会議室予約システム開発のPoC・プロトタイプ・モックアップ開発について

会議室予約システムは、まずモックアップ、次にプロトタイプ、最後にPoCの順に3段階で検証します。全社員が毎日使うため、本開発の前に現場とのずれを見つけておく必要があります。

Google CalendarやOutlookとの連携、サイネージ表示は、実物を触らないと使い勝手を判断しにくい部分です。総務・情シス担当者が導入や刷新を検討する際の参考になるよう、内容を整理します。

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会議室予約システムにおけるPoC・プロトタイプの重要性

モックアップ、プロトタイプ、PoCで確認する内容を3段階で示した図。
見た目から実運用へ、確認範囲が広がります。

会議室予約システムは、社内や貸会議室の予約に特化し、車両や設備の稼働率を最適化する役割までは担いません。本開発のリスクを知るには、この用途に固有の課題を理解しておく必要があります。

全社員が毎日使う、生活インフラに近いシステムです。そのため、フルスクラッチで開発してから現場の運用とのずれが分かると、社内クレームとして噴出する恐れがあります。だからこそ、本開発の前に検証が欠かせません。

検証工程が欠かせない理由(カラ予約問題と社内クレームリスク)

会議室運用で最も大きな課題は、予約されたまま使われない「カラ予約」です。予約が入っているため、ほかの社員は使いたくても空室を利用できない状態が続きます。

  • 入室ボタン:サイネージ上で押しやすい位置と大きさになっているか
  • 自動キャンセル:一定時間入室がない予約を解放する運用が現場の感覚と合うか
  • 日常の使い勝手:UIの操作や動作の速さが利用者に合うか

全社員が毎日触れるため、操作しづらさや動作の遅さは、すぐに不満や社内クレームにつながりかねません。加えて、自動キャンセルが現場の運用と合わなければ、予約が勝手に消えたという不満も起こり得ます。

モックアップ・プロトタイプ・PoCの違い

3段階の検証は、確認する目的と精度がそれぞれ異なります。見た目から実運用へと、確かめる範囲を広げていきます。

  • モックアップ:画面設計図で見た目やレイアウトを確認する
  • プロトタイプ:コア機能を動かし、操作フローや権限を確かめる
  • PoC:実際の会議室で数週間試し、実現性や同期の安定性を見極める

この順に進めると、視認性・操作性・技術的安定性の課題を段階的に洗い出せるため、本開発の前に手戻りの芽を見つけられます。

ポイント

全社員が毎日使う会議室予約では、本開発の前に検証を挟むかどうかで、現場とのずれを早く見つけられるかが変わります。課題が見た目、操作、実機のどれにあたるかで、検証する段階を選びます。

モックアップ開発の内容と期間・費用

モックアップでは、実際に動くシステムは作らず、画面設計図をもとに見た目の合意を形づくります。特に、会議室前に置くサイネージ画面の視認性を確かめます。

サイネージ画面の視認性検証

Figmaなどのデザインツールでサイネージ画面を作り、廊下から空室と使用中を見分けられるかを確かめます。色と文字の大きさだけで判別できるかどうかが、この検証の要点です。

  • 設置環境:ドア横の限られたスペースに置いた場合を想定する
  • 見え方:オフィスの照明と設置距離を踏まえて確かめる
  • 配色:複数の案を社内の担当者にレビューしてもらう

この段階で視認性の課題を見つければ、後工程での大幅なデザイン修正を避けられます。

期間・費用の目安

モックアップ開発は約1〜2週間、費用は10万円から30万円程度が目安です。デザインツールでの作業が中心のため、比較的短期間かつ低コストで進められます。

レビュー対象を絞りすぎると、設置場所や利用シーンとのずれに気づけない恐れがあります。そこで、レビューでは複数の部署と複数の設置予定場所を想定します。

ポイント

見た目や視認性の課題は、大きな修正になる前にモックアップで確かめるのが目安です。期間は約1〜2週間、費用は10万〜30万円程度です。

プロトタイプ開発の内容と期間・費用

一般社員の操作、予約制限の確認、設計の見直し、プロトタイプの期間・費用を示した図。
動く画面で予約制限の抜け漏れを探します。

モックアップで見た目の合意ができたら、プロトタイプではコア機能の一部を実際に動かします。確かめるのは、操作フローと権限制御が妥当かどうかです。

権限制御(役員専用会議室等)の動作検証

役員専用や特定部署専用など、予約できる社員を限定したい会議室があります。そうした会議室では、権限制御が実際の画面で正しく働くかを検証します。

  • 一般社員の操作:役員専用室を予約できないか試す
  • 制限の確認:一般社員のアカウントで、予約が止まるかを確かめる
  • 設計の見直し:意図どおりに制限されるかを確認し、必要に応じて設計を直す

権限の分岐は、仕様書を読むだけでは見落としやすい部分です。この段階で抜け漏れを見つけておけば、本開発でのやり直しを防げます。

期間・費用の目安

プロトタイプ開発は約2〜4週間、費用は50万円から150万円程度が目安です。実際に動くコードを書くため、モックアップより期間と費用が増えます。

現場の代表社員に実際に触ってもらい、1〜2回のフィードバックをプロトタイプに反映すれば、精度を高められます。権限制御や基本操作の課題を洗い出すことで、本開発の手戻りを大きく減らせます。

ポイント

権限の分岐は仕様書だけでは見落としやすいため、操作フローと権限制御は動くプロトタイプで確かめるのが目安です。期間は約2〜4週間、費用は50万〜150万円程度です。

PoC(概念実証)の内容と期間・費用

実際の会議室でのPoCを中心に、カレンダー同期、会議延長、代理者の入室と期間・費用を示した図。
例外時の使われ方も実環境で確かめます。

プロトタイプで操作フローと権限制御を確かめたあと、PoC(概念実証)に進みます。実際の会議室に端末を置き、日常業務の中で数週間試験運用します。

実機運用によるカレンダー同期・例外業務の検証

実際の会議室1〜2部屋にタブレット端末を設置し、社員が日常的に使う環境を作ります。実運用に近い状態で、次の点を確認します。

  • カレンダー同期:Google CalendarやOutlookとの遅延を調べる
  • 会議の延長:急な延長をスムーズに処理できるか試す
  • 代理者の入室:予約者不在時の利用開始を確かめる

さらに、机上の設計では想定しきれない現場特有の使われ方を、PoCで洗い出せます。

期間・費用の目安

PoCは約1.5〜3ヶ月、費用は150万円から300万円程度が目安です。実際の環境で試すため、他の2段階より期間と費用が大きくなります。

数週間の試験運用によって、同期の安定性や例外業務への対応力を実証データで確かめられます。そのうえで、見つかった課題を本開発の要件に反映すれば、リリース後の重大なトラブルを防げます。

全社員が毎日使うシステムでは、3段階の検証に費用と期間をかけることが、プロジェクト全体のコストやリスクを抑えることにつながります。

ポイント

同期の安定性や例外業務への対応は、実際の会議室で数週間試さないと見えにくいため、PoCで確かめるのが目安です。期間は約1.5〜3ヶ月、費用は150万〜300万円程度です。

検証フェーズで確認すべき具体項目

モックアップ、プロトタイプ、PoCの3段階を効果的に進めるには、確認内容を事前に一覧にしておくと役立ちます。会議室予約システム特有の項目は、操作性と例外業務・権限表示の2つの観点で見ていきます。

UI/UXと操作性(クリック数・タップのしやすさ)

予約は本来の業務に付随する作業にすぎません。操作の手間が大きいと利用率が下がり、口頭や紙のホワイトボードでの運用に戻ってしまう恐れがあります。

  • 予約操作:完了までのクリック数やタップ数を抑えられるか
  • 入室ボタン:片手でも押しやすい大きさと位置か

操作性は、モックアップとプロトタイプの各段階で繰り返し確認します。

例外業務・権限ごとの表示制御

例外業務をどこまで処理できるかは、PoCで重点的に確認します。また、権限ごとに表示範囲が変わる機能は、プロトタイプとPoCの両方で確かめます。

  • 例外業務:急な延長やキャンセルを処理できるか
  • 代理利用:代理者による利用開始ができるか
  • 閲覧範囲:一般社員と管理者で状況や履歴の表示が異なるか

項目を事前にチェックリスト化しておくと、抜け漏れを防ぎ、限られた期間で効率よく課題を洗い出せます。

ポイント

操作性と例外業務・権限表示の2観点を、検証の前にチェックリストとして一覧にしておくのが目安です。

まとめ

社内・貸会議室の予約に特化したシステムでは、本開発の前に3段階で検証することが大切です。具体的には、モックアップでは視認性、プロトタイプでは権限制御、PoCでは同期や例外対応を確かめます。

目安は、モックアップが約1〜2週間・10万〜30万円、プロトタイプが約2〜4週間・50万〜150万円です。PoCは約1.5〜3ヶ月・150万〜300万円です。

操作の手間や入室ボタンの使いやすさに加えて、例外業務や権限ごとの表示も検証します。段階を踏んで確認することで、本開発以降の手戻りやプロジェクト全体のコスト・リスクを抑えられます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。