Joomlaのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

Joomlaのシステム開発を発注するときは、業務の目的と運用の条件を整理し、同じ前提のRFPをつくってから進めます。契約、委託先、保守まで比べると、見積もりの差を正しく判断できます。

全体の流れは、発注形態、要件整理、契約と費用、委託先選定、保守の順です。

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・Joomlaのシステム開発の完全ガイド

Joomlaのシステムを発注する前に知っておきたい全体像

Joomlaは、PHPとデータベースを基盤にしたオープンソースのWeb CMSです。

記事、カテゴリ、タグ、カスタムフィールド、メニューを組み合わせて、サイトの情報を組み立てられます。

ユーザーグループ、アクセス制御、公開承認も設定できます。そのため、企業サイトや会員サイトのほか、社内ポータル、学校・団体サイト、施設検索サイトなども構築できます。

発注時は、ページ制作だけでなく、情報の登録者、承認者、公開対象を決めることが出発点です。どの情報を誰に公開するシステムかを、まず定義しておきます。

Joomla本体は無料でも開発費が発生する理由

Joomla本体はオープンソースのため、原則としてライセンス購入費は不要です。ただし、開発費は本体以外の作業に発生します。

  • 設計と構築:要件定義、画面設計、テンプレート調整、拡張機能設定、独自開発、データ移行
  • 公開と運用:テスト、操作教育、サーバー構築、保守
  • 権限とデータ管理:閲覧・編集・承認権限、操作ログ、バックアップ、障害時の復旧手順

会計・在庫・顧客マスタなどの正データを既存システムに置き、Joomlaを情報の入口や承認基盤にする疎結合構成もあります。この構成では、責任範囲と改修範囲を整理しやすくなります。

CMSが無料でも、業務システムが数万円で完成するとは限りません。

発注時のJoomlaバージョンと拡張機能の確認

発注時には、Joomla本体の版と拡張機能の対応状況を確かめておく必要があります。確認する観点は、サポート期間、既存環境、互換性と見積もりです。

  • サポート期間:Joomla 6.xの通常修正は2028年10月17日まで、セキュリティ修正は2029年10月16日までです。
  • 既存環境:本体・PHPの版、テンプレート、コンポーネント、モジュール、プラグインの一覧
  • 互換性と見積もり:Joomla 6に非対応の拡張機能は置き換えや独自改修を検討し、対応名、検証環境、更新後の確認範囲を見積もりで示してもらう

Joomla公式ロードマップでは、6.xをサポート中の主要系列とし、現行リリースを6.1.2としています。出典はJoomla! Project Roadmapで、2026年8月に確認しました。

発注先が対応できるかは、サポート日程とは別に確かめる必要があります。

Joomlaのシステムの発注形態の選び方

要件が固まっていない場合は、先に要件定義を委託し、機能と責任範囲を確かめてから開発契約へ進む方法が安全です。

小規模サイトでは、標準機能と既存拡張機能を使う一括請負が候補になります。一方、大規模な会員・業務システムでは、準委任や段階契約も検討します。

案件の不確実性に合わせて発注形態を選ぶと、納期や予算の前提を整理できます。

一括請負が向くケースと注意点

要件、画面、移行対象、受入条件が明確で、納期と成果物に合意できる場合は、一括請負が向いています。たとえば、企業サイトの改修や標準機能中心の情報発信サイトが該当します。

委託先が成果物を完成させる責任を負うため、発注側は予算と納期を管理しやすくなります。一方で、契約後に仕様変更が多いと、追加費用や納期延長が発生します。

契約前には、見積もりと契約で確認する範囲を揃えておく必要があります。

  • 作業範囲:ページ数、修正回数、移行件数を決めておく
  • 品質と納品:対応ブラウザ、テスト範囲、納品物
  • 契約後の対応:瑕疵対応期間と変更時の見積もり方法

「要件定義も開発も保守も一式」だけの見積もりは、後で比較できないため注意が必要です。

準委任・段階発注が向くケース

調査の前に工数を確定しにくい場合は、準委任や段階発注が適しています。当てはまりやすい案件と、その進め方や契約条件を、項目ごとに分けて示します。

  • 該当する案件:会員・社内ポータル、外部API連携、複雑な権限、大量移行
  • 段階発注:現状調査と要件定義を先に契約し、その成果物から設計・開発を再見積もりする方式
  • MVP:優先順位を変えながら、月や工程単位で人材を確保する
  • 準委任の契約条件:作業時間・体制への対価とし、請負の完成責任と区別する。稼働時間、担当者、報告を定め、成果物、品質、予算上限、終了条件も決める

発注側にも意思決定者とレビュー担当者を置き、回答待ちで開発が止まる状態を避けます。

標準拡張・クラウド・独自開発の選び方

発注形態と合わせて、実装方式も比べます。方式ごとに確認点を揃えておけば、違いを正しく見分けられます。

  • 標準機能・拡張機能:短納期になりやすい一方、ライセンス、提供元のサポート、Joomla 6対応、脆弱性情報、データ出力の確認が必要です
  • クラウド・マネージド:バックアップ、監視、WAF、OS・PHP更新を任せられる。Joomla本体の安全運用まで自動化されるとは限らない
  • 独自開発:独自機能やAPI連携では、コアを改変せず更新可能な拡張を作れる会社を選ぶ

拡張機能を増やしすぎると、更新時の互換性確認と障害切り分けが難しくなります。

発注側は、本体と拡張機能の更新担当、障害時の責任の分け方を決めるほか、データ保管場所と解約時の移行方法も決めておきます。

ポイント

発注形態は、要件がどこまで固まっているかで選びます。要件が未確定なら先に要件定義を委託し、固まっていれば一括請負、工数を確定しにくければ準委任や段階発注を候補にします。

RFPと要件整理の準備範囲

RFPに整理する業務目的と利用者、機能要件と非機能要件、移行対象と移行テスト、受入条件を4枚のカードで示す図。
4領域の前提を揃えると、提案内容を比べやすくなります。

RFPは完成した仕様書がなくても構わないため、まずは発注の背景と、達成したい業務成果、対象ユーザーを整理します。現在の課題や必要な情報も、あわせて書いておきます。

発注側は、希望時期、予算の考え方、既存環境も記し、提案してほしい範囲を明確にします。

標準拡張案と独自開発案を分けてもらうと、費用と将来の保守性を比べられます。

RFPに書くべき業務目的と利用者

「Joomlaで何を作るか」より、「何を改善するか」を先に書きます。目的が伝わっていれば、実装方式の提案も具体的になります。

  • 社内文書:分散した文書を一つのポータルで管理
  • 会員向け情報:属性に合った情報を、会員が閲覧できる状態
  • 更新承認:承認をメールだけに頼らない運用にする

利用者は、管理者、編集者、承認者に分けます。

一般会員や外部公開者など、ほかの利用者も加えて整理します。

閲覧、作成、編集、承認の権限を利用者ごとに定めます。

公開、削除、ダウンロードの権限も決めておきます。

アクセス制御を後回しにすると、公開後に画面やデータ構造を作り直すことがあります。また、個人情報や機密文書を扱う場合は、データ項目と保持期間を要件に含めます。ログとマスキングの扱いも、決めておく必要があります。

管理者の多要素認証や、退職者アカウントの停止方法も決めます。

機能要件と非機能要件の書き分け

機能要件では利用者の操作と扱うデータを、非機能要件では性能と運用条件を書き、要件ごとに記載内容を分けます。

  • 機能要件:記事・カテゴリ・タグ、検索、会員登録、承認を扱う。予約公開、通知、ファイル、多言語を含める。問い合わせ、外部API、データ移行も加える。
  • 操作シナリオ:「必要」だけで済ませず、誰がどのデータを、どの条件・画面で操作するかを書く
  • 非機能要件:速度、同時利用者数、稼働時間、バックアップ、復旧時間を決める。監視、ログ、暗号化、アクセス制御も含める。

非機能要件には、ブラウザ、アクセシビリティ、保守窓口も加えます。大量アクセスや個人情報が関係する場合は、障害・災害時や脆弱性公表時の対応も確かめておきます。内容を具体的に書いておくと、会社ごとの解釈の差を抑えられます。

RFPに書けない項目は、要件定義で調べる事項として分けます。そうすると、見積もりの前提がはっきりします。

移行・テスト・受入条件の事前決定

移行、テスト、受入条件を事前に決めておくと、発注側が検収できる状態をつくれます。

  • 移行対象:ページ数のほか、記事、画像、文書、ユーザーを洗い出す。カテゴリ、公開日時、URL、メタ情報、権限、不要データも同様に洗い出す。
  • 移行テスト:不整合があると手修正が増えるため、サンプルで件数、文字化け、画像リンク、検索結果、リダイレクト、権限を確かめてから本番へ進む
  • 受入条件:主要ブラウザ表示、権限別操作、フォーム通知、外部連携の確認方法を定める。バックアップ復旧、エラーログ、負荷、脆弱性対策についても同じく定める。
  • 納品物:画面一覧、テスト仕様書、課題管理表、操作マニュアルを含める。構成図、拡張機能一覧、管理者アカウントも入れる。

ポイント

RFPは完成した仕様書がなくても、目的、利用者、要件、移行、受入条件を同じ前提で各社に示すことが大切です。そろえた前提が、提案と見積もりを比べる土台になります。

Joomlaのシステム開発の契約形態と責任範囲

契約では、作る機能だけでなく、作らない範囲と運用の責任者も決めます。

障害が起きたときに確認で時間がかからないよう、管理対象を明確にしておきます。

Joomla本体とPHPの管理者を定めます。

Webサーバーやデータベースも、テンプレートや拡張機能と合わせて決めます。

外部サービスやメールの分担も決めます。

DNS、CDN、WAFについても、同じように分担を決めておきます。

契約書に入れる成果物と検収条件

請負契約では、成果物を具体的に定めておく必要があります。「完成したシステム一式」という書き方では、完成したかどうかを判断できないためです。

  • 成果物:要件定義書、画面・画面遷移、データ定義、権限表を含める。テスト・移行結果、ソースコード、環境設定も加える。操作マニュアルと運用手順書も入れる。
  • 検収:期限、修正依頼の方法、重大な不具合の扱い、瑕疵対応期間を決める
  • 権利・ライセンス:独自成果物の著作権、第三者製拡張機能のライセンス、OSSの表示義務、汎用部品の再利用条件の確認
  • 引き継ぎ:別会社へ移す可能性に備えて、ソース・設計情報、リポジトリ、アカウント、環境変数、バックアップを発注側が管理できる形にしておく

個人情報と再委託の契約上の管理

個人データを扱う契約では、安全管理、再委託、運用時の対応を具体的に決めておきます。

  • 委託先管理:選定基準、アクセス範囲、秘密保持、保存場所を定める。暗号化、ログ、バックアップ、事故報告、終了時の返却・消去も決める。
  • 再委託:委託先の安全管理措置を事前確認し、再委託先・業務内容・個人データの扱いを報告または承認の対象とする。必要に応じ監査する
  • データの所在:制作会社、クラウド運用会社、拡張機能開発者への再委託範囲、海外拠点・クラウドの保管場所とアクセス経路の確認
  • 運用対策:更新、監視、最小権限、MFAを契約に含める。WAF、バックアップ、脆弱性対応も契約に入れておく。

個人情報保護委員会のガイドラインは、委託先の安全管理措置を事前に確認し、必要に応じて監査する考え方を示しています。

出典は、同委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(2026年確認)です。

「OSSだから危険」「公式CMSだから安全」と単純化しないことが大切です。

ポイント

契約の判断は、作る範囲と作らない範囲、運用の責任者を分けて書けているかで見ます。成果物と検収条件、個人情報と再委託の扱いまで契約書に具体的に書いてあれば、後の食い違いを減らせます。

Joomlaのシステム開発を外注する費用相場と内訳

小規模サイトから外部連携を伴う業務Webシステムまで、4つの構築規模に対応する初期費用の推定レンジを横棒で比較した図。
外部連携を伴う業務Webシステムほど、費用レンジの上限が大きくなります。

Joomla専用の全国統計による一律の開発相場は、確認しにくい状況です。そのため、ここで示す数値は、リサーチノートの業務Webシステム相場、過去のJoomla導入支援価格、一般的な工数をもとにした推定レンジです。

金額は会社や要件によって変わります。そのため、同じ条件のRFPで比べ、金額だけを相場の正解としないようにします。

規模別の初期費用レンジ

初期費用の推定レンジは、構築規模や移行・連携の範囲によって変わります。

発注側は、自社の条件が当てはまる区分を、見積もりと照らし合わせます。

  • 小規模サイト:30万〜80万円程度
  • 独自デザイン等を含む企業サイト:80万〜250万円程度
  • 会員・社内ポータル:250万〜600万円程度
  • 外部連携を伴う業務Webシステム:600万〜1,500万円以上

小規模の目安は、10〜30ページ程度、基本権限、操作説明を含む場合です。企業サイトでは、独自テンプレートやコンテンツ移行があると、費用が上がります。フォーム、承認、多言語、計測設定などが加わると、費用はさらに増えます。

会員・社内ポータルの範囲には、検索、投稿、ファイル管理、ワークフロー、通知などが含まれます。SSOや顧客・商品マスタ、予約・決済を伴うと、上限を超える可能性があります。監査ログや負荷試験、大量移行を伴う場合も、同様に上限を超える可能性があります。

いずれも推定値にすぎません。そのため、要件定義のあとに、工数と単価を分けた見積もりを取ります。

見積もりに含める初期費用と運用費

初期費用は、作業項目ごとに分けて記載してもらいます。そうすると、見積もりの対象と範囲を確認しやすくなります。

  • 企画・設計:現状調査、要件定義、情報・画面設計
  • 構築:テンプレート、Joomla・拡張機能設定、独自機能、API連携
  • 移行・検証:データ移行、テスト、セキュリティ設定
  • 公開準備:教育、リリース支援

株式会社コンピュータ沖縄の過去の導入支援資料には、63万円(税込)のパック例があります。その内容は、導入、マニュアル、講習、テンプレートなどです。

これは現行価格ではなく、2026年の見積もり相場と断定できない数字です。そのため、軽量導入の公開参考値として扱い、対応バージョンと提供条件を確かめます。

運用費には、サーバー・クラウド、ドメイン、WAFの費用を含めます。バックアップ、監視、拡張機能ライセンスも、同じ運用費に入れます。さらに、本体・PHPの更新、脆弱性対応、問い合わせ、軽微改修も確かめます。

小規模環境の推定では、サーバー・クラウドは月1万〜10万円程度です。更新と監視を含む保守は、月5万〜30万円程度が目安です。

冗長化や個人情報の扱い、24時間対応、復旧時間の保証があれば、費用は増えます。また、初期開発費に加え、公開後1年分以上の運用費も予算に入れておきます。

金額の高低より前提条件の比較

見積もりは総額だけで判断せず、含まれる作業と前提条件を照らし合わせます。

  • 価格差の背景:安い場合は要件定義・移行・テスト・保守が対象外かを確かめ、高い場合は予備工数、監視、診断、教育、拡張設計の有無を見る
  • 共通の比較表:作業項目、工数、単価、前提を並べる。除外項目、追加条件、支払い時期も同じ表に載せる。
  • 「一式」の分解:ページ・ユーザー・データ・外部サービスの数で具体化する。拡張機能、テストケース、会議・修正回数も明記する。
  • 変更時の条件:追加作業の単価と承認方法、追加請求の見通し

相場から大きく外れている場合も、まず前提条件の違いを確かめてから判断します。

ポイント

費用は金額の大小より、規模と含まれる作業で比べます。初期費用と月々の運用費を分けた見積もりを、同じ前提の提案から取ることが判断の目安になります。

Joomlaの委託先選定と見積比較で確認するポイント

Joomla委託先の確認項目として、担当範囲と技術経験、セキュリティと保守、価格以外の評価項目を3つのパネルで示す図。
実績の肩書きだけでなく、実務の範囲と運用条件を並べて確認します。

Joomla対応と掲げる会社でも、自社に近い規模や用途の経験、現行版への移行力、拡張機能の調査力を確かめます。

要件定義の進め方、保守体制、再委託の透明性も評価に入れます。

サイト制作と、会員権限やSSO、基幹連携、監査ログを伴う開発とでは、必要な能力が異なります。

提案の段階で、今回の要件をどの機能で実現し、どこを独自開発するかを説明してもらいます。

担当範囲で見る実績の確認

会社名や公開URLだけで判断せず、担当範囲と実際の技術経験を確かめます。

  • 案件の内容:Joomlaの版、利用者数、権限、拡張機能を聞く。外部連携、移行、保守期間、担当工程も聞く。
  • 経験の説明:非公開案件でも匿名画面、構成図、課題と解決策、テスト方法を示せるかを確かめ、回答者が責任者かも確認する
  • 技術質問:Joomla 6.1.2での拡張機能調査、旧版移行で検証するデータ、コア改変なしの独自開発を尋ねる

公式ロードマップや告知をもとに、サポート期限と修正版の適用方針を説明できるかも、判断材料になります。

セキュリティと保守の選定基準

公開後の更新体制と、保守契約の対応範囲を、選定の段階で確かめます。

  • 脆弱性対応:脆弱性情報と修正の適用方針を確認する
  • 更新・防御:本体・PHP・拡張機能の更新担当、脆弱性監視、緊急更新を確認する。MFA、管理画面制限、最小権限、WAFの有無も見る。
  • 復旧体制:バックアップ、ログ監視、復旧訓練、障害時の連絡体制、復旧目標の有無
  • 保守条件:受付時間、重大障害の初動時間、月内の軽微改修時間、対象外作業、休日対応費を明記する

Joomla公式は2025年、Scheduled TasksコンポーネントのSQLインジェクション脆弱性を公表しました。たとえば、Joomla! Security CentreのCVE-2025-22207は、4.1.0〜4.4.10と5.0.0〜5.2.3を影響範囲としています。修正は4.4.11または5.2.4への更新です。

発注側は、脆弱性への対応作業が見積もりから抜けていないかを確かめます。

見積比較の点数化と意思決定

価格以外の評価項目を設け、同じ条件で各社の提案を比べます。

  • 評価項目:要件理解、実装方式、Joomla・拡張機能の経験、移行・テストを置く。セキュリティ、保守、納期、連絡、文書、引き継ぎも加える。
  • 採点:各項目を5点満点で評価し、権限や個人情報を扱う案件はセキュリティ・保守の比重を高める
  • 提案確認:見積もり前提を揃え、要件の削減や不要機能の追加がないか確認する
  • 最終候補:要件定義、初回1か月の成果物、発注側の作業、リスクと対策を説明してもらう

契約後の進行を具体的に想像できる会社を選びます。

ポイント

委託先は、Joomlaでの実績と担当範囲、セキュリティと保守の体制で選びます。見積もりは価格だけでなく、同じ条件の提案を点数で比べて判断します。

Joomlaのシステムの運用・保守の外注範囲

社内にJoomlaとインフラを管理できる担当者がいない場合や、個人情報・会員情報を扱う場合は、少なくとも初期運用を委託することをおすすめします。

委託の方法には、更新だけを頼む方法、監視・障害対応も任せる方法、問い合わせと軽微改修を月額で頼む方法があります。どこまで任せるかは、必要なサービスレベルに応じて選びます。

発注側は、社内で担う作業と外部に任せる作業を分けることが大切です。

運用担当者と更新手順の引き継ぎ

公開後も社内で運用を続けられるよう、担当者、手順、引き継ぎ資料を整えます。

  • 担当と役割:業務担当者、編集者、システム管理者、承認者を決め、文書にまとめる
  • 引き継ぎ資料:操作マニュアル、拡張機能一覧、権限表、サーバー構成、バックアップ先、障害連絡先を揃える
  • 更新手順:検証環境で公開・管理画面、フォーム、検索、権限、外部連携を確かめ、ロールバック手順を用意してから本番に反映する

担当者が退職しても別の人が運用できる状態にすると、外注依存のリスクを下げられます。

更新を長く先送りすると、バージョンの差が広がり、移行費用も増えていきます。そのため、定期更新と互換性確認を保守契約に含めておきます。

操作教育と改善相談の発注範囲

権限やカテゴリの設計は編集者の使い勝手に影響するため、納品後の教育と改善相談も発注範囲に含めます。

  • 操作教育:納品時の説明に加え、実データを使った操作研修を行う
  • 運用ルール:編集、画像・文書の命名、公開承認の手順を整え、初期運用の質問をFAQやマニュアルに反映する
  • 公開後の確認:検索されないページ、更新が滞る部署、問い合わせが集中する操作、未使用機能を調べる
  • 改善相談:アクセス解析や問い合わせ記録から、画面、検索条件、権限、連携の改善に優先順位を付ける

業務成果を見ながら改善できる会社を選ぶと、Joomlaを長く活用できます。

よくある質問(FAQ)

発注時によくある疑問に答えます。サイトの規模や利用者、連携先、公開後の体制に応じて、FAQをRFPの確認項目としても活用してください。

Joomlaは無料なのに、なぜ開発会社へ費用を払うのですか?

Joomla本体は原則無料ですが、設計や画面制作、権限設定、拡張機能、移行の作業が必要です。さらに、テスト、サーバー構築、教育、保守にも作業が発生します。

無料なのはライセンス費用の一部です。必要なシステムを安全に運用する費用まで無料になるわけではありません。

Joomlaのシステム開発にはどのくらいの期間がかかりますか?

開発期間の推定目安は、規模や移行・連携の範囲によって異なります。小規模な企業サイトは1〜2か月です。

オリジナルテンプレートや移行を含むサイトは2〜4か月、会員・社内ポータルは4〜8か月が起点になります。さらに、複数の連携や大規模移行があれば、6〜12か月以上を見込みます。

これは推定で、発注側のレビュー速度や要件変更、データ品質、拡張機能の互換性によって変わります。

古いJoomlaから現行版へ移行することはできますか?

移行できる可能性はありますが、本体・PHPの版、テンプレート、拡張機能、データ構造によって、方法と費用が変わります。

まず本番環境をバックアップしてから、拡張機能の互換性、データ移行、URLを検証環境で確かめます。権限、表示、フォームも、同じ検証環境で確認します。

非対応の拡張機能は無理に残さず、代替機能や独自開発も含めて移行計画を立てます。

Joomlaの開発会社へ最初に何を伝えれば見積もりが正確になりますか?

まず、現行サイトのURL、Joomla・PHPの版、ページ数を伝えます。移行データ、利用者・部署数、必要な権限も伝えます。

個人情報の有無や外部連携、希望公開日も共有します。予算や保守の希望、解決したい業務課題、受入条件も伝えます。

不明な項目は無理に埋めず、未確定事項として明記します。そうすると、会社ごとの前提が揃い、比較しやすくなります。

開発会社と保守会社は同じ会社にするべきですか?

同じ会社でも、別々の会社でも構いません。どちらの場合も、設計情報と運用の責任の分け方を引き継げる体制が必要です。

同じ会社なら構成を理解したまま保守を始められ、別会社なら価格や専門性を比べられます。

別会社へ移す可能性がある場合は、ソースコードや構成図、拡張機能一覧を納品物に含めます。アカウント、バックアップ、更新履歴も納品物に入れます。

まとめ:Joomlaのシステム発注は要件・契約・保守を一体で比べる進め方

Joomlaの発注では、まず業務の目的と利用者を整理します。そのうえで、標準機能と拡張機能、独自開発、クラウド運用それぞれの必要範囲を決めます。

次に、機能要件と非機能要件、移行、テスト、受入条件をRFPにまとめます。同じ前提で、複数社の提案と見積もりを比べます。

費用相場の見方:金額より内訳と前提

金額は構築規模と連携の範囲で変わるため、区分ごとの推定レンジを並べて、自社がどこに近いかを確かめます。

  • 小規模サイト:30万〜80万円
  • オリジナルサイト:80万〜250万円
  • 会員・社内ポータル:250万〜600万円
  • 外部連携を伴う業務Webシステム:600万〜1,500万円以上

Joomla本体の無償性と開発・移行・保守の費用は、別に考えます。

過去の公開価格や一般的な工数を参考にし、自社の条件に合わせた見積もりを取得します。

委託先の選び方:Joomlaの経験と公開後の責任体制

委託先は、Joomla現行版と拡張機能への対応、権限設計、移行、テストを確かめます。セキュリティ、再委託、保守、引き継ぎも、同じ観点で見ます。

Joomla 6.1.2のサポート期限や脆弱性修正を踏まえ、更新を継続できる体制を契約に含めます。そのうえで、現状と希望をまとめ、要件定義から相談できる会社へ問い合わせます。

▼全体ガイドの記事
・Joomlaのシステム開発の完全ガイド

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。