ネットスーパーシステムは、店舗数、注文量、在庫・配送との連携範囲に応じて、必要な機能と導入方式を組み合わせて整えます。
主な機能と方式、導入の進め方、費用相場、選定・運用時の注意点を順に取り上げます。各テーマの詳細は関連記事もご覧ください。
▼関連記事一覧
・ネットスーパーシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順
・ネットスーパーシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方
・ネットスーパーシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段について
・ネットスーパーシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について
・業務システム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「業務システム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
・スクラッチシステム開発を依頼する会社の選び方やRFPの作り方については、無料ホワイトペーパー「スクラッチシステム開発の完全ガイドブック」で詳しく解説しています。
ネットスーパーシステムの仕組み
ネットスーパーは、BtoCのECに店舗業務とラストワンマイル配送を加えた仕組みです。倉庫出荷の一般ECと異なり、店舗スタッフが集荷し、鮮度と在庫を確かめたうえで、便に合わせて出荷します。
一般的なECサイトとの違い
一般的なECとの違いは、生鮮品の重量差、欠品、店舗と配送の処理能力を扱う点にあります。
- 生鮮品の重量:注文時点では、正確な重量や状態が決まらない場合があります。
- 金額確定:青果・精肉は仮計上したうえで、ピッキング後の実重量をもとに金額を決めます。
- 欠品対応:返金にするか許可済みの代替品にするかを、店舗スタッフが判断できる画面を用意します。
- 注文数の制御:商圏と店舗ごとの処理能力に合わせて、受け付ける注文数を絞ります。温度帯、配送便、ドライバーの稼働状況も組み合わせて判断します。
配送枠には上限があるため、注文を受け続けると、集荷能力や車両の積載量を超えて遅配につながります。
導入の目的
ネットスーパーの導入は、販売チャネルを増やすだけでなく、顧客への販売機会と店舗業務、事業収益を整えるために行います。
- 商圏・販売:来店が難しい顧客にも商圏を広げ、店舗の商品をオンラインでも活用します。
- 再購入:購買履歴をもとに、顧客の再購入を促します。
- 業務・収益:配送1件あたりの原価や店舗作業を管理します。
- 事業継続:売上に加えて粗利、欠品率、配送原価を見ます。ピッキング時間、配送枠稼働率、リピート率も指標に入れます。
国内のBtoC-EC市場は2023年に26.96兆円となり、物販系分野のEC化率は9.78%まで広がっています(出典: 経済産業省「令和5年度電子商取引に関する市場調査」、2024年)。
食品のオンライン購入が定着するにつれて、ネットスーパーはEC部門だけでなく、店舗・物流・会員基盤をまたいで考えるテーマになっています。
ネットスーパーシステムの主な機能とデータ連携

機能は、顧客の注文と店舗の出荷を一つの状態管理でつなぎます。要件は、「顧客」「商品・価格」「受注・決済」「店舗・物流」「管理・分析」の5領域に分けて整理すると、抜け漏れが減ります。
顧客が使う機能
顧客向けの機能は、商品を探して注文し、受け取った後に問い合わせるまでの操作を支えます。
- 会員・商圏:登録、ログイン、郵便番号や住所による判定
- 商品選び:検索、カテゴリ、特売・クーポン、お気に入り、再注文
- 注文・受取:買い物かご、配送先・日時・便の選択
- 注文後:履歴確認、変更・キャンセル、問い合わせ
商品名、規格、容量、JAN、画像の表示元を決めます。さらに、栄養成分、アレルゲン、保存方法、販売期間、店舗別価格についても決めておきます。項目が多いぶん、店舗や商品部門が更新しやすい管理画面にしておくと、登録と更新の負荷を抑えられます。
スマートフォンで片手でも操作しやすい買い物かごにし、早い段階で配送枠を示す設計にすると、離脱防止につながります。
店舗・物流が使う機能
店舗側の機能は、受注を受けてから配送便に引き渡すまでと、返品・返金の処理を支えます。
- 受注・集荷:受注一覧、締切時刻、ピッキングリスト、棚順・導線
- 検品・欠品:検品、欠品・代替処理、梱包、返品・返金
- 配送引き渡し:温度帯管理、配送便への引き渡し
売場の移動距離、冷蔵・冷凍・常温の順番、重量商品や割れ物の扱いを考えてリストを作ると、作業時間の短縮につながります。
POSや店舗在庫の表示に加えて、注文時の引き当てと、キャンセル・欠品時の戻す処理も設計の対象に入れます。
棚卸しや入荷を在庫に反映する頻度を決めておきます。あわせて、安全在庫の有無と、在庫が不確かな商品の表示方法も決めます。
受注管理、商品・価格マスタ、在庫、配送管理は、APIやファイルで連携する構成が一般的です。決済、会員アプリ、分析基盤も、APIやファイルで結ぶことが多いです。
ネットスーパーシステムの種類と選び方

方式は、SaaS・クラウド、パッケージ、既存EC拡張、フルスクラッチの4つです。初期費用だけでなく、店舗・注文数が増えたときの拡張性、既存連携、データ移管、運用担当者も比べます。
SaaS・クラウドサービス
SaaS・クラウドは、標準的な機能を早く使いたい場合に向いています。1店舗や限定商圏で仮説を検証してから拡張する進め方とも相性がよいです。
- 導入と検証:会員、商品、受注、決済、配送枠を早く使い始められ、サーバー調達や基盤保守の負荷も抑えやすいです。
- 契約条件:月額料金の範囲、注文数・商品数に応じた従量課金、API制限を確認します。
- 運用条件:障害時の復旧目標とサポート時間を確認します。
- 拡張・移行:独自条件の追加費用、データ出力、決済・配送先の切替可否を確かめます。
店舗別価格や複雑な配送条件を追加し続けると、カスタマイズ費用が積み上がります。
パッケージ・既存EC基盤の拡張
パッケージと既存EC基盤は、活用できる機能と追加設計の範囲を分けて比べます。
- パッケージ:小売標準機能を使い、店舗・基幹連携を追加したい場合に適します。
- 既存EC基盤:画面や会員機能を流用できますが、ピッキング、欠品・代替、配送枠、重量差決済は別設計です。
- 費用・保守:ライセンス、更新時の互換性、改修部分の保守責任、連携先追加費用を確認します。
- 業務との適合:業務を製品に合わせるか、製品を業務に合わせるか決めます。
方針を決めないまま進めると、稼働直前になって例外処理が増えやすくなります。
フルスクラッチ開発
フルスクラッチは、独自の業務や物流、会員基盤、価格戦略を競争力にしたい場合の選択肢です。
- 設計の自由度:店舗オペレーション、物流モデル、会員基盤、価格戦略を独自に設計できます。
- 必要な負担:初期投資、テスト、障害対応、セキュリティ更新、保守人材が必要です。
- 段階検証:1〜2店舗のPoCで利益に直結する機能を確かめ、全店舗・全機能の一括開発を避けます。
- 予算配分:標準機能はクラウドやパッケージを使い、独自性が必要な領域へ予算を集中します。
選定時は、店舗数、商品点数、1日の注文数を書き出します。あわせて、次の項目も一覧にします。
- 配送エリア:配送を行う範囲
- POS・在庫・基幹連携:既存システムとの連携先
- 独自に残す業務:自社で作り込みたい業務
ネットスーパーシステム開発・導入の進め方

導入は、収益仮説と店舗業務を検証するプロジェクトとして進めます。各段階で意思決定の条件を置くと、後戻りを減らせます。
進行の詳細はネットスーパーシステム開発の進め方/やり方/流れや方法/手法/工程/手順もご覧ください。
企画・収益仮説・業務可視化
画面の一覧より先に業務フローを作り、事業目標と現場の例外を整理します。
- 収益仮説:対象店舗、商圏、品揃え、配送方式を決めます。目標注文数、客単価、粗利、配送原価、投資回収も見込みます。
- 業務フロー:受注、在庫引当、集荷、検品、欠品・代替の状態を図示します。決済、梱包、配車、配送、返品・返金も同じ図に含めます。
- 例外処理:締切後の変更、欠品連絡の担当、代替品の価格差、配送員不在時の状態を決めます。
例外対応を後回しにすると、テスト工程や運用開始後に追加費用が発生しやすくなります。
PoC・要件定義・設計と開発
業務と数字を整理した後、限定店舗のPoCから要件定義・設計へ進みます。
- PoC:1店舗で、商品登録、配送枠、ピッキング、欠品・代替、返金、問い合わせを一巡させ、実測値を集めます。
- 目標の確認:ピッキング時間、欠品率、配送遅延、スタッフ教育時間が目標内かを確かめます。
- 非機能要件:ピーク時同時利用、復旧目標、バックアップ、ログ、権限、監査を定めます。
- 設計:注文の状態遷移と外部連携のエラー処理を細かく確認します。
機能要件は、注文、在庫、価格、決済、配送、管理画面を対象にします。あわせて、個人情報保護、移行、サポート時間も非機能要件に含めます。
テスト・教育・本番展開と改善
テスト、関係者への教育、本番展開後の改善を順に進めます。
- テスト:通常時に加えて、欠品、代替拒否、キャンセル、決済失敗、重量変更を確かめます。
- 負荷試験:チラシ配布日や特売開始日など、通常日の数倍のアクセス・注文を想定します。
- 教育:本番前に、店舗、商品部門、コールセンター、配送、システム管理者が対象です。
- 改善:稼働後は毎週または毎月KPIを見直し、店舗や配送エリアを段階的に広げます。
テストでは、枠売り切れ、通信断、POS連携遅延、二重注文も確かめます。教育のマニュアルには、停止時の手作業、返金承認、顧客連絡、遅延判断を含めます。
ネットスーパーシステムの費用相場と開発期間
ネットスーパーシステムに定価はなく、店舗・商品・注文数によって費用が変わります。ほかに、次の条件も金額に影響します。
- 在庫反映:棚卸しや入荷を在庫に反映する頻度
- POS・基幹連携:既存のPOSや基幹システムとの連携
- 配送方式:配送の進め方
- アプリ有無:アプリを用意するかどうか
ここで示す金額は、一般的なECの相場にネットスーパー固有の要件を加味した編集部の推定で、見積もりの代わりにはなりません。
費用の詳しい内容はネットスーパーシステム開発の見積相場や費用/コスト/値段についてをご覧ください。
発注方法の詳細はネットスーパーシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法についてをご覧ください。
方式別の初期費用・月額費用の目安
費用は方式と導入規模で変わるため、次に示すのは、いずれも個別の要件による推定の目安です。
- 小規模な1店舗・SaaS等:初期費用は300万円〜1,000万円、月額費用は20万円〜100万円程度
- 数店舗・パッケージ:POS・在庫・配送連携を含み、初期費用は1,000万円〜3,000万円、月額・保守は50万円〜200万円程度
- チェーン全体の大規模パッケージ・スクラッチ:初期費用は3,000万円〜1億円超、月額・保守は100万円〜500万円超となる可能性
小規模導入の金額には、商品登録、店舗設定、配送枠、決済、最低限の在庫連携が含まれます。一方で、決済手数料や配送委託費は別に必要になる場合があります。
一般EC向けの資料では、ASP・SaaSの初期0円〜10万円・月額0円〜10万円、オープンソースの初期50万円〜200万円などが示されています。同資料では、パッケージの初期費用300万円〜1,500万円なども示されています(出典: 2026年5月公開「ECサイト構築費用の完全ガイド」)。
ネットスーパーには、店舗現場、商品マスタ、配送、端末、業務テストが加わります。そのため、一般ECの最低レンジをそのまま当てはめないようにします。
見積書で分けて確認する費用
見積書は、作業範囲と前提条件を項目ごとに確認して読みます。画面制作費を金額だけで並べると、対象の違いを見落とすおそれがあります。
- 構築:要件定義、画面制作、アプリ、商品マスタ整備、データ移行
- 連携・試験:POS・在庫・基幹・決済・配送、負荷試験、脆弱性診断
- 運用:ピッキング端末、運用教育、監視、保守改修
金額が「一式」と書かれている場合は、発注側から開発会社に確認し、対象範囲と前提条件を明らかにします。
初期費用とは別に、決済手数料、クラウド利用料、配送委託費がかかります。さらに、店舗人件費、商品撮影・登録、問い合わせ対応、端末、保守の費用も発生します。
3〜5年のTCO(総保有コスト)を作ります。そのうえで、注文数が繁忙日に通常の3倍となる場合も想定し、インフラと配送能力が耐えられるかを試算します。
開発期間は、小規模なクラウド導入で3〜6か月、連携を含む数店舗展開で6〜12か月、大規模開発で12〜18か月以上が目安です。
ネットスーパーシステムの開発会社・ベンダーの選び方
開発会社は、EC構築の力、店舗・在庫・配送への理解、そして自社に近い店舗数・商品構成・注文量・温度帯・配送方式の経験を基準に選びます。公開されている実績の数だけで決めず、同じRFPをもとに方式・範囲・費用・保守をそろえて比べます。
食品小売・店舗物流での実績の確認
ネットスーパーの導入実績は、店舗運用、障害対応、引き継ぎ資料まで含めて確認します。
- 導入経験:店舗数、SKU数、日次注文数、稼働年数を聞きます。
- 業務適合:欠品・代替、実重量の金額調整、配送枠、スタッフ端末への対応を確認します。
- デモ・障害対応:受注から集荷、欠品処理、引き渡しの流れを実演で見ます。障害時の受付、枠制御、再送も確かめます。
- 知見の共有:運用設計書、API仕様、データ定義、テスト結果、障害履歴の共有範囲を契約に明記します。
確認の対象は、一般ECの実績ではなく、ネットスーパーの実績です。
RFPと相見積もりによる比較
同じ条件で提案を比べられるよう、RFP、対応範囲、契約条件の順に整理します。
- RFP:提案の前提になる条件を記します。
- 対応範囲:提案では、標準機能、設定、追加開発、運用対応の範囲を分けて示してもらいます。
- 契約条件:追加費用、納期、保守責任、テスト方法を書面で確認します。
RFPには、店舗数、商圏、商品数、平均・最大注文数を記します。配送枠、温度帯、ピッキング方式も書きます。最大注文数は、平均の2倍や3倍の日も想定します。
契約では、成果物の権利、データ持ち出し、再委託、脆弱性対応、障害連絡、終了時の移行支援を確認します。
既存POS・在庫・基幹、会員基盤、決済、アプリとの関係も記載します。さらに、希望時期、予算、SLA、運用体制も書き込みます。
保守・セキュリティ・内製化支援の確認
継続的な改修に備えて、保守条件と、社内に残す役割を確認します。
- 改修と費用:特売や店舗・配送エリア・決済の変更、法令、OS・ブラウザ更新に備えて、保守範囲と追加単価を確認します。
- 障害対応:24時間監視や休日対応が必要かどうか、復旧目標時間、代替手順を明確にします。
- 社内支援:設計レビュー、運用教育、データ分析、内製化支援の範囲を確認します。
- 役割分担:標準機能の運用・監視は外部へ任せ、業務判断とKPI改善は自社で担えます。
すべてを外部に任せると、店舗の改善知見や顧客データの活用方法が社内に残りにくくなります。
開発会社の選び方の詳しい内容はネットスーパーシステム開発でおすすめの開発会社/ベンダー6選と選び方をご覧ください。
失敗しやすいポイントとセキュリティ・法令対応
ネットスーパーは、顧客、決済、商品、在庫、配送先、従業員の作業情報を扱います。そのため、要件定義の段階で権限、ログ、バックアップ、障害対応を決めておくと、見積もりとテストの抜けを見つけやすくなります。
商品マスタ・在庫・配送の後回し
商品ページや注文画面を先に作り、商品マスタと店舗作業を後回しにするのは、よくある失敗です。そこで、商品マスタ、店舗業務、配送条件は、早い段階で設計しておきます。
- 商品情報の整合:商品名や容量がずれると、価格、在庫、アレルゲン、画像の不整合を招くことがあります。
- マスタ管理:商品コード、規格、単位、価格、販売期間を定めます。在庫責任部署、更新頻度、担当者、手順も決めておきます。
- 配送業務:枠上限、温度帯、積載量、ルートを業務フローに落とし込みます。再配達、不在、置き配、遅延連絡も含めます。
配送会社に任せても、それだけで解決するとは限りません。枠を管理せずに集客すると、現場の能力を超えて、顧客満足度と利益を損ないます。
決済とアカウントの安全性の確保
要件定義の段階で、安全対策と決済の責任範囲を確かめ、その対応内容をRFPに記します。
- 基本対策:脆弱性対策、更新、管理画面制限、不正ログイン対策を確認します。個人情報、二要素認証、ログ・バックアップも見ます。
- 確認基準:IPAのガイドラインは、SaaS委託先の確認にも活用できます(出典: IPA「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」、2023年)。
- カード決済:決済代行との委託範囲と、自社の責任範囲を確認します。
- RFPへの記載:EMV 3-Dセキュア、不正ログイン対策、脆弱性診断、事故時の連絡手順を含めます。
経済産業省のガイドライン5.0版では、2025年4月以降、すべてのEC加盟店に脆弱性対策などが求められています(出典: 経済産業省「クレジットカード・セキュリティガイドライン5.0版」、2025年)。
通信販売・食品情報の表示の設計
ネットスーパーは通信販売に当たるため、取引条件と食品表示を正確に管理する必要があります。
- 取引条件:価格、送料、支払時期・方法、引渡時期、返品・キャンセル、事業者情報を表示します。
- 送料表示:「実費」の表記に加えて、購入者の負担額を示します。
- 食品情報:原材料、アレルゲン、原産地、保存方法、期限表示を、商品に応じて管理します。
- 更新管理:表示ずれを防ぐため、更新履歴、承認者、掲載開始日を残し、情報が不足する商品は公開しない仕組みにします。
店舗で表示する情報とオンラインの商品ページがずれると、顧客の誤認や問い合わせにつながります。そのため、注文確定画面では、商品代、送料、手数料、割引、実重量による変動の可能性を顧客が確認できるようにします。
送料の示し方については、消費者庁の特定商取引法ガイドにも考え方が示されています(出典: 消費者庁「通信販売広告について」、2026年確認)。
運用開始後に見るKPIと2026年の動向
稼働後は、利用率と事業・現場のKPIを継続して確認します。売上が増えても、配送原価やピッキングの人時が増えると、利益が残らない場合があります。そこで、受注・店舗・配送・顧客・収益の5領域に分けて整理すると、改善点を探しやすくなります。
まず測定する現場KPI
現場と経営で見る指標を分け、注文から利益までの状態を把握します。
- 受注:注文数、注文単価、キャンセル率、決済失敗率
- 店舗:ピッキング時間、欠品率、代替受諾率、検品ミス、梱包時間
- 配送:配送枠稼働率、時間内配送率、遅延率、再配達率、1件あたり原価
- 顧客:新規購入率、2回目購入率、リピート率、アプリ・Web離脱率、問い合わせ率
- 収益:粗利、決済手数料、配送費、店舗人件費を含む注文あたり貢献利益
指標は増やしすぎないよう、経営会議で見るものと、店舗が毎日確認するものに分けます。
データ連携・AI活用の段階的な進め方
データ基盤とAIは、連携の品質を整えたうえで、現場の課題に沿って段階的に活用します。
- 横断分析:2025〜2026年は、POS、店舗、EC、会員アプリ、配送データを分析する基盤が重要です。
- 連携の整備:在庫、需要予測、配送ルート、再購入提案には、データ定義と連携品質が欠かせません。
- 生成AIの用途:問い合わせ下書き、商品説明、作業マニュアル検索などがあり、判断の補助から導入できます。
- 自動化の統制:発注・返金・価格変更・在庫引当は、人の承認が要る業務として扱います。そのうえで、権限分離、監査ログ、取り消しの仕組みを用意します。
AIの提案は、そのまま確定せず、新機能を追加する前にKPIから店舗と顧客の課題を特定します。
ネットスーパーシステムに関するよくある質問
判断するときは、費用や方式に加えて、店舗運営、データ移行、既存システムとの連携も含めて考えます。
ネットスーパーシステムの開発費用はいくらですか?
小規模なクラウド導入は初期費用300万円〜1,000万円、数店舗の連携を含む場合は1,000万円〜3,000万円が推定の目安です。
大規模開発は3,000万円〜1億円超が目安です。金額は、商品マスタ、POS・在庫連携、配送端末の範囲で大きく変わります。ほかにも、次の範囲が金額を左右します。
- 決済:決済の連携範囲
- 移行:既存データの移行範囲
- 保守:保守と改修の範囲
発注側は、同じRFPで複数の見積もりを比べてください。
SaaSとスクラッチ開発はどちらがよいですか?
標準的な業務を1店舗で早く検証したい場合は、SaaS・クラウドが向いています。一方で、物流・価格・会員・店舗業務が利益に直結し、自社の資産として長く開発するなら、スクラッチも候補になります。二択で考えず、機能の境界を整理したうえで、段階的に導入する方式を選びます。
既存のPOSや在庫システムは使えますか?
既存システムは使える場合がありますが、商品・価格・在庫・会員・受注・決済の正となるシステムを決め、連携方式(API・ファイル・EDI)、更新頻度、エラー時の再送を設計します。
既存システムを残す場合でも、ネットスーパー用の安全在庫や配送枠は、別に管理することがあります。
導入前に最初に準備するものは何ですか?
最初に準備するのは、画面デザインよりも、対象店舗・商圏・商品数・平均/最大注文数です。配送方式、現場業務、既存システムを整理します。さらに、欠品・代替・重量差・返金・キャンセル・遅延の例外も書き出しておきます。
希望時期と予算も決めておくと、開発会社やベンダーの提案を比べやすくなります。
まとめ
ネットスーパーシステムでは、EC構築だけでなく、店舗在庫、商品マスタ、ピッキング、欠品・代替も一体で設計します。実重量決済、温度帯配送、配送枠、既存連携も、同じ流れの中で扱います。
方式は、SaaS・クラウド、パッケージ、既存EC拡張、フルスクラッチの4つから選びます。その際は、店舗数、注文量、独自業務、社内体制に合わせて判断します。
導入前に確認したい最終チェック
RFPを作る前に、事業目標と対象商圏を確かめます。あわせて、次の項目も見ておきます。
- 店舗・商品・注文数:RFPに書く規模の前提を確かめます。
- 在庫と商品マスタ:責任範囲を、発注側と開発会社のどちらが持つかを整理します。
欠品・代替・返金の扱いを確かめます。
- 配送:配送枠、温度帯、ピッキングの扱い
- 連携:POS・基幹・決済の連携範囲
- セキュリティ・法令:安全対策と法令への対応
- 費用:初期費用と3〜5年のTCO
- 運用:保守、障害対応、データ移管
発注側は、同じ条件で提案を比べます。
小さな検証と、利益につながる機能からの段階的な展開
全店舗・全機能を一度に完成させるより、検証と改善を重ねながら展開する方が進めやすくなります。
- 1店舗のPoCで業務と数字を確かめます。
- 欠品率、ピッキング時間、配送原価、リピート率、粗利を見ながら改善し、広げていきます。優先するのは、現場運用、安定配送、利益の確保です。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
