入社手続きシステムの発注は、業務フローを整理し、要件と契約を固めてから委託先を比べる順に進めます。この順で進めると、入社日に必要な情報をそろえやすくなります。
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・入社手続きシステム開発の完全ガイド
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入社手続きシステムを発注・外注する全体像
入社手続きシステムは、本人入力から人事確認、雇用契約、届出、社内登録までをつなぐ仕組みです。入社予定者はスマートフォンで情報を入力し、人事が不備を確認して差し戻します。そのうえで、本人の同意や電子契約を経て手続きを進めます。
発注時の基準は、画面の見た目よりも、社会保険・雇用保険の届出や社内システム登録まで流れが途切れないかです。
発注前に整理する業務フロー
発注前に工程を書き出して順番に並べると、抜けや例外を見つけやすくなります。
- 内定承諾と入社前の本人情報収集
- 雇用契約と入社日の確認
- 社会保険・雇用保険の届出
- 給与・勤怠への反映とアカウント発行
各工程では、入力者と承認者を決めます。不備が出たときの戻し先や完了期限も、工程ごとに決めておきます。
例外の扱いを整理しないまま外注すると、開発の途中で仕様が増えてしまいます。仕様の追加は見積と納期を膨らませやすいので、担当者の頭の中にある例外も、発注前に委託先へ伝えておきます。
成功指標の決め方
導入の目的は、システムを入れることではなく、業務の成果を変えることにあります。そこで、導入前後で比べられる数値をKPIとして設定します。
- 入力:1人あたりの入力時間と不備率
- 手続き:差し戻し回数と期限超過件数
- 対応:内定者の問い合わせ件数とID発行完了時間
SmartHRの事例では、オープンハウスグループが800名規模の手続きをペーパーレス化しました。人事工数は51%減少したと紹介されています(出典:SmartHR導入事例、確認日2026年8月)。
ただし、この事例と同じ効果が自社で出るとは限りません。自社の業務に合う指標を、発注前に置いておきます。
入社手続きシステムの発注形態の選び方

標準的な入社手続きであれば、SaaSを第一候補にします。ただし、連携や独自承認だけが不足する場合は、その部分だけを追加開発する方法が現実的です。
人事制度が特殊なとき、複数法人にまたがる複雑な権限が要るとき、独自帳票や基幹システムとの深い統合が欠かせないときは、追加開発やスクラッチを比べます。最初からフルスクラッチに決めず、標準機能で満たせる範囲を確かめてから差分を発注すると、費用と納期を抑えやすくなります。
SaaSを使う方法
SaaSは、用意された機能で手続きを早く始めたい企業に向いています。招待、スマートフォン入力、雇用契約の流れを扱えるほか、情報収集や電子申請も利用できます。
法改正や帳票の更新をベンダーに任せられ、初期費用も抑えやすいのが利点です。一方、独自項目や承認順序を再現できない場合があります。
契約前に、API、CSV、SSOへの対応を確認します。また、データエクスポートの方法と、解約後のデータ返却条件も確かめます。
パッケージへの追加開発・連携
採用管理から候補者情報を受け取り、承認済みのマスタを給与・勤怠へ渡す場合は、追加開発を組み合わせます。Microsoft Entra IDなどのID管理連携も対象です。
標準機能を使いながら、二重入力を減らせます。そのためには、連携項目と送信時期を発注範囲で決めておく必要があります。エラー時の再送の方法と、訂正を担当する人も、同じ範囲で明確にします。
APIがあっても、全項目や履歴を連携できるとは限りません。そのため、サンプルデータで確かめておきます。
専用システムを新規開発する方法
スクラッチ開発は、自社の業務や統制を細かく反映できます。一方で、要件定義から保守まで、発注者自身が判断する必要があります。
開発の対象は、画面や帳票、権限、セキュリティです。さらに、テスト、移行、保守までを範囲に含めます。社内からは、人事・労務と情シスに加えて、法務と現場代表者も参加させます。
機能を増やせば便利になるとは限りません。そのため、初回は手続きの中核に絞り、異動・年末調整・退職は段階導入する方法もあります。
RFPと要件整理の準備範囲

RFPは、複数社が同じ前提で提案・見積できるようにするための発注資料です。完成した設計書まで用意しなくても構いません。
RFPには、対象範囲、優先順位、現状課題を明記します。加えて、連携先や希望時期を記します。セキュリティ条件と提案依頼事項もまとめます。
IPAの要件定義ガイドも、要件定義を開発契約や進め方に影響する重要工程としています(出典:IPA「ユーザのための要件定義ガイド」)。
RFPに書く対象範囲と利用者
利用者は、人事担当者のほか、内定者、新入社員、承認者も想定します。給与担当、社労士、情シス管理者も含め、利用者ごとに分けて書きます。
入社者数や年間人数、4月などのピークを記載します。さらに、法人数と拠点数も書きます。雇用形態や外国籍社員、扶養入力の有無も含めます。
社宅や通勤経路の扱いも書きます。そのうえで、社外の内定者がアカウントなしで使えるか、スマートフォンから本人確認書類を出せるかを、デモで確認します。
MUST・SHOULD・WANTによる優先順位付け
要件の優先順位は、法定手続きと情報保護、業務負荷、将来機能に分けると整理できます。
- MUST:必須項目確認、差し戻し履歴、権限分離、ログ、バックアップ、削除、電子申請帳票
- SHOULD:業務負荷を下げる機能
- WANT:チャットボットや高度な分析など、将来検討する機能
WANTを分けておくと、初期リリースの範囲を管理しやすくなります。また、迷う要件は、欠けた場合に誰の期限やリスクへ影響するかで決めます。
法定期限と安全管理の要件
期限管理と個人情報保護は、要件として具体化しておきます。
- 届出期限:入社日から期限を自動で計算し、未完了の人へ通知します。
- 資格取得届:健康保険・厚生年金は資格取得日から5日以内、雇用保険は被保険者となった月の翌月10日までです。
- テストケース:代表ケースで、雇用形態や試用期間、外国籍、扶養の有無によって変わる情報を確かめます。
- 情報保護:マイナンバーや本人確認書類は、通常の従業員情報とは権限を分けて管理します。
- 委託先管理:個人情報を預ける先の体制を、契約前に見ておきます。
健康保険・厚生年金は日本年金機構、雇用保険は厚生労働省の案内で、届出期限を確かめられます(確認日2026年8月)。
注意喚起では、安全管理措置や委託先監督の留意点が示されています(出典:個人情報保護委員会「人事労務管理のためのサービスをクラウド環境を利用して開発・提供する場合…注意喚起」、確認日2026年8月)。
RFPには、最小権限と操作ログを含めます。再委託先と保管場所も書きます。解約後の削除証跡と事故時の連絡期限も盛り込みます。
入社手続きシステム開発の契約形態の選び方
契約形態は、要件の確定度と役割分担で選びます。確定した機能の完成は請負、要件整理や調査、伴走型の設計は準委任が候補です。工程ごとに契約を分ける方法もあります。
契約では、何を納めるかと検収の条件を確かめます。完成の定義、作業時間、責任範囲も、契約前に確認しておきます。さらに、変更手続き、知的財産権、再委託の扱いも確かめます。
請負契約が向く範囲
画面や帳票、API連携、権限の仕様が合意でき、納品物と検収条件を定義できる部分は、請負に向きます。
受入条件は、たとえば「入力データを人事が承認し、承認済みデータを給与システムへCSV出力できる」のように、テスト可能な形にします。
仕様が曖昧なまま全工程を請負にすると、変更が追加費用になり、完成の解釈もずれやすくなります。そのため、要件定義と開発を分ける案も検討します。
準委任契約が向く範囲
成果物を作りながら発注者と判断を重ねる工程は、準委任が適する場合があります。
- 対象工程:業務ヒアリング、現行調査、SaaS選定、試作、PoC、移行計画、運用設計
- 向く状況:現場ごとに手続きが異なる、例外が多い、既存システムの仕様が不明
- 契約で定めること:作業内容、体制、稼働時間、報告、意思決定者、成果物の扱い
こうした状況では完成形を固定しにくいため、契約で作業範囲を明記し、無制限の作業を防ぎます。
NotebookLMの調査ノートには、変更の多い段階で請負に固定すると、準委任より高くなる傾向があるとの示唆があります。ただし、1.3倍から1.5倍は業務システム全般の目安で、入社手続きシステムの統計相場ではありません。
契約ごとに前提と変更単価を分けて、提示してもらいます。
入社手続きシステムの費用相場と見積内訳
費用は、SaaS利用料と初期設定、データ整備で分けて考えます。さらに、連携や追加開発に加えて、教育と保守も項目ごとに並べると比べやすくなります。
専用の公開統計は、確認できていません。ここで示すのは、調査ノートにある類似業務システムの推定レンジです。
市場平均として扱わないため、人数や入社ピーク、連携数などを踏まえて、個別の見積を取ります。セキュリティ要件も含めます。
SaaS利用と導入支援の費用
SaaS利用と導入支援の費用は、利用料に加えて、設定や移行の範囲によって変わります。
- SaaS利用:自社設定なら初期費用0円から数十万円程度、月額は従業員数と機能に応じて数千円から数十万円程度です。
- freeeの公開価格例:2026年3月更新料金表では5名まで年払い月額相当が2,000円から5,500円、6名以降は1人あたり月400円から1,100円です。
- 含まれる機能:入退社手続きと社会保険の電子申請はスターター以上です。
- 導入支援:初期設定、マスタ整形、帳票・承認経路設定、研修、テスト、移行支援は50万円から300万円程度との推定です。
ここまでの数字の出典は、freee公式料金ページとヘルプです(確認日2026年8月)。市場平均ではなく、1製品の公開価格例にすぎません。
連携本数やデータ欠損、既存運用の複雑さによって、費用は変動します。そのため、設定対象とテスト回数を分けて、研修時間と問い合わせ期間も別に見積もります。
部分開発とスクラッチ開発の費用
API・CSV・SSO連携や部分カスタマイズは300万円から1,000万円程度との推定です。一方、専用スクラッチ開発は500万円から1,500万円程度です。
入社から退職までを統合する大規模システムは、1,500万円から4,000万円程度です。対象には、在籍や給与、年末調整も含まれます。
いずれも、類似業務システムの計画用レンジです。金額の安さだけで比べると、要件定義やセキュリティテストが抜けた提案を選ぶ恐れがあります。そのため、工程ごとの金額と対象を示してもらいます。
- 開発:要件定義、UI、バックエンド、外部連携
- 品質・移行:権限・ログ、脆弱性対応、受入テスト、データ移行
- 導入後:教育、リリース支援、保守・運用
保守・運用の費用は、初期開発費の月5%から15%を年額に換算し、別途確保する目安です。制度改正や連携先の変更にかかる費用も確認します。
導入時期から逆算した予算
SaaSの設定開始までは2週間から2か月程度です。また、データ整備、連携、研修を含めると、2か月から4か月程度が目安です。
部分開発は3か月から6か月、スクラッチは6か月から12か月程度との推定です。いずれも、類似業務システムからの見立てです。
4月入社に合わせるなら、まず前年秋に現状整理とRFP作成を進めます。冬には選定と設定を行い、年明けに代表ケースのテストと教育に入ります。
委託先の選定と見積比較の確認ポイント

委託先は、価格だけでなく、業務理解や個人情報を扱う体制を比べます。さらに、連携力と導入後の支援も見ておきます。SaaSとスクラッチでは、得意な領域が異なります。
RFPで標準機能、追加開発、SaaSを使わない代替案を求めると、選択肢を公平に比べやすくなります。
人事労務と入社集中期の実績
入社手続きや雇用契約、保険の実績に加えて、マイナンバーや給与・勤怠連携の実績も確かめます。年間人数だけでなく、同じ週の入社人数も聞いておきます。
繁忙期は、問い合わせや差し戻し、ID発行が同時に起こります。そのため、平常時のデモでは、対応力を十分に評価しきれない場合があります。
正社員とアルバイトのケースに加えて、外国籍や扶養あり、入社日変更のケースも実演してもらいます。
見積書の条件のそろえ方
見積条件をそろえるには、費用項目と課金対象、追加料金の有無を並べて確認します。
- 費用項目:初期・月額、支援、開発、API・SSO、電子申請、本人確認、移行、研修、保守、制度改正対応
- 利用人数:5名、50名、300名など自社に近い条件で、初年度と3年間の総額を比較
- 課金対象:従業員全員が対象か、退職者・休職者をどう数えるか
- 別料金と前提:移行、テスト環境、窓口、障害復旧、バックアップ、運用マニュアルの追加費用や、不要機能・過剰なカスタマイズの有無
各社には、「含む・含まない・前提条件・変更単価」を記載してもらいます。見積に差が出た理由も、質問して確かめます。
セキュリティと契約終了時の確認
認証の有無に加えて、情報管理と契約終了時の条件も確認します。
- 管理策:プライバシーマークやISMSの取得状況に加えて、権限分離、MFA・SSO、管理者ログ、脆弱性対応、バックアップ、復旧目標を確認
- 保管と委託:データセンターの所在、国外移転、再委託先一覧と監督方法を確認
- 個人番号:閲覧者、保管期間、利用目的、削除方法と証跡を定める
- 契約終了:CSV等での返却可否、添付書類・監査ログの返却対象、返却後の削除時期を決める
- 事故対応:障害・漏えい時の初動連絡、調査協力、再発防止、損害賠償範囲を契約書に反映
個人情報保護委員会の注意喚起を基準に、人事・労務の担当者が法務や情シスと条件を確かめます。
よくある質問(FAQ)
入社手続きシステムはSaaSとスクラッチ開発のどちらがよいですか?
標準的な手続きを早く始めたい場合はSaaSが向き、独自業務や複雑な連携が必須なら追加開発かスクラッチが候補になります。標準機能との差分だけを開発費として比べると、過剰な開発を避けやすくなります。
発注費用はどのくらいの予算を見ておけばよいですか?
SaaSは、初期0円から数十万円、月額は数千円から数十万円程度が目安です。導入支援は50万円から300万円程度です。
部分開発は300万円から1,000万円程度、スクラッチは500万円から1,500万円程度との推定です。これは公開統計ではなく、類似業務システムの計画目安です。
人数や連携数、セキュリティ要件を含めて、複数社から見積を取ります。
開発会社へ相談する前に何を準備すればよいですか?
まず、業務フローと人数・ピーク、利用者をそろえます。次に、帳票と既存システム、連携項目を整理し、法定期限とMUST・SHOULD・WANTも用意します。
要件定義書がなくても、困っている作業と代表ケースが分かれば相談できます。そのうえで、RFPに不明点と見積の対象・対象外を記載します。
マイナンバーを扱う外注先は何を確認すべきですか?
閲覧者を絞ったうえで、利用目的と権限を確認します。ログや暗号化、バックアップについても確かめます。再委託先と保管場所、削除時期と証跡も確認します。
認証だけでなく、委託先を監督できる契約条項と運用窓口も見ます。特定個人情報は、個人情報保護委員会のガイドラインや自社基準にも照らします。
まとめ
発注時は、業務フローと成功指標を整理したうえで、SaaS、追加開発、スクラッチの順に比べます。RFPには例外や連携を書き、期限とセキュリティも記載します。
見積は、初期費用だけでなく3年間の総額で比べます。移行、テスト、教育、保守の費用も含めて見ます。
代表的な入社者ケースでの比較
候補を選んだあとは、3から5パターンでデモやPoCを行います。対象は、正社員と扶養あり、外国籍、入社日変更などのケースです。入力時間や不備率、差し戻しの状況を確認し、期限管理と問い合わせ対応も見ます。
導入後は、紙との二重運用を期限を決めて終え、KPIを毎月確認します。目指すのは、入社日に情報がそろい、担当者が行政手続きを完了できる状態です。
発注前の全体像の確認
入社前から入社後までのタスクと情報、法定期限を一度に見渡すと、委託先との会話が具体的になります。連携と権限も含めて整理すると、要件の抜けや重複を減らせます。標準機能に合わせる業務と開発する部分を判断するため、下の全体ガイドも参考になります。
▼全体ガイドの記事
・入社手続きシステム開発の完全ガイド
▼RFP作成前に読みたい無料ホワイトペーパー
・業務システム開発の完全ガイドブック
・スクラッチシステム開発の完全ガイドブック
・【2026年最新版】AI駆動開発の完全ガイドブック
会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
