NATSのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

NATSのシステム開発を外注するなら、まずCore NATSかJetStreamかを要件で分け、PoC・RFP・契約・運用まで含めて委託範囲を定義することが成功の近道です。

「NATSを使ったシステムを作りたいが、どの会社に、何を、どの契約で頼めばよいのかわからない」という方は少なくありません。NATSは軽量なメッセージング基盤ですが、Subjectの設計、メッセージの保存、再送、監視、障害復旧まで考えると、単にサーバーを立ち上げるだけの発注では本番運用に耐えないためです。この記事では、NATS.ioを使うシステムの発注・外注・委託方法を、発注形態の選び方、RFPと要件整理、契約形態、費用相場、委託先の比較ポイントまで順に解説します。

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NATSのシステムを外注する前に知るべき全体像

NATSのシステムを外注する前に全体像を整理するイメージ

NATSのシステムを発注するときは、NATSそのものと、NATSを組み込む業務アプリケーションを分けて考えることが重要です。NATSはデータベースや採用管理システムそのものではなく、複数のサービスやデバイスを非同期につなぐ通信・イベント処理の基盤です。したがって、委託先にはミドルウェアの設定だけでなく、業務要件、データ整合性、セキュリティ、保守の設計まで求める必要があります。

NATS.ioは何をするシステムですか?

ここでいうNATSは、航空管制会社など別の名称ではなく、NATS.ioが提供するクラウドネイティブなオープンソースのメッセージングシステムを指します。Publish/Subscribeによるイベント配信、Request/Replyによるサービス間通信、Queue Groupによるワーカー分散を、軽量なサーバーと各言語のクライアントで実現できます。Go、Java、JavaScript/TypeScript、Python、C#、Rustなどに対応するため、既存の業務システムが複数言語で構成されていても組み込みやすい点が特徴です。

たとえば人材サービスなら、「候補者登録」「応募受付」「面接予約」「選考結果更新」「入社確定」のような業務イベントをSubjectに分け、求人媒体、候補者管理、面接予約、通知、請求などのサービスへ必要な情報だけを配信できます。候補者の氏名や履歴書の原本はRDBや既存ATSを正本とし、NATSには候補者ID、イベント種別、発生時刻、相関IDなどを送る設計が基本です。

Core NATSとJetStreamはどう使い分けますか?

接続中のサービスへ低遅延で通知できればよく、失われたイベントを後から再生する必要がない場合はCore NATSが候補になります。一方、業務イベントやジョブを保存し、Consumerの停止後に再処理したい場合はJetStreamを前提にします。JetStreamはStreamにメッセージを保存し、Consumerが配信状況とAckを管理するため、未確認のメッセージを再配信できます。NATS公式ドキュメントでは、Core NATSはat most once、JetStreamのConsumerはat least onceの配信保証を提供すると説明されています(出典:NATS公式JetStreamドキュメント、2026年確認)。

発注時に「NATS対応」とだけ書くと、Core NATSで十分なのか、JetStreamの保持期間・レプリカ数・Consumerの最大再送回数まで設計するのかが曖昧になります。RFPには、保存の要否、再処理の期限、許容できる重複、順序性、最大遅延、障害時の復旧目標を明記してください。なお、過去のNATS Streaming、通称STANを新規案件の前提にしないことも重要です。現在の新規設計では、JetStreamを中心に現行バージョンの対応状況を確認します。

NATSと業務システムの発注範囲はどこまでですか?

発注範囲は、NATSクラスタの構築だけに限定する方法、既存サービスとの連携まで任せる方法、業務アプリケーション全体を一括して任せる方法に分かれます。NATSの導入だけを外注する場合でも、Subjectの命名規則、Payloadのスキーマ、認証・認可、TLS、監視、バックアップ、アップグレード手順まで成果物に含めます。これらがないと、開発会社が納品した後に自社で障害対応できません。

人材データを扱う場合は、履歴書、面接記録、雇用書類などをメッセージへ直接載せるか、IDだけを載せて業務DBから取得するかを早期に決めます。個人情報保護委員会も、人事労務サービスの開発・提供では安全管理措置と委託先の監督を確認するよう注意喚起しています(出典:個人情報保護委員会「人事労務管理のためのサービスをクラウド環境を利用して開発・提供する場合…」、2024年)。NATSの技術選定と個人情報の扱いを別々に発注しないことが大切です。

NATSのシステム開発はどの発注形態が適していますか?

NATSの発注形態を比較検討するイメージ

NATSの発注形態は、技術検証だけを頼むか、既存システムとの連携まで頼むか、企画から運用まで一括して頼むかで選びます。現時点で要件が固まっていない場合は、いきなり本番開発を発注せず、PoCや技術アセスメントを先に置く方法が安全です。反対に、連携先、イベント量、保存期間、可用性が明確な場合は、RFPを使って複数社へ同じ条件で見積もりを依頼できます。

PoCだけを外注する方法

PoCは、NATSが自社の要件に合うかを検証する小規模な発注です。たとえばDockerやKubernetes上にCore NATSまたはJetStreamを構築し、1〜3個のサービスをつないで、負荷、再接続、Consumer停止、メッセージの再送、バックアップからの復旧を確認します。性能測定だけで終わらせず、意図的にサーバーやConsumerを停止し、どの状態まで戻せるかを試すことが重要です。

PoCの成果物には、検証環境、構成図、Subject一覧、メッセージスキーマ、テスト結果、未解決のリスク、本番移行の条件を含めます。費用はノートで整理した公開相場と必要工数からの推定では、50万〜200万円程度、期間は2〜6週間が一つの目安です。ただし、既存システムの調査や個人情報の設計を含めると増えるため、金額だけでなく「何をもってPoC完了とするか」を契約書に書きます。

マネージドサービスを使って外注する方法

自社でクラスタ運用を担う人材が不足している場合は、Synadia Cloudのようなマネージドサービスを使い、アプリケーション開発と運用設計をSIerへ委託する形が候補になります。サーバーの冗長化やアップグレードの負担を減らし、サービス間連携の開発に集中しやすい点が利点です。特に、複数リージョンや拠点・エッジ連携を短期間で検証したい場合に向いています。

ただし、マネージドにすれば運用責任が消えるわけではありません。料金体系、接続数、転送量、ストレージ、保持期間、データ所在地、SLA、障害通知、ログの取得範囲を確認します。海外サービスを使う場合は、個人情報の越境、委託先の再委託、契約準拠法も確認してください。第三者整理の料金例を参考にする場合も、無料枠や月額プランは変更されるため、発注時点の公式料金を根拠に見積もります。

既存システムとの連携・移行まで一括委託する方法

既存のATS、CRM、RDB、通知サービス、請求システムを連携し、NATSを本番のイベント基盤として組み込む場合は、要件定義から保守まで一気通貫で委託する方法があります。発注先には、イベント駆動設計だけでなく、業務データの正本、トランザクション境界、API連携、権限管理、監視、インシデント対応を確認します。NATSの設定ファイルだけを納品する会社では、業務側の不整合を解決できない可能性があります。

RabbitMQやKafkaなどから移行する場合は、いきなり切り替えず、旧基盤とNATSへ一時的に二重配信し、一部Consumerをカナリア切替してから全体へ広げます。NATS公式が紹介するSophotechの事例では、約50サービスの環境でRabbitMQからNATSへ移行し、p99遅延が約150ミリ秒から約40ミリ秒になったとされています。ただし、これは個別環境の公開事例であり、自社でも同じ改善が得られるとは限りません。移行前後の測定条件とロールバック条件をRFPに書くことが大切です。

NATSのシステム開発を発注・外注する進め方

NATSのシステム開発を段階的に進めるイメージ

NATSの開発を外注するときは、相談、要件整理、RFP、提案比較、契約、PoC、本番開発、受け入れ、運用引き継ぎの順に進めます。最初から技術仕様を細部まで決める必要はありませんが、解決したい業務課題と、失敗したときに困る条件は発注者側で整理しておく必要があります。

最初に業務課題とイベントを整理します

まず「NATSを導入したい」ではなく、「何を改善したいか」を書き出します。たとえば、応募情報を複数システムへ即時連携したい、通知処理のピーク時の遅延を抑えたい、拠点が一時的にオフラインでも後から同期したい、障害後にイベントを再処理したい、といった業務目的です。目的が異なれば、Core NATS、JetStream、既存API、バッチ処理のどれが適切かも変わります。

次に、発生するイベント、発行元、購読者、保存の要否、許容遅延、再送の扱いを一覧にします。個人情報を含むイベントは、Payloadに値を直接入れず、IDと参照先だけにする案も比較します。Subjectは、たとえば「candidate.registered」「interview.booked」のように業務上の意味が伝わる命名にし、サービス名や実装都合だけを埋め込まないようにします。

RFPには何を記載すればよいですか?

RFPには、背景と目的、対象業務、既存システム構成、連携先、想定するイベント、利用者、データ分類、非機能要件、希望スケジュール、予算の考え方、納品物、保守条件を記載します。特にNATSでは、毎秒のメッセージ数だけでなく、ピーク時の増加率、メッセージの平均・最大サイズ、Subject数、Consumer数、保存期間、再処理件数を示すと、各社の見積条件がそろいやすくなります。

非機能要件は「高可用性」だけで終わらせず、目標復旧時間、目標復旧時点、許容停止時間、最大遅延、監視通知の時間、バックアップ頻度、災害時の切り替え方まで具体化します。JetStreamを使う場合は、StreamのRetention、ファイルまたはメモリストレージ、レプリカ数、Ackの方式、MaxDeliver、再配信の間隔、Consumerの滞留をどこで検知するかもRFPの質問項目にします。

発注者側で技術仕様を決めきれない場合は、RFPに「要件定義支援を提案に含める」と書きます。提案会社には、未確定事項、前提条件、追加調査の方法、PoCで判断する項目を明示してもらいます。曖昧なまま固定価格だけを求めると、後から変更扱いになり、費用と納期が膨らみやすくなります。

PoCから本番、受け入れまでを分けて確認します

PoCの後は、設計レビュー、本番最小構成、負荷試験、障害試験、段階リリースの順に進めます。負荷試験では平均値だけでなく、ピーク時の遅延、Consumerの再送、Ack待ち、ストレージ使用量、接続断からの再接続を確認します。障害試験では、NATSサーバーの停止、ネットワーク分断、Consumerの長時間停止、重複イベント、順序が入れ替わったイベントを想定します。

受け入れ条件は、画面が動くことではなく、RFPに記載した業務と非機能が満たされることです。たとえば「候補者登録イベントが5秒以内に通知サービスへ届く」「未Ackのイベントが設定した回数まで再送される」「二重処理を冪等キーで防止できる」「監視でConsumer滞留を検知できる」「障害復旧手順を担当者が実行できる」といった条件にします。運用引き継ぎでは、構成図、設定値、秘密情報の管理方法、監視項目、障害時の連絡先、復旧手順、アップグレード手順を受け取ります。

NATSの外注ではどの契約形態を選びますか?

NATS開発の契約形態と責任分界を確認するイメージ

NATS開発の契約形態は、要件の確定度と発注者が負担できるプロジェクト管理の量で選びます。要件が変わりやすい初期は準委任、成果物と受け入れ条件が明確な開発工程は請負、継続的な監視や改善は保守・運用契約に分ける方法が実務的です。契約名だけで判断せず、成果物、作業範囲、責任分界、変更手続き、障害時の対応を具体的に確認してください。

準委任契約が向くケース

準委任は、技術アセスメント、要件定義、アーキテクチャ設計、PoC、運用改善のように、作業の遂行を委託する契約に向いています。NATSの適用範囲やJetStreamの設定を検証しながら決める段階では、最初から完成形を固定しにくいためです。月ごとの稼働時間、担当者、定例会、成果報告、設計レビューの回数を定め、作業した時間だけでなく、何を判断できる状態にするかを合意します。

準委任では、発注者側にも意思決定と優先順位付けが求められます。業務部門、情報システム部門、セキュリティ担当、委託先の責任者が参加する会議体を作り、仕様変更を放置しないようにします。発注者がほとんど時間を割けない場合は、準委任だけでなく、プロジェクト管理支援やPMO支援を追加する見積もりも比較します。

請負契約が向くケース

請負は、設計書、構成、アプリケーション、テスト、ドキュメントなど、完成させる成果物と受け入れ条件を定義できる場合に向いています。たとえば「JetStreamを使った応募イベント連携を、指定の負荷試験と障害試験を通過した状態で納品する」といった範囲です。請負にする工程では、対象Subject、対応するサービス、テストケース、納品物、検収期限、瑕疵対応の期間を契約へ入れます。

請負で注意したいのは、仕様の曖昧さを契約で隠さないことです。イベント数や保存期間が未確定のまま「本番運用できるNATS基盤」とだけ発注すると、双方が想定する完成状態がずれます。未確定の要件は別途調査、変更管理、追加見積もりの対象にし、追加費用が発生する条件と上限を確認します。

保守・運用契約で決めること

本番稼働後は、サーバーやマネージドサービスの監視だけでなく、Consumerの滞留、再送の増加、Streamの容量、接続エラー、認証失敗、メッセージ処理の遅延を見ます。保守契約には、監視対象、通知先、対応時間、一次切り分け、復旧支援、原因分析、定例報告、NATSのバージョンアップ、脆弱性対応、バックアップ確認を含めます。

NATS Server 2.14は2026年4月30日にリリースされ、その後公式ダウンロードページでは2.14.3が2026年6月29日付の最新リリースとして案内されています(出典:NATS公式リリース情報・ダウンロードページ、2026年確認)。発注時のバージョンだけでなく、アップグレードの検証環境、互換性確認、切り戻し方法まで委託範囲に含めると、古い構成が放置されにくくなります。

NATSのシステム開発費用相場と見積もりの内訳

NATSのシステム開発費用と見積もりを確認するイメージ

NATS固有の国内受託開発費を横断比較できる公的な統計は確認できないため、以下は2026年時点の一般的なシステム開発費用相場と、NATS導入に必要な設計・インフラ・移行・運用工数をもとにした推定レンジです。正確な金額は、イベント量、連携先、可用性、保存期間、個人情報の扱い、保守時間を明示して再計算してください。NATS Serverのライセンス費だけを見て、開発・クラウド・監視の費用を見落とさないことが重要です。

PoC・MVP・本番開発の費用レンジ

技術検証のPoCは、50万〜200万円程度が一つの目安です。1〜3サービスの接続、Core NATSまたはJetStreamの構築、負荷試験、再接続試験、障害復旧の確認を含む場合のレンジで、既存システム調査やセキュリティ審査を含めると上振れします。

小規模MVPは、300万〜800万円程度が目安です。3〜8サービス、Subject設計、基本認証、CI/CD、監視、1つの業務システム連携までを想定しています。本番業務連携は、800万〜2,000万円程度のレンジを見込むケースがあります。5〜20サービス、HAクラスタ、RDBやATSとの連携、再処理、バックアップ、権限、障害訓練を含めるためです。複数リージョン、既存Kafkaなどからの移行、24時間運用まで含む大規模案件では、1,500万〜5,000万円以上になる可能性があります。

これらは市場価格を保証する特定金額ではなく、公開されている一般的な開発費用の目安と必要工数から作った予算検討用のレンジです。会社ごとの見積もりがこの範囲から外れる場合も、イベント量、冗長化、データ移行、セキュリティ、PMO、保守を確認すれば理由を説明できます。安い順に決めるのではなく、見積もりに含まれる作業と含まれない作業をそろえて比較します。

見積もりに含めるべき費用項目

見積もりでは、要件定義、イベント設計、NATSクラスタ構築、アプリケーション実装、既存システム連携、テスト、移行、ドキュメント、プロジェクト管理を分けて記載してもらいます。JetStreamを使う場合は、StreamとConsumerの設計、Retention、レプリカ、再送、重複排除、バックアップ、リプレイ試験がどの項目に含まれるかを確認します。

別途費用になりやすいのは、クラウド利用料、ストレージ、データ転送、監視サービス、ログ保管、TLS証明書、マネージドサービス利用料、24時間のオンコール、脆弱性診断、外部システムのAPI利用料です。クラウドやマネージドサービスの料金は為替やプラン変更の影響も受けるため、見積書には前提月額と変動条件を記載します。開発費と月額運用費を合算しただけの数字を、初期費用と誤認しないようにします。

費用が増えやすい要因

費用を押し上げる主な要因は、NATSの台数そのものより、配信保証と業務データの整合性です。重複が起きても安全に処理する冪等性、順序が崩れた場合の業務ルール、失敗イベントの隔離、再処理の承認、監査ログ、個人情報を含むPayloadの暗号化やマスキングに工数がかかります。マルチリージョンや拠点間接続、既存基盤からの無停止移行も、設計と試験の費用を増やします。

発注前に「月間イベント数が増えたらどうなるか」「Consumerが数時間止まったらどう復旧するか」「同じ候補者イベントが2回届いたらどう処理するか」を質問します。委託先がCPUやメモリだけを語り、再送、重複、監査、運用の説明をしない場合は、見積もりが安くても本番リスクを含んでいる可能性があります。

NATSの委託先選定と見積比較のポイント

NATSの委託先を選定し見積もりを比較するイメージ

NATSの委託先は、NATSという単語を提案書に書ける会社ではなく、イベント駆動の設計と本番運用を説明できる会社を選びます。公開情報にNATSの実績が少なくても、JetStream、Go、Kubernetes、クラウド、分散システム、障害対応の実績があれば候補になります。反対に、DockerでNATSを起動した経験だけで本番の可用性や個人情報の設計を説明できない会社は慎重に評価します。

委託先に確認する7つの評価項目

第一に、JetStreamの本番運用経験を確認します。Stream、Consumer、Ack、Retention、レプリカ、バックアップをどのように設計したかを聞きます。第二に、障害時の再送・重複・順序・滞留の扱いを確認します。第三に、AWS、Azure、GCP、オンプレミス、Kubernetesのどこまで対応できるかを確認します。第四に、TLS、NKey、JWT、Account、Subject権限、監査ログの設計を確認します。

第五に、既存ATS、CRM、RDB、APIとの連携経験を確認します。第六に、24時間運用、オンコール、障害報告、脆弱性対応、バージョンアップの体制を確認します。第七に、移行時の二重配信、カナリア切替、ロールバック、データ整合性の確認方法を確認します。実績を聞くときは「NATSを使ったことがありますか」ではなく、「どの規模で、どの配信保証を選び、障害時に何を測定し、誰が復旧したか」と具体的に質問します。

見積もりは同じ前提で比較します

相見積もりでは、会社ごとに異なる前提で出された合計額を並べないようにします。RFPと同じイベント数、連携先、可用性、保存期間、保守時間を指定し、要件定義、設計、実装、テスト、移行、ドキュメント、運用引き継ぎを同じ粒度で分けてもらいます。提案書に「含む」「含まない」「前提」「追加条件」の欄を設けると、後から比較しやすくなります。

見積額が低い会社は、JetStreamや障害試験、監視、受け入れ支援、保守を別料金にしているかもしれません。逆に高い会社は、PMO、セキュリティ診断、移行リハーサル、24時間対応を含んでいる可能性があります。金額差の理由を説明してもらい、初期費用、月額費用、追加変更、障害対応、クラウド費用を分けて総額を判断します。

セキュリティとガバナンスを評価します

NATSの認証・認可やTLSが設定されていても、Payloadに不要な個人情報を入れれば漏えい時の影響は大きくなります。候補者IDとイベント種別だけを送る、ログに氏名や履歴書を出さない、JetStreamの保持期間を目的に合わせて短くする、開発・検証・本番でアカウントとSubject権限を分ける、といった設計を委託先へ求めます。秘密情報をソースコードやログに残さない運用も確認します。

AI面接や候補者推薦などをNATSのイベント処理と組み合わせる場合は、AIへの入力データ、利用目的、説明責任、アクセス権限、評価結果の保存、誤判定時の対応も要件に含めます。経済産業省などが公表するAI事業者ガイドラインは2026年3月31日に第1.2版が案内されています(出典:経済産業省「AI事業者ガイドライン検討会」、2026年)。NATSの性能だけで委託先を決めず、データガバナンスを説明できる会社を選びます。

よくある質問(FAQ)

NATSのシステム発注に関するよくある質問

NATSの外注では、費用、技術選択、開発会社への依頼方法について同じ質問が多く寄せられます。ここでは、発注前に判断しやすいよう、結論を先に回答します。

NATSは無料なので開発費も安くなりますか?

NATS Serverはオープンソースとして利用しやすい一方、開発費が自動的に安くなるわけではありません。要件定義、イベント設計、クラスタ構築、認証、監視、テスト、保守、クラウドやストレージの費用は別に必要です。ライセンス費ではなく、運用責任と必要工数を含めた総保有コストで比較します。

JetStreamは必ず使う必要がありますか?

必ずではありません。接続中の購読者へリアルタイムに通知するだけならCore NATSが候補ですが、Consumer停止後の再処理、イベント保存、Ack、再送、Replay、レプリケーションが必要ならJetStreamを使います。判断は「NATSを使うか」ではなく、各イベントに保存と再処理が必要かで分けます。JetStreamを選ぶ場合も、保持期間とストレージ上限を決めずに無期限保存しないことが大切です。

NATSに詳しい開発会社をどう見つければよいですか?

NATSの公開実績、JetStreamの本番経験、障害復旧の説明、既存システムとの連携経験、クラウド・Kubernetesの運用体制を確認します。問い合わせ時は、NATSの導入可否だけでなく、Core NATSとJetStreamの選定理由、再送と重複の設計、監視項目、保守時間、個人情報を含むPayloadの扱いを質問します。実績を開示できない場合でも、匿名化した構成とテスト結果、担当者の技術経歴を確認すると判断しやすくなります。

見積もり依頼前に何を用意すればよいですか?

業務上の目的、既存システムの構成図、連携先、イベントの種類、想定メッセージ量、保存期間、個人情報の有無、希望時期、予算の考え方、運用体制を用意します。詳細なNATS設定が未確定でも、PoCで確認したいこと、許容遅延、障害時の復旧目標を示せば提案を比較できます。資料が足りない場合は、要件定義やアセスメントを先行発注し、RFPを完成させる進め方も可能です。

まとめ

NATSのシステム発注方法を整理して次の行動へ進むイメージ

NATSのシステム開発を発注・外注するときは、NATSサーバーの構築費だけでなく、業務要件、イベント設計、配信保証、個人情報、監視、障害復旧、保守まで含めて委託範囲を決めます。Core NATSとJetStreamをイベントごとに使い分け、STANなど古い構成をそのまま採用しないことも重要です。

まずは小さなPoCとRFPから始めます

いきなり本番の一括開発を決めるのではなく、業務イベントを整理し、1〜3サービスのPoCで配信、再送、重複、障害復旧を検証します。その結果をもとにRFPを作成し、同じ条件で複数社から提案と見積もりを取得します。費用レンジは参考値として扱い、含まれる成果物と運用条件をそろえて比較してください。

技術と業務の両方を見られる委託先を選びます

委託先を選ぶときは、NATSのキーワードや安い見積もりだけでなく、JetStreamの本番運用、既存ATSやRDBとの連携、セキュリティ、障害対応、保守体制を確認します。発注者が判断すべき業務要件と、委託先に任せる技術・運用責任を分け、契約書と受け入れ条件へ落とし込めば、NATSのシステム開発を安全に外注しやすくなります。

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株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。