IISのシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について

IISのシステム開発費は、20万円から1億円以上まで幅があります。金額を左右するのは、どこまでを設定するか、どの業務機能を作るか、他システムとの連携や移行、可用性をどこまで求めるかです。

全体像は、IISのシステム開発の完全ガイドにまとめています。

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・IISのシステム開発の完全ガイド

IISのシステムの概要

IIS、ASP.NET・ASP.NET Core、SQL Serverを上下3層に配置した構成図
Webサーバー、アプリ、データベースを分けると見積もり範囲も整理できます。

IISは、Microsoftが提供するWindows向けのWebサーバーです。ASP.NETやASP.NET Coreで作られたアプリを動かすのが役割で、業務アプリそのものは含みません。

業務システムは、SQL Serverなどのデータベースと組み合わせて構成します。見積もりでは、IIS設定費と業務システム開発費を分けて考えます。

IIS・ASP.NET・SQL Serverの役割分担

構成要素ごとに役割が異なるため、見積もりでも担当範囲を分けて確認します。

  • IIS:ブラウザーからのリクエストを受け取り、アプリに渡して結果を返します。
  • ASP.NET・ASP.NET Core:画面、入力チェック、承認、計算、API連携を担います。
  • SQL Server:顧客、商品、受注、在庫、申請履歴などを保存します。

本番運用では、Windows Serverや認証基盤、バックアップが必要です。監視、ネットワーク、証明書も欠かせません。

Microsoft Learnの手順では、Windows ServerのIIS役割、.NET Hosting Bundle、IISサイト、アプリ配置が前提です。Hosting Bundleには.NETランタイムとASP.NET Core Moduleが含まれます(出典:Microsoft Learn「IISにASP.NET Coreアプリを発行する」2026年2月更新)。

設定だけの依頼では、画面開発やデータベース連携が別料金になることがあります。依頼範囲を先に明示して、費用の行き違いを防ぎます。

IISが向いている企業の例

社内のWindows環境や既存の.NET資産を活かせる業務では、IISが選択肢になります。

  • 社内利用:社内LANやVPNから使う業務システム。
  • 認証連携:Windows認証やActive Directoryと連携するポータル。
  • ブラウザー統合:製造業の生産管理や販売・受発注、在庫、顧客、申請、予約、帳票出力などをブラウザーで扱う業務。

Windows Serverを社内で運用している企業では、既存の運用担当者や認証基盤を活かせる点も利点になります。

安全性と費用は、IISを選ぶかどうかだけでは決まりません。インターネットに公開する場合は、HTTPSや証明書、TLSの設定が必要です。WAF、脆弱性対策、監視、バックアップも欠かせません。

個人情報を扱う場合は、さらに権限、操作ログ、保存期間、復旧手順を決めておきます。

費用を抑える出発点は、IISをサーバー候補として評価し、業務と非機能の要件に合うかを確かめることです。

IISのシステム開発の進め方

開発では、IIS設定に加えて、業務整理、アプリとインフラの設計、移行、運用準備まで進めます。順序を先に決めておくと、見積もりの条件と、どこまでを誰が受け持つかが明確になります。

サーバーを先に用意してしまうと、認証方式や帳票、データ移行の条件が後から加わり、予算が膨らみやすくなります。

現行環境と業務の洗い出し

まず、発注側と開発会社で、環境の構成、業務の流れ、既存資産の状態をまとめて確認します。

  • 環境:IIS、Windows Server、.NET、SQL Serverの版・エディション、サイト数、アプリプール、証明書、公開ポート。
  • 運用資産:外部連携、定期ジョブ、ログ、バックアップ。更改時は、ソースや開発環境のほか、接続文字列とファイルパスの固定も対象になります。
  • 業務:担当者、処理時期、データ、承認経路、画面・帳票、権限、マスタ管理者、連携先、繁忙期の同時利用者数。

古いASP.NET Frameworkや32bit依存が残っていると、サーバーを更新するだけでは動かないことがあります。そのため、PoCの費用は早めに見込んでおきます。

要件定義と方式設計

業務要件と非機能要件を決めたうえで、候補となる方式の制約と運用負担を照らし合わせます。

  • 業務要件:画面、項目、検索、登録、承認、帳票、通知、CSV入出力。
  • 非機能要件:接続数、応答・稼働時間、停止許容時間、RTO・RPO、ログ保持、バックアップ頻度、監査、個人情報。
  • 方式候補:既存IIS継続、Windows Server更新、Azure VM移行、Azure App Serviceへのモダナイズ。
  • 制約比較:リホストは期間を短くしやすい反面、古い依存を引き継ぎます。App ServiceはOS管理を減らせますが、ファイル共有などの確認が必要です。

「IIS対応」と書いて見積もると、追加要望によって金額と納期が変わることがあります。そのため、初期費用に加えて、App Serviceの制約と5年間の運用負担も比べます。

環境構築・テスト・移行

環境構築からテスト、移行までを順に進め、本番切替の条件を決めておきます。

  • 環境:開発・検証・本番に分けて、IISの設定を行う。
  • 動作環境:ASP.NET Coreの稼働に必要なコンポーネントと設定の確認。
  • 確認範囲:画面単位の機能テストに加えて、周辺条件も含めた確認。
  • データ移行:移行データの件数、コード変換、重複、欠損、履歴、移行後の照合を計画します。

IISの設定の対象は、サイト、バインディング、アプリプール、HTTPS、フォルダACL、ログです。また、移行では、リハーサルで停止時間とリスクを確かめます。

テストでは、Windows認証と権限別の表示、帳票を確かめます。さらに、ファイルアップロード、外部API、同時アクセスも対象です。

障害時の復旧やバックアップからのリストアも確かめます。証明書の更新とパッチ適用後の動作も対象です。具体的には、Hosting BundleとASP.NET Core Module、web.configに加えて、Data Protectionキーの永続化を確認します。

構築手順を文書にまとめ、WebDeployやCI/CDで再現できるようにしておくと、初回の構築だけでなく保守費も抑えやすくなります。

IISのシステム開発の費用相場

IISの構築・HTTPS化から複数拠点・高可用性まで、4段階の費用帯を示す図
対象範囲の広がりに合わせて、費用の目安も段階的に変わります。

IIS専用の公定価格表はありません。この記事の金額は、一般的な業務システムの相場に、IIS、ASP.NET、SQL Server、認証、移行、監視などを加味した2025〜2026年向けの目安です。

金額は、既存資産の品質や利用者数によって変わります。停止許容時間、ライセンス、データの複雑さも影響します。予算計画の初期レンジとして使ってください。

IISの構築・HTTPS化だけの費用

既存の基盤がどこまで整っているかを見て、設定作業だけの費用と期間を見積もります。

  • 作業範囲:IIS追加、サイト、バインディング、証明書、基本ログ、アプリ配置、動作確認。
  • 費用・期間:既存サーバーなどが用意済みなら20万〜80万円、1〜4週間程度。

FW、DNS、証明書の購入、脆弱性診断、バックアップ、監視は、別途見積もりの対象です。冗長化、夜間リリース、Windows ServerやSQL Serverの新規購入も、別枠で扱います。

見積もりは、IIS初期構築、HTTPS、ネットワーク、運用設計のように分けてもらうと、会社ごとの違いが見えます。

小規模な社内Web業務システムの費用

小規模な社内システムでは、機能範囲と追加要望が費用・期間を左右します。

  • 費用・期間:300万〜800万円、2〜5か月程度。
  • 機能例:ログイン、権限、マスタ、登録・検索・更新、帳票数本、SQL Server、テスト、IIS配置。
  • 工数増:入力規則、承認、履歴、CSV、帳票の細かな要望。

パッケージやSaaSを導入し、既存のIISとAPIやCSVで連携する方式は、全面スクラッチに比べて初期費用を抑えられる場合があります。

標準機能に合わない部分を過剰にカスタマイズすると、導入費も将来の更新費も増えます。そのため、標準機能に合わせる範囲と、独自開発する範囲を線引きします。

中規模の受発注・在庫・顧客管理の費用

中規模の案件では、複数の業務領域を統合することに加えて、移行や受け入れまでを含めて計画します。

  • 費用・期間:800万〜2,000万円、4〜10か月程度。
  • 対象例:複数業務、細かな権限、承認ワークフロー、外部API・CSV連携、帳票、移行、操作ログ、監視、利用者教育。
  • 工程管理:要件定義、設計、実装、テスト、移行、教育ごとに成果物と受け入れ条件を定めます。

株式会社ビジネスブレーンの事例では、IIS、.NET Framework、SQL Server、ASP.NET(C#)を使い、生産管理システムを構築しています。

電気計器メーカーの4事業部6拠点をVPN接続し、ERPの販売・購買・財務と生産管理を統合した110人月の事例です(出典:株式会社ビジネスブレーン「電気計器製造メーカー向け生産管理システム」)。

IIS案件は、サーバー設定から複数拠点の業務統合まで広がります。

複数拠点・基幹連携・高可用性の費用

大規模な案件では、業務の再設計と既存システムの切り替え範囲が、費用と期間に影響します。

  • 対象範囲:ERP・EDI、複数拠点、冗長化、負荷試験、段階移行、24時間運用、BCP、厳格な監査。
  • 規模の目安:2,000万〜1億円以上、8〜24か月程度。要件定義前に調査や移行PoCを行う場合もあります。

1億円以上の規模になるのは、IISの価格よりも、業務を再設計し、多数の利用者と既存システムを安全に切り替える費用が大きいためです。

見積もりは、業務アプリ、基盤、DBに分けてもらいます。ネットワーク、連携、移行も同じ区切りで示してもらうと、会社ごとの違いを比べられます。

テスト、教育、保守も別に見ます。クラウドでは、開発費と月額の基盤費を分けて示します。

内訳が分かると、機能を絞って初期費用を下げるか、可用性を高めるために基盤費をかけるかを判断しやすくなります。

ポイント

IISの費用は、設定だけか、業務機能まで含むか、連携や可用性まで求めるかで、相場の帯が大きく変わります。判断に迷うときは、まず依頼範囲をどこまで広げるかを決めると整理しやすくなります。

見積もりで確認する費用の内訳

見積もりが「システム開発一式」とまとめられていると、会社間の比較が難しくなり、追加費用が後から出てくることもあります。IISでは、アプリ開発とサーバー設定が別の担当になることもあるため、工程と成果物を分けて記載してもらいます。

金額の安さだけで選ばず、見積もりに抜けた作業がないかを見ます。

要件定義・設計・実装・テストの人件費

人件費は、工程と役割ごとに分けて確かめます。ただし、次に示す比率は、画面数や連携数で比べるための目安で、固定の料金ではありません。

  • 工程:要件定義、設計、実装、単体・結合テスト、受け入れ支援、移行、教育。
  • 配分目安:要件定義は初期費の10〜15%、基本設計は15〜20%。残りは実装、テスト、移行、教育など。
  • 担当:PM、業務担当SE、IIS・Windows基盤担当、DB担当、プログラマー、テスター。

IIS設定の経験があっても、業務フローやデータ移行まで進められるとは限りません。そのため、各役割と利用者側の作業を明記してもらいます。

サーバー・ライセンス・ネットワークの費用

基盤費の内訳は、オンプレミスとクラウドで異なります。ライセンスやサービス料金は、作業費と分けて見ておきます。

  • オンプレミス:Windows・SQL Server、サーバー・仮想基盤、ストレージ、バックアップ、FW、負荷分散、証明書、工事、監視。
  • ライセンス:契約、ユーザー数、コア数で変わります。製品名、版、数量、期間、更新費も確認します。
  • クラウド:VM、App Service、DB、ストレージ、バックアップ、ログ、監視、通信、WAF。月額または従量課金。
  • 料金例:Windows App Service Basic B1は月54.75米ドル。
  • 月額目安:構成に応じて変動します。

本記事での月額の目安は、1万〜数万円台からです。ただし、App Serviceの料金例は実行基盤のみで、DB、通信、監視、冗長化は含まれていません(出典:Microsoft Azure「App Serviceの料金」2026年8月確認)。

保守・監視・更新のランニングコスト

保守費は、対応範囲と体制によって変わります。そのため、初期費用だけでなく、継続費用も契約前に確かめておくことが欠かせません。

  • 作業:問い合わせ・障害、IIS・.NET更新、パッチ、証明書、バックアップ、ログ、脆弱性、軽微改修。
  • 費用例:年額は初期費の15〜20%が目安。開発費3,000万円なら年450万〜600万円、月約37万〜50万円。
  • 契約条件:平日・夜間休日、監視・オンサイト、一次応答・復旧目標、月の改修時間、対象外作業、証明書・ライセンス更新担当。

監視やパッチが対象外の契約では、障害時の対応が別料金になることがあります。3〜5年間の総保有コストで比べると、判断しやすくなります。

ポイント

見積もりは、工程と成果物ごとに分かれているかで比べます。金額より先に、抜けている作業と担当範囲を確かめると、判断がぶれにくくなります。

IISのシステム開発費用を左右する変動要因

画面・帳票・権限、外部連携とデータ移行、セキュリティ・可用性・運用体制の3項目を並べた図
見積もり条件をこの三方向から整理すると、費用差の背景を比べやすくなります。

同じIISを使う案件でも、費用は一律ではありません。画面・帳票、既存データや外部連携、セキュリティ、可用性が金額に影響します。

見積もりでは、これらの条件をできる範囲で数字に置き換えて伝えます。

画面・帳票・権限の数

画面や帳票が複雑になるほど、設計とテストの作業量は増えます。規模を見積もる材料は、次の項目で整理します。

  • 権限:一般利用者、管理者、拠点責任者、監査担当ごとの表示・操作。
  • 帳票:一覧出力か、明細・集計・PDF・Excel・印刷レイアウトを持つか。
  • 業務量:画面一覧、帳票一覧、権限ロール、承認段階。

利用者数と同時接続数も、設計に関わります。たとえば、数十人が日中に使う場合と、繁忙時に複数拠点が受発注で使う場合では、性能検証やキャッシュ、DB設計、サーバー構成が変わります。

発注側は、将来の人数を過大に見積もらず、ピーク時の人数と処理件数を現実的に伝えます。

外部連携とデータ移行の条件

連携先と移行データの条件によって、工数は変わります。そのため、仕様、認証、データ品質を事前に確かめておく必要があります。

  • 連携先:会計、ERP、販売管理、EDI、勤怠、メール、DB、ファイルサーバー。
  • 連携仕様:API公開状況、CSV形式の安定性、専用端末やVPNの有無。
  • 移行データ:テーブル・件数、保存年数、コード変更、重複・欠損、添付ファイル。

連携ごとに、仕様の確認と認証、エラー処理が必要です。加えて、再送、ログ、テストも連携ごとに求められます。見積もりでは、連携の本数に加えて、項目数と処理頻度も含めます。

移行後の照合も、あらかじめ計画しておきます。データが汚れていると、移行作業よりも、マスタの整備や業務ルールの合意に時間がかかります。移行を開発会社に任せる場合でも、現場側がデータの意味と正しい状態を確かめられる体制が必要です。

セキュリティ・可用性・運用体制の条件

必要な対策は、公開範囲と停止の許容度によって変わります。たとえば、社内限定のWindows認証と顧客向けの公開では、要件が異なります。

  • 公開対策:HTTPS、TLS、WAF、脆弱性診断、MFA、レート制限。
  • 運用対策:監査ログ、侵入時の対応手順。
  • 可用性:冗長化、ロードバランサー、監視、バックアップサイト、切替訓練。

IPAのTLS暗号設定ガイドラインは、安全性と相互接続性に応じた設定を示しています。証明書だけでなく暗号設定も見積もりに含めます(出典:IPA「TLS暗号設定ガイドライン」2025年4月25日版)。

停止を許容できない業務では、冗長化、バックアップサイト、切替訓練が必要になります。

Windows Server 2025のメインストリームサポートは2029年11月13日まで、延長サポートは2034年11月14日までです(出典:Microsoft Learn「Windows Server 2025 – Microsoft Lifecycle」)。サポート期間を踏まえて基盤を選ぶと、更新費用とセキュリティリスクを抑えやすくなります。

ポイント

費用の差は、画面と帳票の数、既存データや外部連携、セキュリティと可用性の条件から生まれます。自社でどの条件が大きいかを先に決めると、見積もりの差を説明しやすくなります。

IISのシステム開発でコストを最適化するポイント

コストを抑えるには、安い会社へ発注するだけでなく、不要な機能や手戻りを減らし、運用の固定費を見直すことが要ります。

IISを残すか、クラウドへ移すかは、初期費と月額費に加えて、担当者の作業時間や障害リスクも考えて決めます。

最初のリリース範囲の絞り込み

初回リリースは、業務効果を基準に範囲を選びます。そのうえで、後の拡張に必要な土台を先に設計しておきます。

  • 対象選び:高頻度で手作業・転記ミスが多い業務。受注登録・在庫引当を先行し、分析帳票や他拠点は次段階へ。
  • MVP(Minimum Viable Product):画面、連携、移行、テスト範囲を定め、費用を抑えて現場評価を得る。
  • 拡張設計:認証、権限、データモデル、ログ、API、バックアップの境界を決め、次段階の作り直しを防ぐ。

削ってよいのは、利用開始に必須ではない機能です。一方で、セキュリティやデータ整合性を削ると、後の障害対応費用が高くなります。

標準機能・既存資産・クラウドの使い分け

標準化、既存資産の継続、クラウド移行のどれを選ぶかは、工数と制約の両面から判断します。

  • 標準化:認証、ログ、デプロイ、監視、バックアップで設計・検証工数を減らす。
  • 既存資産:ASP.NETやSQL Serverを活かし、価値の高い画面・連携へ配分。古い環境はサポート、脆弱性、属人化、維持費も評価。
  • App Service:パッチや一部OS管理を減らせる可能性。Microsoftは、オンプレミスIISのASP.NETを評価・移行する手順を案内しています。
  • 移行比較:常駐プロセスや共有ファイルに制約があれば改修費が必要。3方式を5年間の基盤費・運用工数で比較。

運用手順と引き継ぎの準備

本番後の調査に時間がかかると、障害対応の費用が膨らみます。そのため、保守の引き継ぎに備えて、運用情報と担当範囲を残しておきます。

  • 運用手順:サイト、アプリプール、証明書、接続先、ログ、再起動、バックアップ、復旧、パッチ、リリース、ロールバック。
  • 納品物:ソース、IIS設定、DB定義、テスト仕様、デプロイ・障害対応手順。
  • 保守体制:委託時は一次受付、何時間以内の返答か、月額範囲。自社対応時は担当連絡先とエスカレーション条件。

引き継げる状態になっていれば、相見積もりを取りやすく、特定の開発会社への依存も抑えられます。

ポイント

コストを抑えるときは、初回に作る範囲と、古い環境や運用の固定費を分けて考えます。機能を削るかどうかは、利用開始に必須かどうかを基準にすると、後の手戻りを減らせます。

IISのシステム開発で見積もりを取る際のポイント

見積もりの精度は、発注側が渡す情報に左右されます。仕様書がなくても、現行環境と課題、利用者、データを整理できます。希望時期や予算上限、セキュリティ条件も伝えると、見積もりの前提が揃います。

開発会社からの質問が具体的かどうかも、要件を理解しているかを見極める材料になります。

見積もり依頼書に書く現行環境と範囲

依頼書には、現行環境と業務の規模を記します。新規開発と移行では、添付する資料も異なります。

  • 環境・規模:IIS、Windows Server、.NET、SQL Serverの版、サイト・利用者・拠点数。
  • 機能・条件:画面・帳票数、連携、データ件数、認証、公開範囲、稼働時間。
  • 資料:新規は業務フローやExcel帳票、移行はソース、DB定義、障害履歴、保守契約、サポート期限。

「IIS対応」と書くと、インストールのみを想定する会社と、要件定義から保守までを想定する会社とで、前提がずれます。

工程は、現状調査、要件定義、アプリ開発、IIS構築に分けてもらいます。移行、テスト、教育、保守も同じ区切りで示してもらいます。そのうえで、含む範囲と除外範囲を確認します。

複数社の同じ条件での比較

開発会社の実績は、技術名だけで判断せず、自社の案件と照らし合わせて確かめます。また、工程と担当者、成果物を比べます。日程や保守条件も、同じ条件で並べます。

  • 技術:IIS、ASP.NET・ASP.NET Core、SQL Server、Windows認証。
  • 工程:データ移行、Azure移行、脆弱性対策の実績と担当範囲。
  • 案件適合:業務領域、規模、保守か新規か、納品物、障害対応体制。

公開事例に技術名が載っていても、現行版やWindows認証、データ移行まで対応できるとは限りません。そのため、問い合わせて確かめます。

契約で決める追加費用と引き継ぎ条件

追加費用が発生する条件は契約前に確かめておき、契約が終わったあとも運用を続けられる条件を明確にします。

  • 追加費用:画面・帳票追加、連携変更、データ品質、利用者増、サーバー変更、要件凍結後の変更、受入テスト再実施。
  • 変更管理:手順、影響範囲、承認者、追加見積もり単価。
  • 納品物:ソース、設計書、DB・IIS・アプリプール設定、証明書更新、バックアップ・復旧、テスト、操作・障害対応手順。
  • 権利・移管:ソース権利、第三者ライブラリ、管理者アカウント、契約後の保守移管。

初期費用が少し増えても、再委託や障害対応の選択肢を残せます。

ポイント

見積もりを比べる前に、現行環境と依頼範囲を同じ条件で示せているかを確かめます。前提がそろった見積もりから、初期費と保守費を並べて判断すると、会社による差の理由が分かりやすくなります。

よくある質問(FAQ)

発注前によく寄せられる、IISの費用に関する質問をまとめました。

IIS自体の費用と、その上で動く業務システムの費用を分けて考えると、見積もりを読み違えにくくなります。

IISは無料なのに、なぜシステム開発費が高いのですか?

IISはWebサーバーであり、業務ルールや画面、DB、帳票を提供する製品ではありません。連携、テスト、移行、保守も、IISが提供するものではありません。

IIS設定だけなら20万〜80万円程度ですが、業務システムは要件定義から運用までの人件費が中心になります。Windows Server、SQL Server、クラウド、バックアップなどの基盤費も、別途かかります。

IISのシステムはクラウドに移すと安くなりますか?

必ず安くなるとは限りません。App Serviceなどは、OSやIISの一部の管理を減らせます。

一方で、改修や移行検証の費用が必要です。DBや通信、監視、バックアップ、冗長化も、別途見込む必要があります。

小規模で停止の許容度が高い場合は、月額を抑えやすいことがあります。反対に、高可用性や大容量データ、Windows固有の機能が必要なら、オンプレミスやAzure VMが適することもあります。初期費用と5年間の運用費を並べて比べます。

古いIISやASP.NETのシステムは作り直すべきですか?

サポート期限や脆弱性、ソースコード、業務上の重要度を調べて判断します。移行できるデータや改修の余地も、あわせて確かめます。

方法には、サーバーだけを更新するリホストや、ASP.NET Coreへの段階移行があります。さらに、App Serviceへのモダナイズや、業務ごとの再構築も選択肢になります。

最初から全面再構築と決めつけず、代表的な画面と連携を使った移行PoCで、リスクと費用を確かめます。

IISのシステム開発会社には何を確認すべきですか?

IISに加えて、ASP.NET・ASP.NET Core、SQL Serverへの対応を確かめます。Windows認証、移行、テスト、監視、保守まで対応できるかも、あわせて確認します。

似た業務での実績や担当範囲を質問します。また、設計書やソースの納品、障害連絡、SLA、追加改修の単価も聞いておきます。

見積もりが「一式」ではなく、要件定義、開発、基盤、移行、教育、保守に分かれていると、比較しやすくなります。

まとめ

IIS設定だけなら20万〜80万円、小規模システムは300万〜800万円、中規模は800万〜2,000万円が目安です。複数拠点や基幹連携、高可用性まで含めると、2,000万〜1億円以上になります。

これはIISの公定価格ではありません。業務アプリや基盤、連携、移行、テスト、保守を含めた案件規模の目安です。

費用を抑えるための内訳と変動要因の整理

見積もりは、要件定義、設計、実装、テストの工程ごとに分けます。IIS・Windows、SQL Serverなどの基盤費も、別の区切りで示してもらいます。連携、移行、教育、保守、クラウド料金も、それぞれ別に見ます。

画面・帳票・権限、利用者数、連携数を整理しておくと、金額の差を説明しやすくなります。データ件数、停止許容時間、セキュリティも整理すると、価格差の理由を伝えられます。

標準機能と独自開発を使い分けたり、第一段階の対象を絞ったりする方法も有効です。

現行環境の整理と複数社への相談

現状と依頼範囲をそろえて各社に提示し、初期費と継続費を合わせて比べます。

  • 現状整理:IIS、Windows Server、.NET、SQL Serverの版、サイト、アプリプール、利用者、画面・帳票、連携、移行、希望納期。
  • 依頼範囲:IIS構築のみか、新規開発やレガシー刷新まで任せるかを明確にする。
  • 比較:同じ条件で複数社に見積もり、保守、更新、監視、障害対応を含む総コストを比べる。

▼全体ガイドの記事
・IISのシステム開発の完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。