Monorepoのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

Monorepoのシステム開発を発注・外注するなら、リポジトリを一つにまとめること自体ではなく、複数のアプリケーションと共通コードを安全に変更・リリースできる開発基盤として、要件・費用・責任範囲を定義することが重要です。

Monorepoはフロントエンド、API、バッチ、共通認証、UIコンポーネントなどを一つのバージョン管理リポジトリで扱う方式です。ただし、デプロイ単位まで一つにする必要はありません。この記事では、発注形態の選び方、RFPと要件の整理、契約形態、費用相場、委託先の比較、発注後の進め方まで、業務システム担当者が外注前に確認すべきポイントを順番に解説します。

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・Monorepoのシステム開発の完全ガイド

Monorepoのシステムを発注する前に知っておきたい全体像

Monorepoのシステム発注を検討する担当者

発注の成否は、技術ツールを先に決めるかどうかではなく、何を共有し、何を分離し、誰が運用するかを明確にできるかで決まります。Monorepoはモノリスと同じ意味ではなく、ソースコードの管理場所と実行時の構成を分けて考える必要があります。

Monorepoは一つのシステムや一つの実行ファイルではありません

Monorepoは、複数のアプリケーション、サービス、共通ライブラリ、インフラ定義を一つのリポジトリで管理する開発方式です。たとえば、販売管理のフロントエンド、在庫API、請求バッチ、社内管理画面、認証パッケージを同じリポジトリに置きながら、それぞれを別々にビルドしてデプロイできます。コードを一か所でレビューできるため、共通の型定義や認証処理を変更する際に、利用側と同じコミットで整合性を確認しやすくなります。

一方で、全サービスが同じデータベースを使うことや、常に全アプリを同時リリースすることはMonorepoの必須条件ではありません。発注時は「リポジトリは一つ、デプロイはアプリ単位」「共通パッケージは公開APIを定める」といった設計原則をRFPに書くと、モノリス化を避けやすくなります。

外注を検討しやすい企業と、内製を優先したい企業

外注に向いているのは、複数の開発チームやサービスを抱え、共通コードの重複、CIの長時間化、リリース手順のばらつき、依存関係の把握不足に悩んでいる企業です。特に、既存リポジトリを統合する場合は、単なるGit移管ではなく、ビルド・テスト・権限・デプロイの設計を一度に見直す必要があるため、経験のあるパートナーを入れる効果が出やすくなります。

反対に、アプリが一つだけで共通コードも少なく、開発者が一人か二人の場合は、Monorepoの導入が目的化する可能性があります。機密性の異なる部門が強く分離されている場合や、チームごとに異なるリリース統制が必要な場合は、polyrepoを維持する方が安全なこともあります。委託先には、Monorepoを勧める条件だけでなく、採用しない条件も説明してもらうことが大切です。

Monorepoの発注形態は目的と社内体制で選びます

発注形態を比較するプロジェクトチーム

Monorepoの発注では、システム全体を任せる一括請負だけが選択肢ではありません。現状調査だけを専門会社に依頼し、移行は別会社に任せる方法や、社内のプロダクト責任者と外部の基盤チームが共同で段階導入する方法もあります。技術の難しさより、社内にどの役割を残したいかで発注形態を決めると失敗しにくくなります。

要件が固まっているなら請負型で成果物を明確にします

ディレクトリ構成、採用ツール、移行対象、CI/CD、テスト、ドキュメント、受入条件まで決まっているなら、請負型の契約で成果物と納期を合意しやすくなります。たとえば「既存5リポジトリを統合し、3アプリを個別デプロイできる状態にする」「mainブランチへのマージ前に単体テストと依存関係検査を通す」といった検証可能な条件を設定します。

ただし、既存コードの品質や依存関係が不明なまま、Monorepo移行一式を固定価格にするのは危険です。未知の不具合を委託先が吸収する契約になると、最初から高いリスク料が含まれるか、後から変更契約が増えます。請負にする場合も、現状調査と要件定義を先行させ、成果物の粒度を工程ごとに分けることが現実的です。

要件が揺れているなら準委任型で調査と設計を進めます

移行対象が多く、既存テストが不足し、業務部門へのヒアリングも必要な段階では、準委任型で一定期間の調査・設計を依頼する方法が向いています。委託先の稼働時間に対して対価を支払うため、仕様変更に対応しやすい一方、発注側が優先順位を決め、成果物をレビューしなければ、作業が長期化しやすい点に注意が必要です。

準委任型では、月次の作業報告だけでなく、依存関係グラフ、移行計画、CIの実行時間、テストカバレッジ、未解決リスク一覧など、判断に使える成果物を定めます。「調査を行う」ではなく、「リポジトリ別の所有チームと依存関係を一覧化し、移行順序と中止条件を提案する」と書くと、契約後の認識違いを減らせます。

内製移管を目指すなら伴走型や共同開発を選びます

社内に開発者はいるものの、Monorepoの設計原則やCI改善の経験が不足している場合は、外部の基盤担当者に伴走してもらう形が適しています。外部チームがすべてを作るのではなく、社内担当者とペアでワークスペース、タスク定義、権限設計、運用手順を実装します。契約書には、ソースコードだけでなく、CI定義、IaC、テスト、設計判断の記録、教育内容も引渡し対象に含めます。

選択の目安は、社内で要件と優先順位を決められるなら準委任型、納品物と受入条件を固定できるなら請負型、両方が難しいなら最初に短期の現状調査を発注することです。いきなり大規模な統合を依頼せず、1〜2ドメインのPoCで効果と運用負荷を測定してから本開発へ進むと、発注リスクを抑えられます。

RFPと要件整理では共有範囲と分離範囲を決めます

Monorepoの要件を整理する会議

RFPは、ツール名を指定する文書ではなく、業務上の目的、現状の課題、対象範囲、品質条件、運用体制、見積条件を委託先が同じ前提で理解するための文書です。Monorepoでは、アプリケーションの一覧だけでなく、パッケージ間の依存関係、チームの所有権、リリース単位、アクセス制御まで整理すると、提案の比較精度が上がります。

現状と目的は業務・技術・経営の三つに分けて書きます

業務面では、販売、在庫、顧客、請求など、対象となる業務ドメインと利用者を記載します。技術面では、現在のリポジトリ数、アプリ数、パッケージ数、言語、ビルド時間、CIサービス、デプロイ先、テストの有無を整理します。経営面では、リリース頻度を上げたいのか、重複開発を減らしたいのか、監査や事業継続の要件を満たしたいのかを明記します。

目的は「Monorepoを導入する」では不十分です。「共通認証の変更を関連アプリへ同じプルリクエストで反映できる状態にする」「変更のないアプリをCIで再実行しない」「委託終了後に社内チームがリリースできる」といった成果に置き換えます。測定指標として、CI時間、レビュー待ち時間、重複コード、デプロイ失敗率、障害時の影響範囲を設定しておくと、導入効果を判断しやすくなります。

対象範囲・対象外・受入条件を同じページに置きます

対象範囲には、移行するリポジトリとしないリポジトリ、統合するパッケージ、作り直すテスト、CI/CDの変更、権限やブランチ保護の設定を記載します。対象外には、業務機能の追加、データベース統合、全面的なUI刷新、24時間監視などを明記します。範囲外を曖昧にしたまま見積もりを取ると、各社が異なる前提で価格を提示するため、安い見積もりが本当に安いのか判断できません。

受入条件は、「リポジトリが統合された」ではなく、具体的な動作で定義します。たとえば、指定したアプリだけを変更したプルリクエストで影響範囲のテストが自動実行されること、リリース対象をアプリ単位で選べること、失敗時に直前バージョンへ戻せること、社内担当者が手順書を使って再現できることなどです。検収時に確認できるログや画面も先に合意します。

セキュリティと運用要件を後付けにしません

Monorepoでは、多数のサービスを一つのリポジトリで管理する分、権限設計が重要です。CODEOWNERSやブランチ保護、レビュー必須、SSO・多要素認証、退職者のアカウント無効化、監査ログ、秘密情報の検査、依存パッケージの脆弱性とライセンス確認をRFPの必須条件に含めます。部署や委託先が異なる場合は、リポジトリ内のディレクトリ単位で責任者と承認者を分けられるかも確認します。

GitHubの公式ドキュメントでは、Dependency reviewによってプルリクエストで追加・更新された依存関係、既知の脆弱性、ライセンスなどを確認でき、条件に応じてマージを止められると説明されています(出典: GitHub Docs「Dependency review」、2026年確認)。Monorepoの見積もりでは、こうした検査を導入する設定費だけでなく、検知後の承認・例外申請・更新の運用費まで含めて確認します。

契約形態と責任分界はソースコード以外も定めます

Monorepo外注の契約と責任範囲を確認する担当者

Monorepoの委託契約で見落とされやすいのは、納品物がアプリのソースコードだけではない点です。リポジトリ構成、ワークスペース設定、CI/CD定義、IaC、テスト、依存関係一覧、SBOM、運用手順、設計判断の記録がなければ、納品後に社内で改修できません。契約前に成果物の一覧と形式、保管場所、引渡し時期を確認します。

成果物・著作権・改修権・OSSの扱いを明記します

ソースコードの所有権だけでなく、設計書、テストコード、CI設定、コンテナ定義、監視設定、スクリプトをどこまで引き渡すかを定義します。発注者が自社で改修し、別の委託先へ移管する可能性があるなら、改修・再利用・第三者への保守委託に支障がない権利関係を確認します。契約書の著作権条項は、成果物の利用範囲や著作者人格権の扱いも含め、必要に応じて専門家へ相談します。

OSSについては、ライセンス名、著作権表示、NOTICE、ソース開示義務、脆弱性対応の責任を確認します。委託先が独自に保有する汎用部品を利用する場合は、発注者が利用できる範囲と、将来の別案件への再利用条件を分けて記載します。Monorepo内の共通パッケージが複数事業で使われると、権利の曖昧さが移管や監査の障害になりやすくなります。

仕様変更・障害・脆弱性の責任分界を工程ごとに決めます

Monorepoでは、一つの共通パッケージの変更が複数アプリに影響します。そのため、変更要求の承認者、影響範囲の分析担当、テスト失敗時の一次対応、リリース判断者、ロールバック実施者を決めます。委託先が基盤を作っても、業務仕様の最終判断は発注者が担うのか、夜間障害を誰が受けるのかを曖昧にしてはいけません。

保守契約では、問い合わせ対応時間、重大度ごとの初動、復旧目標、月次の依存関係更新、CIの失敗調査、リリース支援の回数を確認します。障害の原因がアプリの仕様なのか、共通パッケージなのか、CI基盤なのかで担当が変わる場合は、切り分けの手順とエスカレーション先も納品物に含めます。

ベンダーロックインと内製移管の条件を契約に入れます

特定のCIサービスやキャッシュサービスを使う場合は、解約後にビルド・テスト・デプロイを再現できるか確認します。リモートキャッシュについて、Turborepo公式ドキュメントは共有キャッシュによって開発者とCIの重複作業を減らせる一方、成果物をHMAC-SHA256で署名して完全性と真正性を検証できると説明しています(出典: Turborepo公式「Remote Caching」、2026年確認)。便利なサービスほど、データの保存場所、削除方法、秘密鍵の管理、代替手段をRFPと契約に残します。

移管条件には、管理者アカウントの引渡し、リポジトリのエクスポート、CIの再構築手順、バックアップの復元テスト、未解決チケットの一覧化、社内担当者への引継ぎ期間を含めます。外部サービスを使わない構成を選ぶ必要はありませんが、移管できない構成を選ぶなら、その理由と撤退コストを経営判断できる状態にしておく必要があります。

Monorepoのシステム発注費用相場と見積もりの内訳

Monorepoのシステム開発費用を見積もる担当者

Monorepo構築だけの国内統一相場は公表されていません。費用はリポジトリ数、パッケージ数、言語、既存テストの品質、CI/CD、セキュリティ要件、移行対象の複雑さで変わるため、ここでは一般的なシステム開発の人月単価と、作業範囲を組み合わせた概算レンジを示します。実際の発注では、同じRFPを複数社へ渡し、工数と前提を分解して比較してください。

小規模な新規構築は約240万〜800万円を目安にします

新規に3〜6パッケージ、Webアプリ1〜2個、基本的なworkspace管理、lint・単体テスト、CI、READMEを整える範囲なら、4〜8人月、約240万〜800万円程度が一つの概算レンジです。これは人月60万〜100万円で計算した編集上の推定であり、Monorepo案件の平均価格ではありません。認証、外部API、インフラ構築、監査対応、既存データ移行まで含める場合は、同じパッケージ数でも上振れします。

SIA株式会社の2026年記事では、システム開発の人月単価を60万〜200万円程度とし、初級エンジニアでもスキルや地域により幅があると説明しています(出典: SIA株式会社「システム開発の費用・相場 2026年版」、2026年7月)。したがって、単価だけでなく、PM、アーキテクト、セキュリティ担当、テスト担当を何人月含むかを見なければ、見積もりの安さを比較できません。

既存統合は約600万〜2,500万円以上まで幅が出ます

既存5〜20リポジトリ、10〜50パッケージを統合し、依存関係の整理、テスト補修、アプリ単位のデプロイ、権限・レビュー設計まで行う場合は、10〜25人月、約600万〜2,500万円程度を仮置きできます。期間は3〜8か月程度が目安ですが、業務機能の改修やデータ移行を含めると、さらに増えます。単純なリポジトリ統合に見えても、暗黙の環境差や再現できない手動手順を直す作業が費用の中心になることがあります。

大規模で複数言語、複数クラウド、監査ログ、SBOM、SSO、災害対策を含む場合は、25〜80人月、約1,500万〜8,000万円程度まで広がる推定です。ここにも一般的な人月単価と作業量を用いた概算であるという限界があります。見積書では、現状調査、設計、移行、CI、テスト、セキュリティ、教育、保守を一式にまとめず、工程ごとに分けてもらいます。

ランニングコストはCI・キャッシュ・保守を分けて計算します

開発後は、コードホスティング、CIランナー、リモートキャッシュ、アーティファクト保管、監視、商用サポート、脆弱性対応の費用が発生します。利用者数、CIの実行回数、ビルド時間、成果物の容量、保持期間によって変動するため、月額5万〜50万円程度を暫定予算に置く場合も、必ず利用量と契約プランを前提にします。この金額は一般的な予算仮説であり、特定サービスの料金を保証するものではありません。

デジタル庁の標準ガイドライン実践ガイドブックでは、見積もりにおいて作業の工数と人件費単価を明確にし、1人月を原則20人日として積算する考え方が示されています(出典: デジタル庁「標準ガイドライン実践ガイドブック」、2025年5月改定)。Monorepoの発注でも、単に総額を確認するのではなく、何人日をどの成果物に使うのか、追加作業が発生した場合の単価はいくらかを確認します。

委託先の選定と見積比較で確認すべきポイント

Monorepoの委託先と見積書を比較するチーム

委託先は、Monorepoという言葉を知っているかだけでなく、業務システムの要件整理から運用移管まで扱えるかで選びます。ツールベンダー、コードホスティング事業者、受託開発会社、クラウドインテグレーターは役割が異なります。各社の提案を同じ土俵で比べるには、RFPで求める支援範囲と評価基準を先に決めておく必要があります。

実績は件数ではなく課題と規模を聞きます

実績を確認するときは、「Monorepoを何件導入したか」だけでなく、何個のアプリとパッケージを扱ったか、既存移行か新規構築か、利用チーム数、採用したCI、移行期間、導入後の指標を聞きます。提案担当者だけでなく、実際に設計・実装・運用移管を担当するメンバーと面談し、設計判断を自社の業務に置き換えて説明できるかを確認します。

Nxの2026年掲載事例では、Casewareが700以上のプロジェクトをMonorepoへ統合し、93%のキャッシュヒット率と週181日分の計算時間削減を達成したと紹介されています(出典: Nx「Scaling 700+ Projects: How Nx Became a No-Brainer for Caseware」、2026年3月)。これはベンダー掲載の事例で、他社での再現を保証する数字ではありません。だからこそ、自社でも導入前後に測る指標と計測方法を提案できる会社を評価します。

見積比較は総額より前提・工数・除外項目をそろえます

見積書は、現状調査、要件定義、アーキテクチャ設計、移行実装、CI/CD、テスト、セキュリティ、ドキュメント、教育、プロジェクト管理、保守に分けて比較します。それぞれについて、担当ロール、人数、期間、単価、成果物、前提条件を確認します。特に「テストは既存のものを利用」「クラウド費用は別途」「業務側の確認は発注者が行う」といった記載は、価格差の理由になりやすいため注意が必要です。

短納期の提案は魅力的に見えますが、通常の70%以下のスケジュールを求めると、並列開発や予備工数が必要になり、費用が1.2〜1.4倍になる傾向があるとSIAの受託開発費解説で説明されています(出典: SIA株式会社「受託開発の費用相場」、2026年7月更新)。急ぐ場合は、何を削るのか、品質と体制への影響は何か、段階リリースで代替できるかを見積もりに書いてもらいます。

避けたい提案と、質問しておきたいリスク

「Monorepoにすれば必ず安くなる」「ツールを入れればCIが自動的に速くなる」と断定する提案には注意が必要です。共有コードの設計が悪ければ依存関係が密結合になり、変更の影響範囲が広がります。キャッシュも、入力と出力が正しく定義され、タスクが再現可能でなければ、古い成果物を使うリスクやキャッシュミスが増えます。

面談では、polyrepoの方が適切な条件、移行を中止する基準、失敗時の戻し方、秘密情報がキャッシュに入らない設計、委託先の担当者が離任した場合の引継ぎ、契約終了時の移管方法を質問します。回答が技術用語だけでなく、業務影響、費用、納期、責任者まで落ちているかを確認すると、現場で使える提案かどうか判断しやすくなります。

発注後は小さく検証してからMonorepoを広げます

Monorepo導入を段階的に進める開発チーム

発注してすぐ全社のリポジトリを統合するのではなく、現状調査、PoC、段階移行、運用移管の順に区切ります。各段階で成果物と継続判断を置けば、期待した効果が出ない場合に範囲を止めたり、設計を修正したりできます。発注者側も、業務責任者、技術責任者、セキュリティ担当、契約担当を最初からプロジェクトに参加させます。

最初の調査では現状の数字と移行候補を確定します

現状調査では、リポジトリごとの所有チーム、主要言語、依存パッケージ、ビルドとテストの時間、デプロイ頻度、障害履歴、権限、秘密情報の保管場所を確認します。そのうえで、共通UIや型定義のように依存方向を管理しやすいもの、認証や業務ロジックのように影響が大きいものを分け、最初に統合する候補を選びます。

PoCでは、代表的な2〜3アプリと共通パッケージを対象に、変更箇所だけをテストできるか、アプリ単位でデプロイできるか、失敗時に戻せるかを確認します。導入前のCI時間が30分で、PoC後に20分になったとしても、保守工数が増えていれば成功とは限りません。速度、品質、レビュー負荷、運用費、社内の理解度を合わせて評価します。

段階移行ではリリースとロールバックを先に整えます

移行の順番は、依存の少ない共通パッケージや新規アプリから始め、業務影響の大きい基幹機能は後に回すと安全です。移行先のブランチ保護、レビュー、テスト、アーティファクト保管、デプロイ承認、監視、ロールバックを先に用意し、既存環境と新環境を一定期間並行稼働させます。データベースまで同時に変更する場合は、コード移行とデータ移行を別の判断単位にします。

委託先には、移行完了を宣言する条件を説明してもらいます。たとえば、対象アプリが新しいCIで再現可能にビルドできること、必要なテストが通ること、担当チームが手順書でリリースできること、障害時の切り戻しを演習済みであることを条件にします。段階移行なら、問題が起きたときにどの範囲を旧構成へ戻すかも事前に決められます。

運用移管後のガバナンスを定例化します

Monorepoは納品した時点で完成するものではなく、パッケージの公開API、依存方向、命名、テスト、リリース、例外承認を守り続ける運用が必要です。運用会議では、変更の多いパッケージ、CI失敗率、キャッシュヒット率、脆弱性、ライセンス例外、レビュー滞留、リリース失敗を確認し、ルールを更新します。

引継ぎの完了は、資料を受け取ったことではなく、社内担当者が実際に変更・テスト・リリース・切り戻しを実行できることです。委託先が運用を継続する場合も、社内に最低一人はリポジトリの管理者を置き、外部サービスの契約、秘密鍵、バックアップ、障害連絡先を管理します。こうした体制までRFPと契約に含めると、導入後の追加費用を予測しやすくなります。

よくある質問

Monorepoのシステム発注に関するよくある質問

Monorepoの発注では、技術選定だけでなく、既存資産の扱い、契約、費用、社内体制について疑問が出やすくなります。ここでは、発注前に特に相談の多い質問へ、判断の基準を簡潔に回答します。

Monorepoのシステム発注費用はいくらですか?

Monorepo固有の統一相場はありませんが、小規模な新規構築なら約240万〜800万円、既存統合なら約600万〜2,500万円程度を作業範囲に基づく概算レンジとして置けます。リポジトリ数、テスト補修、CI/CD、権限、セキュリティ、移行対象で大きく変わるため、総額だけでなく人月・単価・成果物・除外項目を比較してください。

Monorepoの移行は請負契約と準委任契約のどちらが良いですか?

要件と受入条件が明確なら請負型、既存コードの調査や移行方針が固まっていないなら準委任型が検討しやすくなります。実務では、現状調査・基本設計を準委任型で行い、合意した範囲の移行実装を請負型にするなど、工程ごとに契約を分ける方法もあります。どちらを選んでも、成果物、責任分界、変更手続き、知的財産、引継ぎを文書化します。

TurborepoとNxはどちらを選べばよいですか?

TypeScriptやJavaScript中心で、軽量なタスク実行とキャッシュを重視するならTurborepo、プロジェクトグラフ、境界ルール、生成、分散CIなど組織規模に応じた管理を重視するならNxが候補になります。多言語・大規模のビルド統制や既存のMicrosoft環境など、別の前提がある場合はRushやBazelも比較します。発注時は、ツール名より、自社の依存関係・CI・権限・運用をどう実装するかを提案してもらうことが大切です。

Monorepoではなくpolyrepoを選ぶべきケースはありますか?

あります。チームや委託先ごとに強い権限分離が必要な場合、リリースや監査の単位が完全に異なる場合、共通コードがほとんどない場合は、polyrepoの方が管理しやすいことがあります。Monorepoの導入を前提にせず、共有したいコード量、変更頻度、組織境界、CIの課題を確認し、比較したうえで選ぶことが発注者の重要な役割です。

まとめ

Monorepoのシステム発注を成功させるまとめ

Monorepoのシステムを発注・外注するときは、最初に「何を一つのリポジトリで共有し、何をアプリやチーム単位で分離するか」を決めます。そのうえで、業務上の目的、現状の数字、RFPの範囲、受入条件、契約形態、ソースコード以外の成果物、保守と移管の条件を整理します。

費用は総額ではなく前提と成果物で比較します

Monorepo固有の統一相場はないため、費用は人月、単価、対象リポジトリ、テスト、CI、セキュリティ、教育、保守を分解して考えます。小規模な新規構築では約240万〜800万円、既存統合では約600万〜2,500万円程度を作業範囲から算出した概算として置けますが、これは確定価格ではありません。複数社から同じ前提で見積もりを取り、安さではなく抜け漏れと将来の運用費まで比較します。

まずは現状調査と小さなPoCから始めます

全社統合を急がず、代表的なアプリと共通パッケージでPoCを行い、CI時間、キャッシュの有効性、変更の安全性、レビュー負荷、社内での運用可否を確認します。効果が測れた範囲だけを段階的に広げ、polyrepoを維持する方がよい領域も残します。発注先には、導入を勧める理由だけでなく、採用しない条件と撤退方法まで提案してもらうことが、長く使えるMonorepoにつながります。

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株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。