系統監視システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

系統監視システムの発注、外注、委託では、監視と制御の範囲、既設設備との接続、試験と保守の責任を先に整理し、段階を分けて進めると追加費用を抑えやすくなります。

進め方は、発注形態を選ぶ、RFPで要件をそろえる、契約形態と責任分界を決める、費用と委託先を比べる、の順です。

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系統監視システムの全体像

SCADAを中心に、EMS、配電自動化、系統解析、保護・制御、設備保全を配置した系統監視システムの機能図。
中核機能に周辺の監視・制御機能を組み合わせます。

系統監視システムは、発電所、変電所、送電線、配電設備などの状態を集めるOTシステムです。運用者は、その情報を見て系統の状態を把握し、必要な操作を行います。

SCADAを中核に、EMS、配電自動化、系統解析、保護・制御、設備保全の機能を組み合わせます。そのため、一般的な業務システムに比べて、現場設備や通信との調整が重要になります。

監視と制御の委託範囲の切り分け

発注側は、計測値の収集だけを任せるのか、遠隔操作まで委託するのかを、まず決めます。監視対象には、電圧、電流、有効電力があります。さらに、無効電力、周波数、遮断器や断路器の状態も含まれます。

  • 監視中心:状態の収集と、画面・履歴への記録に限ります。
  • 制御を含む:開閉器操作、発電量調整、事故区間の切り離し、蓄電池の充放電まで扱います。

制御を含める場合は、操作権限とインターロックの条件を要件に入れます。確認操作や誤操作防止、手動復旧も、要件に加えます。また、監視と制御をまとめて発注する場合も、RFPでは機能と責任を分けて記載してください。

既設資産と新システムの境界

系統監視システムの更新では、サーバーや画面に加えて、現場の設備も一体で考える必要があります。RTUやPLC、IED、保護リレーなどは、通信回線や時刻同期装置、非常用電源と連動しているためです。

設備ごとに、既設機器を継続利用するか、更新するか、読み取り専用で接続するか、制御信号まで渡すかを一覧にしておきます。メーカー混在や古いプロトコルがある場合は、提案を依頼する前に資料を整えておくと、見積条件を統一しやすくなります。

  • 設備資料:タグ一覧、通信仕様、単線結線図、現場写真の一式。
  • 設定情報:設定バックアップの有無と、その取得方法。

発注形態の選び方

発注形態には、メーカー一括、パッケージ導入を中心としたSI、複数社への分離発注、PoCからの段階発注があります。どれか一つが正解というわけではなく、設備の重要度や既設機器のメーカー構成、社内の電気・制御・IT担当者の有無によって、適した形が変わります。

メーカー一括発注による窓口の一本化

一括発注では、主契約者にまとめる範囲と、責任分界を先に確認しておきます。設備停止を伴う更新や複数設備の案件では、障害時の窓口を一本化しやすい形です。

  • 一括する対象:SCADA、RTU、変電所設備、通信、現地工事、試験、保守の一式。
  • 比較対象となる場面:中央給電、複数変電所、配電自動化など、調整先が多い案件です。
  • 契約上の分界:主契約者、再委託先、発注者それぞれの担当範囲を、責任分界表で示します。

東芝は、中央給電、給電・集中監視、変電所監視、配電自動化、遠方監視制御装置を、一連の電力系統監視制御として紹介しています。メーカー系の一括提案は、広域設備で比較対象になります(出典:株式会社東芝「電力系統監視制御システム」、2026年確認)。

ただし、メーカー一括でも、盤改造や電源工事などの現地作業は別契約になる場合があります。夜間切替や訓練、予備品と脆弱性対応も、別契約として扱われることがあります。

提案書では、主契約者が直接責任を持つ範囲、再委託先の範囲、発注者が用意する範囲を記載し、責任分界表を契約書に添付します。

パッケージ導入とSIの短納期・拡張性の比較

パッケージ導入を中心としたSIでは、標準機能の活用範囲と追加開発の範囲を比べます。特に、ライセンス条件や拡張方法を確認する必要があります。

  • 標準機能:HMI、アラーム、履歴、トレンド、帳票、冗長化を活用します。
  • 追加開発:必要な接続や画面を、個別に開発する範囲です。
  • 適する状況:複数拠点への拡張や、既存制御機器を残したままの上位監視の更新です。
  • ライセンス:タグ数かサーバー数か、開発用と本番用の別、点数追加費用の扱い。
  • 構成:制御中核はオンプレミスやエッジに置き、帳票や分析はクラウドへ連携して、可用性と拡張性を両立する方法です。

また、設定データを発注者が取り出せるかも確認します。

三菱電機エンジニアリングは、GENESIS64による監視制御構築の支援、電力監視のアラーム表示、既存設備を活用したセンサー情報収集の事例を公開しています(出典:三菱電機エンジニアリング株式会社「SCADAエンジニアリング/見える化システム」、2026年確認)。

分離発注と段階発注に必要な発注者側の管理力

分離発注は専門会社を選びやすく、価格や標準仕様も比較できます。一方で、発注者側には、各社をまとめる管理力が求められます。

発注者にPMとOTの技術判断ができる体制がない場合は、統合SIerか第三者PMOを活用してください。

  • 分離する対象:監視アプリ、通信ネットワーク、現場盤改造、クラウド分析、保守を、個別に発注できます。
  • 管理上の責任:通信断や信号欠落の原因と責任を、発注者が調整します。
  • 管理体制:PMとOTの技術判断を、社内で担えるかどうか。

段階発注では、通信やデータの洗い出しから始め、読み取り専用の接続検証、一拠点でのPoC、旧新並行運転、複数拠点への展開の順に進みます。

PoCの成功条件には、画面表示に加えて、通信断からの復旧や時刻ずれへの対応を含めます。異常値やアラーム同時多発への対応、権限外操作への対応、切戻しも条件に加えます。これにより、本開発での予想外の追加費用を抑えやすくなります。

ポイント

発注形態は、設備の重要度や既設機器の構成、社内の担当者の有無、拡張性で選びます。窓口をまとめたいか、分けて管理できる体制があるか、段階的に試せるかが判断の分かれ目です。

RFPと要件整理で準備する内容

FAT、SAT、異常試験、切替・切戻し条件を確認項目として並べたチェックリスト図。
工場、現地、異常時、切替時の確認を一続きで整理できます。

RFPは、複数社が同じ条件で提案と見積を出すための、発注の基準書です。そこには、対象設備や現状の課題、期待する効果を書きます。納期や予算の考え方、提出物、評価方法も示します。

必須要件と提案の余地を分けてください。単線結線図やタグ一覧が不十分だと、各社の見積前提が異なり、価格を比較できません。

RFPに書く対象設備・データ・運用

RFPの条件は、対象設備、データ、運用の各領域に分けると、漏れを防げます。制御機能を含める場合は、安全条件も必須要件にします。

  • 設備・データ:拠点、設備、監視・制御点数、収集周期、通信方式を記載します。
  • 画面・運用:表示、履歴、帳票、アラーム分類、利用者権限、稼働時間の取り決め。
  • 可用性:許容停止時間、目標復旧時間、データ保存期間を示します。
  • 制御安全:承認手順、インターロック、同時操作の禁止、安全側動作、手動切替。
  • 現地条件:ネットワーク構成、既設機器、通信プロトコル、作業制約を、候補会社と共有します。

候補会社には、要件定義書や系統モデル、タグ・画面・アラーム一覧を納めてもらいます。あわせて、ネットワーク・セキュリティ・バックアップの設計書や、試験仕様書とFAT・SAT記録も求めます。操作マニュアルや保守手順書、設定ファイル、ソースコード、移行に必要なデータも、よく求められるものです。

タグ名や単位、スケールなどのルールを納めてもらうと、担当者の経験に依存しにくくなります。品質フラグや時刻、アラーム優先度も、対象に含めます。

可用性・セキュリティ・現場作業の要件化

可用性、セキュリティ、現場作業の条件は、同じ要件の中で一緒に決めておきます。24時間365日稼働する設備では、二重化や復旧の条件を数値で指定します。

  • 可用性:サーバー、ネットワーク、電源、通信経路の二重化範囲と、主系から待機系への切替時間。
  • データ復旧:切替中のデータ損失、履歴の整合性、バックアップサイト、復旧手順を指定します。
  • セキュリティ:再委託先、遠隔保守経路、アカウント、パッチ、脆弱性情報、ログ、事故報告、機器廃棄を、RFPで確認します。

数値で指定する際は、RTO(復旧目標時間)とRPO(復旧時点目標)を使い、「通信断が30分続く」「制御サーバーが停止する」などの想定を条件に落とし込みます。

セキュリティは発注条件に含めます。2025年6月、資源エネルギー庁は電力制御システムのサプライチェーン・セキュリティ対策の手引きを公表しました(出典:資源エネルギー庁「電力制御システムに関するサプライチェーン・セキュリティ対策の手引き」、2025年)。

この手引きは、サプライチェーン・リスク管理やセキュリティ仕様の確認、機器の適切な管理などを整理しています。発注者は、この手引きの項目を調達条件に反映します。

発注段階で決めるFAT・SATと切替条件

FATは工場受入試験、SATは現地受入試験です。各試験の確認範囲と切替条件は、発注の時点で決めておきます。

  • FAT:画面、アラーム、権限、通信模擬、冗長切替、データ保存を確認します。
  • SAT:実機信号、現地ネットワーク、操作手順、現場表示、設備停止時の復旧の確認。
  • 異常試験:通信断、異常値、時刻ずれ、サーバー故障、電源断、アラーム洪水、誤操作、権限外操作、旧システムとの不一致を試します。
  • 切替・切戻し:並行運転日数、責任者、旧システムへ戻す条件、所要時間、現地出動者の合意。

現地作業には、停電や入構、作業許可といった制約があります。さらに、保安担当者の立会いや夜間作業などの制約も加わります。

その制約を受託会社の工程表に反映させ、現地調査の回数も見積条件に含めてください。

ポイント

RFPには、設備やデータ、可用性、制御安全、現地条件を同じ前提で示します。試験、切替、セキュリティも含め、必須と提案の余地を分けると比べやすくなります。

契約形態と責任分界の決め方

系統監視システムでは、要件が固まっている部分と、調査しないと決められない部分が混在します。そのため、全工程を一つの契約で固定せず、要件定義、PoC、設計開発、導入保守に分ける方法が、実務に合う場合があります。

契約形態は、支払い方に加えて、仕様変更や受入れ、障害時の責任を決める仕組みです。知的財産や再委託、保守範囲も、契約形態の中で決まります。

請負契約の成果物と受入基準

請負契約は、合意した成果物を完成させ、発注者が検査・受入れを行う契約です。設計書や設定済みシステム、画面を成果物として明記します。通信連携、試験記録、マニュアルも、同じ扱いで明記します。

成果物の受入れで行き違いを防ぐため、契約書には検収から責任の範囲までを具体的に書き込みます。

  • 検収と納期:検収基準、納期、遅延時の扱い。
  • 不具合と仕様変更:瑕疵や契約不適合への対応、仕様変更の手続き。
  • 費用の負担:発注者側の資料不足、既設機器の仕様違い、設備停止の不許可による影響を、受託会社が負うかどうか。
  • 責任の範囲:前提条件、発注者の協力事項、第三者機器の責任範囲、不可抗力や追加調査費用の扱い。
  • 権利と契約終了時:著作権、設定ファイルの利用権、終了時のデータ返却。

調査・PM・保守などに使う準委任契約

準委任契約は、専門家として一定の業務を遂行する契約です。仕様や成果物を開始時に固定しにくい業務で、候補になります。

  • 対象業務:現状調査、要件定義、PoC、第三者機器との接続検証、PMO、運用改善、アラーム調整です。
  • 契約条件:月次報告、作業範囲、担当者の役割、成果物の形式、品質確認の方法を定めます。
  • 二段階契約:準委任で要件定義を行い、その結果を設計・開発の請負へつなげる形です。

二段階契約は、既設設備の不確実性が高い案件で使いやすい形です。準委任でも品質責任は必要なので、調査の観点や接続検証の対象を、あらかじめ定めておきます。

報告書には、リスクと対策、次工程へ進む判断基準を明記してください。

保守契約の障害対応と改善の区分

保守契約では、障害対応と改善作業を分けて、サービス範囲と長期費用を明確にします。

  • 障害対応:24時間365日の監視、営業時間内の問い合わせ、一次切り分け、現地駆け付け、部品交換、バックアップ復元の範囲を定めます。
  • 改善・維持:脆弱性対応、定期点検、更新、アラームや系統モデルの変更を、別々に扱います。
  • サービス水準:重要度別の受付、暫定復旧と恒久対策の目標時間、エスカレーション経路。
  • 長期費用:1年目だけでなく、3年または5年のTCO(総所有コスト)を試算し、延長や第三者保守、移行支援も確認します。

障害の重要度ごとに目標時間を決め、通信会社や機器メーカーを含む連絡経路を示します。初期開発費が安くても、ライセンス更新や専用保守の費用が後から加わることがあります。予備機、遠隔保守回線、夜間対応なども、総額を押し上げる要素です。

日立や明電舎の公式情報では、広域運用、系統解析、主要装置の二重化などを含む高信頼な運用が説明されています(出典:株式会社日立製作所「エネルギー:社会インフラITシステム」、株式会社明電舎「電力系統監視制御システム」、2026年確認)。

ポイント

契約形態は、要件が固まった部分と調査が要る部分で使い分けます。請負は成果物と受入基準、準委任は調査やPM、保守は障害対応と改善の区分を明確にします。

系統監視システムの費用相場と見積内訳

小規模・一拠点、中規模・複数設備、広域給電・配電SCADA、PoCの初期費用幅と期間を並べた4枚のパネル。
対象範囲が広がるほど、予算と導入期間の幅も大きくなります。

系統監視システムの国内の公開価格は多くなく、費用は設備点数や拠点数、制御範囲、冗長化で変わります。既設接続や現地工事、試験、保守も含めて、個別見積になります。

ここで示すのは、2026年時点で確認できるSCADA・監視制御システムの公開目安と、電力分野の近接調達情報をもとにした概算です。広域系統SCADAの公式相場ではないので、初期予算の参考として使い、RFP後の見積で更新してください。

規模別の初期費用の幅

監視範囲や設備規模による費用の差をつかむために、拠点数と制御内容に応じた初期費用と期間の目安を比べます。

  • 小規模・一拠点:監視中心で既設計測器を使い、制御を限定する場合は2,000万〜5,000万円、6〜12か月です。
  • 中規模・複数設備:RTU・PLC連携、冗長化、操作、帳票、既存連携を含め、5,000万〜1.5億円、12〜24か月です。
  • 広域給電・配電SCADA:多拠点、二重化、系統解析、データモデル、移行、総合試験、訓練を含み、1.5億〜5億円以上、24〜48か月になることがあります。

通信やデータの洗い出し、接続検証、画面試作、セキュリティ評価を行うPoCは、1フェーズ500万〜3,000万円、3〜9か月の予算帯で切り出せます。

民間の2026年公開相場では、SCADA・監視制御システムを2,000万〜1.5億円、平均6,000万円、納期32〜80週とする目安があります。ただし、電力系統特有の現地工事や保安試験を含むとは限りません(出典:Casually「システム開発の料金相場 2026年最新版」、2026年確認)。

機器・連携・試験・保守を分けた見積の比較

見積書は工程や設備ごとに区分し、含まれる範囲をそろえてから比べます。機器費だけで選ぶと、現地調整や試験が別途扱いになり、最終的な発注額が膨らむことがあります。

  • 設計・ソフト:要件定義、系統モデル、基本・詳細設計、SCADA・EMSのライセンスを分けます。
  • 機器・連携:サーバー、ストレージ、ネットワーク、RTU、ゲートウェイ、計測機器、画面・アラーム設定の区分。
  • 導入・運用:データ移行、現地工事、FAT・SAT・総合試験、セキュリティ、教育、保守の区分。

初期検討の管理上の目安として、機器・インフラ15〜30%、ソフトウェア・ライセンス15〜25%、連携・エンジニアリング30〜50%程度に分けられます。

試験・移行・教育は10〜20%、セキュリティ・運用設計は5〜15%程度を仮置きできます。これは実績統計ではなく、漏れを防ぐための目安です。そのうえで、各社には同じ内訳で出してもらい、別途費用の理由も書いてもらいます。

運用保守の近接事例と初期費用の区別

新規開発費と運用基盤の費用は、分けて評価します。経済産業省の2025年調達公示では、「電力市場監視システムデータセンター賃貸借及び運用・保守業務」の落札価格が2年度分で5,661万7,440円でした。

出典は政府公共調達データベース掲載の経済産業省公示(2025年)です。

  • 費用の見方:この公示額は新規開発費ではなく、データセンター賃貸借と運用保守の近接事例です。
  • 比較する期間:初期費用、年間保守、ライセンス更新、予備品、回線、クラウド、現地駆け付け、脆弱性対応、点数追加を含めた3年・5年の総額。
  • 見積の確認:24時間対応、現地試験、冗長化、データ移行、訓練の有無を確かめ、差額の理由を把握します。

この公示額は、初期構築費と直接比べるものではなく、年間の運用費を考える材料として使います。差額の理由が明確な見積ほど、契約後の追加請求を予測しやすくなります。

ポイント

費用は規模や制御範囲、冗長化などで大きく変わるため、公開価格を当てにせず、見積の含有範囲をそろえて比べます。初期費用と3年・5年の運用費を分けて見ると、年間の負担が見えてきます。

委託先の選定と見積比較の確認ポイント

委託先は、知名度や価格だけでなく、安全稼働の実績や既設機器への接続力で評価します。現地試験、OTセキュリティ、長期保守、データと設定の可搬性も、評価の観点になります。

選定委員には、発注者側の保安や設備、情シス、調達、現場運用の担当者を加えます。技術と契約の条件を同じ場で確認してください。

設備・規模・役割まで確認する類似実績

候補を比べるには、「電力分野の実績」より踏み込んで、設備の種類や規模、受託会社の担当範囲を確かめます。そのうえで、同じ条件で候補を並べます。

  • 対象と規模:中央給電、変電所、工場受配電、再エネ・蓄電池の別と拠点数を尋ねます。
  • 稼働・役割:監視・制御点数、稼働年数、更新か新設か、担当範囲。
  • 裏付け資料:匿名化した画面、試験項目、障害対応、保守体制、担当者の継続性を求めます。

既設メーカー混在環境への接続経験や、IEC 61850、CIM、RTU・PLC連携、プロトコル解析の経験も尋ねます。標準化への対応力は、設備追加やベンダー切替に影響します。

日立は中央給電指令所、広域分散型の電力系統監視制御、系統解析を公開しています。明電舎は主要装置の二重化や汎用ハードウェア・ソフトウェアを特長として示しています。ただし、採否は公式情報だけで決めず、候補会社に案件規模に合った実績を提示してもらいます。

見積比較の表(価格・前提・除外項目)

見積比較では、金額だけでなく前提条件と除外項目を同じ表で確認します。

  • 提案条件:対象拠点・設備・点数、収集周期、冗長化、保守時間、試験範囲、現地作業日数、教育時間、納期を並べます。
  • 費用前提:発注者の支給品、第三者費用、別途条件、除外項目を記録し、追加後の比較総額を作ります。
  • 評価配点:価格30点、要件適合25点、類似実績15点、試験・切替計画10点、保守・障害対応10点、セキュリティと将来拡張10点などに配分します。

A社が2,500万円、B社が4,000万円という見積でも、A社が現地工事とSATを除外していて、B社が含むなら、単純比較はできません。

価格の比重を重くしすぎると、安全性や移行の確実性が見えにくくなります。また、質問票への回答を提案書の一部として残しておくと、契約後の認識違いを減らせます。

ベンダーロックインと再委託のリスク

ベンダーを変える場合に備えて、データや設定の受け渡し形式と、再委託先の管理条件を契約前に決めておきます。

  • 引き渡す情報:標準プロトコル、API、データモデル、設定ファイル、アラーム定義、系統モデル、ログ、バックアップの形式。
  • 契約終了時:データ返却、他社保守、ライセンス移管、追加点数の単価公開を確認します。
  • 再委託先:一覧、担当範囲、アクセス権、秘密保持、脆弱性対応、事故報告、情報削除を確認します。
  • 切替と通知:独自仕様と標準部分の区別、必要資料の納品、再委託先変更時の通知義務。

現場工事、通信、クラウド、海外製品のサポート会社などが、再委託先になる場合があります。

資源エネルギー庁の2025年の手引きも、サプライチェーン・リスク管理を扱っています。そのため、一次受託会社だけを審査するのでは不十分です。

RFPでサプライチェーンの説明を求め、契約で再委託先の変更時に通知するよう定めてください。

ポイント

委託先は、実績や既設機器への接続力、長期保守、データの可搬性で評価します。類似実績や見積の除外項目を確かめ、再委託先とデータ返却の条件も契約前に決めておきます。

よくある質問

系統監視システムの発注・外注を検討する担当者から寄せられやすい質問に回答します。小規模な監視案件でも、将来の制御や設備追加、保守切替を見据えて、要件と契約を整えておきます。

系統監視システムの発注費用はいくらですか?

一拠点の監視中心なら2,000万〜5,000万円が目安です。中規模の複数設備統合は5,000万〜1.5億円、広域給電・配電SCADAは1.5億〜5億円以上です。

公式の価格ではなく、対象点数や制御範囲、冗長化、現地工事、試験、保守の有無によって変わります。500万〜3,000万円程度のPoCや接続検証を先に行ったうえで、不確実性を減らしてから本見積を取る方法もあります。

RFPを作る前に設備調査を依頼してもよいですか?

依頼できます。既設機器の型式や通信プロトコル、タグ数が不明な場合は、先に現状調査や接続検証を発注すると、見積の精度が上がります。配線や時刻同期、ネットワーク、設定バックアップが不明なときも同様です。現地の制約も、確認の対象になります。

調査は、準委任または小規模な請負として発注できます。対象や現地訪問の回数、提出台帳、発見リスクを契約に記載してください。次工程へ進む判断基準も、あわせて書いておきます。

系統監視システムをクラウドだけで構築できますか?

帳票や長期履歴、分析は、クラウドと相性があります。設備保全や複数拠点の可視化も同じです。一方で、リアルタイム制御の中核までクラウドへ移すとは限りません。

現場の制御と安全側動作をエッジまたはオンプレミスで完結させ、必要なデータをクラウドへ連携する構成が検討できます。

通信断でも監視・制御を続けられるか、遠隔保守経路をどう認証・記録するか、復旧後にデータをどう同期するかを、RFPで確認してください。

委託先は何社から見積を取るべきですか?

比較できるRFPを用意できるなら、3社程度を基本にして、専門性に応じて候補を増やします。候補には、メーカー一括やパッケージSI、独立系統合SIer、現場工事・通信の専門会社などを含められます。

会社数を増やすほど、説明や質疑の負担も大きくなります。そのため、類似実績や対象設備への対応力、保守体制、セキュリティ要件を満たす会社に絞ってください。

まとめ

発注・外注・委託では、まず監視と制御を分けたうえで、既設設備、通信、データ、可用性、セキュリティ、現場作業までの条件を洗い出します。条件がそろっていないと、各社の見積前提が異なり、価格を比べられません。発注形態のメリットと責任分界を比べたうえで、RFPで同じ条件を候補会社に示します。

発注前に確認する5つの項目

発注前に確かめる項目は、次の5つです。価格だけで委託先を決める前に、仕様や試験、長期運用の条件を見直してください。

  • 設備資料:対象設備、タグ、通信仕様が揃っているか。
  • 監視・制御:範囲、権限、手動復旧が定義されているか。
  • 試験・切替:FAT・SAT、切替、切戻しの合格条件があるか。
  • 総費用:初期費用と3年・5年の運用費を比べられるか。
  • 責任・継続性:データ返却、標準プロトコル、再委託、脆弱性対応、障害時の責任分界が契約にあるか。

5項目があいまいなまま価格だけで委託先を決めると、後工程で仕様変更や追加費用が起きやすくなります。

現状調査とRFP準備から始める進め方

系統監視システムの価値は、機能の数を増やすことより、安全に稼働し、運用者が判断しやすいことにあります。設備追加や委託先の変更に対応できることも、大切な価値です。

社内だけでは要件をまとめにくい場合は、OTとITの両方を理解する支援会社に、現状調査やRFP作成、候補比較、契約・保守設計を相談します。発注者側に判断材料を残す進め方を選んでください。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。