グローバルERPの発注は、経営課題と対象国を決めることから始まります。共通要件と国別差分を整理し、契約と委託先を決めてから段階的に展開すると、現地で使われる基幹システムにつながります。
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グローバルERPを外注する前に知っておきたい全体像

グローバルERPは、会計、販売、購買、在庫、生産、人事などを共通のデータ基盤で管理する基幹システムです。そのため、本社と海外子会社の数字を同じ定義で把握できます。
海外で使える会計ソフトにとどまらず、設計の対象は多通貨や多言語への対応から、タイムゾーン、国別税務まで広がります。さらに、電子請求書や会社間取引、連結決算を扱うほか、監査証跡も含まれます。
グローバルERPが統合する業務とデータ
グローバルERPでは、財務、業務取引、海外拠点の3領域を、一つの基盤でつなぎます。
- 財務・管理:会計、固定資産、予算、資金
- 業務取引:受注から出荷、請求、入金、仕入、在庫、生産までの流れ
- 海外拠点:現地通貨の売上の本社通貨への換算、会社間取引の相殺と連結
これらは、同じマスターと取引データで管理します。販売管理だけを導入する場合も、勘定科目や取引先、品目の設計が必要です。組織階層や為替レートも決めておかないと、最後にExcelで転記する運用が残ります。
外注を検討すべき会社の特徴
外注を検討するときは、課題の範囲と拠点の状況を照らし合わせます。
- 複数国の管理:決算を同じ指標で早く把握したい
- 業務の標準化:子会社ごとに異なる会計や在庫管理をそろえたい
- 拠点の拡大:買収や海外展開で対象拠点が増える
対象国が一つで利用者も少なく、課題が請求書発行や経費精算だけなら、大規模ERPは過剰になることがあります。その場合は、連結会計やBI、業務SaaS連携から始める道もあります。判断は国数や人数だけでなく、課題の大きさで行います。
現状の課題である決算遅延や手作業の工数、データの不整合、監査対応の負担は、金額や日数で書き出しておきます。
グローバルERPの発注形態の選び方

発注形態は、製品ベンダーへの直接発注、一括委託、複数社の組み合わせに分かれます。とくに、自社の業務知識や海外展開の経験が少ないほど、全体を管理する責任体制が欠かせません。
製品ベンダーへ直接発注する場合
製品ベンダーへ直接相談するときは、製品情報と導入作業の担当範囲を確かめます。
- 製品情報:SAP、Microsoft、Oracleなどのロードマップ、標準機能、ライセンス体系
- 価格と対応範囲:公開価格を基準にした比較、国別機能、サポート範囲
- 導入作業:要件整理、データ移行、現地展開、教育、既存システム連携のどこを担うか
- 責任分担:複数社の場合は、障害時の一次窓口と全体責任者を契約書に明記する
SIerやコンサルティング会社へ一括委託する場合
一括委託は、導入工程をまとめて管理したい場合に候補になります。その際は、現地対応と見積の範囲を合わせて確かめます。
- 委託範囲:要件定義、製品選定、設計、開発、移行、テスト、教育、稼働後支援
- 現地対応:海外拠点の税務・会計と現地語教育の窓口を一つにまとめる
- 問い合わせ:タイムゾーンをまたぐ場合でも、相談先を一つにできる
- RFP:成果物、前提条件、除外事項、現地パートナーの役割を明記し、同じ条件で比較する
一括見積は作業範囲が見えにくいため、提案書にない作業が追加費用になることがあります。
複数社を組み合わせるハイブリッド方式
複数社で組む方式では、各社の専門性を生かせる一方で、会社間の統合管理を前もって設計しておく必要があります。
- 組み合わせる相手:製品ベンダー、業務コンサルタント、開発会社、現地の税務・会計専門家
- 得られる専門性:製品選定の中立性や、特定国の法令への深い対応
- 担当の境目:会社の間で曖昧になりやすいため、担当範囲を明確に決める
- 統合管理:発注者側に全体PMOを置くか、主幹事会社へ委託する
- 共通ルール:データモデル、API仕様、テスト環境、障害の切り分け、設計書の所有権
RFPと要件整理の準備範囲
RFPは、自社の課題と達成したい状態を候補会社に伝え、同じ条件で見積もってもらうための資料です。製品名を指定する依頼書ではありません。
RFPには、対象国や会社数、ユーザー区分、業務範囲を書きます。加えて、連携先やデータ量、稼働希望時期も示します。現地法令と運用体制も欠かせない項目です。
要件をすべて決めきってから発注しなくても構いません。ただし、最低限の前提がないまま価格を求めると、見積の条件がばらばらになり、比べられなくなります。
RFPに必ず書くべき対象範囲と前提条件
見積の条件をそろえるため、対象組織と導入業務、既存システムとの接続範囲を整理します。
- 対象会社と国:本社、販売子会社、製造拠点、休眠会社の区分
- 会社ごとの前提:決算日、通貨、税務、取引量、利用者数、現行システム
- 業務範囲:財務、販売、購買、在庫、生産、固定資産、予算、連結、会社間取引
- 連携先:銀行、人事給与、CRM、EC、物流、BIとの方式や頻度
業務範囲は、今回の導入分と将来の拡張分に分けて書きます。連携先は、データ項目やエラー時の再送方法、担当者まで書くと、見積の精度が上がります。
非機能要件には、稼働時間や目標復旧時間を含めます。バックアップや職務分掌、監査ログの扱いも、あわせて書いておきます。
データの保存場所や個人情報の扱いに加え、サポート言語と問い合わせ時間帯も必要です。
セキュリティは、経済産業省とIPAの「サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver.3.0」を参考にして書きます。経営層が受け入れるリスクと、委託先に求める管理策をRFPに落とし込みます。「クラウドなので安心」の一文で済ませると、確認すべき点が抜けてしまいます。
グローバル標準と国別差分の切り分け
差分を判断するには、共通化する業務と法令対応、変えてもよい慣行を切り分けます。
- 全社共通:勘定科目コード、承認ルート、取引先マスターの管理責任者
- 国別差分:税率、電子請求書、法定帳票、支払条件
- 変更を検討する慣行:現場の使い慣れだけで残している業務
現場の要望には、すぐカスタマイズで応えず、法的に必須か、経営管理上の必須か、使い慣れかを確かめます。
Fit to Standardは、業務を標準機能に合わせる考え方です。また、Clean Coreは、ERP本体の改変を抑える考え方です。
日本郵船は、約450件あったアドオン機能を約1割に縮小しました。なお、2025年8月のグローバルバージョンアップを円滑に完了したと、SAPが公表しています(出典:SAP Japan、日本郵船導入事例、2025年)。
RFPでは、実現方法を標準機能、設定、外部拡張に分けて提案してもらいます。
実データに近いデモと質問
候補会社のデモは、自社の代表的なシナリオで行ってもらい、製品標準の説明だけで終わらせないようにします。
- 受注と換算:現地通貨の受注から本社通貨での売上計上まで
- 在庫と連結:海外仕入の入荷・在庫評価、会社間取引の請求・消去
- 統制と締め:月次締め、税務帳票、仕訳変更権限の確認
各社には、同じシナリオと評価時間を渡します。そのうえで、標準対応と追加設定、開発、運用での回避策を分けて説明してもらいます。
国別ローカライゼーションは、対象国に「対応可能」とあるだけで判断せず、対応の中身を確かめる必要があります。たとえば、MicrosoftのGlobalization Studioは、210を超える国・地域の税務・規制対応と継続更新を掲げています。
実際の対象範囲や更新時期、追加費用、現地専門家の確認責任は、契約前に確かめておく必要があります(出典:Microsoft Learn、Globalization Studio、2026年確認)。
日本の電子帳簿保存法や各国の電子インボイスは、適用の判断を税務専門家に確かめてもらいます。そのうえで、システム要件と法令の解釈は分けて整理します。
グローバルERPの契約形態と役割分担の決め方
企画と要件定義は要件が変わりやすい一方で、開発や移行、テストは成果物を確定しやすい工程です。すべてを固定価格で契約すると、前提が変わったときに追加請求や納期の延長につながります。
契約は、工程ごとの成果物と要件の確定度に応じて組み合わせ、変更のルールも先に合意しておきます。
- 請負:成果物と完成条件を定義できる工程
- 準委任:進めながら論点を整理する工程
- 個別契約:ライセンスと稼働後支援
確定した成果物に向く請負契約
請負契約は、受託者が合意した成果物を完成させ、発注者が検査して受け入れる形に向いています。詳細設計書や設定一覧のように、完成条件を具体的に書ける工程で使いやすい契約です。
連携プログラムや移行結果、テスト成績書、操作マニュアルも成果物にできます。そのうえで、検査期間や瑕疵対応、受入基準を契約書に記載します。
納品後の著作権や利用権、第三者製品のライセンスも明確にしておきます。また、仕様が固まる前に請負金額だけを確定すると、双方に無理が生じます。
要件整理と伴走支援に向く準委任契約
準委任契約は、受託者が専門家として業務を行い、稼働時間や役割に応じて精算する形です。現状分析や業務標準化、製品選定、RFP作成に向いています。
PMOや現地キーユーザーの支援も、進めながら論点を整理する工程です。その際、発注者側も意思決定や資料提供を担います。
週次会議の頻度や参加者、課題管理表を決めておき、成果の評価方法と稼働上限も定めます。追加で稼働する場合は、承認の手順を設けます。
契約書で押さえるデータ・知的財産・終了条件
契約が終わった後にデータの利用や移行で困らないよう、データ管理と委託先の義務を明記します。
- データ管理:所有権・利用権、バックアップ、国外移転、保存期間、返却形式
- 委託先の管理:再委託、秘密保持、監査権、インシデント報告時間
- 成果物と終了:設計書・設定情報の保有者、API仕様、データ辞書、アカウント一覧、運用手順
- 移行・制度対応:契約終了時の移行支援と、国別法令の監視・設定変更・テストの担当
そのため、API仕様やデータ辞書を成果物に含めておくと、契約終了後の移行に備えられます。移行支援も見積に入れ、特定の委託先に縛られない形を残します。
国税庁は、令和7年度税制改正後の電子帳簿等保存制度を案内しています。制度に対応するかどうかの判断には、経理や法務、情報システムの担当も加わります。
この制度の対象には、請求書などの電子取引データを帳簿へ自動連携する仕組みも含まれます(出典:国税庁「電子取引関係」、2026年確認)。
グローバルERPを発注してから稼働するまでの進め方

経営課題と対象範囲を先に決めてから着手すると、発注後に要件を一から考え直さずに済みます。そのうえで、代表拠点で標準テンプレートを作り、パイロットで検証してから国別に展開します。
全拠点を一斉に切り替えることもできますが、データ品質や教育、法令差分、現地の稼働日が重なります。そこで、初回の発注では段階展開を前提にすると、リスクを管理しやすくなります。
企画と現状分析による投資判断
投資判断の出発点は、現状を数字で押さえ、目的と対象範囲を決めることです。そのうえで、5つの段階を順に進めます。
- 決算日数、連結作業時間、Excel転記回数、在庫差異を調べる。
- 手入力件数、監査指摘、現地からの問い合わせも集める。
- 測定可能な目的、対象国・会社・業務、予算上限、稼働希望日を決める。
- 代表拠点で標準を作り、パイロットで検証する。
- 国別に展開し、稼働後の運用体制とKPIを確認する。
目的は「ERP導入」で終わらせず、「月次決算を何日短縮する」のように測定できる形で書きます。たとえば、海外子会社の損益を何営業日以内に把握するかも決めておきます。
また、マスターの重複を何割減らすかを目標に加えることもできます。対象国や対象会社、業務範囲は経営会議で承認します。予算上限と稼働希望日も、同じ会議で承認しておきます。
標準テンプレートとパイロット
代表拠点でテンプレートを作り、移行とテストを通じて、標準化が通用するかを検証します。
- 本社か、業務やデータが代表的な拠点を選ぶ。法令差分が大きすぎない拠点は、パイロットに向いています。
- 勘定科目、組織、取引先、品目、承認、締め、レポートの共通テンプレートを作る。
- 移行する履歴、参照用に保管する履歴、残高だけ移す履歴に分け、マスターの重複と表記揺れを解消する。
- システム担当だけでなく、経理、営業、購買、倉庫、生産、現地キーユーザーと受入テストを行う。
- 返品、為替差損益、会社間取引、税務帳票、権限変更、障害復旧をテストし、移行を複数回リハーサルする。
古い取引データは、すべて本番へ載せず、用途に応じて移行範囲を決めます。また、参加者には日常処理だけでなく締め処理も確かめてもらい、移行時は件数や残高、突合結果を照合します。
国別ロールアウトと稼働後の定着
国別展開では、標準テンプレートを適用しながら、差分と切り替え方法を管理します。
- 各国の法令や業務に標準テンプレートを適用し、差分を共通プロセスに戻せるかを確かめる。
- 差分による他国への影響と、アップデート時の動作を確認する。
- 一斉切り替え、段階的な切り替え、並行稼働から方式を選び、決算期や繁忙期は避ける。
- 旧システムの参照期限とデータ凍結、切り替え後の戻し方を決める。
- 本社CoE(Center of Excellence)と各国キーユーザーを置き、役割を定める。
CoEは、マスターや権限、リリース、法令対応を管理します。KPIや改善要求も、CoEが受け持ちます。一方で、現地キーユーザーは教育と一次問い合わせに当たります。
たとえば、日本郵船のように多数の国内外子会社へ標準化を広げる場合は、運用組織も発注の時点から設計しておきます。
稼働後は、納品で終わらせず、決算日数や手作業時間、データ鮮度、ユーザー定着率を毎月確かめます。
グローバルERPの費用相場と見積の内訳
費用は、ライセンスや導入支援、設定・開発、データ移行などに分かれます。テストや教育、現地展開、保守も費用に含まれ、その額は国数や会社数でも変わります。
ユーザー数や対象業務、連携本数も費用を左右します。加えて、データ品質や法令差分も影響します。
ここで示すのは、リサーチノートでまとめた2025〜2026年の企画段階の概算です。個別製品の正式な見積ではなく、RFPに予算枠を設けるための目安として使います。
規模別の初期費用・ランニング費用・期間の目安
企画段階の概算は、規模ごとに初期費用、年間費用、期間が異なります。
- 1〜3カ国:財務中心、20〜50ユーザー。初期2,000万〜6,000万円程度、年間1,000万〜3,000万円程度、期間6〜12カ月が一つの目安
- 3〜10カ国:財務・販売・購買・在庫、100〜300ユーザー。初期8,000万〜3億円程度、年間4,000万〜1.6億円程度、期間12〜24カ月程度
- 10カ国以上:製造・物流・連結・多数連携、500ユーザー以上。初期3億〜10億円超、年間1.5億〜5億円超、期間18〜36カ月以上となる可能性があります
このレンジは、公開価格と類似する基幹システム案件をもとにした企画段階の推定です。ただし、国内基幹システムの参考値とは予算の組み立てが異なります。
国内の限定領域は数百万円〜1,500万円、複数業務は1,500万〜4,000万円が参考値です。また、エンジニア単価は月80万〜120万円程度とされます。
国別対応や多拠点展開が加わると、別の予算構造になります。この数字は発注額と決めつけず、対象範囲と前提条件を添えて社内予算に使います。
公開価格の参考と5年TCOでの比較
公開価格は、全体費用の一部をつかむための参考にとどめます。たとえば、日本マイクロソフトのDynamics 365 Financeは、通常プランで31,484円/ユーザー/月相当です。
Premiumは44,977円/ユーザー/月相当です。いずれも税別・年払いの価格で、出典はMicrosoft「Dynamics 365 Financeの価格」です。2026年に確認した価格です。
50ユーザーで使う場合、年間ライセンスは単純計算で通常プラン約1,889万円、Premium約2,699万円です。
これは財務製品の一例です。製品や運用に関わる費用は、別に発生する可能性があります。
ユーザー区分や契約条件によっても変わるため、公開価格だけで全体費用は決められません。
- 追加製品・導入:販売、サプライチェーン、人事、環境、導入支援
- 運用・構築:連携、国別機能、クラウド利用料、追加開発
- 移行・定着:データ移行、教育、保守、サポート
- 将来費用:法令更新、現地対応、環境増設、為替変動、ユーザー追加
- 見積の分解:「一式」の中身を、人数、工数、成果物、回数、言語、訪問回数、対象国で示してもらう
初期費用だけでなく、これらを含めた5年TCOを作って比べます。
工程別に見る見積の内訳
工程別の割合を仮に置くと、金額の理由や提案の差を追いやすくなります。
- 要件定義・業務標準化:10〜15%
- 設定・設計:15〜25%
- データ移行・連携:15〜30%
- テスト・教育・展開:20〜30%
- PMO・現地展開・予備費:10〜20%
上記は、案件の実績単価ではなく予算構成の目安です。割合に大きな差があれば、工程の抜けや前提条件を質問します。
費用を抑えるには、標準機能を多く使い、不要な履歴の移行を減らします。また、国別展開を段階化し、共通テンプレートを再利用する方法もあります。
既存業務をすべて再現するカスタマイズは、テストやバージョンアップの負担を増やします。
たとえば、海外売上高が約3割の原田伸銅所の事例のように、標準化したクラウドERPを中核にしてデータをまとめる方針も選択肢になります(出典:SAP Japan「原田伸銅所導入事例」、2025年掲載)。
委託先の選定と見積比較で確認すべきポイント
委託先は、知名度や認定数だけでなく、自社と同じ規模・業界・対象国での経験で選びます。製品機能を説明する力と、プロジェクトをやり切る力は分けて評価します。
候補は2〜4社程度に絞ります。同じRFPやデモシナリオ、見積条件で比べると、価格だけに引っ張られにくくなります。
同規模・同地域の導入実績
導入実績は、対象国や規模、運用の中身まで自社と照らし合わせます。
- 規模と業務:国、会社、ユーザー、モジュール、製造・物流の有無
- データと期間:連結・会社間取引、移行データ量、導入期間
- 支援体制:稼働後の保守、追加開発量、現在の支援範囲
実名の事例が出せない場合は、匿名化した課題や採用方式、規模を聞きます。可能であれば、同規模の顧客へのリファレンスチェックも依頼します。
提案を担当した人が稼働後も関わるかどうかを確かめます。保守体制が提案時と変わる場合は、引き継ぎの方法も聞いておきます。
前提条件をそろえた見積書の比較
見積を比べるには、費目と対象範囲をそろえ、実質TCOも見ておきます。
- 費目:ライセンス、導入支援、設定・開発、移行、連携、テスト、教育、展開、保守、予備費
- 対象条件:国、会社、ユーザー区分、環境、データ件数、連携本数、対応言語
- 支援条件:訪問・オンライン支援の回数、初期費用、年間費用、5年TCO、追加変更単価
安い見積が対象範囲を狭くしている場合もあります。そこで、「標準機能で対応」「製品標準外」「別途見積」「顧客作業」の記載を見逃さないようにします。
顧客作業に、データクレンジングやマスター登録、テストシナリオ作成が含まれると、社内の工数が増えます。あわせて、現地教育や税務確認の負担も見ておきます。
提示額に、自社の人件費と現地法人の負担を加えた実質TCOで評価します。発注者側の作業を小さく見積もっていないかも、確かめます。
失敗リスクと発注前の対策
発注前に、主な失敗要因と、それに対応する対策を並べて確かめます。
- 目的が曖昧:経営KPIを先に定める
- 国別法令を後から発見:国別差分の台帳を作る
- 移行が遅れる:移行リハーサルを早期に行う
- 現地が参加しない:各国のキーユーザーを任命する
発注先とは、リスク一覧や課題の期限を週次で共有します。意思決定者とエスカレーションの経路も、明確にしておきます。
AI機能や自動化は、データ品質や権限を条件にして評価します。監査証跡と人の承認も、評価に含めます。
たとえば、自動仕訳や予測分析では、入力データの欠損や異常値を確かめます。加えて、モデルの説明責任や、誤処理が起きたときの取り消し手順もRFPに含めます。
ランサムウェアへの備えや退職者のアカウント、特権IDを確かめます。委託先の再委託先も、確認の範囲に入れます。
セキュリティは、導入後の運用項目として契約とKPIに結びつけます。
よくある質問(FAQ)
発注時には、国数やユーザー数に加えて、法令対応や業務標準化、データ移行、稼働後の体制も確認しておきます。
海外拠点が少なくてもグローバルERPを外注できますか?
外注は可能ですが、対象が1〜2カ国で課題も限られるなら、財務や連結会計から段階的に始める方法もあります。
過剰な投資を避けるため、主な選択肢を並べます。
- 比較対象:フルERP、連結会計、BI、業務SaaS連携
- 判断材料:対象国、ユーザー数、決算遅延、現行システムの保守期限
それぞれを同じ目的指標で比べると、自社に必要な範囲を判断しやすくなります。
グローバルERPの発注費用は最初にいくら用意すべきですか?
企画段階の予算幅は規模によって異なります。1〜3カ国で財務中心なら、初期費用は2,000万〜6,000万円程度です。
3〜10カ国で複数業務を扱うなら、8,000万〜3億円程度を見込んでおきます。いずれも予算検討の幅で、正式な発注額ではありません。
RFPでは、ユーザー区分やモジュール、連携を分けて書きます。移行や現地展開、5年TCOも別々に記載します。そのうえで、複数社から同じ条件で見積を取得します。
請負契約と準委任契約はどちらを選ぶべきですか?
要件整理やPMOのように、進めながら論点を決める工程は準委任が基本です。一方で、設計書や設定・開発物のように完成条件を定義できる工程は、請負に向いています。
企画や要件定義は準委任、開発や移行、テストは請負とする組み合わせが使いやすいです。ライセンスと稼働後の支援は、別の契約にできます。
契約方式だけでなく、成果物や受入基準、変更のルールまで確かめます。追加費用や設計書、データの扱いも、あわせて押さえます。
委託先を比較するときに最も重要な質問は何ですか?
委託先には、導入実績や実現方法、稼働後の支援、5年TCOを同じ条件で質問します。発注者側の作業についても、尋ねておきます。
- 責任者:データ移行と法令更新を誰が担うか
- 障害対応:重大障害時の連絡時間と再委託先
- 契約終了:データ返却の方法と形式
価格表だけでは見えにくいリスクも、これらの質問で比べられます。
まとめ
発注で最初に決めるのは、製品名ではなく、経営課題と対象国です。そのうえで、共通化する業務や国別差分、稼働後の責任体制を定めます。自社の人員と海外経験に合わせて、発注形態を選びます。
発注前に取り組むべき最初の一歩
最初に、現行システムや対象会社、ユーザーを一覧にし、決算日数や連携先、データ量、国別法令も洗い出します。要件は、必須(Must)と希望(Want)に分けます。
集めた情報をRFPにまとめ、実データに近い同じシナリオで、デモと見積を依頼します。費用は、初期導入だけでなく5年TCOで判断します。
TCOには、ライセンスや教育、保守、現地対応を含めます。さらに、アップデートや追加改修も加えます。
委託先と合意しておく事項
委託先との契約では、工程や稼働後に関わる条件を明確にしておきます。
- 工程管理:成果物、受入基準、変更のルール、追加費用
- 権利・委託:データと設計書の権利、再委託、セキュリティ
- 運用体制:法令更新の担当、稼働後の窓口、現地キーユーザーの参加
段階展開を前提に、導入後のCoEまで計画しておきます。
導入後の運用組織を決めておくと、ERPをグループ経営の共通基盤として定着させやすくなります。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
