Oracle Cloudのシステム開発の発注/外注/依頼/委託方法について

Oracle Cloudのシステムを発注・外注する際は、OCI基盤、Oracle Database、Fusion Cloud Applicationsのどこまでを委託するかを切り分け、要件・契約・運用責任を固めて複数社の見積を比べることが重要です。

Oracle Databaseの移行、OCI上の業務アプリ開発、Oracle Fusion Cloudの導入では、同じ「Oracle Cloud」でも必要な知識と費用の出方が異なります。この記事では、発注形態の選び方からRFP(提案依頼書)の作成、契約形態、費用相場、委託先の選定、見積比較、運用引き継ぎまで、発注者が準備すべき内容を順番に解説します。

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Oracle Cloudのシステム発注で最初に整理すること

Oracle Cloudのシステム発注の全体像

発注前に最も大切なのは、製品名ではなく「何をクラウド化し、どの業務成果を得たいのか」を定義することです。基盤だけを移すのか、業務アプリまで作り替えるのかで、必要な体制、契約、期間、費用が大きく変わります。

OCI基盤を発注するケース

OCI(Oracle Cloud Infrastructure)は、コンピュート、ネットワーク、ストレージ、ロードバランサ、コンテナ、監視、バックアップ、IAM(Identity and Access Management)などを組み合わせるクラウド基盤です。WebアプリやAPIを新しく作る場合だけでなく、オンプレミスで稼働しているOracle DatabaseをOCIへ移行する場合にも利用されます。

この場合の発注範囲は、ネットワーク設計、可用性、権限、暗号鍵、監視、バックアップ、移行、障害対応まで広がります。単に仮想マシンを用意するだけでは本番運用にならないため、RTO(目標復旧時間)、RPO(目標復旧時点)、保守時間、問い合わせ窓口を初期段階で決めることが大切です。

Oracle DatabaseとFusion Cloudを発注するケース

既存のOracle Databaseを移す案件では、データベースのエディション、バージョン、ライセンス、性能、バックアップ、停止許容時間の確認が中心です。一方、Oracle Fusion Cloud ApplicationsはERP、EPM、SCM、CX、HCMなどの標準業務アプリケーションを利用するSaaSであり、業務標準化、設定、追加開発、データ移行、教育が主な発注対象になります。

標準機能に合わせられる業務はSaaSで短期導入し、差別化につながる独自業務だけをOCI上のアプリやAPIで拡張する方式も有効です。製品、基盤、移行、追加開発を一括で丸投げするのではなく、どの層を標準機能に合わせ、どの層を自社固有の設計にするかを明確にすると、過剰なカスタマイズを抑えやすくなります。

Oracle Cloudの発注形態はどのように選びますか?

Oracle Cloudの発注形態の選択

発注形態は、現行環境の複雑さ、社内にいる人材、納期の確度、将来の内製化方針で決めます。最初から全社刷新を一括発注する方法だけでなく、調査やPOCを先に委託してから本開発を発注する段階方式も選択肢になります。

既存Oracle Databaseの移行を外注する

現行システムの機能を大きく変えず、サーバーやデータベースの配置をOCIへ移す場合は、移行プロジェクトとして発注します。リホスト、リプラットフォーム、データベースの再設計では、作業内容とリスクが異なります。停止時間を短くしたい場合は、移行リハーサル、差分同期、切り戻し手順、性能試験を見積に含めます。

既存のライセンスを持ち込むBYOL(Bring Your Own License)か、クラウド側のライセンス込みにするかも、早い段階で比較します。ライセンスの契約条件だけでなく、保守契約、対象エディション、コア数、待機環境の扱いまで確認しないと、移行後の費用が想定を超える可能性があります。

OCI上の新規開発を外注する

独自の業務フロー、顧客向けサービス、販売・在庫・生産などのアプリケーションを作る場合は、新規開発として発注します。画面数だけでなく、業務ルール、API連携、帳票、権限、バッチ、監査ログ、データ保持期間、ピーク時の同時接続数を機能一覧に落とし込むことが必要です。

新規開発であっても、最初から全機能を作る必要はありません。重要な業務を対象に1〜3か月程度のPOCを行い、処理性能、データ移行の難所、利用部門の操作性、月額利用料を確かめてから本番開発へ進むと、見積の精度を高められます。POCを本番へ引き継ぐコードや設計書の扱いも、発注時に合意しておきます。

Fusion Cloud・ハイブリッド構成を発注する

会計、購買、人事、サプライチェーンの標準業務を優先する場合は、Fusion Cloudの導入と周辺連携をまとめて委託する方法があります。独自業務や既存の工場設備はOCIやオンプレミスに残し、APIや連携基盤でつなぐハイブリッド構成も現実的です。

2025年6月には、日本のGoogle Cloud東京リージョンでOracle Database@Google Cloudが提供開始され、Exadata Database ServiceやAutonomous DatabaseなどをGoogle Cloudのデータセンター上で利用できるようになりました(出典: 日本オラクル「Oracle Database@Google Cloud、日本で提供開始」、2025年)。既存のGoogle Cloud運用標準を維持したい場合は候補になりますが、ネットワーク、契約窓口、障害時の責任分界を提案依頼書に明記します。

RFPと要件整理は何を準備すればよいですか?

RFPとOracle Cloudの要件整理

RFPは、ベンダーに同じ前提で提案と見積を出してもらうための文書です。細部まで発注者が決め切る必要はありませんが、現状、目的、対象範囲、制約、希望時期、評価方法をそろえるだけでも、会社ごとの提案を比較しやすくなります。

現行環境と業務範囲を棚卸しする

まず、Oracle Databaseのバージョン、データ容量、表やインデックスの構成、月間・日次の処理件数、ピーク時間帯、連携先を一覧にします。会計、販売、在庫、生産、顧客管理だけでなく、Excel、EDI、帳票、ファイルサーバー、認証基盤、工場設備など、担当者が手作業で補っている流れも対象にします。

移行対象外にするシステムやデータがある場合も、理由と将来方針を記載します。荏原製作所の事例では、基幹業務を含む200以上のシステムをOCIへ移行したと日本オラクルが公表しています(出典: 日本オラクル「荏原製作所、基幹業務を含む200以上のシステムをOCIへ移行」、2025年)。大規模案件ほど、対象一覧と依存関係の整理が見積精度を左右します。

機能要件と非機能要件を分けて書く

機能要件には、誰が、どのデータを使い、どの処理を行い、何を出力するかを書きます。入力項目、承認経路、締め処理、取消・訂正、権限別の操作、帳票、外部API、バッチの頻度まで、業務シナリオで示すと認識のずれが減ります。

非機能要件には、可用性、性能、拡張性、セキュリティ、監視、バックアップ、災害対策、データ所在地、サポート時間を記載します。たとえば「止めない」ではなく、平日何時から何時まで、月何分まで停止を許容するか、障害発生から何時間以内に復旧するかという数値に変換します。

RFPに必ず含める項目

RFPには、背景と目的、対象業務、現行構成、データ量、連携一覧、希望スケジュール、予算の考え方、納品物、体制、運用範囲、セキュリティ条件、契約希望、提案書の提出形式を含めます。見積は「要件定義」「設計・構築」「移行」「テスト」「教育」「保守・運用」「OCI利用料」「ライセンス」に分けて提示するよう依頼します。

提案評価の配点も先に決めます。価格だけでなく、Oracle Cloudの認定・実績、移行リハーサルの具体性、セキュリティ設計、障害対応、納品後の内製化支援、担当者の継続性などを評価対象にすると、安いが運用できない提案を避けやすくなります。

Oracle Cloudの発注・外注はどの順番で進めますか?

Oracle Cloudの発注から運用までの進め方

発注は、企画、提案比較、要件定義、設計・構築、移行・テスト、リリース、運用定着の順に進めます。工程ごとの成果物と意思決定者を決め、発注者側にも業務責任者とデータ責任者を置くことが、外注の成否を分けます。

企画・提案比較フェーズ

最初に、経営課題と現場課題を分けて、クラウド化の目的を決めます。たとえば、保守切れ対応、処理時間短縮、拠点追加、データ活用、災害対策などです。その後、RFPをもとに2〜4社程度へ提案を依頼し、同じ質問票と見積フォーマットで回答をそろえます。

提案会では、完成後の画面だけでなく、移行中の業務継続、障害時の連絡経路、テストデータの作り方、運用チームへの引き継ぎを質問します。提案書に書かれていない作業は、契約後に追加費用になりやすいため、前提条件と対象外を一覧化します。

要件定義・設計・開発フェーズ

要件定義では、RFPを業務要件、機能要件、非機能要件、移行要件、運用要件へ具体化します。設計では、VCN、サブネット、IAM、MFA、ログ、監視、暗号鍵、バックアップ、接続方式などのクラウド設計と、アプリ・データベース設計をつなげます。

発注者は、設計書のレビュー日と承認者を決めておきます。Oracle固有の設計をベンダー任せにするのではなく、なぜその可用性、シェイプ、データベース構成、バックアップ世代が必要なのかを説明してもらうことで、費用とリスクの関係を理解しやすくなります。

移行・テスト・リリースフェーズ

移行では、データの抽出、変換、クレンジング、取り込み、照合を行います。マスタの重複、未使用コード、桁数、日付形式、過去データの保持範囲は、発注者側の業務知識がないと判断できません。ベンダーに任せる作業と、発注者が確認する作業を移行計画に分けます。

テストは、単体、結合、総合、性能、セキュリティ、障害復旧、利用者受入の順に実施します。特にOCIでは、通常時の性能だけでなく、バックアップから復元できるか、障害時に誰が何分以内に判断するか、ピーク時の費用が予算内かを確認します。本番切替はリハーサルを行い、切り戻し条件を決めてから実施します。

運用定着と引き継ぎフェーズ

リリース後は、監視、パッチ、脆弱性対応、バックアップ確認、障害対応、性能改善、利用者問い合わせ、月額費用の確認を運用業務として定義します。24時間365日監視が必要なのか、営業時間内の一次対応でよいのかによって、保守費用と契約内容が変わります。

納品物には、構成図、設計書、パラメータシート、IaC(Infrastructure as Code)、ソースコード、テスト結果、移行手順、障害対応手順、操作マニュアルを含めます。担当者が変わっても運用できる状態を受入条件にし、定例会で課題、障害、利用率、月額費用を確認します。

Oracle Cloudの外注ではどの契約形態を選びますか?

Oracle Cloud外注の契約形態

契約形態は、成果物と要件が固まっているか、発注者とベンダーが一緒に要件を決めるかで選びます。要件が曖昧なまま開発全体を請負契約にすると、変更のたびに費用と納期の調整が必要になり、反対にすべてを準委任にすると成果や責任の境界が不明確になりやすいです。

請負契約・準委任契約の使い分け

請負契約は、合意した成果物を完成させることを重視する契約です。要件定義済みの環境構築、移行ツール、画面や帳票など、納品物と受入基準を明確にできる工程に向いています。成果物、納期、検収条件、瑕疵対応、変更管理の方法を契約書と仕様書に記載します。

準委任契約は、専門知識を持つ人材が一定の業務を遂行することを重視する契約です。現状調査、要件定義、アーキテクチャ検討、技術支援、運用改善など、進めながら判断が必要な工程に適しています。稼働時間だけでなく、担当業務、会議体、成果の報告方法、責任者を明確にします。

契約書で決める責任分界と変更管理

Oracle、クラウド事業者、一次請けSIer、二次請け、発注者のどこが何を担当するのかを責任分界表にします。OCIの障害、Oracle Databaseの障害、アプリの不具合、ネットワーク、認証、データ品質の切り分けが曖昧だと、障害時に問い合わせ先が分からなくなります。

変更管理では、仕様変更、法改正、データ増加、連携先追加、Oracleのバージョンアップを対象にします。変更依頼の受付、影響調査、追加費用、納期、承認者を定め、見積に含まれる変更回数や範囲を明記します。ライセンス、OCI利用料、サポート費用の値上げや為替変動の扱いも確認します。

Oracle Cloudのシステム発注費用・相場はいくらですか?

Oracle Cloudシステムの費用相場

Oracle Cloudの費用は、OCIの利用料だけでなく、要件定義、設計・開発、ライセンス、移行、連携、テスト、教育、保守・運用を合算して考えます。以下は2025〜2026年時点の公開価格体系と業務システム案件の一般的な費用目安をもとにした推定レンジであり、Oracleの個別見積や契約割引を反映した確定価格ではありません。

初期開発・移行費用の目安

検証用の小規模環境や簡易Web業務システムであれば、初期費用は100万〜500万円程度が一つの目安です。既存Oracle Databaseの移行は、現状調査、ネットワーク設計、移行、性能試験、切替を含めて300万〜1,500万円程度、部門業務システムの新規構築・連携は1,000万〜5,000万円程度が目安になります。

Fusion Cloudを複数部門へ導入する場合は、業務標準化、複数会社・拠点、データ移行、追加開発、教育を含めて5,000万〜3億円程度、大規模な基幹刷新やグローバル統合では3億〜10億円超になる場合があります。これらは標準的な中小〜中堅企業の業務システムを想定した推定であり、データ量、連携本数、利用者数、可用性、海外展開、ライセンスで大きく上下します。

OCI利用料と保守・運用費用の目安

OCIの月額利用料は、検証・小規模環境で1万〜10万円、冗長化した中小業務システムで10万〜100万円、複数の可用性構成、データベース、監視、バックアップ、閉域接続を含む中堅〜大規模環境で100万〜1,000万円超が企画段階の目安です。1ドル150円を仮置きし、一般的な稼働量を当てはめた試算であり、GPU、Exadata、Cloud@Customer、大量通信、24時間監視を含めると上振れします。

日本オラクルの価格表では、コンピュートなどの単価をvCPUとOCPUで示し、サービスごとにコンピュート時間、メモリ、ストレージ、リクエスト、転送量などで課金されます(出典: 日本オラクル「OCI価格リスト」、2026年8月確認)。したがって、見積にはインスタンスのサイズだけでなく、稼働時間、バックアップ世代、ログ保存期間、データ転送量、開発・検証環境の台数を記載してもらいます。

保守費用と見積内訳の分け方

保守・運用費は、初期開発費の年15〜20%を置く方法が一般的な目安です。初期開発費が3,000万円なら、年間450万〜600万円、月額37万〜50万円程度になりますが、これは人員、対応時間、SLA、監視範囲を含めた契約条件によって変わる推定です。

見積書では、初期費用、OCI利用料、Oracleライセンス・サポート、移行・切替、保守・運用、追加改善を分けます。要件定義は全体費用の10〜15%、設計は15〜20%、テストは15〜20%、移行・導入は5〜10%という配分が企画時の目安になりますが、Oracle Cloudでは既存データの品質と連携の難しさで移行費用が大きく変わります。

Oracle Cloudの委託先・発注先はどう選びますか?

Oracle Cloud委託先の選定ポイント

委託先は、会社の知名度だけでなく、今回の構成と発注範囲に合うかで選びます。OCI基盤、Oracle Database移行、Fusion Cloud導入、アプリ開発、マネージド運用では、得意な会社が異なるため、提案書の実績を「似た製品」ではなく「似た課題」で確認します。

実績は構成・規模・工程で確認する

実績を聞くときは、Oracle製品を使ったことがあるかだけでなく、何をどこからどこへ移し、データ量、利用者数、連携本数、停止許容時間、期間、担当工程が自社と近いかを確認します。可能なら、提案担当者ではなく実際のプロジェクト責任者から、苦労した点と追加費用が発生した点を説明してもらいます。

国内データ保持、公共・金融のセキュリティ、24時間運用、グローバル展開などを重視する場合は、その条件に合う実績を分けて見ます。Oracle公式のISMAPページでは、OCIとFusion Cloud Applicationsについて登録範囲が示され、2025年6月の更新ではOCI AlloyやOracle Database@Azure、生成AIなどの追加が案内されています(出典: 日本オラクル「Oracle Cloud InfrastructureのISMAP対応」、2025年6月更新)。ただし、サービスが登録対象でも、自社の設定や運用が自動的に適合するわけではありません。

技術者・体制・サポート範囲を確認する

提案時には、OCI、ネットワーク、Oracle Database、アプリ、セキュリティ、移行、運用の責任者を示してもらいます。再委託の有無、担当者の稼働率、担当変更時の引き継ぎ、国内対応の可否、問い合わせの一次窓口も重要です。資格の数だけでなく、設計レビューや障害対応を誰が行うかを確認します。

運用委託では、監視対象、アラートの分類、一次切り分け、Oracleへのエスカレーション、復旧作業、月次報告、パッチ適用、脆弱性対応、改善提案の範囲を一覧にします。運用費が安くても、夜間対応や障害復旧が別料金なら、実際のTCO(総保有コスト)は高くなる可能性があります。

業務理解とコミュニケーションを評価する

Oracle Cloudに詳しくても、業務の締め処理、例外承認、在庫評価、会計連携などを理解していないと、利用者が使えるシステムになりません。現場ヒアリングの進め方、業務フローの可視化、プロトタイプやデモの有無、利用部門の教育計画を提案内容で確認します。

発注者側の担当者が少ない場合は、プロジェクト管理や要件整理を支援できる会社が向いています。反対に、社内にOracleやクラウドの技術者がいる場合は、構築だけを専門会社へ発注し、設計・運用を共同で担うことで、将来のベンダーロックインを抑えられます。

Oracle Cloudの見積を比較するときのポイント

Oracle Cloudの見積比較

見積比較では、総額の安さではなく、同じ範囲・同じ前提で計算されているかを確認します。会社ごとに作業範囲や環境数、テスト回数、移行対象が違うと、金額を並べても比較になりません。RFPの項目順に見積をそろえ、差分の理由を質問します。

作業範囲と成果物を横並びにする

比較表には、要件定義、現状調査、基本設計、詳細設計、環境構築、アプリ開発、データ移行、連携開発、テスト、教育、切替、保守を行にして、各社が「含む」「一部含む」「対象外」のどれかを示す形式にします。成果物の名称と受入条件も併記します。

特に漏れやすいのは、開発・検証・本番の複数環境、監視とログの保存、バックアップ復元テスト、データクレンジング、帳票の印刷検証、利用者教育、稼働後の安定化支援です。これらが含まれない見積は安く見えるため、対象外の場合は発注者が別途手配する費用も加えて比較します。

前提条件・単価・追加費用を確認する

見積の前提には、利用者数、同時接続数、データ容量、増加率、稼働時間、リージョン、可用性、バックアップ世代、通信量、環境数、ライセンス、為替、税、契約期間を含めます。単価表だけでなく、想定利用量を掛けた月次・年次の試算を提示してもらいます。

追加費用が発生する条件も質問します。たとえば、連携先が増えた場合、移行リハーサルを追加する場合、性能不足で構成を変更する場合、夜間切替や休日対応が必要になった場合です。変更依頼の単価や見積回答の期限が決まっていると、プロジェクト途中の判断がしやすくなります。

3年程度のTCOで判断する

初期費用が安い提案でも、月額のOCI利用料、保守契約、Oracleサポート、バックアップ、監視、回線、追加改修、教育、社内運用人件費を含めると、数年後の総額が高くなる場合があります。少なくとも初年度だけでなく、3年程度の初期費用と運用費を並べます。

一方で、高い構成が常に優れるわけではありません。RTO・RPO、ピーク性能、法令、業務停止の損失を基準に、冗長化や専用サービスが本当に必要かを確認します。削減できる費用と、削ってはいけない復旧・セキュリティ費用を分けて判断することが大切です。

Oracle Cloudの発注で起こりやすい失敗と対策

Oracle Cloud発注の失敗防止

Oracle Cloudの発注では、クラウド基盤を契約すれば業務システムが自動的に移行できる、標準機能なら追加開発が不要である、利用料は小規模検証と本番で大きく変わらない、といった誤解が起こりがちです。失敗を防ぐには、技術だけでなく、データ、業務、契約、運用のリスクを同じ計画で管理します。

データ移行をベンダー任せにする

移行後に件数や金額が合わないと、システムではなく元データの品質が原因でも、稼働延期につながります。発注者は、正しい業務データの定義、不要データの扱い、コード変換、過去履歴の保持範囲を決め、移行前後の照合方法を承認します。

本番切替の前に、少なくとも一度は本番相当データでリハーサルを行います。所要時間、エラー件数、差分修正、業務停止時間、切り戻し時間を記録し、計画に反映します。マスタ整備や利用部門の確認を発注者側のタスクとして契約書に残すことも重要です。

セキュリティ設定を後回しにする

IAMの権限、MFA、管理者アカウント、ネットワーク分離、WAF、ログ、監査、脆弱性、暗号鍵、秘密情報の管理は、開発後に追加すると設計変更になりやすい領域です。RFPにセキュリティ要件を含め、設計レビューと受入テストで確認します。

Oracle CloudのISMAP登録や国内リージョンの利用可否を確認する場合も、登録範囲と自社の運用設定を分けて考えます。誰がアクセス権を承認し、誰がログを確認し、退職・異動時に何時間以内に権限を削除するかまで、運用手順に落とし込みます。

納品後の変更可能性を残さない

特定の会社しか理解できない手作業や独自ツールが残ると、契約更新やベンダー変更のたびに費用が発生します。設計書、ソースコード、IaC、テスト仕様、運用手順、アカウント一覧、ライセンス情報の納品を契約に含め、発注者が保管します。

また、終了時のデータ返却、アカウント移管、バックアップ廃棄、秘密情報の返却、移行支援の条件を契約時に確認します。2026年時点では、Oracle Databaseと他クラウドの組み合わせやAI活用の選択肢も増えているため、将来の構成変更を前提にAPI、データ形式、権限設計を検討しておくことが有効です。

よくある質問(FAQ)

Oracle Cloud発注に関するよくある質問

Oracle Cloudの発注では、費用、社内準備、委託範囲、運用の責任が特に多く質問されます。ここでは、初回相談前に確認しておきたい代表的な疑問へ、発注者の判断に役立つ形で回答します。

Oracle Cloudのシステム開発を外注するといくらかかりますか?

小規模なPOCや簡易Web業務システムは100万〜500万円程度、既存Oracle Databaseの移行は300万〜1,500万円程度、部門業務システムの新規構築・連携は1,000万〜5,000万円程度が企画段階の推定レンジです。実際には、ライセンス、データ移行、連携、可用性、運用時間、利用量を含めて個別見積を取る必要があります。

社内にOracle Cloudの専門家がいなくても発注できますか?

発注できますが、業務の責任者とデータの責任者は社内に置く必要があります。現状資料が少ない場合は、いきなり本開発を発注せず、現状調査や要件整理を準委任で依頼し、発注者とベンダーでRFPを作成してから本開発を比較すると進めやすいです。

BYOLとライセンス込みはどちらを選べばよいですか?

既存ライセンスの契約条件、データベースのエディション、利用規模、将来の増設、保守の持ち方を比較して決めます。BYOLが必ず安いとも、ライセンス込みが必ず管理しやすいとも限らないため、ライセンス費、サポート費、待機環境、開発・検証環境を含む数年分の総額で比較します。

委託先を選ぶときに最低限聞くべきことは何ですか?

似た規模・構成の実績、担当予定者、移行リハーサル、障害時の責任分界、運用時間、見積の対象外、追加費用の条件、納品物、終了時の引き継ぎを確認します。会社の認知度や初期費用だけで決めず、業務理解と運用を含めて提案できるかを比較することが重要です。

まとめ

Oracle Cloudのシステム発注のまとめ

Oracle Cloudのシステムを発注・外注するときは、まずOCI基盤、Oracle Database、Fusion Cloud Applications、新規業務アプリのどれを対象にするかを整理します。そのうえで、現行資産、業務フロー、データ、連携、非機能要件をRFPにまとめ、要件定義、設計、移行、テスト、運用までの作業範囲をそろえて比較します。

発注成功の要点

費用は、初期開発・移行費、OCI利用料、ライセンス、保守・運用費に分け、推定レンジとして扱います。契約では請負と準委任を工程に応じて使い分け、責任分界、受入条件、変更管理、納品物、終了時の引き継ぎを定めます。見積は金額だけでなく、対象外と3年程度のTCOまで確認します。

最初に取るべき行動

最初から完璧な仕様書を作る必要はありません。現行システム一覧、困っている業務、データ量、停止許容時間、希望時期をまとめ、現状調査やPOCを含む提案を複数社へ依頼します。Oracle Cloudの製品特性と自社業務の両方を理解できるパートナーと、実現したい成果、費用、運用責任を一つずつ合意していくことが、発注成功への近道です。

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会社紹介

株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

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執筆者プロフィール
張田谷凌央
張田谷凌央

株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。