応だけの場合より費用が増えます。

オフラインが必要かどうかは、現場の電波を測り、実際の作業で確かめてから決めます。

農機・センサー・外部システムとの連携による費用増

農機・センサーや外部システムと連携する場合は、対象データと連携方法が費用に影響します。

  • 取得データ:農機の位置・稼働時間・作業実績、土壌水分、温湿度、日射、カメラ、衛星画像
  • 接続準備:形式、通信方式、取得頻度、欠損時の扱い、ID変換を確認
  • 連携方式:リアルタイムAPI、定時バッチ、CSVで開発量と運用責任が変わる

井関農機とアグリノートの2026年の発表では、農機の稼働時間や収穫量などを、航空写真マップ上の圃場情報と統合する方向性が示されています。

会計や販売、在庫との接続には、仕様調査と関係者調整が要ります。出荷や農薬管理、JAや自治体の台帳との接続でも、調整が欠かせません。

APIがあっても、圃場IDや作業者IDが違えば、変換や照合画面が必要になります。そこで、まずCSVで月次連携して効果を確かめ、そのあとにAPIへ進むと、初期費用を抑えられます。

AI予測・設備制御の検証と安全設計の費用

AI予測や設備制御では、学習データの評価と、異常時の安全設計も費用に含めます。

  • AIの検証:学習・正解データ、モデル評価、誤判定時の表示を用意
  • 段階導入:AIを必須にせず、データを蓄積してから効果を確かめる
  • 設備制御:人の承認、上限値、緊急停止、通信断時の安全状態を定義

株式会社オーイーシーの公開事例では、AI栽培計画や収穫日予測を紹介しています。そのほか、播種・施肥・農薬散布の蓄積や、土壌・水分センサー、カメラとの連携も含まれます。

ただし、同じ事例では、AIや各種デバイスを使わない構成も可能です。さらに、センサー故障時の手動操作も定義し、異常時テストと運用訓練を費用に含めます。

初期費用と分けて見るデータ移行・教育・セキュリティ・保守

移行や導入支援の範囲を分けて、初期費用と継続費用をそれぞれ見積もります。

  • データ移行:圃場名の重複、面積単位、住所、作物、担当者、作業履歴を整理
  • 導入支援:研修、説明会、マニュアル、問い合わせ、並行稼働、初期改善を区分
  • データ契約:所有者、第三者提供、AI学習、返却、バックアップ、削除、障害責任を確認
  • 保守:クラウド、問い合わせ、更新、端末・センサー、API変更などを確認
  • 移行範囲:現行の作付けと直近履歴に絞り、地図境界の修正方法を明記

地図境界は、手作業で直すか既存のGISデータを取り込むかを、見積もりの前提に明記します。

現場の入力がなければ、費用対効果は出ません。そのため、記録時間や入力率の目標、マスタ更新者を決め、支援期間と対応時間を契約に書いておきます。

圃場や収量、作業ノウハウは経営・技術情報です。農薬使用履歴も、経営・技術情報にあたります。農林水産省の「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」は、利活用とノウハウ保護の考え方を示しています。

同ガイドラインでは、農業者が希望した場合のデータ提供についても示されています。解約時のデータ返却形式と削除時期は、後から変えにくいため、初期要件に含めます。

リサーチノートでは、保守・クラウド・通信を含む費用を、初期開発費の年15〜25%程度と推定しています。端末、センサー、現場支援も、この費用に含めて推定されています。固定保守か従量課金か、機器保守を含むかも確かめてください。

ポイント

見積もりを比べるときは、要件定義、移行、連携、保守などにどこまで含まれるかを確かめると、金額の違いが見えてきます。

費用が高くなる主な変動要因

圃場数や作物、通信環境、データ条件という4つの費用変動要因を示した図。
規模以外の条件も、見積もりの差につながります。

5人で100圃場を管理する場合と、複数地域の生産者やJA、自治体が数千圃場を共有する場合では、必要な仕組みが違います。

見積もりの金額差を理解するには、まず規模と作物の条件を確かめます。通信とデータの条件も、あわせて確認します。

圃場数・面積・利用者・拠点の増加による設計の複雑化

圃場数が増えると、地図の登録や更新、検索、一覧表示の負荷が上がります。さらに、権限設定やバックアップも重くなります。

利用者が管理者や作業者、営農指導員へ広がると、閲覧と編集の権限を分けます。出荷担当や取引先、自治体職員が加わると、権限の設計はさらに細かくなります。

拠点間で圃場を共有するか、担当地域だけを見せるか、組織をまたいで集計するかを先に決めます。

作物と業務の粒度による費用の差

作物が一つで、作業日誌と収穫量だけを記録するなら、入力項目や帳票を絞れます。

複数の作物や品種、作型を扱うと、マスタと画面が増えます。作業を播種から出荷まで記録する場合も、入力する作業の種類が増えます。

農薬の希釈倍率や使用回数を管理する場合は、入力ミスを防ぐチェックも検討します。GAPの証跡や資材ロットを扱うなら、監査ログも候補に入れます。

通信環境と端末・センサーの種類の実測

圃場が分散している場合は、端末の通信会社や圏外の場所、Wi-Fiを確認します。センサーについては、設置距離や電源、交換頻度を確かめます。

通信費を低く見積もっても、電池交換や故障対応の訪問が多ければ、運用費は増えます。農機やセンサーのデータが届かないときは、作業者が手入力できる方法を用意しておくと、システム停止を防ぎやすくなります。

データの品質・返却・将来連携の曖昧さによる後からの費用

圃場IDや作物コードが、サービスごとに違う場合があります。作業区分、収穫単位、ユーザーIDまで違うと、乗り換えや複数サービスの連携で変換費用が発生します。

契約時には、CSVやAPIで出力できる項目と、画像・位置情報の形式を確認します。出力手数料や解約後の保管期間も、あわせて確かめます。

農林水産省は、スマート農業技術活用促進法に基づく認定制度も案内しています。補助事業や支援措置を使う場合は、公募要件と契約条件を同時に確かめます。

ポイント

同じ圃場数でも、作物や通信環境、データの扱いで費用は変わるため、規模だけで予算を決めないことが判断の目安になります。

開発期間と見積もりの進め方

PoCから高度な統合まで、4段階の開発期間の目安を月単位の横棒で比較した図。
対象範囲が広がる段階ほど、期間の目安も長くなります。

費用と期間は連動します。期間は、AIや機能数だけでなく、検証に使える時期にも左右されます。農業では季節で作業や収穫が変わるため、繁忙期を含めて検証します。

リサーチノートでは、PoCは1〜3か月、基本MVPは3〜6か月を目安にしています。同じ目安で、複数拠点向けは6〜12か月、高度な統合は12〜24か月です。

1〜3か月のPoCによる入力と効果の確認

全社の圃場を一度に移行せず、1拠点、1作物、代表的な数圃場に絞ります。二重入力を避けるため、誰が現場で何秒以内に登録するかも決めておきます。

圃場マップと作業記録、写真を試し、簡単な集計も行います。そのうえで、通信を切った状態での入力と同期や、雨天・繁忙期の入力も確かめます。

PoCのKPIは、機能の有無より運用の変化で測ります。導入前と比べる項目を、あらかじめ決めておきます。

  • 記録:作業記録の入力率と記録時間
  • 管理:転記時間、圃場巡回の移動回数
  • 生産:資材使用量、収穫量や品質の集計時間
  • 支援:問い合わせ件数。AI利用時は予測誤差や提案採用率

AIを使う場合は、測る項目を追加しなければ、費用対効果を判断できません。

MVP後の対象作物・拠点・連携の段階的な拡大

PoCで入力が定着し、KPIの改善が確かめられたら、基本MVPとして必要な業務範囲を整えます。その対象は、圃場台帳や作付け、作業です。生育や収穫、出荷なども、この段階で扱います。

その後は、資材・農薬、会計、販売を追加します。農機やセンサー、衛星データも、そのあとに加えます。

最初からすべてをリアルタイム連携にせず、CSVや定時バッチで効果を確かめてからAPIへ進む方法もあります。

見積依頼の数量と前提条件のそろえ方

開発会社へ相談する前に、見積もりの前提を整理します。

  • 規模:圃場数と総面積、拠点数、作物・品種
  • 利用環境:利用者数と役割、スマートフォン・タブレット台数、通信環境
  • 機能・連携:対象業務、既存Excelやシステム、機器型式、帳票
  • 導入時期:希望時期と、現在使う地図・日誌・台帳のサンプル

圃場の代表的な地図や作業日誌を渡すと、認識差を減らせます。資材台帳や出荷帳票も一緒に渡すと、認識差をさらに小さくできます。

見積書では、要件定義、UI・地図設計、開発を分けてもらいます。API連携や移行、テストも、別々に示してもらいます。

現地検証と教育、リリースと保守は、それぞれ別の項目として記載してもらいます。

「農機連携一式」の見積もりには、対象機器と取得項目・頻度を確認します。エラー時の扱いや、相手先との調整範囲も確かめます。

開発費だけでなく、初年度と2年目以降のクラウドや通信、端末を含めた5年総額で比べます。センサーと保守も、その総額に含めます。

ポイント

期間は、AIや機能数に加えて季節の影響も受けるため、PoCで効果を確かめてから次の段階へ進むかを判断すると無理のない計画になります。

農業向け圃場管理システムのコスト最適化ポイント

現場で必要な入力や将来のデータ移行を削ると、導入失敗のリスクが高まります。そこで、削る対象は、競争力に直結しない独自画面や、初期段階では不要な高度分析に絞ります。さらに、重複帳票や過剰なリアルタイム連携も、削減の候補になります。

標準機能の活用と、差別化部分への独自開発の絞り込み

圃場台帳や作業日誌、写真は、標準SaaSで足りる可能性があります。基本的な作付けや収穫記録も、標準機能で足りることがあります。

独自の出荷計画や農場固有の原価計算は、省力化や差別化に直結する部分です。取引先別帳票や農機・センサー連携も、追加開発の対象にします。

標準機能を使う前提でRFPを作ると、開発会社ごとの見積もりを比べやすくなります。

1拠点・1作物から始めるデータの価値確認

代表的な圃場で入力負担と効果を確かめると、不要な機能への投資を避けられます。

現場で入力しにくい点や通信切断、作業区分の不足が分かれば、全社展開の前に直せます。PoCで決めたKPIをもとに、拠点追加やセンサー導入へ進むかを判断します。

データ品質を整えてからのAI・IoT追加

記録漏れや圃場IDの不一致がある状態では、AIの予測や提案の精度を評価できません。

圃場や作物、作業のマスタをそろえます。資材や収量のマスタも含め、入力率とデータの粒度を安定させます。

センサーは全圃場に配らず、土壌や作物の違いを代表する地点で試します。そのうえで、意思決定が変わるかを確かめます。

初期費用ではなく5年間の総保有コストでの比較

比較表には、初期開発・設定と、月額または年額の利用料を並べます。移行と教育、端末と通信も、比較の項目に入れます。センサーと衛星データ、APIと保守も、同じ表に並べます。

追加ユーザーや面積、解約、データ出力の費用も確かめます。初期費用が低くても、面積課金や連携オプションが高い場合があります。さらに、最低契約期間や返却費が高くなることもあります。

個別開発は初期費用が大きくても、利用者数や拠点数が増えたときの単価が変わる可能性があります。そのため、拡大計画に照らして判断します。

ポイント

コストを抑えたいときは、現場で必要な入力やデータ移行を残し、標準機能で足りる部分から先に使うと判断の材料になります。

農業向け圃場管理システムの費用に関するFAQ

料金は対象範囲や契約条件で変わります。下の回答は、自社の圃場数、作物、利用者に置き換えたうえで、連携要件も合わせて読んでください。

農業向け圃場管理システムの開発費用はいくらですか?

小規模PoCは50万〜300万円程度、基本MVPは300万〜700万円程度です。複数拠点向けの個別開発は、700万〜2,000万円程度です。

高度なIoT・農機・衛星・AI連携は、1,500万〜3,000万円以上が目安です。移行や端末、センサーを含むかどうかで変わります。保守や現場教育を含むかによっても、金額が変わります。

これらは、リサーチノートの類似業務システム相場と、機能・連携範囲から推定した予算帯です。圃場管理に関する公開見積の平均としては扱わないでください。

SaaSとスクラッチ開発はどちらが安いですか?

初期費用と導入速度だけで比べると、標準SaaSは始めやすいです。一方で、独自要件では追加費用が生じる場合があります。

  • 標準SaaS:KSASは無料と税込月額2,200円、アグリノートは無料と年額11,000〜33,000円
  • 追加費用:独自栽培、複雑な権限、出荷・原価、機器や既存システム連携で増える場合がある
  • 組み合わせ:標準機能で試し、不足部分だけ個別開発する方法も比較できる

無料プランだけで圃場管理を続けられますか?

小規模な検証であれば、無料プランでも可能です。ただし、圃場数と記録数の上限を確認します。外部連携やデータ出力、サポート範囲も、あわせて見ます。

アグリノートの無料プランは、100圃場・20記録までです。記録には、作業や生育、収穫の記録が含まれます。出荷や土壌診断、立て看板も、記録の対象です。

上限に達すると、新規作成が制限されます。そこで、繁忙期の記録数を試算し、上限に届く前に有料プランや別の構成を比べます。

センサーや農機連携は最初から入れるべきですか?

まずは、圃場と作業の基本データを整え、現場が入力できる状態をつくります。最初からすべてを連携しなくてもかまいません。

収穫量や農機の稼働時間、土壌水分など、意思決定を変えるデータを一種類ずつ試します。

連携費用は、対象機器や通信、設置を含めて見積もります。保守や欠損時の手入力、API変更への対応も、見積もりに含めます。

補助事業を使えば開発費を抑えられますか?

補助事業や認定制度を使える可能性はあります。ただし、利用の前提は制度ごとに確かめる必要があります。

  • 制度条件:対象経費、申請時期、実績報告、契約条項は制度ごとに異なる
  • 認定制度:生産方式革新実施計画と開発供給実施計画の認定がある
  • 予算とデータ:不採択時の予算と、農業データの提供・返却条件を確認する

農林水産省は、2024年10月施行のスマート農業技術活用促進法に基づく認定制度と支援措置を案内しています。認定を受けた農業者や事業者向けの支援措置もあります。

補助金で全額まかなえると決めつけず、導入後の負担も見ておきます。

まとめ

無料・SaaS・PoC・個別開発に分けた費用の考え方

標準SaaSは無料・年額数万円程度から利用できます。個別開発はPoCから高度連携まで、段階ごとに幅があります。

費用は機能名ではなく、圃場や作物、利用者、拠点の範囲で変わります。通信やデータ連携、現場支援の範囲も、費用に響きます。

小さな検証と、効果が確認できた部分への投資

初期段階では、1拠点・1作物・代表的な圃場で試します。入力率と記録時間、転記時間、移動回数を測ります。

資材使用量や、収穫・品質の集計時間も測ります。標準機能で足りる部分はSaaSを使います。

独自の出荷・原価・連携には、費用を配分します。AIやセンサーは、データ品質を整えてから追加します。5年総額で比較します。

データと運用の条件までを含む見積もりの確認

見積依頼では、数量や利用環境をそろえます。そのうえで、作業費とデータ・運用条件を見積もりに反映させます。

  • 前提条件:圃場数・面積、作物、利用者、業務、端末、通信、既存データ、連携先、帳票、導入時期
  • 費用項目:要件定義、移行、教育、テスト、保守を分けて提示してもらう
  • 契約条件:データの所有・利用・返却、セキュリティ、障害対応を含める

自社の現場で何を減らし、何を判断できるようにするかを定めてから、複数の選択肢を比べてください。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。