金型製造業向け金型保守管理システム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順

金型保守管理システムの開発は、現場とデータの整理から始めて、定着まで順に進めると、保全と現場判断を支えられます。方式の選定から限定稼働までは、設計・開発とテストを挟んで、この順に進みます。

  • 方式選定:専用SaaS、パッケージ、個別開発から、業務範囲と連携の深さに合う方式を選びます。
  • 設計・開発:金型マスタ、履歴、現場UIを設計し、開発します。
  • テスト:機能だけでなく、履歴の残り方、権限、現場の運用まで確かめます。
  • 限定稼働:課題が見えやすい1拠点や1製品群などに絞って始めます。

導入の6フェーズ、費用相場、見積もりの要点を、この順に見ていきます。全体像については、下の完全ガイドもご覧ください。

▼全体ガイドの記事
・金型製造業向け金型保守管理システム開発の完全ガイド

金型製造業向け金型保守管理システムの全体像

金型マスタから所在・貸出、使用実績、保全作業へ積み重なる管理情報の図。
履歴を積み重ねるほど、金型の状態を追いやすくなります。

金型保守管理システムは、金型を製品の品質と生産を支える製造資産として管理します。金型マスタや所在・貸出、使用実績、保全作業の記録を、ひとつの履歴につなげます。交換部品、費用、写真、承認履歴も同じ履歴に含め、必要な人が必要な時点で金型の状態を判断できるようにします。

金型保守管理システムが扱う管理情報

管理する情報は、所在や状態、使用実績、保全履歴、品質との関係に分かれます。土台となる金型マスタには、次の情報を登録します。

  • 金型の識別情報:型番、型名称、顧客、所有者、製品番号、工程
  • 金型の仕様:材質、重量、図面・写真、子金型やパーツ構成
  • 寿命と廃棄基準:耐用ショット数と廃棄基準
  • 所在と状態:工場、倉庫、協力会社、貸出中、修理中、廃棄待ち
  • 入出庫の履歴:QRコードやバーコードによる移動、貸出、返却、棚卸し

使用した製品・設備・生産指図、ショット数、使用期間、使用前後の点検を、履歴に残します。保全では、保全箇所、作業者、作業日時を記録します。交換部品、費用、工数、写真も記録対象です。

金型の異常を、不良率、寸法不良、設備停止、製品ロットと関連付けます。そうすると、保全が品質と納期に与えた影響を確かめられます。

ライフサイクルと判断の設計

導入の目的は「金型を検索できるようにする」だけでなく、使用や保全の判断まで含めて定めます。あわせて、1回のスキャンで所在と使用状態を更新できるかも確かめます。

  • 保全アラート:ショット数を基に保全時期を知らせます。
  • 使用前照合:生産前に正しい金型か確認します。
  • 責任の確認:貸出先と所有者を、後から説明できるようにします。

TOPPANのNAVINECT金型管理DXは、QRコード・RFID、使用実績、ショット数を扱います。メンテナンス実績や申請帳票も対象で、金型の受入から廃棄まで管理します。

(出典: TOPPAN「NAVINECT 金型管理DX」、2026年確認)

導入前に、平均捜索時間、所在不明件数、保全期限超過件数、金型起因の停止時間を測ります。保全費、登録漏れ率、1件の入力時間も計測対象に加えます。

約3,000点を本社と複数倉庫で管理し、捜索時間を約1/10にした公開事例があります。ただし、これは導入企業固有の結果です(出典:TOPPAN「NAVINECTユースケース集」、2026年確認)。

このため、同じ効果を前提にせず、自社の導入前後を比べるKPIとして扱います。

ポイント

判断の目安は、所在から保全、費用までを一つの履歴で追えるかどうかです。導入の目的を検索だけに絞らず、使用や保全の判断まで見据えます。

金型製造業向け金型保守管理システムの進め方

金型システムの設計開発項目を現場の操作、オフライン対応、データの関係、装置連携に分けた図。
4項目を先に定めると、履歴と現場の操作を一緒に設計できます。

開発と導入は、要件整理から定着まで6フェーズで進みます。各フェーズで何を納め、誰が決裁し、どの条件で次へ進むかを決めておくと、要望が際限なく増える状態を防げます。要件整理と定着を除く4フェーズでは、方式とベンダーを選び、設計・開発とテストを経て、稼働させます。

  • 方式・ベンダー選定:専用SaaS、パッケージ、個別開発の中から候補を比べ、選びます。
  • 設計・開発:金型マスタ、履歴、現場UIの設計と開発を進めます。
  • テスト:履歴、権限、現場運用まで含めて確かめます。
  • 稼働:対象拠点と金型を絞って始めます。

フェーズ1:要件整理による現場の流れとMUST機能の定義

まず、金型が受入から廃棄までどう動くかを、現場で観察します。

  • 現場作業:金型を探す場面や、QRを読む場所
  • 記録作業:点検結果の記入と、Excelへの転記
  • 履歴の確認:金型を10〜30点ほど選び、履歴が途切れる項目を洗い出す

担当者への聞き取りは、現場観察と併せて行います。両方を重ねると、過剰な機能要件を抑えられます。

要件定義書では、機能をMUST、WANT、対象外に分類します。分類の対象は、金型台帳や貸出・返却などです。残りの対象は、在庫・使用、保守の記録、申請と操作履歴の3つの領域に分かれます。

  • 在庫・使用:所在・棚卸し、使用前照合、ショット数
  • 保守の記録:点検、保全作業、部品・費用、写真・図面
  • 申請と操作履歴:申請・承認、操作ログ

利用者のロール、金型の所有者、保管責任、拠点、対象金型点数を整理します。

外注先、導入時期、既存システム、データ移行範囲、KPIも一枚にまとめます。

フェーズ2:専用SaaS・パッケージ・個別開発の選定

必要な業務範囲と連携の深さを基準に、各方式を比較します。

  • 金型専用SaaS:QR、棚卸し、使用実績、保全履歴を、早く始めたい企業に向いた方式です。
  • CMMS・設備管理:作業指示、予防保全、部品在庫、保全KPIを広げやすい方式です。
  • 生産管理パッケージ:受注、製造実績、購買、原価、外注貸出を統合したい企業に適します。
  • 個別開発:特殊な金型構成や所有責任、装置・既存システムとの深い連携が競争力に直結する場合に検討します。

CMMSなどでは、金型の所有者、顧客・製品との紐付け、貸出、ショット数が標準機能に含まれるかを確認します。

顧客間で金型の所有責任が分かれるケースも、要件に盛り込みます。

個別開発を候補に入れるのは、PLC・IoTからのショット数取得や、ERP・WMS・品質・CAD/PDMとの深い連携を求める場合です。

候補会社には、サンプル金型10点のデータで所在変更、使用前照合、保全アラート、貸出・返却、廃棄申請を実演してもらいます。あわせて、標準設定、追加開発、連携、データ移行の境界を確認します。比較は、3社以上を同じ条件で行います。

フェーズ3:金型マスタ・履歴・現場UIの設計開発

現場画面と管理者の集計画面は、分けて設計します。

  • 現場の操作:QRを読み、現在地や状態を選び、点検結果と写真を登録します。
  • オフライン対応:一時保存と、復旧後の重複登録・更新競合の処理を決めます。
  • データの関係:金型、製品、設備、顧客、拠点、作業、費用、申請などを定義します。
  • 装置連携:取得時刻、金型番号との照合、欠損値、訂正権限、再送、監査ログを設計します。

画面の導線は、工場の電波状況を見て決めます。

現場の作業は、登録完了まで短い導線で進められるようにします。

子金型、パーツ、所有者、保管場所、貸出先もデータ項目に含めます。保全基準、ショット数、品質不具合、操作ログも設計対象です。装置からショット数を取得する場合は、装置番号も照合できるようにします。

画面を先に作ってデータの意味を後回しにすると、あとで履歴の整合性を直す費用が増えます。

フェーズ4:履歴・権限・現場運用を含むテスト

テストでは、機能が動くかどうかだけでなく、履歴の残り方、権限、現場の運用まで確かめます。

  • 基本シナリオ:登録、QR発行、入庫、棚卸し、使用前照合の一連
  • 保全シナリオ:ショット数登録、保全依頼、作業完了、写真、部品・費用の記録
  • 移管シナリオ:貸出・返却、廃棄申請、承認履歴の記録
  • 権限確認:ロールごとに閲覧、変更、承認できる項目の範囲

対象ロールには、一般作業者、保全担当、工場管理者、購買、顧客担当、システム管理者などがあります。

異常系では、存在しない金型、使用期限超過、別製品の金型を取り付ける場合を試します。加えて、同じ金型を二拠点で移動する場合や、通信断、装置からのショット数欠損も確認します。また、異常時に現場へ何が表示され、誰に通知され、誰が訂正できるかも見ます。

受入テストは、システム担当者だけで終わらせず、金型を実際に扱う作業者が合格を判定します。

フェーズ5:対象拠点と金型を絞った稼働

初回は、課題が見えやすい1拠点、1倉庫、1製品群などに対象を絞り、全拠点や全金型を一度に移行しないようにします。

  • 台帳の照合:サンプルの金型マスタを整え、現物と台帳を照合します。
  • ラベル発行:照合のあとに、ラベルを発行します。
  • 不明データ:重複型番、所有者不明、廃棄済み、画像欠落は業務責任者が判断します。

移行前のExcelに不明なデータがあっても、勝手には補完せず、業務責任者に判断してもらいます。

稼働の判定では、登録率、スキャン完了率、所在変更の反映時間を測ります。加えて、使用前照合のエラー、保全期限通知の確認率、入力時間も測定します。

障害時の連絡先と、紙・Excelへ戻す暫定手順を決めます。

バックアップからの復旧と、ラベル破損時の再発行の手順も定めます。

限定稼働で得た問い合わせと追加要件を整理し、優先順位を付けてから2拠点目へ広げます。

フェーズ6:KPIと運用ルールによる定着

稼働後は、システム担当者だけでなく、工場責任者、保全担当、金型管理者、購買・品質担当の窓口を明確にします。

  • 登録の責任:金型の移動や貸出を記録する担当
  • 承認の責任:点検結果を承認する担当
  • マスタ管理:マスタ変更の担当と、例外時の判断先
  • 定期確認:月次での入力漏れと未処理の保全依頼の確認

外注先との窓口も定め、例外時に現場が迷わない運用にします。

定期確認の結果をもとに、運用ルールも改善します。

KPIには、平均捜索時間、所在不明・再製作件数、保全期限超過率、金型起因の不良率を設定します。金型起因の停止時間、保全費、登録漏れ率、1件あたりの入力時間も追います。

導入直後は登録率と入力時間を優先し、データが蓄積した後に、保全費や停止時間、寿命延長を評価します。

機能を追加する前に、使われていない画面や入力項目を減らすことが、現場への定着につながります。

ポイント

判断の目安は、各フェーズの決裁者と次へ進む条件を、発注側と開発会社で共有できているかです。現場観察で得た根拠が要件にあるかも見ます。

金型保守管理システムの費用相場とコストの内訳

小規模MVP、中規模、大規模の個別開発費の推定レンジを横棒で比べた図。
対象範囲が広がると、推定レンジも大きく変わります。

費用は、金型点数、拠点数、ユーザー数、QR・RFID、ショット数の取得方法で変わります。既存システム連携、データ移行、端末、セキュリティ要件も影響します。

金型単体の公的な市場統計は限られるため、公開料金の実例と、CMMS・生産管理システムの公開相場から推定した個別開発レンジを分けて示します。

以下の金額はすべて税別の目安です。

正式な金額は、要件が確定したあとの見積もりで決まります。

公開価格から見るクラウド型の目安

TOPPANの金型管理DX料金表では、100ユーザー・20GBの基本費用が公開されています。

  • エントリー:初期費用10万円、月額9万5,000円です。
  • スタンダード:初期費用10万円、月額12万5,000円です。
  • 基本費用の年額換算:基本費用を単純換算すると約114万円〜約150万円です。
  • RFID連携:1端末あたり初期・月額各3,000円程度です。
  • 工程・在庫連携:初期50万円または月額1万円です。

使用期限通知は初期50万円から、月額5,000円からです。ショット数の装置連携は1端末あたり初期20万円から、月額1万円からです。

(出典: NAVINECT「金型管理DX 料金表」、2026年確認)

物品・金型管理に近いConvi.BASE資料では、5ユーザー利用の参考価格として、初期約95万円、月額8万5,000円、ラベルプリンター約3万3,000円が示されています。所在、貸出、棚卸しを中心に始める場合の目安です。

公開料金は、安さを比べる表ではなく、自社のMVPに必要な範囲を切り出す材料です。ただし、ショット数に連動した予防保全や成形機・プレス機との連携は、別設計になる可能性があります。

個別開発は300万〜3,000万円以上の幅

個別開発費は、公開されているCMMS開発相場、金型管理パッケージの公開料金、生産管理システムの開発事例からの推定です。

  • 小規模MVP:1拠点で台帳、QR、所在、棚卸し、簡易保全履歴、CSV入出力に絞ると300万〜600万円です。
  • 中規模:複数拠点、ショット数、作業指示、API連携などを含めると600万〜1,200万円です。
  • 大規模:1,500万〜3,000万円以上になる可能性があります。

小規模MVPの期間は、2〜4か月が目安です。一方で、既存SaaSの設定利用なら、初期10万〜100万円程度、月額数万〜十数万円程度で始められる可能性があります。

中規模では、貸出・返却と点検を中心に見ます。さらに、部品・費用、権限・承認も含めて見ます。

期間は、既存の生産管理やERPとのAPI連携まで含めると4〜8か月が推定レンジです。

大規模開発には、多拠点・多社共有、RFID、PLC・IoTが含まれます。さらに、品質・原価・購買・WMS・CAD/PDMとの連携も含まれます。高度な監査や災害対策も、この規模の開発に加わります。

費用は統計的に確定した価格ではなく、要件と連携先によって変動します。

大規模開発では、期間も9〜18か月かかる可能性があります。

5年間の総費用に含める保守・端末・データ整備

5年間の総保有コストには、初期開発費に加えて、運用に必要な費用も含めます。費目は、次のように洗い出します。

  • 利用・基盤:月額利用料、クラウド・サーバー、端末
  • 現場導入:QRラベルやRFIDタグ、装置改修、データ移行、教育
  • 運用・保守:ヘルプデスク、保守・監視、脆弱性対応、追加開発

個別開発の保守運用費は、初期開発費の年10〜20%程度の場合があります。開発費800万円なら年間80万〜160万円程度です。ただし、SaaS料金や夜間対応、診断費用は別に確認します。

安い見積もりでも、現場調査や古いExcelの名寄せが含まれないことがあります。

写真・図面の整理、ラベル貼付、装置連携の通信機器、導入後の問い合わせ対応も、別料金になり得ます。

そのため、見積もりでは、初期費用に含むものと別途かかるものを分けて確認します。あわせて、毎月・毎年かかる費用と、利用量で増える費用も整理します。単年度の予算だけでなく、現場が使い続ける継続費用として判断します。

ポイント

費用は金型点数や拠点数、ショット数の取得方法で変わるため、初期と継続の費用を分けて比べます。判断の目安は、5年間の総費用で見て、現場が使い続けられる金額かどうかです。

金型保守管理システムの見積もりを取る際のポイント

見積もりは、機能数ではなく、同じ業務範囲と前提条件で比べます。

RFPには、金型点数、拠点数、ユーザー数、現場端末を記載します。

対象工程、所有者、貸出先、現行台帳、移行履歴を記載します。ショット数の取得方法や連携先も、同じ資料に含めます。

稼働時間、バックアップ、復旧目標、予算、公開時期も含めます。

同じ資料を候補会社へ渡すと、提案の差と追加費用が見えやすくなります。

見積書に明記する要件・成果物・責任分界

作業と納品物を分けて記載すると、追加費用が発生する範囲を判断できます。見積項目には、次の作業を含めます。

  • 開発工程:要件整理、画面・データ設計、開発、単体・結合・受入テストです。
  • 移行・導入:データ移行、ラベル発行、教育、稼働支援です。
  • 引き継ぎ:保守引き継ぎと運用支援です。

要件定義書、画面一覧、データ項目表、API仕様、テスト計画・結果が納品物に含まれるかを確認します。

操作マニュアル、運用設計書、バックアップ手順も含まれるかを確かめます。「一式」とだけ書かれた見積もりでは、後から追加費用となる範囲が見えません。

ショット数連携では、金型番号と設備番号の照合、PLCやIoTゲートウェイの改修を分けて見積もります。

ネットワーク、通信ハードウェア、異常時の手入力、装置メーカーとの調整も項目にします。

既存システム連携では、API、データ項目、認証、同期頻度、エラー時の再送、障害時の責任範囲を確認します。

自社とベンダーの担当をRACIのように整理すると、問題発生時のたらい回しを減らせます。

候補会社の実演と導入後支援の比べ方

候補会社にはサンプル金型を使った実演を依頼します。標準機能、設定、追加開発、対応不可の範囲を記録します。

  • 所在変更:QRを読み取り、金型の所在を更新します。
  • 保全依頼:製品照合後、ショット数に応じた依頼を作成します。
  • 作業履歴:写真と費用を登録し、貸出・返却と承認履歴を確認します。

RFPの質問は、ショット数の取得と保全アラートから始めます。ほかに、次の項目も質問します。

  • 保存と所有:写真・図面保存、貸出・所有権
  • 現場の利用:オフライン利用

さらに、API、監査ログ、データ移行、5年総費用、導入後の現場支援も確認します。質問は計10項目です。

実績は導入社数だけでなく、自社に近い業務かを確かめます。金型製造、プレス加工、射出成形、協力会社間の共有などが比較対象です。

教育、問い合わせ窓口、改善提案、障害時の対応時間まで契約に含めると、定着につながります。

法務・セキュリティ・データ返却の確認

2026年1月1日に取適法が施行されました。

適用対象取引では、発注内容などの明示、取引記録の作成・保存、支払期日の設定が求められます。

公正取引委員会のQ&Aには、今後1年間の具体的な発注時期を示せない事例があります。その事例では、金型を受託事業者へ無償保管させています(出典: 公正取引委員会「取適法施行に当たり事業者の皆様に御留意いただきたい事項」「よくある質問コーナー」、2026年確認)。

システムだけで法令順守が自動的に保証されるわけではありません。そのため、法務とセキュリティの要件を整理します。

  • 証跡:所有者、保管責任、返却・廃棄、費用負担、発注・承認、変更履歴を追跡します。
  • アクセス制御:最小権限、MFAやSSO、暗号化、操作・変更・承認ログを設けます。
  • 復旧と契約:バックアップ、復旧テスト、脆弱性・パッチ対応、リモート接続、データ出力を定めます。
  • ネットワーク:工場のITと設備網を分離し、装置接続にはゲートウェイやAPIを使う構成も検討します。

経済産業省は2025年、中小規模の製造事業者向けの「工場セキュリティの重要性と始め方」を公開しました。この資料は、取引先まで被害が及ぶサプライチェーン攻撃を前提に、対策を始める考え方を示しています(出典:経済産業省、2025年)。

ポイント

判断の目安は、同じ業務範囲と前提条件で、各社の見積もりを比べられる状態かどうかです。追加費用の範囲が「一式」で曖昧なままなら、比較はまだ早いと考えます。

金型保守管理システムのよくある質問

選定では、専用か汎用か、自動化の範囲、現場の入力、既存データの移行が、よく問われます。ここでは、導入規模、ショット数、Excel移行、クラウド利用を取り上げます。

金型が少なくても専用システムを導入すべきですか?

導入の判断は、金型点数だけでなく、解決したい課題に応じて考えます。

  • 所在不明・保全漏れ:少数でもQR台帳と保全履歴から始める価値があります。
  • 貸出責任・品質確認:所有責任の説明や不良との因果確認も導入課題になります。
  • 棚卸しだけが課題:物品管理クラウドや既存CMMSの標準機能でMVPを作れます。

ショット数や装置連携は、効果を確認してから追加する方法が現実的です。

ショット数は自動取得しなければなりませんか?

自動取得は必須ではなく、手入力と装置連携のどちらが適切かを確認します。

  • 手入力:使用前後に登録し、保全基準と実績を運用できるか確かめます。
  • 自動取得:装置改修費、通信機器、金型と設備の照合を見積もります。

自動取得では、欠損時の訂正ルールや保全アラートの誤通知も考慮します。また、公開料金の初期・月額費用は端末単位です。一方で、装置側の対応費用や通信ハードウェアは別途とされています。

Excelの金型台帳や過去の保全履歴は移行できますか?

移行できる可能性はありますが、Excelの列をそのまま取り込めば完了するとは限りません。事前にデータの状態を確認します。

  • 台帳の不整合:型番の重複、拠点名や棚番の表記揺れを調べます。
  • 対象の確認:廃棄済み金型や所有者不明のデータを確認します。
  • 履歴の欠落:画像、日時、担当者の不足を調べます。

移行対象と参照用データを分けたうえで、サンプル変換、件数照合、現物との棚卸し、移行後の検索・履歴確認を受入条件にします。なお、名寄せの責任者は自社側で決めます。

クラウドで顧客所有の金型情報を管理しても安全ですか?

安全性は、クラウドかオンプレミスかだけでは決まりません。サービス側と自社側で、どこまでを誰が担うかとあわせて対策を確認します。

  • 認証・権限:MFAやSSO、最小権限
  • 保護と復旧:暗号化、監査ログ、バックアップ、復旧訓練
  • 運用・契約:脆弱性対応、リモート接続管理、契約終了時のデータ返却

顧客、協力会社、所有権、図面、品質情報を共有する場合は、拠点・会社・ロール単位で閲覧を制御します。

誰がいつ何を変更したかを追える証跡も、必須の要件に含めます。

ポイント

少数の金型でも、所在不明や保全漏れが課題なら専用システムを検討する価値があります。自動取得は必須ではないため、手入力で始めて後から判断する方法も候補です。

まとめ

導入は、要件整理、選定、設計開発、テスト、稼働、定着の6フェーズに分けて進めます。そうすると、費用と判断の抜け漏れを抑えられます。

まず、全社を一度に置き換えず、台帳、所在、棚卸し、使用前照合、簡易保全履歴をMVPとして使います。そのうえで、データが蓄積した後に、ショット数、品質、生産、原価、購買、外注先との連携を広げます。

導入前に確認するチェックリスト

導入前の確認事項を、対象・データ・統制・費用に分けて洗い出します。

  • 対象と運用:金型・拠点、所有者・保管責任、現場端末を確認します。
  • データと連携:型番、ショット数、保全基準、QR・RFID、台帳と移行範囲
  • 統制と継続:設備・生産管理連携、権限・承認・操作ログ、バックアップ・復旧、教育とKPI
  • 費用:初期・月額、追加開発、端末・タグ、装置改修、保守を比べます。

5年間の総費用も、同じ前提で比べます。金額だけでなく、現場で1回のスキャンから履歴を残せるかを優先して見ます。

保全期限をデータで判断できること、金型の所有・貸出・返却・廃棄と費用を説明できることも重要です。

法令対応や品質改善は、業務ルールと責任者を定め、継続的にデータを使う土台をつくって初めて進みます。

1拠点・少数の金型での効果測定

導入効果を測りながら展開範囲を決めるため、次の順で進めます。

  1. 現場観察の対象となる金型と拠点を決め、導入前の捜索時間、所在不明件数、保全期限超過、入力時間を測ります。
  2. 現物と台帳を照合してMVPのデータを整え、候補会社の実演で一連の業務を確認します。
  3. その後、全社展開と高度な装置連携を判断します。小さく始めて測り、使われる機能に投資を振り向けます。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。