回線管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

回線管理システムの発注・外注は、回線台帳だけでなく、申込から開通、利用、請求、異動、解約までのライフサイクルを対象に、発注範囲と責任分界を先に決めることが成功のポイントです。

「どの会社へ依頼すればよいか」「RFPには何を書けばよいか」「請負と準委任のどちらが合うか」「費用相場はどれくらいか」と悩む企業は少なくありません。本記事では、一般企業の固定回線・モバイル回線・IoT SIMを管理する業務システムを中心に、発注形態の選び方、要件整理、契約、費用、委託先選定、見積比較、導入後の運用までを実務の順番で解説します。MVNOや通信事業者向けのOSS・BSSとは必要な範囲が異なるため、その境界も整理します。

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回線管理システムを発注する前に整理すべき全体像

回線管理システムの発注範囲を整理するイメージ

回線管理システムは、電話番号やSIMの一覧を表示するだけの台帳ではありません。拠点、利用者、端末、キャリア、料金、請求先、契約更新日、障害履歴をひも付け、社内の申請や承認、キャリアへの発注、請求確認までをつなぐ業務基盤です。最初に「誰が、どの回線を、どの業務で、どこまで自動化するか」を明確にすると、外注先から比較可能な提案を受けやすくなります。

まず一般企業向けか通信事業者向けかを分けます

一般企業の情報システム部門では、固定回線、法人携帯、Wi-Fi、IoT SIMなどを契約単位で管理し、異動や拠点開設に伴う申請、利用料金の部門配賦、未使用回線の発見を効率化することが主な目的です。この場合は、回線・SIM・端末・利用者・拠点を検索できる台帳、申請ワークフロー、CSVまたはAPIによる請求取り込み、権限管理が中心になります。

一方、MVNOや通信事業者が自社サービスとして開発する場合は、顧客管理、料金計算、請求、SIM発行、開通・停止、ネットワーク接続、SLA、24時間監視まで必要です。HLR/HSSのような加入者データベースを自社で運用するフルMVNOでは、一般企業の回線台帳よりも通信仕様と障害時の責任分界が重くなります。発注書の冒頭で対象業態を宣言すると、過剰な提案や不足した見積もりを避けられます。

目的と対象範囲を数値で定義します

発注前には、コスト削減、解約漏れ防止、開通リードタイム短縮、請求差異の削減、IoT回線の自動停止など、優先するKPIを2〜4個に絞ります。たとえば「月次請求の照合作業を5営業日から1営業日に短縮する」「異動者の回線変更依頼を翌営業日までに処理する」「利用のない回線を毎月一覧化する」といった形です。目的が曖昧なまま機能を列挙すると、画面は増えても成果につながりにくくなります。

外注先へ伝える最低限の前提は、回線数、キャリア数、固定・モバイル・IoTの内訳、拠点数、利用者数、請求連携の有無、既存データの形式、必要な自動化範囲です。回線数が1,000回線でもキャリアが1社なら標準連携で対応できる可能性がありますが、300回線でも4社の請求ファイルと個別APIを扱う場合は、設計・試験の負荷が高くなります。

回線管理システムの発注前にRFPと要件を整理する方法

RFPと回線情報を整理するイメージ

RFPは、作りたい画面を一方的に指示する書類ではなく、現状の課題、対象データ、業務フロー、連携条件、非機能要件、納品物、提案してほしい選択肢をそろえる文書です。外注先が同じ前提で提案できるように、現在使っているExcel、キャリアの請求サンプル、申請書、契約更新一覧を可能な範囲で添付します。機密情報を含む場合は、NDA締結後に匿名化したデータを渡します。

RFPにはデータ・業務・連携・非機能を分けて書きます

データ要件には、法人、拠点、回線ID、電話番号、ICCID、IMSI、MSISDN、SIMまたはeSIM、端末、キャリア、料金プラン、開通日、更新日、解約日、利用者、部門、請求先を記載します。業務要件には、申込、承認、発注、開通、プラン変更、休止、再開、異動、解約、返却、廃棄の流れと、各工程の担当者を記載します。連携要件には、キャリアのAPI、CSV、EDI、管理画面、人事、購買、会計、MDM、ITSMとの接続方式と更新頻度を記載します。

非機能要件では、利用者数と同時接続数、バックアップ、復旧目標、監査ログ、権限分離、暗号化、脆弱性対応、保守時間、障害連絡、データのエクスポートを定義します。個人情報保護委員会と総務省の「電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドライン」は、利用者に関する情報や通信の秘密を適正に扱うための基本事項を示しています。通信事業者が関わる案件では、法務・セキュリティ担当をRFPレビューに参加させます(出典: 個人情報保護委員会・総務省「電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドライン」令和5年最終改正)。

サンプルデータとPoCの条件を先に準備します

提案依頼の精度を上げるには、代表キャリア1社、固定回線またはモバイル回線各1種類、請求1か月分、開通・休止・解約の各1ケースを使った小規模なPoCを条件に入れます。PoCでは、名寄せできるか、請求額を突合できるか、APIエラーを再送できるか、承認から反映まで何分かかるかを測ります。画面の見栄えよりも、実データを取り込んだときの例外処理を確認することが重要です。

キャリア連携では、APIの仕様書だけでなく、検証環境、認証情報の払い出し、レート制限、メンテナンス通知、エラーコード、再送方法、問い合わせ窓口を確認します。キャリアごとに項目名やステータスの意味が異なるため、社内の「開通」「停止」「解約」と外部サービスの状態を対応表にしておくと、移行後の混乱を抑えられます。将来のキャリア追加を見込む場合は、サービス注文と在庫を分離したデータモデルを提案してもらいます。

発注形態はSaaS・パッケージ・個別開発を比較します

発注形態を比較するイメージ

回線管理システムの発注形態には、既存のクラウドサービスを導入する方法、パッケージを設定・拡張する方法、ローコードで申請部分を作る方法、フルスクラッチで開発する方法があります。重要なのは、最初から一つに決めることではなく、標準化できる業務と自社固有の差別化領域を分けることです。一般企業では、標準台帳とワークフローをサービスで導入し、キャリア・会計との連携だけを個別開発する構成が現実的です。

SaaSやパッケージは標準機能と制約を確認します

SaaSやパッケージは、短期間で始めやすく、バックアップや基盤保守を自社で抱えにくい点が利点です。回線台帳、検索、権限、申請、通知、CSV取り込みが標準でそろっていれば、数か月単位で運用を始められる可能性があります。ただし、キャリアAPIの対応範囲、データの保管場所、項目追加の可否、退会時のエクスポート、料金改定、ユーザー数や回線数の課金条件を確認します。

パッケージに業務を合わせられる場合は、個別開発より導入後の保守が読みやすくなります。一方、独自の請求計算や特殊な承認経路を無理に合わせると、手作業が残り、別のExcelが増えることがあります。デモでは標準画面だけでなく、利用者の異動、二重申請、請求差異、解約後の履歴閲覧といった例外ケースを操作してもらいます。

個別開発は自社固有の業務と連携に絞ります

個別開発は、複数キャリアの注文・開通・停止を共通フローで制御したい場合、既存の人事・会計・MDMと深く連携したい場合、または自社が通信サービスを提供する場合に向いています。ただし、画面を自由に作れることと、運用を長く維持できることは別問題です。キャリアの仕様変更、クラウド基盤の更新、脆弱性対応、担当者の交代を前提に、保守費用と運用体制まで見積もりに含めます。

通信事業者向けでは、顧客管理・課金・請求を担うBSSと、サービス注文・開通・リソース管理を担うOSSを分けて設計する考え方があります。TM ForumのService Ordering Management API(TMF641)は、サービス注文の作成・更新・取得と通知を標準化するAPIとして整理されています(出典: TM Forum「Service Ordering Management API」、本稿確認時点の公開情報)。標準APIをそのまま採用できない場合でも、注文、在庫、開通の境界を明確にする設計の参考になります。

回線管理システムを発注してから導入するまでの進め方

回線管理システム開発の進行イメージ

発注後は、要件定義、設計・開発、移行・テスト、リリース・運用の順に進めます。工程を分けるのは、成果物と判断ポイントを明確にし、要件が固まる前に実装費用を膨らませないためです。特に回線管理では、画面の完成よりもデータの正しさ、外部連携の失敗時処理、月次請求の再現性が重要になります。

要件定義ではライフサイクルとデータ責任者を決めます

要件定義では、申込、承認、発注、開通、利用、請求、異動、休止、解約、返却、廃棄を一つのライフサイクルとして図にします。各状態を誰が更新し、キャリア側の情報と不一致になったとき誰が修正するかを決めます。回線ID、電話番号、ICCID、利用者IDなどの主キー候補も整理し、同じ回線を複数の台帳が別名で持つ状態を解消します。

この工程では、業務部門、情報システム、購買、経理、セキュリティ、現場拠点の代表者を集めます。担当者の記憶だけで要件を作ると、退職者の回線返却や請求先変更のような例外が漏れます。要件定義の成果物として、業務フロー、データ項目表、権限一覧、連携一覧、移行方針、受入れ条件、未決事項一覧を残します。

開発・移行・テストを小さく区切ります

設計・開発では、最初から全キャリアと全拠点を対象にせず、代表的な業務を縦に通します。たとえば「新規モバイル回線の申請から開通、利用者への割当、請求への反映」までを一つのシナリオとして完成させ、その後に休止や解約を追加します。これにより、画面だけ完成してデータ連携が残る状態を早く発見できます。

移行では、既存Excelの重複、表記ゆれ、終了済み回線、欠損した契約日を洗い出し、クレンジングのルールを合意します。テストでは、正常系だけでなく、同じ回線の二重申請、API停止、請求ファイルの欠落、利用者の異動と同時に発生するプラン変更、権限のない担当者による閲覧を確認します。受入れ条件には「正しく登録できる」だけでなく、「失敗時に再処理でき、誰が対応したか追跡できる」ことを含めます。

リリース後の運用担当と変更手順を残します

リリース前には、回線台帳のデータオーナー、キャリア連携の監視担当、月次請求の確認担当、権限申請の承認者、ベンダーへの問い合わせ窓口を決めます。APIやCSVが失敗したときに、手動でキャリア管理画面を操作するのか、翌営業日に再送するのかも運用手順に記載します。初月は並行稼働を行い、新旧の台帳・請求額・開通件数を照合すると安心です。

導入後にキャリアを追加する場合の変更手順も、契約前に決めておきます。追加費用の算定単位、接続試験の期間、データ項目の差分対応、障害時の連絡先、保守時間、仕様変更の通知期限を契約書や保守仕様書へ反映します。運用が属人化しないように、管理者向けマニュアルとデータ辞書を納品物に含めます。

契約形態は準委任・請負・保守を工程ごとに使い分けます

システム開発の契約と責任分界を確認するイメージ

契約形態は、発注者がすべてを一括で決めるものではなく、要件の確定度と成果物の性質に合わせて選びます。要件が曖昧な段階で完成責任を一社に負わせると、仕様変更の扱いと追加費用で対立しやすくなります。要件整理やPoCは準委任、仕様と成果物が固まった実装・テストは請負、リリース後は保守運用契約という段階的な組み合わせが使いやすい形です。

要件定義やPoCは準委任が合いやすいです

準委任は、受託者が専門的な業務を遂行する契約で、要件定義、現状分析、PoC、プロジェクト管理、技術支援に向いています。回線数やキャリア仕様を調査しながら最適な構成を決める段階では、作業内容と稼働時間、会議体、報告物、意思決定者を明確にします。成果を保証する契約ではないため、何をもって月次の作業を完了とするかを作業計画書に記載します。

準委任で注意したいのは、発注者と受託者の役割が曖昧になり、実質的な指揮命令や責任の押し付けにならないことです。発注者は業務上の判断と優先順位を持ち、受託者は調査・設計・実装の専門性を提供します。会議の議事録、課題管理表、決定事項を残し、後から「言った・言わない」にならないようにします。

請負と保守では成果物と責任分界を具体化します

請負契約にする工程では、完成させる機能、対象ブラウザ、連携範囲、移行対象、テスト項目、納期、検収条件、瑕疵や不具合への対応を明記します。「回線管理機能一式」では比較も検収もできないため、画面一覧、API一覧、データ項目表、エラー処理、操作ログ、マニュアルなどに分解します。仕様変更が起きた場合の見積もり方法と納期調整も、変更管理の手順として合意します。

保守契約では、問い合わせ受付時間、一次回答と復旧の目標、重大障害の定義、キャリア仕様変更への対応、セキュリティパッチ、バックアップ復元、月次レポート、追加開発の単価を確認します。ソースコード、設計書、データベース定義、API仕様、クラウド環境の設定、ログの所有権と利用権も確認します。外注先を変更できるよう、データを標準形式で取り出せる条件を契約に入れておくと安心です。

回線管理システムの費用相場と見積もりの内訳

回線管理システムの費用を見積もるイメージ

回線管理システムの初期費用は、一般企業向けのSaaS導入・設定で100万〜500万円程度、回線台帳ポータルの部分開発で300万〜800万円程度、マルチキャリア連携を含む業務システムで800万〜2,000万円程度が一つの目安です。通信事業者向けに課金、プロビジョニング、冗長化、24時間運用まで含めると、3,000万円〜1億円超になる場合もあります。これは回線管理システム固有の公表価格ではなく、2026年の業務システム相場と機能・連携難度を組み合わせた編集上の推定です。

導入パターンごとの初期費用を比較します

標準台帳、権限、CSV取込、少量のデータ移行に絞ったクラウド導入は、100万〜500万円程度で収まる可能性があります。申請・承認、拠点や利用者とのひも付け、請求CSV、通知、人事や会計との連携を含む部分開発は、300万〜800万円程度が目安です。キャリアごとのAPIやEDI、開通・休止・解約の自動化、請求照合、段階移行を含めると800万〜2,000万円程度を見込む必要があります。

一般的な業務Webシステムについても、小規模は100万〜300万円、中規模は300万〜800万円、大規模は800万円〜数千万円という公開相場があります(出典: イー・ジーシステム「システム開発の費用相場と見積書の読み方(2026年版)」、2026年6月)。回線管理では、ここにキャリア連携、請求照合、データクレンジング、セキュリティ、運用設計が加わります。したがって、回線数だけを掛けて費用を予測する方法は適切ではありません。

月額費用と5年TCOを忘れません

初期費用以外には、SaaS利用料、クラウド利用料、キャリアの接続費、監視、バックアップ、保守、問い合わせ対応、API仕様変更、追加キャリアの接続、セキュリティ診断、教育費が発生します。SaaSの場合は月額5万〜50万円程度の利用料・運用費を置く推定もありますが、回線数、ユーザー数、機能、サポート範囲で変わるため、個別見積もりが必要です。安い初期費用だけで判断すると、運用開始後に総額が逆転する可能性があります。

相見積もりでは、初期費用、5年間の利用料、保守、キャリア追加、障害対応、データ移行、社内工数を合わせた5年TCOで比較します。見積書は「開発一式」ではなく、要件定義、設計、実装、テスト、移行、教育、運用保守、クラウド・ライセンスに分かれているかを確認します。費用相場の公開情報でも、人月単価、必要工数、付帯費用が基本要素であり、要件定義の精度で金額が倍以上動く場合があると説明されています(出典: イー・ジーシステム、2026年)。

委託先の選び方と見積比較のポイント

回線管理システムの委託先を比較するイメージ

委託先は、会社の知名度や提案書の見栄えだけでなく、回線業務の理解、データ移行、キャリアとの調整、運用保守、セキュリティまで一貫して対応できるかで選びます。標準サービスの導入を得意とする会社、業務システムの個別開発に強い会社、通信事業者向けBSS・OSSに強い会社、回線の購買や運用代行に強い会社では、得意な契約範囲が異なります。

実績は自社と似た条件で確認します

実績確認では、「通信業界の実績があります」という説明だけで終わらせず、回線数、キャリア数、固定・モバイル・IoTの区分、請求照合の方法、既存システムとの連携、移行期間、稼働後の保守体制を質問します。一般企業の回線台帳と、通信事業者の課金・加入者管理は別の知識が必要です。自社がどちらに近いかを判断し、同じ規模と複雑さの事例を見せてもらいます。

公開事例では、NTTデータのMana PlaSが拠点、回線、機器の構成情報だけでなく、オーダー・問い合わせ、故障、工事日程の管理まで扱っています(出典: NTTデータ「Mana PlaS」、本稿確認時点の公開情報)。また、NTTドコモビジネスのdocomo IoT回線管理プラットフォームは、ドコモ回線と海外通信事業者回線を一元管理し、通信量の把握、開通・一時停止、イベント通知やAPI連携を案内しています(出典: NTTドコモビジネス「docomo IoT回線管理プラットフォーム」、本稿確認時点の公開情報)。このように、標準サービスを使える範囲を先に切り分けると、不要なスクラッチ開発を抑えられます。

見積比較は金額・範囲・リスクを同じ表で並べます

見積比較表には、要件定義、UI・データ設計、開発、キャリア連携、請求照合、データ移行、テスト、教育、リリース支援、保守、クラウド、ライセンスを行ごとに並べます。各社の見積書をそのまま比べるのではなく、含まれる機能、対象キャリア、移行件数、テストの範囲、納期、発注側の作業をそろえます。金額が安い会社については、何が除外されているかを質問することが重要です。

キャリア連携や既存基幹システムとの接続を経験した会社は、技術だけでなく関係者調整の進め方も確認します。日立ソリューションズのMVNO事例では、社内基幹システムや各サービスとの連携、auとのオンライン接続調整に手間がかかった一方、標準機能を活用し、後にNTTドコモ回線を加えたマルチキャリア化を進めています(出典: 日立ソリューションズ「BSSsymphony オプテージ導入事例」、公開事例)。提案時に、キャリア側の検証環境や接続試験を誰が主導するかを確認します。

発注時に確認したいセキュリティとデータ所有権

回線情報のセキュリティと権限を確認するイメージ

回線管理システムには、電話番号、利用者名、所属、端末情報、請求情報、通信量、場合によっては通信の秘密に関係する情報が含まれます。発注時は、保存データの種類、暗号化、管理者権限、操作ログ、委託先の再委託、バックアップ、ログの保存期間、インシデント報告、退去時の消去方法を確認します。利用者・承認者・運用管理者・ベンダーの権限を分離し、閲覧と更新を同じ権限にしない設計が基本です。

権限・監査・個人情報の扱いを要件にします

権限は、全社管理者、拠点管理者、部門担当者、承認者、閲覧者、外部委託先などの役割で設計します。たとえば、拠点担当者は自拠点の利用者と回線だけを更新でき、経理担当者は料金と請求を閲覧できる一方、SIMの開通操作はできない、といった分離です。重要操作には二者承認や多要素認証を設定し、誰がいつ何を変更したかを後から追える状態にします。

RFPには、委託先が本番データを扱う場面、開発環境での匿名化、再委託先の所在、海外クラウドの利用、脆弱性診断の結果、障害時の報告期限を記載します。請求データのサンプルを渡すときは、電話番号や利用者名をマスキングし、テスト後の削除を確認します。法令やガイドラインの適用関係は事業形態によって異なるため、契約前に自社の法務・セキュリティ担当と委託先で確認します。

データと成果物を自社で使い続けられるようにします

契約書には、回線情報、請求データ、操作ログ、設定情報、設計書、ソースコード、API仕様書の所有権と利用権を記載します。SaaSでは、契約終了後にどの形式でデータを返却できるか、返却までの期間と費用、バックアップの削除時期を確認します。個別開発では、第三者ライブラリのライセンスや、ベンダーが共通部品を再利用する範囲も明確にします。

キャリアやサービスの追加を自社で判断できるよう、データ辞書と連携仕様を納品物に含めます。ベンダーが変わった場合でも、別の会社が引き継げる設計書、テスト結果、運用手順、アカウント一覧があれば移行リスクを下げられます。発注時に将来の出口を考えることは、不要な囲い込みを避けるだけでなく、システムを長く使うための保険になります。

よくある質問(FAQ)

回線管理システムのよくある質問を確認するイメージ

回線管理システムの発注では、対象範囲、費用、契約、データ移行に関する質問が多く寄せられます。自社の回線数だけで判断せず、キャリア数と業務の複雑さを基準に検討します。

回線管理システムの開発費用は回線数だけで決まりますか?

いいえ、回線数だけでは決まりません。キャリア数、APIやCSVの数、請求照合の複雑さ、データ移行の汚れ、権限、24時間運用、冗長化、既存システムとの連携によって工数が変わります。回線数が少なくても連携先が多ければ高くなり、標準APIとSaaSを使える場合は回線数が多くても抑えられる可能性があります。

RFPがない状態でも開発会社へ相談できますか?

相談できますが、回線数、キャリア数、現在の管理方法、困っている業務、連携したいシステム、予算と希望時期の最低限は整理しておくと、初回提案の精度が上がります。RFPを自社だけで完成させる必要はなく、要件定義や現状分析を準委任で外注し、その成果物をもとに実装会社を選ぶ方法もあります。

回線管理システムは請負契約で一括発注するべきですか?

要件が固まっていない段階での一括請負は、必ずしも適切ではありません。要件整理・PoCは準委任、仕様が確定した実装・テストは請負、リリース後は保守契約に分けると、追加費用や責任分界を管理しやすくなります。一括発注する場合でも、成果物、検収条件、仕様変更、キャリア側の遅延、データ移行の責任を契約書で明確にします。

複数キャリアの回線を一つのシステムで管理できますか?

管理できますが、各キャリアのAPI、CSV、EDI、状態名称、料金明細、開通・停止の処理方式を共通モデルへ変換する設計が必要です。まず1社の代表回線でPoCを行い、データ項目と例外処理を確認してから対象を広げます。外注先には、追加キャリアの接続費用、検証環境、接続試験、仕様変更対応、障害時の再送方法を質問します。

まとめ

回線管理システムの発注をまとめるイメージ

発注前に対象範囲と比較条件を決めます

一般企業向けの台帳・申請管理なのか、通信事業者向けのOSS・BSSなのかを分け、回線数、キャリア数、連携先、請求照合、自動化範囲をRFPに記載します。委託先には同じ条件で提案してもらい、初期費用だけでなく、移行、保守、追加連携、社内工数を含む5年TCOで比較します。

導入後の運用と出口まで契約で守ります

要件定義・PoCは準委任、仕様確定後の開発は請負、稼働後は保守というように工程を分けると、成果物と責任分界が明確になります。データ所有権、エクスポート、障害対応、キャリア仕様変更、引き継ぎ条件まで確認し、担当者が変わっても回線情報を安全に使い続けられる状態を作ります。

回線管理システムを発注・外注するときは、最初に一般企業向けの回線台帳・業務ポータルなのか、MVNO・通信事業者向けのOSS・BSSなのかを分けます。そのうえで、回線数、キャリア数、連携先、請求照合、自動化範囲、データ移行、セキュリティを整理し、RFPに落とし込みます。

発注形態は、標準化できる範囲ならSaaSやパッケージ、固有業務や複数キャリア連携には個別開発を組み合わせます。契約は、要件定義・PoCを準委任、仕様確定後の開発を請負、稼働後を保守と工程ごとに分けると管理しやすくなります。見積もりは初期費用だけでなく、移行、保守、キャリア追加、クラウド、社内工数を含む5年TCOで比較します。

委託先を選ぶときは、似た回線数・キャリア数・業務範囲の実績、連携試験の進め方、データ所有権、障害対応、引き継ぎ条件を確認します。回線管理を単なる台帳の置き換えにせず、申込から解約までの業務を安全に流す基盤として設計することが、導入効果と長期運用の両方につながります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。