系統監視システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

系統監視システム開発の費用は、監視範囲や対象設備、冗長化や現地工事の条件によって、2,000万〜5億円以上まで変わります。

一拠点の監視中心なら2,000万〜5,000万円が目安です。既設機器や冗長化の条件で、金額は大きく動きます。全体像は系統監視システム開発の完全ガイドもご覧ください。

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系統監視システムの費用を左右する全体像

系統監視システムは、発電所、変電所、送電線、配電設備などの情報を集めます。工場やデータセンターの受配電設備も、監視対象になります。

収集した状態を表示し、運用判断を支えるOTシステムです。遠隔操作や事故区間の特定まで含めると、設計と試験の範囲が広がります。さらに、復旧操作の支援や需給予測、履歴分析まで含める場合もあります。

SCADAだけか、EMS・DMSまで含むかによる範囲の差

費用は、監視だけか、判断や操作の支援まで含むかで変わります。

  • SCADA:設備情報の収集と状態の監視
  • EMS:需給バランスや発電量の扱い
  • DMS:配電系統の状態把握と事故復旧

SCADAは、電圧、電流、有効電力、無効電力、周波数を収集します。遮断器や断路器の状態も集め、系統図やトレンドで表示します。また、イベント履歴やアラームも、SCADAの表示対象になります。

名称を曖昧にしたまま見積を依頼すると、画面だけの監視費用と、系統解析や制御まで含めた費用を比べることになり、比較の前提がずれます。

一つの変電所の計測値を集めて警報を出すだけなら、既設の計測器と通信を活用できるため、費用を抑えやすくなります。

複数の変電所を一つの系統図で管理する場合は、必要な機能が増えます。開閉器の遠隔操作や、事故時の復旧手順の支援も必要になります。

点数設定、操作インターロック、権限管理も対象に入ります。障害時の切替も含まれます。

運用訓練まで含める場合も、範囲は監視・制御・分析の三つに分けてRFPに記載します。

対象設備と既設資産の状態による初期費用の差

対象設備と既設資産の状態を分けて確認すると、初期費用の見積もりが具体的になります。

  • 電力設備:発電、送電・変電、配電で必要なデータの違い
  • 受配電設備:デマンド管理や省エネ分析が中心となるケース
  • 再エネ・蓄電池:出力予測や充放電状態との連携

再生可能エネルギーや蓄電池を含む場合は、出力予測が加わります。充放電状態や気象情報、系統連系条件との連携も必要になります。

既設設備を再利用できるかどうかは、費用を左右する重要な条件です。まず、メーカー、型式、通信プロトコル、信号点数を洗い出してください。

時刻同期方式や盤、配線の状態、保守期限も確認します。古いRTUや独自プロトコルを残す場合は、ゲートウェイの開発が必要になります。その際は、変換試験や予備品の確保も見積項目に含めます。

既設の計測器と通信網を活かせば、初期費用を抑えられます。さらに、読み取り専用の監視から始めると、停止リスクも小さくできます。

系統監視システムの費用相場と価格帯

小規模・中規模・大規模の対象範囲と費用レンジを3枚のパネルで示した図。
対象範囲が広域になるほど、想定する費用レンジも上がります。

系統監視システム単体の国内公開価格は少なく、費用は個別見積が基本です。

ここで示す金額は、2026年時点の公開目安と公開調達情報を組み合わせた概算です。既設更新の実務条件も含めた予算計画の初期レンジとして、使ってください。ただし、電力会社の広域系統SCADAにそのまま当てはまる公式相場ではありません。

小規模・一拠点の監視中心なら2,000万〜5,000万円

一拠点の監視中心案件は、既設機器の活用範囲で費用が変わります。

  • 対象:発電所、変電所、工場の受配電設備など
  • 監視機能:画面、トレンド、履歴、アラームの整備
  • 費用:初期費用の目安は2,000万〜5,000万円

たとえば、既設の計測機器を活用し、リアルタイム画面を整えるケースです。初期費用は、サーバーを一組だけ設置し、操作と外部連携を限定すれば、下限に近づきます。

新たなセンサーや盤改造、現地配線を含めると、上限を超える可能性があります。さらに、通信機器を加えたり、複数の操作卓を含めたりする場合も、費用が増える要因になります。

公開されている2026年版のシステム開発料金目安では、SCADA・監視制御システムは2,000万〜1.5億円とされています。同じ目安では、平均が6,000万円で、納期は32〜80週間です。

出典はCasually「システム開発の料金相場 2026年最新版」です。2026年に確認した情報ですが、あくまで一般的な産業用システムの目安です。

電力設備の現地工事や総合試験が、必ず含まれるとは限りません。そのため、一拠点の監視中心案件では参考値として使う必要があります。見積を依頼するときは、現地作業の有無を分けて示してください。

中規模・複数設備の統合なら5,000万〜1.5億円

複数設備を統合する場合は、接続点数と拠点数が工数に直結します。

  • 統合対象:複数の変電所や発電設備の統合
  • 接続機器:RTU、PLC、IED、保護リレーなどとの接続
  • 費用:5,000万〜1.5億円程度になりやすい規模

単線結線図や地図画面、アラームの優先度管理が加わります。操作権限、履歴データベース、帳票も必要になります。また、設備管理システムや気象データとの連携も対象です。

サーバー、ネットワーク、電源を冗長化すると、機器費が増えます。そのうえ、設計や切替試験、障害試験の範囲も広がります。

1拠点あたりの信号点数と、デジタル・アナログの区分は、早めに確定しておきます。更新周期や通信断時の扱い、過去データの保持期間も確かめます。

メーカーが異なる機器をまたぐ場合は、変換仕様も見積に含めます。さらに、データ品質の判定や時刻同期、障害時の再送処理も必要です。

大規模・広域の給電や配電まで含めると1.5億〜5億円以上

広域運用まで含める場合は、機能だけでなく運用継続の費用も見ます。

  • 広域運用:中央給電指令所や広域系統監視が対象
  • 高度機能:配電自動化や系統解析の追加
  • 継続運用:訓練シミュレーターやバックアップサイトが対象

こうした範囲まで含めると、1.5億〜5億円以上になるケースがあります。東芝の公式情報でも、機能領域が中央給電指令所、給電・集中監視制御、変電所監視制御などに分けて整理されています。

出典は東芝「需給調整能力向上に貢献する電力系統監視制御システム」です。2026年に確認した情報で、機能の追加に応じて構成が分かれます。

機能を追加すると、ライセンスだけでなく系統モデルも増えます。試験シナリオや運用訓練、切替計画も、費用を増やす要素になります。

経済産業省の電力市場監視システムも、近い事例の一つです。データセンター賃貸借と運用・保守の2年度契約が、5,661万7,440円で公示されています。

出典はJETRO「令和7〜8年度電力市場監視システムデータセンター賃貸借及び運用・保守業務」です。2025年の情報で、新規の系統監視システム開発費ではありません。

ただし、本番環境の基盤費や保守費が無視できないことを示す事例です。そのため、初期費用だけで判断せず、5年程度の総保有コストで比べてください。

ポイント

規模別の目安は、初期予算を立てるときの出発点として使います。金額の差は現地工事や冗長化、通信、試験の範囲で生まれるため、個別見積で条件をそろえて確かめてください。

見積書に入る費用・コストの内訳

見積費目を要件定義・系統モデル、機器・ライセンス・通信、試験・移行・保守の3領域に分けた図。
3領域を同じ条件で並べると、見積に含まれる工程を見渡せます。

複数社の見積を比べるときは、総額だけでなく費目をそろえて見ます。

系統監視システムの運用には、アプリケーションのほかに、現場機器や通信、サーバーが必要です。画面や系統モデルも、運用に結び付く要素になります。

試験や教育、保守を含め、抜け漏れがあると追加費用になりがちです。

要件定義・系統モデル・エンジニアリング費

上流工程では、現状調査からタグ一覧の整備までを見積もります。

  • 調査・定義:現状調査と要件定義
  • 設計:基本設計、詳細設計、系統モデルの作成
  • 整備:タグ一覧や運用条件の文書化

電圧、電流、電力、状態信号、更新周期は、タグ一覧に文書化します。アラーム条件や画面遷移、操作権限、インターロックも、要件として整理する対象です。履歴保持や障害時の手動復旧まで、要件に含めます。

既設図面と実機が一致しない場合は、現地調査の工数が増えます。同じ理由で、データ整理の工数も増えます。

本記事で置いた概算では、連携・エンジニアリングが全体の30〜50%を占めることがあります。ただし、この比率は公定ではなく、案件の複雑度をつかむための仮置きです。

ハードウェアを安く抑えても、接続や画面設定が増えれば総額は下がりません。系統解析や現場調整、設定データの管理も工数になります。電気と制御、通信、セキュリティを理解する担当者は、早い段階から体制に加えてください。

ハードウェア・ライセンス・通信費

機器費と利用料は、初期費用と継続費用に分けて確認します。

  • 機器:サーバー、ネットワーク、RTUなど
  • ライセンス:SCADAや系統解析などの利用料
  • 通信:回線やデータセンターの利用料

機器費には、ストレージや操作卓のほか、ファイアウォールや時刻同期装置、UPS、バックアップ媒体も入ります。

必要な場合は、ゲートウェイも機器費に入ります。サーバーと待機サーバーを二重化すると、機器数量が増えます。制御所とバックアップサイトを分ける場合も、設計費が増えます。

通信経路をループ化すると、切替条件の設計が必要になります。

現地盤の改造やセンサー追加は、別項目で確認してください。盤製作、配線、据付は、別項目に分けます。電源工事も、別に切り分けます。

SCADAや系統解析、履歴データベースには、ライセンス費がかかります。帳票や訓練環境のライセンスも、対象に含めて確認します。

買い切りかサブスクリプションか、課金単位を確かめてください。点数、利用者、サーバー数のどれで課金されるかも、確認しておきます。

標準機能と追加開発の範囲を分けておくと、比較しやすくなります。クラウド分析基盤の利用料も確認します。初期費用と月額・年額費用は、分けて記載してもらいます。

試験・移行・教育・保守の費用

本番稼働までの費用は、次のように分けて見ます。

  • 試験:FAT・SAT、総合試験、切替の確認
  • 移行・教育:履歴移行と操作教育
  • 保守:脆弱性対応と24時間365日監視の範囲

試験費には、単体試験のほか、旧新並行運転も含めます。

試験項目と合格条件を明示してください。通信断や異常値、時刻ずれを試験シナリオに入れます。サーバー故障も対象です。

電源断や誤操作、アラームの大量発生も検証対象です。手動復旧の手順も確認します。

試験期間と検証環境の費用も、見積に含める必要があります。なお、試験項目と合格条件がない場合は、納品後の追加費用につながります。

データ移行では、タグ名や設備IDの名寄せが発生します。加えて、過去履歴の移行や系統図の作り直し、アラーム設定の調整も行います。

切替後は、運転員や保守担当者への操作教育が必要です。さらに、障害時の訓練と手順書の整備も必要になります。

保守費は、問い合わせ対応だけでなく脆弱性対応も含みます。予備品やライセンス更新、構成管理も、保守費を左右します。24時間365日の監視や災害復旧訓練を含めるかどうかでも、費用は変わります。

初期費用の10〜20%程度を、保守費の仮置きにすることがあります。ただし、契約条件で変わるため、固定的な相場とは考えないでください。

ポイント

見積の比較は、総額より先に費目をそろえるのが近道です。設計、機器・利用料、試験・教育・保守の抜けを見つければ、安い見積の理由も分かります。

系統監視システムの費用が高くなる変動要因

系統監視システムを中心に、冗長化、OTセキュリティ、メーカー混在と通信仕様の標準化を注釈で示した図。
運用条件や接続条件、対策範囲が見積の差につながります。

見積金額の差は、画面数や開発者数に加えて、冗長化や現場機器との接続、操作の制約によって生まれます。

さらに、セキュリティや試験、保守の条件が重なるほど、費用は上がります。金額の高低より先に、必要なリスク対策が含まれているかを確認してください。

24時間365日運用と冗長化のレベル

停止を許容できる時間が短いほど、冗長化と切替試験の費用が増えます。

  • 二重化:マスターとスタンバイへの分離
  • 通信継続:通信回線の二経路化
  • 電源・拠点:バックアップサイトや無停電電源の整備

サーバーをマスターとスタンバイに分けると、予備機器の分だけ機器費が増えます。制御所と遠隔バックアップサイトを分ける構成では、拠点間の切替設計も必要です。

無停電電源を備える場合は、障害検知やデータ同期を設計します。切替と切戻しの設計、試験も必要になります。

冗長化の範囲も対象により変わります。東芝の公開情報でも、複数の系統監視制御機能が紹介されています。対象範囲に応じて、中央給電、変電所監視、配電自動化などで構成が分かれます。

工場の省エネ監視では、数分の停止を許容できる場合があります。その場合は、監視系と制御系を分けた簡易構成を選べます。

段階的なバックアップを選べる場合もあります。どの構成を選ぶ場合も、許容停止時間、復旧目標時間、許容データ欠損を先に決めてください。また、手動運転への切替条件も決めておくと、過剰な冗長化を避けられます。

OTセキュリティとサプライチェーン対策

OTセキュリティの費用は、導入費としてではなく、要件定義の段階から予算化します。

  • ネットワーク:制御系と業務系の分離
  • アクセス管理:権限、認証、監査ログの設計
  • 供給網:部品やソフトウェアの出所の確認

系統監視システムの中核は、エッジやオンプレミスに置きます。外部連携では、中継サーバーや一方向伝送を検討します。バックアップとインシデント対応も、要件に含めます。

クラウドを使う場合も、リアルタイム制御の中核は分離します。具体的には、中核をエッジやオンプレミスに置き、クラウドは分析などに使います。

経済産業省は2025年6月、電力制御システムの手引きを公表しました。正式名称は「電力制御システムに関するサプライチェーン・セキュリティ対策の手引き」です。出典は経済産業省・資源エネルギー庁の2025年公表情報です。

RFPには、部品やソフトウェアの更新手順を入れます。脆弱性情報の通知や委託先の管理、障害時の連絡体制も対象です。

メーカー混在・古い通信仕様・標準化の不足

メーカーが混在する場合は、接続方式と将来の交換条件を先に確認します。

  • 変換:通信プロトコルと信号の意味のそろえ
  • 標準化:適用する標準仕様の範囲の決定
  • 検証:主要機器のPoCによる接続確認

複数メーカーの設備をまとめる場合は、通信プロトコルの変換が必要になります。信号の意味づけやアラームの統一、データ品質の確認も行います。

IEC 61850、IEC 61970、IEC 61968を、どこまで適用するかを決めます。独自仕様を残す箇所では、将来の交換条件を明示してください。

標準化が不足すると、機器を追加するたびやベンダーを変えるたびに、費用が発生しやすくなります。

見積依頼では、接続予定の全機器を一覧にします。一覧には、メーカーと型式、通信方式を記載し、データ点数や更新周期も入れます。設置場所、更新予定、保守期限も一覧に加えます。

接続試験をPoCとして先に実施すると、本開発後の手戻りを減らせます。主要なRTUやIEDを、実機または検証環境で確認します。

機器追加が続く事業者は、タグや画面を自社で追加できるかを確認します。設定データを返却してもらえるかも、費用と合わせて比べます。

ポイント

費用の高い見積を読むときは、画面数より、冗長化や現場機器との接続、操作の制約、必要なリスク対策が含まれているかを先に確かめると判断しやすくなります。

費用を適正化する系統監視システム開発の進め方

費用を下げる近道は、必要な安全機能を削ることではなく、対象範囲と運用条件を先に定めて、接続リスクを早く検証することです。

標準機能と追加開発を分け、段階導入を前提にしてください。まず、リスクの低い範囲から検証すると、予算と停止リスクを管理しやすくなります。

要件定義での監視範囲・制御範囲・停止条件の切り分け

要件定義では、監視と操作、分析を分けて整理し、停止条件も別に定めます。

  • 範囲:監視対象、遠隔操作、分析対象の区分
  • 条件:停止時間、応答時間、履歴保持の取り決め
  • 納品物:タグ一覧と通信仕様の指定

利用者と権限、RTO・RPO、手動復旧の方法も整理します。旧システムへの切戻し条件も、要件として定めてください。

単線結線図やアラーム一覧も、納品物として指定します。また、責任分界表も指定すると、各社が同じ前提で見積を出せます。

現場や保安、設備の担当者を、早い段階から参加させます。情シスや経営企画なども、早期に加えます。画面の見た目だけを先に決めると、現場で許可されない操作や通信断時の運用が後から判明し、設計変更が起きがちです。

目的は、停電範囲の最小化や省力化、再エネ活用といったKPIに落とし込みます。さらに、設備保全もKPIに含めると、不要な機能を見分けられます。

PoCと段階導入による手戻りの防止

全拠点を一度に切り替えず、接続リスクを小さなPoCで確認します。

  • 洗い出し:通信とデータの確認
  • 接続検証:主要機器との通信の確認
  • 試作:読み取り専用の画面とアラームの検証

まず、主要機器との接続検証から始めます。PoCは、500万〜3,000万円程度の一フェーズとして見積もられることがあります。対象機器や現地作業の範囲によって、PoC費用は変わります。

PoCは、本番開発の値引きとしては扱わないようにします。本番で使えるものと、検証だけに使うものを分けて明示してください。

三菱電機エンジニアリングは、既設設備を活かす導入計画を示しています。調査・分析や企画、設計・製作から、立ち上げ調整や保守まで一貫して対応する考え方です。

出典は三菱電機エンジニアリング「SCADAエンジニアリング/見える化システム」です。2026年に確認した情報で、段階を踏んだ導入計画を提案しています。

既存資産を再利用できる範囲を先に検証すると、初期投資を分散できます。そのうえで、監視、操作、分析の順に広げていく進め方です。

標準パッケージの活用と独自開発の限定

標準機能と独自開発を分けると、試験と保守の範囲を絞り込めます。

  • 標準機能:HMI、アラーム、履歴、帳票の設定対応
  • 追加開発:独自解析や社内連携に限った開発
  • 契約条件:更新と移行の費用

冗長化も、できるだけ標準機能の設定で対応します。独自の系統解析や社内業務との連携だけを追加開発します。さらに、特殊な操作ガイダンスも、差別化に必要な範囲へ限定します。

ライセンス更新や点数追加、サーバー追加の条件を確認してください。API利用料や、製品終了時の移行費用も確認します。

クラウドは、複数拠点の状況確認や帳票の基盤として使えます。設備保全、予測、分析の基盤としても活用できます。

リアルタイム制御の中核を外部へ移すと、通信断やセキュリティのリスクが増えます。そのため、制御はエッジやオンプレミスで続け、必要なデータだけをクラウドへ連携します。

クラウド利用料は年額で増えるため、5年分の総額を比べてください。

ポイント

費用を下げたいときは、安全機能を削るのではなく、対象範囲と運用条件を先に定め、接続リスクを早い段階で検証する順番を優先します。

系統監視システムの見積もりを取る際のポイント

見積は、比較に必要な条件をそろえて提出してもらいます。金額や納期、責任分界を同じ様式にし、納品物と保守条件も並べて示してもらいます。

条件がそろっていないと、必要な工程を含まない提案が安く見えてしまいます。

RFPに入れる対象点数・現地作業・試験条件

RFPには、接続範囲と現地作業を具体的に記載します。まず、対象拠点と対象設備を挙げ、機器のメーカーと型式もあわせて書きます。

  • 対象:拠点、設備、型式、信号点数の記載
  • 作業:盤改造、配線、据付、停電作業の明示
  • 試験:FAT、SAT、切替、教育の条件の区分

通信プロトコルや画面数、アラーム数も、RFPに記載する必要があります。履歴保持や利用者数、操作の有無も含めます。

冗長化とバックアップ、外部連携についても、対象範囲を明示してください。

RFPでは、夜間作業や交通費も対象に含めます。立会いと撤去も対象です。さらに、産業廃棄物処理の範囲も、RFPに記載してください。

試験は、FATやSAT、総合試験に分けます。並行運転や切替、切戻しも、個別に記載します。

教育も分けて記載し、合格基準と再試験の扱いを決めます。また、通信断から何秒以内に警報を出すかも定義します。

復旧後の欠損データの扱いも決めておきます。権限のない利用者が見られる範囲も定義します。サーバー故障時に継続する機能も、明確にします。

条件が曖昧なままでは、実運用の品質を比べられません。

価格だけでなく責任分界で見る複数社の比較

相見積もりでは、会社の得意領域と責任分界をそろえて比べます。

  • メーカー系:電力系統の監視制御の比較
  • SCADA系SIer:製品と統合力の確認
  • 更新系:既設設備への対応力

機器納入、ソフトウェア、現地工事を、誰が担当するかを確認します。セキュリティと24時間保守の分担も、総額と責任を左右します。

一社で担当するか、複数社で分担するかを確かめてください。見積総額だけでなく、障害時の責任も変わります。

類似規模の案件での担当範囲や、接続した他社機器の種類を質問します。FAT・SATの試験責任と、障害時の一次切り分けの担当も確認します。

設定データや系統モデルを返却できるかを質問します。第三者保守や将来のベンダー変更が可能かも確認します。

東芝や三菱電機エンジニアリングなどの公開情報には、機能が示されています。そのうえで、自社の電圧階級や拠点数、既設機器に近い実績は、提案時に確かめます。

初期費用だけでなく5年程度の総保有コストで見る判断

初期費用、年間保守費、更新費を並べると、提案の長期的な差を判断できます。

  • 初期費用:機器や開発の費用
  • 年間費用:保守、通信、クラウド利用料の比較
  • 将来費用:更新や追加点数の単価

年間費用の比較では、予備品や監視要員も対象になります。パッチ検証や現地保守も含めます。

機器交換や脆弱性対応、教育更新の費用も確認します。また、導入費が高い二重化構成でも、停止損失を抑えられる場合があります。

障害対応費を抑えられるなら、事業継続の面で合理的なことがあります。

5年総額も比べます。

費用を抑えるには、画面を過度に作り込まず、既設の計測器と通信を再利用します。

監視と制御を段階導入し、標準プロトコルを採用します。また、設定データを自社へ引き渡してもらいます。

費用を抑えるといっても、安全性に関わる冗長化やセキュリティを削るわけではありません。大切なのは、将来の追加や変更にかかる費用を見えるようにすることです。

ポイント

見積を比べるときは、含む工程と責任の範囲をそろえ、5年程度の総保有コストまで見ると、安く見える理由が分かります。

系統監視システムのよくある質問(FAQ)

費用は、機能の数だけでなく、停止を防ぐ設計と保守で決まります。予算計画や見積の比較で特に多い質問を、Q&A形式で確認します。

系統監視システムの開発費用は最低いくらですか?

一拠点の監視でも、現地調査や接続検証に加えて、試験と教育の費用がかかります。

  • 本番稼働:一拠点でも、調査から教育までの工程が必要
  • PoC:500万〜3,000万円程度のフェーズを設ける場合
  • 見積:本番費用は条件に応じた個別の算定

数百万円の予算で本番稼働まで進めるのは、難しいことがあります。そのため、本番費用は対象点数や現地工事、冗長化の条件を個別に確認してください。

系統監視システムをクラウド化すると安くなりますか?

クラウド化で必ず安くなるわけではありません。

サーバー購入や、拠点間の分析基盤の費用は抑えやすい一方で、通信費が発生します。さらに、データ保管、セキュリティ監視、バックアップ、月額利用料も必要です。

  • 抑えやすい費用:サーバー購入や分析基盤の費用
  • 追加費用:通信、保管、監視、バックアップ、月額利用料
  • 比較方法:役割を分けたうえでの5年総額の比較

クラウドは、帳票や予測に加え、設備保全や複数拠点の状況確認に使います。リアルタイム制御は、引き続きエッジやオンプレミスに置きます。

保守費用は初期費用の何割を見込めばよいですか?

固定の割合はなく、保守範囲と対応時間で大きく変わります。

  • 保守範囲:ライセンス、予備品、脆弱性対応の範囲
  • 対応条件:問い合わせ、現地対応、監視時間の区分
  • 金額の目安:10〜20%は仮置きで、契約上の相場ではない

24時間365日監視を含むかどうかも、費用を左右します。そのうえで、保守範囲と対応時間を分け、障害の優先度や復旧目標も別に見積もります。さらに、更新作業と設定変更の単価も、別に確認してください。

安い見積もりを選んでも問題ありませんか?

価格だけで選ぶのは危険です。

  • 抜けやすい工程:現地調査、接続試験、FAT・SATの確認
  • 抜けやすい運用:切替、教育、セキュリティ、予備品、保守の確認
  • 比較条件:追加条件と5年総額までのそろえ

安い見積もりでは、既設機器との接続試験が省かれている場合があります。FAT・SATや切替リハーサル、セキュリティ設計が含まれていないこともあります。また、操作教育や予備品、保守が含まれていない可能性もあります。

各社に同じ前提で再見積もりを依頼してください。そのうえで、含むもの、含まないもの、追加になる条件を確認します。停止リスクと5年総額も含めて判断します。

まとめ

系統監視システムは、一拠点なら2,000万〜5,000万円が目安です。複数設備を統合する場合は、5,000万〜1.5億円になります。

広域の給電・配電や系統解析まで含めると、1.5億〜5億円以上が目安です。実際の金額は、対象設備と信号点数、既設機器、冗長化の条件で変わります。現地工事や試験の範囲、セキュリティと保守の条件も、費用を左右します。

規模別レンジによる費用相場の把握

小規模で監視中心なら、2,000万〜5,000万円を初期検討のレンジにします。

  • 小規模:監視中心で2,000万〜5,000万円
  • 中規模:複数設備の統合で5,000万〜1.5億円
  • 大規模:広域運用で1.5億〜5億円以上

これは定価ではなく、現地工事や冗長化の範囲、通信と試験の範囲で変わる概算です。セキュリティや保守を含むかどうかでも、金額は変わります。

発注前に見る安全性と将来の変更費

発注前には、初期費用の額だけでなく、安全性と将来の変更費も並べて見ます。

  • 安全性:冗長化、手動復旧、OTセキュリティの確認
  • 将来性:設定データ、機器追加、ベンダー変更への対応
  • 総額:保守の責任分界と5年総保有コストの比較

電力制御システムでは、サプライチェーンの管理も発注条件に含めます。また、系統監視は、長期運用が前提の社会インフラとして捉えることが大切です。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。