PACSの費用は、施設の規模、画像量と保存年数、連携・移行・可用性の範囲によって大きく変わります。初期費用は、小規模な導入で0〜300万円程度、大規模な統合基盤では5,000万円超まで広がります。
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医用画像管理システム(PACS)の費用相場の目安

PACSの相場は、クラウドや標準パッケージを使うか、院内設備や個別連携まで含めるかで変わります。
小さな構成なら月額中心で始められます。一方、病院全体の画像診療基盤として作り込む場合は、初期費用だけで数千万円規模になることもあります。
ここに示す数字は、公開価格、公開調達要件、業務システム開発の共通相場から組み立てた、予算検討用のレンジです。PACS市場全体の公定価格ではなく、予算を考える際の目安として扱います。
診療所・健診施設の小規模導入の初期費用は0〜300万円程度
小規模導入では、初期費用と月額費用を分けて見ます。どちらか一方だけで見ると、総額を読み違えるおそれがあるためです。
- 初期費用:0〜300万円程度
- ランニング費用:月額5.5万〜30万円程度
対象は、モダリティが少なく、標準Viewerと画像保存を中心に導入する診療所や健診施設です。
クラウドまたは標準パッケージを選び、電子カルテとの連携を最小限にすると、サーバーを買い切るより初期負担を抑えやすくなります。
ただし、月額料金には、画像容量、同時接続数、保存期間、サポート、データ搬出の条件が含まれない場合があります。月額だけで安いと判断しないよう、条件を並べて確認します。
中小病院の連携型の初期費用は300万〜1,500万円程度
中小病院では、機器接続と院内システム連携が費用の中心になります。
- 初期費用:300万〜1,500万円程度
- 月額費用:10万〜50万円程度の例
- 保守費:初期費用の10〜20%程度を見込むことがあります
X線やCT、MRI、超音波などを接続し、電子カルテやRISと連携する構成が前提です。この費用には、接続設定、端末、画像表示環境が含まれ、移行や操作教育まで含めた導入予算になります。
既存PACSの画像を数年分移行する場合や、レポートと音声認識まで一体化する場合は、病床数が同じでも費用が上限側に寄ります。
大規模病院の統合基盤は1,000万〜5,000万円超の範囲
大規模病院や病院グループでは、統合範囲と可用性の条件が初期費用を押し上げます。
- 統合基盤:初期1,000万〜5,000万円超が目安
- ランニング費用:年額数百万円から増加するレンジ
- フルスクラッチ:3,000万〜1億円超の見積もりも検討対象です
統合基盤では、PACSとRISに加えて、VNA、レポート、地域連携、遠隔読影、AI、災害対策まで整備します。
24時間365日の可用性や二重化ストレージ、複数拠点のバックアップ、院内外からの同時利用が重なると、費用が増えます。
フルスクラッチで独自の統合基盤を開発する場合は、開発期間12〜24か月以上という見積もりもあります。
公開価格は導入見積もりの前段で使う比較材料
公開価格は、月額型や初期投資ゼロの方式がどの程度の水準かを知るための材料になります。
- PAXiS-X:2019年の提供開始情報で月額55,000円から
- NOBORI:NOBORI-CUBEをレンタル機器として提供
- 上場企業資料:提供側のクラウド化投資は約600万円
キッセイコムテックのPAXiS-Xは、直近の画像を院内サーバー、長期保存の画像をクラウドに置くハイブリッド方式です。
保管容量によって料金が増減します(出典:キッセイコムテック「PAXiS-X提供開始のお知らせ」)。
上記の金額は、2026年の全施設向けの価格表ではありません。そのため、現在の見積もりとして断定せず、月額型の下限を考える際の公開事例として扱います。
PSPのクラウドPACS NOBORIは、初期投資ゼロを掲げ、院内に大型サーバーを置かず、東日本と西日本の2拠点でデータを管理します(出典:PSP株式会社「クラウドPACS NOBORI」)。
実際の月額は、施設規模、画像容量、ViewerやRISなどの構成、連携範囲で変わります。そのため、初期0円と表示されていても、月額、最低契約期間、オプション、データ搬出費まで含めて確認します。
2025年7月に開示された上場企業資料では、提供側企業がPACSシステムのクラウド化に約600万円を投じる計画を示しています。この金額は、サービス提供側の開発・改良投資であり、医療機関の導入価格ではありません(出典:2025年7月17日付の上場企業開示資料)。
市場でクラウド化に開発費がかかっている規模感を知る参考にはなります。ただし、病院の見積もりにそのまま当てはめることはできません。
PACS開発・導入費用の内訳

見積書の総額だけでは、提案の差がどこから来るのかが分かりません。そこで、費目を初期費用と運用費用に分けて確認します。
- 基本費用:ライセンス、サーバー、ストレージ
- 連携・移行:機器接続、検査情報連携、データ移行
- 運用費用:端末、セキュリティ、教育、保守
ライセンス・サーバー・ストレージで決まる基本費用
基本費用には、PACSアプリケーションとViewer、管理者機能が含まれます。ライセンスは、同時接続ライセンスとモダリティ接続ライセンスで見ます。
- 院内設備:サーバー、ストレージ、バックアップ装置
- オンプレミス:予備機、保守契約、数年ごとの更新費がかかります
- クラウド:保存容量、転送量、参照頻度、拠点数によって月額が変わります
オンプレミス方式では、将来分まで見込んだ容量を初期設計に組み込みます。
クラウド方式ではサーバー購入費を抑えられる反面、バックアップの条件も月額に影響します。
画像データは、CTやMRIの検査件数が増えるほど保存容量も増えます。
見積もりを依頼する際には、現在の使用量だけでなく、年間検査件数、検査1件あたりの容量、保存年数を記載します。
圧縮の有無や、削除・アーカイブの方針も確認します。
保存年数を無制限にすると、クラウドでもオンプレミスでも総保有コストが上がるため、診療上必要な期間と長期保管の方式を分けて考えます。
HIS・RIS・モダリティとの連携で増えやすい費用
連携費用は、患者情報や検査予約を受け取り、画像と正しい患者・検査を結び付ける設計にかかります。
- 接続仕様:DICOM、MWL、MPPSなどの仕様
- 業務連携:レポートを電子カルテへ戻す流れ
- 個別対応:古い機器や複数ベンダーでは費用が増えやすくなります
接続では、C-STORE、C-FIND、C-MOVEのDICOM通信を使うほか、次の仕様も使う場合があります。
- 取得:C-GET
- ワークリスト:MWL、MPPS
- その他の連携:HL7、FHIR、DICOMweb
使う場合は、接続先ごとに仕様を確かめ、試験を行う手間が生じます。
2026年2月公開の鳥取大学放射線部門システム調達要件では、電子カルテや医事システムとの連携を求めています。このほか、画像の扱いと患者情報の確認も対象に含まれています。
- 画像の流れ:取得、保存、配信
- 画像の利用:表示、読影、解析
- 患者情報と監査:患者ID取り違え防止、監査証跡
規格では、DICOM標準、DICOMweb、IHE Radiologyが求められています。さらに、MWL、MPPS、FHIR DiagnosticReportも対象です。
既存モダリティの継続利用も求められています(出典:政府公共調達データベース掲載の鳥取大学資料提供招請)。
このような要件を含めるほど、Viewerの導入費だけでは済まなくなります。
既存画像のデータ移行は独立した費目
旧PACSからの移行では、患者ID、検査日、Study・Series・Instanceを照合する必要があります。単純なファイルのコピーでは済まないためです。
- 関連情報:レポート、PR・SRなど
- 技術条件:データベース形式、文字コード、欠損タグ
- 運用条件:匿名化、診療継続、移行後のサンプル読影
移行後は、過去画像が正しい患者に表示されるかを確かめます。画像枚数やデータ容量だけでなく、旧ベンダーのデータベース形式も工数を左右します。
見積もりでは「データ移行一式」とは書かず、対象期間、モダリティ、検査件数を明記します。レポートの扱いや照合方法、再処理、保管先もあわせて書き、どこまでを誰が受け持つかを決めます。
直近数年分は高速参照用に、古い画像はアーカイブ用に分ける方法もあります。古い画像を段階的に移行すると、切替時の負荷を抑えられる場合もあります。
教育・保守・セキュリティで決まる運用費用
運用費用は、教育の対象と保守の範囲を分けて見積もります。
- 教育:放射線技師、医師、事務職員、管理者
- 保守:監視、バックアップ、パッチ、容量、機器交換
- 復旧:停止時の担当者と復旧時間
稼働後は、問い合わせ対応、障害監視、バックアップ確認、パッチ適用、容量監視、機器交換を続けて行う必要があります。
保守費は、初期費用の10〜20%程度を目安にすることがあります。ただし、24時間365日対応や現地駆け付け、代替機、クラウド障害時の支援、バージョンアップの範囲によって金額が変わります。
保守契約は、料金の安さよりも、停止時に誰が何時間以内に復旧させるのかで比べます。
厚生労働省は2026年6月に、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第7.0版を公開しています。同じ時期に、医療機関・薬局向けのサイバーセキュリティ対策チェックリストも公開されています。
PACSの見積もりでは、アクセス権限、暗号化、監査ログ、脆弱性対応、バックアップ、復元訓練を確認します。サイバー攻撃を想定したBCPや、委託先との役割分担も見ます(出典:厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版」)。これらを後から追加すると、想定外の費用と稼働延期につながります。
PACSの費用が高くなる変動要因
同じPACS製品でも施設によって見積もりが変わるのは、扱う画像量と業務の複雑さが異なるためです。
- 画像量:保存容量、検査件数、接続台数、同時利用者、連携先
- 継続性:可用性、冗長化、BCPの条件
- 拡張範囲:AI、地域連携、移行の有無
価格を下げたいときは、必要な機能を削る前に、診療継続や患者安全に直結する要件を先に分けておきます。
画像容量と検査件数で変わるクラウド・ストレージ費
画像容量は、モダリティの増設と検査件数の増加で変わります。
- 増える容量:保存、バックアップ、転送、検索用インデックス
- クラウド:月額が容量に連動することが多くなります
- オンプレミス:初期ストレージと更新費の増加
CTやMRIなど画像枚数の多いモダリティを増設すると、保存容量も増えます。そこで、現在と3年後の検査数、保存年数、1日あたりのピーク受信量を示しておくと、過不足の少ない容量設計につながります。
冗長化・BCP・24時間365日稼働に伴う設計費
停止が許されない施設では、可用性の条件を要件として先に整理し、そのうえで費用を考えます。
- 冗長化:サーバー、ネットワーク、電源、ストレージの二重化
- 災害対策:代替閲覧、復旧優先順位、連絡体制の決定
- 復元確認:バックアップからの復元テスト
救急診療や複数拠点で読影する施設では、画像が使えない時間が診療や読影の遅れに直結します。そのため、災害やランサムウェアの際にどう動くかを、事前に決めておく必要があります。
公開調達でも、24時間365日の連続稼働を目指す可用性や、障害時の代替運用の支援が求められています。
可用性の条件はRFPに書き込み、費用と要件を分けて比べます。
Viewer・レポート・AI・地域連携の追加で広がる範囲
標準構成に含まれない機能を追加すると、ライセンスと連携の範囲が広がります。
- Viewer:多断面再構成、3D、動画、ハンギング
- レポート:音声認識、二重読影、送信方法
- 外部利用:院外参照、CDレス、地域連携、モバイル
Viewer、レポート、外部利用の各機能は、標準構成に含まれないことがあるため、見積もりでは追加範囲として扱われる場合があります。
AIの費用は、画像連携、同時利用ライセンス、対象モダリティ、ログ保存、表示方法で変わります。
診断・治療・予防用のAIは、医療機器プログラムとして承認・認証の状況を確認します。
「AI付き」と書かれた見積もりは、用途と薬事上の位置付けまで確かめます。
古いPACSと複数ベンダーの接続に伴うリスク
旧PACSや古いモダリティがある場合は、接続可否と変換処理を先に確認します。
- 旧PACS:患者マスタ、検査情報、レポートの調査
- 古い機器:MWLやMPPSへの対応状況
- 事前検証:機器一覧とサンプルデータでの接続試験
旧PACSが独自形式なら、画像だけでなく、注釈やキー画像の扱いも個別に調べる必要があります。
古いモダリティが最新のMWLやMPPSに未対応なら、ゲートウェイや変換処理が必要です。ここを安く見せた提案は、稼働直前に追加費用が発生しやすくなります。
PACSの開発・導入期間と進め方

PACSの導入期間は、方式と統合範囲だけでなく、移行や教育の工程でも変わります。
- 要件を確定し、接続先と移行対象を整理する。
- 接続試験、データ移行、並行運用を行う。
- 現場教育と稼働判定を終えてから切り替える。
期間の目安は、小規模なクラウド・パッケージで1〜3か月、中小病院の連携型で3〜9か月です。大規模なPACS・RIS・VNA統合は6〜18か月、フルスクラッチや大規模移行は12〜24か月以上になります。
診療を止められない施設ほど、切替日から逆算して、移行リハーサルの日程を先に組みます。
要件定義でのMUSTとWANTの切り分け
要件定義では、施設と既存環境の現状を洗い出してから、優先度を分けます。
- 施設条件:モダリティ台数、検査件数、保存年数
- 接続条件:同時接続数、読影拠点、電子カルテ・RIS
- 既存条件:保守期限と過去画像の容量
MUSTには、「患者IDを取り違えない」「救急画像を遅延なく表示する」を置きます。加えて、「レポートを電子カルテに返す」「障害時に最低限の画像を参照する」もMUSTに含めます。
一方、将来のAI、地域連携、モバイル閲覧はWANTとして分けておきます。そうすると、初期費用と段階導入の判断がしやすくなります。
PoCとRFPでの、実データに近いシナリオ試験
候補会社には、同じ条件で操作を比べられるシナリオを渡します。
- 入力条件:同じ患者・検査、CTやMRIの画像
- 業務条件:同じ読影・承認フロー
- 障害条件:ネットワーク断と復旧後の再送
撮影直後の画像表示や過去画像との比較、ハンギングプロトコルを確かめます。そのうえで、他院からの画像取り込みやレポート送信、電子カルテからの起動も検証します。
機能表の丸印で判断するのではなく、実際の操作時間とエラー時の復旧方法で比べます。これにより、導入後の追加開発を減らす助けになります。
移行・並行運用・切替判定を工程に含めた見積もり
移行の工程は、切替直前にまとめて扱わず、試験と並行運用まで含めて見積もります。
- データを洗い出し、サンプル変換と件数照合を行います。
- 患者・検査IDを照合し、サンプル読影で確かめます。
- 全量移行、差分移行、バックアップからの復元
数か月前に一部データでリハーサルを行い、エラー率と処理時間を把握しておきます。
切替後は、一定期間だけ旧PACSを参照専用で残す方法もあります。さらに、両方に画像を送る並行運用も選択肢になります。
教育と稼働後の運用設計まで含めた準備
稼働初日に全職種へ同じ説明をしても、例外運用には対応しきれません。そのため、職種ごとに教育内容を分けます。
- 放射線技師:検像、再送、患者情報の修正
- 医師:検索、比較、計測、レポート
- 管理側:権限、監査ログ、障害連絡
事務職員には、他院画像やメディアの管理を教えます。職種ごとに、必要な例外運用も確かめておきます。
稼働後の1か月、3か月、6か月の時点で、操作ログや問い合わせを見直します。不要なオプションや不足している機能を整理すると、継続費用のむだを減らすことにもつながります。
PACSのコストを抑える際のポイント
コストを抑える際は、初期費用だけでなく、診療の継続と将来の拡張も見ます。
- 避ける損失:診療停止、誤紐付け、移行のやり直し
- 見直す範囲:保存容量、連携範囲、更新費
- 残す品質:患者安全と必要な運用品質
ベンダーロックインによって更新費が高くなる事態も避けます。機能を一括で削るのではなく、導入時期、保管方式、連携範囲ごとに分けて考えます。
標準機能を先に入れて段階的に広げる進め方
最初から全機能を入れると、初期費用と稼働リスクが膨らみます。
- 第1段階で画像受信、検索、基本Viewerを安定させる。
- 患者情報連携と最低限のレポートを整える。
- 第2段階で遠隔読影、外部共有、AI、VNA統合を追加する。
AI、地域連携、全施設の統合、過去画像のすべての移行を同時に進めると、費用とリスクが増えます。
将来追加する機能のAPI、DICOMweb、データ形式、ライセンス条件は、契約前に確かめておきます。そうすると、段階導入でも作り直しを避けやすくなります。
院内キャッシュとクラウド長期保存の使い分け
保存方式は、すべてを院内に置く方式かクラウドに置く方式かの二択とは限りません。
- 院内参照:直近の画像を高速に参照
- 長期保存:古い画像をクラウドに置く
このハイブリッド方式は選択肢の一つです。キッセイコムテックのPAXiS-Xは、直近の画像を院内に、長期保存の画像をクラウドに置く方式で、月額55,000円からの公開例を示しています。
施設ごとの容量や連携条件で変わるため、この価格をそのまま当てはめることはできません。必要な参照速度と保存期間を分けて考えます。
DICOM・DICOMweb・FHIRなど標準仕様の優先
標準仕様を優先すると、将来の更新や相見積もりで不利になりにくくなります。
- 仕様:DICOM、DICOMweb、IHE Radiologyの対応
- 連携:HL7、FHIR、APIの利用条件
- 返却:データエクスポート形式と返却条件
特定ベンダーだけが読める形式や、移行方法が不明な独自インターフェースは避けます。
標準仕様に対応していても、実際のモダリティや電子カルテと接続できるかは別に確かめる必要があります。サンプルデータで接続試験を行い、契約終了時のデータ返却もセットで確認します。
契約時の追加費用とデータ所有権の明確化
契約前には、本体価格に含まれない作業と、契約終了時の条件を明確にします。
- 追加費用:接続、容量超過、現地作業、夜間切替
- 終了条件:再移行、搬出、削除証明、更新
- 責任の範囲:復旧目標、設計書、設定情報の引き渡し
追加のモダリティや同時接続数が増えた場合は、再移行の扱いも契約に書いておきます。
API利用、データ搬出、契約終了時の削除証明、バージョンアップも確認します。
障害時の代替運用、データの所有者、委託先、再委託先も契約に含めます。アクセスログの保管やインシデント報告も、契約に入れておきます。
厚生労働省の第7.0版では、事業者向けの資料や、契約上の役割分担に関する関連資料も案内されています。そこで、価格交渉と並行して、どこまでを誰が受け持つかを詰めます。
PACSの見積もりを比較するときのポイント
複数社から見積もりを取るときは、同じ条件を渡します。
- 施設条件:施設概要、機器一覧、利用者数
- 画像条件:データ量、保存年数、移行方針
- 運用条件:稼働時間、教育対象、保守時間帯
施設概要、機器一覧、現行PACSのデータ量、必要な連携を一つのRFPにまとめます。提案会社ごとに前提が違う場合は、金額の大小より、含まれる範囲と含まれない範囲を比べます。
RFPに書き込む画像量・接続先・移行範囲
RFPでは、価格に影響する施設条件と接続条件を具体的に指定します。
- 画像量:検査件数、画像容量、保存年数
- 接続先:HIS、RIS、電子カルテ、モダリティ
- 移行範囲:画像、レポート、試験方法
モダリティの種類と台数、Viewerの同時接続数、読影室・病棟・救急などの端末数もRFPに記載します。
接続先はHIS・RIS・電子カルテの製品名まで明示します。移行対象は既存画像とレポートに分けて記載します。さらに、必要なDICOMとHL7の対応、クラウド・オンプレミスの希望も指定します。連携の仕様と、保管・事業継続に関わる条件は、次の項目ごとに指定します。
- FHIR:連携の仕様
- DICOMweb:通信の仕様
- バックアップ:保管の条件
- BCP:事業継続の条件
「既存連携を踏襲」という書き方では、提案側によって解釈が分かれます。接続先、送受信データ、エラー時の扱い、試験方法まで指定します。
5年程度の総保有コストでの比較
方式によって費用が発生する時期が違うため、初期費用だけでは比較できません。
- オンプレミス:初期費用と更新費
- クラウド:容量、転送、利用者、契約期間
- 共通費用:保守、移行、教育、搬出
オンプレミスは初期費用が高くても、月額の画像保管費が一定になる場合があります。一方、クラウドは初期費用を抑えやすいものの、オプションも総額に影響します。
最低契約期間と更新時の料金改定も確かめます。そのうえで、初期費用、月額・年額、保守、機器更新を合算します。
移行、教育、追加接続、バックアップ、障害対応、契約終了時の搬出も含めて、3年または5年の総保有コストを計算します。
安さだけでなく医療機関での移行実績
候補会社は、製品の知名度だけでなく、自院と同じ構成の実績で比べます。
- 接続実績:古い機器や他社PACSとの接続
- 移行実績:容量、停止時間、責任範囲
- 運用実績:代替運用、24時間支援、搬出
同じ規模、モダリティ、連携構成の実績があるかを確かめます。また、患者ID取り違え防止の仕組みについても質問します。
障害時の代替運用、24時間サポート、AI機能の承認・認証も確認します。契約終了時のデータ搬出方法も確かめます。実績は件数だけでなく、移行対象の容量や停止時間、稼働後の支援まで聞いておきます。
医用画像管理システム(PACS)のよくある質問
費用を検討する際によく挙がる疑問に、順に答えます。公開価格は一例にすぎないため、個別の見積もりが必要です。
PACSは月額5万円台から導入できますか?
公開例として、キッセイコムテックのPAXiS-Xは月額55,000円からと案内されています。
- 公開時期:2019年の提供開始時の情報
- 変動条件:保管容量で料金が増減
現在の価格や自院の総額を示すものではありません。画像容量、接続数、Viewer、連携、保守、契約期間を含めて、見積もりを取ります。
クラウドPACSなら初期費用はかかりませんか?
初期投資ゼロを掲げるクラウドPACSもありますが、契約期間中の月額利用料やオプション費用は残ります。
- 提供例:NOBORIはNOBORI-CUBEをレンタル機器として提供
- 確認項目:搬出費、最低期間、容量超過、端末、連携
PSPのNOBORIは、施設規模や構成によってサービス内容が変わります。そのため、上の確認項目を自院の構成に当てはめて確かめます。
既存PACSの画像移行費用はどのように見積もりますか?
画像容量だけでなく、移行対象と検証工程を分けて見積もります。
- 対象範囲:期間、検査件数、レポート、注釈
- 移行条件:旧形式、差分移行、サンプル読影
- 切替条件:エラー再処理、参照期間、並行運用
患者・検査IDの照合も見積もりに含め、最初に一部データで試験移行します。
処理時間と欠損を確かめておくと、全量移行時の追加費用を予測しやすくなります。
診療を止められない場合は、並行運用や段階移行の費用も含めます。
フルスクラッチ開発はPACS製品より安くなりますか?
フルスクラッチは独自業務に合わせられますが、標準製品より初期費用と期間が大きくなりやすい方式です。
- 設計範囲:DICOM、Viewer、連携、セキュリティ
- 運用範囲:監査、バックアップ、移行、24時間運用
- 比較対象:標準PACSへの個別連携
独自の業務に合わせられる反面、監査の仕組みを一から設計して検証する必要があります。
フルスクラッチが適するのは、複数ベンダーの統合や特殊な読影フローに明確な理由がある場合です。
標準PACSを基盤に個別連携だけを追加する方式も比べます。判断は、5年の総額と運用体制をもとに行います。
まとめ:費用内訳と診療継続性をセットで比べる考え方
施設規模と方式で見る費用相場
PACSの費用は、施設規模と方式によって大きく分かれます。このうち小規模の目安は、医用画像管理システム(PACS)の小規模クラウド・パッケージが対象です。
- 小規模:初期0〜300万円程度
- 中小病院:初期300万〜1,500万円程度
- 大規模統合:初期1,000万〜5,000万円超
中小病院の連携型と、大規模なPACS・RIS・VNA統合が、費用の幅を大きく分ける目安です。
公開価格には、月額5.5万円からの例や初期投資ゼロの方式があります。ただし、施設規模、画像容量、接続先、移行、保守、契約条件によって変わります。
見積もり前の総保有コストと責任の範囲の確認
見積もりでは、初期費用と運用費用を分けたうえで、追加作業と責任の範囲まで確かめます。
- 費用項目:ライセンス、設備、連携、移行
- 導入方法:MUSTとWANT、段階導入
- 比較基準:3年または5年の総額と継続性
端末・モニター、セキュリティ、教育、保守、障害時の代替運用も費目に含めます。
標準仕様を優先し、必要に応じて段階導入やハイブリッド保管を選ぶと、拡張性を保ちやすくなります。
最終的な比較は、3年または5年の総保有コストと安全な運用体制で行います。
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会社紹介
株式会社riplaでは、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを、構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルによる高い要件定義力・システム設計力を活かし、事業成果の最大化に伴走します。

また、当社独自の開発テンプレート「Boxシリーズ」による標準機能の高速開発と、AI駆動開発の独自フレームワーク「GoDD」による独自機能のAI実装を組み合わせることで、低コスト・短期間で開発を実現いたします。

もし、システム開発やプロダクト開発に関するご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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株式会社ripla 代表取締役CEOとして、システムパッケージ活用、システム開発、データ分析、生成AI活用、SaaS開発、アプリ開発、EC構築など、幅広い領域で企業のDX推進と事業成長を支援している。事業会社でIT・DXを経験したプロフェッショナルが集う株式会社riplaにおいて、お客様の事業・ユーザー・業務に最適化したオーダーメイド型システムを構想策定・要件定義から開発・改善まで一気通貫で支援し、単なるシステム納品にとどまらず、クライアントと同じ目線で事業成果の最大化に向けた伴走支援を行う。早稲田大学卒業後、ラクスル株式会社、LINEヤフー株式会社にて事業開発やDX推進などに従事した後、株式会社riplaを創業。
