回線管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

回線管理システムの発注は、業態と対象範囲を決め、RFPや方式・契約を整理してから段階的に導入する流れで進みます。この順番を守ると、提案を同じ条件で比べやすくなり、安全な運用にもつながります。

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回線管理システムを発注する前に整理すべき全体像

回線管理システムは、拠点、利用者、端末をひも付けて扱うシステムです。キャリア、料金、請求先も、そこに結び付けて管理します。さらに、契約更新日と障害履歴も同じ台帳で扱うため、電話番号やSIMの一覧を管理するだけの台帳とは役割が異なります。

社内の申請・承認からキャリアへの発注、請求確認までをつなぐ業務基盤です。そのため、誰がどの回線をどの業務で使い、何を自動化するかを先に決めておくと、提案を比べやすくなります。

一般企業向けと通信事業者向けの違い

必要な機能は、発注主体の業態によって大きく変わります。提案の範囲を定めるため、業態と機能の区分として次の4つを取り上げ、違いを確認します。

  • 一般企業:固定回線、法人携帯、Wi-Fi、IoT SIMを契約単位で管理し、異動や拠点開設の申請、部門への配賦、未使用回線の発見を効率化します。
  • 台帳・業務管理:回線、SIM、端末、利用者、拠点の検索とワークフロー、CSVやAPIによる請求取込、権限管理が中心です。
  • 通信事業者:顧客、料金、請求、SIM発行、開通・停止、ネットワーク接続を扱い、SLAや24時間監視も対象に含みます。
  • フルMVNO:HLR/HSSなどの加入者DBを自社で運用します。一般企業の台帳に比べて、通信仕様や障害時の責任分界が重くなります。

発注書の冒頭で対象の業態を示しておくと、機能の過剰な提案や見積もりの不足を避けられます。

目的と対象範囲の数値定義

効果を測るKPIは、次の5つの観点から選び、2〜4個に絞ります。

  • コスト:回線費用と部門への配賦の見直し
  • 解約:不要回線の止め忘れの防止
  • 開通:申請から回線が使えるまでの時間の短縮
  • 請求:差異の削減と照合作業の短縮
  • IoT回線:利用状況に応じた自動停止の目標

たとえば、請求照合を5営業日から1営業日にする、異動者の変更依頼を翌営業日までに処理する、未使用回線を毎月一覧にする、といった目標を置きます。目的が曖昧なまま機能を増やすと、成果につながりにくくなります。

外注先には、回線数とキャリア数、拠点数を伝えます。固定・モバイル・IoTの内訳や利用者数も、提案の前提になる情報です。請求連携や既存データの形式、自動化の範囲も、あわせて伝えておきます。

1,000回線でもキャリアが1社なら、標準の連携で対応できる可能性があります。一方で、300回線でも4社の請求ファイルと個別APIを扱うと、設計や試験の負荷は高くなります。

ポイント

発注主体が一般企業か通信事業者かで、必要な機能と責任の範囲が大きく変わります。対象の業態と目的を先に決めておけば、各社の提案を同じ条件で比べられます。

回線管理システムの発注前にRFPと要件を整理する方法

RFPには、現状の課題と対象データ、業務フローを書きます。そのうえで、連携条件や非機能要件、納品物、提案してほしい選択肢も記載します。画面の指示を並べただけの文書にはしないようにします。

Excelや契約更新の一覧、キャリア請求のサンプルを、可能な範囲で添付します。申請書も添えます。機密情報がある場合は、NDAを締結したあとに匿名化したデータを渡します。

RFPの記載項目(データ・業務・連携・非機能)

RFPのデータ要件には、次の項目を含めます。

  • 識別情報:法人、拠点、回線ID、電話番号、ICCID、IMSI、MSISDN
  • 回線情報:SIM/eSIM、端末、キャリア、料金プラン、開通・更新・解約日
  • 利用・請求先:利用者、部門、請求先

データ項目とあわせて、各情報の管理者と更新方法も整理しておきます。

業務要件には、申込から廃棄までの流れと、各工程の担当者を記載します。流れの中には、プラン変更や休止、再開といった途中の変更も含めます。

連携要件には、接続先ごとの接続方式と更新頻度を記載します。キャリアのAPIやCSV、EDIに加えて、人事・購買・会計、MDM、ITSMも対象になります。

非機能要件では、利用者数や同時接続数といった規模を決めます。あわせて、バックアップや復旧目標、保守時間、障害連絡といった運用の条件も定めます。セキュリティ面では、監査ログや権限分離、暗号化、脆弱性対応を決め、データ出力の扱いも定めます。

利用者情報や通信の秘密を適正に扱う基本事項は、次のガイドラインに示されています(出典: 個人情報保護委員会・総務省「電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドライン」令和5年最終改正)。

通信事業者が関わる案件では、RFPのレビューに法務とセキュリティの担当者も加えます。

サンプルデータとPoCの条件

提案依頼の精度を上げるには、代表キャリア1社などに絞った小規模なPoCを条件に入れておくのが有効です。

  • 対象データ:代表キャリア1社、固定またはモバイル回線各1種類、請求1か月分
  • 業務ケース:開通・休止・解約をそれぞれ1ケース
  • 検証項目:名寄せ・請求額の突合・APIエラーの再送ができるか、承認から反映まで何分かかるか
  • 接続準備:検証環境、認証情報、レート制限、保守通知、エラーコード、窓口
  • 将来拡張:キャリア追加を見込むなら、注文と在庫を分けたデータモデル

画面の見栄えより、実データを取り込むときの例外処理を重視します。API仕様書や再送方法も、事前に確認しておきます。

キャリアごとに項目名や状態の意味が異なります。そのため、社内の「開通」「停止」「解約」と外部の状態を対応づけた表を作っておくと、移行後の混乱を抑えられます。

ポイント

RFPはデータ・業務・連携・非機能の4区分で記載漏れを確かめ、PoCの条件も提案の前に決めておくと、比べやすい提案を受け取れます。

発注形態の比較:SaaS・パッケージ・個別開発

発注形態には、クラウドサービス、パッケージの設定・拡張、ローコード、フルスクラッチがあります。一つに絞り込むのは後回しにして、標準化できる業務と自社固有の領域を分けて考えます。

一般企業では、標準的な台帳やワークフローにサービスを使い、キャリアや会計との連携だけを個別開発する構成が現実的です。

SaaS・パッケージの標準機能と制約

SaaSやパッケージは短期間で始めやすく、バックアップや基盤の保守を自社で抱えずに済む利点があります。台帳、検索、権限、申請、通知、CSV取込がそろえば、数か月単位で運用を始められる可能性があります。

  • 契約・費用:API対応範囲、データ保管場所、項目追加、退会時の出力、料金改定、課金条件の確認
  • 業務との適合:業務をパッケージに合わせられるかどうか。合わせられれば、個別開発より保守を読みやすくなります。
  • 例外ケース:異動、二重申請、請求差異、解約後の履歴閲覧のデモ操作

独自の請求計算や特殊な承認経路を無理に合わせると、手作業や別のExcelが残ることがあります。

自社固有の業務と連携に絞る個別開発の範囲

個別開発を検討するのは、自社固有の業務や連携がある場合です。とくに次のようなケースに向いています。

  • 複数キャリア:注文・開通・停止の共通フローによる制御
  • 社内システム連携:人事・会計・MDMとの深い接続
  • 通信サービス提供:自社サービスの運用基盤の構築

自由に画面を作れることと、長期運用できることは別です。キャリア仕様の変更や基盤の更新、脆弱性対応、担当者の交代を想定し、保守費用と体制も見積もります。

通信事業者向けでは、顧客管理や課金、請求を担うBSSと、注文や開通、リソース管理を担うOSSを分けて考える方法があります。

TM ForumのService Ordering Management API(TMF641)は、注文の作成、更新、取得と通知の仕組みを標準化しています(出典: TM Forum「Service Ordering Management API」、本稿確認時点の公開情報)。標準APIを採用できない場合でも、注文・在庫・開通の境界を決める際の参考になります。

ポイント

標準化できる業務はSaaSやパッケージに任せ、自社固有の業務と連携だけを個別開発に絞るのが現実的です。個別開発では、稼働後の保守費用と体制まで見積もる必要があります。

回線管理システムを発注してから導入するまでの進め方

要件定義から設計と開発、移行とテストを経て、リリースと運用へ進む工程図。
工程ごとに区切ると、実装前の確認点を置きやすくなります。

発注後は、まず要件定義を行います。設計と開発を経たあと、移行とテストに進みます。最後に、リリースと運用へ移ります。工程ごとに判断点を分けておくと、要件が確定する前に実装費用が膨らむのを防げます。

回線管理では、画面の完成よりも、データの正確さや連携失敗時の処理、月次請求の再現性が重要です。

要件定義のライフサイクルとデータ責任者

要件定義では、申込から廃棄までのライフサイクルを図にします。そのうえで、状態を更新する人と、キャリア情報を修正する担当を決めておきます。

  1. 申込、承認、発注、開通、利用、請求の流れの整理
  2. 異動、休止、解約、返却、廃棄の状態と、それぞれの担当者の決定

回線ID、電話番号、ICCID、利用者IDなどは、主キーの候補として整理します。こうして、複数の台帳が同じ回線を別名で持つ状態を解消します。

業務、情報システム、購買、経理、セキュリティ、拠点の代表者を集めます。担当者の記憶だけでは漏れやすい例外として、退職者の回線返却や請求先の変更なども確認します。

成果物には、業務フローとデータ項目表、権限一覧、連携一覧を含めます。あわせて、移行方針と受入条件、未決事項一覧も残しておきます。

開発・移行・テストの区切り方

まずは代表的な業務を一連の流れで通し、全キャリアや全拠点への展開は後回しにします。新規モバイル回線の申請、開通、利用者への割当、請求反映を先に作り、そのあとで休止や解約を加えます。

こうすると、画面だけ完成して連携が残っている状態を早い段階で見つけられます。移行の前には、Excelの重複や表記ゆれ、終了済みの回線、契約日の欠損を洗い出し、補正ルールを合意します。

テストでは、二重申請、API停止、請求ファイルの欠落、異動とプラン変更の同時発生、権限外の閲覧を確認します。失敗したときの再処理と、対応者の追跡も受入条件に含めます。

リリース後の運用担当と変更手順

導入後に運用を特定の担当者だけに頼らないよう、担当者や対応手順、契約条件を決めておきます。

  • 担当者:データオーナー、連携監視、月次請求確認、権限申請の承認者、ベンダー窓口
  • 失敗時の対応:API・CSVが失敗したとき、手動で操作するか、翌営業日に再送するかを手順に書く
  • 初月の照合:並行稼働による新旧台帳、請求額、開通件数の突き合わせ
  • キャリア追加:契約前に変更手順を決め、費用単位、試験期間、項目差分、障害窓口、保守時間、通知期限を契約書などに反映
  • 引継ぎ資料:管理者向けマニュアルとデータ辞書の納品

契約形態の使い分け:準委任・請負・保守

契約形態は、要件の確定度と成果物に合わせて選びます。曖昧な段階で完成責任を一社に負わせると、仕様変更や追加費用をめぐって対立しやすくなります。

要件整理やPoCは準委任、仕様が確定したあとの実装やテストは請負、リリース後は保守運用の契約とする組み合わせが使いやすい形です。

要件定義・PoCと準委任契約

準委任は、専門業務を遂行する契約です。要件定義や現状分析、PoC、プロジェクト管理、技術支援に向いています。調査をしながら構成を決める段階にも適しています。

  • 作業条件:作業内容、稼働時間、会議体、報告物、意思決定者の明確化
  • 月次の完了条件:成果を保証する契約ではないため、作業計画書に記載
  • 役割分担:実質的な指揮命令や責任の押し付けを避けたうえで、発注者は判断と優先順位を持ち、受託者は専門性を提供
  • 記録:議事録、課題管理表、決定事項を残し、後からの認識違いを防ぐ

請負と保守の成果物と責任分界

請負工程では、機能、対象ブラウザ、連携範囲、移行対象を明記します。さらに、テスト、納期、検収、不具合対応の取り決めも入れます。

成果物は、「回線管理機能一式」のような大くくりを避け、画面、API、データ項目、エラー処理、ログ、マニュアルごとに分けます。

  • 仕様変更:見積方法と納期調整を含む変更管理手順の合意
  • 保守対応:受付時間、一次回答・復旧目標、重大障害の定義、キャリア仕様変更、セキュリティパッチ、バックアップ復元、月次レポート、追加開発単価の確認
  • 権利と引継ぎ:ソースコード、設計書、DB定義、API仕様、クラウド設定、ログの所有権と利用権の取り決め
  • データ出力:標準形式で書き出す条件を契約に入れておけば、委託先を変えるときの備えになります。

ポイント

要件が固まっていない段階で完成責任を一社に負わせると、後の仕様変更で対立が起きやすくなります。工程ごとに準委任、請負、保守を分けると、どこまでを誰が負うかが明確になります。

回線管理システムの費用相場と見積もりの内訳

クラウド導入から通信事業者向けまで、導入パターン別の初期費用の幅を4枚のパネルで示した図。
導入範囲が広がるほど、費用の目安も上がります。

初期費用の目安は、一般企業向けSaaSの導入・設定が100万〜500万円程度、台帳ポータルの部分開発が300万〜800万円程度です。マルチキャリア連携を含む業務システムは800万〜2,000万円程度で、通信事業者向けに課金、プロビジョニング、冗長化、24時間運用まで含めると、3,000万円〜1億円超の場合もあります。

ただし、この金額は回線管理に限った公表価格ではありません。2026年の業務システム相場と、機能や連携の難度を組み合わせた編集上の推定です。

導入パターンごとの初期費用

標準機能だけを使う場合から、複数の連携を伴う開発までを、導入範囲ごとに比べます。

  • クラウド導入:標準台帳、権限、CSV取込、少量移行に絞ると、100万〜500万円程度で収まる可能性があります。
  • 部分開発:申請・承認、拠点・利用者連携、請求CSV、通知、人事・会計連携で300万〜800万円程度です。
  • 連携を含む業務システム:キャリアごとのAPI・EDI、開通・休止・解約の自動化、請求照合、段階移行で800万〜2,000万円程度です。

業務Webシステムの公開相場は、小規模が100万〜300万円、中規模が300万〜800万円、大規模が800万円〜数千万円です。出典は、イー・ジーシステムの2026年6月公開記事「システム開発の費用相場と見積書の読み方(2026年版)」です。

回線管理には、キャリア連携や請求照合、データ整備、セキュリティ、運用設計が加わります。そのため、回線数だけを掛けて費用を予測する方法は適切ではありません。

月額費用と5年TCO

初期費用だけでは稼働後の負担が見えないため、ランニング費用も見積もります。ランニング費用は、利用基盤、接続・変更、運用、導入後の支援の4つに分けて見ます。

  • 利用基盤:SaaS・クラウド利用料、監視、バックアップ
  • 接続・変更:キャリア接続、追加キャリア、API仕様変更
  • 運用:保守、問い合わせ、障害対応
  • 導入後の支援:セキュリティ診断、教育、データ移行、社内工数

SaaSの月額利用料や運用費は、5万〜50万円程度とする推定もあります。ただし、回線数やユーザー数、機能、サポート範囲で変わるため、個別の見積もりが必要です。総額を判断するには、ランニング費用まで含めて見ることが欠かせません。

相見積もりは、5年TCOで比べます。5年TCOには、初期費用と5年間の利用料、保守、キャリア追加が含まれます。さらに、障害対応やデータ移行、社内工数も合わせて見ます。

見積書は「開発一式」とまとめず、工程ごとに分かれているかを確認します。区分の対象は、要件定義から運用保守、クラウド・ライセンスまでです。

公開相場では、人月単価と必要工数、付帯費用が基本の要素とされています。要件定義の精度によって、金額が倍以上動くこともあります(出典: イー・ジーシステム、2026年)。

ポイント

初期費用は導入範囲で大きく変わるため、対象範囲を決めてから相場を見ます。比べるときは初期費用だけでなく、保守やキャリア追加を含む5年TCOで並べます。

委託先の選び方と見積比較のポイント

委託先は、知名度や提案書の見栄えだけでなく、回線業務、データ移行、キャリア調整、保守、セキュリティへの対応力で選びます。

委託先によって得意な契約範囲は異なります。標準サービス、個別業務システム、通信事業者向けBSS・OSS、回線購買・運用代行のどれが中心かを見ておきます。

実績の確認条件

「通信業界の実績があります」という説明だけで判断せず、次の4つの条件を確認します。

  • 規模と回線種別:回線数、キャリア数、固定・モバイル・IoTの内訳
  • 業務と連携:請求照合、既存システム連携、データ移行期間
  • 稼働後の支援:保守体制と運用範囲
  • 業態の適合:一般企業の台帳か、通信事業者の課金・加入者管理か

Mana PlaSは、拠点や回線、機器を管理するサービスです(出典: NTTデータ「Mana PlaS」、本稿確認時点の公開情報)。注文や問い合わせ、故障、工事日程の扱いも含まれます。

docomo IoT回線管理プラットフォームは、ドコモや海外通信事業者の回線を一元管理するとしています。通信量や開通・一時停止、イベント通知、API連携についても案内しています(出典: NTTドコモビジネス「docomo IoT回線管理プラットフォーム」、本稿確認時点の公開情報)。

一般企業の回線台帳と通信事業者の課金・加入者管理では、必要な知識が異なります。そのため、自社に近い規模と複雑さの事例を見せてもらいます。

標準サービスで対応できる範囲を先に切り分けておくと、不要なスクラッチ開発を抑えられます。

金額・範囲・リスクを同じ表で並べる見積比較

比較表には、費用の内訳と各社の対象範囲をそろえて書きます。行は、要件定義、UI・データ設計、開発の順に並べます。そのうえで、キャリア連携と請求照合、移行の行を分けます。さらに、テストや教育、リリース支援の行も加えます。保守、クラウド、ライセンスも、同じ表で比べられるようにします。

機能や対象キャリア、移行件数は、各社で条件をそろえます。テスト範囲や納期、発注側の作業も並べて比べます。安い見積もりでは、除外範囲を質問します。あわせて次の点も確認します。

  • 連携経験:キャリアや既存基幹との接続試験を、どこまで手がけてきたか
  • 試験の主導者:検証環境の準備と接続試験の担当者
  • 関係者調整:キャリア側との仕様確認や連絡の進め方

日立ソリューションズのMVNO事例では、基幹システムや各サービスとの連携、auとの接続調整に手間がかかりました。その後は、標準機能を使ってNTTドコモ回線を加え、マルチキャリア化しています(出典: 日立ソリューションズ「BSSsymphony オプテージ導入事例」、公開事例)。

発注時に確認したいセキュリティとデータ所有権

電話番号や利用者、端末、請求、通信量を中心に、管理者権限、操作ログ、バックアップ、退去時の消去を周囲に配置した図。
アクセス管理から利用終了後の消去まで、対策の範囲が続きます。

回線管理システムには、電話番号や利用者、所属、端末、請求、通信量などが含まれます。通信の秘密に関わる場合もあるため、保存データや暗号化、管理者権限、ログの扱いを確認します。さらに、再委託やバックアップ、保存期間、事故報告、退去時の消去まで見ておきます。

利用者、承認者、運用管理者、ベンダーの権限は分けて設計します。閲覧と更新を同じ権限にしないことが、基本です。

権限・監査・個人情報の扱い

利用者の役割やデータの扱いに沿って、権限と個人情報の要件を定めます。

  • 役割:全社・拠点・部門の管理者、承認者、閲覧者、委託先の設計
  • 権限分離:拠点担当者は自拠点の利用者・回線だけを更新し、経理は料金・請求を閲覧してもSIMを開通できない設計にします。
  • 監査と安全管理:操作ログの保存や脆弱性対応など、必要な措置を取り決める
  • サンプルと適用確認:サンプル情報の安全な扱いと、法令等の適用の確認

重要操作には二者承認と多要素認証を設定し、操作履歴を追えるようにします。RFPには、本番データを扱う場面や開発環境での匿名化、再委託先を書きます。海外クラウド、脆弱性診断結果、障害時の報告期限も記載します。

請求サンプルの電話番号や氏名はマスキングし、テスト後の削除も確認します。法令等の適用は事業形態によって異なるため、契約前に法務・セキュリティ担当と委託先で確かめます。

データと成果物の所有権と利用権

契約には、回線や請求のデータ、ログ、設定の所有権と利用権を記載します。設計書やソースコード、API仕様についても、同じように所有権と利用権を定めます。SaaSでは、終了時の出力形式や期間、費用、バックアップ削除の時期を確認しておきます。

個別開発では、第三者ライブラリのライセンスと、共通部品を再利用する範囲も決めておきます。データ辞書や連携仕様は、納品物に含めます。

設計書やテスト結果、運用手順、アカウント一覧がそろっていれば、別の会社も引き継ぎを進めやすくなります。将来の出口を契約時に考えておくことは、長期利用の備えになります。

よくある質問(FAQ)

発注では、対象範囲や費用、契約、移行について質問が多く出ます。判断するときは、回線数だけでなく、キャリア数と業務の複雑さも基準にします。

回線管理システムの開発費用は回線数だけで決まりますか?

いいえ。工数を左右するのは、キャリア数やAPI・CSVの数、請求照合です。加えて、移行データの状態や権限、24時間運用、冗長化、既存連携も工数に響きます。

回線が少なくても連携先が多ければ、費用は上がります。一方で、標準APIとSaaSを使える場合は、多回線でも抑えられる可能性があります。

RFPがない状態でも開発会社へ相談できますか?

相談できます。回線数やキャリア数、現在の管理方法、困っている業務を整理しておくと、初回提案の精度が上がります。連携先や予算、希望時期も、あわせて伝えます。

RFPを自社だけで完成させる必要はありません。要件定義や現状分析を準委任で依頼し、その成果物をもとに実装会社を選ぶ方法もあります。

回線管理システムは請負契約で一括発注するべきですか?

要件が固まらない段階での一括請負が、適切とは限りません。要件整理やPoCは準委任、確定仕様の実装やテストは請負、稼働後は保守に分けると、管理しやすくなります。

一括で発注する場合も、成果物や検収条件、仕様変更、追加費用、キャリア側の遅延、データ移行の責任は、契約書で明確にしておきます。

複数キャリアの回線を一つのシステムで管理できますか?

管理できます。そのためには、各社のAPIやCSV、EDIを、共通のモデルへ変換する設計が必要です。加えて、状態名や料金明細、開通と停止の方法も、同じモデルの中で対応づけます。

代表回線1社でPoCを行い、データ項目と例外処理を確認してから広げます。追加費用、検証環境、接続試験、仕様変更、障害時の再送方法も外注先に尋ねます。

まとめ

発注前の対象範囲と比較条件

まず、一般企業の台帳・申請管理か、通信事業者向けのOSS・BSSかを分けます。そのうえで、回線数やキャリア数、連携先、請求、自動化の範囲をRFPに記載します。

委託先には同じ条件で提案を出してもらい、移行や保守、追加連携、社内工数を含む5年TCOで比べます。

導入後の運用と出口の契約条件

発注範囲から契約、運用、終了時の引継ぎまでを、一続きで設計します。導入効果と長期運用につなげるため、次の点を合意します。

  • 対象とRFP:業態を分けたうえで、回線数、請求、連携、自動化、移行、セキュリティを定義
  • 方式と費用:標準領域はSaaSなど、固有業務は個別開発とし、5年TCOで比べる
  • 契約工程:要件・PoCは準委任、確定仕様の開発は請負、稼働後は保守とし、成果物と責任分界も決める
  • 委託先:実績と連携試験の進め方を確認し、発注範囲に合う会社を選ぶ
  • 運用と出口:所有権、出力、障害対応、仕様変更、引継ぎ条件を契約に定める

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。