鋳造業向けトレーサビリティシステムの開発会社は、会社の知名度ではなく、チャージ・注湯・検査・出荷を双方向に追跡できる工程適合性で選ぶことが重要です。
鋳造現場では、原材料の入荷ロットから溶解、配合、造型、注湯、熱処理、加工、検査、出荷までの記録をつなげる必要があります。しかし、紙やExcelを単純にシステムへ置き換えるだけでは、同じ溶湯を使った複数製品や、炉・砂・型を共有した製品の関係を正しく追えません。本記事では、株式会社riplaを含む6社を、対応製法、記録対象、設備連携、向いている企業の観点で比較します。費用の考え方、デモで確認する検索シナリオ、RFPに盛り込む質問まで整理しますので、自社に合う発注先を検討する際にお役立てください。
▼全体ガイドの記事
・鋳造業向けトレーサビリティシステム開発の完全ガイド
鋳造業向けトレーサビリティシステムの会社選びが重要な理由

鋳造のトレーサビリティは、製品番号を登録するだけの仕組みではありません。材料ロット、チャージ番号、炉、溶湯温度、化学成分、注湯時刻、枠番号、砂の状態、作業者、設備、検査結果を、製品ロットまたは個体番号に結び付けるデータ基盤です。したがって、導入会社の選定では、一般的な在庫管理の機能だけでなく、工程を理解した要件定義と設備連携の設計力を見極める必要があります。
鋳造工程への適合性が成否を分ける理由
一般的なロット管理では、入庫した材料と出荷した製品を結び付けられても、一つのチャージから分岐した複数製品や、検査不合格となった溶湯の影響範囲まで一度に把握できないことがあります。鋳造業では「製品から材料へ遡るトレースバック」と「材料・チャージから製品や出荷先へ追うトレースフォワード」の両方が必要です。特に同じ溶湯を複数の枠へ注いだ場合、親子関係や分割・統合の履歴を表現できるデータモデルであることが重要です。
発注前に確認すべきデモと見積項目
デモでは、正常な製造履歴を表示するだけでなく、「不合格のチャージを指定して、影響を受ける製品・在庫・出荷先を一覧する」「出荷品から材料ロット、溶湯条件、検査成績へ戻る」「通信断後に端末へ蓄積した実績を復旧する」という三つの操作を実演してもらいます。見積書は、要件定義、設備接続、端末、データ移行、帳票、教育、並行稼働、保守を分けて記載してもらうことが大切です。工程や例外処理を確認しないまま価格だけを比べると、後から個別開発費が膨らむ可能性があります。
株式会社ripla|コンサルから開発まで一気通貫で支援

株式会社riplaは、コンサルティングから開発まで一気通貫で支援できる企業です。IT事業会社として社内DXを推進してきた経験を活かし、ビジネスへの成果創出とシステムの定着支援に強みがあります。営業・顧客・生産・販売管理など、幅広い基幹システムの構築・導入実績があり、企業の業務要件に合わせて柔軟に対応できる体制を整えています。
特徴と強み
riplaの検討価値は、鋳造現場の要望をそのまま画面機能へ変換するのではなく、業務上の成果から逆算してシステム範囲を整理できる点です。たとえば、クレーム対応時間を短縮したい場合は、チャージから対象製品を抽出する検索を先にMVPへ含め、設備の全自動収集や高度な分析は後段へ分ける考え方ができます。紙・Excelで管理している帳票を棚卸しし、現場が入力できる項目と自動連携すべき項目を切り分けることも、個別開発を抑える助けになります。
得意領域・実績と確認したいこと
営業・顧客・生産・販売管理などの基幹領域をまたぐ案件や、現場の運用を変えながらシステムを定着させたい企業に向いています。一方で、鋳造専用パッケージの標準機能を前提にしたい場合は、チャージ採番、溶湯温度、砂、注湯、試験室データのサンプル画面を提示し、どこまで標準対応できるかを確認してください。鋳造固有の導入実績を前提にせず、製法、設備、品質帳票を要件定義で共有し、PoCの対象ラインと評価KPIを合意することが安全です。
株式会社コスモサミット|鋳造専用生産管理を基盤に工程をつなぐ

株式会社コスモサミットは、鋳造業専用の生産管理システム「ReMacs TypeC」を提供する企業です。公式サイトでは、内示・受注情報をもとにした鋳込計画、配合計算、材質分析、品質情報の管理など、鋳造業務に合わせた機能を案内しています。鋳造特有の計画と品質情報を、生産管理の流れの中で扱いたい企業が比較しやすい候補です。
特徴と強み
ReMacs TypeCは、鋳込計画を作成し、個数だけでなく重量や金額も管理できる点が特徴です。公式情報では、炉ごとの溶解予定をもとに配合を計算し、試験ベースの分析結果を品質情報として取り込めるほか、iPad、タッチパネル、ハンディ端末、OCRによる実績収集にも触れています。分析器連携も案内されているため、材料・溶解・検査の情報を生産管理へ集めたい場合に確認しやすい構成です。
得意領域・実績と確認したいこと
砂型鋳造などで、鋳込計画、配合、材質分析、品質情報を一つの業務基盤へまとめたい企業に向いています。見積依頼では、チャージ番号と製品ロットの関係をどの画面で確認できるか、同一チャージから複数枠へ分岐した場合の検索方法、既存の分析器やERPとの接続方式を確認してください。標準機能で扱える記録と、個別項目・帳票として追加する範囲を分けると、導入費用を比較しやすくなります。
UBEマシナリー株式会社|ダイカスト設備のショットデータを活用

UBEマシナリー株式会社は、ダイカストマシンと製造現場向けのIoTソリューションを展開する企業です。品質情報管理システム「CastTrend」を軸に、生産管理、品質管理、予防保全、遠隔保守へ広げる構成を公式サイトで紹介しています。ダイカスト設備のショットデータを起点に、品質と設備の状態を追跡したい企業に適した候補です。
特徴と強み
CastTrendは、パソコンとダイカストマシンをLANケーブルで接続し、ショットデータを取り込むソフトとして紹介されています。複数マシンのデータを集中管理する構成や、波形分析による設備異常の予兆検知、画像判定によるトラブル要因の早期検知も公式情報に掲載されています。手入力を減らして、成形条件と製品品質の関係を分析したい場合に強みを発揮しやすい領域です。
得意領域・実績と確認したいこと
アルミニウムなどのダイカスト製品を製造し、成形機のショットデータを品質履歴へ取り込みたい企業に向いています。選定時は、UBE製以外の設備や旧型機との接続可否、ショットデータと金型・材料・検査結果をどの単位で紐付けるかを確認してください。生産・品質・予防保全を一括で導入するのか、まずトレーサビリティだけを対象にするのかで費用と期間が変わるため、段階導入の見積もりも求めると比較しやすくなります。
新東工業株式会社|生型工程を1枠単位で見える化

新東工業株式会社は、鋳造設備や生型工程に関する技術を持ち、「SINTO SMART FOUNDRY(SSF)」の一環としてIoTソリューションを提供しています。公式サイトでは、各工程の製造データをセンシングし、製造データの蓄積・見える化と、製造データと製品不良の紐付けを行う「SSF管理システム」を案内しています。砂型の工程条件と不良の関係を追いたい企業が検討しやすい候補です。
特徴と強み
SSF管理システムでは、工程別の品質監視表示、1枠単位の製造データ一覧、製造データと製品不良の紐付け、ばらつき分析、工程間の相関分析が仕様として示されています。鋳造条件を集めるだけでなく、どの工程の変動が不良に影響したかを分析する設計が特徴です。工程ごとにしきい値を設定し、異常をリアルタイムに把握する考え方も、品質の自工程完結を目指す現場と相性がよいです。
得意領域・実績と確認したいこと
生型造型や砂処理など、工程条件のばらつきと不良の相関を見える化したい企業に向いています。デモでは、1枠の製造データから不良情報へ移動できるか、しきい値超過時の扱い、データ欠測時の再入力、既存の品質管理システムとの連携方法を確認してください。造型・注湯・検査のすべてを対象にするのか、まず生型工程から始めるのかを分けると、現場への負担と導入効果を測定しやすくなります。
株式会社ナカヤマ|溶解現場と試験室の品質データを一元管理

株式会社ナカヤマは、「鋳造トレーサビリティシステム」を提供し、溶解現場と製品試験室のデータを一元管理する仕組みを案内しています。チャージ情報、出湯時の温度、製品の材料試験成績書などを収集し、トレーサビリティ書や帳票を出力する用途に対応する企業です。溶湯品質と試験室の記録を確実につなぎたい企業に適しています。
特徴と強み
ナカヤマの公式情報では、溶解現場のチャージデータとして出湯時の温度を扱い、試験室では鋳物材料試験成績表を管理する例が示されています。収集データは一定のルールで紐付けられ、社内LAN上の端末から閲覧でき、閲覧制限や帳票仕様の変更にも対応するとされています。顧客へ提出する品質証明書を作成する業務では、必要な項目を正確に出せるかが重要な評価軸です。
得意領域・実績と確認したいこと
溶解工程を中心に、チャージ、出湯温度、材質分析、製品試験の記録をまとめたい企業に向いています。発注前は、化学成分やCE値などの測定データを自動・手動のどちらで取り込むか、2炉以上を管理できるか、材料から製品・出荷先への逆引きに対応できるかを確認してください。閲覧権限、変更履歴、バックアップ、帳票の改訂履歴も、品質保証部門と一緒に評価することが大切です。
株式会社日立製作所|MESで現場データと基幹システムをつなぐ

株式会社日立製作所は、統合製造実行管理システム「FactRiSM」を提供する総合的な製造DXの候補です。FactRiSMは、製造現場の効率化とトレーサビリティ強化を支援するMESとして、現場データを収集・一元管理し、ERPや設備など周辺システムとつなぐ考え方を示しています。複数ライン・複数拠点を見据え、鋳造工程だけでなく全社の製造実行を統合したい企業が比較しやすい会社です。
特徴と強み
日立の導入事例では、紙の記録を電子化し、トレースバックとトレースフォワードの迅速化、原因究明、影響範囲の絞り込みを実現した事例が紹介されています。FactRiSMの製品情報では、製造現場のデータを用いて、現在の状況だけでなく過去の製造記録を振り返り、改善へつなげるMESの位置付けが示されています。大規模な設備連携や、現場と経営をつなぐデータ基盤を必要とする場合に、プロジェクト管理を含めて相談しやすい候補です。
得意領域・実績と確認したいこと
既存のERP、生産管理、SCADA、PLC、物流設備などを含めて統合し、製造データを全社で活用したい企業に向いています。鋳造業への適用では、FactRiSMの標準機能でチャージ、枠、注湯、検査のどこまでを表現できるか、鋳造設備との接続を日立が担う範囲、現場停止時のローカル記録と復旧方法を確認してください。総合MESは機能範囲が広い分、初期段階から対象業務を広げすぎないことが成功のポイントです。
鋳造業向けトレーサビリティシステムの会社選びは何を基準にすべきですか?

結論として、会社選びでは「製品からチャージへ、チャージから出荷先へ双方向に検索できること」「自社の設備・製法に合わせてデータを収集できること」「導入後の現場定着と保守まで責任範囲が明確なこと」の三つを基準にしてください。会社の規模や製品の多機能さだけで決めず、実データを使ったデモと、同じ条件の見積比較で判断することが大切です。
実績と経験の確認方法
実績は「製造業に導入した」という表現だけでなく、自社と近い製法、材質、工程、設備の案件を確認します。砂型、ダイカスト、鋳鋼では、必要な記録項目と工程の分岐が異なります。可能であれば、会社名を伏せた事例でもよいので、材料受入から検査・出荷までのデータモデル、画面、導入期間、現場の利用者数、保守体制を聞いてください。公開価格がない場合でも、1ラインのPoCと本番展開を分けた概算を取れば、提案の前提を比較できます。
技術力と専門性の評価
確認したい技術項目は、バーコード・QRコード・ICタグ・ハンディ端末・計測器・PLCからの入力、APIやCSVによるERP連携、変更履歴、権限、バックアップ、通信断時の再送です。OTネットワークをクラウドへ接続する場合は、工場の制御系を直接インターネットへ公開しない構成と、遠隔保守の認証・操作ログを確認してください。JEITAの「工場のためのセキュリティ対策策定ガイドライン」は2025年版として公開され、OT領域では外部接続を前提とした対策が必要になると説明しています。機能要件だけでなく、ネットワーク分離、最小権限、MFA、パッチ適用、ログ監視、復旧訓練をRFPへ含めると安全です。
プロジェクト管理体制と費用の確認
費用は、入力端末の数、設備連携、拠点数、既存システム連携、データ移行、帳票、24時間運用の可用性で大きく変動します。目安として、1ラインでQR・バーコード入力とチャージ・注湯・検査を検証するPoCは300万〜800万円、1拠点をパッケージ中心で導入する場合は800万〜2,000万円、設備・ERP連携を含む場合は1,500万〜4,000万円、複数拠点のMESやフルスクラッチでは3,000万〜1億円超を見込みます。これは鋳造案件の統計ではなく、公開価格と一般的な生産管理開発相場を鋳造固有の連携・帳票分として補正した目安です(出典:日立ソリューションズ・クリエイト「TPiCS-X」2026年1月価格、株式会社INFORCEの生産管理カスタマイズ事例、リサーチノートによる整理)。
日立ソリューションズ・クリエイトが公開するTPiCS-Xの2026年1月時点の税別価格は、システム購入が110万〜160万円、稼働ライセンスが1ユーザー10万円で、標準導入期間は約10〜14か月です。ただし、これは生産管理パッケージの価格であり、鋳造設備接続、チャージの分岐、品質証明書、データ移行、教育を含む総額ではありません。見積書では、初期費用だけでなく保守、クラウド、端末、ネットワーク、センサー、現場立会いを別項目にしてもらい、3社以上で同じRFPを比較してください(出典:株式会社日立ソリューションズ・クリエイト、2026年1月時点の公開情報)。
よくある質問

鋳造業向けトレーサビリティシステムは、製法や設備の違いによって最適な構成が変わります。ここでは、発注前に特に多い質問へ直接回答します。
鋳造業向けトレーサビリティシステムの費用はいくらですか?
小規模PoCなら300万〜800万円、パッケージ中心の1拠点導入なら800万〜2,000万円が一つの目安です。設備・ERP連携や複数ラインを含めると1,500万〜4,000万円、複数拠点のMESやフルスクラッチでは3,000万〜1億円超になる可能性があります。鋳造案件の公開統計ではないため、設備接続、帳票、移行、教育、保守を含む条件で個別見積もりを取ってください。
パッケージとスクラッチ開発はどちらがよいですか?
受注・在庫・計画など標準化しやすい業務はパッケージ、鋳造条件・品質・逆引き・設備接続など競争力に直結する部分は専門モジュールや追加開発で補う構成が現実的です。自社独自の工程が多く、既存システムとの複雑な連携や複数拠点の統合が必要ならスクラッチも候補になりますが、最初から全範囲を作らず、1ラインのPoCでデータモデルと現場操作を検証してください。
会社のデモでは何を確認すればよいですか?
出荷品から製品ロット、枠、注湯、チャージ、材料ロットへ遡る検索と、チャージから影響製品・出荷先へ追う検索を実データで確認してください。さらに、ロット分割、検査不合格、欠測、通信断、再送、帳票の再発行、権限の違いを再現してもらいます。正常系の画面だけでは、クレームや監査の際に必要な調査時間を評価できません。
まとめ

6社を比較するときの要点
鋳造業向けトレーサビリティシステムは、原材料、チャージ、溶湯、造型、注湯、検査、出荷をつなぎ、品質問題が起きたときに影響範囲を素早く絞り込むための仕組みです。比較する6社は、それぞれ得意領域が異なります。株式会社riplaは業務要件に合わせた一気通貫の支援、コスモサミットは鋳造専用生産管理、UBEマシナリーはダイカスト設備データ、新東工業は生型工程のIoT、ナカヤマは溶解・試験室、日立製作所は総合MESという観点で検討できます。
発注前に進めること
最初の90日では、工程と帳票の棚卸し、チャージと製品のデータモデル定義、出荷品からの逆引き要件、1ラインのPoC、入力時間と検索時間のKPI設定を行います。費用は機能数より、設備連携、データ移行、帳票、教育、保守を含む範囲で比較してください。自社の製法と現場の例外処理をRFPに書き、同じ検索シナリオを各社へ示すことが、導入後に使われるシステムを選ぶ近道です。
▼全体ガイドの記事
・鋳造業向けトレーサビリティシステム開発の完全ガイド
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>


株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
