生成AIプラットフォーム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

生成AIプラットフォーム開発は、AIモデルを呼び出すだけでなく、業務データ・権限・評価・運用を一つの基盤にまとめる取り組みです。

「生成AIを導入したいものの、ChatGPTの法人契約で足りるのか、専用の生成AIプラットフォームを開発すべきなのか分からない」という企業は少なくありません。さらに、PoCでは回答できても、本番環境で必要になる社内システム連携、アクセス権限、監査ログ、誤回答時の人による確認、利用定着まで考えると、進め方の順番が成果を左右します。本記事では、要件整理、サービス・モデル選定、設計開発、テスト、稼働、定着の6フェーズに分け、実務で使える判断基準、チェックリスト、費用の考え方、見積もりの比較方法を解説します。

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・生成AIプラットフォーム開発の完全ガイド

生成AIプラットフォーム開発の全体像

生成AIプラットフォームの全体構成を確認する担当者

生成AIプラットフォームは、基盤モデル、社内データ、業務システム、利用者の権限を接続し、生成AIアプリケーションやAIエージェントを継続的に開発・運用する共通レイヤーです。単独のチャットツール、LLMのAPI、RAGアプリ、AI開発基盤、開発会社による伴走支援は役割が異なるため、最初に対象範囲を切り分ける必要があります。

生成AIプラットフォームとは何ですか?

生成AIプラットフォームとは、複数の基盤モデル、プロンプト、RAGの検索処理、業務API、ユーザー認証、監査、品質評価を共通のルールで管理する仕組みです。例えば、営業部門は顧客情報を参照して提案書を作成し、管理部門は社内規程を検索し、開発部門は仕様書を要約するといった用途を、部門ごとに別のツールへ分断せずに運用できます。モデルゲートウェイを用意すれば、精度を優先するモデル、費用を抑えるモデル、閉域環境で動かすモデルを用途別に切り替えられ、特定ベンダーへのロックインも抑えやすくなります。

主要な構成要素は、モデル接続、プロンプトとワークフローの版管理、文書分割・ベクトル検索・再ランキングを行うRAG、S3やAzure Blobなどのデータ連携、入力・出力のマスキング、SSOとRBAC、操作ログ、評価データセット、コスト監視です。AIエージェントを組み込む場合は、ツール呼び出しの許可範囲、承認者、停止条件、失敗時のロールバックまで設計対象になります。

SaaS・クラウド基盤・スクラッチ開発はどう使い分けますか?

社内FAQや文書検索を一部門で始めるだけなら、既製SaaSやクラウドのマネージド機能で足りる可能性があります。一方、複数部門で使う、社内の権限を文書検索へ反映する、複数モデルを切り替える、CRMやERPへ安全に書き込む、利用量と費用を全社で管理するといった要件がある場合は、共通プラットフォームを開発する価値が高まります。

選択肢は、既製SaaS、Amazon Bedrock・Microsoft Azure・Google Cloudなどのパブリッククラウド基盤、クラウド基盤とSIerのマネージドサービス、専用GPUやオープンモデルを用いるプライベートAIに分けて考えます。初期段階でスクラッチ開発に決め打ちせず、機密度、データ連携数、同時利用者数、国内保管、可用性、モデル変更の頻度を比較し、MUSTとWANTを分けて段階導入することが重要です。

生成AIプラットフォーム開発の進め方

生成AIプラットフォーム開発の工程を整理するチーム

生成AIプラットフォームの開発は、要件整理、選定、設計開発、テスト、稼働、定着の6フェーズで進めると、PoCの成功を本番の成果へつなげやすくなります。各フェーズの終了条件を決めずに次へ進むと、後半でデータ権限や運用責任が見つかり、納期と費用が膨らみます。以下では、各段階で決めることと確認すべきチェック項目を具体化します。

フェーズ1:要件整理で業務課題と評価指標を決めます

最初に「生成AIを導入する」という目的を、業務単位の課題へ置き換えます。対象業務を、回答する、検索する、要約する、判断を補助する、システムを操作するといった動作に分け、誰が、どのデータを使い、どの時間を削減したいのかを明確にします。例えば「問い合わせ対応を効率化する」ではなく、「規程に関する一次回答の作成時間を1件15分から5分へ短縮し、最終回答は担当者が承認する」と定義すると、必要なRAG、権限、承認フローが見えます。

この段階のチェックリストは、(1)対象ユーザーと責任者が決まっているか、(2)正解とみなす文書・データの管理者が明確か、(3)個人情報・機密情報・保存期間を分類したか、(4)回答の正確性、根拠提示率、処理時間、1回答あたり費用、誤回答件数を測れるか、(5)AIが自動実行してよい操作と人の承認が必要な操作を分けたか、です。PoCの成功条件には、見栄えのよいデモではなく、失敗例を含む代表的な質問セットを使うことが欠かせません。

終了条件は、対象業務、利用データ、利用者、KPI、リスク許容度、予算上限、次フェーズで検証する仮説が1枚にまとまっていることです。ここで対象範囲を広げすぎず、まずは1部門・1業務・限定されたデータから始めると、後続の評価がしやすくなります。

フェーズ2:モデル・クラウド・開発会社を要件から選定します

選定では、知名度やモデルのベンチマーク順位だけで決めず、要件との適合性を比べます。モデルについては、日本語の正確性、長文処理、画像・音声対応、推論性能、応答速度、料金、利用規約、障害時の代替モデルを確認します。クラウドについては、データの保存リージョン、入力データが学習に使われる条件、暗号化、ネットワーク分離、ログの閲覧者、クォータ、サポート体制を確認します。

開発会社を選ぶ場合は、生成AIのデモだけでなく、既存システム連携、データ基盤、SSO・RBAC、監査、評価設計、セキュリティ、導入後の教育と保守まで一貫して説明できるかを見ます。提案依頼時には、想定モデルと切り替え条件、RAGの評価データの所有者、プロンプトとコードの納品範囲、再委託の有無、障害時の責任分界、契約終了時のデータ返却を質問します。回答が「標準機能で対応します」と抽象的な場合は、実際の画面、ログ項目、成果物一覧まで提示してもらうと比較しやすくなります。

終了条件は、採用する方式と採用しない方式の理由が記録され、主要なリスクに対する代替案があることです。例えば、外部APIを採用するなら、障害や料金改定に備えた軽量モデルへの切り替え方を定義します。閉域環境を採用するなら、GPU調達、モデル更新、脆弱性対応、推論性能を担う社内外の体制まで確保します。

フェーズ3:データ・権限・AIの実行範囲を設計開発します

設計では、画面より先にデータの流れを定義します。原本をどこで管理し、どの頻度で取り込み、文書をどの単位に分割し、どの検索方式で候補を取得し、モデルへ何を渡し、回答にどの根拠を付けるのかを決めます。RAGでは、文書の更新・削除が検索インデックスへ反映されるまでの時間、アクセス権の変更が反映される条件、古い版の文書を回答に使わないルールも要件になります。

権限設計では、SSO、ロール、部門、プロジェクト、文書単位のアクセス制御を整理し、利用者が見られるデータだけを検索結果へ返す仕組みにします。AIエージェントがCRMの更新、メール送信、発注、会計処理などを行う場合は、参照と書き込みを分け、最初は下書き作成までに制限し、承認後だけ実行する段階設計が現実的です。プロンプトインジェクション、機密情報の外部送信、過剰な権限、無限ループ、コスト上限超過を想定し、入力検査、出力検査、ツール許可リスト、レート制限、停止ボタンを組み込みます。

開発は、プロンプトや検索設定を変更しても履歴を追えるように、コードだけでなくプロンプト、モデル、埋め込み、評価データセットのバージョンを管理します。誰がいつ何を変更したか、どのモデルで回答したか、参照した文書と利用トークン数は何かをログへ残すと、誤回答の原因調査と費用管理が可能になります。

フェーズ4:精度だけでなく安全性・費用・運用性をテストします

テストでは、正解率だけを見てはいけません。実際の業務から作った質問セットに、通常の質問、曖昧な質問、回答不能な質問、古い文書を参照する質問、権限外の情報を求める質問、悪意のあるプロンプトを混ぜます。そのうえで、正確性、根拠提示率、拒否の適切さ、回答時間、1回答あたりの費用、個人情報の露出、ログの完全性を測定します。

AIセーフティについては、AIセーフティ・インスティテュートが2025年4月に改訂した評価観点ガイドで、人間中心、安全性、公平性、プライバシー保護、セキュリティ確保、透明性の6要素が重要とされています。さらに、有害情報の出力制御、偽誤情報、ハイリスク利用、ロバスト性、データ品質、検証可能性など10項目の観点が示されています(出典:IPA「AIセーフティに関する評価観点ガイド」、2025年)。この内容を、RAGの引用必須、個人情報マスキング、エージェントの承認、レッドチーミング、ログの保存といったテスト項目へ落とし込みます。

本番移行の判定には、合格ラインを事前に設定します。例えば「根拠文書がある質問では根拠を表示する」「権限外データを一件も返さない」「高リスク操作は承認なしに実行しない」「月額API費用が予算上限を超えたら通知する」といった条件です。数値の閾値は業務のリスクに応じて決め、医療・金融・法務などでは精度の平均値より、重大な誤りを見逃さない評価を優先します。

フェーズ5:段階的に稼働し、監視とエスカレーションを整えます

稼働時は、いきなり全社へ公開せず、対象部門、利用者数、データ範囲を限定したパイロットから始めます。問い合わせ窓口、障害時の連絡先、誤回答の報告方法、回答を人が確認する条件、モデル停止の判断者を決めます。利用状況を見ながら段階的に対象を増やすことで、想定外の質問や費用の急増を早く発見できます。

運用監視では、利用率だけでなく、回答の品質、拒否率、根拠の有無、レイテンシー、エラー率、トークン数、部門別費用、検索インデックスの更新遅延をダッシュボードで確認します。モデルや埋め込み方式を変更する場合は、既存の評価データセットで回帰テストを行い、品質が悪化したときに前のバージョンへ戻せる状態を保ちます。

日本では、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律が2025年6月4日に公布され、法律番号は第53号となっています(出典:衆議院の審議経過情報)。個別の法的判断は専門家への確認が必要ですが、生成AIプラットフォームの運用では、利用目的、責任者、ログ、データの扱い、リスク評価を記録する体制を早くから整えることが重要です。

フェーズ6:現場の業務フローへ組み込み定着させます

定着の鍵は、生成AIを別の画面として置くのではなく、現場がすでに使う業務フローへ組み込むことです。例えば、問い合わせ管理画面に回答案と根拠文書を表示し、担当者が修正して送信できるようにします。文書作成、申請、報告、顧客対応など、利用者が毎日行う作業の中に自然な入口を設けると、利用率だけを目標にしなくても活用が広がります。

教育では、便利な使い方だけでなく、入力してはいけない情報、回答をうのみにしてはいけない場面、根拠の確認方法、誤回答の報告手順を伝えます。月次で代表的な失敗例を共有し、評価データセットを更新し、プロンプトや検索設定を改善します。定着のKPIは、ログイン数だけでなく、作業時間の削減、再作業の減少、問い合わせの一次解決率、承認者の負担、重大な事故件数で測ります。

導入から3か月、6か月、12か月などの節目で、利用部門、情報システム部門、セキュリティ部門、法務・コンプライアンス部門が合同レビューを行うと、現場の要望と統制のバランスを保てます。AIエージェントの自動実行範囲を広げるときも、実績データと事故の有無を根拠に、参照、下書き、承認後実行、条件付き自動実行の順で判断します。

生成AIプラットフォームの費用相場とコストの内訳

生成AIプラットフォームの費用を見積もる担当者

生成AIプラットフォームの費用は、モデルAPIの料金だけでは決まりません。要件整理、データ整備、RAG構築、認証・権限、業務システム連携、評価、監視、セキュリティ、教育、保守を合算して考えます。生成AIプラットフォームの受託開発費を横断的に示す公的な一律統計は確認できないため、以下は業務システム開発・クラウド基盤・RAG・セキュリティ実装の工数から組み合わせた記事用の推定レンジです。見積もりの代替ではありません。

初期開発費は規模と統制要件で300万〜2億円超まで広がります

小規模PoCは、1部門、文書数千〜1万件、RAGチャット、評価画面、簡易的なSSO連携を想定し、初期開発費の推定レンジは300万〜800万円、期間は1〜3か月です。部門向け本番は、複数のデータソース、権限連動、監査ログ、評価・運用画面、業務API連携を含め、800万〜2,000万円、3〜6か月程度が一つの仮置きになります。

全社共通基盤は、複数モデル、モデルゲートウェイ、テナント分離、RBAC、DLP、監視、CI/CD、複数部門への展開を含め、2,000万〜8,000万円、6〜12か月程度の推定レンジです。高規制業界の閉域・専用基盤、専用GPU、冗長化、厳格な監査、ファインチューニング、24時間運用まで含める場合は、5,000万〜2億円超、9〜18か月程度になる可能性があります。これらは会社・データ量・SLA・既存環境によって変わる推定であり、特定金額を約束する相場ではありません。

費用差を生むのは画面数だけではありません。データの種類と更新頻度、検索品質の評価、権限連携の複雑さ、外部APIの数、同時利用者数、可用性、ログ保存期間、既存システムの仕様書の有無が大きく影響します。要件が固まらないPoCでは準委任・アジャイル、本番の機能単位では請負といった契約の分け方も比較対象になります。

月額費用はAPI・クラウド・運用保守を分けて試算します

モデル利用料は入力トークンと出力トークン、キャッシュ、バッチ処理、優先度、モデルの種類で変わります。Google Cloudの料金表掲載例では、Gemini 2.5 Proは入力100万トークンあたり1.25米ドル、出力100万トークンあたり10米ドル、Gemini 2.5 Flashは入力0.15米ドル、出力0.60米ドルと示されています。料金、対象モデル、リージョン、提供形態は更新されるため、発注時点の公式ページを確認します(出典:Google CloudのAgent Platform生成AI料金表、2026年8月確認)。AWSのAmazon Bedrockも、オンデマンド、バッチ、プロビジョンドスループットなど複数の課金方式を掲載しているため、単価だけでなく利用方式まで見積もりへ反映します(出典:AWS「Amazon Bedrock Pricing」)。

利用量を置いた試算も有効です。月100万リクエスト、1回あたり入力2,000トークン・出力500トークンなら、月間の処理量は入力20億トークン・出力5億トークンです。上記の料金表掲載例に当てはめると、Gemini 2.5 Proのモデル利用料は2,500米ドルと5,000米ドルの合計7,500米ドル、1米ドル=150円と仮置きすれば約112万5,000円です。同じ利用量をGemini 2.5 Flashで試算すると、300米ドルと300米ドルの合計600米ドル、約9万円です。これはモデル料金だけの計算であり、実際は為替、キャッシュ、検索、再試行、ログ、監視、ネットワーク費用が加わります。

周辺クラウド費は、ベクトルデータベース、オブジェクトストレージ、検索、監視、秘密情報管理、ネットワーク、バックアップを含め、PoCで月5万〜30万円、本番で月30万〜300万円程度を仮置きする方法があります。大規模な専用GPU、閉域接続、高可用性を求める場合は、別途大きく増える可能性があります。運用保守は、プロンプトと評価データの更新、誤回答分析、モデル変更試験、脆弱性対応、ユーザー教育を含め、初期開発費の年15〜25%程度を推定枠として置き、定額保守と従量課金を分けて比較します。

費用を抑えるにはモデルとデータの使い方を設計します

費用削減は、安いモデルを選ぶだけでは不十分です。検索で必要な文書だけを渡す、回答の長さを制御する、類似質問をキャッシュする、定型処理はバッチへ回す、簡単な分類は軽量モデルへ振り分ける、利用部門ごとに予算上限を設けるといった設計が有効です。高性能モデルを使う判断も、誤回答による再作業や人の確認コストまで含めた総額で行います。

一方、データを削りすぎると検索品質が落ちるため、トークン削減と回答品質を同じ評価セットで測ります。外部モデルを使う場合は入力データの取り扱い、ログの保管、学習利用の条件、データ削除の方法を確認します。専用GPUを採用する場合は、購入費だけでなく電力、保守、交換、モデル更新、運用人材の費用を含めます。

生成AIプラットフォームの見積もりを取る際のポイント

生成AIプラットフォームの見積もり項目を比較するチーム

生成AIプラットフォームの見積もりは、総額だけを比べると安い提案の抜け漏れを見落とします。初期開発、クラウド、モデルAPI、データ整備、セキュリティ、評価、保守、教育を分け、同じ前提条件で比較します。特に「AI部分一式」「クラウド費別途」「連携は別見積もり」といった曖昧な表現は、後から追加費用になりやすいため、成果物と除外範囲を明示してもらいます。

要件定義書とRFPにはデータ・権限・評価条件まで書きます

発注前に、対象業務、利用者、データソース、文書件数、更新頻度、既存システム、想定リクエスト数、同時利用者数、SLA、保存期間、国内保管の要否を整理します。データソースは、ファイルサーバー、SharePoint、S3、CRM、ERP、社内Wikiなどを列挙し、APIの有無、認証方式、権限の引き継ぎ、削除要求の反映方法を書きます。

評価条件には、業務から抽出した質問と正解、許容される回答、回答拒否が必要なケース、根拠の表示方法、回答時間の目標、1回答あたり費用の上限を含めます。PoCの段階では、すべてのデータをきれいにするのではなく、代表的なデータを選び、検索品質のボトルネックを発見できる形にします。RFPの段階でここまで共有できると、会社ごとの提案を同じ土俵で評価できます。

複数社は価格だけでなく成果物と責任分界を比較します

比較項目は、業界知識、データ連携、RAGの評価、モデル選択、セキュリティ、AIエージェントの実行制御、既存システムの保守、導入後の教育に分けます。提案会社には、要件整理、PoC、設計、開発、テスト、稼働、定着の各工程で誰が何を納品するかを示してもらいます。画面のデモだけでなく、権限外文書が検索結果に出ないこと、ログから回答の根拠を追えること、モデル変更時の再評価を実演してもらうと、実務力を確認しやすくなります。

見積書では、モデルAPI、ベクトルデータベース、クラウド、監視、バックアップ、ライセンスの費用が含まれるかを確認します。準委任か請負か、変更管理の方法、追加作業の単価、SLA、障害対応時間、再委託、データとソースコードの所有権、契約終了時の返却・消去を確認します。複数モデルを使う提案では、モデルの選定責任、料金改定や提供終了時の切り替え費用も契約へ入れると安心です。

PoC止まり・費用超過・情報漏えいのリスクを先に潰します

PoC止まりを防ぐには、PoCの開始時点で本番化の判定条件と引き継ぎ成果物を決めます。評価データ、プロンプト、検索設定、コード、インフラ構成、操作マニュアル、未解決の課題が納品されなければ、本番化のたびに同じ検証をやり直すことになります。費用超過を防ぐには、想定リクエスト数とトークン量を月次で監視し、部門別の予算上限と通知・停止条件を設けます。

情報漏えいを防ぐには、モデルの性能より先にデータの流れを確認します。入力データがどのリージョンへ送られるか、事業者のログへ何が残るか、モデル学習に使われるか、委託先が閲覧できるか、削除要求に何日で対応できるかを質問します。AIエージェントでは、外部から指示された文書やWebページをそのまま命令として扱わないこと、ツールごとに許可する操作を制限すること、人による承認を置くことが基本です。

また、開発会社が提示する「正答率」は、質問セットや評価方法で結果が変わります。自社の実データで再現できる評価を行い、誤回答の重大度を区別してください。平均正答率が高くても、月1回しか起きない重大事故を防げなければ本番採用できない場合があります。評価結果、残課題、次の改善費用を含めて意思決定することが安全です。

生成AIプラットフォーム開発でよくある質問(FAQ)

生成AIプラットフォーム開発の疑問を確認する担当者

生成AIプラットフォームの相談では、SaaSとの違い、RAGの必要性、開発期間、機密情報の扱い、AIエージェントの自動実行範囲について質問されます。ここでは、発注前に特に確認したい内容へ直接回答します。

生成AIツールを契約するだけでは足りませんか?

1部門の定型的な文書検索や要約だけなら、法人向けSaaSやクラウドの既製機能で足りる場合があります。複数部門・複数モデル・既存システム連携・厳格な権限管理・監査ログ・全社的な費用管理が必要なら、共通プラットフォームを開発する判断が適しています。まず対象業務を限定した比較検証を行い、既製機能で満たせない要件だけを追加開発する方法が現実的です。

生成AIプラットフォームにRAGは必ず必要ですか?

必ずしも必要ではありませんが、社内規程、マニュアル、FAQ、契約書など最新の企業データを根拠付きで回答したい場合は、RAGが基本的な選択肢になります。RAGを導入しても、原本が古い、文書の権限が整理されていない、分割単位が不適切といった問題があれば品質は上がりません。追加学習の前に、データの棚卸し、更新連携、検索評価を行うことが重要です。

機密情報を生成AIプラットフォームで扱っても安全ですか?

安全性は、利用するモデル、契約、クラウド設定、データ分類、権限、ログ、運用ルールを合わせて判断します。入力データの学習利用の有無、保存リージョン、暗号化、ログ閲覧者、委託先、削除方法、インシデント時の通知を契約と技術の両面で確認してください。最初は機密度の低いデータで始め、マスキング、閉域接続、アクセス制御、監査、出力確認を整えたうえで、扱うデータ範囲を段階的に広げます。

AIエージェントに業務を自動実行させてもよいですか?

最初から完全自動にせず、参照、回答案や下書きの作成、承認後の実行、条件付き自動実行の順に段階化することをおすすめします。メール送信、顧客情報の更新、発注、会計処理など取り消しにくい操作は、ツールの許可リスト、実行前の人による承認、金額や件数の上限、実行ログ、停止ボタンを設けます。自動化の範囲は、精度の平均値ではなく、業務影響と失敗時の復旧方法を基準に決めます。

まとめ

生成AIプラットフォームの導入計画を振り返るチーム

生成AIプラットフォーム開発は、モデルを選んでチャット画面を作るだけのプロジェクトではありません。業務課題とKPIを定め、データと権限を整理し、用途に合うモデル・クラウド・開発会社を選び、RAG、認証、監査、評価、監視、AIエージェントの実行制御を段階的に実装します。

最初に1業務・1部門・1つの評価セットへ絞ります

費用は、小規模PoCで300万〜800万円、部門向け本番で800万〜2,000万円、全社共通基盤で2,000万〜8,000万円、高規制・閉域基盤で5,000万〜2億円超という推定レンジがあります。ただし、これは公的統計による一律相場ではなく、データ量、連携、権限、SLA、評価、セキュリティ、運用体制を組み合わせた目安です。API、クラウド、保守、教育まで含めた総保有コストで判断してください。

次の一歩は要件・データ・評価条件をそろえた相談です

発注前には、対象業務、利用者、データソース、権限、想定利用量、KPI、セキュリティ条件、PoCから本番へ引き継ぐ成果物を整理し、複数社へ同じ前提で相談します。提案内容を価格だけでなく、実装範囲、評価方法、運用責任、モデル変更、データ返却、定着支援まで比較すると、PoCで終わらず業務成果につながる生成AIプラットフォームを作りやすくなります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。