OEM管理システム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

OEM管理システムを発注・外注するときは、まず自社の製造形態に合う導入方式を選び、次に業務シナリオとデータ連携をRFPにまとめます。そのうえで、契約範囲と5年総額を比べて委託先を決めます。

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・OEM管理システム開発の完全ガイド

OEM管理システムの発注前に整理する業務範囲

OEM管理システムを中心に見積・受注から在庫・出荷・請求・原価までをつなぐ図解
発注前に標準化する範囲を整理

OEM管理システムは、受注から原価までの業務をつなぐ業務基盤です。主な範囲は、次のように分けて捉えます。

  • 受注側の業務:見積・受注、仕様・BOM
  • 製造側の業務:資材調達・製造・品質
  • 出荷以降の業務:在庫・出荷・請求・原価

「OEM専用」と書かれた単独製品を探す前に、どの業務を標準化し、どの顧客向けの差異を残すかを決めてください。

パッケージ、クラウド、個別開発を比べると、発注の失敗を抑えられます。

OEM業務と一般的な販売管理の違い

OEMでは、同じ商品でもブランドオーナーごとに配合や部品表が異なり、検査基準や契約単価なども変わります。

仕様の版数や変更履歴を管理しないまま受注すると、旧仕様で製造してしまったり、承認前のラベルを使ってしまったりするおそれがあります。

さらに、製造を自社工場と複数の外注先に分ける場合は、外注工程の納期、仕掛品、検査結果を受注番号やロットと結び付けておく必要があります。外注費まで結び付けていないと、納期の回答や原価計算が担当者の経験に頼ることになります。

発注前に設定するKPI

目的を「Excelをなくす」だけにとどめず、納期遵守率、在庫差異、棚卸工数といった数字に置き換えます。納期回答にかかる時間、ロット追跡に要する時間、見積原価と実績原価の差なども、同じ考え方で指標にします。特急外注の件数や入力・転記工数も、必要に応じて加えます。

たとえば、「クレーム発生時に対象ロットと出荷先を何分で特定するか」「受注数量が変わったときに資材所要量と外注手配を何分で更新するか」を、現状値と目標値で記録しておきます。そうすると、機能の優先順位と導入効果をベンダーに説明しやすくなります。

OEM管理システムの発注形態の選び方

SaaS・パッケージ・スクラッチ開発の違いを比較する図解
価格だけでなく導入速度も確認

標準化できる業務が多い企業では、生産管理パッケージやSaaSを起点にする方式が検討しやすいです。そのうえで、OEM固有の仕様、品質、外注管理は設定や連携で補います。

複数工場や顧客ポータル、設備連携などが競争力に直結し、既存製品の制約が大きい企業は、段階的な個別開発を含めて比較します。

発注形態は価格だけでなく、導入速度、変更のしやすさ、保守の責任まで含めて選びます。

データの移行しやすさも、判断の材料に加えてください。

SaaS・パッケージ・スクラッチ開発の違い

SaaS、パッケージ、スクラッチ開発は、自社が抱える範囲が違います。

  • SaaS:初期費用を抑えやすく、サーバーの保守やアップデートを自社で抱えにくい
  • パッケージ:製造業向けに受注から品質までをまとめて扱え、業務を標準機能に寄せられる場合に向く
  • スクラッチ開発:自由度が高い反面、要件定義やテスト、脆弱性対応などを自社が長く管理する

SaaSを選ぶ場合は、顧客別の複雑な仕様や工場の通信制約が標準機能で足りるかを先に確かめる必要があります。特殊な帳票や計量器、設備との連携も確かめておきます。

スクラッチ開発では、将来の改修費や保守人材も自社で抱えることになります。

MVPで最初に発注する機能

全社分を一度に作り込むより、基本となる業務からMVPを組み立てます。

  • 基本の業務:受注、商品仕様・BOM、在庫
  • 候補になる業務:製造実績や品質記録、ロット追跡と出荷
  • 第二段階へ回す機能:顧客ポータル、需要予測、AI分析。基礎データが正しく蓄積されてから検討する
  • 後回しにする連携:設備のリアルタイム連携。第二段階と同じ判断で後回しにできる

優先する機能は業種によって変わります。化粧品や食品では、使用期限や原料規格、秤量、検査が優先され、表示・ラベルも欠かせません。

金属・機械部品では、製番BOMや図面、金型が優先され、工程や外注先、個別原価も対象になります。製造形態を先に決めることが、無駄なカスタマイズを減らします。

ポイント

標準化できる業務が多ければパッケージやSaaSを起点に、複数工場や顧客ポータルが競争力の中心なら個別開発も含めて比べます。

RFPと要件整理の進め方

RFPに会社概要と目的や対象拠点などの要件項目を整理するチェックリスト図解
同じ前提で提案・見積できる状態へ

RFPは、発注先が同じ前提で提案や見積をできるようにする発注条件書です。機能一覧を並べただけの資料とは違います。

現場の例外処理とデータの流れを書いたうえで、どこまでが標準機能で、どこからが追加開発になるのかを回答してもらいます。

要件定義を短縮しすぎると、後工程で仕様変更や連携漏れが見つかりやすく、納期と予算の両方が崩れやすくなります。そのため、発注前の整理に時間を配分しておきます。

RFPに必ず含める項目

会社概要と目的に加えて、対象拠点、利用部門、利用者数、製品数、顧客数を記載します。月間受注件数や製造形態、外注工程、現行システムも書き込みます。さらに、Excelや紙の台帳、連携対象も明記します。

機能要件は、「顧客別の単価と最低発注数量」「仕様の版数と承認」「BOMと代替材料」「ロット・使用期限」などを、業務シナリオ単位で示します。受入・工程・出荷検査、原料から出荷先への追跡、製品ロットから使用原料への逆追跡も、順に示します。外注先への発注と納期、材料費・外注費・作業費を含む原価も、業務の流れのなかで示します。

非機能要件には、稼働時間、応答時間、同時利用者数、バックアップ、障害復旧、権限を含めます。監査ログ、API、CSV、EDI、個人情報、データ保存期間などの扱いも、非機能要件として書きます。工場や外注先が使う場合は、通信断時の入力、ハンディ端末、バーコード、設備・計量器との接続も明記します。RFPの末尾には、提案書の形式、見積の内訳、前提条件、除外事項、契約条件、成果物の一覧などを置きます。

デモとPoCで確認する業務シナリオ

デモは、自社データに近いシナリオで依頼します。ベンダーの説明資料とは別に、業務の流れを見せてもらいます。たとえば、次の3つの場面で確認します。

  • 仕様変更から外注発注:顧客Aの仕様変更を承認し、BOMを更新し、原料の不足を確認して外注工程を発注する
  • 品質問題の追跡:検査不合格のロットを出荷保留にし、代替ロットと影響する納品先を追跡する
  • 計画の一斉更新:納期変更に伴い、生産計画、購買、外注、出荷予定を更新する

デモで操作回数、画面遷移、CSV出力、権限エラー、変更履歴が確認できれば、標準機能と追加開発の境界が見えます。

PoCは、本番システムの一部を作る場ではなく、最も失敗しやすい論点を短期間で確かめる場です。商品仕様の版数、複数単位、代替材料、外注先の納期、現場入力、ロット追跡のいずれかを選び、実際のマスタと過去データで検証します。

単なる製品紹介で終わらせないためには、成功条件を「追跡結果を出力できる」「変更前後が記録される」「現場担当者が決められた時間内に入力できる」などの形で事前に決めておきます。

OEM管理システム開発の契約形態の選び方

契約で決めるべきなのは、開発方式よりも、何を成果物とし、誰がどの判断を担い、仕様変更と障害対応の費用をどう扱うかです。

要件が固まらないまま全工程を一括で契約すると、発注者と受託者の双方が前提を誤解しやすくなります。そこで、開発を次の段階に分け、各段階の成果物と次工程へ進む条件を明確にする方法が現実的です。

  1. 企画・要件定義:要件と成果物を固め、次工程へ進む条件を決める
  2. 設計・開発:各段階の成果物を確かめながら、設計から開発へ進める
  3. 移行・教育・運用準備:データ移行と現場教育、運用の準備を行う

請負契約と準委任契約の使い分け

請負契約は、合意したシステムや成果物を完成させることに責任範囲を置く契約です。要件や検収基準、納期を具体化できる工程に向き、瑕疵や不具合への対応、成果物の権利、再委託の条件も含めて定めます。

ただし、発注者側の都合で仕様変更が多い場合は、変更管理と追加費用のルールが曖昧だと対立につながります。固定価格だからといって、要件が曖昧なまま無制限の対応が含まれるわけではありません。

準委任契約は、要件定義支援やPM、設計支援など、専門業務を一定期間実施することに向きます。成果物の完成を保証する請負とは性質が異なるため、稼働する人員、役割、作業時間、会議体、報告物、意思決定者を明記します。要件定義だけを準委任で行い、仕様確定後の開発を請負や段階的な契約にする組み合わせもあり、その場合は自社が要件を判断する責任を持つことが前提になります。

契約書と見積条件に入れる項目

契約書と見積条件には、次の項目を確認して書き入れます。

  • 範囲と検収:対象範囲、対象外、成果物、検収方法、受入テスト
  • 変更と遅延:仕様変更の承認手順、追加開発単価、遅延時の扱い
  • 秘密情報:再委託先、秘密保持、個人情報
  • 運用と復旧:脆弱性対応、バックアップ、障害時の復旧、保守時間、サービスレベル
  • データの扱い:データの返却・消去、ソースコードや設計書の利用条件

SaaSの場合は、月額に含まれるユーザー数、ストレージ、API、帳票、サポートを分けて確認します。バージョンアップや解約時のエクスポート条件も、あわせて確かめます。

システムの発注先へセキュリティを丸投げしないことも大切です。たとえば、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「情報システム開発契約のセキュリティ仕様作成のためのガイドライン(案)」(2020年)は、脅威と対策の実装有無、費用、未実装の理由を検討する考え方を示しています。

検討した内容は、セキュリティ仕様書に反映します。特に、OEMではブランド情報、配合・図面、取引先情報、製造実績を扱うため、権限・操作ログ・再委託先・データ持ち出しの条件まで契約に落とし込みます。

ポイント

要件が固まっていない段階では、全工程を一括で請負にせず、要件定義は準委任で分けるのが目安です。自社が要件を判断する責任を持てるかで、契約の分け方を決めます。

OEM管理システムの費用相場と見積の内訳

OEM専用システムの公的な価格統計はほとんどないため、生産管理システムの公開価格と、リサーチノートの業務システム相場を組み合わせた目安で見ます。

実際の金額は、拠点数、利用者数、製品数、外注工程、ロット・品質要件によって変わります。既存データの状態や、EDI・会計・倉庫・設備との連携数も関わります。

公開情報でも金額には幅があり、受注生産の中小製造業向けパッケージは100万〜500万円程度です。クラウド型は初期費用無料〜50万円程度・月額3万〜10万円、フルスクラッチは1,000万〜数億円とされています(出典:株式会社インプローブ「生産管理システムの導入費用・期間の目安【2026年版】」、2026年)。

OEM向けの追加設定や連携を含めると、この範囲を超えることもあります。

導入方式別の費用レンジ

導入方式によって、初期費用と月額の目安は次のように分かれます。

  • 小規模な受注・在庫・案件台帳:汎用SaaSやローコードで始める場合、初期0〜60万円程度、月額5〜30万円程度が一つの検討レンジです。
  • 生産管理パッケージの標準導入:初期100〜500万円程度、月額または保守が10〜30万円程度です。
  • パッケージの追加設定と連携:OEM向け設定・EDI・品質・ハンディ・帳票連携を加えると、初期300〜1,000万円程度になるケースがあります。

複数工場、顧客ポータル、設備やIoT、独自原価まで含める個別開発は、1,000万〜3,000万円以上も想定し、個別見積として判断します。これらは確定価格ではなく、公開されている生産管理システムの目安から整理した推定レンジです。

期間は、標準的なSaaSなら数週間〜3か月、パッケージ導入なら2〜6か月、連携や顧客別帳票を含む構成なら4〜12か月、スクラッチや複数工場の構成なら9〜18か月以上を目安にします。公開情報では、受注生産向けの生産管理システムは課題整理から本稼働まで3〜6か月程度とされていますが、マスタ整理、教育、並行稼働、補助金の申請などが加わると延びます。

発注時には「開発期間」だけでなく、稼働判定までの期間も見積書に記載してもらいます。

初期費用以外にかかるコスト

比較では、初期費用だけでなく5年総額を同じ条件で作ります。初期費用には、ライセンス、要件定義、設定・開発、連携、データ移行を含めます。帳票、端末、教育、テスト、プロジェクト管理も入れます。

運用費には、月額または年額保守、クラウド利用料、ユーザー追加、ストレージ、API、サポートを含めます。バックアップ、セキュリティ診断、バージョンアップ、追加改修も入れます。特に「データ移行は別途」「連携は1本ごと」「帳票は標準外」「現場教育は回数制」という条件は、見積書の前提欄で確認します。

費用対効果は、次の項目について、削減できる分を金額に換算して考えます。

  • 作業時間:入力・集計時間
  • 在庫の損失:在庫廃棄や欠品
  • 外注と納期:特急外注、納期遅延
  • 品質対応:クレーム調査
  • 利益管理:見積粗利の見落とし

公開事例には、工程負荷の見える化による外注費削減や、集計・転記の自動化による月間工数削減が紹介されていますが、他社の効果を自社へそのまま当てはめてはいけません。そのため、自社の現状時間、外注費、在庫差異を計測してから回収期間を計算します。

ポイント

費用は公開相場を予算の仮説として使い、5年総額を同じ条件で作って比べるのが目安です。前提が違う見積は、単価ではなく含まれる範囲をそろえて判断します。

委託先の選定と見積比較で確認するポイント

委託先は、知名度や見積総額だけでなく、自社と同じ製造形態を理解しているか、導入後に現場へ定着させられるかで選びます。

化粧品OEMのように、見積から受注、所要量計算、資材計画、秤量、品質、ロット追跡などが必要な業種があります。一方、機械部品OEMのように、製番BOM、図面、金型、外注工程、個別原価が中心になる業種もあります。

実績の件数よりも、近い業務シナリオを再現した導入事例と担当者の説明を見ます。

委託先の実績と体制の確認

確認したいのは、同業種・同規模・同じ製造形態の導入実績、プロジェクト責任者の経験、要件定義を担当する社員の所属です。さらに、開発・テスト・移行の役割分担、保守窓口、障害時の連絡経路、再委託先も見ます。パッケージ会社と実装会社が別の場合は、製品の問い合わせ窓口と導入責任の境界を確認します。

導入事例では、稼働した事実だけでなく、何を標準化し、何を追加し、どのデータを移行し、現場教育をどう進めたかを質問します。また、OEMではブランドオーナーや外注先が情報を参照することもあるため、顧客ごとの閲覧範囲、テナント分離、承認権限、監査ログをデモで確認します。

経済産業省は、工場へのサイバー攻撃の影響がサプライチェーンを通じて取引先へ波及するリスクを示しています。中小規模の製造事業者向けに工場セキュリティの始め方も公表しています(出典:経済産業省「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン Appendix」、2025年)。そのため、委託先の認証取得だけで安心せず、自社工場・外注先との接続方式と復旧手順を確認します。

同じ条件での見積比較

見積比較では、総額の安い順に並べるのではなく、同じWBSで比較表を作ります。要件定義、設計、開発、テストなどの工程に分け、移行も項目に立てます。教育、PM、ライセンス、連携、端末、保守も、同じ比較表の項目に入れます。各社の工数、人月単価、数量、期間、成果物、前提を並べ、除外事項も書き添えます。

「一式」と書かれた項目は、対象画面数、帳票数、API本数、データ件数、テストケース数、教育回数を質問します。安い見積が、移行・教育・障害対応を除外していないかを確認することが大切です。見積の差が大きいときは、単価よりも前提の差を探します。

標準機能の範囲、追加開発の工数、顧客別帳票、外注工程、ロット追跡、現場端末などが違えば、価格だけでは比べられません。旧データの品質や並行稼働の期間も、比較の前提に入ります。そのうえで、最終候補には、仕様変更が10件増えた場合の追加費用、利用者が増えた場合の月額、導入が1か月遅れた場合の体制、終了時のデータ返却費も確認します。

発注先を決める最終チェック

最終的には、機能適合、費用、期間、体制を点数化します。保守、セキュリティ、将来の拡張性も含め、重要度の高い項目に重みを付けます。たとえば、ロット追跡と品質証跡を最重要、連携を高重要、画面の細かな見た目を中重要とし、自社の経営課題に合わせます。

デモで失敗シナリオを再現できなかった場合は、提案書に「対応不可」「追加開発」「運用で回避」のどれかを明記してもらいます。発注後の責任者も、選定時に決めます。経営層は投資判断と優先順位、業務責任者は標準化と例外の判断を担います。

情報システム担当は権限・連携・セキュリティ、現場リーダーは入力と教育を担います。ベンダーとの定例会では、課題、仕様変更、未決事項、リスク、次回までの担当者と期限を記録します。導入初期から現場がExcelへ戻らない運用ルールを作ることが、発注の成否を左右します。

ポイント

委託先は、同じ製造形態を理解しているか、導入後に現場へ定着させられるかで絞り込みます。見積は総額より前提の差を探し、同じ条件で比べてください。

発注・外注で見落としやすい法務と運用リスク

OEMの発注では、システム開発会社への委託だけでなく、原料・資材・加工・検査・物流の外注取引も、システムで記録することになります。

2026年1月1日から下請法は取適法へ改称され、価格協議に応じない一方的な価格決定の禁止や手形払いの禁止、従業員基準の追加、特定運送委託の追加などが示されています(出典:公正取引委員会「取適法・振興法」、2026年)。

適用対象は、取引内容と当事者の資本金・従業員基準などで判断されます。そのため、対象になる取引がある場合は、発注内容、代金、支払期日、変更・返品、価格協議の記録を管理できる要件にします。

取適法のシステム要件への反映

取引の適用関係は、法務・購買部門と確認します。そのうえで、システムには発注日、対象品目・役務、数量、仕様、単価を保存できるようにします。納期、受領、検査、支払期日、変更履歴、協議記録も保存できるようにします。

OEMの外注先が複数ある場合は、発注番号と製造ロット、外注工程、受入検査、請求を結び付けると、納期遅延や品質問題の原因を追いやすくなります。また、価格改定の申入れや仕様変更の承認も、メールだけで済ませず、案件や発注の履歴として残せる運用が望まれます。

現場定着とセキュリティのリスク

導入後に現場がExcelへ戻る原因は、次のような運用上の問題です。

  • 入力の負担:入力項目が多い
  • 操作性:端末が使いにくい
  • 例外への対応:例外処理ができない
  • 更新の担当:マスタの更新責任者がいない
  • 教育の継続:教育が一度きり

そのため、稼働前に現場の代表者が自分の業務シナリオで受入テストを行い、入力項目を減らせるか、通信断から復旧できるか、誤入力を訂正できるかを確かめます。本番後も、入力率、マスタ更新遅延、Excel併用件数、問い合わせ件数をKPIとして追跡します。

クラウドやIoTを工場へ接続する場合は、次の対策を含め、RFPと契約に入れます。

  • 接続の分離:ITネットワークと設備ネットワークの分離
  • アクセス権限:最小権限、多要素認証
  • データ保護:暗号化、バックアップ
  • 監視と対応:脆弱性対応、アクセス・操作・変更ログ
  • 障害への備え:復旧訓練

ブランドオーナーや外注先へ画面を公開する場合は、他社情報が見えないテナント分離と、退職・契約終了時のアカウント無効化も確認します。

経済産業省の工場セキュリティ資料が示すように、工場規模が小さくても、サプライチェーン全体のリスクとして考える必要があります。

よくある質問(FAQ)

OEM管理システムの発注では、製品選びだけでなく、要件の範囲や契約、費用、運用体制に関する疑問が生じやすくなります。発注前によく質問される内容に、順に答えます。

OEM管理システムはパッケージとスクラッチのどちらがよいですか?

標準化できる受注、在庫、製造、品質、原価をパッケージで整え、OEM固有の差分だけを設定や連携で補う方法が、多くの企業にとって比較しやすいです。

顧客ポータルや設備連携などが競争力の中心で、標準製品に合わせることで業務上の不利益が大きい場合は、スクラッチや個別開発を検討します。

結論は、RFPの業務シナリオとPoCで標準機能の適合度を確かめてから決めます。

OEM管理システムの発注費用はいくらですか?

公開されている生産管理システムの2026年の目安では、クラウド型は初期無料〜50万円程度・月額3万〜10万円、パッケージ型は100万〜1,000万円とされています。フルスクラッチは1,000万〜数億円で、受注生産の中小製造業ではパッケージの100万〜500万円程度が目安です。

ただし、これはOEM専用システムの確定価格ではありません。仕様、連携、データ移行、端末、教育、保守を含めた5年総額で、複数社を比べます。

RFPを作れない状態でもベンダーへ相談できますか?

相談はできますが、現状の業務フロー、困っている事象、対象拠点、利用部門を整理しておくと、提案の精度が上がります。顧客別の差異、連携先、重視するKPIも、わかる範囲で添えてください。

要件定義支援を準委任契約で依頼し、ヒアリング、業務フロー、データ項目、優先順位、概算費用を成果物として受け取る方法もあります。

業務の判断はベンダーに任せず、自社側の業務責任者が標準化する業務と残す例外を決めてください。

外注先やブランドオーナーにもシステムを使ってもらえますか?

使ってもらえますが、利用者ごとの権限と閲覧範囲を最初に設計します。

ブランドオーナーには、案件、承認、納期、検査報告を見せます。外注先には、担当工程、発注数量、納期、受入条件だけを見せるなど、役割ごとに情報を分けます。

顧客間のデータ分離、アカウントの有効期限、操作ログ、秘密情報のマスキング、契約終了時の停止とデータ返却を、RFPと契約書に含めることが重要です。

まとめ

OEM管理システムの発注・外注では、製品名や初期見積の安さだけで決めないことが大切です。

顧客別仕様、BOM、受注変更、資材、製造実績、外注工程などを、一つの業務シナリオとして整理します。そのうえで、自社の製造形態に合う導入方式を選びます。

発注前に決めること

発注前には、解決したいKPI、対象拠点と利用者、MVPの範囲、現行データ、連携先を決めます。さらに、RFPの業務シナリオ、契約形態、検収条件、保守とデータ返却の条件も決めておきます。

見積は要件定義、設計・開発、移行、教育、連携などに分けます。次に、標準機能と追加開発、除外事項を同じ条件で比較します。

費用レンジは事業規模や要件で変わるため、公開相場を予算の仮説として使い、最終的には自社の業務とデータを前提に見積を取得します。

委託先選定から導入へ進む流れ

候補会社には、通常のデモではなく、仕様変更、欠品、外注遅延、検査不合格、ロット追跡、納期変更のシナリオを再現してもらいます。

候補会社が再現したシナリオの結果を、機能適合、5年総額、期間、体制、セキュリティ、定着支援で評価し、必要なら要件定義とPoCを先行してから開発契約へ進みます。

2026年の取適法や工場セキュリティも踏まえ、発注・価格協議・支払・変更・品質証跡を残せるシステムと運用を設計することが、OEM業務の安定化につながります。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。