IIJ GIOのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

IIJ GIOの発注は、現状整理、要件定義、契約範囲の明確化、提案比較の順に進めると、移行後の責任分界まで決められます。

発注形態、進め方、契約、費用、委託先の選び方は、どれも発注の判断に関わります。全体像はIIJ GIOのシステム開発の完全ガイドもご覧ください。

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IIJ GIOのシステムを発注・外注する前に知るべき全体像

発注者を中心に、IIJ GIOの基盤提供・構築、アプリ開発、稼働後の運用を配置した図解。
役割ごとに担当会社と責任者を整理できます。

IIJ GIOのシステムは、会計、販売管理、ERP、社内認証、Webサービスなどの業務アプリケーションを稼働させるための基盤です。ただし、アプリの画面や業務ロジックまでIIJ GIOが自動で作るわけではありません。そのため、基盤の契約先と、アプリ開発・移行・運用を担当する会社を分けて考えます。

IIJ GIOの位置づけ:業務システムを稼働させるクラウド基盤

まず、基盤の仕様と移行候補を押さえます。IIJ GIOは、業務システムを稼働させるクラウド基盤です。

  • 基盤方式:VMware vSphereを使うホステッド・プライベートクラウド型IaaS
  • 移行候補:Windowsサーバ、Linux、ERP、ファイルサーバ、Active Directory
  • 開始単位:最小1vCPU・4GBメモリ

オンプレミスの仮想マシンで使った設計思想を活かしやすい点も特徴です。IIJ公式も、既存環境から移行しやすい点を案内しています(出典: IIJ「IIJ GIOインフラストラクチャーP2 Gen.2」、2026年8月確認)。

発注時は、仮想サーバ、ブロックストレージ、バックアップ、レプリケーションを確認します。さらに、VPCルータ、プライベートルーティング、回線、運用・監視、移行支援も一構成として見ます。こうした項目に漏れがあると、別費用が発生したり、障害時の責任分界が曖昧になったりします。

発注先の役割分担:基盤・SI・アプリ・運用

発注先は役割ごとに分けて並べると、各社を同じ条件で比べられます。契約書や提案書では、各役割の担当者と責任者を明確にしておきます。

  • 基盤提供:IIJなどの基盤提供会社
  • 基盤構築:基盤を設計・構築するSIer
  • アプリ開発:業務アプリを開発する会社
  • 稼働後の運用:監視・運用会社

1社へまとめる方法もあります。既存の開発会社がIIJ GIOを扱えなくても、アプリ会社と基盤に強いSIerを組み合わせ、発注者が全体責任者として調整できます。

会社を選ぶ際は、「IIJ GIOに詳しいかどうか」だけで判断せず、担当工程と障害・遅延時の判断者も決めておきます。

ポイント

判断の目安は、基盤の契約先とアプリ・移行・運用の担当を分けて考えられるかどうかです。役割ごとの担当者と責任者を決めておくと、各社の比較ができます。

IIJ GIOのシステムに適した発注形態

発注形態は、基盤のみをIIJへ依頼する形、基盤・移行をSIerへまとめる形、アプリ会社と基盤会社を分ける形、運用まで一括委託する形が基本です。

既存環境をほぼそのまま移すか、業務改革を含めて再構築するかで、適した形が変わります。

基盤を直接契約し、開発会社を別にする形

IIJと基盤の契約を結び、アプリの開発・移行は別会社へ任せる形です。料金や仕様を直接確認しやすい一方で、担当範囲と設計責任者を決める必要があります。

  • 基盤契約:IIJのネットワーク、セキュリティ、移行支援を直接確認できます。
  • 作業範囲:仮想マシン払い出し、OS・ミドルウェア設定、疎通、監視、復元試験の担当を分けます。

アプリ会社との間には責任の境目が生じるため、システム全体の設計責任者を発注者側かSIer側に置きます。

SIerへ基盤・移行・連携をまとめて依頼する形

複数システムや部門間の調整を含む案件では、IIJ GIOに対応できるSIerへの一括依頼が現実的です。そのうえで、委託の構造と責任範囲を確認します。

  • 依頼範囲:拠点ネットワーク、認証、データ移行、切替計画
  • 調整窓口:業務部門とインフラ部門の調整をSIerへ集約
  • 責任確認:責任分界表と再委託先一覧を提出してもらう

公共系や基幹系では、東西DR、閉域接続、監査ログ、24時間の障害受付が必要な場合があります。

IIJ公式事例では、株式会社アイ・ユー・ケイが独立行政法人向けの基幹システム更改でP2 Gen.2を選定し、東西DR、ISMAP、ネットワークを含む構成を提案しています(出典: IIJ「株式会社アイ・ユー・ケイ様の導入事例」、2024年5月時点の事例)。

類似案件の責任者や設計資料も、提案力を判断する材料になります。

運用監視まで一括委託する形

社内にサーバの運用担当者が少ない場合は、運用監視を一括で委託できます。そのうえで、依頼内容とサービスの掲載情報を確認します。

  • 委託作業:監視、障害一次対応、パッチ適用、バックアップ確認、月次報告
  • 掲載サービス:NHN テコラスのマネージドサービス
  • 掲載サービス:ビヨンドのIIJ GIO構築・運用保守・監視サービス

掲載は品質や適合性を保証するものではないため、自社の業務時間帯、監視対象、一次切り分けの範囲を個別に確認します(出典: IIJ「パートナーソリューション」、2026年8月確認)。

見積もりでは、月額費と時間外料金に加えて、定例会の回数と変更単価を見ます。監視ツール費や運用設計書の範囲も、あわせて確認します。アプリ障害への対応や引継ぎの範囲によっても、費用は変わります。

ポイント

判断の目安は、既存環境をほぼそのまま移すか、業務改革を含めて再構築するかです。その違いで発注形態が変わるため、移行の範囲を先に決めます。

IIJ GIOのシステム発注・外注を進める手順

現行資産と発注目的の整理から、RFP、提案と見積もりの比較、PoCと移行リハーサルへ進む流れ図。
切替前の検証までを発注計画に含められます。

現行環境の棚卸しや移行方式の決定より前に見積もりを急ぐと、後から追加費用が生じがちです。

  1. 現状と発注目的を整理する
  2. RFPで同じ条件を各社へ伝える
  3. 提案と見積もりを比較する

現行資産と発注目的の棚卸し

現行資産の棚卸しでは、構成図には出にくい運用の実態も確認します。

  • インフラ構成:サーバ台数、CPU・メモリ、ストレージ、OS、ミドルウェア、データベース、IPアドレス
  • 業務と運用:バッチ、外部連携、手作業の補正、ExcelやFAX、障害時の復旧手順
  • 利用条件:利用者数、ピーク時間帯、保守期限、ソフトウェアライセンス

手作業や属人化した運用は構成図からは読み取りにくいため、担当者へのヒアリングも行います。

目的は、「クラウド化する」だけで済ませず、具体的に分けておきます。例えば、サーバ保守の負担を減らしたいのか、災害時の復旧時間を短くしたいのか、拠点間接続を安定させたいのか、古いOSを更新したいのかを区別します。目的が違えば、フレキシブルサーバ、専有サーバ、東西DR、他社クラウドとの連携など、必要な構成も変わります。

RFPの機能要件と非機能要件の分け方

RFPでは、業務機能と運用条件を分けて、数値や条件で示します。

  • 機能要件:対象業務、利用者、画面・帳票、外部連携、データ量、移行対象、希望納期
  • 性能・復旧条件:稼働時間、同時接続数、レスポンスタイム、RTO・RPO、バックアップ世代、ログ保存期間
  • 運用・契約条件:監視時間、障害連絡、パッチ時間、データ所在地、再委託条件、終了時の返却形式

RTO・RPOは、会社ごとに解釈がずれないよう定義を明記します。例えば、RTOは「障害から4時間以内に業務再開」、RPOは「最大30分前までのデータを復元」と書きます。

あわせて、対象となる障害、切替操作の担当者、訓練回数を記します。未決の事項は、前提条件と追加調査費を分けて、各社に提示してもらいます。

PoCと移行リハーサルによる切替リスクの確認

移行後の差異や切替リスクは、PoCとリハーサルで段階的に確かめます。

  1. 開発環境や非クリティカル業務でPoCを行い、性能、バックアップ復元、外部連携、印刷、認証、バッチ時刻の確認
  2. 想定ユーザー数での性能測定と、移行後の運用手順の確認
  3. 本番前のリハーサルで、移行所要時間、最終バックアップ、DNS・接続先変更、利用者周知、切戻しを確かめる

切替の条件は、処理時間が基準内であること、未移行データがゼロであること、復元テストが完了していることなどと定めます。条件を決めておけば、現場の勢いだけで本番移行に進むことを防げます。

ポイント

迷ったときは、移行方式を決める前に見積もりを依頼しないことが目安です。切替の条件は、PoCとリハーサルの結果をもとに定めます。

IIJ GIOの発注で選ぶ契約形態と責任分界

契約形態は、完成させる成果物を持つ開発部分と、専門家が継続して作業する移行・運用部分とを分けて検討します。

契約書の名前だけで決めず、何をもって完了とするか、仕様変更をどう扱うか、障害時にどこまで対応するかを作業単位で明確にします。

要件定義・移行支援は準委任が合う工程

準委任は専門家の知見や作業を受ける契約で、成果や作業量が変わりやすい工程に合います。そのうえで、役割と管理方法を定めます。

  • 対象工程:現行調査、移行方式検討、RFP作成支援、アセスメント、運用設計、PoC
  • 役割:発注者が決め、受託者が調査結果と選択肢を示す
  • 管理事項:稼働時間、担当者、会議体、提出物、未解決課題の管理方法

提出物には、構成図や検証結果を含めます。また、移行の成否を受託者だけに任せず、データの正確性や業務受入れの責任も発注者側に割り当てます。

構築・開発は請負の範囲と成果物の定義

完成形を決められる工程は、請負の形が合います。成果物と納入日、検収条件を定め、契約不適合への対応も決めておきます。例えば、IIJ GIO上で本番・検証環境を構築する場合は、対象VMなどを納品物に含めます。

  • 成果物:設計書、構築済み環境、移行済みデータ、テスト結果
  • 構成の記載:対象VM、OS設定、ネットワーク経路、バックアップ世代
  • 検収条件:監視項目、性能基準、復元試験結果、納入日、契約不適合への対応

請負の範囲が広すぎると、アプリ仕様の追加や移行データの不備が、すべて受託者のリスクになります。その結果、見積もりが高くなるか、契約後の変更費用が増えます。

逆に、要件が固まらないまま安い請負金額だけで契約すると、必要な作業が除外されている可能性があります。そこで、要件定義を先に進め、構築以降を段階的に請負へ移す方法が安全です。

運用保守のSLAとサービス時間の契約化

運用保守契約では、監視条件や対応範囲をレイヤーごとに定めます。あわせて、サービス時間と復旧目標も明記します。

  • 監視・連絡:対象、間隔、一次対応時間、障害連絡、エスカレーション
  • 継続作業:復旧目標、月次報告、変更作業、脆弱性対応、バックアップ確認
  • 責任範囲:アプリ、OS、仮想基盤、回線断を同じSLAで扱えるとは限らない

IIJ GIO P2 Gen.2のSLAは、明示的に対象とされたサービス品質を保証する制度です。IIJ公式も、サーバやストレージの仕様、通信経路などが明示的な対象でない限り、品質保証には含まれないと説明しています(出典: IIJ「サービス品質保証制度(SLA)」、2026年8月確認)。

OS、ミドルウェア、アプリケーション、回線、運用担当者の作業を含めた全体の復旧は、別の契約や運用設計で補います。

ポイント

判断の目安は、契約書の名前より、完了の条件と仕様変更の扱い、障害時の対応範囲が作業単位で決まっているかどうかです。工程ごとに契約形態を分けて比べます。

IIJ GIOのシステム発注・外注にかかる費用相場

IIJ GIOのシステム費用は、基盤の月額利用料と、開発や移行にかかる費用を合わせて決まります。総額を見るときは、現状調査・要件定義、設計・構築、データ移行、テストの費用を含めます。そのほか、回線、OSライセンス、バックアップ、監視、運用保守、教育も合算します。

ここに挙げる数字は、2026年8月時点の公式料金と、業務システムの一般的な規模感を組み合わせた概算です。IIJ GIO固有の固定価格ではないため、正式な予算化には個別見積もりが必要です。

公式の基盤利用料と構成例

公式料金は、リソース単位や容量、OSごとに示されています。

  • サーバ:1vCPU・4GBメモリ単位で月額5,000円
  • ストレージ:10GBあたりスタンダード400円、ベーシック200円
  • バックアップ:1VMあたり月額3,600円
  • OSライセンス:Windows OSライセンスは1vCPUあたり月額5,300円、RHELは2,000円

実際の料金は、利用量、リージョン、契約期間によって変わります。ネットワークや監視の内容によっても変わります(出典: IIJ「IIJ GIOインフラストラクチャーP2 Gen.2 料金一覧」、2026年8月確認)。

公式の公開Web構成例は、仮想マシン4台で月額183,800円です。一方、社内業務システムの専有構成例は、ESXiサーバ3台とストレージ3TBで月額1,495,250円です。

どちらも税抜の基盤料金で、アプリ開発とデータ移行は含みません。回線や運用代行、利用者サポートも含みません。そのため、見積書では基盤料金と外部の作業費の違いを明記してもらい、月額だけで比べる誤りを防ぎます。

初期の発注・移行費の幅(100万円から数千万円以上)

初期費用と月額費用は、VM数や運用範囲によって変わります。規模ごとの概算を挙げます。

  • 小規模・1〜4VM:基本バックアップと簡易監視を含む場合、初期100万〜300万円程度、基盤と関連サービスの月額10万〜25万円程度
  • 中規模・5〜15VM:認証、業務DB、閉域接続、データ移行、総合テスト、監視を含む場合、初期300万〜1,000万円程度、月額25万〜100万円程度
  • 基幹系:ERP、東西DR、専有リソース、複数環境、24時間運用を含むと初期1,000万〜5,000万円超、月額100万〜300万円超の場合がある

公開Webの公式構成例は月額18万3,800円ですが、移行元の整理、テスト、切替支援は別途費用になります。上記の各額は、一般的な相場と公式料金例からの推定で、IIJの定価ではありません。

ランニングコストの決まり方:運用範囲とDR

ランニングコストは、利用する基盤要素と運用範囲、DR構成を合わせて見積もります。

  • 基盤・運用:サーバ、ストレージ、OS、バックアップ、遠隔レプリケーション、回線、FW、監視、障害対応、報告、定期作業
  • 東西DR:待機リソース、遠隔レプリケーション、切替訓練、データ整合性確認が加わる
  • 費用比較:初年度、2年目以降、障害・大規模変更がある年を分ける

東西DRは、通常時の小規模構成より費用が高くなります。運用保守費を初期開発費の年15〜20%とする目安もありますが、IaaSへそのまま当てはめることはできません。

基盤利用料と監視、回線のほか、ライセンスとアプリ保守も別建てです。そのため、総保有コストは年ごとの区分に分けて見積もります。

ポイント

判断の目安は、基盤の月額利用料だけで比べず、初期費用とランニングコストを分けて総額で見ることです。公式料金は構成例として確認し、正式な予算には個別見積もりを取ります。

IIJ GIOのシステム委託先を選ぶポイント

IIJ GIOの委託先選定で確認する、移行実績・担当者、セキュリティと再委託、データ返却、出口戦略の3項目。
契約前に確認する観点を3つに分けて見渡せます。

委託先は、知名度や単価だけでなく、IIJ GIO上で自社と似た業務システムを移行・運用した経験を確認します。

クラウドの構築実績があっても、ERPのデータ移行や複雑なバッチに強いとは限りません。拠点間ネットワークや現場の切替支援の経験も、別に確かめる必要があります。

同種の移行実績と担当者の確認

確認するのは、「IIJ GIOを使ったかどうか」だけでなく、案件規模や移行条件、担当範囲です。可能であれば、各工程の責任者とも面談します。

  • 案件条件:業種、VM数、データ量、移行方式、停止可能時間、DR、利用者数
  • 担当範囲:切替後の運用期間と、各社が担った作業
  • 担当者:営業だけでなく要件定義、構築、移行、運用の責任者

責任者には、過去の課題と対策を具体的に説明してもらいます。実績を確かめられない場合は、有償PoCやアセスメントを経て本契約へ進む方法もあります。

古いOSや独自ミドルウェアのほか、ライセンス制限や複雑な連携がある場合は、未知のリスクを洗い出し、見積もりに反映しようとする姿勢も評価します。

セキュリティ・再委託・データ返却の確認

個人情報や機密情報を扱う場合は、安全管理措置と委託先の管理方法を確認します。

  • 安全管理:選定基準、アクセス権限、ログ、暗号化、脆弱性対応、インシデント報告
  • 運用管理:従業員教育、データ保管場所、取扱状況の把握
  • 再委託:会社名、業務、データ範囲、所在国、事前報告・承認の要否

個人情報保護委員会の2026年版ガイドラインは、安全管理措置の事前確認、委託契約への記載、定期監査などでの評価を示しています(出典: 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」、2026年確認)。

IIJとSIerに加えて、監視会社とアプリ会社のそれぞれについて、データへのアクセス範囲を図にして確認します。契約終了時には、仮想ディスクやバックアップの扱いに加えて、ログや構成情報の返却・削除の方法も決めておきます。

VMware・Broadcomの動向と出口戦略

VMware資産との互換性に加えて、将来のライセンス方針や移行先も確認します。IIJは2026年3月30日に、タイプVを発表しました。

  • 製品選択:VMware Cloud Foundationを使う専有型サービス
  • 提供開始:「IIJ GIOプライベートクラウドプラットフォーム タイプV」は同年4月
  • 個別支援:既存環境の評価、移行、設計支援。価格は個別見積もり

互換性だけで発注先を決めると、将来のライセンスや製品方針の影響を受けるおそれがあります。一方で、新サービスがあっても、すぐに移行すべきとは限りません。

P2 Gen.2の性能と運用、将来の拡張構成、他社クラウドやオンプレミスへ戻す場合のデータと設定の持ち出し方も確認します。

出口戦略を説明できる委託先は、長期的なリスクも見ている可能性があります(出典: IIJ「IIJ GIOプライベートクラウドプラットフォーム タイプV」、2026年3月30日)。

IIJ GIOのシステム見積もりを比較するポイント

相見積もりでは、合計額の安い順に並べる前に、同じ前提条件で比べられる状態を作ります。

見積書で基盤利用料と受託作業費が混ざっている場合は、月額と初期を分けて、スポットやオプション、除外事項も含めて再提出してもらいます。

VM数・データ量・運用条件をそろえる

比較表では、システム規模と稼働条件を各社でそろえます。同じ10台でも、構成条件が異なれば費用は変わります。

  • 基盤条件:VM数・サイズ、ストレージ、OS、バックアップ世代、DR、リージョン
  • 運用条件:回線帯域、監視時間、利用者数、移行量、停止可能時間
  • 費用差の要因:DB負荷、Windowsライセンス、開発・検証・本番の分離

見積もりは工程別に示してもらい、要件定義から総合テストまでを、基本・詳細設計と構築も含めて分けて書いてもらいます。移行、切替、教育、運用引継ぎも、それぞれ別に書いてもらいます。

一式表記の場合は、人数と期間、担当ロールを確認します。作業前提も含めて、発注者側の作業と重複していないかを見ます。

安い見積もりの除外項目

安い見積もりでは、作業の除外項目を確認します。含まれていない作業があれば、追加費用や発注後の負担に響きます。

  • 調査・移行:現行調査、データ整備、移行リハーサル、障害時の切戻し
  • テスト・運用:性能試験、利用者教育、監視設計、運用マニュアル
  • 方式の比較:リホストとリファクタリングの費用・効果も比べる

リホストは初期費用を抑えやすい一方で、古いOSや不要なミドルウェア、手作業の問題も引き継ぎます。リファクタリングは将来の拡張性が高い反面、期間と費用が増えます。

除外項目を確かめないまま契約すると、変更費用が生じ、予算を超える原因になります。

契約前の質問と回答の記録

最終候補には、障害対応や契約終了などの条件を質問し、回答を文書に反映します。

  • 障害対応:一次切り分け、IIJ窓口、アプリ会社への連絡、再委託の有無
  • 契約・変更:担当者変更、納期遅延、仕様変更、検収、解約の条件
  • 終了時:データ返却の方法

口頭の回答は、提案書や責任分界表、契約書へ記録し、前提条件一覧にも残します。「24時間365日対応」は、監視と電話受付、復旧作業を区別して確認します。「高可用性」も、基盤の稼働率なのか、アプリの業務再開なのかを確かめます。

測定方法と達成条件を数値で定めておけば、外注後のトラブルを防げます。

IIJ GIOのシステム発注・外注でよくある質問

発注時によく問われるのは、基盤契約とアプリ開発を同じ会社に頼むかどうか、月額はいくらか、既存システムを移行できるかの3点です。

既存のVMware環境をIIJ GIOへ移行できますか?

移行できる可能性はありますが、OSやミドルウェア、アプリ、ライセンスを確認する必要があります。データ量、ネットワーク、停止可能時間も、あわせて確認します。

P2 Gen.2はVMware vSphere基盤で、既存の設計思想を活かしやすいサービスです。ただし、古いOSやサポート切れの製品を自動で解決するものではありません。そのため、事前評価と移行リハーサルを行うのが安全です。

IIJ GIOのシステムを外注すると総額はいくらですか?

1〜4VMの小規模移行は、初期100万〜300万円程度が目安です。認証、移行、テスト、監視を含む5〜15VMの中規模案件は、初期300万〜1,000万円程度です。

基幹系では、ERPや東西DR、専有リソース、複数環境、24時間運用を含むと、初期1,000万〜5,000万円超の場合があります。公式構成例の基盤月額は18万3,800円や149万5,250円です。総額は、要件と外注範囲によって変わります。

IIJへ直接頼むべきですか、それともSIerへ頼むべきですか?

基盤や回線、セキュリティ、IIJのサービス仕様を直接確認したい場合は、IIJへの相談が向いています。

業務アプリや複数ベンダーの調整、データ移行、現場調整、運用引継ぎまで一括で管理したい場合は、IIJ GIOに対応するSIerを窓口にする方法が適しています。

どちらを選ぶ場合でも、担当範囲や再委託先、障害時の責任、見積もりの除外項目を、同じRFPで比べる必要があります。

まとめ

IIJ GIOのシステムを発注・外注するときは、クラウド基盤の契約だけでなく、業務アプリ、ネットワーク、移行、監視、運用保守を含む全体像を整理します。

まず現行資産と目的を洗い出します。次に、RTO・RPOや性能などの非機能要件を、RFPに記載します。バックアップ、ログ、再委託、データ返却も、同じRFPに記載します。

基盤料金と外注費を分けた総額での判断

P2 Gen.2の公式構成例は、公開Webシステム4VMで月額183,800円、社内業務システムの専有構成で月額1,495,250円です。どちらも基盤利用料の目安です。

初期費用には、移行や設計、データ整備、テスト、教育を含めます。運用やDR、回線、OSライセンスも初期費用に含め、1年目以降のランニングコストとは分けて比べます。

次の一歩:責任分界表付きのRFP作成

委託先のIIJ GIO経験に加え、同種システムの移行実績、担当者、24時間運用、再委託管理を確認します。そのほか、障害連絡の経路や契約終了時の出口戦略も確かめます。

安い見積もりを選ぶ前に、除外項目と発注者側の作業を把握しておきます。PoCや移行リハーサルを含めた計画を立てると、安定した発注につながります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。