マスターデータ管理システム(MDM)の発注・外注は、製品を買うだけでなく、対象データの定義、名寄せ、承認、連携、運用体制までを一つの業務設計として委託することが成功の条件です。発注範囲と責任分界を先に決めれば、見積金額の比較がしやすくなり、導入後に追加費用や現場負荷が膨らむリスクも抑えられます。
「顧客名や商品コードがシステムごとに違う」「Excelで補正してから集計している」「新しい取引先の登録が担当者任せになっている」といった課題を解決するため、MDMの開発を外部へ依頼する企業が増えています。本記事では、発注形態の選び方、RFPと要件整理、契約形態、2026年時点の費用相場、委託先選定、見積比較、発注後の運用までを、実際に依頼を進める順番に沿って解説します。なお、本稿でいうMDMはMaster Data Management(マスターデータ管理)であり、モバイル端末管理ではありません。
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マスターデータ管理システム(MDM)の発注で最初に決めることは何ですか?

MDMの発注前に決めるべきことは、対象ドメイン、正とするデータ、接続するシステム、業務上の責任者、導入後に測る効果の五つです。ここが曖昧なまま「顧客と商品を全部統合したい」と依頼すると、各社が異なる前提で提案するため、金額も納期も比較できなくなります。最初から全社の全データを対象にするのではなく、1ドメインと2〜3システムの小さな範囲で始める計画が現実的です。
発注対象をデータ・仕組み・運用に分けます
発注範囲は、(1)データ診断・クレンジング・名寄せ、(2)MDM製品の設定または開発、(3)ERPやCRMなどとの連携、(4)申請・承認ワークフロー、(5)移行・テスト、(6)教育・保守・品質監視に分解してください。たとえば、製品ライセンスは自社で契約し、連携と移行だけをSIerへ委託する方法もあります。反対に、製品選定からデータモデル、運用設計まで一括で委託する方法もあります。どこまでを外注するかを明記すると、見積書の項目が揃いやすくなります。
データオーナーと承認者を先に決めます
MDMはシステム部門だけでは完成しません。顧客、製品、取引先などの各ドメインについて、データの定義を決めるオーナー、日々の登録や品質確認を担うデータスチュワード、例外を承認する業務責任者を割り当てます。たとえば「正式な会社名は登記情報を優先する」「商品単位は販売単位と在庫単位を分ける」といったルールを業務側が決め、委託先はそのルールをシステムとワークフローに実装します。責任者が決まらないまま発注すると、受託会社が業務判断まで抱え、後から仕様変更になりやすくなります。
MDMの発注形態はパッケージ・クラウド・スクラッチをどう選びますか?

発注形態は、既製のMDM製品を導入するか、クラウドサービスを組み合わせるか、独自システムを開発するかで整理できます。比較の軸は、機能数ではなく、対象データの複雑さ、既存システムとの接続、変更頻度、運用人材、将来の拡張性です。製品を導入しても、データ定義と名寄せルールが整わなければ品質は改善しないため、製品と導入支援を別々に評価してください。
パッケージ型は標準機能と実績を活用します
SAP Master Data Governance、Informatica MDM、IBM InfoSphere MDM、Oracle系などのパッケージは、標準データモデル、名寄せ、承認、品質管理、監査の機能を利用しやすい選択肢です。ERPがSAP中心ならSAPの既存ライセンスやパートナー体制と整合させ、大規模なマルチドメイン管理なら複数の業種・データモデルに対応できる製品を比較します。標準機能に業務を合わせることで短期化できる一方、独自画面や例外処理を追加しすぎると、製品のアップデートや保守が難しくなります。RFPには標準機能で対応できる範囲と追加開発の範囲を分けて回答してもらいます。
クラウド型は初期環境と拡張性を確認します
クラウド型は、サーバー調達や環境構築の負担を抑え、対象ドメインや利用量に応じて拡張しやすい点が魅力です。ただし、月額料金だけで判断すると、データ移行、API利用、追加環境、バックアップ、障害時の復旧、退去時のデータエクスポートが抜け落ちます。保存場所、再委託先、管理者権限、暗号化、ログの保管期間、障害通知、サービス終了時の移行支援を確認し、クラウド事業者と導入支援会社の責任分界を契約書に反映します。
スクラッチ型は独自要件が本当に必要な場合に選びます
独自の採番、複雑な承認、特殊な配信、既存業務との細かな整合が標準製品で表現できない場合は、スクラッチ開発やクラウド部品の組み合わせが候補になります。一方で、データモデル、名寄せ、権限、監査ログ、API、運用画面を一から作るため、要件が膨張しやすく、保守要員も必要です。「製品の標準機能ではできない」と言われた項目は、業務上の必須条件なのか、現行運用をそのまま再現したいだけなのかを見直してください。まず標準機能、設定変更、追加開発、完全独自開発の順で代替案を出してもらうと判断しやすくなります。
MDMのRFPと要件整理では何を記載しますか?

RFPは、製品の紹介を求める資料ではなく、自社の課題と同じ前提で提案・見積を出してもらうための比較条件です。NTTデータビジネスシステムズも、MDM導入のファーストステップとしてデータガバナンスの構想策定を挙げ、異なるシステムやデータを横断するルールの整理を重視しています(出典: NTTデータビジネスシステムズ「マスターデータ管理(MDM)サービス」、2026年確認)。RFPでは、現状、目標、対象範囲、連携、移行、体制、納期、見積条件を一つの資料にまとめます。
現行システムとデータ品質を数字で示します
現行調査では、システム名、管理部門、データ項目、レコード件数、更新頻度、登録経路、コード体系、連携方式、保有期間を一覧にします。可能なら、重複率、必須項目の欠損率、表記ゆれの件数、登録完了までの日数、月次集計にかかる作業時間も測ります。数値が取れない場合は「未計測」と書くこと自体が重要です。委託先がデータプロファイリングを行う範囲と、発注側が提供するサンプルデータの範囲を明確にすれば、調査工数を見積に含められます。
名寄せ・品質・承認ルールを業務要件にします
「重複をなくす」だけでは要件として不十分です。氏名、法人番号、住所、電話番号、品番、JANコード、仕入先コードなど、何を照合キーにするか、完全一致と類似一致をどう使い分けるか、候補を人が確認する基準は何かを決めます。自動統合してはいけない例外、変更申請の必須項目、承認者、差し戻し条件、廃止データの扱い、変更履歴の保存期間も記載します。品質KPIは、重複率、欠損率、連携エラー数、登録リードタイム、承認滞留時間などから自社の目的に合うものを選びます。
連携と移行の受入条件を具体化します
連携要件には、送受信する項目、方向、頻度、リアルタイム性、API・ETL・ファイルの方式、エラー時の再送、障害通知、監視担当を含めます。移行要件には、対象件数、移行前のクレンジング、名寄せ結果の確認者、移行リハーサルの回数、旧システムとの並行稼働、切り戻し条件を記載します。受入テストでは、正常系だけでなく、重複候補、必須項目欠損、コード不一致、連携先停止、権限外の変更、承認期限超過などのケースを確認します。
MDMの発注から稼働まで、どの順番で進めますか?

MDMの導入は、企画、現状診断、構想・要件定義、製品選定、設計・設定・開発、移行・テスト、教育・稼働、運用改善の順で進めます。製品を先に決めてから業務を合わせると、不要な機能や追加開発が増えやすいため、最初にデータ品質と業務ルールを確認します。小さく始める場合でも、将来のドメイン追加や連携拡張を見据えた設計原則は残します。
最初にデータ診断と小規模PoCを行います
現状診断では、対象ドメインのサンプルを使って、表記ゆれ、重複、欠損、異常値、コードの対応関係を確認します。名寄せは、住所や名称の似ているレコードをすべて自動統合できるとは限りません。誤統合が請求や出荷に影響する場合は、人の確認を残す設計が必要です。2〜3システム、数万〜数十万件程度の代表データでPoCを行い、照合精度、確認件数、処理時間、現場の操作負担を検証してから本開発に進むと、見積の不確実性を下げられます。
設計・開発ではデータと業務の両方を受け入れます
設計では、データモデル、項目定義、採番、名寄せ、ゴールデンレコードの優先順位、権限、ワークフロー、連携、監査ログを固めます。開発会社には画面だけでなく、ルール定義書、データマッピング、API仕様、障害時の再処理手順、運用手順書も納品物に含めてもらいます。業務側のレビューを設計書の完成後に一度だけ行うのではなく、項目定義とサンプルデータを段階的に確認すると、後工程の手戻りを抑えられます。
移行・教育・稼働後の改善まで計画します
移行は一度で完了させるのではなく、テスト移行、本番前リハーサル、本番移行に分けます。移行後に件数が一致するだけでなく、項目の意味、名寄せ結果、連携先での表示、承認履歴、権限、集計結果が業務上正しいかを確認します。稼働前には、登録・変更・廃止の手順、問い合わせ先、エラーの切り分け、データスチュワードの教育を行います。稼働後の30日、90日、180日などのレビュー時点で、品質KPIと現場の利用状況を見直す契約にすると、導入が定着しやすくなります。
MDM開発の契約形態は請負と準委任をどう使い分けますか?

MDMでは、要件が固まった成果物には請負、調査やPoC、データ整理、継続的な改善には準委任を組み合わせる方法が使いやすくなります。すべてを請負にすると、データの状態や業務ルールが未確定な段階で完成責任を固定することになり、変更が追加費用になりやすくなります。すべてを準委任にすると、作業時間は管理できても、何が完成したのかを判定しにくくなるため、成果物と受入条件を明確にします。
請負契約は範囲・成果物・受入条件を固定します
請負に向くのは、基本設計、確定した画面やAPIの開発、定義済みの連携、合意済みの移行作業などです。契約書や個別契約では、対象範囲、納期、納品物、検査期間、瑕疵への対応、再移行の条件、仕様変更の手続き、検収の基準を記載します。「データを正規化する」といった抽象的な表現ではなく、「必須項目の欠損を一覧化し、合意したルールで補正し、発注側がサンプルを確認する」といった作業と判定方法に落とし込みます。
準委任契約は調査・伴走・運用改善に使います
準委任に向くのは、現行データの棚卸し、データガバナンスの構想策定、PoC、業務部門とのワークショップ、要件の段階的な整理、稼働後の品質改善です。作業時間や体制だけでなく、月ごとの成果物、会議体、意思決定事項、課題一覧、次月の計画を合意します。発注側の担当者が判断をしないまま委託先に任せると、会議と資料作成だけが続く可能性があります。発注側の決裁者と期限を置き、準委任で得た結果を次の請負範囲へ切り出してください。
追加費用とデータ所有権の条件を明記します
追加連携、レコード件数の増加、再移行、仕様変更、製品アップデート、障害対応、サポート時間外の作業が、どの条件で追加請求になるかを確認します。データの所有権、バックアップ、ログ、データマッピング、名寄せルール、設計書、ソースコード、管理者アカウントの帰属も重要です。クラウドサービスを解約した場合に、どの形式で何日以内にデータを取り出せるか、移行支援にいくらかかるかも確認します。再委託がある場合は、再委託先の範囲、所在地、監査、事故時の報告経路まで契約上の責任分界に含めます。
MDM開発を外注する費用相場はいくらですか?

MDMの費用は、ライセンス料だけでなく、データ診断、クレンジング、名寄せ、連携、移行、教育、保守を含めて考えます。国内案件の一般的な基幹システム刷新費用と、MDM特有のデータ整理・連携工数を踏まえた2026年時点の目安は、小規模で500万〜1,500万円、中規模で1,500万〜4,000万円、大規模で4,000万円〜1.5億円以上です。これは正式な市場価格ではなく、対象ドメイン、接続数、データ量、品質、拠点数、可用性、運用範囲で変動する推定レンジです(出典: NotebookLMリサーチノート、2026年8月)。
規模別の初期導入費は対象範囲で見ます
小規模は、顧客または製品の1ドメイン、接続2〜3システム、数万〜数十万件を対象に、データ診断、基本設定、初回移行、APIまたはCSV連携、テストを行うケースです。中規模は、1〜3ドメイン、4〜10システム、複数部門の承認、データハブ、権限、品質ダッシュボード、運用設計まで含むケースです。大規模は、複数ドメイン、国内外拠点、10システム超、数百万件の移行、24時間運用、高可用性、複雑なERP連携などが加わります。件数だけでなく、重複判定の難しさと業務部門の確認工数が金額を左右します。
見積は六つの費用項目に分解します
比較する費用は、(1)製品ライセンスまたはSaaS利用料、(2)初期設定・導入支援、(3)データ診断・クレンジング・名寄せ、(4)外部システム連携、(5)移行・テスト・教育、(6)保守・データスチュワード運用の六つに分けます。ライセンスが安くても、連携本数や移行対象が多いと初期費用が増えます。反対に、初期費用だけを抑えて運用設計を省くと、登録ルールが定着せず、手作業の補正が残ります。見積書には一時費用と毎月・毎年の継続費用を分け、3年間の総保有コストで比較します。
公開価格は上限感と条件を確認する材料です
公開価格の例として、IBMの公式料金ページでは、InfoSphere Master Data Managementのクラウド管理型がManaged Small月額31,000米ドル、Managed Medium月額51,000米ドル、Managed Large月額80,000米ドルと掲載されています。開発・テスト環境はSmall月額19,000米ドル、Medium月額25,000米ドルです。いずれも税・地域差などを含まない参考価格で、レコード数、トランザクション、環境、高可用性などの条件が付いています(出典: IBM InfoSphere Master Data Management公式料金ページ、2026年8月確認)。この公開価格は国内企業の一般的な相場を示すものではなく、エンタープライズ製品のライセンス上限を把握する材料として扱ってください。
MDMの見積書はどの項目を比較すればよいですか?

見積比較では、合計金額の安さよりも、同じ作業を同じ条件で含んでいるかを確認します。各社の見積書を、対象ドメイン、接続システム、レコード件数、環境数、移行回数、教育回数、保守時間、除外事項、前提条件の順に並べ替えると、価格差の理由が見えます。金額が一式で書かれている項目は、作業内容、担当者、期間、成果物、上限工数を質問してください。
前提条件と除外項目を横並びで確認します
見積の前提には、利用者数、管理対象のドメイン、データ件数、増加率、接続方式、稼働時間、可用性、セキュリティ要件、移行データの品質、発注側が用意する担当者を記載してもらいます。除外項目には、追加ライセンス、データ修正の人手作業、古いシステムの改修、ネットワーク設定、海外拠点対応、休日作業、再移行、稼働後の追加トレーニングが含まれていないか確認します。特に「連携一式」「移行一式」「保守一式」は、項目数や回数が隠れやすいため、明細化を依頼します。
工数・体制・成果物の対応を見ます
プロジェクトマネージャー、業務コンサルタント、データエンジニア、連携担当、テスト担当、運用設計担当の誰が、どの工程に何日程度関わるのかを確認します。人月の数字だけでなく、要件定義書、データ項目定義書、マッピング表、名寄せルール、テスト計画、移行結果、運用手順書などの成果物と結び付けてください。発注側のレビューが遅れた場合のスケジュール影響、委託先の再委託や要員交代、担当者が不在になった場合の引き継ぎ方法も、提案段階で質問しておくと安心です。
3年間の総保有コストと効果を同じ資料で比べます
初期費用、ライセンスまたはSaaS利用料、保守費、追加環境、連携の変更費用、データスチュワードの社内工数を3年間で合算します。そのうえで、重複解消による集計作業の削減、登録リードタイムの短縮、請求・出荷エラーの低減、監査対応の効率化など、期待する効果をKPIに置きます。効果は委託先の一般事例をそのまま採用せず、自社の月間作業時間、エラー件数、関係部門数に置き換えて算定します。安い見積を選ぶのではなく、品質と運用を含む総額で、投資判断ができる提案を選びます。
MDMの委託先はどのような基準で選定しますか?

委託先は、製品の知名度だけでなく、データの現状診断から運用定着までを支援できるかで選びます。確認する軸は、対象ドメインの実績、名寄せ・移行の方法、既存ERP・CRMとの連携、データガバナンスの設計、セキュリティ、プロジェクト管理、稼働後の支援、見積の透明性です。製品ベンダー、導入SIer、データ整備会社、業務コンサルティング会社では得意領域が異なるため、役割分担を含めて提案してもらいます。
似たドメインとデータ量の実績を確認します
実績を確認するときは、「MDMの導入実績がある」という表現だけで終わらせません。顧客、製品、取引先のどのドメインか、レコード数と接続システム数はいくつか、名寄せをどのように判定したか、移行後の品質KPIがどう変化したかを質問します。自社と同じ業界でなくても、複数拠点、M&A、海外コード、製造品目、請求先と納品先の分離など、似た難しさを扱った経験が役立ちます。可能なら、匿名化したサンプルデータで照合方法を説明してもらい、営業資料では見えない実装力を確認します。
データガバナンスと現場定着まで提案できるか見ます
MDMの失敗は、システムが動かないことより、現場が登録ルールや承認フローを使わず、別のExcel管理へ戻ることです。委託先には、データオーナーの役割、登録・変更・廃止の業務フロー、例外処理、教育、問い合わせ、品質レビュー、KPI報告まで提案してもらいます。NTTデータビジネスシステムズは、データハブで集信・配信を一元化し、MDMと組み合わせて連携の運用・管理コストを削減する考え方を示しています。製品導入だけでなく、業務と連携の運用をどう変えるかを説明できる会社を優先してください。
提案会では同じ質問を同じ順番で聞きます
候補会社への質問は、対象データのリスク、最初に行う診断、標準機能と追加開発の境界、移行リハーサル、名寄せの人手確認、障害時の復旧、要員体制、発注側の作業、稼働後の保守、契約終了時のデータ返却の順に揃えます。回答の速さだけでなく、分からないことを分からないと説明し、追加調査の方法と費用を示せるかを見ます。提案資料に自社の課題が正確に反映されているか、RFPの前提を勝手に変えていないかも評価項目に入れます。
MDMを発注するとき、セキュリティと運用で何を確認しますか?

顧客、従業員、取引先の情報を扱うMDMでは、開発中だけでなく、委託先がデータへアクセスする期間と方法を管理します。個人情報保護委員会の通則編は、安全管理措置や委託先の監督などを含む管理上の考え方を示しているため、自社のデータマップ、権限、委託契約、監査手順に落とし込んでください(出典: 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」、2026年8月確認)。
最小権限・MFA・暗号化・監査ログを要件化します
管理者と一般利用者の権限を分け、委託先のアカウントは必要な期間だけ発行します。多要素認証、通信時・保存時の暗号化、操作・変更履歴、バックアップ、復旧テスト、脆弱性対応、ログの保管期間、データ保持期限、安全な削除を要件に含めます。名寄せ候補の元データをダウンロードできる機能がある場合は、誰が、どの目的で、どの範囲を取得できるかを制限します。開発・テスト環境では、本番データをそのままコピーせず、マスキングや匿名化を行う方法も確認します。
電子取引データと個人情報の連携を確認します
請求、会計、受発注などのデータをMDMから連携する場合は、業務システム側の保存要件や証跡が欠落しないかを確認します。国税庁の電子取引関係の案内を参照し、取引データの検索性、改ざん防止、保存期間、訂正・削除の履歴がどのシステムで担保されるかを整理してください(出典: 国税庁「電子取引関係」、2026年8月確認)。法令対応を製品の機能だけで判断せず、データの取得、利用、保存、提供、削除の責任者と証跡を業務規程に落とし込みます。
稼働後のKPIと担当者を契約に残します
稼働後は、重複率、欠損率、連携エラー数、登録完了までの時間、承認の滞留、手作業で補正した件数、問い合わせ件数を定期的に確認します。委託先が月次でレポートするのか、自社のデータスチュワードが見るのか、異常値が出たときに誰がルールを変更するのかを決めます。初期の保守契約に、品質レビュー、ルール改善、追加ドメインの相談、障害訓練、担当者教育を含めると、導入後に別発注する範囲を減らせます。
マスターデータ管理システム(MDM)の発注でよくある質問

ここでは、MDMを外注するときに特に質問されやすい内容をまとめます。費用や製品の比較だけでなく、発注側の準備と導入後の責任まで確認することが大切です。
MDMの発注費用はどのくらいから検討すればよいですか?
小規模な1ドメイン・2〜3システムの導入でも、データ診断、名寄せ、移行、連携、テストまで含めると、国内向けの推定レンジは500万〜1,500万円が一つの目安になります。中規模は1,500万〜4,000万円、大規模は4,000万円〜1.5億円以上が目安ですが、正式な価格ではありません。まず対象ドメイン、件数、接続先、品質、必要な承認、運用範囲を整理し、同じ前提で複数社から見積を取ってください。
MDMは内製と外注のどちらが向いていますか?
業務ルールを決めるデータオーナーと、稼働後に品質を管理する担当者は社内に置き、製品設定、連携、移行、専門的な名寄せ設計は外注する分担が現実的です。既存システムやデータの事情を理解する人材が社内に十分いて、独自要件も限定的なら内製の比率を高められます。反対に、複数部門の調整、レガシー連携、個人情報、短期間の移行が重なる場合は、経験のある委託先を活用し、社内は意思決定と受入に集中します。
RFPがなくてもMDMの開発会社へ相談できますか?
相談できますが、現行システム一覧、対象ドメイン、データ件数、困っている業務、希望時期、予算の考え方だけでも先にまとめると、提案の精度が上がります。まだ要件が固まっていない場合は、いきなり本開発を依頼せず、現状診断やPoCを準委任で発注し、その成果をもとに本開発のRFPを作る方法があります。初回相談の段階で、調査の成果物と本開発への移行条件を確認してください。
AIで名寄せできるなら、データ整理を省けますか?
AIやセマンティック照合は、表記ゆれや重複候補の提示を効率化できますが、業務上の正解を自動で保証するものではありません。SAPはマスターデータ、ポリシー、メタデータを統合するガバナンスレイヤーと、プロファイリング、整合、連結、セマンティック照合、品質監視を組み合わせる考え方を示しています(出典: SAP Master Data Governance公式ページ、2026年8月確認)。AIの判定基準、信頼度が低い候補の人手確認、誤統合の取消し、判断履歴を要件に含め、ルールと責任者を残してください。
マスターデータ管理システム(MDM)発注・外注のまとめ

MDMの発注では、最初に対象ドメイン、正とするデータ、データオーナー、接続システム、品質KPIを決めます。そのうえで、パッケージ・クラウド・スクラッチの発注形態を比較し、RFPに現行データ、名寄せルール、承認、移行、連携、セキュリティ、運用の条件を記載します。費用は製品価格だけでなく、データ診断、クレンジング、名寄せ、移行、保守を含む総保有コストで見てください。
発注前に確認するチェックポイントです
発注前には、対象データと件数、現行システム一覧、重複・欠損の把握状況、業務ルール、承認者、連携方式、移行回数、受入条件、契約形態、追加費用の条件、データ返却、セキュリティ、稼働後のKPIを確認します。候補会社には同じRFPを渡し、標準機能と追加開発を分けた提案、体制と成果物を含む見積、除外項目とリスクを提示してもらいます。
小さく発注して品質を測り、段階的に広げます
最初から全社一括で刷新するより、1ドメイン・少数システムで現状診断とPoCを行い、名寄せ精度、登録リードタイム、重複率、現場の運用負荷を測る方が、次の投資判断につながります。MDMを発注する目的は、データを一つの箱に集めることではなく、信頼できるマスターを継続的に作り、業務システムと意思決定へ届けることです。自社の課題と責任範囲を整理したうえで、データ整備から運用定着まで伴走できる委託先に相談してください。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
