訪問介護システム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

訪問介護システムの費用は、導入の方式、事業所の規模、機能連携の範囲によって変わります。既成のSaaSなら初期費用0〜30万円、月額1〜5万円程度が目安です。一方、スクラッチ開発では初期費用が300〜2,000万円以上かかります。

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訪問介護システムの費用相場

費用は、1事業所で標準機能を使うか、独自の訪問ルールや複数拠点の連携まで作り込むかで異なります。前者であれば、月額数万円から始められます。複数拠点をクラウドで管理する方式では、初期30〜150万円、月額5〜20万円程度が目安です。

一方で、独自の訪問ルールや複数拠点連携まで作る場合は、初期費用が数百万円から1,000万円を超えることがあります。公開価格のある製品と、要件が確定してから価格が決まる開発案件とでは、示される金額の意味が異なります。

既成SaaS・パッケージの価格帯

既成製品の料金は、基本料金の数字だけでは比べにくく、料金に何が含まれるかと、どの期間で比べるかによって実際の負担が変わります。

  • 基本料金:1事業所で初期0〜30万円、月額1〜5万円程度
  • 料金範囲:初期設定や研修が料金に含まれるか、別料金か
  • 比較単位:月額だけでなく、1年間の支払総額で比べる

なお、データ移行やアカウント発行が別料金の製品もあります。一例として、株式会社エス・エム・エスのカイポケ訪問介護は、訪問介護と障害福祉のサービスを月額25,000円(税別)で案内しています(出典: 株式会社エス・エム・エス「カイポケ訪問介護 利用料金」、2026年8月確認)。

この料金では、初期費用、更新料、解約金が0円です。さらに、インターネット請求、法改正対応費用、サポート費用も0円です。利用者数、職員数、接続端末数による追加料金もありません。

ただし、これは公開されている一社の料金で、訪問介護システム全体の平均価格ではありません。同じ住所で複数サービスを使う場合は、月額30,000円または45,000円の組み合わせも案内されています。

複数サービスを一法人で管理する場合は、料金が事業所単位と法人単位のどちらで決まるか、同一住所をどう定義しているか、追加サービスをどう扱うかを確認しておきます。

個別カスタマイズ・スクラッチ開発の価格帯

費用も期間も方式によって違うため、個別カスタマイズとスクラッチ開発は分けて見積もります。

  • 個別カスタマイズ:既成パッケージに帳票、権限、給与会計連携を追加。初期100〜500万円、期間3〜6か月程度
  • スクラッチ開発:初期300〜2,000万円以上、期間6〜12か月

訪問記録と請求は既製品に任せ、独自の勤務ルールと本部ダッシュボードだけを加える方法もあります。この形であれば、全面的に作り直すより費用を抑えやすくなります。

ここに挙げた幅は、公開されているSaaS価格と一般的な個別業務システムの開発費を、訪問介護の要件に当てはめて推定したものです。全製品を集計した統計ではありません。

複数法人・サービスへの対応、アプリ、オフライン入力まで設計すると、画面数とテスト範囲が増えます。加えて、国保連請求や会計・給与・ケアプラン連携、監査ログまで含めると、設計の対象がいっそう広がります。

公開価格と見積ベースの推定の違い

月額25,000円の公開料金は標準機能のサービス料金です。一方、スクラッチ開発の300〜2,000万円以上は推定の金額で、対象範囲が異なります。

開発費の目安には、要件定義から移行、リリースまでの工程が含まれます。見積書には、事業所数、利用者数、職員数を記載してもらいます。

端末台数と移行データも、見積書の前提として示してもらいます。外部連携数とサポート範囲も、同じ見積書に書いてもらいます。

ポイント

迷ったら、標準機能で足りるかを先に決めます。足りるなら既成製品の料金、足りないなら個別開発の金額を見るのが目安です。公開料金と推定額は対象範囲が違うため、同列には比べません。

訪問介護システムの費用内訳

訪問介護システムの費用を、開発、移行・連携、端末・研修・安全対策、月額・保守の4項目に分けた図。
初期準備と日々の運用を並べて見ると、見積もり範囲を整理しやすくなります。

費用はソフトウェアの料金だけでなく、安全に切り替えるための準備も含めて考えます。紙やExcelからの移行、訪問先の端末、ヘルパー研修は、見積もりに入れておかないと追加費用になりやすい項目です。請求前の受入テストも、見積もりに含めておく必要があります。

要件定義・設計・開発にかかる人件費

開発費は、担当者がどの作業にどれだけ工数をかけるかで決まります。設計の段階では、その工数を左右する業務の要点を、4つの観点で整理しておきます。

  • 担当者の工数:プロジェクト管理、業務整理、UI、サーバー・アプリ実装、テストの各作業
  • 業務の流れ:利用者台帳から請求まで、訪問予定、割当、指示・報告、記録、実績確定を一続きで扱う
  • 変更・キャンセル:予定変更、ヘルパーへの通知、実績確定、請求反映を誰が担当するか
  • 指示・報告:登録者、承認者、修正履歴、閲覧権限の範囲

入力画面と並べて、これらの手順も明確にしておきます。手順が曖昧なままだと、後工程で修正が増え、見積額を超えやすくなります。

データ移行と外部システム連携の費用

移行と連携では、見積もりに含める範囲を先に決めておきます。

  • 移行データ:利用者基本情報、契約、予定、過去の記録、請求情報
  • 外部連携:会計、給与、勤怠、請求、ケアマネジャーとのデータ交換

移行データは、抽出したあとに項目を対応付け、重複や欠損がないかを確かめます。基本情報だけを移すか、過去の記録や請求履歴まで含めるかによって、費用が変わります。

初期設定に移行作業が含まれていても、データの整形や特殊なCSV変換は別見積もりになることがあります。連携については、APIの有無とCSVの受け渡し方法を確認しておきます。

また、厚生労働省の2026年度介護ソフト機能調査では、標準仕様に準じたCSV機能と利用支援体制が補助要件に関係すると示されています(出典: 厚生労働省「介護ソフト機能調査」、2026年)。さらに、将来の連携に備える場合は、対応バージョンとエラー時の再送方法も見積条件に入れておきます。

端末・研修・セキュリティの初期費用

端末、研修、セキュリティの初期費用は、次の観点で見積もりに含めます。

  • 端末:会社支給のスマホやタブレット、回線、充電器。場合によってはICタグや位置情報も使います
  • 端末費・BYOD:機種・台数・通信契約・MDMで変動。1台1〜10万円程度を仮置き。BYODは端末費を抑えられるが、遠隔消去・個人データ分離・退職時停止を設計
  • 研修内容:管理者の設定、責任者の予定・指示・実績確定、ヘルパーの訪問記録
  • 研修費:初期研修、操作マニュアル、問い合わせ窓口、並行稼働の支援を含めて5〜100万円程度
  • 安全対策:役割別権限、多要素認証、通信・保存時の暗号化、操作ログ、バックアップ、障害時の復旧手順

端末費は、候補の機種を決めてから見積もります。研修費は、拠点数や職員数によって変わる見積もりベースの幅です。

月額料金・保守・法改正対応などのランニングコスト

月額料金と保守費は、料金項目と契約条件に分けて確認します。

  • 利用・基盤:SaaS月額、サーバー・DB、端末通信、バックアップ、追加ストレージ
  • 保守:ヘルプデスク、法改正対応。スクラッチでは開発費の年15〜25%程度を仮置き
  • 契約範囲:介護報酬や帳票の変更に備えた対応時間、障害の緊急度、改修範囲、法改正費用が月額に含まれるか
  • 公開料金例:カイポケでは法改正対応費用と更新料が0円ですが、これは全製品に共通する条件ではありません
  • 追加料金:職員・拠点、サポート時間、帳票、データ出力、解約時の返却

なお、買い切り型のパッケージでも、制度改定に伴う更新費や保守費が必要になる場合があります。

ポイント

費用を比べるときは、開発人件費だけでなく、移行・連携、端末・研修、月額・保守まで合わせて見ます。月額に法改正対応などが含まれるかどうかが、比較の分かれ目になります。

訪問介護システムの価格を左右する要因

業務の例外処理を中央に置き、急なキャンセル、担当交代、夜間対応、通信断を周囲に示す図。
例外対応の範囲が広がるほど、見積もり条件も増えていきます。

価格を左右するのは、利用人数よりも、業務の例外を標準機能でどこまで吸収できるかです。急なキャンセルや担当交代、夜間対応といった例外処理を加えるほど、見積もりは膨らみます。また、通信断や実績修正、複数サービスの合算も、例外処理として見積もりに加わります。

事業所数・職員数・訪問件数

事業所の規模と利用状況によって、必要な管理機能や見積もりの条件は変わります。

  • 規模:1事業所か複数地域かで、権限やデータ構造が異なる
  • 訪問件数:月間件数が多い場合の、一覧画面の表示速度、通知数、帳票、バックアップ容量
  • 料金条件:人数定額のSaaSもあるが、拠点の追加や本部機能が別プランになることもある

見積もりを依頼するときは、職員数に加えて、利用者数や月間訪問件数を伝えます。そのうえで、サービス種別や直行直帰の割合、同時接続端末数も示します。

今後3年の拠点増加も伝えておきます。1年後に居宅介護支援や訪問看護を加えるなら、法人単位の料金とデータ分離を先に確認します。そうすると、後の移行費を抑えやすくなります。

機能範囲と外部連携の数

費用に影響しやすい機能を比べ、優先順位を決めます。

  • 訪問時の記録:開始・終了、オフライン、音声入力、位置情報、ICタグ
  • 管理・分析:ルート自動作成、本部ダッシュボード、複数サービスの請求
  • 他システム連携:給与計算、API接続など

機能は段階を分けて導入し、記録と請求が安定してから、ルート最適化や分析を加える方法もあります。

直行直帰・通信断・セキュリティへの対応

端末が外に出る現場では、通信の途切れや紛失を前提に設計する必要があります。通信、紛失、情報管理、クラウド運用の4つの面で、確認しておく機能を整理します。

  • 通信断:不安定な地域でもオフラインで下書きし、回復後に再送できるか
  • 紛失・盗難:遠隔ロック・消去、セッション無効化、ログ確認の可否
  • 情報管理:閲覧権限、出力先、退職者の権限停止時期
  • クラウド運用:拠点、再委託先、ログ期間、バックアップ、復旧目標、障害連絡での担当範囲

これらは画面を足すだけで済まず、データ保存方式や認証にも関わります。監査ログや障害復旧にも及ぶため、無償で対応してもらえるとは限りません。

個人情報保護委員会と厚生労働省のガイダンスを踏まえ、誰がどの情報を見られるかを導入前に決めておきます。

セキュリティの要件は後から足すと設計変更につながりやすいため、初回の見積もりの段階で明記しておきます。

ポイント

見積もりを比べるときは、利用人数より、業務の例外を標準機能でどこまで吸収できるかを揃えて見ます。例外処理や連携が多いほど、同じ規模でも金額が上がります。

訪問介護システムの見積もり・開発の進め方

利用者登録と訪問予定の作成から、変更・指示、実施記録・実績確定を経て、請求と報告へ進む4段階の図。
入力担当とタイミングを各工程に沿って整理できます。

機能の一覧だけで見積もりを取るより、現場の業務を時系列に整理して依頼したほうが、精度は上がります。そのうえで、要件定義、設計・開発、テスト・リリースの各工程で何が納品されるか、支払条件も確認します。

要件定義・企画フェーズ

要件定義は、現場の業務を発生する順に並べ直すところから始まります。利用者の登録から請求までを4つの段階に分けると、どこで誰が何を入力するかが見えてきます。

  1. 利用者登録と訪問予定の作成
  2. 変更・キャンセルとサービス提供責任者の指示
  3. ヘルパーの実施記録と実績確定
  4. 請求とケアマネジャーへの報告

各工程で、担当者と入力のタイミングを決めます。必要な証跡や紙・Excelの扱い、例外処理も、あわせて整理しておきます。

1事業所で2〜4週間の小規模な検証を計画します。検証では、現場のヘルパーとサービス提供責任者に加え、管理者と本部担当者も画面を使います。

入力時間や未入力率、実績修正件数を測り、請求エラーと締め作業時間も加えて確かめます。現場で小さく試せば、使われない機能への投資を避けやすくなります。

設計・開発フェーズ

設計・開発では、現場と管理者の画面、共通機能、個別開発の範囲を決めます。

  • 設計対象:画面、権限、データ項目、通知、帳票、外部連携、セキュリティ
  • 訪問先画面:片手操作、文字サイズ、入力項目の少なさ、通信断からの復旧
  • 管理者画面:未入力、急な変更、重複、承認待ちを一覧で確認できるようにする
  • 開発範囲:介護保険請求と帳票は既製品に寄せ、独自性の高い本部管理や連携を追加する構成が現実的

NDソフトウェアの訪問介護向け製品は、利用者管理や複数サービスの予定、請求を構成できると案内しています。ほかに、個別援助計画やヘルパーアプリも構成できるとされています(出典: NDソフトウェア「訪問介護事業所様向けシステム」、2026年8月確認)。

まずは既製機能で足りる範囲を確かめてから、個別開発の範囲を決めます。

テスト・移行・リリースフェーズ

テスト、切り替え、期間の確認事項は、次の順に整理します。

  1. 訪問記録、担当交代、キャンセル、遅延、実績修正、通信断、複数サービス、請求前の差し戻しを再現する
  2. 実データに近いサンプルで、介護報酬の計算と帳票を旧システムと照合し、承認者を決める
  3. 記録から請求までデータがつながっているかを確認し、合格後に段階的にリリースする
  4. 1事業所または1サービスで並行稼働し、移行件数、請求額、未入力、修正履歴を確認してから広げる
  5. 期間の目安は、SaaSが2週間〜2か月、複数拠点が1〜3か月、個別開発が3〜6か月、スクラッチが6〜12か月以上

実際の期間は、データ移行と現場の稼働日程によって変わります。

訪問介護システムのコストを抑えるポイント

機能を一律に削るのは避け、導入効果に直結する業務へ予算を集中させます。中でも、請求の正確性と記録のしやすさを優先し、急な変更や指示・報告の証跡もあわせて押さえます。

利用実態がつかめていない機能は、検証したうえで後から追加します。

標準機能の活用と独自開発の限定

標準機能を優先する範囲は、業務ごとに分けて整理します。

  • 共通業務:利用者台帳、計画書、訪問予定、実施記録、請求
  • 独自業務:必要性を確認したうえで、独自帳票や本部管理などに限って開発する

紙の手順をそのまま画面にすると、初期費用と将来の法改正対応費が増えやすくなります。そのため、業務を見直せる部分と、法令や契約で決まっていて変えられない部分を分けて考えます。

現場の入力負担を見ないまま標準化を進めると、定着しにくくなります。スマートフォンに不慣れなヘルパーがいる場合は、入力項目を減らし、選択式や音声入力を試します。

操作研修も見積もりに含めておきます。そのうえで、無料デモやPoCを使い、標準機能と現場の使いやすさを確かめます。

小さな導入と段階的な拡張

導入する機能は、業務の優先順位に沿って段階を分けます。

  1. 訪問記録、実績確定、請求連動
  2. シフト、指示・報告
  3. 給与、会計、分析、ルート最適化

利用者と職員の反応を見ながら、予算を少しずつ振り分けます。複数拠点では、代表事業所で2〜4週間検証してから、改善を加えて横展開します。

補助制度は、年度や自治体によって条件が異なります。対象製品、申請時期、効果報告の条件も含めて、2026年度の要件を自治体の公募要領と併せて確認します(出典: 厚生労働省「介護テクノロジーの利用促進」、2026年8月確認)。

補助金を前提に製品を選ぶ前に、対象外になった場合の総額も比べておきます。

KPIによる効果測定と不要な追加費用の防止

機能が費用に見合うかを判断するために、導入前後の数値を測ります。

  • 記録:1件あたりの入力時間、未入力率
  • 請求:実績修正件数、請求エラー
  • 連絡・締め作業:月末の作業時間、電話・FAX確認件数

株式会社ロジックのCare-wingの事例では、利用者11名、常勤8名・パート3名の一事業所が、業務負担は以前の約1/10になったとコメントしています(出典: 株式会社ロジック「業務負担が以前の約1/10に」、2026年確認)。

ただし、これはベンダーが掲載した一事例で、自社でも同じ効果が出るとは限りません。そのため、導入前の入力時間や修正件数を測り、効果を確かめておきます。

事業所単位で比べれば、便利そうという印象に頼らず効果を判断できます。ルート自動作成を導入しても手修正が続く場合は、希望時間や移動条件の登録を先に検討します。

測定の担当者と期間も決めておきます。初週の数字だけで判断せず、1か月目、3か月目、6か月目にも確認します。

機能追加の要望は、発生頻度や困っている職種、回避策を記録します。さらに、追加費用と効果の見込みも書き出し、優先順位をつけてから発注します。

ポイント

迷ったら、標準機能で足りる業務は既成製品に任せ、独自開発は導入効果に直結する部分へ絞ります。機能を足すかどうかは、導入後の数値を見てから決めます。

訪問介護システムの見積もりを取る際のポイント

複数社には同じ前提条件を渡し、項目ごとの金額を比べます。見積書は、初期費用と月額、端末、移行を分けて書いてもらうと、抜け漏れを見つけやすくなります。

研修や連携、保守などの費用も、同じ形で示してもらいます。法改正対応や解約時の返却も、あわせて分けておきます。

要件と見積もり条件の整理

各社が同じ前提で見積もれるよう、依頼書の条件はそろえておきます。依頼書には、次の観点で条件を書きます。

  • 事業規模:事業所数、利用者数、職員数、月間訪問件数、サービス種別
  • 運用環境:端末台数、通信環境、既存ソフト、移行対象、導入希望時期
  • システム要件:帳票、外部連携、権限、ログ保存

業務シナリオとして、急なキャンセルや担当交代を添えます。実績修正や通信断も、あわせて添えておきます。

「訪問介護に対応」と書かれていても、すべての業務が含まれるとは限りません。計画書、指示・報告、加算関連記録は、含まれるかどうかを個別に確かめます。国保連伝送、利用者請求、賃金計算の扱いも、確かめておきます。

機能ごとに、標準機能かオプションか、個別開発か対象外かを示してもらいます。そうすると、契約後の追加請求を減らせます。

複数社の同じ条件での比較

比較対象ごとに、確認する内容をそろえます。

  • 介護ソフト・SaaS:記録、予定・シフト、請求、指示・報告、連携、移行、サポート、公開料金
  • 個別開発会社:介護業務の知識、既製品との連携、要件定義、受入テスト、法改正対応

価格に加えて、デモで比べたいのは、ヘルパーが1件の記録を終える時間、管理者が予定変更を反映する時間、請求前に差異を見つけられるかです。

導入事例は、規模や利用者数が自社と違うことがあります。職員の習熟度や以前の運用も、同じとは限りません。そのため、事例の効果を自社にそのまま当てはめるのは避け、同じシナリオで試します。

契約・保守・解約時のリスクの確認

契約条件と保守範囲は、費用や切り替えに響くため、項目ごとに確認します。

  • 利用料金:料金改定、最低利用期間、拠点・職員・端末の追加料金
  • 保守:障害対応時間、バックアップ、復旧目標、保守対象
  • 開発契約:納品物の帰属、再委託、脆弱性対応、改修費、追加要件の単価

スクラッチ開発では、ソースコードや設計書の扱いに加えて、介護報酬改定時の対応も契約に書いておきます。

解約時は、利用者情報や記録、請求履歴を含め、どの形式で返却されるかを確認します。CSVに画像や添付ファイルが入るかどうかに加えて、返却費用と保存期間も確かめておきます。

別製品へ移行しにくい契約は、月額が安くても、長期的には切り替え費用が高くなる可能性があります。

ポイント

見積もりは、同じ前提条件を複数社に渡して比べ、契約や解約時の条件まで含めて金額を見ます。前提がそろわないと、金額の差が条件の違いによるものか見分けにくくなります。

よくある質問

費用については、月額制と開発のどちらが安いか、補助金を使えるか、運用の負担をどう見るかといった質問が多く寄せられます。見積もり前に確認したい点へ、簡潔に答えます。

訪問介護システムは月額制と開発のどちらが安いですか?

1事業所で標準機能を使うなら、初期費用を抑えやすい月額制SaaSが候補になります。一方、独自ルールや複数法人の本部管理、複雑な連携が必要なら、個別開発も検討します。

個別カスタマイズやスクラッチ開発では、初期費用と保守費用が大きくなりやすいです。

訪問介護システムの導入に補助金は使えますか?

介護テクノロジーの導入・定着支援などで、補助制度が実施される場合があります。対象経費や製品、時期は年度ごとに異なり、自治体によって効果報告の条件も違います。

2026年度についても、厚生労働省の情報と自治体の公募要領を確認します。補助金が使えなかった場合の初年度と3年間の総額も出し、それを基に投資を判断します。

見積もりで特に確認すべき費用は何ですか?

費用は、項目と追加条件に分けて確認します。

  • 導入費:初期設定、移行、端末、通信、研修、外部連携
  • 運用費:法改正対応、サポート、バックアップ
  • 追加・解約費:利用者・職員増の従量課金、拠点追加、帳票、API、最低利用期間、データ返却

初年度と3年間の総額で比べると、判断しやすくなります。

スマートフォン対応だけなら安く導入できますか?

スマートフォンで記録するだけであれば、標準機能で対応できる製品もあります。また、月額数万円から始められる可能性もあります。

通信が途切れたときの保存や位置情報、ICタグまで求めると、機能の開発費や端末・通信・研修費が加わります。さらに、音声入力や訪問の開始・終了も求めると、機能がいっそう増えます。請求連動や端末管理まで含める場合は、その分だけ費用がかさみます。

実際の訪問先と職員で操作を試し、必要な範囲を決めます。

まとめ

予算検討の起点として、既成SaaSは初期0〜30万円・月額1〜5万円程度、複数拠点クラウドは初期30〜150万円・月額5〜20万円程度が目安です。

個別カスタマイズは初期100〜500万円、スクラッチ開発は初期300〜2,000万円以上が目安です。いずれも一定の条件を置いた幅で、確定した金額ではありません。条件には、事業所数や利用者数に加えて、端末、移行、連携、研修、保守が含まれます。

費用判断で押さえる要点

利用者管理や訪問予定は、既成製品を優先します。記録や請求も、標準化しやすい業務として同じ扱いにします。独自性の高い本部管理や外部連携に開発を絞ると、初期費用と将来の保守費を抑えやすくなります。

公開価格は一社の条件にすぎません。補助金や導入事例の効果も、自社にそのまま当てはめず、業務シナリオとKPIで確かめます。

次に行うこと

導入を判断するまでの作業は、次の順に進めます。

  1. 事業所数、利用者数、訪問件数、サービス種別、請求方法、端末、移行対象、連携先を整理する
  2. 標準機能で足りる範囲を確認し、同じ要件書で複数社へ相談する
  3. デモで訪問記録から請求まで試し、初期費用と1年後・3年後の総額を比べる
  4. 現場の定着支援、法改正対応、解約時のデータ返却を比較する

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。