旅行・観光業向け団体旅行管理システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

団体旅行管理システムの費用は、利用規模、連携や帳票の範囲、必要な個別機能によって変わり、初期0〜50万円から5,000万円以上までの幅があります。

標準SaaSなら初期0〜50万円程度、旅行業パッケージの設定・移行なら50〜300万円程度が目安です。

▼全体ガイドの記事
・旅行・観光業向け団体旅行管理システム開発の完全ガイド

旅行・観光業向け団体旅行管理システムの概要

旅行・観光業向け団体旅行管理システムは、一案件の情報を問い合わせから精算までつなぐ業務システムです。

個人向けの予約受付やホテルの客室管理に加え、複数の参加者、仕入先、日程を同時に扱います。人数変更やキャンセル条件、原価と販売価格も、同じ案件の中で扱います。

案件カルテを中心とした情報のつながり

案件カルテには、問い合わせ時の条件から手配、請求、収支までの情報を集めます。

  • 案件の基本情報:問い合わせ元、団体名、旅行目的を記録し、人数、国籍や言語、希望日、予算も書き込みます。
  • 対応の記録:担当者、対応履歴、ToDo、案件ステータス。
  • 手配状況:宿泊、食事、バス、鉄道は見積にひも付け、航空、観光施設、ガイドも同じ案件に結び付けます。
  • 請求と収支:請求や仕入先への支払から、入金・支払消込、案件別の粗利まで管理します。
  • 分散した情報:Excelやメールに分かれた情報も、一つの流れにまとめられます。

個人向け予約システムとの管理対象の違い

個人向け予約が空室から決済、キャンセルまでを扱うのに対し、団体旅行では予約後の手配や複数の参加者情報も案件単位で管理します。管理する対象は、次のように分かれます。

  • 個人向け予約:空室・在庫の公開から、予約、決済、キャンセルの処理まで。
  • 団体案件:仮押さえ、回答期限、催行判断、参加者名簿、部屋割りの管理。
  • 参加者・手配情報:食事制限、座席、緊急連絡先、仕入先の回答待ちも扱います。

Travel Studio Groupは、海外エージェントの訪日団体について、見積から手配、請求まで一元管理します。同サービスは、シリーズツアーの一括編集・手配、タリフ参照、言語別帳票、収益集計に対応します。Travel Studio Groupの機能は、株式会社ウィンシステム公式サイトで確認できます(出典:株式会社ウィンシステム公式サイト、2026年確認)。

費用を考えるときは、予約画面の有無よりも、団体案件のどこまでを一つのデータで扱うかを先に決めます。

旅行・観光業向け団体旅行管理システムの費用相場

標準SaaSからスクラッチ開発まで、4方式の初期費用相場をカードで並べた図。
対象範囲が広がるほど、費用帯も大きく変わります。

団体旅行管理システムだけを対象にした公的な料金統計は確認できません。そのため、ここでの金額は、2025〜2026年の予約管理、PMS、CRM、外部連携の相場と必要機能を組み合わせた試算です。

標準機能の導入と、個別帳票やAPI連携を含む開発では、同じ名称のシステムでも予算が変わります。

SaaSの標準機能を導入する場合の費用(初期0〜50万円程度)

案件管理や見積、帳票、顧客管理が用意され、自社のマスタを登録して使う方式です。

この方式では、次の点で各社の導入費用を比べます。

  • 標準導入の目安:初期0〜50万円程度、月額2〜15万円程度、導入期間2〜8週間程度です。
  • 別料金の確認:アカウント数、拠点数、オプション、データ移行、操作研修を確認します。

idd TRAVELworkerの料金は、初期費用0円、保守サポート料0円、月額アカウント料5,500円(税込)です。idd TRAVELworkerは、2アカウントから利用でき、2026年4月からの料金改定も掲載されています(出典:株式会社アイディディ・ソフトウェア公式サイト、2026年8月確認)。

公開料金は標準クラウドサービスの例であり、個別帳票の変更や外部システム連携を含む開発費用までは含まれていません。

旅行業パッケージの設定・移行の費用(50〜300万円程度)

標準フローを受け入れられる会社なら、短い期間で導入できます。

初期設定、追加開発、保守費は、分けて見積もってください。

  • 初期設定:マスタの登録と、料金タリフ、商品、帳票の設定で50〜300万円程度です。マスタには、会社、担当者、顧客、施設、仕入先が含まれます。
  • 導入範囲:過去案件の移行、表記揺れの整理、権限設計、操作教育の範囲によって、費用が変わります。
  • 追加開発:独自の見積計算、複雑な仕入条件、複数の部屋割りルール、既存会計との連携が必要な場合は、設定費用に加えて開発費がかかります。
  • 年間保守:初期費用の12〜20%程度を目安にし、料金改定、法改正、外部API仕様変更への対応範囲を契約前に確認します。

連携を含む個別開発の費用(300万円〜5,000万円以上)

開発方式と対象範囲ごとの費用を並べると、予算の幅が見えてきます。

  • パッケージの追加開発:団体見積、独自帳票、会計・PMS連携を含めて300〜800万円程度です。
  • スクラッチ開発:自社仕様の業務フローを構築する場合は800〜2,000万円程度です。
  • 大規模開発:多拠点・代理店ポータル・多言語・複数API・厳格な監査要件を含むと2,000〜5,000万円以上の可能性があります。

類似システムの公開相場では、予約管理の最低限の開発は50〜100万円程度です。決済・通知まで含めると100〜300万円程度、多言語やOTA連携まで含めると300〜600万円以上です。

PMSの大規模スクラッチは500〜1,500万円以上とされています(出典:株式会社ripla「旅行・観光業界のシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について」、2025年公開)。

団体旅行管理には、参加者、原価、行程に加え、変更と帳票も加わります。

単機能の予約システムより高くなる前提で見積もります。

ポイント

標準SaaS、旅行業パッケージ、個別開発のどの方式を選ぶかで費用の桁が変わります。見積を比べる前に、自社の業務範囲がどの方式に当たるかを確かめてください。

旅行・観光業向け団体旅行管理システムの費用内訳

見積の総額だけを見ても、要件定義、移行、テスト、保守が含まれているかは分かりません。そのため、初期費用と運用後の費用を分けて確認します。

初期費用は、工程ごとに分けて見積もります。企画・要件定義、設計・開発は、それぞれ作業の中身を確かめます。テスト・移行、インフラ構築、教育も、同じように内訳を確かめます。

保守と外部サービス利用料は、初期費用とは別枠で確認してください。

企画・要件定義の費用(全体の15〜20%程度)

要件定義では、業務の流れとシステムに必要な条件を先に整理しておきます。

  • 業務フロー:問い合わせから催行後の精算まで、担当者と更新時点を決めます。
  • 業務条件:料金区分、人数変更、キャンセル料、部屋割り、仕入先の回答期限を整理します。
  • システム要件:英語帳票、権限、監査ログ、バックアップを定め、外部連携では、どこまでを誰が受け持つかを決めます。

類似システムでは、要件定義は全体費用の15〜20%程度が目安です。ただし、要件定義を削りすぎると、開発中に必要な条件が見つかることがあります。

「料金条件が必要だった」「紙の帳票を残したい」といった要望が後から分かると、追加工数や納期延長につながります。

見積では、要件定義の範囲と成果物を確認します。

設計・開発の人件費と工数

開発費の中心となる人件費は、職種ごとの単価と工数によって変わります。

  • プロジェクトマネージャー:月100〜150万円程度です。
  • アーキテクト:月80〜120万円程度です。
  • エンジニア:月50〜80万円程度です。
  • 開発チーム:PM、アーキテクト、エンジニア、デザイナー、テスターなどが関わります。

人件費は開発費全体の60〜70%程度を占めることがあります(出典:株式会社ripla「旅行・観光業界のシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について」、2025年公開)。

たとえば、月単価80万円のエンジニア2名が3か月稼働すると、人件費は480万円です。

ただし、この単純計算には、要件定義、管理、デザイン、テストの費用は含まれていません。インフラと外部サービス費も、この計算には入っていません。

見積では、何人月か、誰が担当するか、工程ごとに何人月を配分するかを確かめます。そうすることで、会社間の価格差の理由をつかめます。

移行・テスト・教育の費用

移行・検証・教育で発生する作業を分けて見積もると、導入後の負担をつかめます。

  • データ移行:過去案件、顧客、施設、仕入先、料金タリフを抽出し、表記揺れや重複を整えてリハーサルします。
  • 個人情報管理:名簿や食事制限情報の閲覧者、削除時期、バックアップの保存期間を決めます。
  • テスト・品質保証:開発費の15〜20%程度を目安に、人数変更、キャンセル、重複予約、日をまたぐ行程、税区分を試します。
  • テスト条件:部屋割り、英語帳票、仕入先回答の遅延も実データに近い条件で確認します。
  • 導入教育:教育やマニュアル作成に数十万円程度かかる場合があります。

研修を省くと、現場が紙やExcelに戻ってしまうおそれがあります。そうなると、システム導入の効果が出にくくなります。

ポイント

初期費用は要件定義、設計・開発、移行・テスト・教育に分けて見ます。保守や外部サービス利用料は別枠のため、見積の総額だけで比べないでください。

団体旅行管理システムの費用が変動する要因

費用を中央に置き、利用規模、外部連携・帳票、個人情報・法令・セキュリティ要件の3分類を周囲に結んだ図。
見積では規模と連携範囲、運用要件を一緒に確認します。

国内修学旅行を扱う会社と、訪日団体を年間シリーズで扱うDMCとでは、必要な機能が異なります。そのため、見積が変わる理由を押さえ、必要な機能と後回しにできる機能を分けて考えます。

利用人数・拠点数・案件量による規模の違い

利用人数や拠点数、案件量によって、必要なシステム構成が変わります。

  • 小規模・一拠点:利用者が数名なら、アカウント課金SaaSや小規模パッケージから始められます。
  • 複数拠点・複数部門:同じ案件を更新し、営業、手配、経理、現場が同時に使う場合は、権限や同時編集などの設計が必要です。
  • 費用への影響:複数拠点・部門では初期費用と月額費用が上がります。
  • クラウドインフラ:小規模なら月2〜5万円程度、繁忙期の負荷対策、監視、バックアップ、冗長化を含むと月10〜30万円以上の可能性があります。

繁忙期の案件数と同時アクセスを確認しておきます。春の修学旅行や大型連休前は見積が集中するため、ピーク時の件数をもとに性能要件を作ってください。

外部連携・多言語・帳票の数による費用への影響

連携先が増えるほど、調査や保守の作業が増えます。

  • 外部連携先:会計、PMS、ホテル、貸切バス、航空、OTAです。GDS・NDC、決済、地図・経路、メール・SMS、BIも含まれます。
  • API連携:API調査、認証、エラー処理、テスト、保守が必要です。
  • API以外の取込:APIが公開されていない連携先や、CSV・メール・FAXの取込では、データ変換や確認画面も必要になります。
  • 個別帳票:多言語、税込・税抜、区分別見積、複数通貨、キャンセル条件、請求書形式が費用に影響します。

仕様変更への対応も、保守範囲に含めてください。全帳票の自動化を急がず、見積、行程表、手配書、請求書の順に優先すれば、費用と効果のバランスを保ちやすくなります。

個人情報と法令に関わる要件は、取得から保存・運用まで一貫して設計します。

  • 名簿の情報:氏名、連絡先、部屋割り、食事制限、アレルギー、緊急連絡先を扱う場合があります。取得は必要最小限にします。
  • 安全管理:役割別権限、二要素認証、通信・保存時の暗号化、操作ログを整えます。さらに、バックアップ、退職者アカウント停止、漏えい時の連絡手順も定めます。
  • 法令・保存要件:旅行業法、施行規則、旅行者との契約に関する規則、旅行業約款に関係する書面保存のルールが、帳票や保存要件に影響します。

観光庁は旅行業法や省令、契約関連規則を整理しています(出典:観光庁「旅行業法及び省令等」、2026年4月1日更新)。個人情報保護委員会の通則ガイドラインには、安全管理措置が示されています。

発注側は、安さだけで決めず、要件を満たす運用設計を見積に含めてください。

ポイント

利用規模、外部連携と帳票の数、個人情報や法令への対応の三つが費用を左右します。見積の前提としてこの三つをそろえておくと、会社ごとの金額を公平に比べられます。

開発期間の目安

標準SaaSから多拠点・複数APIを含む開発まで、5方式の期間目安を短い順に並べた尺度図。
方式と機能範囲の違いが、工程表の長さに表れます。

導入方式と機能範囲によって、必要な期間は次のように変わります。

  • 標準SaaS:2〜8週間程度
  • パッケージの設定・移行:1〜3か月程度
  • 団体見積や会計・PMS連携のカスタマイズ:3〜6か月程度
  • スクラッチ開発:6〜12か月程度
  • 多拠点・代理店ポータル・多言語・複数APIを含む開発:12〜18か月以上の場合あり

この期間は機能範囲からの推定です。発注前に、各社の工程表で確認してください。

要件定義と業務整理にかける期間

現在の業務をそのまま画面にするのではなく、まず業務の流れを一覧にしておきます。

  • 現状業務の可視化:Excel、電話、メール、FAX、紙帳票に隠れた例外を確認します。
  • 業務フローの整理:見積、仮押さえ、催行決定、手配、変更、請求、精算までを対象にします。
  • 関係者への確認:営業、手配、経理、管理者に聞き取り、料金計算や承認条件を確かめます。
  • 成果物:業務フロー、機能・画面・帳票・連携一覧、非機能要件、移行方針が提出物に含まれるかを確かめます。

現場の担当者や営業、手配、経理、管理者に聞くほど、後工程の手戻りを減らせます。一方で、要件定義を数回の打ち合わせだけで終えると、料金計算や承認条件を見落とすおそれがあります。そのため、成果物の範囲を事前に確認してください。

データ移行と受入テストにかかる期間

移行と受入テストは、データ確認から本番切替まで段階を踏んで進めます。

元データでは、項目名、全角・半角、旧住所を整えます。あわせて、重複施設、古い料金、個人情報の保管期限も整理します。

  1. 元データを確認する:顧客、施設、料金タリフ、案件の形式と品質を調べます。
  2. サンプル移行を行う:少量のデータを移行して確認してから、本番移行へ進みます。
  3. 受入テストを行う:実際の業務に近い一連のシナリオを試します。
  4. 発注側の予定を確保する:テストデータの準備と現場の確認時間を組み込みます。

受入テストでは、20名の修学旅行や海外エージェントからの人数変更を確認します。ホテル回答の遅延やキャンセル料の計算も対象になります。

さらに、部屋割り変更、英語請求書、催行後の粗利確定も、一連のシナリオとして試します。繁忙期に近い案件で試すほど、リリース後の混乱を減らせます。

繁忙期を避けた段階導入の計画

繁忙期の業務停止を避けるため、パイロットから運用準備まで順に進めます。

  1. 小さく試す:繁忙期直前の全面切替を避け、一部署・一拠点・一商品でパイロットを行います。
  2. 効果を測る:見積回答時間、転記回数、変更漏れ、粗利確定までの日数、紙やFAXの件数を確認します。
  3. 対象を広げる:問題を修正してから展開し、教育負担と業務停止のリスクを抑えます。
  4. 運用手順を決める:権限申請、問い合わせ窓口、障害時の連絡先、データ取り出し、更新通知の方法を定めます。

クラウドを使う場合でも、回線障害や外部API停止への代替手順が必要です。

導入期間は、現場が使い続けられる状態までを含めて捉えてください。

ポイント

開発期間は導入方式と機能範囲で大きく変わるため、要件定義から受入テストまでの工程表を各社に出してもらい、期間の根拠を確かめてください。

団体旅行管理システムのコストの抑え方

コストを抑えるときは、毎日使う機能に予算を集中させるのが基本です。一方で、移行、セキュリティ、保守は削りすぎないようにし、5年間の総保有コストと業務改善効果を比べます。

案件カルテから収支までをMVPとする範囲

参加者向けアプリ、需要予測、すべてのOTA連携、高度な自動配車を最初から実装すると、予算も納期も膨らみます。

  • MVPの範囲:案件カルテ、団体見積、行程、手配状況、請求、案件別収支を整えます。
  • 後段階に回す機能:参加者アプリ、需要予測、全OTA連携、高度な自動配車は段階導入します。
  • 第1段階のKPI:見積回答時間、案件あたりの転記回数、人数変更の反映漏れ、粗利確定までの日数を測ります。

効果を測ると、次に費用をかける箇所を判断できます。

AIや需要予測は、料金マスタや案件ステータスを整えた後の拡張機能として計画します。

標準機能と個別開発の使い分け

標準機能と個別開発は、次のように使い分けられます。

  • 標準機能を優先:標準業務が多い場合はSaaSやパッケージを使います。
  • 個別開発を選ぶ範囲:競争力に直結する代理店ポータル、特殊な見積ロジック、分析画面が候補です。
  • 業務への適合:標準画面に業務を合わせられるか検討します。

標準機能に業務を合わせても、手作業が別の場所へ移るだけでは、導入の意味が薄れます。見積から精算までの転記が減るか、繁忙期の変更を追えるか、休暇中の担当者の案件を引き継げるかを確かめてください。

標準利用料、初期設定、移行、教育、追加開発、保守を5年間で合算して比べます。

5年間のTCOによる比較

5年間の総保有コスト(TCO)は、初期費用に加えて、継続費用と将来対応を含めて考えます。

  • 保守費:初期開発費の年12〜20%程度が目安です。SLA、対応時間、改修範囲で変わります。
  • 保守の試算例:初期費用1,000万円なら、年間120〜200万円程度です。
  • 5年間の費用:初期費用、月額、保守の費用を含めます。さらに、クラウド、監視、バックアップ、外部APIの費用も含めます。
  • 追加費用:機能追加、法改正対応、操作教育、社内運用工数も含めます。
  • 終了・更新時:解約時のデータ取り出しや再移行費も確認し、APIや法令の変化に備える機能追加予算を確保します。

見積もりを取る際のポイント

見積金額は前提条件によって2〜3倍の差が出ることがあります。対象業務、利用者、データ、連携、品質、保守の条件をそろえてから比べてください。

RFPに記載する業務フローと非機能要件

RFPでは、対象業態と業務フローを示したうえで、必須機能と将来機能を分けて書きます。

  • 対象範囲:旅行会社、宿泊施設、観光バス会社から選び、訪日団体、修学旅行、募集型ツアーを示します。
  • 業務フロー:問い合わせ、見積、行程、手配を示します。参加者、部屋割り、変更、請求、精算、分析も、あわせて示します。
  • 非機能要件:同時利用者数、ピーク案件数、応答時間、稼働率を記します。バックアップ、復旧目標、ログ保存期間も記します。
  • 運用・セキュリティ:権限、MFA、IP制限、データ出力、保守時間、障害時の連絡先を明記します。

品質や運用条件は、機能の一覧だけでは各社を比べられません。そのため、ここで挙げた非機能要件と運用の条件を、機能の一覧に添えて示すとよいです。

複数社の見積を工程と前提条件で比べる方法

複数社の見積は、前提をそろえてから金額を比べます。

  • 見積条件:標準機能と有償カスタムの境界、旅行業の実績、移行方法、帳票変更単価を確認します。
  • 運用条件:API連携の責任範囲、教育回数、保守時間をそろえます。
  • 製品の対象範囲:Travel Studio Groupは訪日団体向け、idd TRAVELworkerは公開料金あり、総合旅行業向け基幹システムもあります。

たとえば、大塚商会の読売旅行事例では、約300名の従業員がシステムを活用すると説明されています(出典:株式会社大塚商会「株式会社読売旅行 導入事例」、2026年確認)。

方式や対象規模が異なる製品は、そのまま並べて比べないようにします。大規模事例を参考にする場合は、機能だけでなく、教育、移行、現場の使いやすさも見ます。

自社と利用規模の異なる事例の費用は、自社の見積にそのまま当てはめないでください。

契約前に決める追加費用と仕様変更のルール

費用超過の原因になりやすいのは、開発中の仕様変更、移行データの品質不足、外部APIの想定外の制約、帳票追加、現場の承認遅れです。

そのため、変更窓口、影響調査、追加工数の計算、承認者、納期変更の扱いは、契約前に決めておきます。契約書では、「月額保守に含む修正」と追加開発を分けて書きます。

障害対応時間、復旧目標、バックアップ復元、データ返却、解約時のエクスポートも確かめてください。対応や取り出しが別料金の場合、実際のTCOが高くなる可能性があります。

ポイント

見積金額は前提条件で2〜3倍の差が出ることがあるため、RFPで前提をそろえ、契約前に仕様変更のルールを決めてから金額を比べてください。

よくある質問

発注前によく寄せられる費用の質問に答えます。

公開価格は標準機能の例であり、個別要件を含む開発費用とは分けて考えます。

団体旅行管理システムは最低いくらから導入できますか?

標準SaaSなら、公開料金の一例として月額数千円台のアカウント課金から利用できます。

初期費用は0〜50万円程度から数百万円程度まで広がります。ただし、初期設定、移行、帳票、教育、外部連携が費用に加わります。最小料金だけで、自社の導入費を判断しないでください。

SaaSとスクラッチ開発はどちらが安いですか?

初期費用は標準SaaSの方が安くなりやすく、導入も短期間です。一方で、独自見積や代理店ポータル、複雑な仕入・精算、既存基幹との連携が競争力に直結する場合は、標準SaaSでは追加運用や手作業が積み上がることがあります。

発注側は、5年間の利用料、追加開発、社内作業、将来の拡張性まで含めて判断してください。

保守費用は開発費に含まれますか?

契約によって異なります。初年度の無償サポートが含まれる場合もありますが、2年目以降は別料金になることがあります。

障害対応、セキュリティ更新、クラウド監視、バックアップの範囲を確認します。さらに、API変更、法改正対応、機能追加の範囲も確かめてください。

保守費は初期開発費の年12〜20%程度を参考にします。

参加者名簿の個人情報はどのように守りますか?

業務に必要な情報だけを取得し、閲覧・編集の権限は、営業、手配、添乗、経理、管理者の役割ごとに分けます。

通信・保存時の暗号化、二要素認証、操作ログを要件に含めます。バックアップ、保存期間、削除手順も要件に含め、委託先とはどこまでを誰が受け持つかを決めておきます。

個人情報保護委員会の通則ガイドラインを確認し、漏えい時の報告・本人通知を含む社内手順も整えてください。

まとめ

標準SaaSは初期0〜50万円、月額2〜15万円程度です。旅行業パッケージの設定・移行は50〜300万円程度が目安です。

連携や個別帳票を含む開発は300〜800万円程度、スクラッチ開発は800〜2,000万円程度です。大規模開発は、2,000〜5,000万円以上になる可能性があります。

多拠点、代理店ポータル、多言語、複数API、厳格なセキュリティ要件が費用に影響します。初期費用だけでなく、運用を含めて投資を判断します。

業務全体で見る費用の判断

見積作成と変更対応を速め、手配漏れや転記を減らし、催行後の粗利を早く確定できるかどうかで、投資を見ていきます。

要件定義、データ移行、受入テスト、教育、保守、API対応を含め、5年間のTCOで比較してください。

業務フローと見積条件の整理

導入準備では、対象業態と業務範囲、見積条件をそろえます。

  • 対象業態:旅行会社、宿泊施設、バス会社から選びます。
  • 業務範囲:案件カルテから精算まで、必要な範囲を書き出します。
  • 相見積もり:複数社へ同じRFPを渡し、標準機能、個別開発、移行、教育、保守、連携費用を分けて見積もります。

費用の内訳をそろえると、適正な投資額を判断しやすくなります。

▼全体ガイドの記事
・旅行・観光業向け団体旅行管理システム開発の完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

・サービス概要資料のURLはこちら >>>
・お問合せページのURLはこちら >>>
・お役立ち資料のURLはこちら >>>

執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。