資材管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

資材管理システム開発は、調達・在庫・使用の課題を整理したうえで、要件定義から運用まで段階を追って進めます。

  • 課題整理:在庫の過不足、発注漏れ、棚卸にかかる工数を把握する
  • 要件定義:MRP、発注点、入出庫、棚卸、ベンダー管理の機能を整理する
  • 段階導入:既存システムとの連携と現場の運用を検証しながら展開する

MRP(資材所要量計画)、発注点管理、入出庫管理の機能を1つのシステムにまとめ、棚卸とベンダー管理も同じ基盤で扱うと、調達コストの適正化と業務効率化につながります。

▼全体ガイドの記事をご覧ください:資材管理システム開発の完全ガイドをご確認ください。

資材管理システム開発の全体像と開発方式の選択

資材管理システムの開発は、要件の複雑さや既存システムとの連携度合いによって、採用する開発方式が大きく変わります。まずは全体像と代表的な開発アプローチを押さえておきましょう。

ウォーターフォールとアジャイルの比較

資材管理システムの開発方式は、ウォーターフォールとアジャイルの2つが代表的です。ウォーターフォールは、要件定義→設計→開発→テスト→リリースの順に、各工程を順次進める方式です。工程ごとに仕様書・設計書を確定させるため、業務要件が明確な場合や、既存のERP・基幹システムとの連携が多い場合に適しています。

一方、アジャイルは短い反復(スプリント)を繰り返しながら機能を段階的にリリースする方式です。要件が変わりやすい場合や、早期に一部の機能を使い始めたい場合に向いています。

資材管理システムは業務プロセスが複雑で、既存システムとの整合性も重要です。そのため、全体の設計はウォーターフォールで固め、フロントエンドや管理画面などはアジャイルで柔軟に開発する、ハイブリッドのアプローチが採用されるケースも増えています。

開発期間の目安

資材の種類数と連携範囲によって期間が変わるため、規模別の目安を見ていきます。

  • 小規模(資材種類〜500点・基本入出庫管理のみ):3〜5ヶ月 — 要件定義・設計1ヶ月、開発1.5〜2.5ヶ月、テスト・リリース0.5〜1ヶ月
  • 中規模(資材種類500〜3,000点・MRP・発注管理・ベンダー連携):6〜10ヶ月 — 要件定義・設計2ヶ月、開発3〜5ヶ月、テスト・リリース1〜3ヶ月
  • 大規模(3,000点以上・ERP/多拠点/IoT連携):12〜18ヶ月以上 — 要件定義・設計3〜4ヶ月、開発7〜10ヶ月、テスト・リリース2〜4ヶ月

ERPや生産管理システムとデータを連携する場合は、連携仕様の調整に想定外の時間がかかることが多いです。そのため、スケジュールには余裕を持たせておく必要があります。

ポイント

開発方式は、要件の複雑さと既存システムとの連携度合いで選びます。業務要件が明確で連携が多ければウォーターフォール、要件が変わりやすければアジャイルが向きます。

フェーズ1:要件定義の進め方

要件定義は、開発プロジェクト全体の方向性を決める最重要フェーズです。この段階でミスや抜け漏れがあると、後工程での手戻りや追加コストにつながります。

資材管理システムの要件定義は、現行業務の棚卸しと課題の明確化から始めます。

現行業務の棚卸しとAs-Is/To-Beの整理

要件定義の第一歩は、現行の資材管理業務を見える化することです。資材の調達から棚卸しまでの手順を業務フローとして整理し、どこに課題(在庫差異・発注漏れ・二重入力など)が起きているかを特定します。

現状(As-Is)と理想の姿(To-Be)を並べて整理すると、システムが解決すべき課題が明確になります。

ヒアリング対象は、倉庫担当や購買担当など多岐にわたります。生産管理担当や経理担当も含まれるため、部門横断のワーキンググループを設けて、関係者全員の意見を集める必要があります。

機能要件と非機能要件の整理

資材管理システムの機能要件の代表例は、①資材マスタ管理、②入庫・出庫管理、③在庫管理・棚卸です。残りの④発注管理(発注点管理・MRP)、⑤ベンダー管理、⑥レポート・分析機能も代表的です。各機能については、誰が、いつ、どのように使うかを具体的に定めておきます。

非機能要件では、同時接続ユーザー数やレスポンスタイム、データ保持期間を定めます。さらに、バックアップ頻度やセキュリティ要件(アクセス権限・監査ログ)、可用性(稼働率SLA)も、同じ段階で決めておきます。

これらは後工程のインフラ設計やテスト計画に直結するため、曖昧なまま残さないようにします。

ポイント

要件定義では、現行業務を見える化できたか、機能と非機能の内容を誰でも判断できる形にしたかが目安です。曖昧な点を残したまま設計に進むと、後工程の手戻りにつながります。

フェーズ2:設計フェーズの進め方(基本設計・詳細設計)

資材管理システムの基本設計で扱う画面設計、帳票設計、データ連携設計、モバイル対応を4枚のパネルで示した図。
端末対応も基本設計の検討項目に含まれます。

要件定義が承認されたら、設計フェーズに進みます。設計は「基本設計(外部設計)」と「詳細設計(内部設計)」の2段階で行われます。資材管理システムでは、データモデル設計とシステム連携設計が大切になります。

基本設計(外部設計)のポイント

基本設計では、システムの全体構成を決めたうえで、画面設計や帳票設計、データ連携設計を行います。画面設計では、ユーザーインターフェースのプロトタイプを作成し、実際の業務担当者にレビューしてもらいます。こうして早い段階で確かめておくと、後工程での仕様変更リスクを減らせます。

資材管理システムでは、バーコード・QRコードのスキャンやハンディターミナルとの連携も一般的です。そのため、モバイル対応や端末対応の設計も、早期に検討する必要があります。

データモデル設計とERP連携設計

資材管理システムの中核はデータモデルで、資材マスタ(品目コード・品名・規格・単価・保管場所)や在庫テーブル(ロット管理・有効期限・保管場所別在庫数)の関係を、論理ER図で整理します。入出庫履歴テーブルや発注テーブル、ベンダーマスタなども、同じ図に含めます。

在庫数の整合性を保つトランザクション設計(同時更新時の排他制御)は、慎重に設計する必要があります。

ERPや生産管理システムと連携する場合は、どのデータを、どのタイミングで、どの方向に、どのフォーマットで連携するかを「インターフェース設計書」にまとめます。APIのリアルタイム連携なのか、バッチファイル連携なのかで、実装工数が大きく変わります。このため、連携先システムの担当者と早めに合意しておく必要があります。

ポイント

設計では、画面を業務担当者に確かめてもらえたか、データと外部連携の仕様を書面に残したかが目安です。連携方式で実装工数が大きく変わるため、連携先との合意も早めに取っておきます。

フェーズ3・4:開発・テストフェーズの進め方

資材管理システムのテストが単体テスト、結合テスト、システムテスト、UATの順に進む流れ図。
各段階を経て、業務担当者による確認へ進みます。

設計が完了したら、開発(コーディング)フェーズに入ります。資材管理システムの開発では、在庫の整合性、トランザクション管理、既存システムからのデータ移行が、特に大きな技術的課題になります。

開発フェーズの主要ポイント

開発フェーズでは、コア機能(在庫管理・入出庫管理)を優先して実装し、発注管理やベンダー管理、レポート機能を段階的に追加する順序が一般的です。

資材マスタのデータ登録(既存Excelデータのインポート)は、プロジェクト全体で最も手間のかかる作業の一つです。そのため、データクレンジング(重複や表記揺れの統合)の時間を、スケジュールに必ず確保してください。

バーコード・QRコードスキャン機能の実装では、端末(Android/iOS)の対応状況やスキャンライブラリの選定が大切です。また、Wi-Fiが届きにくい倉庫内など、オフライン環境での動作要件がある場合は、ローカルキャッシュの設計が必要になります。

テスト戦略(単体・結合・ユーザー受け入れテスト)

テストフェーズは、単体テスト(各モジュール)→結合テスト(機能間連携)→システムテスト(全体動作)→UAT(ユーザー受け入れテスト)の順で進みます。

資材管理システムでは、在庫数の整合性テストと、既存システムとのデータ連携テストが欠かせません。在庫数の整合性テストでは、複数のユーザーが同時に入出庫操作を行っても在庫数がずれないかを確かめます。

UATでは、実際の業務担当者が本番に近い環境でシステムを操作し、業務フローに沿った動作を確認します。UATで見つかる不具合や要件の認識のずれは修正コストが高いため、設計レビューの段階で業務担当者を巻き込んでおくと、UATでの手戻りを減らせます。

ポイント

開発とテストでは、在庫数の整合性と既存システムとの連携を、最初からテスト計画に組み込めているかが目安です。データ登録やクレンジングの時間を見込んでいるかも、判断材料になります。

フェーズ5:リリース・運用フェーズの進め方

データ移行と切り替え計画に含まれる品目コードの統一、重複データの排除、在庫数の棚卸し確認、旧新システムの並行稼働をチェック項目で示した図。
移行前のデータ整備と切り替え時の運用を分けて確認できます。

テストが完了したら、いよいよリリースに進みます。資材管理システムは業務の根幹を担うため、リリース前後のデータ移行、ユーザートレーニング、切り替え計画が成否を左右します。

データ移行と切り替え計画

既存のExcelや旧システムから新システムへデータを移す際は、事前にデータクレンジングを徹底する必要があります。まず、資材マスタの品目コードを統一し、重複データを排除したうえで、在庫数の棚卸し確認も移行前に終えておきます。

切り替えは、週末や生産停止期間に行うケースが多くあります。リスクを抑える方法としては、旧システムと新システムを一定期間並行稼働させる「パラレル運用」も有効です。

運用・保守フェーズの体制づくり

リリース後は、ヘルプデスク対応や定期的な機能追加、障害対応の流れを、あらかじめ明確にしておく必要があります。

外注開発の場合は、保守契約の内容(対応時間・SLA・月次費用)を、開発契約と同時に確認しておくことが欠かせません。また、運用中に発生した改善要望を定期的にシステムに反映する「継続的改善サイクル」を社内で仕組みにすると、システムの長期的な価値を保てます。

ポイント

リリースでは、データ移行を移行前に終えられているか、保守の体制と契約内容を決めているかが目安になります。切り替えの時期とパラレル運用の要否も、リリース前に決めておくべき点です。

まとめ:資材管理システム開発を成功させるポイント

資材管理システムの開発を成功させるには、要件定義で業務課題を徹底して整理し、データモデル設計の精度を高めることが大切です。あわせて、ERPや生産管理システムとの連携設計を早い段階で合意しておく必要があります。

開発方式(ウォーターフォール・アジャイル・ハイブリッド)を、業務要件の複雑さや変化の速さに合わせて柔軟に選ぶことが、プロジェクトの成否を大きく左右します。

リリース後の運用・保守まで見据えた体制づくりと、データ移行計画の周到な準備は、投資対効果を最大化するカギです。

資材管理システム開発のパートナー選定や進め方でお悩みの方は、製造業・物流業のシステム開発実績が豊富な株式会社リプラに、お気軽にご相談ください。

▼全体ガイドの記事をご覧ください:資材管理システム開発の完全ガイドをご確認ください。

会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。