結論:モバイルバンキングシステムの開発費用は、限定的なMVPで1,500万〜3,000万円、
標準的な銀行アプリで3,000万〜8,000万円、本格的な非対面取引まで含めると8,000万〜1.5億円超が予算の目安です。
勘定系や共通API基盤の刷新まで対象にする場合は、1.5億〜数億円以上になる可能性があります。
ただし、これは銀行向けの公開定価ではなく、残高照会だけを追加するのか、
振込・口座開設・eKYC・不正送金対策・24時間運用まで構築するのかによって変わる推定レンジです。
本記事では、モバイルバンキングシステムの費用相場をスコープ別に整理し、見積もりの内訳、
価格が変動する要因、開発方式の選び方、5年間の運用コストを抑えるポイントまで解説します。
▼全体ガイドの記事
・モバイルバンキングシステム開発の完全ガイド
モバイルバンキングシステムとは何ですか?

モバイルバンキングシステムとは、スマートフォンアプリを顧客接点として、口座情報の照会、
送金、各種申込、本人確認などの銀行サービスを非対面で提供するチャネルシステムです。
アプリの画面だけを作るのではなく、認証基盤、APIゲートウェイ、勘定系・情報系システム、
決済ネットワーク、管理画面、監視、不正検知、顧客サポートまでを一体で設計します。
主な機能と費用に影響する範囲
- 確認対象:この見出しで扱う範囲と前提を整理します。
- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
基本機能は、残高・入出金明細・口座情報の照会、振込・振替、ことら送金などの送金、税公金や各種料金の支払い、プッシュ通知、店舗・ATM検索です。
これらに加えて、口座開設、住所変更、カードローン申込、eKYC、生体認証、FIDO、ワンタイムパスワード、多要素認証、資産状況の可視化。問い合わせ機能などを追加できます。
費用を大きく左右するのは、画面数よりも取引の種類と既存システムとの接続数です。
たとえば残高照会は既存の参照APIを安全に公開できれば比較的切り出しやすい一方、振込は限度額、認証、取引の冪等性、受付・承認・取消、監査ログ。障害時の再送まで設計する必要があります。
口座開設やローンを加えると、審査、本人確認、帳票、顧客管理、店舗・コールセンターの業務変更も発生します。
アプリ単体と基盤刷新を分けて考える
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- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
見積もりを依頼する際は、「銀行アプリの開発」という一言を、アプリ単体、APIチャネルの整備、勘定系・共通基盤の刷新に分解します。
アプリ単体の刷新なら、既存のインターネットバンキングやAPIを活用して費用と期間を抑えられる可能性があります。
反対に、勘定系の業務ロジックやデータモデルまで変更する場合は、移行、並行稼働、障害時の切り戻し、各種監査まで含む大規模プロジェクトになります。
この切り分けをしないまま相見積もりを取ると、A社はアプリだけ、B社はAPI基盤まで、C社は運用・災害対策まで含めるという状態になり、金額を比較できません。
RFPの冒頭に対象範囲と対象外を明記し、同じ前提で初期費用と5年TCOを並べることが重要です。
モバイルバンキングシステム開発の進め方

開発は、いきなり画面を作るのではなく、企画、現行調査、要件定義、設計、実装、テスト、
移行・運用の順で進めます。特に金融サービスでは、セキュリティ審査や法務・コンプライアンス確認、
運用リハーサルを最後にまとめると手戻りが大きくなるため、各工程の完了条件へ組み込むことが大切です。
企画・現行調査で決めること
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- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
まず、誰のどの不便を解消するのかを定義します。
若年層の接点を増やす、店舗で行っていた住所変更を非対面化する、振込の完了率を高める、問い合わせ件数を減らすなど、目的によって必要な機能と優先順位が変わります。
ダウンロード数だけを目標にせず、月間利用者数、送金成功率、口座開設完了率、問い合わせ削減数、店舗事務の削減時間、不正検知率などをKPIに設定します。
次に、勘定系、情報系、インターネットバンキング、顧客管理、本人確認、決済、通知、コールセンター、監視の現状を棚卸しします。
各システムが保有するデータ、APIの方式、ピーク時の処理量、障害時の代替手段、データ更新の責任者を一覧にすると。後から発生しやすい追加費用を早期に見つけられます。
要件定義・設計・開発の進め方
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- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
要件定義では、機能要件と非機能要件を分けて記述します。機能要件は残高照会、振込、通知、口座開設などの業務フローです。
非機能要件は可用性、応答時間、同時利用者数、RTO・RPO、監査ログ、アクセス制御、暗号化、バックアップ、監視、サポート時間などです。銀行案件では、後者の抜けが見積もりの大幅な増額につながります。
設計では、アプリに勘定系の業務ロジックを持たせず、認証・認可、取引の冪等性、タイムアウト・再送、監査ログ。障害時の利用者表示をAPI層とバックエンドで設計します。
iOSとAndroidを別々に作るか、Flutterなどで共通化するかも、初期費用だけでなくOS更新時の保守工数を左右します。
プロトタイプで重要な導線を検証してから実装へ進めると、画面の作り直しを減らせます。
テスト・リリース・運用移行
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- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
テストは単体テストや結合テストだけでは不十分です。
実機・OSバージョン別の端末テスト、性能テスト、障害・復旧テスト、脆弱性診断、ペネトレーションテスト、アクセシビリティテスト、勘定系との突合。異常取引の検知、サポート窓口への連携まで確認します。
送金処理では、通信が切れたときに二重実行されないこと、利用者へ誤った完了表示をしないことが重要です。
リリース前には、段階展開、問い合わせ増加時の体制、障害時の告知文、切り戻し条件、データ移行の照合方法を決めます。
小規模な利用者群から始めて、ログとKPIを確認しながら対象を広げる方式なら、全利用者へ一度に展開するリスクを抑えられます。
リリース後もOS更新、制度改正、認証方式の変更、不正手口の変化に対応するため、開発費とは別に改善予算を確保します。
モバイルバンキングシステムの費用相場と価格帯

モバイルバンキングシステムの初期費用は、限定MVPなら1,500万〜3,000万円、
標準的な銀行アプリなら3,000万〜8,000万円、本格型なら8,000万〜1.5億円超が目安です。
公開価格が少ない領域のため、以下は2026年時点の一般的なアプリ開発の相場、金融サービスの公開事例、
必要なセキュリティ・運用範囲を組み合わせた予算策定用の推定です。実際の発注価格を保証するものではありません。
スコープ別の初期費用と開発期間
- 確認対象:この見出しで扱う範囲と前提を整理します。
- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
限定MVPは、残高・明細照会、ログイン、生体認証、プッシュ通知、既存API連携を中心に6〜9か月で構築する想定です。送金を後段へ分けることで、1,500万〜3,000万円の範囲に収めやすくなります。
ただし、既存APIが不足している場合や、アプリ用に認証基盤を新設する場合は、MVPでもAPI整備費が加わります。
標準的な銀行アプリは、iOS・Android、振込・振替、管理画面、認証強化、複数API、端末テスト、総合テストを含み。9〜15か月で3,000万〜8,000万円が目安です。
口座開設、eKYC、FIDO・JPKI、カードローン、決済、不正検知、監視、災害対策まで含める本格型は。12〜24か月で8,000万〜1.5億円超になりやすいです。
API基盤や勘定系・情報系の大規模連携、データ移行、複数行で使う共通基盤まで刷新する場合は、1.5億〜数億円以上、期間は18〜36か月以上を見込みます。
これはアプリの費用というより、金融チャネルと基幹システムを含む変革プロジェクトの費用です。見積書では、アプリ開発費と基盤刷新費を分けて表示してもらうと、投資判断がしやすくなります。
ホワイトレーベル・SaaSの価格帯
- 確認対象:この見出しで扱う範囲と前提を整理します。
- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
ホワイトレーベルやSaaSは、標準機能に寄せられる場合、初期導入を500万〜2,000万円程度、別途月額・年額の利用料、保守費。
ブランド変更や独自API連携を数百万円〜数千万円程度と見る方法があります。
ただし、これは公開された一律価格ではなく、利用行数、ユーザー規模、接続範囲、認証方式、サポート時間などで変わる推定です。初期費用だけでなく、5年間の利用料と機能追加費を合算してください。
日立は2025年、金融機関の非対面・非来店取引を支援する「Branch in Mobile」をAWS上のクラウドサービスとして提供開始しました。
クラウド型では、基盤の構築・運用をサービス側へ寄せ、金融機関がチャネルや業務の改善へ集中しやすくなりますが、責任分界、データ所在、障害時の復旧。
契約終了時のデータ返却を確認する必要があります。
出典: 株式会社日立製作所「Branch in Mobile」提供開始, 2025年3月。
初期費用だけでなく5年TCOで比較する
- 確認対象:この見出しで扱う範囲と前提を整理します。
- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
リリース後の費用は、初期開発費の年10〜20%程度を保守・改善費の暫定予算として置くと、社内計画を作りやすくなります。
ここには、クラウド利用料、監視・SOC、脆弱性診断、OSアップデート、アプリストア対応、問い合わせ、障害対応、制度改正対応、機能追加が含まれます。
金融向けに冗長化、監査、災害対策を高い水準で実施する場合、一般的なアプリのクラウド月額だけでは見積もれません。
5年TCOは、初期開発費、追加開発費、ライセンス・SaaS利用料、クラウド・ネットワーク費、監視・セキュリティ費、保守人件費、端末テスト費。移行・教育費を合算します。
たとえば初期5,000万円の提案でも、年間2,000万円の保守・クラウド・運用費が必要なら、5年TCOは1.5億円になります。安い初期見積もりが、長期的に最も安いとは限りません。
モバイルバンキングシステムの費用内訳と変動要因

費用を比較するときは、総額だけでなく、どの工程と責任が含まれているかを確認します。
一般的な分解では、要件定義・基本設計が10〜20%、実装が30〜40%、テスト・移行・リリース準備が20〜30%、
PM・セキュリティ・予備費が残りの比率です。金融案件ではテストと運用設計の比率が大きくなるため、
開発会社へ内訳の根拠を質問してください。
人件費・工数・プロジェクト体制
- 確認対象:この見出しで扱う範囲と前提を整理します。
- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
中心となる費用は、プロダクトオーナー、PM、業務設計者、UXデザイナー、iOS・Androidエンジニア、バックエンドエンジニア。クラウド・インフラ担当、セキュリティ担当、テスト担当の人件費です。
一般アプリの2026年時点の目安では、iOS・Androidエンジニアが月80万〜130万円、バックエンドが月70万〜120万円。
PMが月80万〜140万円程度ですが、金融業務と規制、監査、障害対応に精通する人材を置く場合は単価が上がることがあります。
見積書に「開発一式」とだけ書かれている場合は、役割別の人数、稼働月数、作業内容、成果物、前提条件を開示してもらいます。要件が未確定なのに固定価格で契約すると、変更要求が追加請求になりやすくなります。
企画・要件定義を準委任で進め、仕様が固まった実装を請負にするなど、工程に応じて契約を分ける方法もあります。
連携・認証・セキュリティで増える費用
- 確認対象:この見出しで扱う範囲と前提を整理します。
- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
既存システムとの接続数が増えるほど、APIの仕様調査、データ変換、エラー処理、性能検証、監視、障害時の責任分界に工数が必要です。
勘定系、顧客管理、口座開設、カード、決済、eKYC、通知、分析基盤をそれぞれ接続する場合は、接続先ごとに認証・権限・テストデータ・運用手順を整備します。
古いホスト連携やファイル連携が残っている場合は、API化の費用も見込んでください。
認証では、生体認証、FIDO、JPKI、ワンタイムパスワード、多要素認証、端末変更時の再認証をどこまで採用するかが費用を左右します。
不正送金対策では、端末情報、取引パターン、リスクベース認証、通知、モニタリング、調査担当者向け画面まで必要になることがあります。
利便性を高めるほどリスク対策と運用監視も必要になるため、機能単位ではなく取引シナリオ単位で見積もります。
テスト・監視・災害対策の費用
- 確認対象:この見出しで扱う範囲と前提を整理します。
- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
端末・OSの組合せテストは、対応端末を増やすほど工数が増えます。
さらに、ピーク時の性能、通信断、タイムアウト、二重送信、データ不整合、バックアップからの復旧、外部サービス停止、勘定系の遅延を検証します。
脆弱性診断やペネトレーションテストを外部会社へ委託する場合は、実施回数、対象環境、再診断、報告書の範囲まで費用に含めます。
FISCの第13版は2025年3月に発行され、金融情報システムの開発・導入・運用に必要と考えられる安全対策を示しています。
経済安全保障、オペレーショナル・レジリエンス、金融庁のサイバーセキュリティ・ガイドライン、AIの安全対策、システム障害事例などが反映されているため。
RFPの非機能要件や受入テストへ落とし込むと。
後から安全対策を追加するコストを抑えやすくなります。
出典: 金融情報システムセンター「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書(第13版)」, 2025年3月。
金融庁のサイバーセキュリティ関連ページでも、2026年にはITレジリエンス、サードパーティ・サイバーセキュリティリスク管理。AIによる脅威変化などの更新が続いています。
クラウドや外部認証、eKYC、不正検知を使う場合は。
自社のセキュリティだけでなく委託先・再委託先まで含めた責任分界とインシデント報告手順を設計します。
出典: 金融庁「金融分野におけるサイバーセキュリティ対策について」, 2026年7月更新。
モバイルバンキングシステムのコスト最適化ポイント

コスト最適化は、単に開発会社の単価を下げることではありません。利用者に提供する価値と金融機関が負うリスクを明確にしたうえで、
標準化できる領域、段階導入できる領域、自行独自の競争力として投資する領域を分けます。
初期費用、5年TCO、将来の変更しやすさを同時に評価することが大切です。
MVPと段階導入で優先順位を付ける
- 確認対象:この見出しで扱う範囲と前提を整理します。
- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
最初からすべての機能を搭載するのではなく、顧客価値と実装リスクで機能を分けます。
第1段階をログイン、残高・明細照会、通知、店舗・ATM検索とし、第2段階で振込・振替、送金、各種申込、第3段階でローン、資産管理。金融商品などを追加する方法です。
ただし、後から追加する機能の認証・API・データ設計を最初から考慮し、MVPが将来の足かせにならないようにします。段階導入では、各段階のKPIと中止・継続の判断条件を決めます。
たとえば、MAU、ログイン成功率、残高照会完了率、送金成功率、問い合わせ件数、不正検知の精度を確認し、利用されていない機能を追加する前に導線を改善します。
マネーフォワードの2025年発表では、BANK APPについて導入決定金融機関や提供中の金融機関、40万ダウンロードなどの利用実績が示されていますが。
自行の成果はダウンロード数だけでなく継続率や業務効果で評価します。
出典: 株式会社マネーフォワード「BANK APP」利用実績, 2025年6月。
標準機能・共通基盤を活用する
- 確認対象:この見出しで扱う範囲と前提を整理します。
- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
認証、通知、eKYC、監視、ログ管理など、複数の銀行サービスで共通化できる機能は、パッケージ、SaaS、ホワイトレーベル、共同利用型基盤の活用を検討します。
標準化できれば初期開発の重複を減らし、制度変更やOS更新への対応もサービス側の改善へ寄せられます。
一方、顧客体験や自行独自の業務ルールに関係する領域まで無理に標準へ合わせると、運用コストや現場の不満が増えることがあります。
筑波銀行は2025年12月、TSUBASA FinTech共通基盤の利用とスマートフォンアプリ刷新に向けたシステム開発への着手を公表しました。
複数行で接続基盤やノウハウを共有する方式は、機能追加の速度とコストを抑えやすい選択肢です。
ただし、自行固有の要件を標準仕様へ合わせる意思決定や。
共同利用側と自行の責任分界が必要です。
出典: 筑波銀行「TSUBASA FinTech共通基盤の利用およびスマートフォンアプリの刷新」, 2025年12月。
変更しやすさと出口戦略を契約に入れる
- 確認対象:この見出しで扱う範囲と前提を整理します。
- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
ベンダーへ依頼する場合でも、データ、API仕様、設計書、テストコード、ソースコード、監視ログの帰属と利用権を確認します。
特定の会社しか修正できない構造になると、機能追加や障害対応のたびに高い費用が発生します。
APIを標準仕様に寄せる、インフラ構成を文書化する、運用手順を共同で作る、内製化候補を育成することが、将来の変更コストを下げます。
SaaSやホワイトレーベルでは、契約終了時のデータ返却形式、移行支援、削除証明、ログの保存、商標・アプリストアアカウントの扱い、再委託先の変更通知を確認します。
安い月額料金だけで選ばず、障害時の代替手段、SLA、RTO・RPO、インシデント報告の期限、脆弱性対応の責任者まで含めて比較すると。予想外の追加費用を避けられます。
見積もりを取る際のポイント

正確な見積もりには、機能一覧だけでなく、利用者、取引量、既存システム、セキュリティ、
運用、移行、契約の前提を揃えたRFPが必要です。複数社へ同じ資料を渡し、初期費用、
保守費、クラウド費、追加開発の単価、5年TCOを同じ粒度で回答してもらいます。
RFPに記載する前提条件
- 確認対象:この見出しで扱う範囲と前提を整理します。
- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
RFPには、対象OSと端末、想定ユーザー数、ピーク時の同時利用者数、対象機能、対応言語、アクセシビリティ、既存APIの一覧、外部サービス、認証方式。
データ移行の有無、管理画面、通知、分析、監視、サポート時間を記載します。
振込や送金を含める場合は、限度額、承認フロー、取消、失敗時の扱い、二重送信防止、監査ログ、本人確認の強度も明記します。
非機能要件には、可用性、応答時間、障害検知時間、復旧時間、データ損失許容、バックアップ、暗号化、脆弱性診断、ペネトレーションテスト、再委託管理。災害対策を含めます。
要件がまだ決められない項目は「未定」とせず、候補、決定期限、見積もり上の仮置き、変更時の精算方法を示してください。
複数社の提案を同じ軸で比較する
- 確認対象:この見出しで扱う範囲と前提を整理します。
- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
比較項目は、価格だけではありません。
金融機関の同規模導入実績、勘定系・API接続方式、FIDO・eKYC・JPKIの対応実績、FISCや金融庁ガイドラインへの説明力、脆弱性診断とSOC。
SLA、RTO・RPO、障害時の責任分界、データ・ソースコードの帰属、内製化支援、5年TCOを質問票にして揃えます。
開発方式にも適性があります。大規模な勘定系連携なら共同利用や大手SI、チャネルを早く整備するならクラウド型・ホワイトレーベル。独自UXや内製化を重視するならスクラッチやクラウドネイティブが候補です。
ベンダーの知名度だけで決めず、自行の規模、既存資産、社内の運用人材、許容できる変更範囲に合うかで判断します。
契約・受入基準・責任分界を確認する
- 確認対象:この見出しで扱う範囲と前提を整理します。
- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
契約では、準委任、請負、ライセンス、SaaSのどれを組み合わせるかを決めます。
要件変動が大きい企画・要件定義は準委任、成果物と受入条件が明確な実装は請負、標準機能はライセンスやSaaSという分け方が一般的です。
成果物の定義、検収条件、瑕疵対応、変更管理、再委託、秘密情報、個人データ、事故報告、契約終了時の移行を契約書へ反映します。受入テストは、画面が表示されるかだけでなく、業務シナリオと異常系で定義します。
残高の突合、振込の二重実行防止、認証失敗、通信断、外部サービス停止、障害からの復旧、監査ログ、アラート通知、問い合わせ対応まで合格条件を設定します。
ここが曖昧だとリリース直前に追加作業が膨らみ、当初見積もりとの差額が大きくなります。
モバイルバンキングシステムのよくある質問

最後に、費用や開発方式についてよくある質問へ回答します。金額は機能、既存システム、
セキュリティ、運用体制によって変わるため、ここでは判断の基準と見積もりの考え方を示します。
モバイルバンキングシステムの開発費用はいくらですか?
- 確認対象:この見出しで扱う範囲と前提を整理します。
- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
限定MVPは1,500万〜3,000万円、標準的な銀行アプリは3,000万〜8,000万円、本格型は8,000万〜1.5億円超が推定の目安です。
勘定系・共通API基盤の刷新、データ移行、24時間監視、災害対策まで含める場合は、1.5億〜数億円以上になる可能性があります。
銀行向けの一律価格ではないため、機能と接続先を明示して複数社へ見積もりを依頼してください。
既存の勘定系を残してアプリだけ刷新できますか?
- 確認対象:この見出しで扱う範囲と前提を整理します。
- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
可能です。既存のインターネットバンキングや勘定系が利用できるAPIを備えていれば、アプリ、BFF・APIゲートウェイ、認証、通知、管理画面を刷新する方式が現実的です。
ただし、APIの性能、認証強度、取引の冪等性、監査ログ、エラー処理が不足している場合は、アプリの外側に接続基盤を整備する費用が必要です。
ホワイトレーベルやSaaSはスクラッチより安いですか?
- 確認対象:この見出しで扱う範囲と前提を整理します。
- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
標準機能を活用できる場合は、初期導入の工数を抑えやすく、短期間で提供開始できる可能性があります。
一方、独自の業務ルール、画面、データ分析、勘定系連携を多く追加すると、個別開発費が積み上がり、スクラッチとの差が小さくなります。
初期費用だけでなく、月額利用料、最低利用期間、機能追加費、データ移行費、契約終了時の移行費を含む5年TCOで比較してください。
セキュリティ対策はどこまで見積もりに含めますか?
- 確認対象:この見出しで扱う範囲と前提を整理します。
- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
認証・認可、暗号化、監査ログ、脆弱性診断、ペネトレーションテスト、端末テスト、監視、インシデント対応、バックアップ、災害復旧までを要件に含めます。
FISCや金融庁のガイドラインを参考に、設計審査、受入テスト、運用訓練の成果物を明確にしてください。
外部サービスを使う場合は、委託先と再委託先の管理、データ所在、障害・漏えい時の報告期限も費用と責任分界へ反映します。
まとめ

モバイルバンキングシステムの費用相場は、限定MVPで1,500万〜3,000万円、
標準型で3,000万〜8,000万円、本格型で8,000万〜1.5億円超が一つの目安です。
勘定系や共通基盤まで刷新する場合は数億円規模になることもありますが、いずれも公開定価ではなく、
機能、連携数、認証、テスト、監視、移行、運用を前提にした推定です。
費用を決める三つの視点
第一に、アプリ単体、APIチャネル、勘定系・共通基盤の対象範囲を分けます。第二に、
初期開発費だけでなく、保守、クラウド、監視、セキュリティ、OS更新、制度改正、機能追加を含む5年TCOで比較します。
第三に、MVP、ホワイトレーベル、クラウド、共同利用、スクラッチの中から、自行の業務要件と運用人材に合う方式を選びます。
見積もり前に準備すること
- 確認対象:この見出しで扱う範囲と前提を整理します。
- 比較の観点:初期・継続・追加の要素を分けて確認します。
- 判断の基準:自社の要件と運用体制に照らして検討します。
まず、達成したいKPIと第1段階の機能を決め、既存システムとAPIの棚卸しを行います。
そのうえで、セキュリティ、性能、可用性、障害復旧、受入テスト、SLA、データの帰属、契約終了時の出口までをRFPに記載し。複数社へ同じ条件で提案を依頼してください。
初期費用を安く見せる提案ではなく、利用者に価値が届き、運用を継続できる計画かどうかを確認することが、モバイルバンキングシステム開発の成功につながります。
▼全体ガイドの記事
・モバイルバンキングシステム開発の完全ガイド
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
