求職者管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

求職者管理システムの発注・外注は、機能を増やすことより、自社採用向けか人材紹介・派遣向けかを決め、業務の範囲とデータの流れを先に整理することから始まります。

そのうえで発注形態を選び、RFPで要件をまとめ、複数社の提案を同じ条件で比べてから、契約・費用・委託先を決めていきます。

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求職者管理システムを発注する前に知っておきたい全体像

求職者管理システムの発注計画を整理する担当者

求職者管理システムは、求職者の登録情報だけでなく、紹介や応募、選考、成約後の対応までをつなげて管理するシステムです。求人や企業、面談も、同じ流れで扱います。ただし、企業の採用部門が使うATSと、人材紹介会社や人材派遣会社が使うCRMでは、必要な範囲が異なります。

発注前に業態と対象業務を切り分けておかないと、採用管理ツールでは求人紹介や売上管理が足りず、人材ビジネス向けの多機能製品では不要な機能まで購入することになります。

自社採用と人材紹介・派遣で異なる管理対象

自社採用では、応募者情報、求人票、選考ステータス、面接評価が中心になります。候補者への連絡や、採用チャネル別の歩留まりも含まれます。

一方、人材紹介会社では、求職者と求人のマッチングや推薦履歴が重要になります。さらに、紹介手数料や成約後の売上まで管理対象に入ります。

人材派遣会社では、案件とスタッフの組み合わせに加えて、契約と就業の情報が対象になります。勤怠や請求まで含めると、扱う範囲はさらに広がりやすいです。そこで、要件書の冒頭に「誰が、どの業務で、どのデータを使うか」を書くと、開発会社との認識がそろいやすくなります。

最初に管理する範囲(MVP)の絞り込み

初回発注では、求職者データベース、求人データベース、条件検索を、MVPの候補にすると整理しやすいです。応募・推薦・面談の進捗、担当者権限、CSV入出力も、候補に含めると考えやすくなります。

AIによる推薦やLINEの自動連絡は、業務効果とデータ品質を確認してから追加しても遅くありません。会計・請求連携や複数拠点の高度な分析も、後から足す対象として考えられます。

最初から全機能を完成させるより、1拠点や1職種で試し、検索時間、対応漏れ、面談化率などを導入前後で比べる方が、投資判断をしやすくなります。

求職者管理システムの発注形態の選び方

クラウドと開発会社を比較する発注担当者

標準的な採用業務であればSaaS、業界特有の紹介・派遣フローであれば特化型パッケージが合います。独自のマッチングや基幹連携が競争力になる場合は、カスタマイズまたはスクラッチが向いています。

比較では、初期費用だけでなく総保有コストで判断します。月額料金、データ移行、媒体連携を含め、追加開発や保守、解約時のデータ返却まで見ていきます。

早く始めたい会社に向くクラウド型SaaS

クラウド型はサーバーを自社で用意せず、比較的短期間で使い始められます。たとえば、sonar ATSは公式料金ページで、初期費用なし、基本プラン月額2.2万円からと案内されています。HRMOS採用も、初期費用0円、最短5営業日で利用開始と案内されています。

また、ジョブカン採用管理は、新規候補者数に応じた料金体系で、有料プランの候補者データ保持期間を10年としています。こうした公開情報は、価格を見る起点になります。

発注者は、自社採用向け製品の料金を人材紹介CRMにそのまま当てはめず、求職者と求人の両方を管理できるかを確認してください。

業界特化パッケージによる業務標準化と拡張性

人材紹介・派遣会社であれば、求職者、求人、案件の関係が初めから想定された製品を選べます。推薦や面談の流れ、契約と売上まで組み込まれていると、ゼロからの設計を減らせます。

PORTERSの公式サイトでは、初期導入費用10万円、月額利用料1ユーザー1万5,000円からという料金例が示されています。11ID以降は1ユーザー7,500円というプランも案内されています。

料金はプランやオプションで変わるため、見積は媒体取込やAPI、SMSを含めて依頼します。帳票や移行支援も見積の対象に入れます。標準機能に業務を合わせられる範囲が広いほど、開発期間と保守負担を抑えやすくなります。

独自業務が成果に直結する場合のスクラッチ開発

スクラッチ開発では、既存パッケージにない登録項目や独自のマッチングロジックを組み立てられます。基幹システムとの連携や、複数拠点の権限設計も自由に設計できます。ただし、自由度の高さは要件の曖昧さと表裏一体です。

そのため、自社独自の処理が競争力や生産性に本当に影響するかを先に検証します。標準製品の運用変更やAPI連携では解決できないかも、あわせて確かめます。

作ること自体を目的にせず、業務時間や対応漏れをどのKPIで改善するかを発注の理由に置くと、判断がぶれにくくなります。

ポイント

迷ったときは、標準製品の機能と運用の工夫で業務が回るかを先に見極めます。独自の処理が成果に直結すると説明できる場合にだけ、カスタマイズやスクラッチを候補に残します。

求職者管理システムを外注する進め方

求職者管理システムの開発工程を確認するチーム

外注では、いきなり開発会社へ機能一覧を渡さず、まず現状把握、方式選定、RFP作成を進めます。そのあと提案比較と契約を経て、要件定義、開発、受入、運用へ移ります。

発注者は、各工程の成果物と意思決定者を決めておくと、担当者の思いつきで機能が増える事態を防げます。

現状業務とKPIの洗い出し

最初に、求職者の流入から登録、面談までを時系列で書き出します。求人紹介、推薦、選考、内定を経て、入社または就業開始までも同じ流れで書き出します。

担当者ごとにExcelやスプレッドシートで管理している場合は、同じ求職者を何度も登録していないかを確認します。メールやチャットへ情報が分かれているなら、どの段階で連絡が止まるかも見ておきます。

目標は「システムを導入する」ではなく、「候補者登録から初回連絡までを短くする」「重複登録を減らす」「担当者別の推薦数を可視化する」のように、測れる形にします。

候補製品と委託先の同一シナリオでの検証

デモや提案依頼では、候補者を1件登録するだけで終えず、求人の登録から条件検索、推薦まで操作します。そのうえで、面談日程を記録し、担当者を変えたときに履歴が追えるかも確かめます。

媒体からCSVを取り込んだときの重複判定や、履歴書ファイルの閲覧権限を確認します。ステータス変更の監査ログ、データのエクスポートも、同じ検証に含めます。

匿名化したサンプルデータを使い、現場担当者が実際に操作してから評価すると、営業資料だけでは分からない入力負荷や検索の使いにくさに気づけます。

MVPのリリースと実績データによる段階拡張

初回リリース後は、登録数と検索にかかった時間を月次で確認します。面談化率や推薦から面接までの日数も、同じ確認の対象です。対応漏れやデータ重複率も見ておきます。

導入効果が確認できたら、求人媒体APIやメール、カレンダーの連携を追加します。LINEや会計・請求、AIレジュメ解析も、順に足していきます。

AIを使う場合も、まずは検索候補の提示や要約など、担当者を補助する用途から始めます。採用可否を自動で決めさせない運用にすると、誤判定や説明責任のリスクを抑えやすくなります。

ポイント

途中で機能が膨らんだときに、どの工程の誰が判断するかを事前に決めておくと、判断が止まりにくくなります。工程ごとの成果物と意思決定者を書き留めておくと、迷ったときに戻る先がはっきりします。

RFPと要件整理で決めること

RFPに求職者管理システムの要件を書き出す様子

RFPは、開発会社へ「何を作ってほしいか」だけでなく、「なぜ作るのか」「どの条件で提案を比べるのか」を伝える文書です。

機能名だけを並べると、各社が異なる前提で見積を作ってしまいます。そのため、価格も納期も比べられなくなります。

現状、目的、対象ユーザー、データ量を、一つの文書にまとめます。さらに、連携先、制約、希望スケジュールも書き、予算の考え方や提案に求める形式まで含めます。

業務フローとユーザー権限の具体化

求職者、求人、企業は、それぞれ別のデータとして整理します。応募・推薦、選考イベント、面談は、流れに沿って分けて考えます。連絡、同意、添付ファイル、請求も、同じ考え方で整理します。

たとえば、担当者は自分の求職者だけを見られるのか、拠点責任者は拠点内を見られるのか、経営者は全社集計だけを見るのかを決めます。

履歴書や職務経歴書は一般のプロフィールより機微性が高いため、閲覧・ダウンロード・エクスポート・削除の権限を分ける設計が必要です。また、ステータスを変更した担当者や日時、理由を残す監査ログは、後から足すと設計の変更が大きくなりやすい項目です。

連携・移行・非機能要件の記載

連携先は、求人媒体、採用サイト、メール、SMS、LINEを挙げます。カレンダー、Web会議、会計、請求、本人確認、既存CRMも、同じ一覧に加えます。そのうえで、API、CSV、手入力のどれでつなぐかを決めます。

媒体ごとに項目名や文字コードが異なる場合は、変換ルールと重複候補者の名寄せ方法も要件に含めます。移行では、何年分を取り込むか、欠損データをどう扱うかを明記します。添付ファイルを移行するか、旧システムをいつ停止するかも、あわせて書きます。

非機能要件には、同時利用者数、候補者件数、検索応答時間、バックアップ頻度、障害時の復旧目標、稼働時間を入れます。認証方式、二要素認証、アクセスログ、暗号化、脆弱性対応、サポート時間も含めます。AIを使う場合は、外部モデルへ個人情報を送るか、入力データが学習に使われるか、出力の根拠を表示するか、人が最終判断するかを、RFPと契約書の両方に残します。

ポイント

RFPは、各社が同じ前提で見積を作れる粒度で書くのが目安です。データ量や連携先まで書けているかを読み返すと、抜けに気づきやすくなります。

契約形態の選び方(請負と準委任)

請負契約と準委任契約を比較する担当者

契約形態は、完成させる成果物と、要件が変わる可能性のどちらを重視するかで選びます。

大枠が固まり、納品物と検収条件を定義できる部分は請負が合いやすいです。一方、要件定義や継続改善のように作業内容を相談しながら進める部分は準委任が合いやすいです。

実際には、要件定義は準委任、開発は請負、運用改善は準委任と、工程ごとに分ける方法もあります。

請負契約の成果物・検収・変更手続き

請負契約では、何を納品すれば完成となるかを曖昧にしないことが大切です。

納品物は、画面、API、データ移行、テスト仕様書を一覧にします。操作マニュアル、ソースコード、インフラ設定、バックアップ手順も、同じ一覧に含めます。そのうえで、検収期間、検収基準、瑕疵や不具合への対応期間を決めます。

要件追加を無償対応とする範囲、追加見積にする条件、納期を延長する条件も、変更管理票の運用と合わせて合意します。

準委任契約の体制・時間・成果の確認方法

準委任契約では、特定の完成物だけでなく、合意した業務を専門家が遂行することが中心になります。要件定義やUX設計を伴走してもらう場合に使いやすい一方、成果物の完成を期待しているのに請負と同じ管理をすると、責任範囲が不明確になりやすいです。

月の稼働時間や担当者のスキル、定例会と進捗報告を、業務の進め方として契約書に書きます。設計書やコードレビューの扱いも、個別契約へ書いておくと確認しやすくなります。

契約名称より中身を見て、納品や検収、知的財産、再委託を確認します。秘密保持、個人情報、終了時の引継ぎも、あわせて見ます。

データ・知的財産・再委託の契約上の扱い

求職者情報は発注者の事業資産であるため、契約終了時にデータをどの形式で返却し、委託先の環境からいつ削除するかを定めます。

個人情報の取扱いでは、利用目的、アクセスできる担当者、再委託先を確認します。事故発生時の報告、監査、バックアップ、削除証跡も見ておきます。

権利の扱いは、将来の乗り換えや追加開発に影響するため、契約で次の点を確認します。

  • 成果物の権利:ソースコード、画面デザイン、データモデル、API仕様書の帰属
  • 外部ライセンス:オープンソースや外部AIサービスのライセンス条件

求職者管理システムの費用相場と内訳

求職者管理システムの費用と見積を検討するチーム

費用は、利用者数、候補者数、求人件数、対象業務によって大きく変わります。外部連携、データ移行、セキュリティ要件、保守体制も、金額に影響します。

公開料金のあるクラウド型では、初期費用なしから数十万円程度の初期設定まで、月額数万円から十数万円程度の例があります。

候補者数やユーザー数、オプションによって、料金は上がります。

スクラッチ開発は、類似する人材派遣管理システムやマッチングシステムの公開情報からの推定であり、確定価格ではありません。

クラウド型の月額費用の目安

公開料金を比べると、企業採用向けATSでは小規模な基本プランが月額2万円台から、候補者数に応じたプランでは月額8,500円から12万円程度までの例があります。

人材紹介・派遣向けでは、PORTERSの公式料金ページに初期10万円、月額1ユーザー1万5,000円からの例が掲載されています。

これらを整理すると、小規模なSaaS導入は月額0円から3万円台、中規模は月額3万円から12万円程度が一つの比較レンジになります。ただし、製品の対象業態が違うため、相場として断定はできません。この比較レンジは、次の4つの公式情報をもとにしています。

  • sonar ATS公式料金
  • ジョブカン採用管理公式ヘルプ
  • HRMOS採用公式料金
  • PORTERS公式料金

スクラッチ開発の費用幅(500万円台〜1億円超)

スクラッチ開発の推定レンジは、要件の広さによって次のように分かれます。

  • MVP:要件と体制が限られる場合、求職者DBと求人DBを軸に、検索、面談・選考、権限、CSV入出力まで。500万〜1,200万円、3〜6か月程度です。
  • 業務版:媒体・API連携、メールやカレンダー、推薦、ダッシュボード、データ移行、監査ログまで含む。1,200万〜3,000万円、6〜12か月程度が目安です。
  • 多拠点・高度版:多拠点、大規模検索、AI、請求・稼働、複数基幹システムとの連携まで含む場合。3,000万円〜1億円超、12〜18か月以上になる可能性があります。

推定は、NotebookLMリサーチノートに記載された類似システムの公開相場と、riplaが公開する人材派遣管理システムの見積相場をもとにした整理です。

実際の金額を左右するのは、画面数よりも、データ移行の難しさ、連携先の仕様、例外処理、セキュリティ、テスト、運用設計です。

開発費だけでなく、クラウド利用料、監視、保守、問い合わせ対応、脆弱性対応、追加改修の年間予算も別に見積もります。

見積で比べるTCOと費用発生条件

見積書では、初期費用、月額または年額、ユーザー追加、候補者数課金を分けて記載してもらいます。

保存容量、媒体連携、API利用、SMS送信、データ移行も、個別の項目として示してもらいます。さらに、教育、保守、障害対応、セキュリティ診断も、区分して記載してもらいます。

「連携一式」「保守一式」のような書き方では、対象範囲と上限を読み取れません。例えば、APIの接続本数、月間データ件数、問い合わせ時間、復旧目標、改修チケットの扱いまで確認すると、安い初期見積が後から膨らむリスクを抑えられます。

ポイント

予算を比べるときは、初期費用と毎年かかる費用を分けて、年間の総額で見ると判断材料になります。開発費だけで比べると、利用料や保守費の差を見落としやすくなります。

委託先の選定と見積比較で確認するポイント

開発会社の提案と見積を比較する場面

委託先は、知名度や提示価格だけでなく、業態への適合と、要件を整理して形にする力を評価します。データ移行の経験や連携実績、セキュリティ体制も見ます。運用の伴走や契約終了時の引継ぎまで、確認の対象に含めます。

製品ベンダーと受託開発会社では得意領域が異なるため、評価軸を分けて比べます。「標準製品を導入する会社」「業界特化製品を設定・拡張する会社」「独自システムを設計・開発する会社」を同じ評価表に載せる場合も、評価軸は分けたままにします。

業態・実績・担当体制の適合性

提案会社には、自社採用、職業紹介、派遣のどの業態を何件経験したかを聞きます。実績の社数に加えて、求職者と求人のN:Nマッチング、媒体取込、履歴書ファイルを扱ったかを確認します。売上や稼働まで扱った経験も、あわせて聞きます。

提案時の営業担当者と、要件定義・設計・開発・運用を担う人が誰かを確認します。リリース後に、同じ担当者が支援を続けるかも、大切な確認点です。

過去事例の成果数値は、導入前の母数、対象期間、施策範囲、計測方法を聞いて、自社の目標と混同しないようにします。

見積書の同一前提・同一粒度での比較

複数社へRFPを送る際は、候補者数、ユーザー数、求人件数、利用拠点を同じ条件で渡します。移行対象、連携先、希望開始日も、すべての会社に伝えます。

価格の合計で決める前に、要件の抜け、前提条件、除外項目、追加費用の発生条件を読みます。

比較表には、次の項目を並べます。

  • 要件への対応:対応可否、標準機能か追加開発か
  • 費用と期間:初期費用、月額費用、開発期間、保守費
  • 契約と解約:検収条件、データ出力、解約時の対応

特に注意したいのは、最安値の見積がデータ移行やテストを含んでいないケースです。画面の開発費が安くても、媒体APIの仕様調査、名寄せ、権限設計、負荷試験、操作研修が別料金なら、実際の総額は変わります。見積説明の場では、「この価格に含まれない作業は何か」「要件が変わった場合の単価はいくらか」「障害対応はどの時間帯か」と質問します。

提案評価に含める個人情報・AI・セキュリティ

求職者管理では、氏名や連絡先に加え、職歴、健康や配慮事項、面談メモなどが登録される可能性があります。2026年3月に経済産業省・IPAなどが公開したAI事業者ガイドライン第1.2版では、人間中心、プライバシー保護、透明性などの観点が示されています(出典: 経済産業省「AI事業者ガイドライン検討会」、2026年)。

アクセス制御、二要素認証、通信・保存時の暗号化、操作ログを確認します。バックアップ、脆弱性対応、委託先管理、データ保持期限も見ます。個人情報保護委員会は、不採用者の履歴書を返却する義務は法律上定められていない一方、利用する必要がなくなった個人データは遅滞なく消去するよう努める義務を示しています。

そのうえで、返却の有無に加え、保管期限と削除手順もシステム要件にします。AIでレジュメ要約や推薦を採用するなら、入力データの利用範囲と学習利用の有無、バイアス検証、説明可能性、担当者による修正と最終判断、誤りが起きたときの記録を確認します。AI機能があることより、制御できることを評価してください。

ポイント

委託先は、見積に含まれない作業と要件変更の単価を示せるかで比べます。価格の安さだけで選ぶと、後の追加費用が膨らみやすくなります。

開発中とリリース後に失敗しないためのポイント

求職者管理システムのテストと運用準備を進めるチーム

発注先を決めた後も、プロジェクトの成否は発注者側の意思決定と現場定着に左右されます。

要件を決める責任者と現場代表、個人情報や法務を確認する担当者を明確にします。予算を承認する責任者も決めておきます。そのうえで、定例会で課題と変更を記録します。

業務の正解を決める役割は、開発会社ではなく発注者が持つことが大切です。

実データに近いシナリオでの受入テスト

受入テストでは、正常系だけでなく、異常系も試します。同じメールアドレスの登録、媒体からの重複取込、担当者変更、辞退や失注を含めます。再応募、削除依頼、権限外のファイル閲覧、通信障害時の再送も、確認の対象にします。

担当者には、登録から成約まで一連の操作をしてもらいます。画面の使いやすさに加えて、履歴が正しく残るか、集計値が業務上の数字と一致するかを確認します。

テスト結果、未解決の不具合、リリース後に対応する項目は、分けて整理します。そのうえで、検収の条件に沿って判断します。

入力項目と運用ルールの最小化と定着

入力必須項目を増やしすぎると、現場はメールや個人管理へ戻ってしまいます。初回登録で必須にする情報と、面談後に追加する情報を分け、候補者の重複登録を防ぐ検索手順を決めます。

ステータスの意味、辞退理由、対応期限、ファイル名、削除申請の扱いは、運用ルールとして簡潔にまとめます。

導入後は、ログイン率だけでなく、登録から初回連絡までの時間、データ欠損、対応漏れ、推薦数、成約率も確認します。使われていない項目や画面は、改善の対象にします。

将来の乗り換えとデータ返却の準備

クラウドサービスでも受託開発でも、契約終了時の出口を先に確認します。

求職者、求人、選考履歴、連絡履歴、同意情報、添付ファイルを、どの形式で出力できるかを決めます。出力に追加料金がかかるか、返却後に委託先のバックアップをいつ削除するかも、あわせて確認します。

発注者側は、APIやCSVの仕様書、データ項目の定義、権限一覧、運用手順を自社でも保管すると、担当者やベンダーが変わっても業務を継続しやすくなります。

よくある質問(FAQ)

求職者管理システムの発注に関するよくある質問

求職者管理システムの発注では、費用、期間、クラウドと開発の違い、情報管理について同じ質問が繰り返されます。

自社の候補者数や担当者数、必要な連携によって答えは変わりますが、判断の起点になる考え方を整理します。

求職者管理システムの開発費用はいくらですか?

クラウド型は公開料金で月額数万円から十数万円程度の例がありますが、初期設定、移行、連携、オプションを含めると変わります。

スクラッチ開発は、MVPで500万〜1,200万円、業務版で1,200万〜3,000万円程度を推定レンジとして検討できますが、これは要件と類似案件からの目安です。

候補者数、利用者数、連携先、移行範囲、保守条件をそろえて、複数社から見積を取ってください。

開発期間はどのくらいかかりますか?

求職者DB、求人DB、検索、進捗、権限、CSVに絞ったMVPは3〜6か月程度、外部連携やダッシュボード、移行、監査ログを含む業務版は6〜12か月程度が推定の目安です。

要件定義、データクレンジング、媒体側との調整、受入テスト、現場研修を含めると、開発会社がコードを書く期間の見積だけでは足りません。

短納期を優先する場合は、標準SaaSや特化型パッケージを先に比較し、作る範囲を絞ります。

AIマッチングを最初から導入した方がよいですか?

最初から必須にする必要はありません。求職者情報の項目定義、スキル表記の統一、重複排除、推薦や選考結果の履歴が整ってから、検索候補の提示やレジュメ要約など補助的な用途で試す方が検証しやすいです。

AIの出力は、根拠を確認して担当者が修正できる画面とログを用意したうえで使い、採否や紹介可否は担当者が決めます。個人情報の送信先や学習利用は、契約で確認してください。

発注先を選ぶときに最も重要な質問は何ですか?

「同じ業態で、求職者・求人・選考・連絡・売上または稼働まで扱った経験があるか」「移行と連携を誰が担当するか」「標準機能と追加開発の境界はどこか」「契約終了時にデータをどの形式で返せるか」を質問します。

さらに、見積に含まれない作業、要件変更の単価、障害時の復旧目標、再委託先、AIへの入力データの扱いを確認すると、価格だけでは見えないリスクを比べられます。

まとめ

求職者管理システムの発注方針をまとめるチーム

発注で押さえる点は、次の四つです。発注先を比べるときは、この四点を同じ前提で確認します。

  • 管理範囲:自社採用か人材紹介・派遣かで分けたうえで、求職者から成約後までのどこを管理するかを定めます。
  • 発注形態の選択:標準SaaS、業界特化パッケージ、カスタマイズ、スクラッチを、初期費用に加えて移行・連携・保守・解約時のデータ返却まで含むTCOで比べます。
  • 提案と導入判断:要件を同じ条件で各社に示し、MVPの実績から次の投資を判断します。
  • 安全性と運用の継続:アクセス権限、監査ログ、保存期間、削除、再委託、AIの透明性を確認し、導入後の定着と改善に伴走できる委託先を選びます。

RFPには、業務フロー、ユーザー権限、候補者数、データ移行を明記します。外部連携、非機能要件、セキュリティ、AIの扱い、検収条件も、同じRFPに書きます。そのうえで、同じシナリオで複数社の提案を比べます。

費用は、SaaSの公開料金とスクラッチ開発の推定レンジを分けて読みます。MVPから段階的に導入し、対応漏れや検索時間、面談化率、成約率などの実績を見ながら進めます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。