整備管理システム開発の完全ガイド

整備管理システムは、車両や設備の台帳と点検・整備の履歴をつなぎ、法定記録を残す仕組みです。対象業務を、車両保有企業・整備工場・設備部門ごとに先に決めると、安全と稼働率の改善に役立ちます。

開発の要点は、種類と機能、進め方、方式と費用、開発会社の選び方、発注時の確認事項、導入後のKPI、よくある質問の順に並べています。

▼関連記事一覧
・整備管理システム開発の進め方
・整備管理システム開発でおすすめの開発会社6選と選び方
・整備管理システム開発の見積相場・費用
・整備管理システム開発の発注・外注・委託方法

整備管理システムの概要

整備管理システムは、資産台帳と点検・整備の業務フローを結び付ける仕組みです。対象が変われば必要な機能も変わるため、誰が何を管理するかを先に定めておく必要があります。

車両保有企業・整備工場・設備部門それぞれの目的

管理する情報は対象ごとに異なるため、主な業務を次のとおり分けて考えます。

  • 車両保有企業:車両台帳、走行距離、点検、整備履歴が管理の対象です。
  • 整備工場:顧客・車両カルテを起点に、作業や請求の業務を扱います。
  • 設備部門:稼働時間、メーター値、保全基準、停止時間を対象にします。

物流会社、バス会社、営業車を多く保有する企業では、ドライバーや拠点との紐付けも必要になります。

整備工場では、入庫予約、受付、作業指示、見積、部品発注、次回点検案内までを一連の流れとして扱います。

台帳と予定・実績・原価の連携

改善につなげるには、台帳に登録したあとの点検の実施から、費用の記録までを結び付けておく必要があります。

  • 点検予定:資産に応じた予定を自動で生成します。
  • 現場入力:スマートフォンやタブレットから結果を記録します。
  • 証跡と費用:写真や診断結果を添付し、承認後に履歴と費用に反映します。

作業時間、部品費、外注費、停止時間を同じ資産に紐付けておくと、故障が多い設備や保全費が増えた車両を見つけやすくなります。

車両を対象にする場合は、点検結果と整備概要を記録し、定められた期間保存します。国土交通省によると、3か月・6か月点検の対象車は点検整備記録簿を1年、1年点検の対象車は2年保存する必要があります(出典: 国土交通省「点検整備の種類」)。

法定の保存期間を満たすだけでなく、生涯履歴として検索できる設計にしておくと、再発防止や監査にも活用できます。

ポイント

対象が車両か設備か、整備工場の業務まで含めるかを決め、台帳・点検・履歴をどこまでつなぐかを定めると、必要な機能を絞りやすくなります。

整備管理システムの主な種類と機能

整備管理システムの機能を、台帳と期限通知、点検と整備履歴、部品・原価と外部連携の3領域で示した図。
資産情報から整備記録、原価や外部サービスとの接続までを領域別に把握できます。

必要な機能は、対象資産と業務範囲に応じて組み合わせます。たとえば、車両保有企業の期限管理と整備工場の受付・請求では、画面もデータ構造も異なります。

車両・設備台帳と期限通知

台帳と期限通知では、資産の属性、契約、整備時期をひとまとめにして管理します。

  • 資産情報:資産番号、分類、型式、購入日、場所、担当部署を登録します。
  • 期限:車検、点検、定期交換、校正、保険、リースの期日を追います。
  • 通知:期限順の一覧、未対応アラート、拠点別の遅延件数を表示します。

走行距離や稼働時間を基準にした点検周期にも対応しておくと、カレンダーだけでは見えにくい整備時期を把握できます。

点検入力・作業指示・整備履歴

点検から修理完了までの流れを記録しておくと、異常への対応と過去の判断をさかのぼって追えます。

  • 点検記録:日常・定期点検をテンプレート化し、担当者、実施日時、走行距離・稼働時間、判定、コメント、写真を記録します。
  • 異常対応:作業指示、承認、再点検、完了確認の順に進めます。
  • 履歴検索:修理、交換部品、原因、費用を、資産ごとに時系列で見られます。

履歴をさかのぼれれば、同じ故障の再発や、担当者による判断の差を減らせます。

部品・原価・外部連携

部品と原価の管理範囲を決めておくと、整備案件の採算を見やすくなり、外部サービスとの接続方法も整理できます。

  • 部品:在庫数、発注点、入出庫、代替品を管理します。
  • 原価:作業時間、部品費、外注費を整備案件ごとに集計します。
  • 外部連携:会計、勤怠、運行管理、GPS、テレマティクス、OBDなどと接続します。

見積や請求まで扱うなら、顧客、車両、作業、部品、売上を二重に入力しないよう、データ設計を最初に固めます。

連携では、APIとCSV、手入力の境目を決めるとともに、エラーが出たときの再処理の方法も定めておきます。

連携先の候補には、電子車検証や部品発注サービスもあります。

整備管理システム開発の進め方

対象資産と業務範囲の定義から、現状業務と法令要件の棚卸し、MVPとPoCによる現場検証、移行・教育・全拠点展開の設計へ進む流れ図。
現場で小さく検証してから、移行と全拠点への展開を設計します。

機能を先に決めて現場の業務を後から合わせると、必要な例外処理が抜けるおそれがあります。そこで、対象資産、利用者、法令記録、転記ミスや入力漏れを先に確かめ、小さく検証してから拡張します。

開発は、企画、要件定義、方式選定を含む一連の流れとして計画します。そのうえで、設計・開発から運用評価までを次の順に進めます。

  • 設計・開発:画面とデータの設計と、その後の開発
  • 移行:既存データの新しいシステムへの移し替え
  • 教育:異常報告や障害時の代替手順を、現場で実演して伝えること
  • 運用評価:導入後の効果を業務KPIで確かめること

1. 対象資産と業務範囲の定義

まず、対象資産と業務を特定し、システムで扱う範囲を決めます。

  1. 車両、工場設備、またはその両方のうち、管理対象を決めます。
  2. 車両なら台数、車種、拠点、運行形態、担当者、外注先を確認します。
  3. 設備なら分類、場所、稼働時間、保全基準、停止の事業影響を整理します。
  4. 整備工場なら、予約、受付、見積、作業、検査、請求、次回案内のどこまでを対象にするかを定めます。

2. 現状業務と法令要件の棚卸し

情報がどこに保管され、資産ごとにどんな記録が必要かを明らかにします。

  • 現行情報:紙の点検票、Excel、メール、チャット、会計ソフトに散らばった情報を洗い出します。
  • 車両記録:点検整備記録簿、OBD点検、走行距離、整備概要を整理します。
  • 設備記録:保全基準、校正履歴、異常時の対応記録をそろえます。

国土交通省は2021年10月1日からOBD点検を定期点検項目に加え、2024年10月にOBD検査を開始しています(出典: 国土交通省「点検整備の種類」「自動車の電子的な検査」)。そのため、診断結果や確認者を追跡できる構造が必要です。

3. MVPの設定とPoCによる現場検証

初期機能を絞り、代表的な拠点や資産を使って現場で試します。

  • 初期機能:マスタ、期限通知、点検入力、異常報告、履歴、権限、帳票を優先します。
  • 検証範囲:1拠点、10〜30台程度、または代表的な設備数台が対象です。
  • 操作確認:1分程度で入力できるか、不安定な通信時も一時保存できるか、翌日の期限を見られるかを見ます。

点検入力から履歴検索までは、実データで確かめます。

AIによる予測保全や高度な分析は、正しい履歴が継続して蓄積されてから追加しても遅くありません。

4. データ移行・教育・全拠点展開の設計

移行対象を優先度で分けたうえで、データの品質と現場の運用手順を確かめます。

  • 移行対象:台帳、直近の点検、未完了修理、期限、重要な部品履歴から選びます。
  • データ整備:マスタの責任者を決め、重複番号を統合して、件数と紐付けを照合します。
  • 現場教育:異常報告、入力漏れ、障害時の代替手順を実演で伝えます。

移行対象は、過去の履歴をすべて移すのではなく絞り込みます。すべて移すと、形式の違いや欠損値の整理に時間がかかるためです。また、操作説明だけでなく、実務で使う手順をテスト環境で確かめておきます。

▶ 詳細はこちら:整備管理システム開発の進め方

ポイント

機能を先に決めると例外処理が抜けやすいため、対象と法令記録を押さえてから小さく試し、そのあとで広げる順番を目安にすると進めやすくなります。

パッケージ・クラウド・スクラッチの選び方

方式選定では、標準機能で満たせる業務と独自に残す業務を分けることが中心になります。標準業務なら既製サービス、複数拠点や連携が必要ならクラウド、独自業務が差別化要因なら個別開発が候補になります。

標準業務に向くSaaS・パッケージ

台帳、期限管理、日報、定型点検、整備履歴が中心で、業務をあまり変えたくない場合に向いています。短期間で始めやすく、更新やバックアップを自社だけで担わずに済みます。

特殊な点検項目や複雑な承認、独自帳票は、制約になりやすい部分です。拠点ごとの権限や深い基幹連携も、実データを使ったデモで確かめます。

複数拠点や連携に向くクラウド・ハイブリッド

拠点ごとに整備担当者がいて本社が全体を確認する場合は、クラウド上の共通データベースが使いやすくなります。

位置情報や運行データは外部サービスから受け取り、計画・履歴・原価は独自の画面で管理する方法もあります。

連携先のAPI仕様や通信費、データの保持期間は、先に確かめておきます。エラー通知やサービス停止時の運用も、事前に決めておきます。連携できること自体を目的にしないよう注意が必要です。

独自業務に向く個別開発

独自フロー、複数法人の権限、複雑な基幹連携が差別化要因なら、個別開発で要件に合わせられます。特殊設備の保全基準や独自の収益管理がある場合も、個別開発の候補になります。

自由度が高い分、要件定義、テスト、移行、保守の責任も増えます。そこで、標準機能で足りる部分は既製サービスを使い、独自性の高い部分だけを開発すると、初期費用と運用負担のバランスを取りながら進められます。

ポイント

標準機能で済む業務はSaaS・パッケージ、複数拠点や連携はクラウド・ハイブリッド、独自業務が差別化要因なら個別開発と、業務ごとに方式を分けて考えると整理できます。

整備管理システムの費用相場とコストの内訳

整備工場向けパッケージの50〜200万円程度、小規模カスタムの200〜500万円程度、中規模の複数拠点の500〜2,000万円程度、大規模開発の2,000万円以上という初期費用の参考レンジを4段階で示した図。
個別開発の規模が大きくなるほど、初期費用の参考レンジも上がります。

費用は、方式や台数、拠点、利用者の規模で変わります。連携、移行データ、帳票、保守範囲でも増減します。公的な統一相場はないため、ここに示すのは2026年時点の公開料金と類似業務の開発目安による参考レンジです。

SaaSの月額と個別開発の初期費用は、同じ尺度では比べられません。そのため、導入後3〜5年の総額で比べます。

方式別の初期費用と期間の目安

方式と規模によって、初期費用、月額・保守費、導入期間の参考値は異なります。

  • 既製SaaS:初期費用0〜50万円程度、月額数千円〜数万円程度、即日〜2か月程度です。
  • 整備工場向けパッケージ:初期50〜200万円程度、月額または保守1〜5万円程度、1〜3か月程度です。
  • 小規模カスタム:200〜500万円程度、3〜6か月です。
  • 中規模の複数拠点:500〜2,000万円程度、6〜12か月です。
  • 大規模開発:複数法人やIoT連携を含む場合、2,000万円以上、12か月超になることがあります。

公開料金例には、車両管理の初期費用が0円で、10アカウントから月額5,500円(税込)のサービスもあります(出典: 2026年に確認した車両管理サービス公開料金)。

この料金は標準的な車両管理向けのもので、整備工場の予約や作業指示、部品、請求、独自連携を含む開発費とは比べられません。比べるときは、対象業務と含まれる範囲をそろえます。

見積書の初期・連携・移行・保守の内訳

見積の内訳を分けると、初期構築と導入後に必要な費用を比較できます。

  • 初期費用:企画・要件定義、画面とデータ設計、開発、テスト、導入設定、教育が含まれます。
  • 移行・端末:Excel整形、データ移行、スマートフォンやバーコード端末の設定が発生します。
  • 連携・運用:GPS、OBD、アルコール検知器、会計・勤怠・運行システムとのAPI、クラウド利用料、通知費用、独自帳票にかかる費用です。

見積書の項目が一式にまとめられている場合は、作業範囲、件数、単価、成果物、追加条件を分けてもらいます。

段階開発による初期費用とリスクの抑制

法定・安全・証跡に直結する機能から始め、追加機能を段階に分けると、初期の範囲を絞れます。

  • 第1段階:台帳、期限、点検、履歴を整えます。
  • 第2段階以降:部品・原価分析、外部連携、予測保全を追加します。

▶ 詳細はこちら:整備管理システム開発の見積相場・費用

ポイント

費用は方式と規模で大きく変わるため、初期費用だけでなく、月額、保守、連携、移行を含む導入後3〜5年の総額で比べると、方式の違いを見誤りにくくなります。

整備管理システムの開発会社・サービスの選び方

選定では、整備業務を理解しているか、現場で使える形にできるか、移行後も運用を支えられるかを確かめます。サービス事業者、標準機能を拡張する会社、個別開発会社は、それぞれ得意な領域が異なります。

整備業務と現場入力への理解

提案の段階で、業務の流れと現場での使い方をどこまで理解しているかを確かめます。

  • 業務データ:車両・設備、点検周期、異常、作業、部品、承認、帳票の扱いを聞きます。
  • 現場操作:片手で操作できるか、屋外や工場内で通信が途切れても入力が消えないかを見ます。
  • 部門連携:運行管理、総務、経理、拠点責任者それぞれのデータ利用を説明できるかが焦点です。

紙からの移行方法と、写真、部品、外注、承認、帳票の扱い方も確かめます。

移行・教育・保守の体制

開発実績に加えて、データ移行から障害対応までの責任範囲を確かめます。

  • 導入支援:データ整形、マスタ統合、現場教育の進め方を聞きます。
  • 契約終了:標準形式でのデータ出力と、写真・帳票を含む返却の方法を聞きます。
  • 保守範囲:監視、バックアップ、脆弱性対応、軽微な改修、問い合わせ対応の時間を見ます。

障害時の復旧、アップデートの責任分界、目標復旧時間は、契約書に明記しておきます。

同じ前提での提案比較

候補先すべてに共通の条件を示すと、提案と費用の違いを比べやすくなります。

  • 前提条件:台数、拠点、利用者を統一します。移行件数、連携先、帳票、希望時期も、各社に同じ条件で示します。
  • 費用項目:初期費用、月額、端末・通信、API、データ移行、教育、保守、追加改修の単価を並べます。
  • 実務検証:可能であれば、候補先ごとにデモと異常報告の受入テストを行い、実務で使える機能かを確かめます。

▶ 詳細はこちら:整備管理システム開発でおすすめの開発会社6選と選び方

整備管理システムの発注・外注・委託の進め方

発注前に業務の前提と成果物をそろえ、複数の候補先から同じ条件で提案を受けます。丸投げにすると、現場の暗黙知や例外処理が抜けやすく、完成後に追加費用が膨らむおそれがあります。

RFPには、業務フローやデータ項目、利用者、権限を記載します。さらに、連携、非機能要件、テスト方法、保守条件も書き込みます。

RFPの対象範囲・成果物・受入条件

RFPに対象、業務、要件、納品物、受け入れ方法を書いておけば、各社の提案範囲を揃えられます。

  • 対象と要件:資産の種類・件数、拠点、利用者、課題、必須・将来機能を示します。
  • 設計・運用:移行、連携、画面、帳票、権限、監査ログ、バックアップ、セキュリティを記載します。
  • 納品物:要件定義書、仕様書、データ定義書、テスト結果、操作マニュアルなどを指定します。

ソースコードや設定情報を納品物に含めるかも決めます。受入条件は、代表車両の登録、異常報告、承認後の履歴・原価・帳票への反映など、業務シナリオで書きます。機能があるかどうかだけでは、実務で使えるかを判断しにくいためです。

契約・データ・セキュリティの条件

契約形態、検収、データの所有権は、契約前に確かめておきます。契約後にトラブルになりやすい事項も、書面に残しておく必要があります。

  • 変更の扱い:仕様変更が起きたときの扱い方
  • 遅延時の対応:納期が遅れた場合の進め方
  • 再委託:開発の一部を別の会社に任せる場合の条件
  • 知的財産の扱い:成果物の権利を、誰が持つかの取り決め

契約終了時の返却と消去、障害や漏えいが起きたときの報告期限も、契約前に決めておきます。

位置情報や利用者、顧客、整備内容、写真を扱う場合は、アクセス権限を必要最小限に絞ります。そのうえで、拠点や法人の分離、多要素認証、通信時と保存時の暗号化を、要件に含めます。さらに、操作ログ、バックアップ、復元テストも、必要な要件として挙げておきます。

PoCと評価基準による発注先の選定

業務理解、移行力、保守体制を同じ評価基準で比べます。価格は、その一項目として扱います。

  • 評価軸:業務理解、要件化、現場UI、移行、連携、保守、説明の透明性を見ます。
  • 配点例:業務適合性30点、移行・定着支援20点、技術・セキュリティ20点、費用20点、体制10点という配分の例があります。
  • PoC:入力時間、エラー復旧、帳票の正確性、検索性を実際に比べます。

提案の段階で小規模なPoCを行えば、提案内容を実データで評価できます。

▶ 詳細はこちら:整備管理システム開発の発注・外注・委託方法

ポイント

発注前に業務の前提と成果物をそろえ、同じ条件で複数の候補先に提案を受けると、提案の中身と費用を比べやすくなります。

導入後は、稼働状況だけでなく業務が改善したかも確かめます。現場入力率や期限超過を測るほか、故障、停止時間、紙・転記工数、部品在庫、整備費を導入前後で比べます。

データがたまったあとに故障の傾向や交換時期を分析すれば、AIや予測保全も改善の対象になります。

導入効果の業務KPI

業務に合った指標を選び、導入前の値と定期的に比べます。

  • 業務進捗:点検実施率、期限超過、異常報告から作業指示までの時間を見ます。
  • 整備品質:完了までの時間、停止時間、再修理率を追います。
  • コストと工数:紙帳票、入力・集計工数、部品欠品率、在庫金額を測ります。

車両保有企業では、1台あたりの整備費、稼働率、突発故障件数も有効です。

設備部門では、平均修復時間、計画保全比率、予防保全による停止回避時間を追います。

導入前の1〜3か月を基準値にして、月次で確認します。そうすれば、効果を説明しやすくなります。

企画・設計段階からのセキュリティ

扱うデータには、車両の位置や顧客、担当者の情報が含まれます。ほかにも、次のデータを扱います。

  • 作業記録:作業時間、部品費、外注費、停止時間
  • 写真:点検や修理の証跡として添付する写真
  • 契約:契約書や契約内容の情報
  • 費用:見積、請求、原価に関わる情報

セキュリティ対策は、企画・設計の段階から組み込みます。

IPAの2026年4月公開の実践例では、企画・設計段階の脅威分析、アクセス制御、監視、クラウド設定、インシデント対応を開発プロセスに組み込む方法が示されています(出典: IPA「セキュリティバイデザインを標準とする、クラウドベースの開発プロセス」)。

誰がどのデータを閲覧、変更、出力できるかを決めておきます。

運用を始めたあとの脆弱性対応とログ確認についても、担当者を決めておく必要があります。

クラウド化や車両データの活用は、台帳と履歴の整備後に段階的に進めます。

  • 基盤:正確な台帳と履歴を整えます。
  • 連携:OBDの診断結果や走行・稼働データを取り込みます。
  • 分析:データを確認したうえで、分析や予測保全に進みます。

2025年に公表されたバス整備管理システムの事例では、車両台帳をクラウド化し、利用企業の増加に合わせてリソースを拡張する構成が示されています(出典: 2025年に公表されたバス整備管理システムのクラウド移設事例)。

データ欠損や機器の互換性を確かめずに高度化すると、誤判定や運用負担が増えるおそれがあります。

整備管理システムに関するよくある質問

対象業務や台数によって、適した構成は変わります。導入前によく出る疑問を、判断の基準とあわせて見ていきます。

整備管理システムはパッケージと開発のどちらが良いですか?

標準的な台帳、期限、点検、履歴で足りるなら、導入が早く費用も抑えやすいパッケージが向いています。一方で、独自承認や特殊点検、複雑な基幹連携、複数法人の権限が必要なら、カスタム開発やハイブリッドを検討します。

実データを使ったデモで標準機能との適合度を確かめると、過剰な開発を防ぎやすくなります。

整備管理システムの開発費用はどのくらいですか?

既製SaaSは初期0〜50万円程度、月額数千円〜数万円程度です。小規模開発は200〜500万円程度、中規模は500〜2,000万円程度が目安です。

台数、拠点、利用者によって費用は変わります。ほかに、次の項目でも増減するため、見積の項目を分けて比べます。

  • 移行:Excel整形とデータ移行の費用
  • 端末:スマートフォンやバーコード端末の設定
  • API:会計・勤怠・運行システムとの接続費
  • 帳票:独自帳票の作成費用
  • 保守:監視、バックアップ、脆弱性対応などの範囲

MVPを導入して効果を見てから第2段階へ進む方法もあります。

紙やExcelの整備履歴を移行できますか?

移行はできますが、紙の情報をそのまま取り込めるとは限りません。そのため、台帳、期限、未完了作業、直近の重要履歴を優先し、重複や表記ゆれ、欠損、日付形式を整えます。

古い記録は画像やPDFで保管し、検索が必要な項目だけを構造化する方法もあります。

移行後は、件数や資産との紐付け、日付、金額をサンプルで検証します。

法定点検に対応するには何を記録すべきですか?

まず、対象資産、点検日・点検者・項目・判定、走行距離または稼働時間を定義します。そのうえで、異常、整備概要、部品、承認者、添付資料、保存期間も決めます。

車両では、OBD診断結果や車検・定期点検の対象条件も確認します。制度は変わることがあるため、仕様を固める前に、所管の制度と現場責任者とで最新の要件を確かめます。

まとめ

整備管理システムは、台帳のデジタル化にとどまらず、点検予定、現場入力、作業指示をつなぐ基盤です。ほかにも、次の機能を同じ基盤で結びます。

  • 履歴と部品:点検や修理の履歴と、部品の在庫・入出庫
  • 原価:作業時間、部品費、外注費を整備案件ごとに集計
  • 法定記録:点検整備記録簿などの保存
  • 権限:誰がどのデータを閲覧、変更、出力できるかの範囲
  • 外部連携:会計、勤怠、運行管理、GPS、OBDなどとの接続

安全性と稼働率の向上を、これらの機能が支えます。

法定・安全・証跡を外さない最小構成からの始め方

まず、対象資産、業務、法令記録、利用者、台数、拠点を定義します。そのうえで、台帳、期限、点検、異常報告、履歴をMVPとして検証し、現場に定着したあとで、部品・原価、連携、分析・予測保全を追加します。

標準業務ならSaaS・パッケージ、連携や複数拠点ならクラウド・ハイブリッド、独自業務なら個別開発が、方式の候補になります。

見積・発注前の準備

見積は、初期開発と月額を分けて、同じ前提で提案を比べます。残りの費用は、次の項目ごとに確かめます。

  • 端末・通信:スマートフォンやバーコード端末の設定と、通信にかかる費用
  • API:会計・勤怠・運行システムとの接続にかかる費用
  • 移行:Excel整形とデータ移行の費用
  • 教育:現場教育の費用
  • 保守:監視、バックアップ、脆弱性対応などの範囲

機能の数に加えて、入力のしやすさや記録の精度、期限漏れ、停止時間、工数もKPIで確かめます。

現場が毎日入力し、管理者が判断に使えるデータを継続して蓄積できるかが、システムの成果を左右します。

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株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。